図面管理(EDM)開発の開発期間・スケジュール・納期について

図面管理(EDM)開発の期間は、導入形態で大きく変わります。図面特化クラウドは数週間程度で運用できる場合があり、標準機能に合わせるパッケージ導入は3〜6ヶ月、独自要件を加える中規模導入は6〜12ヶ月が目安です。

納期には準備期間も含まれます。全体像は図面管理(EDM)開発の完全ガイドもご覧ください。

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・図面管理(EDM)開発の完全ガイド

図面管理(EDM)開発における期間・スケジュールの全体像

EDMの4つの導入形態と、本文に記載された稼働までの期間を並べた図解。
独自に作り込む範囲が広い形態ほど、期間の目安も長くなります。

図面管理(EDM)の期間は、導入形態と機能の作り込み範囲で変わります。対象となる機能には、版管理、設計変更、図番とBOMの紐付け、承認、CADビューア連携があります。

図面の保管・検索・版管理に特化したクラウドをそのまま使えば、数週間程度で運用できる場合があります。PDM(製品情報管理)やPLM(製品ライフサイクル管理)のパッケージも、導入の候補になります。

業務を標準機能に合わせるFit-to-Standardなら3〜6ヶ月、独自要件のアドオンやカスタマイズを行う中規模導入なら6〜12ヶ月が目安です。

独自の設計・生産管理プロセスをゼロから構築するフルスクラッチは、要件定義やデータ構造設計、バグ検証に膨大な工数がかかります。そのため、本格稼働までに2〜3年かかることも珍しくありません。

図面管理(EDM)は、CAD図面に固有の情報を扱う仕組みです。一般的なファイル共有基盤とは、管理する対象も業務も異なります。

EDMでは、承認済みの最新版を部品や製品に紐付け、承認経路まで追跡できるトレーサビリティが求められます。

共有フォルダでは最新版が分かりにくく、古い図面で製造や施工を進めると、手戻りや不良品につながるおそれがあります。そのため、正しい最新版を担保することがEDM開発の核になります。版管理、承認、変更履歴を厳密に作るほど、工数と期間に直結します。

期間の見積もりには、機能の作り込みに加えて、図面資産の整理や図番ルールの標準化にかかる準備期間も含めます。

図面管理(EDM)の位置づけ(CAD図面という専門的成果物の管理)

汎用の共有システムやクラウドストレージは、あらゆるファイルを保管・共有するための土台です。

一方、図面管理(EDM=Engineering Document Management)は、製造業・建設業のCAD図面や設計文書に特化した管理基盤です。中核となる専門機能は次のとおりです。作り込む範囲によって、必要な工数が変わります。

  • 版管理:リビジョンの採番と、過去版・適用開始日・廃止日の管理
  • 設計変更管理:ECN/ECOの申請から承認、適用、関係部門への通知までの追跡
  • BOM連携:図面、仕様書、品目マスタを、図番ルールに沿って部品表の階層に紐付け
  • 承認と閲覧:検図、承認、出図の流れと、ブラウザでの2D/3D閲覧
  • 社外貸与と機密管理:取引先や協力会社による閲覧、ダウンロード、編集の制御

CADビューアを使えば、高価な専用CADソフトがなくてもWebブラウザなどから図面を閲覧できます。一方で、版管理や承認などの機能は、単なるファイル保管では代替できない業務ロジックです。そのため、実装する専門機能の範囲と深さが、必要な工数に反映されます。

PDMは製品情報管理、PLMは製品ライフサイクル管理を指します。どちらのパッケージも導入候補になります。

導入形態別(PLM/PDMパッケージ vs フルスクラッチ)の期間の目安

PDM(製品情報管理)やPLM(製品ライフサイクル管理)など、導入形態によって稼働までの期間は異なります。導入形態ごとの条件を比べて選ぶと、現実的な計画を立てやすくなります。

  • 図面特化クラウド:アカウントと登録ルールの設定を済ませれば、最短で数週間から使える
  • PDM/PLM標準導入:業務を標準機能に合わせるFit-to-Standardで、3〜6ヶ月が目安
  • パッケージの中規模導入:要件に応じてアドオンやカスタマイズを加え、6〜12ヶ月が目安
  • フルスクラッチ:独自プロセスをゼロから構築するため、2〜3年かかるケースが多い

