取引先との契約を、紙に印刷して押印し、郵送して返送を待つ――こうした従来の締結プロセスを、インターネット上の電子署名に置き換える「電子契約システム」を導入したいと考える企業が急速に増えています。電子契約システムは、契約書ファイルを保管したり検索したりするための仕組みではなく、契約を「結ぶ瞬間」そのものをオンラインで完結させ、その締結が法的に有効であることを担保する技術です。具体的には、当事者本人が署名したことを証明する電子署名、その契約書が後から改ざんされていないことを証明するタイムスタンプ、なりすましを防ぐための本人確認、そして契約相手へ署名を依頼して締結完了に至るまでのワークフローといった機能で構成されます。いざ電子契約システムの導入や開発を検討し始めると、「どのくらいの期間で使えるようになるのか」「既製のクラウドサービスを契約すればすぐ締結できるのか、それとも自社の承認フローに合わせた開発が必要なのか」「取引先にも使ってもらう必要があるが、そのぶん時間がかかるのではないか」といった疑問に直面する担当者が少なくありません。
本記事では、電子契約システム開発の開発期間・スケジュール・納期に焦点を当て、導入形態別(SaaS・パッケージ・フルスクラッチ)の期間の目安、要件定義から本稼働までの工程別の期間配分、電子署名の方式選定・タイムスタンプ付与・本人確認(eKYC)・締結ワークフロー設計といった電子契約システム特有の工程が納期に与える影響、そして納期遅延の典型要因と対策までを、具体的な数値とともに体系的に解説します。なお、締結が済んだ契約書を一元的に保管し、更新日・満了日を管理してアラートを出す用途は「契約管理システム」の役割であり、電子契約システムで締結した契約書は、その後こうした契約管理システムに引き渡して保管・期限管理されるという関係にあります。本記事はあくまで、契約を電子的に「締結する」までのプロセスにフォーカスして解説します。
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・電子契約システム開発の完全ガイド
電子契約システム開発の開発期間の全体像

電子契約システムの開発期間は、どの導入形態を選ぶか、どの電子署名方式を採用するか、そして取引先にどこまで対応を求めるかによって大きく変わります。全体像としては、クラウド型のSaaSをそのまま契約して利用する場合の最短即日〜数週間から、自社サーバーにパッケージを構築する場合の数ヶ月〜半年、独自の締結フローや高度なセキュリティ要件に合わせてゼロから作るフルスクラッチ開発の半年〜数年まで、非常に幅の広いレンジになる点をまず押さえておく必要があります。電子契約システムは、電子署名を付与する、タイムスタンプで非改ざん性を証明する、本人確認でなりすましを防ぐ、署名依頼から締結完了までをワークフローで回す、といった機能の組み合わせで構成されており、これらの機能自体はSaaSであれば標準で組み込まれています。したがって、システムを「作る」時間よりも、自社の承認フローに合わせる調整と、契約相手である取引先に使ってもらうための合意形成に、どれだけの時間を見込むかが、現実的なスケジュールを描くうえでの鍵になります。まずは自社が目指す電子契約システムがどのレンジに該当するかを見極めることが、計画の第一歩です。
なぜ電子契約システムは開発期間に幅が出るのか
電子契約システムの開発期間が読みにくい最大の理由は、完成度が「機能を実装したかどうか」だけでなく「契約の相手方である取引先に、その締結方式を受け入れてもらえているか」に左右されるためです。契約書を保管したり検索したりする社内システムであれば、稼働のゴールは自社の中で完結します。しかし電子契約は、必ず相手が存在する双方向のプロセスであり、自社が電子で締結したいと思っても、取引先が「押印した紙でないと社内規定上受け付けられない」「電子署名の法的有効性に不安がある」と考えていれば、そのまま運用を始めることはできません。実際、電子契約の普及を推進するJIPDEC(日本情報経済社会推進協会)の調査でも、電子契約導入後の最大の課題として「取引先に電子契約への対応を依頼する際の説明や調整負荷が大きい」が最も多く挙げられており、その割合は37.3%に上ります。つまり電子契約システムのスケジュールは、システムを構築する技術的な工数よりも、電子署名の法的な仕組みを社内外の関係者に理解してもらい、締結方式について合意を形成する「社外調整のリードタイム」に引っ張られやすいという特徴があります。この点が、社内で完結する多くの業務システムとの決定的な違いです。
