経営情報システム(EIS)開発の見積相場や費用/コスト/値段について

経営情報システム(EIS)の費用は、対象範囲、データ品質、連携・権限の複雑さによって、300万〜5,000万円以上まで変わります。

小規模なPoCは300万〜800万円、グループ経営に広げると2,000万〜5,000万円以上が目安です。全体像は経営情報システム(EIS)開発の完全ガイドもご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・経営情報システム(EIS)開発の完全ガイド

経営情報システム(EIS)の費用を左右する全体像

EISは、画面を作ること以上に、会計・販売・営業・人事などのデータをそろえ、KPIを定義する仕事を含みます。経営会議や予算管理で使うには、データ連携、マスター整備、権限設計、運用保守まで含めて見積もる必要があります。

費用は、画面の数よりも、どのデータを、どの頻度で、誰が見て、どの判断に使うかで決まります。その整理によって、必要な範囲が見えてきます。

EISの役割:経営判断に必要な数字の統合

EISは、経営者、役員、事業責任者が重要指標を短時間で把握し、意思決定につなげる情報システムです。

  • 対象範囲:会社全体や事業別の指標です。
  • 確認項目:売上や利益などを、画面やレポートで見ます。

中心になるのは、売上や粗利、営業利益、キャッシュといった財務の数字です。加えて、受注や在庫、稼働率、顧客別の採算も見られます。

データは会計や販売、購買などの業務システムから取り込みます。人事や生産、SFA/CRMに加えて、ExcelファイルやAPIも取り込み元になります。

取り込んだデータは、ETL/ELTで加工してDWHやデータレイクに蓄積します。そのうえで、KPI辞書やセマンティックモデルを整え、BI画面、通知、会議資料へ届けます。

費用と成果を左右するのは、画面の見た目よりも、データのつながりとKPIの定義です。

BI・ERP・DWHとの違いと費用の範囲

BI、ERP、DWHとEISの役割を分けて考えると、必要な費用の範囲を見極められます。

  • BI:データを分析・可視化する製品や仕組みです。
  • ERP・DWH:取引処理と分析用データの基盤です。

EISは、意思決定に使う目的や運用まで含めた概念です。ERPは取引を記録・処理する基幹システムで、DWHは複数のデータを分析しやすく蓄積します。

既存ERPをPower BIなどで見える化するだけなら、EISの初期費用を抑えられる可能性があります。ただし、部門ごとに売上の定義が違う場合や、過去データの形式がばらばらな場合は注意が必要です。

会計と販売のマスターが一致しない状態では、BIのライセンスを用意しても数字のずれは残ります。KPI設計やデータクレンジングに加え、DWHや権限、監査ログを追加すると、受託開発費は大きくなります。EISとERP刷新を同じ予算で扱う場合は、分析基盤と業務基幹の移行費用を分けて記載してもらいます。

経営情報システム(EIS)開発の進め方

EISは、目的とKPIを決め、データを洗い出し、小さく検証してから本番構築へ進めます。

全社の指標を一度に網羅せず、経営会議の資料作成や予算差異の把握から始めると、費用の膨張を抑えられます。

目的とKPIの定義

最初に決めるのは、どの判断を早く、正確にしたいかです。画面に何を並べるかは、その後に考えます。

  • 課題の起点:経営会議や粗利把握の遅れです。
  • KPI辞書:指標の定義をまとめたものです。

たとえば、月次の経営会議資料に5営業日かかることや、部門別の粗利が翌月まで分からないことが課題になります。また、キャッシュの着地見込みが担当者のExcelに依存している場合も、出発点になります。

売上や受注、粗利、営業利益、在庫回転、稼働率などについて、KPI辞書を作ります。KPI辞書には、計算式と対象期間、除外条件を書きます。元データや責任部署、更新頻度も残します。

