配電系統運用システムの発注は、まず運用シナリオを整理し、RFIとRFPで各社の提案条件をそろえるところから始まります。
そのうえで、PoCと段階導入を経て運用へ移すことが、安全な復旧判断につながります。
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配電系統運用システムの定義

配電系統運用システムは、変電所から需要家までの配電網を監視・解析・制御する業務基盤です。系統モデル、計測、地理・設備情報、現場作業情報を組み合わせて成り立ちます。
海外では、SCADA、OMS、GIS、DERMSなどを統合したADMSとして提供される場合があります。事故時の切替や復旧判断も、その中で扱われます。
再生可能エネルギー、蓄電池、EVなどの分散型エネルギーリソースも対象です。そのため、設備台帳や監視画面だけのシステムとは役割が異なります。
配電系統運用システムの主な機能
DMSの機能は、系統モデルの管理や計測の収集から、停電時の切離しと復旧の支援、電圧の協調制御、現場作業の管理まで、5つの領域に分かれます。
- 系統モデル管理:配電線、変圧器、開閉器、保護装置、センサー、需要家の接続関係
- SCADA:電圧、電流、電力、開閉器の状態、アラームの収集
- 状態推定・OMS・FLISR:潮流や故障区間、停電範囲を推定し、切離しと復旧を支援
- Volt/VAR最適化:LRT・SVR・コンデンサ・インバーターの協調
- EAM・モバイル連携:設備点検や工事の管理
発注書に「DMS本体」とだけ書くと、会社ごとに含む機能の範囲が変わり、見積を比べにくくなります。
発注側は、機能ごとに新設するものと既存利用するものを、構成図で分けて示します。対象候補には、通信網、RTU・IED・自動開閉器、制御センターがあります。GIS、メーターデータ、顧客情報も候補です。さらに、資産管理や認証、監視、ログも候補に入ります。
小規模な構内配電やマイクログリッドでは、可視化とアラートから始め、制御機能を後から追加する方法もあります。
既存システムとデータ標準の扱い
既存資産を生かす場合は、データの運用ルールと標準仕様の適用範囲を、発注前にそろえておきます。
- 既存資産:SCADA、GIS、OMS、設備台帳は一括刷新せず、正本、更新責任、同期頻度、障害時の代替を事前に定めたうえで残す
- 接続順:既存システムを参照系、判断支援、制御系の順に接続する
- CIM標準:IEC 61968-11は、配電ネットワーク向けにCIMを拡張した情報モデルを定義(出典:IEC「IEC 61968-11」、2026年確認)
- モデル項目:単線結線図、線路、変圧器、開閉、計測など
- 複数社連携:CIM準拠に加え、プロファイル、メッセージ、変換ツールもRFPで確認
配電系統運用システムの発注形態
発注形態には、一括委託、複数社への分離発注、プライムSIerと専門会社の共同体制があります。また、パッケージ・ADMSと国内連携SIを組み合わせる方法もあります。
制御系は停止できないため、価格だけで決めず、発注側が導入後の一次窓口と障害時の判断支援を担う会社を明確にしておきます。
単一ベンダーへの一括委託のメリットと注意点
一括委託は、統合窓口をまとめやすい方式です。大規模運用では強みになる一方、製品依存への備えが欠かせません。
- 統合窓口:系統モデル、画面、通信、制御機器、保守窓口を一社で受け持ち、障害時の責任の所在が明確になる
- 大規模運用:24時間365日運用や複数センターの冗長化、既設接続では、プライム企業の統合力が効く
- 製品依存:固有仕様に依存すると、契約終了時の移行や第三者機器の追加が難しくなることがある
- 引継ぎ:ソース、モデル、辞書、API、試験成績書、手順書を納品対象とし、再委託や移管の条件を決めておく
複数社への分離発注で管理すること
