経営情報システム(EIS)の開発を発注・外注するなら、最初に経営会議で必要な判断とKPIを定義し、対象データと利用範囲を絞ったうえで、RFPと段階的な契約に落とし込むことが成功の近道です。
「Excel集計に毎月何日もかかる」「部門ごとに売上や利益の数字が違う」「経営会議で報告を聞いてから原因を調べている」といった課題を解消するために、EISの発注を検討する企業が増えています。一方で、BI製品を契約するだけで済むのか、DWHやデータ連携まで開発するのか、請負と準委任をどう組み合わせるのかが分かりにくく、見積比較で迷いやすい領域でもあります。この記事では、発注形態の選び方、RFPに書く内容、要件整理、契約形態、費用相場、委託先の選定、見積書の比較ポイントを、発注担当者が社内で説明できる順番に整理します。
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・経営情報システム(EIS)開発の完全ガイド
経営情報システム(EIS)の発注・外注で最初に決めること

EISは、会計・販売・購買・在庫・生産・人事・営業などのデータを集約し、経営層や事業責任者が意思決定に使える形で示すシステムです。発注時に最も重要なのは、画面の見た目ではなく、誰がどの数字をいつ見て、どの判断やアクションにつなげるかを合意することです。新しいダッシュボードを作る前に、経営上の判断を遅らせている作業を特定すると、外注範囲と優先順位が明確になります。
EISとBI・ERP・DWHの違いを発注前に整理します
ERPは日々の受注、請求、仕入れ、在庫などの取引を正確に記録・処理する業務基盤です。BIはデータを集計・分析・可視化する機能や製品の総称で、DWHは複数のシステムからデータを集め、分析しやすく蓄積する基盤です。EISは、これらを利用して経営者・役員・事業責任者が見るKPIや予算実績、予測、異常値を意思決定向けに提供する仕組みです。したがって、発注先に「EISを作ってください」と伝えるだけでは、画面だけが納品されるのか、データ連携やKPI定義まで含むのかが曖昧になります。
たとえば、会計と販売管理の数字を日次で確認できれば十分な会社と、複数法人の連結、為替、予算シミュレーション、承認ワークフローまで必要な会社では、同じEISでも設計が大きく異なります。最初のRFPでは「EIS」という名称よりも、対象となる業務、データソース、更新頻度、利用者、必要な判断を具体的に記載することが大切です。
発注の成功条件を「画面完成」から「意思決定の改善」に変えます
発注時の成功条件は、「ダッシュボードを何画面作ったか」ではなく、「経営会議の準備時間が短くなったか」「予算差異の原因を早く特定できたか」「責任者が次の施策を決められたか」で定義します。具体的には、月次資料の作成日数、手作業で転記するシート数、数値の不一致が解消されるまでの時間、利用者のログイン率、会議後のアクション完了率などを導入前に記録します。
この効果指標を先に決めると、リアルタイム更新が本当に必要かも判断できます。経営会議が週次なら日次更新で十分な場合がありますし、資金繰りや在庫の異常検知ではより短い更新間隔が必要になる場合があります。更新頻度を上げるほど連携方式、クラウド容量、監視、障害時の再送設計が重くなるため、目的から逆算することが予算管理にもつながります。
経営情報システム(EIS)の発注形態はどれを選ぶべきですか?

