配電系統運用システムの開発会社は、電力設備・制御、業務・データ連携、ADMS製品の対応範囲を比べて選ぶのが基本です。自社の運用に合う範囲を持つ会社かどうかが、判断の中心になります。
会社ごとの強みと、発注前に比べる観点を順に見ていきます。全体像は、完全ガイドもあわせてご覧ください。
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配電系統運用システムのパートナー選びが重要な理由

配電系統運用は、系統モデル、機器、通信、業務、セキュリティを同時に扱う重要なシステムです。誤表示や開閉器の接続不備は、安全性と復旧時間に影響します。
障害時の判断と復旧を支える役割
システムは平常時、電圧、電流、開閉器の状態、設備アラームを監視します。一方、事故時は故障区間と停電範囲を推定し、復旧候補を示します。
FLISR(故障区間の切り離しと健全区間の自動復旧)やVVO(電圧・無効電力の最適化)まで対象にすると、制御ロジックと安全側の設計を、より慎重に詰める必要があります。
そのため、パートナーには、手動で確認する操作と自動化する操作を分けたうえで、訓練環境や切替試験まで設計できることが求められます。
発注前に決めるデータと責任分界
発注側は、候補会社を比べる前に整理する情報と、RFPで定める責任範囲を分けて確認します。
- 対象・既存環境:対象設備の数と、既存SCADA・GISの種類
- 運用・通信:通信プロトコルと、停電時の業務手順
- 責任分界:CIM・API対応、データ所有権、モデル更新、第三者機器接続、障害復旧の担当(RFPに記載)
対象設備には、変電所、フィーダー、開閉器、センサーが含まれます。IEC 61968-11は配電向けCIMの拡張を定めており、システム間でネットワークや設備情報をやり取りする基盤になります(出典: IEC「IEC 61968-11」、2013年)。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援
riplaは、コンサルティングから開発まで一貫して支援する企業です。IT事業会社として社内DXを進めた経験を活かし、システムで成果を出し、現場に定着するところまで支援します。
営業、顧客、生産、販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があります。こうした実績をもとに、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制です。
特徴と強み
riplaは、システム化の目的を整理して、現場で使われる機能に落とし込むことを得意としています。
配電系統運用では、設備台帳やGISの整備、可視化、事故時の判断支援、制御機能の順に導入すると、リスクを抑えやすくなります。
業務、設備、情報システムの各部門で認識をそろえ、要件定義から画面・データ設計、教育、稼働後の改善まで同じ方針で進めたい企業に向いています。
得意領域・相談に向いている企業
設備管理、顧客情報、作業管理、販売・会計など複数業務をつなぎたい企業や、スクラッチ開発とパッケージ導入の選択を整理したい企業に合っています。
大規模なOT製品を単独で納入する会社とは役割が異なります。相談時に対象設備、現在の監視・管理方法、改善したいKPI、将来連携する機器を共有しておくと、提案との適合性を判断できます。
株式会社日立製作所|大規模な配電業務とIT・OTを総合支援
株式会社日立製作所は、電力系統解析、送配電設備、制御・ITを幅広く扱う総合電機メーカーです。
九州電力の公式事例では、配電ITシステムは19のサブシステムで構成されています。約2,800名の配電社員が24時間365日の業務で利用し、約280万本の電柱と約13万キロメートルの電線を扱います。さらに、約740万世帯の顧客情報も扱います(出典: 日立「九州電力 配電ITシステム事例」、確認日2026年)。
特徴と強み
設備保守、停電対応、配電総合データベースなど、現場を含む大規模業務をまとめて検討できます。現場作業員向けの設備情報、停電受付、工事・保全データを一貫させたい案件で、候補に入ります。
大規模案件では、日立製作所、日立エナジー、国内協力会社の担当範囲を、提案の段階で明確にしてもらいます。
得意領域・実績
対象設備や利用者が多く、長期保守や段階移行を必要とする一般送配電事業者に向いています。
発注側は、既存SCADA、GIS、OMS、顧客情報、モバイル業務のうちどこを再利用できるかを確認します。あわせて、類似案件のデータ移行や並行運用の進め方、自社に似た電圧階級・拠点数・運用体制での担当範囲も尋ねておきます。