分離発注では、専門性や価格競争を得やすい一方、会社間の接続と全体検収を管理しなければなりません。
- 分担範囲:通信、GIS、DMS、現場モバイル、監視に分けやすく、既存資産の段階活用にも適する
- 会社間の境界:データ変換、時刻同期、障害の切分け、受入試験、保守窓口の取り決め
- 全体管理:発注者または独立PMOが主導する、全体設計、IF管理表、課題・変更管理、統合試験
- 統合検収:停電検知から復旧記録までの共通試験と、安全な全体動作を検収条件とすること
パッケージ・クラウド・スクラッチの組み合わせ
製品、個別開発、クラウドは、得意な領域も制約も異なります。そのため、役割を分けて構成を比べます。
- パッケージ・ADMS:標準機能や実績を生かせる一方、国内慣行、旧式プロトコル、独自承認には追加開発が要ることがあります。
- スクラッチ:独自制御を作れる一方、要件維持、技術者確保、保守費、ベンダー依存の負担が大きくなる
- クラウド:蓄積、分析、計画、訓練、拠点共有に適するが、制御系を直接ネット接続できるとは限らない
- ハイブリッド:エッジ・オンプレミスに制御層を置き、安全に接続したクラウドを分析層とする構成
Oracleは2025年、ADMSの機能強化を発表しました(出典:Oracle「Advanced Distribution Management System Enhancements」)。この発表では、DERMS、BESS、EVSE、SCADA、停電管理をモジュールとして組み合わせています。
標準化できる範囲は製品で扱い、独自連携や現場業務だけを個別開発すると、比較しやすくなります。さらに、将来の機能追加も前提にして製品を比べます。
RFPと要件整理で決めること

RFIは、市場の製品、技術、導入体制を把握するための情報提供依頼です。一方、RFPは共通の条件で提案と見積を求める提案依頼です。
要件は、まず現状の系統と運用シナリオ、連携先を整理します。そのうえで、性能や可用性、セキュリティ、保守の条件を決め、製品名や画面数は最後に検討します。
RFIで候補の制約を把握し、次にRFPで比較条件をそろえます。
運用シナリオから作る機能要件
要件の起点には、優先度の高い運用シナリオを一つ選びます。候補は、停電のほか、逆潮流、電圧逸脱、通信断、災害による設備損傷です。停電時であれば、次の流れを時系列で記します。
- アラームを受信し、故障区間と停電範囲を確認する
- 切離し候補を算出し、操作を承認する
- 現場へ指示し、健全区間へ送電して結果を記録する
各工程で入力者、判断者、承認者を決め、操作担当、記録先、目標時間も定めます。そうすると、必要な画面と権限が見えてきます。
太陽光、蓄電池、EV充電設備を含む場合は、予測や制約、制御対象のほか、出力抑制や充放電の優先順位も決める必要があります。
通信断時の安全な動作も、シナリオに含めます。さらに、計測の欠落や古い系統モデル、現場での手動切替時に出す表示と警告も、要件として定めます。
非機能要件の記載項目
非機能要件は、数値や試験方法で定めておくと、後の見積や試験で食い違いにくくなります。4つの領域ごとに、どの条件を書き込むかを決めておきます。
- 性能・可用性:応答時間、同時利用者数、更新間隔、冗長化
- 継続性:RTO・RPO、バックアップ、災害時切替
- 運用管理:時刻同期、権限、監査ログ、保守時間、障害通知
- セキュリティ:認証、暗号化、ネットワーク分離、脆弱性対応
通常時の画面応答、事故時の候補算出、センター切替後の復旧時間、ログの保存期間も、数値で指定します。
セキュリティ要件では、多要素認証、役割別権限、外部記憶媒体の扱いを定めます。加えて、パッチ、委託先管理、インシデント報告、供給網の確認も含めます。
