災害復旧システム(DR)の費用は、RTO・RPO(目標の復旧時間と復旧時点)、保護する範囲、復旧方式によって変わります。小規模なDRaaS導入なら初期50万〜300万円・月額5万〜30万円ほど、常時二重化などを求める構成では初期1億円超・月額数百万円以上になることもあります。
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災害復旧システム(DR)の費用を決める要因

災害復旧システム(DR)の費用は、停止した業務をどの速さで、どのデータ時点まで、どの順序で再開するかによって変わります。バックアップ容量は、その要素の一つにすぎません。たとえば、同じ10台のサーバーでも、数日以内に戻せればよい構成と、1時間以内に業務を再開する構成では、必要な待機環境・回線・自動化・運用体制が異なります。
RTO・RPOの短縮と費用の関係
RTOは目標復旧時間、RPOは目標復旧時点です。目標をどこまで短くするかによって、必要な構成と費用が変わります。
- RTO・RPOとも24時間:日次バックアップと手作業の復旧手順でも要件を満たせる可能性があります。
- RTO1時間・RPO15分:継続レプリケーション、復旧先のネットワーク、起動順序の自動化、短時間での訓練が必要になり、初期費用と月額費用が上がります。
目標を先に決めずに製品を選ぶと、高性能な構成を買った後で、実際の業務には過剰だったと分かることがあります。
業務影響分析(BIA)では、売上・顧客対応・決済・在庫・安全・法令に関わる業務を分類し、業務ごとに許容停止時間と許容データ損失を決めます。
対象範囲と復旧方式による価格帯の違い
対象範囲と復旧方式は、平常時の費用や復旧までの時間を左右します。主な復旧方式には次の4つがあります。
- ホットサイト:常時稼働させ、平常時から計算資源・ライセンス・回線を確保するため、高額になりやすい方式です。
- ウォームサイト:必要時に起動するため、平常時の費用を抑えやすい方式です。
- コールドサイト:手順とデータを保管して復旧時に環境を作るため、さらに安くできる反面、RTOは長くなります。
- クラウドDRaaS:従量課金で始めやすい一方、ストレージ・データ転送・復旧時の仮想マシンを含めた総額で見る必要があります。
保護対象を全社の全サーバーに広げず、受注・決済・顧客・認証など停止時の影響が大きい業務から選ぶと、初期費用と月額費用を段階的に管理できます。ただし、対象外の認証基盤やネットワークが復旧対象の業務に必要な場合、その業務は再開できません。そのため、依存関係まで含めて保護範囲を決める必要があります。
災害復旧システム(DR)開発・導入の進め方と期間
DRの導入期間は、クラウドサービスを設定するだけなら短くできます。ただし、業務要件・既存環境・データ整合性・訓練まで含めると、数か月単位で考える必要があります。
PoCの段階で実測したRTO・RPOと月額を確かめ、いきなり全社展開せず、重要度の低い環境や非本番環境で検証してから本番へ広げると、手戻りを抑えやすくなります。
BIAとRTO・RPOの定義にかかる2〜6週間
最初に、業務部門・経営層・情報システム部門へヒアリングし、停止したときの影響と復旧の優先順位を整理します。そのうえで、最低限必要な機能と代替手段も決めます。
対象システムが少なく、関係者の合意が早い場合は2〜3週間程度で進められますが、複数事業部や外部委託先を含む場合は4〜6週間程度かかることもあります。この段階を省くと、後工程で設計の手戻りや再見積もりが生じかねません。
設計・PoC・移行にかかる1〜6か月程度の期間
構成設計では、レプリケーションの方式やバックアップ世代、暗号化を決めます。そのうえで、ネットワーク・認証・外部API・監視との接続を設計し、切替と切戻しの手順を定めます。
期間は、PoCで止まるか本番まで進むか、そして対象が小規模か、複数システムや複数拠点の基幹系かによって大きく変わります。
- 小規模PoC:クラウド標準機能を使う場合、1〜2か月程度です。
- 複数システム:中小企業の本番展開まで3〜6か月程度です。
- 複数拠点の基幹系:特殊なデータベースを含む場合、6〜12か月程度です。
実際の期間は、台数や関係者の承認プロセスによっても変わるため、目安に余裕を持たせて計画を立てます。
