配電系統運用システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

配電系統運用システムの発注・外注は、機能数と価格だけで決めず、停電時の判断・操作・復旧を誰がどの時間内に行うかまで整理して、段階導入と責任分界を含めて委託先を選ぶことが重要です。

本記事では、一般送配電事業者、電力会社、自治体新電力、工場やデータセンターの構内配電、マイクログリッド運営者の担当者に向けて、配電系統運用システムを発注・外注・依頼・委託する方法を解説します。発注形態の選び方、RFI・RFPと要件整理、請負・準委任などの契約形態、2026年時点の費用相場、委託先の選定、見積比較、受入試験と運用移行まで、発注前に確認したい実務を順番に整理します。

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配電系統運用システムとは何ですか?

配電系統運用システムの発注全体像

配電系統運用システムは、変電所から需要家までの配電網を、系統モデル、計測データ、地理情報、設備情報、現場作業情報を組み合わせて監視・解析・制御するミッションクリティカルな業務基盤です。海外ではSCADA、OMS、GIS、DERMSなどを統合したADMSとして提供されることもあります。単なる設備台帳や監視画面ではなく、事故時の切替操作や復旧判断、再生可能エネルギー・蓄電池・EVなどの分散型エネルギーリソースまで対象にする点が特徴です。

配電系統運用システムにはどのような機能がありますか?

代表的な機能は、配電線・変圧器・開閉器・保護装置・センサー・需要家の接続関係を管理する系統モデル・トポロジー管理、電圧・電流・電力・開閉器状態・アラームを集めるSCADA、状態推定と潮流計算、故障区間と停電範囲を推定するOMS、開閉器操作による切り離しと健全区間への送電復旧を支援するFLISRです。さらに、LRT・SVR・コンデンサ・インバーターを協調させるVolt/VAR最適化、設備点検や工事を管理するEAM・モバイル連携もあります。

発注範囲を「DMS本体」とだけ書くと、どこまでが対象なのかが会社ごとに変わります。系統モデル、通信ネットワーク、RTU・IED・自動開閉器、制御センター、GIS、メーターデータ管理、顧客情報、資産管理、認証・監視・ログのどこを新設し、どこを既存利用するかを構成図にします。構内配電や小規模マイクログリッドなら、まず可視化とアラートに絞り、制御機能を後から追加する判断も現実的です。

既存システムとデータ標準をどう考えますか?

既存SCADA、GIS、OMS、設備台帳をすべて捨てて一括刷新する必要はありません。既存資産を残す場合は、データの正本、更新責任、同期頻度、障害時の代替方法を決め、参照系、判断支援、制御系の順に接続します。IEC 61968-11は、配電ネットワーク向けにCIMを拡張し、単線結線図、線路、変圧器、開閉、計測などを含む情報モデルを定義しています。複数社の製品を組み合わせる可能性がある場合は、CIM準拠の有無だけでなく、実際に対応するプロファイル、メッセージ、変換ツールまでRFPで確認します(出典: IEC「IEC 61968-11」、2026年確認)。

配電系統運用システムの発注形態はどれを選ぶべきですか?

配電系統運用システムの発注形態を検討する担当者

発注形態は、単一ベンダーへの一括委託、複数社への分離発注、プライムSIerと専門会社の共同体制、パッケージ・ADMS導入と国内連携SIを組み合わせる方式に分けて考えます。停止できない制御系を含むため、開発費の安さより、導入後に誰が一次窓口になり、障害時にどの会社が判断を支援するのかを優先して決めます。

単一ベンダーへ一括委託するメリットと注意点は何ですか?

単一ベンダーへの一括委託は、系統モデル、画面、通信、制御機器、保守窓口をまとめやすく、障害時の責任分界を単純にできる方式です。一般送配電事業者のように24時間365日の運用、複数センターの冗長化、既設設備との接続を一体で管理する場合は、プライム企業の統合力が効果を発揮します。

一方で、独自仕様と製品固有のデータ形式に依存しやすく、契約終了時の移行や第三者機器の追加が難しくなることがあります。ソースコード、系統モデル、データ辞書、API仕様、試験成績書、運用手順書を納品対象に含め、将来の再委託や別会社への引き継ぎを妨げない条件を設定します。

複数社へ分離発注する場合は何を管理しますか?