PoCでのKPI数は10〜30個程度に絞ります。影響の大きい指標から検証すれば、範囲を管理できます。

データと業務の現状の洗い出し

データソースと業務の状態を一覧にしておくと、後から発生する追加費用を事前に把握できます。

  • データソース:会計や営業などの接続先です。
  • データ品質:欠損や重複、マスターの管理元を見ます。

一覧の対象は、会計や販売管理、購買、在庫などの業務システムに加え、Excelや外部APIまで広げます。

一覧には、管理部署や連携方式、更新頻度、保存期間を書きます。欠損や重複の有無も確かめます。

現場の手作業による転記や、複数のExcelで同じ指標を計算している箇所も記録します。品質に問題がある場合は、連携開発に加えて、クレンジングや過去データの再計算が必要になります。洗い出しを省くと、後から追加費用が発生しやすくなります。

PoCによる検証と本番環境の構築

PoCでは、対象を絞って数字の正確さと利用者の使いやすさを確かめます。

  • 検証範囲:データソース1〜3個とKPI10〜30個です。
  • 本番設計:権限や障害対応まで準備します。

対象は経営ダッシュボードの1〜3画面です。日次更新で数字が合うかを確認し、経営者、事業部長、情シス、経理に触れてもらいます。

評価するのは、ドリルダウンの深さや予算実績の比較、異常値の通知、会議での使いやすさです。

本番化の段階では、連携の再送や障害通知、バックアップ、データ保持期間を設計します。セキュリティ面では、SSO・MFAやロールと行レベルセキュリティ(RLS)、操作ログ、エクスポート制御も対象になります。

Microsoft Learnでは、Power BIのRLSは閲覧者の行単位のアクセスを制限すると説明されています。ただし、ワークスペースの管理者・メンバー・共同作成者には適用されないとされています(出典: Microsoft Learn「Power BIでの行レベルのセキュリティ」、2026年確認)。そのため、権限のテストを見積もりに含めます。

経営情報システム(EIS)の費用相場と開発期間

小規模EIS・PoC、部門横断EIS、グループ経営EISの初期費用と開発期間を並べた図
規模が広がるほど費用帯と期間帯も上がります。

EIS単体の受託開発価格は、公開例が限られています。そのため、ここで示すのは、ERP・基幹刷新の相場、公開BI料金、導入事例をもとにした推定レンジで、公定価格ではありません。

金額は、データソース数やKPI数、利用者数だけでは決まりません。データの扱い方によっても、見積もりは大きく変わります。

  • 更新頻度:データを更新する間隔です。
  • マスター品質:元データの整い方です。
  • 権限の複雑さ:閲覧者ごとの見せ分けの細かさです。

ここで示す金額は、公開情報をもとに整理した目安のため、要件定義の後に再算定してください。

スコープ別の初期費用(300万〜5,000万円以上)

初期費用は、対象範囲とデータ基盤の大きさによって幅が出ます。期間も同じ条件で確認します。

  • 小規模・PoC:検証を目的とした、対象を絞った規模です。
  • 部門横断・グループ:複数部門や多拠点にまたがる規模です。

小規模EISやPoCは、初期費用300万〜800万円、期間2〜4か月が目安です。データソース1〜3個、KPI10〜30個、画面1〜3画面、日次更新を想定します。

部門横断EISは、初期費用800万〜2,000万円、期間4〜8か月が一つの目安です。会計・販売・営業など3〜8個のデータソース、DWH、共通マスターを含みます。複数部門の権限や予算実績、予測も含む構成です。

グループ経営EISは、初期費用2,000万〜5,000万円以上、期間8〜18か月が目安です。多拠点・多法人・連結・為替・複雑な権限・監査ログを含みます。会議や計画のワークフローまで対象にする場合もあります。

基幹業務をクラウドERPへ刷新する場合は、別プロジェクトとして考えます。その費用は1,500万〜4,000万円以上、期間は半年〜2年以上です。大規模な基幹刷新では、EISの画面費用だけから見積もると予算を大きく誤ります。