三菱電機株式会社|配電系統自動化と制御ロジックに強み
三菱電機株式会社は、中央給電所、給電制御所、配電系統自動化を含む電力系統監視制御システムを提供しています。
公式情報では、需要予測、需給運用計画、自動需給制御、停電事故時の自動復旧指示を紹介しています。これらを通じて、電力系統の高度な運用と省力化を支援しています(出典: 三菱電機「電力系統監視制御システム」、確認日2026年)。
特徴と強み
配電設備・制御機器との接続、系統状態に応じた最適化演算、事故時の復旧操作を重視する案件で検討できます。
公式では、サーバーや運用拠点を分散し、被災時に遠隔拠点から緊急バックアップする構成も示されています。こうした構成は、可用性、バックアップ、操作権限、訓練シミュレータを一体で評価したい案件に適しています。
得意領域・実績
既存の変電所・配電自動化機器を活かし、制御センターの監視や復旧支援を高度化したい電力会社に向いています。
発注側は、接続可能なRTU、IED、開閉器、通信装置のメーカーを確認します。第三者製品を接続した場合は、その保守責任も明らかにしておきます。
自動復旧を導入する場合は、シミュレータ上のシナリオ試験と、現地の手動復旧手順を含めて評価します。
東芝システムテクノロジー株式会社|電力技術とICTを組み合わせた制御系を提供
東芝システムテクノロジー株式会社は、東芝グループの電力技術とICTを組み合わせて、中央給電指令所、広域系統監視制御、配電自動化、系統安定化、訓練シミュレータなどを手がけています。
公式情報では、変電所機器の状態や電気量をリアルタイムで監視し、点検・メンテナンス時に機器を操作するシステムが紹介されています(出典: 東芝システムテクノロジー「電力流通事業」、確認日2026年)。
特徴と強み
発電・送電・変電・配電を踏まえて、予測、計画、解析、制御まで設計できる点が特徴です。事故時の高速制御、平常時の系統安定度の維持、再生可能エネルギー導入の拡大を見据えた構成も検討できます。
制御ロジックに加えて、訓練シミュレータや設備データの大規模データベースも含めて運用を改善したい案件に適しています。
得意領域・実績
設備メーカーとの連携が多い変電所監視制御・系統保護や、電力系統の長期運用・更新で候補になります。設備型式、保護リレー、通信方式、更新時期を整理しておくと、流用する範囲と更新する範囲を分けて考えられます。
AIやDER制御を追加する場合は、制御系の安全要件と分析系の拡張性を分けて提案してもらいます。
日本電気株式会社(NEC)|送配電DXとIT・OT・セキュリティを横断支援
日本電気株式会社(NEC)は、送配電事業者向けに設備管理DX、業務効率DX、統合運用DXを展開しています。
公式情報では、AI、センシング、IT/OT、GIS統合を組み合わせています。さらに、設備・業務管理、ネットワーク、セキュリティも取り入れています。DMS本体に加えて周辺業務とデータ基盤も検討する企業に適しています(出典: NEC「送配電事業者向けDX」、確認日2026年)。
特徴と強み
GISを中心とする設備情報の統合、現場センシング、AIによるデータ活用、IT/OT連携、重要インフラのセキュリティを横断して検討できます。
設備台帳の精度向上、点検・工事の効率化、現場の意思決定支援に向いています。デジタルツインや分析機能を見据えて、制御系と分けたデータ活用基盤も検討できます。
得意領域・実績
一般送配電事業者、自治体、地域エネルギー事業者、設備保全の高度化を目指す企業など、複数のデータを使って業務改革する場合に候補になります。
実証から本番へ移るときは、KPI、GIS更新の責任、端末運用、セキュリティ監視の範囲を確認します。
公式ページの「統合運用DX」が自社のどの業務を指すのか、提案書で機能と担当範囲を具体化してもらいます。
Oracle|ADMS・DERMS・OMS・SCADAを段階導入しやすい海外ベンダー

Oracleは海外ベンダーで、Oracle Utilities Network Management Systemを提供しています。同製品を中心に、配電管理、停電管理、DER管理、SCADA、分析などを組み合わせます。
2025年3月の公式発表では、DERのライフサイクル管理、予測、需要応答、停電復旧などを強化しています。また、モジュール型の構成で段階導入する方向性も示しています(出典: Oracle「Advanced Distribution Management System Enhancements」、2025年)。
特徴と強み