経済産業省は2025年、電力制御システムのサプライチェーン対策の手引きを公表しました。そこで、RFPでは手引きに沿った回答と、再委託先を含む責任分界を求めます(出典:経済産業省「電力制御システムに関するサプライチェーン・セキュリティ対策の手引き」、2025年)。
データ項目と受入条件の定義
データ項目と受入試験は、情報の整合性と運用シナリオが成り立つかを軸に定めます。定める対象は、系統モデル、設備台帳、開閉器・保護装置、センサーです。さらに、計測、アラーム、工事・点検、需要家・契約情報も含みます。
- データ仕様:系統モデルや計測など全データの形式、単位、精度、頻度、所有者、保持期間
- データ整合:GIS、結線図、台帳、画面の設備IDの照合と、欠損・重複・古い接続情報の整備計画
- 受入試験:実データに近い系統での、計算時間、停電範囲の精度、誤操作防止、通信断表示の検証
- PoCの合格条件:手動復旧、切替、ログ、復元の確認と、誤検出率、復旧時間短縮、欠測時の安全動作の計測
請負と準委任の使い分け
開発や構築のように要件が固まった工程と、調査、要件定義、運用改善のように変わっていく工程が、同じ案件に混在します。
そこで、全工程を同じ契約にせず、請負、準委任、ライセンス・保守を組み合わせます。成果物、責任、変更手続き、検収も、契約形態に合わせて決めます。
請負契約が向く工程
成果物の完成条件を定められる開発・構築工程では、請負契約で役割と検収を明確にできます。
- 対象工程:基本・詳細設計、実装、連携、移行、統合試験、操作マニュアル作成など
- 契約条件:範囲、成果物、検収基準、納期、瑕疵対応、再委託、知財、データ返却、遅延時の扱い
- 変更管理:不明な前提は変更契約につながるため、未確定事項、調査方法、追加費用、変更承認者を決めておく
- 発注者の責任:要件整理を止めず、データ提供と意思決定の期限を設けること
準委任契約が向く業務
一定期間の業務遂行を委託する調査や要件定義などでは、準委任契約が選択肢になります。
- 対象業務:現状調査、PoC、PMO、データ整備支援、運用改善。結果を見て次の範囲を決める場合にも向く
- 業務の定義:完成結果の保証ではないため、月次作業、会議、報告書、稼働、役割、発注者の判断期限を具体化する
- 成果の合意:データ調査の件数、欠損・重複、是正方針、残課題、次工程の判断材料を成果として合意
- 契約と実態:作業と成果の区別、常駐や指揮命令の法務・労務への確認、再委託先との連絡経路の整理
契約書に入れるデータ・保守・責任分界
契約には運用責任と資産の扱いを明記し、障害時と契約終了時の対応を定めます。
- 責任分界:機器、通信、ネットワーク、DMS、GIS、OMS、DERMS、認証、監視、バックアップ、現場作業、データ更新、脆弱性対応が対象
- 担当範囲:各対象について、設計、設定、運用、障害対応の担当を明記
- 障害対応:一次受付、切分け、現地出動、復旧判断、メーカー連絡の順序と、再委託先や報告期限の確認
- データ・知財:モデル、辞書、設定、ログ、履歴、設計書、試験結果、ソース、APIの所有者と返却形式
- 保守終了後:データ読出し、第三者保守、脆弱性通知、パッチ費用を、見積の前に確かめておく
契約書には、再委託先の名称と担当範囲、発注者の承認、監査権も定めておきます。
発注から開発・切替までの進め方

全系統を一度に制御せず、段階を追って広げます。まず現状診断とデータ整備、PoCで機能を確かめ、そのうえで参照系、判断支援、制御系へ進みます。最後に全体展開します。
工程ごとに成果物と継続判断の場を設けます。その場では、業務と運用、設備の担当者が加わります。さらに、情報システムとセキュリティ、経営層も同じ材料を見て判断します。
現状調査とPoCでの検証内容
現状調査では、設備やデータ、運用の前提を洗い出します。一方、PoCでは機能と安全性を、実環境に近い条件で確かめます。