データ範囲と基幹刷新の有無による開発期間の違い

公開事例は、EIS単体と基幹刷新を分けて見る必要があります。

  • 財務ダッシュボード:エンタープライズ級の公開事例です。
  • 基幹システム刷新:EIS単体とは性質が異なる事例です。

IBMが紹介するEtihad Airwaysの財務ダッシュボードは、9か月で構築を完了しました。データ構造・モデリング、アーキテクチャ、セキュリティルールまで含めた構築です。

従来は月次レポートに2週間以上かかっていましたが、導入後は数時間で作成できているとされています(出典: IBM「Etihad社」、2026年確認)。これは公開事例に基づく説明です。

東京ガスグループのSAP S/4HANA Cloud導入は、要件定義から稼働開始まで2年で完了しました。経理・資材・物流業務を含む導入で、SAPは計画どおり完了したと公表しています。

この事例は、基幹業務の刷新を扱ったものです(出典: SAP Japan「東京ガスグループの経理・資材業務システムの刷新」、2025年)。見積もりでは、対象データや業務変更、移行範囲、法制度対応を明記してもらい、期間を比べます。

ポイント

金額は推定の目安にすぎないので、自社の対象範囲に近い区分と比べ、要件定義の後に再算定してから予算を決めます。

EIS開発費用の内訳とランニングコスト

見積書は「画面開発一式」とせず、工程別と継続費用に分けて確認します。

  • 開発工程:要件定義から教育まで分けます。
  • 継続費用:ライセンスと運用を別建てにします。

要件定義やKPI設計、データ連携も含めて工程ごとに分けると、どこで費用が大きくなるかを比べやすくなります。

  • DWH:分析用データを蓄積する基盤です。
  • 画面・レポート:利用者が見る画面の開発です。
  • テスト・移行:数字の一致と権限の確認、既存データの移し替えです。
  • 教育・運用設計:利用者が使えるようになるための取り組みと、稼働後の運用の決め方です。
  • ライセンス:利用するツールの費用です。

構成比の仮置きとして、要件定義・KPI設計は10〜15%です。データ連携・DWH20〜35%、画面・レポート開発20〜35%を見込みます。テスト・移行・教育は15〜25%、PM・セキュリティ・運用設計は10〜20%程度です。

要件定義とKPI設計の費用(全体の10〜15%程度)

要件定義では、利用者と意思決定の場面を先に整理します。

  • 利用者:役割ごとの閲覧範囲を決めます。
  • KPI定義:集計時点と例外処理を残します。

利用者や意思決定、KPI、更新頻度、必要なドリルダウンを整理します。加えて、予算と実績の比較方法や通知条件、データの責任部署も決めます。

役員は全社、事業部長は自部門、拠点長は自拠点を見るといった違いがあります。利用者区分を定義しないまま画面を作ると、権限とデータモデルの作り直しが発生します。

同じ「売上」でも、受注日・出荷日・計上日・入金日のどこで集計するかで数字が変わります。KPI辞書に計算式と例外処理を残す作業が、数字の不一致を防ぐための中心的な費用項目になります。

データ連携とDWHの費用(全体の20〜35%程度)

連携方式とデータ基盤の構成を分けて見積もると、画面数だけでは見えない工数が確認できます。

  • 連携処理:接続・更新・エラー対応を設計します。
  • DWH:マスターと履歴を分析用に整えます。

連携では、API、データベース接続、ファイル取り込み、ETL/ELTを設計します。定期実行や再送、差分更新、履歴管理も対象になります。

標準APIが使えるデータソースが1〜3個の場合と、古いシステムやExcelを組み合わせる場合とでは、工数が異なります。

DWHを置く場合は、会社や部門、勘定科目、商品、顧客の共通マスターを整えます。過去データの保持やスナップショット、集計テーブル、データ品質チェックも必要になります。