分離発注は、通信、GIS、DMSアプリケーション、現場モバイル、セキュリティ監視などを得意な会社へ分けられるため、専門性と価格競争を引き出しやすい方式です。既存資産を活用しながら段階的に機能を増やす場合にも適しています。ただし、会社間の境界にあるデータ変換、時刻同期、障害切り分け、受入試験、保守窓口が曖昧になりやすいです。

分離発注するなら、発注者側または独立したPMOが全体アーキテクチャ、インターフェース管理表、課題管理、変更管理、統合試験を主導します。各社に同じシナリオ試験を実施させ、停電検知から復旧候補の提示、操作承認、現場確認、復旧記録までを一連で確認します。個別システムの納品だけでなく、全体として安全に動くことを検収条件にします。

パッケージ・クラウド・スクラッチはどう組み合わせますか?

パッケージやADMSは、標準機能、導入実績、製品更新を活用しやすい一方、国内の運用慣行や古いプロトコル、独自の承認手順に追加開発が必要になる場合があります。スクラッチ開発は独自の制御ロジックを作り込めますが、要件の長期維持、技術者の確保、保守費、ベンダー依存が大きくなります。標準化できる範囲は製品で吸収し、独自性が高い連携や現場業務だけを個別開発する方式が、比較しやすくなります。

クラウドは、データ蓄積、分析、計画、訓練環境、複数拠点の情報共有に適していますが、リアルタイム制御系をそのままインターネットへ接続できるとは限りません。エッジまたはオンプレミスの制御層と、閉域網や安全な接続を介したクラウドの分析層を分けるハイブリッド構成が候補になります。Oracleは2025年の発表で、ADMSの機能強化とともにDERMS、BESS、EVSE、SCADA、停電管理をモジュールとして組み合わせる方向を示しており、将来追加を前提にした製品比較が必要です(出典: Oracle「Advanced Distribution Management System Enhancements」、2025年)。

RFP・要件整理では何を決めておくべきですか?

配電系統運用システムのRFPと要件整理

RFIは市場にどのような製品・技術・導入体制があるかを把握するための情報提供依頼で、RFPは同じ条件で提案と見積を求める提案依頼です。製品名や画面数から書き始めず、現状の系統、優先する運用シナリオ、連携先、性能、可用性、セキュリティ、保守体制を整理してからRFPにします。RFIで候補の制約を把握し、RFPで比較条件をそろえる流れが安全です。

運用シナリオから機能要件を作る方法は何ですか?

まず、停電、逆潮流、電圧逸脱、通信断、災害時の設備損傷など、優先度の高いシナリオを選びます。例えば停電シナリオなら、アラーム受信、故障区間の推定、停電範囲の確認、切り離し候補の算出、操作承認、現場への指示、健全区間への送電、復旧結果の記録までを時系列で書きます。各工程について、入力者、判断者、承認者、操作担当、記録の保存先、目標時間を定義すると、必要な画面と権限が見えてきます。

太陽光発電や蓄電池、EV充電設備を含む場合は、予測、制約条件、制御対象、出力抑制や充放電の優先順位、通信断時の安全側動作もシナリオに入れます。機能一覧だけでは、正常時の操作しか確認できません。計測値が欠けた場合、系統モデルが古い場合、現場で手動操作へ切り替える場合に、どの表示と警告を出すかまでを要件にします。

非機能要件には何を記載しますか?

非機能要件には、制御や画面の応答時間、同時利用者数、データ更新間隔、可用性、冗長化、RTO・RPO、バックアップ、災害時切替、時刻同期、権限、監査ログ、脆弱性対応、保守時間、障害通知を記載します。「高可用性」「リアルタイム」「安全」といった形容詞だけでは比較できないため、数値または試験方法に置き換えます。例えば、通常時の画面応答、事故発生時の候補算出時間、センター切替後の復旧時間、ログの保存期間を指定します。

セキュリティは、認証・多要素認証、役割別権限、通信・保存時の暗号化、ネットワーク分離、外部記憶媒体、脆弱性情報、パッチ適用、委託先・再委託先の管理、インシデント報告、サプライチェーンの確認まで含めます。経済産業省は2025年に、電力制御システムに関するサプライチェーン・セキュリティ対策の手引きを公表し、電気事業者が対策を実施する際の手引きとグッドプラクティスを示しています(出典: 経済産業省「電力制御システムに関するサプライチェーン・セキュリティ対策の手引き」、2025年)。RFPでは、この手引きを参照した回答書と、再委託先を含む責任分界を提出してもらいます。

データ項目と受入条件をどのように定義しますか?