フルスクラッチでは、多階層BOMや特殊な設計変更フローを独自に組むことがあります。特殊なCAD形式や基幹連携も、作り込みの対象になります。既存の枠組みに収めずに作るため、設計やバグ検証に膨大な年月を要します。

まず、発注側が、版管理を早く整えることを優先するのか、固有の図番体系や設計変更フロー、基幹連携に合わせて作り込むのかを決めておきます。

この方向性が、現実的なスケジュールを描く出発点になります。独自のプロセスが競争力の源泉であれば、カスタマイズ型も候補になります。

ポイント

期間は導入形態で大きく変わるため、クラウド、パッケージ、フルスクラッチのどれを使うかを先に決めると、期間の範囲を見積もれます。

要件定義から本番稼働までの工程別スケジュール

要件定義から設計、開発、テストへ進む工程順と、それぞれの全体期間に占める配分を示す図解。
工程の中では開発に最も大きな配分が置かれています。

開発は、要件定義、設計、開発、テストの順に進みます。各工程の期間配分は、要件定義が10〜20%、設計が15〜25%が目安です。

開発は全体の40〜60%、テストは15〜25%が目安です。大容量の図面や承認済みの版だけを下流へ公開する仕組みは厳密さが求められるため、テストは実データを使って丁寧に行います。

EDMでは、誰が図面を登録・検図・承認・参照するかを、設計部門の業務フローとして整理しておくことが、各工程の前提になります。

要件定義・グランドデザインフェーズ

要件定義とグランドデザインは、図面管理開発の成否を左右します。対象業務とデータ生成ルールをこの段階で整理しておくと、後の工程で迷いが減ります。

  • 業務フロー:製品情報や図面を登録、検図、承認、参照する担当者
  • 機能範囲:システム化する業務と機能の線引き
  • データ生成ルール:図番、BOM構造、版数の付け方の全社統一

部門ごとに図番の採番方法や品目コード、版管理が違っていると、システムが複雑になり、その後の全工程に影響します。そのため、経営層が主導して図番やBOMのルールを統一することが望まれます。この工程は全体の10〜20%を占めます。

要件定義で下地を固めることは、設計・開発フェーズでの手戻りを防ぐ予防策になります。

設計・開発フェーズ

要件定義とグランドデザインが固まると、設計・開発に進みます。

  • 設計(15〜25%):図面、BOM、版管理の構造と画面を設計
  • 開発(40〜60%):図面、変更、承認、全文検索の機能と、CADビューア、ERP・生産管理との連携を実装

開発工程は、全体の中で最も工数がかかります。設計では、図面と品目、BOMの親子関係をデータモデルとして定め、過去版の保持方法も決めます。

承認前の図面を製造現場に見せないアクセス制御も、EDM固有の設計事項です。複雑な承認ルートをそのまま再現すると、カスタマイズが増えて期間が延びます。

一方で、パッケージの標準ワークフロー(ベストプラクティス)に業務を合わせると、開発費用を抑えて短期間で稼働できる場合があります。自社仕様に作り込む範囲の線引きが、この設計・開発フェーズの期間を左右します。

テスト・データ移行・稼働フェーズ

テストとデータ移行は並行して進め、運用が定着するまでを計画に入れます。稼働の前後に必要な作業は、あらかじめ整理しておく必要があります。

  • テスト(15〜25%):実務に近いデータを使い、図面登録から承認、外部連携までを検証
  • データ移行:紙図面、旧CAD、Excel台帳、ファイルサーバーの資産の移行
  • 本番稼働:稼働後も続く問い合わせ対応と運用ルールの調整

テストでは、製品カテゴリや部品の階層などを使い、図面の登録から検図・承認、ERPや生産管理への連携までを確かめます。承認済みの有効な版だけが製造や調達の下流工程に公開されるか、旧版が現場に表示されないかも、この段階で検証します。