PoCでは、設定の完了だけでなく、実測したRTO・RPOとデータ整合性を確認します。さらに、回線帯域や復旧先での認証、業務画面と帳票、外部連携まで見ていきます。
また、検証を有償の設計工程として見積もる会社もあります。先に数十万円から数百万円程度をかけて失敗条件を把握すると、本番環境での大きな手戻りを避けられる可能性があります。
復旧訓練・運用設計を含めた期間の見積もり
本番導入後に使う復旧手順書や連絡網、判断権限を用意します。あわせて、監視アラートやベンダーへのエスカレーション、フェールバックの条件も決めておきます。
復旧訓練では、計画停止を伴う切替から、復旧環境での業務受入れ、切戻し、データ突合までを確認します。
訓練を年1回行うか、四半期ごとに行うかで、運用費と担当者の工数は変わります。そのため、初期費用とは分けて見積書に記載してもらう形が望ましいです。
災害復旧システム(DR)の費用内訳
「DR構築一式」の金額は、一度だけかかる費用と、毎月・訓練ごとにかかる費用に分けて比べます。復旧先の計算資源や監視、回線、訓練が別料金であれば、3年間の総額は大きく変わります。
要件定義・設計・プロジェクト管理の費用
要件定義や設計の費用は、対象範囲と関係者との調整内容によって変わります。
- 要件定義:対象業務と依存関係、RTO・RPO、復旧先、データ所在地などを整理します。
- 技術者単価:一般的な業務システムでは月額80万〜120万円程度です。
- 調査・定義費:短期調査は数十万〜数百万円、複数部門・拠点では数百万円以上の場合があります。
- 設計費:構成設計に加え、復旧順序、起動スクリプト、監視、ログ、権限、切替判断、切戻し方法を含みます。
ただし、これらの金額は案件規模に基づく見積の目安です。DR専用の公的統計ではありません。
経営層の承認や業務部門の受入れ、既存ベンダーとの調整まで委託すると、技術設定だけを頼む場合より費用は高くなります。その一方で、どこまでを誰が受け持つかを明確にしやすくなります。
待機環境・ストレージ・回線・ライセンスの費用
インフラ費用は、保存や復旧に使う資源と、接続・運用の構成によって変わります。見積書では次の項目を確認します。
- 保存・待機環境:ストレージ、スナップショット、待機中の仮想マシン
- 復旧時の資源:起動する計算資源とデータ転送
- 接続・運用:専用回線、ファイアウォール、監視
- ライセンス:バックアップソフトやOS
平常時に使わない復旧先でも、保存容量やレプリケーション用の資源には継続して課金される場合があります。
AWS Elastic Disaster Recoveryの公式料金は、レプリケート中のソースサーバー1台あたり1時間0.028米ドルです。730時間で計算すると、1台あたり月20.44米ドルになります。
AWS公式の100台・30TB・日次変更率3.3%の例では、DRサービス料金は2,044米ドルです。さらに、EBS、スナップショット、EC2を加えた合計は月6,389.03米ドルです(出典: AWS「Elastic Disaster Recoveryの料金」、2026年8月確認)。料金単価だけでなく、容量と変更率を含めた構成全体で試算する必要があります。
Azure Site Recoveryは保護対象インスタンス単位で料金が発生し、保護開始後の最初の31日間は無料です(出典: Microsoft Azure「Azure Site Recoveryの価格」、2026年8月確認)。ただし、無料期間でも、ストレージ、ストレージトランザクション、データ転送、復旧した仮想マシンの計算資源は別途発生する可能性があります。
複数のクラウドを比べるときも、台数・容量・訓練時間の条件をそろえる必要があります。
移行・テスト・訓練・保守の費用
移行費用とテスト工数は、規模や移行の制約、確認する範囲によって変わります。
- 移行規模:サーバー台数、データ量、停止可能時間
- 移行条件:データベース整合性、暗号化、ネットワーク制約
- テスト範囲:アプリケーション、認証、DNS、外部API、帳票
バックアップの復元に加えて各要素を確認する場合は、移行・結合テストの工数が増えます。
運用費には、クラウドやデータセンターの月額、監視、バックアップ世代管理が含まれます。さらに、脆弱性対応やOS・ミドルウェアの更新も含まれます。問い合わせや障害時の一次対応、定期訓練も、運用費の対象です。