データ要件には、系統モデル、設備台帳、開閉器・保護装置、センサー、計測値、アラーム、工事・点検履歴、需要家・契約情報の項目、形式、単位、精度、更新頻度、所有者、履歴の保持期間を記載します。特にGISと単線結線図、設備台帳、運用画面で同じ設備IDを使えるかを確認します。データの欠損・重複・古い接続情報は、アプリ開発より先にクレンジング計画を作る必要があります。

受入条件は、画面が表示されることではなく、実データに近い系統モデルでシナリオが成立することにします。状態推定や潮流計算の計算時間、停電範囲の推定精度、誤操作防止、通信断時の表示、手動復旧、センター切替、ログ出力、バックアップ復元を試験項目にします。PoCでは「動いた」ではなく、誤検出率、復旧時間短縮、欠測時の安全側動作を合格基準にします。

契約形態は請負と準委任のどちらがよいですか?

配電系統運用システムの契約形態を比較する担当者

配電系統運用システムは、要件が固まった開発・構築部分と、調査・要件定義・運用改善のように進めながら変わる部分が混在します。すべてを一つの契約形態に押し込めるのではなく、フェーズごとに請負、準委任、ライセンス・保守契約を組み合わせ、成果物、責任、変更手続き、検収を対応させることが重要です。

請負契約はどの工程に向いていますか?

請負契約は、合意した成果物を完成させ、検収を受ける開発・構築に向いています。基本設計、詳細設計、アプリケーション実装、インターフェース、移行、統合試験、操作マニュアルなど、完成条件を明確にできる工程で使いやすいです。契約書には、対象範囲、成果物、検収基準、納期、瑕疵対応、再委託、知的財産権、データ返却、遅延時の扱いを記載します。

請負だからといって、発注者が要件を放置できるわけではありません。系統モデルや既存プロトコルの前提が不明なまま固定価格にすると、後から変更契約が増えます。未確定事項、調査方法、追加費用の算定単位、変更要求の承認者を明記し、発注者側のデータ提供と意思決定の期限も相互の責任として定義します。

準委任契約はどのような場合に使いますか?

準委任契約は、要件定義、現状調査、PoC、プロジェクト管理、データクレンジング支援、運用改善のように、一定期間の業務遂行を委託する場合に向いています。完成結果を一方的に保証する契約ではないため、月次の作業内容、会議体、報告書、稼働時間、専門家の役割、発注者の判断期限を具体化します。PoCで検証結果を見ながら次の発注範囲を決める場合にも使いやすい形態です。

準委任契約で注意したいのは、作業したことと成果が出たことを混同しないことです。例えば、系統データを調査した場合は、対象件数、欠損・重複の分類、是正方針、残課題、次工程への判断材料を成果として合意します。常駐や指揮命令の方法が実態と契約に合わない場合は、法務・労務の確認も行い、再委託先との連絡経路を明確にします。

契約書にデータ・保守・責任分界をどう入れますか?

契約書と別紙の責任分界表には、機器、通信、ネットワーク、DMS、GIS、OMS、DERMS、認証、監視、バックアップ、現場作業、データ更新、脆弱性対応を並べ、設計・設定・運用・障害対応の担当を記載します。障害の一次受付、切り分け、現地出動、復旧判断、メーカーへのエスカレーションの順番も決めます。再委託先の名称、担当範囲、発注者の承認、監査権、インシデント報告期限も確認します。

データと知的財産については、系統モデル、データ辞書、設定値、ログ、操作履歴、設計書、テスト結果、ソースコード、API仕様を誰が所有し、契約終了時にどの形式で返却するかを明記します。保守契約を終了した後もデータを読み出せるか、第三者会社が保守できるか、脆弱性情報の通知とパッチ適用の費用を含むかは、見積比較の前に回答をそろえます。

発注から開発・切替までの進め方

配電系統運用システムの開発と切替計画

配電系統運用システムは、いきなり全系統を制御するのではなく、現状診断、データ整備、PoC、参照系の導入、判断支援、制御系、全体展開の順に進めるとリスクを抑えられます。工程ごとに成果物と継続判断を置き、業務部門、運用者、設備担当、情報システム、セキュリティ、経営層が同じ判断材料を見られるようにします。

現状調査とPoCでは何を検証しますか?