太陽光、蓄電池、EV充電器、需要応答などのDERを将来取り込む企業に向いています。まずネットワークモデルと停電管理から始め、DERの予測・イベント管理・制御へと広げられます。
発注側は、海外製品の標準機能を活かせる一方で、日本の制度、業務慣行、通信機器、国内SI体制への適合性を事前に確認しておきます。
得意領域・実績
複数地域・拠点で標準化したい事業者や、再生可能エネルギーと蓄電池の増加を見据えてADMSを段階導入したい企業で候補になります。
Oracleの公式発表では、米国の上位電力会社10社のうち6社が利用し、6,100万以上の顧客を支援すると説明されています。ただし、これは海外市場の実績です。
日本で導入する際は、国内パートナーの保守窓口や障害時の一次対応を契約に明記します。データ移行、翻訳・制度対応、製品終了時の移行条件も、取り決めておきます。
配電系統運用システムのパートナー選びのポイント

6社は、電力設備・制御に強いメーカー、国内の業務・データ連携に強いSIer、海外のADMS製品ベンダーに分かれます。
導入範囲と運用リスクを踏まえて提案の前提をそろえ、そのうえで比べます。価格や知名度だけで順位をつけるのは避けます。
実績の見極め:社名より担当範囲
実績を比べるときは、導入設備と利用者、連携システムの範囲をまず確認します。切替方式や障害対応、稼働後の改善まで見ると、担当の実態が分かります。あわせて、自社の計画に近い担当者をアサインできるかも尋ねます。
「電力会社の実績」があっても、どこまで担ったかは一目では分かりません。機器納入、アプリ開発、データ移行の担当範囲を確認するほか、24時間運用と保守の範囲も押さえておきます。九州電力事例の規模そのものより、自社条件との共通点を見ます。
技術評価の観点:系統モデルと第三者機器の接続
RFPでは、系統モデルの更新方法とGISとの同期を確認項目にします。次に、状態推定・潮流計算の精度と、停電範囲推定を見ます。さらに、FLISR、VVO、DERMS連携も対象に含めます。
操作権限とログ、RTO/RPOを明記します。バックアップの取り方も、提案に含めてもらいます。CIM準拠の提案では、IEC 61968-11のプロファイルやメッセージ、データ変換の保守担当も確認します。
実機デモでは、通信断や欠測値、誤った系統状態を含むシナリオを実行してもらいます。同時事故や、手動復旧への切替も想定に入れます。
プロジェクト管理とセキュリティの契約条件
プロジェクトは、要件定義やデータ整備、機器接続を経て、長期にわたって続きます。試験や教育、切替、保守まで長く続くため、プロジェクト責任者と意思決定ルートを確認しておきます。
費用の概算は、限定フィーダーのPoCで3,000万円〜1.5億円、ADMSの一部モジュールで2億〜10億円です。
既存SCADA・GIS・OMS連携を含む中規模更改は5億〜20億円、広域・冗長化・OTを含む大規模更改は10億〜50億円超が一つの目安です。DMS単体の公定価格ではありません。
電力広域的運営推進機関の2024年度契約実績には、スイッチング支援システムの保守3,633万7,400円が掲載されています(出典: 電力広域的運営推進機関「2024年度契約実績表」、2025年公表)。
同実績には、老朽化機器の構築からリリースまで13億5,117万4,000円も掲載されています(出典: 電力広域的運営推進機関「2024年度契約実績表」、2025年公表)。
e-Govの公表資料では、配電設計システムの追加開発4.1億円、通信系統運用システム更新2.3億円、配電自動化システムのリプレース13.9億円が示されています(出典: e-Gov公表資料、2022年資料)。
これらはDMSの定価ではありません。類似する電力系統周辺システムの参考値として扱います。
経済産業省は2025年6月、「電力制御システムに関するサプライチェーン・セキュリティ対策の手引き」を公表しました。供給者や外部委託先を含む対策を示しています(出典: 経済産業省、2025年)。
IPAは2026年4月版の制御システムのセキュリティリスク分析ガイド第2版を公開しています。
契約条件には、継続運用と供給網の管理に必要な項目を明記します。
- 脆弱性対応:情報の通知と修正の流れ
- 資産・委託管理:機器の棚卸しと、再委託先の管理
- 記録・連絡:ログの保存と、事故時の連絡手順
- 保守終了時:移行支援の範囲
よくある質問
導入時には、機能や費用、既存設備との接続について疑問が出てきます。段階導入やセキュリティについても、疑問が出やすい点です。発注前の視点から、よくある質問に答えます。
配電系統運用システムの開発費用はいくらですか?