導入形態・規模別の開発期間の目安
導入形態別に整理すると、まずクラウド型の電子契約SaaS(クラウドサインや電子印鑑GMOサインなどに代表されるサービス)をそのまま契約して利用する場合は、インターネット経由でベンダーの環境を使うためサーバー構築が不要で、初期費用0円で手軽に始められるのが一般的です。導入期間の目安は最短即日〜数週間で、電子署名やタイムスタンプといった法的に重要な機能があらかじめ標準で組み込まれているため、アカウントを発行すればその日のうちに試験的な締結を行うことも可能です。ただし、社内の運用規定(どの契約類型を電子化するか、承認をどう回すか、誰が送信権限を持つか)の策定や、ベンダーの導入支援パッケージを利用する場合の準備には、数週間程度かかることがあります。次に、自社サーバーやプライベートクラウドにパッケージ製品を構築するオンプレミス型・パッケージ型の場合、ライセンス購入とサーバー構築・設定に加え、既存の基幹システムとの高度な連携などを行うと数十万円から数百万円規模のカスタマイズ費用と開発期間が発生し、導入期間の目安は数ヶ月〜半年程度となります。そして、既製のツールを使わず独自の締結フローや高度なセキュリティ要件を満たすためにゼロから構築するフルスクラッチ開発では、ディレクター1名、デザイナー1名、エンジニア2名程度が最小構成の目安となり、要件が複雑になるほど開発規模は大きくなるため、半年〜数年単位の期間を要します。重要なのは、この期間差の多くが、後述する電子署名方式の選択と取引先調整、そしてタイムスタンプや本人確認の実装レベルによって生まれるという点です。
電子契約システム構築の工程別スケジュールと期間配分

中規模のカスタマイズ開発(パッケージのカスタマイズ、あるいは部分的なフルスクラッチ)を想定した場合、電子契約システム構築の標準的な工程は「要件定義・署名方式選定・法要件整理」「締結ワークフロー設計」「電子署名・タイムスタンプ・本人確認機能の実装」「基幹・契約管理システム連携」「テスト・取引先展開・運用準備」の5工程に大別されます。工程ごとの期間配分の目安を理解しておくと、開発会社から提示された見積もりが妥当かどうかを判断しやすくなります。電子契約システム特有の事情として、署名方式の選定と法要件の整理という上流工程、そして取引先を巻き込むテスト・展開工程の2つがスケジュール全体の重みを持ち、ここに十分な期間を確保できているかがプロジェクトの成否を分けます。単に画面を作るだけでなく、その締結が法的に有効であることをどう担保し、相手方にどう使ってもらうかまでを含めて工程を組む必要がある点が、電子契約システムの計画の難しさです。
要件定義・署名方式選定・法要件整理フェーズ(前半)
要件定義フェーズは通常2〜4週間を要し、電子化の対象とする契約類型の範囲(業務委託契約・売買契約・雇用契約など、どこから電子化するか)の確定、電子署名の方式(当事者型か立会人型か、あるいは併用か)の選定、そして満たすべき法要件(電子署名法に基づく本人性・非改ざん性の担保、電子帳簿保存法が求める真実性・可視性の確保)の整理を行います。電子契約システムの上流工程が一般的な業務システムと大きく異なるのは、この「署名方式の選定」と「法要件の整理」が最初に来る点です。当事者型は当事者本人が電子証明書を用意して署名するため本人性の確実性が高い一方、相手方にも証明書の準備を求めます。立会人型は電子契約事業者がメール認証などを介して代わりに署名を付与するため相手の負担が軽く、現在の主流となっています。どちらを選ぶか、あるいは契約の重要度によって使い分けるかによって、後続の実装内容と取引先への説明の重さが変わるため、ここを最初に固めることがスケジュール全体の前提になります。あわせて、法務部門と連携して電子署名法・電子帳簿保存法への準拠方針を確定し、社内規程(電子契約を正式な締結手段として認める押印規程の改定など)の見直しに着手しておくことが、後半で手戻りを防ぐ最大の予防策です。