類似の業務システムの保守費は、初期開発費の年15〜25%、または月額10万〜50万円以上とする例があります。ただし、24時間365日対応やSLA、現地作業の有無で金額が変わるため、固定の相場ではありません。
規模別の災害復旧システム(DR)費用相場
以下の金額は、リサーチノートにある業務システム開発の一般的な相場と、AWS・Azureなどの公開料金体系をもとにした記事執筆用の目安です。DR専用の国内受託開発費を網羅した公的な相場表ではありません。
実際の見積を比べるときは、台数やデータ容量、日次変更率、RTO・RPOなどの前提を同じ条件にそろえます。監視・訓練・SLAの範囲も含めて確認すると、金額の差を読み違えにくくなります。
小規模なDRaaS導入は初期50万〜300万円・月額5万〜30万円程度
3〜10台程度に重要業務を絞り、既存のバックアップやクラウド標準機能を活用する小規模な構成です。
- 初期費用:50万〜300万円程度
- 月額費用:5万〜30万円程度
- 導入期間:1〜3か月
初期費用には現状調査や設定、簡単な復旧手順、テストを含みます。一方で、月額にはストレージ、レプリケーション、基本監視を含む想定です。
月額5万円に収まるかは、データ量と変更率、復旧時の計算資源によって変わります。通信や監視時間帯も影響します。また、イミュータブル保管、ランサムウェア発生時の安全確認、業務部門を含む訓練は、初期・月額費用を上げる場合があります。
中小企業向けは初期300万〜1,500万円・月額20万〜100万円程度
10〜50台程度を別リージョンやデータセンターへレプリケーションし、復旧手順を自動化する構成です。
- 初期費用:300万〜1,500万円程度
- 月額費用:20万〜100万円程度
- 構築期間:3〜6か月
販売・受発注・在庫・会計など複数の業務を復旧する場合は、サーバーに加えて、データベースと認証の復旧順序を設計します。ネットワークや外部連携も、その順序に組み込みます。
ウォームサイトやクラウド縮退構成では、平常時の待機環境を絞ることで計算費を抑えられます。一方で、障害時に必要な仮想マシンを起動するまでの時間を含めてテストし、RTOを満たすかを実測する必要があります。
中堅・大企業の基幹系は初期1,500万〜5,000万円超・月額100万〜500万円超
複数拠点・複数の基幹業務を対象に、データベース整合性、認証・ネットワーク・外部API、定期訓練、24時間監視まで含める構成です。
- 初期費用:1,500万〜5,000万円超
- 月額費用:100万〜500万円超
- 構築期間:6〜12か月
常時二重化、専用データセンター、現地作業、厳格なSLAを求めると、初期3,000万円〜1億円超、月額数百万円以上になる可能性もあります。
金融・医療・自治体・重要インフラでは、データ所在地や監査証跡、委託先管理に加えて、復旧判断の証跡や業務継続の最低水準が追加されることがあります。
デジタル庁の「地方公共団体情報システム非機能要件の標準 第1.2版」では、再開目標を選ぶ考え方が示されています。大規模災害時は、1日以内、3日以内、1週間以内、1か月以内などから選択します。
また、住民の安否確認に必要なデータを発災後72時間以内に利用できる形式で提供する例もあります(出典: デジタル庁、2025年9月)。民間企業も、業務の重要度に応じた目標設定の参考にできます。
費用と開発期間が変動する主な要因
費用の差を理解するには、見積書の金額だけでなく、その前提条件をそろえて見る必要があります。特に、保護対象の台数と容量だけで比べると、変更率や復旧時の計算資源、訓練、監視、セキュリティ対応が見落とされがちです。そのため、月額と初期費用の両方で前提を確認します。
データ量・変更率・保持期間によるクラウド費用の差
同じ30TBでも、毎日の変更率が1%なのか10%なのかで、レプリケーションやスナップショットに必要な容量と転送量が変わります。
保持期間を7日から30日に延ばすと、増分データの保存量と復旧ポイントの管理費が増えます。
見積の前に、総容量やディスク数、1日あたりの書き込み量、保持世代を提示します。暗号化方式と削除・改ざん防止の要件もあわせて伝えておくと、見積の前提がそろいます。