限定フィーダーの可視化やPoCは3,000万円〜1.5億円、パッケージやADMSの一部導入は2億〜10億円が概算の目安です。
広域系統や複数センター、OT機器、冗長化まで含めると、費用は大きく上がります。さらに、24時間運用やデータ移行、セキュリティ、教育まで含めると、10億〜50億円超になる可能性があります。
発注側は、対象設備数と連携範囲を明示したうえで、同じ前提で複数社から見積もりを取ります。
パッケージとスクラッチ開発はどちらがよいですか?
標準的な監視・停電管理・DER連携を短期間で導入し、将来のアップデートを受けたい場合は、パッケージやADMSが候補です。
独自の運用手順や制御ロジック、特殊な設備接続を中心にする場合は、スクラッチ開発が適しています。ただし、保守要員と長期の仕様変更への対応を確保しておく必要があります。
設備台帳やGISの整備、可視化から始め、判断支援、制御へと段階的に進める方法も有効です。
発注時にセキュリティで何を確認すべきですか?
システム構成と資産一覧、ネットワーク分離を確認します。さらに、認証・権限と監査ログ、バックアップを見ます。脆弱性の通知と修正、遠隔保守も押さえておきます。
再委託先の管理と、インシデント時の連絡手順も確認します。リスク分析では、RTUやIED、開閉器を対象に含めます。通信網や保守用端末も、分析の範囲に入れます。
IPAの2026年4月版ガイドを参照して、受入試験と運用中の定期的な見直しまで契約に含めます。
まとめ
会社選びでは、知名度や価格だけでなく、系統モデルや既存機器、通信を含めて、現場業務やセキュリティまで一体で設計できる範囲を見極めます。
6社には、それぞれ異なる強みがあります。riplaは業務整理と開発支援、日立は大規模な配電業務、三菱電機は系統監視制御に強みがあります。東芝システムテクノロジーは電力制御、NECは送配電DX、OracleはADMS・DERMSが強みです。
最初の導入範囲:可視化とデータ整備
全系統の自動制御を一度に目指さず、まず現状診断と設備台帳・GIS整備から導入範囲を決めます。続けて限定フィーダーのPoCを行い、監視・分析へ進みます。事故時の判断支援と制御機能は、最後の段階として加えます。
段階を踏むと、リスクと投資を管理しやすくなります。見積もりは、アプリやライセンス、機器・通信、データ整備に分けて出してもらいます。連携、セキュリティ、試験・教育、保守も分けてもらい、すべて同じ条件で比べます。
提案依頼で確認する実機試験と運用定着
発注側は、共有する前提条件と、提案に含めてもらう検証・運用対応を確認します。
- 共有する条件:対象設備、既存システム、改善KPI、可用性、RTO/RPO、セキュリティ要件、データ所有権、段階導入の希望
- 提案に含む内容:通信断や欠測値の試験、手動復旧への切替、現場教育、障害時の責任分界、将来のベンダー変更・データ移行の対応
要件整理が難しい場合は、riplaのようにコンサルティングから開発まで支援する会社を、上流の相談先にする方法もあります。
▼全体ガイドの記事
・配電系統運用システム開発の完全ガイド
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