電子署名・タイムスタンプ実装〜締結ワークフロー〜テストフェーズ(後半)
署名方式と法要件が固まったら、電子署名・タイムスタンプ・本人確認機能の実装フェーズに移ります。選定した方式に沿って電子署名を付与する仕組み、契約書が締結後に改ざんされていないことを証明するタイムスタンプの付与、そして立会人型であればメール認証、より厳格な確認が必要なら本人確認(eKYC)を組み込みます。SaaSを利用する場合、これらの機能は標準で組み込まれているため実装工数はほとんど発生しませんが、フルスクラッチや高度なカスタマイズでは、外部の認定タイムスタンプ局との連携や暗号化技術の組み込みに相応の期間が必要です。続く締結ワークフロー実装フェーズでは、社内の稟議・承認を経てから相手方へ署名を依頼し、相手方が署名して締結が完了するまでの一連の流れを設計・実装します。三者間以上の契約に対応するための署名順序制御や、未署名の相手への自動リマインド、進捗のオンライン可視化なども、電子契約システムならではの実装ポイントです。最後にテスト・取引先展開・運用準備フェーズで、実際の契約書サンプルを使った締結テスト、電子署名・タイムスタンプが正しく付与されるかの法的有効性の確認、そして一部の取引先に協力してもらうパイロット締結を経て、対象範囲を段階的に広げていきます。この取引先を巻き込むテスト工程を軽視すると、本番展開後に「相手が操作に迷う」「合意が得られない」といった問題が噴出するため、十分な期間の確保が欠かせません。
署名方式・本人確認・タイムスタンプ実装が納期に与える影響

電子契約システムの納期を語るうえで避けて通れないのが、契約の法的有効性を担保するための技術要素、すなわち電子署名の方式選択、本人確認の厳格さ、そしてタイムスタンプによる非改ざん性の証明です。これらは契約書を「保管する」システムには存在しない、契約を「締結する」システム固有の要素であり、どのレベルまで作り込むかがスケジュールを大きく揺らします。ここでは、期間に直結する2つの論点を掘り下げます。
当事者型・立会人型の選択と取引先調整というリードタイム
電子署名の方式選択は、開発期間に最も大きく影響する要素です。立会人型(事業者署名型)を採用する場合、電子契約事業者が当事者に代わって署名を付与し、メールに記載された固有URLへのアクセスなどで本人確認を行うため、契約相手は電子証明書を準備する必要がありません。相手方にシステム利用料などの費用負担をかけないケースが多く、同意が得やすいため、導入から実際の運用開始・契約締結までの期間を劇的に短縮できます。一方、当事者型(ローカル署名型)は、当事者本人が認証用の電子証明書(ICチップ入りカード等)を準備して自ら署名する方式で、より高い本人性の確実性を持ちますが、相手方も当事者型のシステムや電子証明書を用意する必要があり、費用もかかることがあります。前述のJIPDEC調査で導入後の最大の課題が「取引先への説明・調整負荷(37.3%)」であったように、当事者型を全面採用すると、取引先ごとに証明書の準備や社内承認を依頼する調整が発生し、事前の社外調整や理解獲得に多大な時間を要して実稼働までの期間が長期化します。納期を優先するなら、まずは相手方の負担が軽い立会人型で早期に運用を立ち上げ、高い証拠力が求められる重要契約に限って当事者型を併用するという段階設計が、期間短縮とリスク管理を両立させる現実的な打ち手になります。
タイムスタンプ・長期署名(LTV)・eKYC実装が期間に効く理由
非改ざん性を証明するタイムスタンプと本人確認の実装レベルも、期間を左右する要因です。電子契約において、文書が改ざんされていないことを証明するためにはタイムスタンプが必須であり、加えて長期間にわたる契約の証拠力を維持するには、電子証明書の有効期限(通常は数年程度)を超えて証拠力を保つ「長期署名(LTV)」技術が用いられます。実際、電子証明有効期限を10年標準で付与するシステムや、LTVの導入により長期契約に対応するシステムも存在します。SaaSを利用する場合、これらの機能は標準で組み込まれているため導入期間への影響はありませんが、フルスクラッチで独自の電子契約システムを構築し、総務大臣等の認定を受けた外部の認定タイムスタンプ局(TSA)とのAPI連携や、PAdESなどの長期署名フォーマットを独自実装する場合、暗号化技術の組み込み、法要件のクリア、認証テストに高度な技術が求められ、開発期間が数ヶ月単位で長期化する大きな変数となります。