DWHを省くと初期費用が下がる場合もありますが、後から追加すると作り直しになりやすいです。そのため、短期のPoCと本番のデータ基盤は分けて設計する方法が現実的です。

ライセンス・クラウド・保守費(初期費用とは別建て)

継続費用は、利用者数と容量だけでなく運用範囲も含めて確認します。

  • ライセンス:ユーザー数と単価を確認します。
  • 運用費:監視・保守・追加開発です。

クラウドBIでは、容量課金の対象になるDWHやストレージを分けて考えます。データ連携基盤やバックアップも、別に見積もります。

Microsoftの日本向け価格ページでは、Power BI Proは税抜2,098円のユーザー・月相当で、年払いとして表示されています(出典: Microsoft「Power BIの価格」、2026年確認)。

50人が同じ単価で12か月使う単純計算では、ライセンスだけで年間約126万円です。ただし、この約126万円には、画面設計や連携、DWH、権限設計、運用保守は含まれません。

PoCを初期300万〜800万円、年間の継続費用を50万〜300万円程度から始める想定もあります。この推定レンジは、利用者数や容量などで変わります。

初期費用、月額または年額、契約更新、利用者追加、容量超過は、それぞれ別々に確認します。障害対応と追加開発の単価も、見積書に記載してもらいます。

ポイント

初期費用の工程別内訳と、ライセンス・運用費などの継続費用は、別々に比べて判断します。年間の負担がどの程度になるかは、この2つを並べて初めて見えます。

EISの費用が変動する主な要因

EISを中心にデータ品質、閲覧範囲、独自機能を配置した費用変動要因の図
接続データの整備や見せ分け、作り込みが工数に関わります。

同じ経営ダッシュボードでも、データの状態と前提条件によって費用は変わります。そのため、見積もりを比べるときは、金額だけでなく変動要因をそろえて確認します。

データソース数とデータ品質による工数の増減

接続先の数とデータ品質を先に確かめておくと、連携工数の見積もりがしやすくなります。

  • 接続先:追加ごとに認証やテストが必要です。
  • 過去データ:整備範囲を先に決めます。

連携対象が1つ増えるたびに、接続方式や項目マッピング、認証が必要になります。更新タイミングやエラー処理、テストも、データソースごとに確認します。

Excelでは、ファイル名や列名、入力ルール、担当者、締め日が統一されていないことがあります。そのため、自動取り込みを始める前に、Excelの運用を整理しておく必要があります。

会社コードや部門コード、商品コード、顧客名の表記ゆれも確認します。欠損や重複、過去の組織変更を、どこまで直すかで費用が変わります。

PoCの対象を直近12か月にするか、数年分を再計算するかも決めておきます。過去データの整備費は、独立した項目として見積もってください。

利用者数と権限・機密性による設計費用の違い

利用者の区分と扱う情報を定義すると、権限設計とテストの範囲が見えてきます。

  • 閲覧範囲:役割ごとに見える数字を分けます。
  • 機密性:ログや持ち出し制御です。

経営層だけが全社の数字を見る場合と、役割ごとに範囲を変える場合とでは、設計が異なります。役員や事業部長、拠点長、現場管理者、社外関係者によって、見える範囲が変わることもあります。

人件費や取引先情報を含む場合は、列単位の秘匿も確認します。さらに、エクスポート禁止やSSO・MFA、操作ログ、保管場所、保存期間も対象になります。

権限を本番稼働後に追加すると、データモデルや画面の作り直しにつながります。このため、閲覧者や編集者、管理者を分けて、代表的なユーザーで受入テストを行います。

見えるべき数字だけが見えるか、見えてはいけない数字をダウンロードできないかを確認します。

独自の予測・承認・シミュレーション機能(増額要因)