- 設備と体制:設備数、モデル精度、GIS同期、ID、通信、欠損、既存システムの責任者、24時間体制
- 事故時の業務:届く情報と操作承認者の確認
- PoCの対象:限定フィーダーや模擬系統での、状態推定、潮流計算、停電範囲、FLISR、VVO、欠測対応の試行
- 成功条件:計算時間、誤検出、判断時間、手動切替の安全性、履歴追跡性の計測。未検証の範囲は固定価格契約に含めない
現状調査からデータ整備を外すと、本番の費用と期間が膨らみます。
段階導入の順番
導入の順序をそろえておくと、データ整備と現場教育を段階的に進められます。各段階では、次の機能を順に追加します。
- 系統モデル、設備台帳、GIS、計測を整え、監視と可視化を安定させる
- 状態推定、潮流計算、停電範囲、復旧候補で運用判断を支援する
- 開閉器、電圧調整機器、DERの制御を対象にする
本番切替では、既存システムとの並行運用や夜間・休日の切替試験を計画します。そのほか、障害訓練、バックアップ切替、手動復旧も含めます。
操作権限は、訓練環境で確かめてから段階的に広げます。稼働後は、復旧判断時間やアラームの見逃しを月次で確認します。手作業件数、欠損、障害復旧時間も、毎月の確認対象です。そのうえで、確認結果をもとに追加開発の優先順位を決めます。
運用者教育と保守体制の設計
運用者が事故時の判断と操作を再現できるよう、実務に即した訓練を用意します。訓練のシナリオには、次の状況を含めます。
- 系統異常:正常時、軽微な異常、広域停電、センサー欠測
- システム異常:通信断、センター切替
- セキュリティ事故:サイバーインシデント発生時の対応
教育資料には、画面操作に加え、操作条件、承認者、手動復旧への切替条件、記録項目を盛り込みます。
保守窓口と復旧目標は、アプリとデータモデルについて決めておきます。OS・ミドルウェアも同じように、窓口と目標を分けておきます。通信・現場機器と監視も、対象に含めます。
契約には、一次応答、暫定復旧、恒久対策の手順を記載します。さらに、原因分析と再発防止、脆弱性通知、更新前試験、メーカー保守終了時期も書き込みます。
配電系統運用システムの費用相場
DMS単体には、全国共通の定価や公的な相場表がほとんどありません。そこで以下の金額は、税別の概算として、一般的な方式と公開契約実績を照合した目安です。
金額は、対象設備やフィーダー数、既存連携、通信によって変わります。さらに、冗長化、セキュリティ、試験、保守の範囲も影響します。この金額は稟議の初期目安として使い、RFPで前提をそろえてから再見積もりします。
導入規模ごとの費用目安
数フィーダーの可視化から広域制御まで、対象規模に応じて費用と導入期間に幅があります。
- 限定PoC・可視化:3,000万円〜1.5億円程度、3〜9か月
- パッケージ・一部モジュール:2億〜10億円程度、12〜24か月
- 中規模更改:5億〜20億円程度、18〜36か月
- 広域・フルスクラッチ:10億〜50億円超となる可能性、3〜5年
限定PoCは、調査、モデル整備、数フィーダーの監視・解析、連携検証を含む想定です。一方、モジュール導入では、ライセンス、設定、移行、教育が含まれます。
中規模更改は、既存のSCADA・GIS・OMSとの連携を想定しています。広域更改では、複数センターと24時間運用が加わり、OT機器や冗長化、段階移行を含む場合があります。
期間は、開発人数だけで決まるわけではありません。モデルや台帳の整備、現場接続試験、教育、既存システムとの並行稼働にも左右されます。
費用と期間を同じ表で比べるなら、含む項目と除外項目を明記しておきます。
公開契約実績のDMS相場としての使い方
公開実績は、系統周辺システムの費用構成を知る参考になります。ただし、DMSの価格そのものとして扱うことはできません。
- 適用範囲:電力制度・系統周辺の設計、開発、移行、運用保守の規模を知る材料