本人確認についても同様で、立会人型の簡易なメール認証で済ませる場合は実装や運用に時間はかかりませんが、なりすまし防止のために独自のeKYC(オンラインでの身分証・顔写真による本人確認API)を組み込む場合、外部ベンダーとのAPI仕様のすり合わせ、セキュリティテスト、個人情報の安全な保管要件(暗号化等)の設計が必要となり、設計・開発・テスト期間を大きく延ばす要因となります。どこまでの証拠力・本人確認精度が自社の契約に本当に必要かを見極め、過剰な作り込みを避けることが、納期を守るうえで重要です。
導入形態による期間の違いと早期稼働の勘所

電子契約システムの開発期間は、どの導入形態を選ぶか、そしてどの契約類型から使い始めるかによっても大きく変わります。まずは押印・郵送の手間をなくして締結を早めたいのか、全社のあらゆる契約を電子化して統制したいのかによって、適した進め方は異なります。
SaaS型・パッケージ型・フルスクラッチの立ち上げ速度の違い
クラウド型の電子契約SaaSを使えば、アカウント発行と送信者・承認者の基本設定を済ませるだけで、最短即日〜数週間のうちに締結を開始できます。電子署名やタイムスタンプ、立会人型の本人確認といった法的に重要な機能が標準で組み込まれているため、専門のエンジニアがいなくても着手でき、まずは「押印と郵送をなくして締結リードタイムを短縮したい」というニーズに素早く応えられます。一方、自社サーバーにパッケージ製品を構築するオンプレミス型は、ライセンス契約とサーバー構築・設定を経るため数ヶ月〜半年を要しますが、社内のセキュリティポリシーへの適合や既存システムとの連携の自由度は高まります。そして、独自の締結フローや高度なセキュリティ要件を完全に自社仕様で作り込むフルスクラッチ開発は、半年〜数年を要しますが、自社の契約実務に完全に最適化されたシステムを構築できます。ただし、電子契約は法制度と暗号技術が密接に絡むため、フルスクラッチは法改正対応の負担も自社で背負うことになります。実務上有効なのは、まずSaaSの無料トライアルで自社に合う運用イメージと取引先の反応を確かめ、標準機能の限界が見えた段階で段階的にカスタマイズやAPI連携へ拡張するという進め方です。この方法は、初期の立ち上げを高速化しながら、将来的な本格運用への到達も両立させられます。
対象契約類型を絞った段階的稼働でクリティカルパスを短縮する
電子契約システムのスケジュールを圧縮するうえで効果的なのが、全契約類型・全取引先への一斉展開を待たずに使い始める段階的な稼働です。すべての契約類型を対象にし、すべての取引先の合意を取り付けてから運用を始めようとすると、取引先調整がクリティカルパスとなって全体が長引きます。そこで、まずは「電子化のハードルが低い契約類型」から始めるのが定石です。具体的には、自社と相手方の力関係で自社が主導しやすい業務委託契約や、締結頻度が高くて効果が出やすい注文書・発注請書、あるいは社内で完結する雇用契約や秘密保持契約などから電子化を始め、相手方の理解獲得に時間がかかる大口取引先との基本契約は並行して交渉を進めていくアプローチが有効です。これにより、最も効果の出やすい「締結リードタイムの短縮」という価値を早期に得ながら、時間のかかる取引先調整を後追いで進められます。もう一つの並行化のポイントは、法務部門が社内規程の改定と取引先への説明資料の準備を進めている間に、エンジニアは締結ワークフローの実装や基幹システムとのAPI連携を先行して開発しておくことです。互いの成果物が揃うタイミングを見計らって結合するこの進め方は、クリティカルパスになりやすい社外調整と機能実装を無理なく短縮する現実的な打ち手になります。
納期遅延の典型要因と対策

ここまで見てきた期間・工程を理解していても、電子契約システム特有の遅延要因を放置すればスケジュールは簡単に崩れます。電子契約システム構築で納期が計画を超過する主な原因は、取引先の合意形成不足、法要件・社内規程の整備遅れ、そして基幹システム連携やタイムスタンプ・本人確認の実装の見込み違いの3つに集約されます。
取引先の合意形成不足による稼働遅延