標準機能で足りる範囲と、独自開発する範囲を分けて判断します。

  • 標準機能:クラウドBIの既存機能で足りる範囲です。
  • 独自機能:予測や承認など、作り込みが必要な範囲です。

標準的なダッシュボードや定型レポートは、クラウドBIの標準機能を活用しやすいです。

予算入力やシナリオ比較、承認ワークフロー、コメントを独自仕様にすると工数が増えます。会議後のアクション管理やAIによる異常検知、自然言語検索も、追加工数の対象になります。

AI機能を追加する前に、元データとKPI定義の信頼性を確かめます。入力データが欠けた状態では、高度な予測が意思決定を誤らせる可能性があります。

まずは、数字を画面で見られるようにすることと、データ品質を優先します。予測やシミュレーションは後から追加します。

ポイント

同じ経営ダッシュボードでも、データの状態と前提条件で費用は変わるため、金額の高低だけで業者を比べるのは避けたいところです。

EIS開発のコストを抑えるポイント

費用を抑えるには、必要な範囲、標準機能、後から増やせる基盤を整理します。初期費用だけでなく、追加開発や保守、運用担当者の負荷、製品変更時の移行費用も比べます。

対象業務とKPIを絞ったPoC

PoCは、成果を測りやすい業務とKPIに絞って始めます。

  • 対象KPI:売上や粗利などから選びます。
  • 評価指標:導入前後の差です。

最初から全社や全データ、全機能を対象にせず、売上や粗利、予算実績、キャッシュなどに絞ります。

レポート作成時間や数字の照合作業、会議での確認時間を導入前後で比べます。差異原因の特定までの日数や月間利用者数も、評価指標にします。

PoCを使い捨てにしないよう、KPI辞書やデータモデル、連携仕様、権限方針を残します。画面の試作品だけに費用を使わず、本番へ引き継げる形で設計します。また、PoCから本番へ移す条件と、追加データソースの単価を契約前に定めておきます。

標準機能とFit to Standardの優先

標準機能を先に評価すると、独自開発の範囲を絞れます。

  • 先に使う機能:認証・権限・レポートを確認します。
  • 拡張する機能:競争力に直結する領域です。

クラウドBIやERP付属の分析機能では、標準のデータモデルと更新機能を先に評価します。

独自の画面や処理を増やすほど、初期費用と保守負担が増えます。

東京ガスのSAP刷新でも、Fit to Standardを基本方針にしています。その結果、アドオン本数と稼働までの期間を削減したと説明されています。この説明は、SAP Japan「東京ガスグループの経理・資材業務システムの刷新」(2025年)に基づきます。

標準機能で不都合が出る場合は、独自開発の価値を明確にします。予測や計画、承認、採算分析を優先し、見た目の変更やExcel操作の再現は後回しにします。

運用とデータの責任分担

稼働後の変更を想定し、データと運用の担当を決めます。

  • 運用担当:KPI定義とデータ品質の責任者を置きます。
  • 制度対応:法務・税務との確認事項です。

組織改編や商品追加、会計方針、法制度、データソースの変更への対応も、運用の範囲に含めます。

KPI辞書やマスター、連携、権限、レポートを更新する運用が必要です。そのうえで、KPIの定義を承認する人と、データ品質を確認する人を決めます。

障害や追加開発を依頼する担当者も、稼働前に決めておきます。

会計や請求のデータは、電子帳簿保存法やインボイス制度との関係を確認します。個人データは、個人情報保護法上の安全管理措置について、法務部門や税務担当と確かめます。

2026年のデジタル化・AI導入補助金は、対象経費や補助率、要件が申請枠ごとに定められています(出典: 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026」、2026年確認)。中小企業庁の公募要領では、ITツールやソフトウェア、サービスの導入支援が示されています。