EISの発注形態は、クラウドBIやSaaSを活用する方式、ERPや分析パッケージを導入する方式、DWHとBIを組み合わせる方式、独自機能をスクラッチ開発する方式に大きく分けられます。迷った場合は、最初から全社の完成形を作るのではなく、経営に直結する1つのテーマでPoCを行い、データ品質と利用定着を確認してから拡張する考え方が安全です。
クラウドBI・SaaSを利用する方式は小さく始めたい企業向けです
Power BIなどのクラウドBIを中心に構築すると、標準の分析機能や認証基盤を利用しながら、比較的短期間で経営ダッシュボードを始められます。Microsoftの日本向け価格ページでは、2026年8月時点でPower BI Proが税抜2,098円のユーザー・月相当、年払いとして表示されています(出典: Microsoft「Power BIの価格」、2026年確認)。ただし、ライセンス費用だけでEISが完成するわけではありません。KPI設計、データ連携、マスター統合、権限設定、テスト、教育、運用監視は別途必要です。
既にMicrosoft 365やAzureを利用し、会計・販売データがAPIやデータベースから取得できる企業では候補になりやすい方式です。一方で、複雑な計画入力や承認、固有の配賦ロジックを多数持つ場合は、BIだけで無理に実現せず、業務アプリや計画製品を組み合わせるべきです。見積もりでは、作成者と閲覧者の人数、外部共有の有無、容量課金、データ保管場所を分けて確認します。
DWH・レイクハウスとBIを組み合わせる方式は部門横断に向きます
会計、販売、SFA、在庫、勤怠、EC、Excelなど複数のデータソースを横断するなら、DWHやレイクハウスにデータを集め、共通マスターとKPIの計算ルールを中央管理する方式が適しています。画面ごとに元システムへ接続する方法では、同じ「売上」でも集計条件が違う問題が起こりやすいからです。連携処理、履歴保持、データ品質チェック、再送、監査ログを一度設計すれば、後から部門や指標を増やしやすくなります。
ただし、DWH構築はデータエンジニアリングの工数を伴い、初期費用と運用費が増える傾向があります。発注時は「全データを統合する」と広げず、まず会計・販売など1〜3ソース、10〜30KPI程度に限定したPoCを設定すると、必要なデータモデルを現実の業務で検証できます。共通マスターの所有部署と更新責任者も、RFPに明記しておくと運用開始後の責任の押し付け合いを防げます。
パッケージ・スクラッチ開発は独自業務の多さで判断します
ERP付属の分析機能や経営管理パッケージは、標準化された業務を短期間で統合しやすい方式です。ERP刷新と同時にEISを整備する場合は、標準機能に業務を合わせるFit to Standardを基本にし、独自要件は連携や拡張側に寄せると、保守性を保ちやすくなります。SAP Analytics Cloudのように分析、計画、シナリオシミュレーションをクラウドで扱う製品もあるため、既存ERPとの適合性を確認します。
独自の配賦、承認、シミュレーション、アクション管理が競争力に直結するなら、スクラッチ開発や業務アプリとの組み合わせが候補です。自由度が高い反面、初期開発だけでなく、OSやクラウド、外部API、法制度の変更への追随も必要です。独自画面を増やす前に、標準機能で代替できない理由と、5年程度の保守・追加開発費まで含めて比較してください。
EIS開発の発注・外注はどの順番で進めますか?

EISの外注は、会社探しから始めるより、社内の意思決定とデータの現状を整理してから候補会社へ相談する方が、提案の質と見積の精度が上がります。おすすめの順番は、目的と効果指標の設定、現行調査、KPI辞書の作成、発注形態の仮決定、RFPの配布、提案・見積比較、契約、要件定義、PoC、本開発、移行・定着です。
目的・現行業務・データソースを先に棚卸しします
最初に、経営会議や予算管理で困っている場面を具体化します。「経営を可視化したい」ではなく、「月次の連結資料を5営業日以内に作りたい」「営業利益の予算差異を翌営業日までに部門別で確認したい」「在庫金額の異常を週次で検知したい」のように表現します。次に、会計、販売、購買、在庫、SFA、勤怠、Excel、外部APIなどを一覧化し、データの所有部署、更新頻度、保持期間、欠損や重複、手作業の加工内容を記録します。
棚卸しでは、データソースの数だけでなく、会社コード、部門コード、顧客コード、商品コード、勘定科目などのマスターがそろっているかを確認します。EISの開発が遅れる主な理由は、画面開発よりも元データの定義と品質にあります。発注前にサンプルデータを確認し、実際に連携できない列や個人情報を洗い出すと、後から追加されるデータクレンジング費用を抑えられます。
KPI辞書で数字の意味と責任者を統一します