ランサムウェア対策・規制・監査対応による追加
自然災害に加えて、ランサムウェアや人為的な設定ミスも想定した対策が必要になります。
- 権限管理:本番・バックアップ管理者を分け、MFAと最小権限を設定します。
- バックアップ保護:別アカウントや別テナントを使い、イミュータブル保管にします。
- 復旧時の安全確認:ネットワークを分離し、復旧前にマルウェアを検査します。
バックアップを本番の認証情報で削除できる構成では、本番と同時に破壊されるリスクが残ります。
厚生労働省は2026年6月、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」を公開し、サイバー攻撃を想定した事業継続計画の確認表などを示しました(出典: 厚生労働省、2026年6月)。
規制のある業種では、構築費だけでなく、監査ログや訓練記録、委託先との役割分担、復旧時の本人確認まで含めて、要件と費用を見ておく必要があります。
監視時間・SLA・訓練回数による運用費の差
運用費は、監視時間や障害時の支援範囲によって変わります。見積もりでは、次の対応条件を確認します。
- 監視時間:平日日中だけの通知か、24時間365日の一次対応か
- 障害時の支援:ベンダーが切替判断まで支援するか、利用者が手順書を見て操作するか
- 現地対応:現地作業や代替回線を含むか
対応範囲によって、必要な要員やSLAは変わります。月額保守が安くても、夜間・休日・重大障害への対応がオプションであれば、想定外の費用が発生します。
訓練の費用は、机上訓練、計画停止を伴う切替訓練、業務部門が受注や決済を行う実動訓練の種類によって変わります。課題修正や再テスト、担当者変更時の教育も含めて、年間計画として見積もると、導入後の予算不足を抑えられます。
災害復旧システム(DR)のコストを最適化するポイント

DRのコストを最適化するには、必要な業務を守りながら、過剰な待機資源や不要な保持期間、重複運用を減らします。安いサービスを選ぶことは、その一部にすぎません。
復旧できる状態を保ったうえで、初期費用だけでなく、3年間の総保有コスト(TCO)と障害時の損失を並べて判断します。
業務の重要度に応じた保護レベルの分け方
全システムを同じRTO・RPOで守る必要はなく、業務の重要度に応じて保護方式を組み合わせます。
- 決済・受注:低いRTO・RPOを設定し、継続レプリケーションで守ります。
- 社内ポータル・過去データ:バックアップを中心に保護します。
- 保護方式:重要度に応じてホット・ウォーム・コールドを組み合わせます。
業務部門と優先順位を合意したうえで、各システムを保護レベルに割り当てます。
段階導入では、まず1〜2個の重要業務でPoCを行い、月額と実測RTO・RPOを確認します。効果を確かめた方式だけを他業務へ広げれば、全社分の高価な設備を先に買うリスクを下げられます。
対象外の業務については、復旧しない理由と代替手段を記録しておきます。
待機資源の適正化と復旧手順の自動化
待機資源と保管量は、次の観点で調整します。
- 平常時:全仮想マシンを起動せず、レプリケーション用の最小資源にとどめる。
- 訓練・復旧時:必要なサイズへの拡張。
- RTO確認:起動時間の実測と、目標に合わせた調整。
- 保管量:古いスナップショットや不要なログ、過剰な保持世代の見直し。
IaCやオーケストレーションで復旧順序を自動化すると、初期設計の工数は増えます。一方で、手作業のミスと訓練時間を減らせます。また、自動化の手順には、認証基盤やデータベースの確認に加えて、アプリケーション、外部連携、業務受入れの確認も組み込みます。
完全自動化そのものを目的にせず、異常時には自動処理を止めて人が判断できるようにし、自動化は安全に再現できる範囲にとどめます。
月額だけでなく3年間のTCOでの比較
3年間の比較表には、次の費用を含めます。
- 導入:初期構築、データ移行
- 基盤:クラウド・データセンター、回線、ライセンス
- 運用:監視、保守、訓練、障害時対応
- 契約終了:契約更新、解約・移行費
クラウドの従量課金は、データ量や変更率、為替に加えて、リージョンと復旧回数でも変動します。そのため、平常時・訓練時・本番復旧時の3パターンで試算します。