EISのスクラッチ開発費全体が自動的に対象になるとは限りません。そのため、自己負担額も予算に含めておきます。

EISの見積もりを取る際のポイント

EISの見積もりで確認する要件、成果物、費用内訳、追加条件・変更管理を示すチェックリスト
同じ確認軸を使うと、各社の提案を読み比べやすくなります。

開発会社には、「EISを作りたい」という要望だけでなく、同じ前提条件を資料で渡します。

対象業務やデータ、KPIに加えて、利用者や予算の前提が資料になければ、提案の金額がなぜ違うのかが分かりにくくなります。

  • 利用者:画面を見る人の区分です。
  • 更新頻度:数字を更新する間隔です。
  • 希望時期:稼働させたい時期です。
  • 予算上限:支払える金額の上限です。

RFPに書くデータ・KPI・利用者の具体的な内容

RFPでは、データや利用者、機能、成果物の範囲を具体的に書きます。

  • 要件:データ・KPI・権限を記載します。
  • 成果物:辞書や仕様書の納品を明記します。

対象データソースの一覧や接続方式、保有期間、更新頻度、データ量の概算を書きます。

KPIのサンプルや現行レポート、利用者区分、閲覧権限、必要な画面数も記載します。ドリルダウンや通知、予算実績、予測が必要かどうかも、明記します。

Excelを取り込む場合は、サンプルファイルや更新担当者、締め日、例外処理を渡します。

KPI辞書、ER図やデータモデル、連携仕様書、テスト仕様書を成果物に含めます。操作マニュアルや権限一覧、ソースコードや設定の引き渡し、教育も項目化します。

稼働後の問い合わせ窓口も、あらかじめ明確にしておきます。成果物を「ダッシュボード一式」とだけ書くのは不十分です。

前提条件をそろえた複数社の見積もり比較

複数社を比べるときは、費用項目や体制、責任分界の条件をそろえます。

  • 費用内訳:開発とライセンスを分けます。
  • 提案体制:主担当と窓口です。

初期費用は、要件定義や連携、DWHを工程ごとに分けてもらうと、会社ごとの差を比べやすくなります。

  • 画面:利用者が見る画面の開発です。
  • 移行:既存データの移し替えです。
  • 教育:利用者が使えるようになるための取り組みです。
  • 運用設計:稼働後の運用の決め方です。

ライセンスとクラウド費用も分け、保守の月額と対応時間を明記してもらいます。

エンジニア単価は、公開情報をもとにした目安では月額80万〜120万円程度が一般的です。総額は、必要人数や役割、期間、難易度によって変わります。

主担当がBI製品の販売会社なのか、ERPベンダーやSIer、データ基盤会社なのかを確認します。業務・経営コンサルが主担当になる場合は、連携や運用の担当も別に確認します。

別会社への再委託や提案体制、責任分界、障害時の窓口を比べます。データの所有権や製品変更時の移行性も、同じ質問票で確認してください。

追加費用が発生する条件と変更管理

提案書に含まれる範囲と、変更時の扱いを先に確認します。

  • 追加条件:データやKPIの増加です。
  • 変更管理:優先順位と予備費を決めます。

データソースの追加やKPIの増加、過去データの再計算は、追加費用になりやすいです。リアルタイム更新への変更や新しい権限の追加も、追加費用の対象として扱われがちです。

含まれる範囲、含まれない範囲、前提条件を提案書に明記してもらいます。変更時の見積もり方法と納期への影響も確認します。

要件を固めすぎると、現場での検証の機会を失います。一方で、無制限に増やすことも危険です。

月次のステアリング会議で変更を承認し、MUST・SHOULD・WANTを管理します。予備費やリリース後の追加開発枠も、あわせて管理します。

経営者、現場、情シス、経理が同じ数字を確認できる場があると、コストを抑えることにもつながります。

ポイント

提案の金額が近いかどうかより、成果物や追加費用の条件が同じ前提で書かれているかを先に見てください。条件がそろっていない見積もりは、単純に比べられません。

よくある質問(FAQ)

EISの費用は、金額だけでなく対象範囲と前提条件を確認すると、自社に近い予算感をつかめます。

EISは中小企業でも導入できますか?