RFPにKPI名だけを並べるのではなく、KPI辞書を作成します。最低限、指標名、定義、計算式、分子・分母、対象期間、税抜・税込の扱い、返品や取消の扱い、予算との比較方法、元データ、更新頻度、責任部署、閲覧できる役職を記載します。「売上」「受注」「粗利」「稼働率」は会社ごとに意味が変わるため、候補会社に同じ定義書を渡さないと、見積と完成物を比較できません。
MUST、SHOULD、WANTの3段階に分けることも有効です。MUSTは経営会議に不可欠な売上・利益・キャッシュ・予算実績など、SHOULDは部門別や顧客別のドリルダウン、WANTはAIによる自然言語検索や高度なシミュレーションなどです。PoCではMUSTを優先し、実データで数値が合うか、利用者が判断に使えるかを確認します。AI機能を追加する場合も、KPIの定義と元データの信頼性が先に整っていることが前提です。
PoCと受入基準を契約前に設計します
候補会社の提案を聞くだけでなく、1〜3データソース、10〜30KPI、1〜3画面程度の小さなPoCを設けると、連携可能性と使い勝手を確かめられます。PoCの期間、提供するデータ、成果物、費用、終了条件を明確にし、PoC後に本開発へ進まない場合のデータや設計書の扱いも合意します。実際の経営会議や予算レビューで使い、経営者、経理、情シス、現場責任者から評価を取ることが重要です。
本開発の受入基準には、KPIの計算結果が基幹データと一致すること、指定した更新時刻までにデータが取り込まれること、部門・拠点ごとの権限が正しく効くこと、CSV出力や監査ログが要件どおりであること、障害時に再処理できることを含めます。「見た目が完成している」だけでは受入にならないよう、数値、速度、権限、運用の四つの観点で確認項目を作ります。
EISのRFP・要件整理には何を書けばよいですか?

RFPは、候補会社に同じ前提で提案してもらい、価格と内容を比較するための文書です。製品名や画面イメージだけでなく、背景、目的、対象範囲、現行環境、データ、利用者、非機能要件、納期、予算の考え方、提案書の形式、質問期限を記載します。自社で決め切れない項目は「提案を求める」と明記し、候補会社の設計力も評価できるようにします。
RFPには対象範囲・データ・利用者を具体的に書きます
対象範囲は、全社か特定部門か、単体かグループか、会計だけか販売・在庫・人事まで含むかを明記します。データについては、ソースシステム名、件数の規模、過去データの期間、更新頻度、接続方法、Excelの有無、データ品質の課題を記載します。利用者については、役員、事業部長、拠点長、管理職、現場、情シスなどの人数と役割を分け、誰が作成者で誰が閲覧者かを示します。
画面要件では、KPIの一覧、フィルター、ドリルダウン、予算実績差異、前年差、予測着地、アラート、コメント、定型レポート、出力可否を整理します。リアルタイムという言葉も、数分ごと、1時間ごと、日次、月次のどれを指すのかを書き換えます。曖昧な表現を残すほど、提案価格は低く見えても、要件定義後の追加費用が増えやすくなります。
非機能要件とセキュリティをRFPに含めます
非機能要件には、可用性、性能、バックアップ、障害通知、復旧目標、データ保持、監査ログ、認証、SSO、多要素認証、権限、外部共有、エクスポート制御、クラウドのリージョン、委託先の再委託、設計書やソースの引き渡しを含めます。経営情報には売上だけでなく、人件費、顧客情報、取引条件が含まれることがあるため、見られる範囲を役職・部門・拠点単位で設計してください。
Power BIのRLSは行単位で閲覧データを絞る仕組みですが、Microsoftの公式ドキュメントでは、ワークスペースの管理者・メンバー・共同作成者にはRLSの制限が適用されない点が説明されています(出典: Microsoft Learn「Power BIでの行レベルのセキュリティ」、2026年更新)。そのため、RLSを設定するだけで安全と判断せず、ワークスペース権限、列レベルの保護、エクスポート、実ユーザーによるテストをRFPと受入基準に含める必要があります。
候補会社への質問を同じ条件でそろえます
候補会社には、類似するEIS・経営ダッシュボードの実績、担当予定チーム、データ連携の方式、KPI定義への関与範囲、PoCの進め方、標準機能と個別開発の境界、プロジェクトの遅延要因、運用開始後の体制を同じ質問票で確認します。実績は導入社名だけでなく、データソース数、利用者数、期間、担当範囲、導入後の定着状況まで聞くと、自社との適合性を判断しやすくなります。
質問への回答が営業担当者だけで完結し、データモデルや運用設計を担当する人が説明に参加しない場合は注意が必要です。反対に、現行データの課題や利用部門の抵抗まで質問し、リスクと前提条件を見積書に明記する会社は、発注後の認識差を減らしやすい傾向があります。安い提案を選ぶ前に、提案の前提が他社より少なく書かれていないかを確認してください。
EIS開発の契約形態と費用相場をどう考えますか?