比べる際は、値引きの額よりも3年間の総額と月々の運用工数を見ます。サービスを変える場合に備えて、データや構成情報の引継ぎ、バックアップの削除、別ベンダーへの移行費を確認し、ロックインを抑えます。
大規模な事例では、不要なワークロードの整理と運用の標準化が、コスト最適化につながっています。
Microsoftの顧客事例では、NTT Ltd.がアジア太平洋地域で約1,500〜2,000台の仮想マシン・サーバーをAzureへ移行しました。同社は既存ワークロードの約25%を廃止し、月10万米ドル以上の削減を試算しています。さらに、3年間で100万米ドルのTCO削減も見込んでいます。
Azure BackupとAzure Site Recoveryを活用して、BC/DRも改善した事例です。出典は、Microsoft Customer StoriesのNTT Ltd.事例です。事例名は「NTT Ltd.、Azureでグローバル共通のクラウドトランスフォーメーションを実現」で、2026年8月に確認しています。
規模や契約条件は異なるため、金額は参考値にとどめ、自社の金額へそのまま当てはめず、対象の整理方法を見る材料として使うのがよいでしょう。
見積もり依頼時の確認ポイント

相見積もりは、同じRTO・RPOと対象範囲をそろえて比べます。そのため、提案依頼書には業務一覧やサーバー台数、データ容量を記載しておきます。日次変更率やバックアップ保持期間、復旧先も、あわせて書いておきます。
許容停止時間や監視時間帯、訓練回数も記載します。さらに、SLA・データ所在地・ランサムウェア対策も含めます。
初期費用・月額費用・従量費用の区分
見積もりは、費用を次の3区分に分けてもらいます。
- 初期費用:要件定義、設計、設定、開発、移行、PoC、テスト、手順書、教育
- 月額費用:ストレージ、レプリケーション、待機計算資源、監視、保守、サポート、回線、ライセンス
- 復旧時費用:計算資源、データ転送、追加作業、訓練費
復旧時だけ発生する費用は、平常時の月額と分けて記載してもらうと、予算を管理しやすくなります。
クラウドの公式料金は基盤の一部にすぎず、要件定義や業務連携、データ整合性テスト、運用設計を含む開発総額ではありません。
公開料金をもとに「1台あたり数千円」とだけ説明する提案では、復旧時の仮想マシンやストレージが含まれているかを確認します。通信や監視、作業費についても、同じように確かめます。
業務部門の受入れ条件としての復旧確認
テストの合格条件は、「サーバーが起動した」ことで終わらせず、業務再開に必要な条件まで含めて確認します。
- 認証・整合性:認証でき、データベースとアプリケーションの整合性が取れていること
- 重要操作:受注・在庫・決済・帳票などの重要操作ができること
- 代替手順:外部APIが使えない場合の代替手順があること
- 再開の承認:業務部門が再開を承認できること
見積書には、テストケース数やデータ突合の方法、業務部門の参加人数を記載してもらいます。さらに、訓練後の改善対応と再テストの回数も示してもらいます。
受入れ条件が曖昧だと、追加テストや改修が別請求になりやすいため、契約前に成果物と判定基準を合意しておくことが欠かせません。
開発会社の支援範囲と責任分界
開発会社を選ぶ際は、製品認定だけでなく、支援範囲と障害時の役割を確認します。
契約前には、次の支援範囲と責任分界を明確にしておきます。
- 現状調査・BIA:担当者と業務部門との合意形成の支援範囲
- 技術・運用:既存DBや外部サービスへの対応、復旧訓練、運用改善の担当範囲
- 障害時の責任:一次窓口、連絡時間、現地対応、代替回線、切替判断の権限を契約書に明記します。
複数社を比べる際は、価格や要件適合性、実測RTO・RPOで見ます。さらに、セキュリティや運用体制、訓練内容、データの取り出しやすさも確認します。
安さが対象範囲の不足や訓練の省略によるものではないかを確かめます。そのうえで、必要条件を満たす提案を同じ基準で評価します。
災害復旧システム(DR)の費用に関するよくある質問
費用を調べると、月額の安さや開発費の総額、バックアップとの違い、訓練の必要性で迷いやすくなります。いずれの答えにも、台数やRTO・RPO、データ量といった金額の前提を添えています。
中小企業の災害復旧システム(DR)はいくらかかりますか?