最も多い遅延要因は、システムは完成しているのに、契約相手である取引先の合意が取れず締結が始められないことです。「システムを導入すればすぐに電子で締結できるだろう」という見込みで進めると、いざ運用開始の段になって、取引先から「電子署名の法的有効性を社内で確認したい」「うちは紙の押印契約でないと受け付けられない」「操作方法がわからない」といった反応が次々と返ってきて、締結が止まってしまいます。電子契約は相手が存在する双方向のプロセスであるため、自社の準備が整っていても、相手の受容がなければ価値は生まれません。対策としては、要件定義の段階で取引先への説明・合意形成を独立したタスクとしてスケジュールに明示し、電子署名の法的根拠(電子署名法による真正な成立の推定)や相手方の操作手順をまとめた説明資料を早期に用意しておくことが有効です。加えて、相手方がアカウント登録なしで署名できる立会人型を基本に据えれば、取引先の心理的・手続き的なハードルを大きく下げられます。まずは協力的な取引先数社とパイロット締結を行い、想定される質問や操作上のつまずきを洗い出しておけば、本格展開での想定外の停滞を大幅に減らせます。
法要件・社内規程の整備遅れと連携の見込み違い
もう一つの典型的な遅延要因は、法要件と社内規程の整備を後回しにしてしまうことです。電子契約は電子署名法・電子帳簿保存法という法制度の上に成り立つため、システムを技術的に構築できても、社内の押印規程や文書管理規程が紙の押印を前提にしたままだと、電子で締結した契約書を正式なものとして扱えず、運用開始が止まります。とくに電子帳簿保存法が求める、取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態での保存要件を満たしていないと、税務上の要件を欠くことになりかねません。対策は、要件定義と並行して法務・経理部門を巻き込み、押印規程の改定と保存要件への対応方針を早期に確定しておくことです。あわせて注意したいのが、基幹システムとの連携やタイムスタンプ・本人確認の実装を軽く見積もってしまうケースです。会計・販売管理システムとの契約データ連携や、外部の認定タイムスタンプ局・eKYCサービスとの連携は、連携先の仕様やAPI制限によって想定外の調整が発生しやすく、この工程を要件定義段階で十分に調査せずに着手すると、テスト工程で不具合が発覚して大幅な手戻りにつながります。連携が必要なサービスについては、着手前に技術的な実現可能性を確認する調査工程を見積もりに含めておくことが、納期遵守の観点で有効な対策です。
まとめ

本記事では、電子契約システム開発の開発期間・スケジュール・納期について、導入形態別の期間目安、工程別の期間配分、電子署名の方式選定・タイムスタンプ付与・本人確認(eKYC)といった電子契約システム特有の工程が納期に与える影響、導入形態による期間の違いと早期稼働の勘所、そして納期遅延の典型要因と対策までを体系的に解説しました。開発期間の目安はSaaS型で最短即日〜数週間、パッケージ型で数ヶ月〜半年、フルスクラッチで半年〜数年であり、要件定義・署名方式選定・法要件整理、締結ワークフロー設計、電子署名・タイムスタンプ・本人確認の実装、基幹・契約管理システム連携、テスト・取引先展開・運用準備という工程配分が一つの基準になります。契約書を保管する契約管理システムと異なり、電子契約システムは相手が存在する双方向のプロセスであるため、システムを作る工数よりも、電子署名方式の選択と取引先の合意形成、そして法要件・社内規程の整備がスケジュールを大きく左右します。相手方の負担が軽い立会人型を基本に据える、電子化しやすい契約類型から段階的に稼働させる、法務・経理を巻き込んで規程と保存要件を早期に固める、という3点を押さえることが、無理のない納期設定とリスク管理を両立させる鍵となります。なお、こうして電子的に締結された契約書は、その後に契約管理システムへ引き渡して保管・期限管理するのが一般的な運用の流れです。具体的なスケジュールの相談は、複数の開発会社に自社の契約類型と取引先の状況、求める証拠力のレベルを提示して見積もりを取ることから始めることをお勧めします。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