EISの費用は、ライセンスやクラウド利用料と、要件定義・データ連携・KPI設計・画面開発・移行・教育・保守の受託費を分けて考えます。NotebookLMの調査ノートに整理されたERP・経営管理案件と公開されたBI価格を基にした目安では、EIS単体の公定価格はなく、データソース数、KPI数、利用者数、権限、更新頻度、既存マスターの品質によって大きく変動します。以下は予算計画のための推定レンジであり、要件定義後に再算定する前提です。
初期費用はPoCで300万〜800万円程度から検討します
1〜3データソース、10〜30KPI、経営ダッシュボード1〜3画面、日次更新を想定する小規模PoCは、初期費用300万〜800万円程度、期間2〜4か月が目安です。会計・販売・営業など3〜8ソースを統合し、DWH、共通マスター、複数部門の権限、予算実績や予測まで含める部門横断EISでは、800万〜2,000万円程度、期間4〜8か月が一つの目安になります。これらは個別案件の確定価格ではなく、調査ノートのスコープ別整理に基づくレンジです。
多拠点・多法人、連結、為替、複雑な権限、監査ログ、データ品質整備、会議や計画のワークフローまで含むグループ経営EISでは、2,000万〜5,000万円以上、期間8〜18か月程度になる可能性があります。EISに加えて会計・販売・購買などのERP刷新まで行う場合は、1,500万〜4,000万円以上、半年から2年以上が目安となるケースもあります。SAPが公表した日本郵船の事例は2025年7月に会計基幹システムの刷新を稼働させた大規模事例であり、EIS単体の納期や費用として読み替えないことが重要です。
見積書ではデータ連携・画面・保守の費用を分けます
費用内訳は、要件定義・KPI設計10〜15%、データ連携・DWH20〜35%、画面・レポート開発20〜35%、テスト・移行・教育15〜25%、プロジェクト管理・セキュリティ・運用設計10〜20%程度を仮置きして比較できます。各項目は案件の重なりがあるため、合計が必ず100%になる固定比率ではありません。特にデータクレンジング、過去データの再計算、マスター統合、機密情報の権限設計は、安い初期見積もりの後から増額されやすい項目です。
Power BI Proを50人が利用する単純な例では、2,098円×50人×12か月で年間約126万円、税抜のライセンス費になります(出典: Microsoft「Power BIの価格」、2026年8月確認)。ただし、この計算には受託開発、データ基盤、クラウド容量、監視、保守、教育は含まれません。見積比較では、初期費用、ライセンス、クラウド、データ連携、追加開発、月額保守、問い合わせ対応を別々の行にしてもらうと、総額を判断しやすくなります。
要件の確定度に応じて請負・準委任を組み合わせます
準委任契約は、専門家が業務を遂行することに対して報酬を支払う形で、現行調査、KPI整理、要件定義、アーキテクチャ検討、PoCのように要件が変化しやすい工程と相性があります。成果物の完成を約束する契約ではないため、作業範囲、体制、稼働時間、定例報告、意思決定者、成果物の定義を明確にします。発注側が判断を先送りすると期間が延びやすいので、社内のレビュー日程も契約計画に含めます。
請負契約は、合意した成果物を完成させ、検査・受入を行う工程に向きます。画面一覧、KPI計算、データ連携、テスト仕様、性能、権限、納品物、検収条件、瑕疵への対応を具体化してから適用します。EISのように元データや業務ルールが不確定なまま全体を請負にすると、変更管理や追加費用の争いが起きやすくなります。実務では、要件定義・PoCを準委任、本開発を請負、保守を月額の準委任または保守契約に分ける方法が検討しやすいです。
委託先の選定と見積比較で確認すべきポイント