設計変更が関係部門へ正しく通知されるかも見ておくと、版管理と承認フローのずれを早めに見つけられます。

既存資産の整理や変換には工数がかかります。移行作業はテスト工程と重なるため、稼働直前のスケジュールを圧迫しがちです。

稼働後も問い合わせ対応とルール調整が続くため、定着までの伴走期間を予定に含めます。

ポイント

工程の配分目安を見ながら、要件定義で図番やBOMのルールを先に決めておくと、設計・開発の手戻りを減らせます。テストの期間を計画から削らないことも、納期を守る判断の目安になります。

図面管理(EDM)ならではの期間を左右する要因

EDM開発の期間見積もり前に洗い出す、図面資産の移行、CAD・基幹連携、承認ワークフローの3項目を示す図解。
移行対象と連携範囲を整理すると、見積もりの前提が具体化します。

EDMでは、汎用開発では想定しない、ものづくり固有の要因が期間を左右します。見積もりの前に準備の状況を確かめておくことが、期間の見通しを立てる第一歩です。

代表的な要因は、紙図面・旧CADの電子化と図番移行、CAD・基幹連携と承認フローです。同じ要件でも、期間が数ヶ月単位で変わります。

紙図面・旧CADデータの電子化と図番体系の移行

既存の図面資産を移行することは、導入期間を延ばす要因になります。そのため、移行の対象になる資産を先に洗い出す必要があります。

  • 紙の資料:紙図面やマイクロフィルム
  • 電子データ:旧世代のCADデータやExcelの図面台帳
  • 分散データ:部門ごとのファイルサーバーにある図面資産

長年蓄積された資産は、整理や変換に工数がかかります。特に、部門ごとのデータ生成ルールの違いが、期間に影響します。

品目コードや図番の採番方法、版管理が部門ごとに異なると、移行後もデータの整合性を保ちにくくなります。

発注側は、構想段階で過去データを整理し、図番体系を全社で標準化します。この準備が全体の日程を左右するため、紙図面は枚数に応じて期間を見込んでおく必要があります。

紙図面をスキャンした画像には、図番や品目情報のメタデータを付け、検索できる状態にする作業も必要です。

電子化と図番統一を進めておけば、稼働後も設計資産を再利用する基盤になります。

CAD・基幹(BOM/生産管理)連携と承認ワークフローの作り込み

外部連携と承認フローの作り込みは、対象の広さや複雑さによって工数が増えます。見積もりの段階で範囲を具体化しておくと、後の手戻りを減らせます。

  • 連携先:2D/3D CAD、MES、生産管理、ERP、購買管理
  • 設計項目:形式、品目コード、部品番号、マスタ項目、同期時期
  • 承認フロー:検図、承認、出図、設計変更の申請と通知

連携範囲が広いほど開発工数は増えます。さらに、既存システムの仕様調査にも期間が必要です。

3D CADのデータはギガバイト単位になるため、保管方法、ビューアでのプレビュー、セキュアなアクセス制御の構築が開発期間を左右します。

承認ルートを作り込みすぎると、カスタマイズが膨らみ、期間も長くなります。

標準ワークフローに業務を合わせられるかが、期間短縮を左右します。連携範囲とあわせて、発注側が開発会社と調整します。

ポイント

期間を左右するのは、移行する資産の量と連携先の広さです。見積もり前に、紙図面や旧CADの状況とCAD・基幹連携の対象を洗い出しておくと、見積もりの前提がそろいます。

スモールスタートで進める段階展開スケジュール

全社・全機能を一斉に導入するビッグバン方式には、現場が混乱し、業務が止まるリスクがあります。

版管理や承認フローは設計業務と密接に結びついています。そのため、一度に切り替えると、旧来の方法との間で設計者が混乱するおそれがあります。

限定した範囲から始め、効果と課題を確かめながら段階的に広げると、手戻りを防ぎ、プロジェクトを成功に導きやすくなります。

PoC・一部門から全社への段階展開

まずは特定の製品ラインや設計部門、図面管理と承認フローなどに範囲を絞り、PoC(概念実証)から始めます。

段階展開では、各段階で運用上の課題を確かめてから、次に広げる範囲を決めます。PoCは1〜6ヶ月程度が目安です。

  1. 限定範囲でのPoCによる、図面の検索時間や手配ミスの削減効果の検証
  2. 承認フローの現場適合、CADビューアの表示性能、基幹連携の動作の確認
  3. PoCの知見を生かした、他部門やBOM・ERP連携への拡大