現状調査では、変電所・フィーダー・開閉器・センサーの数、系統モデルの精度、GISとの同期、設備ID、通信プロトコル、データ欠損、既存SCADA・OMS・EAMの責任者、24時間運用の体制を棚卸しします。単にシステム一覧を作るのではなく、事故時にどの情報がどの画面へ届き、誰が操作を承認するかを確認します。ここでデータ整備の工数を見積から外すと、本番工程で費用と期間が膨らみます。

PoCでは、限定フィーダーや模擬系統を使い、状態推定、潮流計算、停電範囲推定、FLISR、VVO、欠測データの扱い、現場操作の分かりやすさを検証します。成功条件は「画面が出ること」ではなく、計算時間、誤検出、復旧判断の時間、手動切替時の安全性、操作履歴の追跡性などに置きます。PoCで確認できない制御範囲を、本番の固定価格契約に含めないことも大切です。

段階導入はどの順番で実施しますか?

第一段階は、系統モデル・設備台帳・GIS・計測データを整え、監視と可視化を安定させます。第二段階では、状態推定、潮流計算、停電範囲の推定、復旧候補の提示など、運用者の判断を支援します。第三段階で、開閉器や電圧調整機器、DERの制御を対象にします。参照系から判断支援、制御系へ進むことで、現場が新しい画面と判断手順を学ぶ時間を確保できます。

本番切替では、既存システムとの並行運用、休日・夜間の切替試験、障害訓練、バックアップセンターへの切替、現場の手動復旧を計画します。操作権限は一度に全員へ付与せず、訓練環境で確認してから段階的に広げます。稼働後は、停電検知から復旧判断までの時間、アラームの見逃し、手動作業の件数、データ欠損、障害復旧時間を月次で確認し、追加開発の優先順位を決めます。

運用者教育と保守体制をどう設計しますか?

システムが完成しても、現場が事故時の判断と操作を再現できなければ、期待した効果は出ません。運用者向けに、正常時、軽微な異常、広域停電、通信断、センサー欠測、サイバーインシデント、センター切替の訓練シナリオを用意します。教育資料は画面操作だけでなく、操作を実施してよい条件、承認者、手動復旧への切替条件、記録すべき項目まで含めます。

保守では、アプリケーション、OS・ミドルウェア、通信機器、現場制御機器、データモデル、セキュリティ監視を分けずに、サービス全体の窓口と復旧目標を決めます。障害発生時の一次応答、暫定復旧、恒久対策、根本原因分析、再発防止、脆弱性の通知期限、更新前の試験環境、メーカーのサポート終了時期を契約に記載します。

配電系統運用システムの費用相場はいくらですか?

配電系統運用システムの費用と見積書を確認する担当者

配電系統運用システムには、DMS単体の全国共通の定価や公的な相場表はほとんどありません。以下の金額は、パッケージ・スクラッチの一般的な整理と、電力系統周辺システムの公開契約実績を照合した税別の概算です。対象設備、フィーダー数、既存連携、通信、冗長化、セキュリティ、試験、保守を含むかで大きく変わるため、稟議の初期目安として使い、RFPでは前提をそろえて再見積します。

導入規模ごとの費用目安はどのくらいですか?

調査・PoC・限定フィーダーの可視化なら、現状調査、系統モデル整備、数フィーダーの監視・解析、連携検証を含めて3,000万円〜1.5億円程度が一つの目安です。パッケージやADMSの一部モジュールを導入する場合は、SCADA、OMS、GIS、停電管理などを段階導入し、ライセンス、設定、移行、教育を含めて2億〜10億円程度になります。既存SCADA・GIS・OMSとの連携を含む中規模更改は5億〜20億円程度、複数センター、24時間運用、OT機器、冗長化、段階移行まで含む広域・フルスクラッチは10億〜50億円超となる可能性があります。

期間の目安は、限定PoCが3〜9か月、モジュール導入が12〜24か月、中規模更改が18〜36か月、広域・フルスクラッチが3〜5年です。ただし、期間は開発会社の人数だけでなく、系統モデルと設備台帳の整備、現場機器との接続試験、運用者教育、既存システムとの並行稼働に左右されます。費用と期間を同じ表で比べるときは、何を含み、何を除外しているかを明記します。

公開契約実績はDMSの相場として使えますか?