EISの委託先は、知名度や見積総額だけでなく、経営管理の業務理解、データ統合力、製品・クラウドの適合性、セキュリティ、プロジェクト管理、導入後の支援体制で選びます。大規模SIerが向く会社もあれば、少数のデータソースで素早くPoCを進める専門会社が向く会社もあります。自社の規模と課題に対して、提案範囲が広すぎたり狭すぎたりしないかを見極めてください。
委託先の得意領域と自社の発注範囲を合わせます
経営指標の定義や業務改革から支援してほしい場合は、経営・業務コンサルティングとシステム実装の両方を担える会社を候補にします。既存ERPやMicrosoft製品を生かすなら、その製品に精通した実装会社を選びます。複数の業務システムを横断し、DWHやデータ品質を整えるなら、データエンジニアリングの実績を確認します。独自の計画・承認機能が中心なら、業務アプリ開発と保守を継続できる会社かを確認してください。
候補会社の評価では、実績の数よりも自社との類似性を見ます。たとえば、利用者が役員中心なのか数千人規模なのか、データソースが1つなのか複数法人なのか、日次なのかリアルタイムなのか、機密情報の行レベル制御が必要なのかを比較します。IBMが公開するEtihad Airwaysの事例では、財務ダッシュボードのデータ構造・モデリング、アーキテクチャ、オンプレミスとクラウドのセキュリティルールを含む構築を9か月で完了しています(出典: IBM「Etihad社」事例、確認日2026年8月)。期間だけでなく、何を含む9か月なのかを読むことが重要です。
見積比較は総額ではなく前提・成果物・除外範囲を見ます
見積書を受け取ったら、まず対象データソース、KPI数、画面数、利用者数、更新頻度、過去データの期間、権限の粒度、テスト範囲、教育回数が同じ前提になっているかを確認します。次に、要件定義、データ連携、DWH、ダッシュボード、移行、マスター整備、セキュリティ、運用監視、保守、ライセンスが、どの費目に入っているかを確認します。「別途」「想定外」「必要に応じて」と書かれた項目は、発注前に金額または算定方法を質問してください。
価格が極端に安い場合は、要件定義、データクレンジング、受入テスト、教育、PM、障害対応が除外されている可能性があります。反対に高い見積もりでも、複数法人のマスター統合や監査要件、移行リハーサル、運用引き継ぎまで含まれていれば、単純に割高とは言えません。初期費用だけでなく、3年程度のライセンス、クラウド、保守、追加開発、内製担当者の工数を加えた総保有コストで比較します。
ロックイン・変更管理・運用分担を確認します
特定の製品や委託先に依存しすぎないため、データモデル、KPI辞書、ETL定義、画面仕様、権限設計、テスト結果、操作マニュアル、ソースや設定の引き渡し範囲を契約書または仕様書に入れます。SaaSではデータのエクスポート形式、解約後の保存期間、再利用できるデータ、値上げやプラン変更の通知条件を確認します。受託開発では、第三者のOSSや外部サービスのライセンス、再委託先、障害時の一次窓口も確認します。
運用開始後は、データ連携の監視、KPI変更の承認、ユーザー追加、権限棚卸し、月次の数値照合、障害時の復旧、問い合わせ対応を誰が行うかを決めます。RLSやSSOを設定しても、退職者の権限削除や異動時のロール変更が遅れれば、情報漏えいにつながります。自社の情シスが担う範囲と委託先に頼る範囲を、平常時と障害時に分けて運用設計へ落とし込んでください。
経営情報システム(EIS)の発注・外注でよくある質問

EISの発注では、費用や期間だけでなく、どこまで準備してから相談するか、リアルタイムが必要か、既存のExcelを移行できるかがよく質問されます。自社の状況に当てはめて判断できるよう、発注前に特に迷いやすい点を回答します。
EISの開発は中小企業でも外注できますか?