- 比較上の注意:業務、契約、機器、期間が異なり、DMS価格へそのまま置き換えられない
- 見積内訳:開発、ライセンス、機器・通信、データ整備、連携、二重化、診断、試験、教育、移行、5〜10年の保守を分けた内訳
- 比較の目的:費用の抜けを見つけ、同じ前提の総保有コストを比べる。最安値を探すことが目的ではない
2024年度実績では、スイッチング支援システムの保守は3,633万7,400円でした。再エネ業務統合システムの機能追加は1億9,019万円です。
老朽化サーバーは構築からリリースまで13億5,117万4,000円でした(出典:電力広域的運営推進機関「契約情報の公表」、2024年度資料)。
費用を押し上げる要因
費用は、設備数や性能、既存環境、運用要件によって変わります。そのため、費用を押し上げる4つの観点を、見積の前に確かめておきます。
- 設備・データ:変電所・フィーダー数、機器数、GIS精度
- 接続・制御:既存プロトコル、DER・EV・蓄電池の範囲
- 可用性:無停止要件、24時間監視、バックアップセンター
- 安全対策:リアルタイム性能、セキュリティ監査
台帳や系統モデルを移行する際は、件数だけでなく接続関係の確認と現場照合が欠かせません。そのため、早い段階でサンプル調査を行います。
費用を抑えるには、対象範囲を分ける方法があります。可視化とアラーム、判断支援、自動制御の順に進めると、データ整備と教育のリスクを分散できます。
クラウド分析、オンプレミス制御、既存のGIS・SCADAを組み合わせる場合は、通信料や監視、ライセンス更新、保守、現地対応まで含めて、10年程度の総額を試算します。
委託先の選定と見積比較
委託先は、停止できない業務と既存設備を理解したうえで、導入計画を示せるかで選びます。知名度や最安値だけで決めると、この点を見落としやすくなります。
まず、重視する領域を決めます。対象はメーカー系OT連携、国内電力業務、GIS・現場DXから、海外ADMS・DERMS、標準規格、第三者機器接続までです。
実績の見方(件数より担当範囲と運用実績)
実績では、系統規模、担当サブシステム、担当工程を聞き取ります。加えて、導入後の運用、障害対応、設備追加の経験も確認します。
データ移行や現場教育、センター切替の実績も、判断材料になります。可能であれば、画面やモデル管理、障害連絡、受入試験の事例を見せてもらいます。
体制は、再委託先を含めて確かめます。候補企業の例として、次のような得意領域があります。
- 日立製作所・日立エナジー:系統解析、配電IT
- 三菱電機・東芝システムテクノロジー:監視制御、保護、蓄電池連携
- NEC・富士通:GIS・IT/OT連携、設備保全、現場DX
- Oracle:ADMS・DERMSのモジュール型構成
この分類は、対象業務と既存環境に合う提案体制を探す観点として使います。順位を表すものではありません。
見積書の比較項目
初期構築から運用保守までを同じ費目で分けておくと、提案に含まれていない作業を見つけられます。
- 企画・設計:要件定義、PMO、基本・詳細設計
- 開発・基盤:ライセンス、アプリ、データ連携、GIS・SCADA・OMS接続、機器・通信、インフラ、セキュリティ
- 導入・運用:データ移行、統合・現地試験、教育、切替、保守
各項目について、工数と単価、期間をそろえます。担当会社と前提、除外事項も、同じ形式で書き並べます。変更単価と検収条件は、提案ごとに同じ条件で示してもらいます。項目ごとに分けて比べるのは、合計金額だけでは移行や保守の不足を見抜けないためです。
評価配点の例は、価格30%、機能・連携25%、安全性・可用性20%、導入・教育15%、保守・移行性10%です。
比率は組織に合わせて決めてかまいません。ただし、評価のあとに価格だけで選び直すことは避けます。模擬環境で、停電や通信断への対応、誤操作防止、切替、復旧記録を実演してもらいます。