公開契約実績はDMSそのものの価格ではありませんが、電力制度・系統周辺システムの設計、開発、移行、運用保守がどの規模になり得るかを確認する材料になります。電力広域的運営推進機関が公開する2024年度契約実績には、スイッチング支援システムの保守3,633万7,400円、再エネ業務統合システムの機能追加1億9,019万円、老朽化サーバーの構築からリリースまで13億5,117万4,000円などが掲載されています(出典: 電力広域的運営推進機関「契約情報の公表」、2024年度資料)。

これらは対象業務、契約方式、機器、期間が異なるため、DMSの見積価格へそのまま置き換えられません。見積書では、アプリケーション開発費だけでなく、ライセンス、機器・通信、データクレンジング、既存システム連携、二重化、セキュリティ診断、現地試験、教育、移行、5〜10年の保守費を別行にします。比較の目的は最も安い一社を探すことではなく、抜けている費用を見つけ、同じ前提の総保有コストを比べることです。

費用を押し上げる要因は何ですか?

主な増額要因は、対象変電所・フィーダー数、制御対象機器数、リアルタイム性能、既存プロトコル、GISの精度、停電時の無停止要件、DER・EV・蓄電池の制御範囲、24時間365日の監視体制、バックアップセンター、サイバーセキュリティ監査です。特に、設備台帳や系統モデルを新しいシステムへ移す作業は、件数だけでなく接続関係の確認と現場照合が必要なため、早い段階でサンプル調査を実施します。

費用を抑えるには、機能を削るだけでなく、対象範囲を分けます。最初は可視化とアラーム、次に判断支援、その後に自動制御へ進めると、データ整備と教育のリスクを分散できます。クラウドの分析基盤、オンプレミスの制御層、既存GISやSCADAを組み合わせる場合は、初期費用だけでなく、通信料、監視、ライセンス更新、保守、障害時の現地対応を含めて10年程度の総額を試算します。

委託先の選定と見積比較では何を確認しますか?

配電系統運用システムの委託先と見積書を比較するチーム

委託先は、会社の知名度や最安値だけでなく、停止できない業務を理解し、既存設備とデータを含む導入計画を提案できるかで選びます。メーカー系のOT・制御機器連携、国内電力業務とGIS・現場DX、海外ADMS・DERMS、オープン標準、第三者機器接続のどこを重視するかを先に決めると、候補会社の比較軸が明確になります。

実績は件数ではなく担当範囲と運用実績で確認します

「電力会社の実績がある」という説明だけでなく、どの系統規模で、どのサブシステムを、どの工程まで担当したのかを確認します。導入後の24時間運用、障害対応、設備追加、データ移行、現場教育、センター切替の実績があるかも重要です。可能であれば、匿名化された画面、系統モデルの管理方法、障害時の連絡体制、受入試験の事例を見せてもらい、再委託先を含むプロジェクト体制を確認します。

企業の比較では、例えば日立製作所・日立エナジーは大規模な電力系統解析や配電IT、三菱電機は電力系統監視制御とメーカー系機器、東芝システムテクノロジーは送配電制御・保護・蓄電池連携、NECはGIS統合・IT/OT連携・セキュリティ、富士通は設備保全やAI・現場DX、OracleはADMS・DERMSのモジュール型構成が候補になります。ここでの分類は順位ではなく、対象業務と既存環境に適合する提案体制を探すための観点です。

見積書はどの項目をそろえて比較しますか?

見積書は、要件定義、PMO、基本・詳細設計、ライセンス、アプリケーション、データ連携、GIS・SCADA・OMS接続、機器・通信、インフラ、セキュリティ、データ移行、統合試験、現地試験、教育、切替、保守に分けて提出してもらいます。各項目は、工数、単価、期間、担当会社、前提、除外事項、追加変更の単価、検収条件をそろえます。合計金額だけでは、移行や保守が抜けた安い提案を見抜けません。

提案評価では、価格を30%、機能・連携適合性を25%、安全性・可用性を20%、導入・教育計画を15%、保守・移行性を10%とするなど、事前に配点を決める方法があります。比率は組織の事情で変えて構いませんが、後から価格だけに戻らないことが大切です。実機や模擬環境で、停電、通信断、誤操作防止、センター切替、復旧記録のシナリオを実演してもらいます。

ロックインとセキュリティをどう評価しますか?