外注できます。全社の基幹システムを一度に刷新するのではなく、会計と販売の売上・粗利・予算実績など、経営判断に直結する範囲から始めると、PoCとして予算とリスクを抑えやすくなります。利用者数、データソース、KPI、更新頻度を絞り、成果を確認してから対象を広げる方法が現実的です。
EISはリアルタイム更新でないと意味がありませんか?
必ずしもリアルタイムである必要はありません。経営会議の頻度、異常を検知してから対応できる時間、元システムの更新タイミングを基準に、日次、時間単位、数分単位を選びます。更新頻度を上げると連携・監視・クラウド容量の費用が増えるため、目的に対して必要な粒度をRFPで定義してください。
Excelに散在するデータもEISへ移行できますか?
移行できる場合がありますが、ファイルの形式と管理ルールを確認する必要があります。Excelの列名、コード、更新者、計算式、重複、欠損、過去データの保管場所を調査し、EISの正式なデータソースにするファイルと、廃止するファイルを分けます。Excelをそのまま連携する場合でも、入力ルール、ファイル名、保存場所、エラー時の連絡先、最終承認者を決めないと、手作業の属人化が残ります。
EISの保守費用はどのくらい見ておくべきですか?
一律の相場はなく、ユーザー数、ライセンス、クラウド容量、データソース数、更新頻度、監視、問い合わせ、追加開発の有無で変わります。予算計画では、初期300万〜800万円程度のPoCに加えて、ライセンス・クラウド・保守を含む年間費用を別枠で見積もり、対象範囲を広げる場合の追加単価も確認します。初期費用だけでなく、3年程度の総保有コストで比較してください。
経営情報システム(EIS)の発注・外注方法まとめ

EISを発注・外注するときは、最初に製品や開発会社を決めるのではなく、経営会議で改善したい判断、KPI、データソース、利用者、更新頻度、機密区分を整理します。そのうえで、クラウドBI、パッケージ、DWH+BI、スクラッチのどの方式が適するかを比較し、まず小さなPoCで実データと利用定着を検証します。
発注前にRFPと比較基準をそろえます
RFPには、目的、対象範囲、KPI辞書、データ連携、画面、権限、セキュリティ、性能、移行、教育、運用、納期、予算の前提を記載します。見積比較では、初期開発費、ライセンス、クラウド、連携、移行、教育、保守、追加開発、除外範囲を分け、同じ前提で比較します。要件が変わりやすい上流工程は準委任、受入基準を定められる本開発は請負とするなど、工程に応じて契約を組み合わせると、発注側と委託先のリスクを調整できます。
最初の一歩は経営課題とサンプルデータの共有です
最初の相談では、現在の経営会議資料、KPI一覧、サンプルの会計・販売データ、現行Excel、利用者の役割、改善したい作業時間を共有します。候補会社がデータの品質や権限の難しさまで確認し、実現できる範囲とリスクを説明できるかを見極めてください。EISは画面を納品して終わるシステムではなく、数字の定義と意思決定の運用を継続的に改善する仕組みです。発注時から効果測定と定着支援までを範囲に含めることが、外注を成果につなげるポイントです。
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・経営情報システム(EIS)開発の完全ガイド
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