早い段階で適合性を見ておけば、本格展開時の手戻りを減らせます。段階展開は初期投資を抑えられ、現場の納得も得やすい方法です。一見遠回りに見えても、ビッグバン導入の大規模な手戻りを避け、全体のリードタイムを短縮できることがあります。

全社展開の計画では、PoC、評価、部門ごとの展開期間を示し、経営層と現場の合意を得ることが求められます。

ポイント

全社一斉の導入は現場の混乱を招きやすいため、まずは限定した範囲で効果と課題を確かめ、そのうえで広げる進め方が判断の目安です。

納期遅延の典型的な要因と対策

遅延は技術面だけでなく、準備やプロジェクトの進め方からも起こります。特に発生頻度が高いのは、データルールの不統一と過剰なカスタマイズです。さらに、現場参加の不足やテスト期間の圧縮も、遅延を招くことがあります。

これらは技術そのものより進め方に起因するため、あらかじめ手を打つことで回避できる場合があります。

データ生成ルールの不統一と過剰カスタマイズ

部門ごとに図番・BOM・版管理のルールが違ったまま開発を始めると、よくある遅延要因になります。設計や移行の時点で、調整が必要になるためです。

  • ルールの不統一:品目コード、図番、BOM、版管理の基準を開発前に揃えること
  • 過剰なカスタマイズ:標準機能を基本に、独自実装の範囲を絞る方針

採番ルールが分からなかったり、同じ品目のコードが部門で違っていたりすると、都度の調整で計画が後ろ倒しになります。

そのため、経営層のリーダーシップのもとで、グランドデザイン期に品目コードや図番、BOM、版管理のルールを標準化しておく必要があります。既存の承認ルートや帳票をそのまま再現すると、工数が増えるうえ、将来のバージョンアップも難しくなります。

Fit-to-Standardを基本にし、競争力に直結する部分だけをカスタマイズする線引きは、要件定義で決めておきます。

現場設計者の巻き込み不足と検証工程の圧縮

現場の参加と十分なテストは、稼働直前の作り直しや稼働後の不具合を防ぎます。そのため、計画の段階で両方の時間を確保しておきます。

  • 現場設計者の参加:要件定義や試作画面の検証段階から、キーマンを巻き込むこと
  • 検証期間の確保:版管理や承認フローのテストを、計画から外さないこと

現場がBOMのツリーや複雑なリビジョン一覧、多数の属性を迷わず扱えるかは、実際の業務に沿って確かめる必要があります。

操作性は開発の途中で確かめておくと、稼働直前に使えないと分かるリスクを減らせます。使えないと分かった場合は、大幅な作り直しになるおそれがあります。

機密図面や誤った版が流通すると重大な影響が出るため、承認フローと版管理の検証は省けません。

納期を縮めようとしてテストを急ぐと、稼働後の不具合で全体が遅れる場合があります。そこで、検証期間は最初の計画に入れておきます。

ポイント

遅延の多くは進め方から生じるため、図番やBOMのルールを揃え、過剰なカスタマイズを避けて、テスト期間も計画に入れることが判断の目安です。

まとめ

図面管理(EDM)は、製造業・建設業のCAD図面と設計文書を管理する基盤です。導入形態によって、期間には幅があります。

図面特化クラウドは数週間、Fit-to-StandardのPLM/PDMは3〜6ヶ月、中規模カスタマイズは6〜12ヶ月が目安です。

フルスクラッチは2〜3年に及ぶことがあります。そのため、版管理を早く整えるか、独自の図番や変更フロー、基幹連携を作り込むかを、早い段階で定めておく必要があります。

工程の配分目安は、要件定義10〜20%、設計15〜25%、開発40〜60%、テスト15〜25%です。

電子化と図番統一、CAD・基幹連携、承認フローの作り込みが期間を左右します。PoCは1〜6ヶ月程度が目安です。

製品ラインや設計部門のPoCから段階展開すれば、一斉導入よりも遅延や形骸化を防ぎやすくなります。

データルールの統一、過剰なカスタマイズの回避、現場参加と十分な検証が、計画的な立ち上げにつながります。

具体的な進め方を決める際は、複数の会社に相談し、現実的なスケジュール案を比べてください。

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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。