ベンダーロックインを避けるには、CIMやAPIなどの標準連携、データのエクスポート形式、系統モデルの移行方法、ソースコード・設計書・設定値の納品、第三者機器の接続条件、契約終了時の引き継ぎ支援を確認します。標準規格への対応を掲げていても、実際にどの機能とメッセージを使えるか、追加ライセンスが必要か、相互接続試験を誰が負担するかまで聞きます。

サイバーセキュリティは、提案時のチェックリストだけで終わらせません。資産ベースのリスク分析と事業被害ベースのリスク分析を行い、守るべき設備・データ・業務を特定し、攻撃シナリオ、脆弱性、対策、残余リスクを記録します。IPAの2026年4月版ガイドは、両手法の具体的な手順、リスク分析シート、セキュリティテスト、暗号・ファイアウォール・外部記憶媒体などのチェックリストを公開しています(出典: IPA「制御システムのセキュリティリスク分析ガイド 第2版」、2026年4月版)。発注後の設計レビューと受入試験にも、この成果物をつなげます。

よくある質問

配電系統運用システムの外注に関する相談

ここでは、配電系統運用システムを発注・外注するときに、特に相談が多い質問へ回答します。費用や契約条件は対象設備と連携範囲で変わるため、回答は判断軸として使い、自社の系統規模と運用体制に置き換えて確認します。

小規模な工場やマイクログリッドでも導入できますか?

導入できます。一般送配電事業者向けの大規模ADMSをそのまま導入するのではなく、設備台帳、計測、可視化、アラーム、需要予測、蓄電池・太陽光の監視など、目的を限定した構成から始めます。将来機能を追加する可能性があるなら、設備ID、データ形式、API、権限、ログの設計を初期段階で整え、後から別システムへ移行しやすくします。

RFPを自社だけで作成できない場合はどうすればよいですか?

まずは、現状の構成図、対象設備、運用シナリオ、既存システム、困っていること、希望時期、予算の上限を簡単に整理します。そのうえで、独立したITコンサルタントやPMO、候補SIerへ準委任で現状調査とRFI作成を依頼し、RFPと提案評価表を整えます。候補会社一社だけにRFP作成を任せると、その会社の製品前提になりやすいため、要求事項と提案者を分ける設計も検討します。

配電系統運用システムの費用は数千万円で足りますか?

限定フィーダーの調査・PoC・可視化なら3,000万円〜1.5億円程度が目安になりますが、既存SCADA・GIS・OMSとの大規模連携、現場機器、冗長化、24時間運用、セキュリティ、教育、保守まで含めると数億円から数十億円になる可能性があります。DMSの定価ではなく、対象範囲と前提条件から算出した概算なので、見積を取るときは同じRFPと内訳様式を使い、10年程度の運用費まで比較します。

まとめ

配電系統運用システムの発注を成功させるポイント

配電系統運用システムの発注では、最初に対象業務と運用シナリオを決め、既存SCADA・GIS・OMS・設備台帳を棚卸しします。そのうえで、パッケージ、クラウド、スクラッチ、複数社分離のどの方式が自社に合うかを判断し、参照系、判断支援、制御系へ段階的に進めます。RFPには機能だけでなく、CIM/API、データ所有権、可用性、RTO・RPO、セキュリティ、受入試験、教育、保守、再委託の責任分界まで入れます。

発注先を決めるときに優先する基準

委託先は、導入実績の数だけでなく、既存のOT機器・通信・データと接続できること、事故時の安全な運用を説明できること、現場教育と保守を含めて責任を負えること、契約終了時のデータ移行を支援できることを確認します。見積比較では、最安値よりも、含まれていないデータ整備、試験、教育、保守、セキュリティ費用がないかを探すことが重要です。

最初に行うべき準備

最初の一歩は、設備とシステムの一覧を作ることではなく、停電や電圧逸脱などの優先シナリオを一つ選び、入力から判断、操作、復旧、記録までを書き出すことです。現場担当者と情報システム担当者が同じ業務フローを確認し、RFIで市場の選択肢を把握してから、同じ前提のRFPと見積比較表を作ると、発注後の認識違いを減らせます。

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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。