重要システムを3〜10台程度に限定した小規模なDRaaS導入なら、初期50万〜300万円、月額5万〜30万円程度が一つの目安です。
10〜50台程度で複数業務の復旧手順や訓練まで含めると、初期300万〜1,500万円、月額20万〜100万円程度になる可能性があります。
金額を比べる際は、台数だけでなく、RTO・RPOやデータ量を含む前提をそろえて確認します。変更率や監視、訓練も同じ条件で見ます。
バックアップだけなら災害復旧システム(DR)より安くできますか?
データを保存するだけなら、バックアップの方が安く始められる場合があります。一方で、復旧先の計算資源やネットワーク、認証、アプリケーションの起動順、業務部門の受入れは、別に用意する必要があります。
許容停止時間が長い業務なら、バックアップ中心でも成立します。ただし、重要業務では不足する復旧機能と訓練費を含めて比べる必要があります。
クラウドDRはオンプレミスより必ず安くなりますか?
必ず安くなるとは限りません。クラウドDRは初期の設備投資を抑えられ、必要な分だけ使えるという利点もあります。
一方で、ストレージやレプリケーション、データ転送、待機計算資源の費用は継続して発生します。さらに、復旧時の仮想マシンや監視、サポート、為替の影響も受けます。
また、オンプレミスにも、設備や保守に加えて、専用回線や設置場所、更新費が必要になります。そのため、平常時・訓練時・本番復旧時を含む3年間のTCOで比べます。
災害復旧の訓練費は見積に含めるべきですか?
含めるべきです。手順を担当者が理解していない、認証基盤が戻らない、データ整合性を確認できない、切戻し条件が未定のままといった状態では、災害時に業務を再開できません。
机上訓練に加えて、計画停止を伴う切替や業務受入れ、フェールバック、ランサムウェア時の安全確認も対象にします。見積もりには、訓練回数と参加範囲を記載してもらいます。
まとめ
費用相場を判断するときの結論
規模と復旧要件によって、費用相場は次のように変わります。
- 小規模DRaaS:初期50万〜300万円・月額5万〜30万円程度
- 中小企業の複数システム:初期300万〜1,500万円・月額20万〜100万円程度
- 中堅・大企業の基幹系:初期1,500万〜5,000万円超・月額100万〜500万円超
- 常時二重化など:初期3,000万円〜1億円超・月額数百万円以上になる可能性があります。
見積を依頼する前の整理事項
まず、BIAで重要業務と依存関係を整理します。そのうえで、業務ごとのRTO・RPOや最低限の復旧機能を決めます。さらに、データ量や変更率、保持期間、監視時間帯、訓練回数も決めておきます。
- 初期構築、クラウド・設備、回線、移行、テスト、訓練、保守、復旧時の従量費を分けて見積もります。
- 複数社から見積もりを取り、平常時・訓練時・本番復旧時の総額を比べます。
DRは、事業環境や脅威の変化に合わせて訓練と改善を続けていく仕組みです。
最後に、実測でRTO・RPOを満たすか、復旧データの安全性が確かめられるか、業務部門が受入れを判断できるかまで含めて、費用対効果を見極めます。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