中小企業でも、対象を絞ったPoCから導入できます。

  • 対象:データソース1〜3個と重要KPIに絞ります。
  • 目安:小規模EISの推定レンジから検討します。

全社の基幹システムを一度に刷新せず、会計や販売などに絞ります。この範囲であれば、初期費用300万〜800万円、期間2〜4か月程度の推定レンジから検討できます。

利用者数が少なくても、データ品質が低い場合やKPIを決めないまま始める場合は、費用が増えやすくなります。経営会議のような具体的な利用場面から、対象を決めることが大切です。

EISはリアルタイム更新でないと意味がありませんか?

更新頻度はKPIごとに決めます。経営判断に必要な頻度に合わせれば、リアルタイム更新でなくても成り立ちます。

  • 日次更新:月次の予算実績に使いやすい頻度です。
  • 短い間隔:キャッシュや在庫など、動きの速い指標に使います。

月次の予算実績や経営会議の指標であれば、日次更新で十分な場合があります。一方で、リアルタイム化すると、API、処理性能、監視、再送、ライセンスの費用が増える可能性があります。

即時性が成果に直結する指標に限って、更新間隔を短くします。

Excelに分散したデータからEISを作れますか?

Excelからでも作れますが、取り込む前にファイルと運用を整理します。

  • 入力ルール:列名やコード体系をそろえます。
  • 将来設計:基幹システムやAPIへの移行を考えます。

ファイル形式や入力担当者、締め日を先に確認し、欠損や重複の扱いも決めます。Excelをそのまま連携しても、入力ミスは残ります。

表記ゆれを防ぐため、データ検証と責任部署も設計します。

移行後の入力方法も、あらかじめ決めておきます。

EISの導入後の保守費用はいくらですか?

保守費用は、利用者数や容量、連携本数、監視時間などによって変わります。

  • 継続項目:ライセンス・監視・バックアップを分けます。
  • 推定レンジ:年間50万〜300万円程度から置きます。

問い合わせ対応の量や、KPIや画面の追加頻度によっても、費用は変わります。障害対応や定例レビュー、追加開発は、別の項目にします。

月額または年額の範囲と、超過時の単価を確認してください。利用者数や容量が変わったら、保守費用を再計算します。

まとめ

EISの費用相場は、PoC・小規模で300万〜800万円、部門横断で800万〜2,000万円です。

グループ経営では2,000万〜5,000万円以上が目安です。いずれも公定価格ではなく、推定レンジです。金額は、データソースやKPI、利用者の数によって大きく変わります。更新頻度やデータ品質も費用を動かし、権限の設計と独自機能の有無が加わると、費用はさらに膨らみます。

初期・ライセンス・運用の費用を分けた管理

見積もりは開発工程と継続費用を分け、PoCから段階的に広げます。

  • 初期費用:工程ごとに内訳を確認します。
  • 拡張方針:対象を測定後に広げます。

要件定義・KPI設計、データ連携・DWH、画面開発は分けて見ます。テスト・移行・教育、セキュリティ・運用設計も別項目にします。

Power BIなどのライセンスやクラウド費用も、別建てにします。そのうえで、PoCで対象を絞り、標準機能を優先します。効果測定の後に、データや利用者を広げます。

発注前の同条件での複数社比較

提案内容と体制を、同じ質問票で比較します。

  • 技術条件:連携方式と権限です。
  • 契約条件:成果物と保守範囲を確認します。

発注前には、KPI辞書のサンプルや連携方式、障害時の責任分界を確認しておきます。

RLSやSSO、監査ログ、成果物の引き渡し、保守と追加開発の条件も、同じ観点で確かめます。

グラフの見た目だけでなく、意思決定に使えるデータ基盤を作れるかを見極めます。

予算とリスクを管理できるかどうかを、提案内容と体制で見ます。

▼全体ガイドの記事
・経営情報システム(EIS)開発の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。