ロックインとセキュリティの評価
ロックイン対策では移行のしやすさを、セキュリティではリスク分析と対策の実行性を確かめます。
- 標準と移行:CIM・API、出力形式、モデル移行、ソース・設計書・設定値の納品
- 接続・引継ぎ:第三者機器、対応機能・メッセージ、追加ライセンス、試験負担者、終了時支援の取り決め
- リスク分析:資産と事業被害の両面から対象を特定し、攻撃、脆弱性、対策、残余リスクを記録
- 設計・受入に反映:ガイドの分析手順やシート、テスト項目を、設計レビューと受入試験に活用
IPAの2026年4月版ガイドには、暗号やファイアウォール、外部記憶媒体などの確認項目が載っています(出典:IPA「制御システムのセキュリティリスク分析ガイド 第2版」、2026年4月版)。
よくある質問
発注や外注の現場では、規模や契約の範囲について似た疑問が出やすくなります。
費用や契約条件は、対象設備と連携範囲で変わります。回答は判断の軸として使い、自社の系統規模と運用体制に置き換えて確かめてください。
小規模な工場やマイクログリッドでも導入できますか?
導入できます。大規模ADMSをそのまま使うより、目的を絞る方が進めやすくなります。候補は、設備台帳、計測、可視化、アラームのほか、需要予測や蓄電池・太陽光の監視などです。
将来の追加に備えて、設備ID、データ形式、API、権限、ログを初期の設計に組み込みます。そうしておけば、後から別のシステムへ移す際の手間が減ります。
RFPを自社だけで作成できない場合はどうすればよいですか?
まずは、構成図や対象設備、運用シナリオ、既存システムを整理します。そのうえで、課題、希望時期、予算上限も書き出します。
独立したITコンサルタントやPMO、候補SIerに準委任で現状調査とRFI作成を依頼し、RFPと評価表を整えます。
候補一社だけにRFP作成を任せると、その製品を前提とした内容になりやすいため、要求事項の作成者と提案者を分けることも検討します。
配電系統運用システムの費用は数千万円で足りますか?
限定フィーダーの調査・PoC・可視化なら、3,000万円〜1.5億円程度が目安です。
大規模な連携や現場機器、冗長化、24時間運用まで含めると、数億円から数十億円となる可能性があります。セキュリティ、教育、保守も加わります。
これは対象範囲と前提に基づく概算で、DMSの定価ではありません。比べる際は、同じRFPと内訳様式を使い、10年程度の運用費まで含めて見ます。
まとめ
発注では、対象業務と運用シナリオを決め、既存のSCADA・GIS・OMS・設備台帳を調べます。
パッケージ、クラウド、スクラッチ、複数社分離などから方式を選び、参照系、判断支援、制御系へ段階的に進めます。
RFPには、CIM/APIやデータ所有権、可用性、RTO・RPOを盛り込みます。さらに、セキュリティや受入試験、教育、保守、再委託の責任分界も含めます。
発注先を決めるときに優先する基準
実績の件数だけでなく、既存のOT機器や通信、データを接続できるか、事故時の安全運用を説明できるかを確かめます。
現場教育と保守を担う責任、契約終了時のデータ移行支援も確かめます。見積では、データ整備や試験、教育、保守、セキュリティ費に抜けがないかを探します。
最初に行うべき準備
最初に設備やシステムの一覧を作るより、停電や電圧逸脱などの優先シナリオを一つ選ぶ方が進めやすくなります。そのうえで、入力から判断、操作、復旧、記録までを書き出します。
現場と情報システムの担当者が業務フローを確かめ、RFIで選択肢を把握します。その後、同じ前提でRFPと見積比較表を作ると、認識のずれを減らせます。
▼全体ガイドの記事
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
