電子契約システムの費用は、月額数千円〜十万円以上、送信料0円〜242円程度の幅があり、締結件数や署名方式、必要機能によって変わります。
月額料金、署名や本人確認の費用、法改正への対応の順に見ると、内訳がつかみやすくなります。全体像は電子契約システム開発の完全ガイドもご覧ください。
▼全体ガイドの記事
・電子契約システム開発の完全ガイド
・業務システム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「業務システム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
・スクラッチシステム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「スクラッチシステム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
電子契約システムのランニングコストの全体像

電子契約システムでは、利用権の費用に加えて、契約を締結するたびに費用が発生します。クラウド型の多くは、月額基本料金に送信従量課金を加えた料金体系です。
送信料には、締結ごとに発生する処理コストが反映されています。具体的には、電子署名の付与やタイムスタンプの発行にかかる費用です。また、当事者型署名や厳格な本人確認(eKYC)を使う場合には、追加費用がかかることもあります。
電子帳簿保存法や電子署名法の改正に伴う改修は、クラウド型であれば基本的に月額料金の中でベンダーが対応します。そのため、利用者が追加の保守費用を負担する必要はありません。
見積もりを比べるときは、月額基本料金と送信従量課金の2つを基準にします。そのうえで、本人確認や当事者型署名の費用が別にかかるか、法改正への対応が月額料金に含まれるかを確認しておけば、後から想定外の出費が見つかる事態を防げます。
初期費用とランニングコストの考え方
クラウド型は初期費用0円で導入できるサービスが一般的です。サーバーを自社で構築する必要がないため、アカウントを発行すればすぐに締結を始められます。
費用を見積もるときは、初期費用よりも毎月の基本料金と送信件数に応じた従量課金に目を向けます。両者の合計を出すには、自社の月間・年間の締結件数を見込んでおく必要があります。
- 締結件数が少ない場合:費用の大半は月額基本料金が占めます。
- 締結件数が多い場合:送信従量課金の比重が高まり、料金体系の違いが総コストを左右します。
既存の基幹システムと高度に連携するオンプレミス型やフルスクラッチでは、初期カスタマイズに数十万円から数百万円かかります。さらに、導入後もサーバーの維持や法改正に伴う改修の費用が続いて発生します。
自社の締結件数と必要な機能をもとに、クラウド型の従量課金で運用するか、自社開発で保守運用費用を負担するかを決めます。
契約管理システムのランニングコストとの違い
両システムは、費用が増える要因も課金の単位も異なります。見積もりでは、この違いを比べながら確認します。
- 契約管理システム:保管件数・容量・ユーザー数に応じて月額料金がかかり、保管件数の増加に伴って費用も緩やかに増えます。
- 電子契約システム:1件ごとの送信従量課金があり、月々の締結件数によって費用が変動します。
両システムは、契約業務を支える役割として併用されることがあります。たとえば、電子契約システムで締結した書類を契約管理システムに渡し、保管や期限管理を任せる使い方があります。
費用を見積もるときは、両者の課金の考え方を分けて捉えることが大切です。特に、締結行為に対してかかる送信料は、電子契約システムならではの費目として切り分けて確認します。
クラウド型電子契約サービスの月額料金と送信従量課金
クラウド型の費用は、月額基本料金と送信件数に応じた従量課金の2つで構成されます。まず、それぞれの相場を金額で確認し、次に自社の締結件数に合う課金体系を考えます。
月額基本料金の相場
クラウド型は初期費用0円が多い一方で、月額基本料金は数千円から十万円以上まで幅があります。主流の価格帯は、月額1万円〜3万円程度です。
基本料金には、電子署名とタイムスタンプによる非改ざん性の証明のほか、締結ワークフローや締結済み文書の保管・検索なども含まれるのが一般的です。
料金プランは、機能の範囲、ユーザー数、保管文書数などに応じて分かれます。承認ワークフローの複雑さも、プランを分ける要因になります。なお、小規模なプランから始め、利用が広がったあとに上位プランへ移る方法もあります。
- 送信件数:基本料金に含む件数と無料送信の上限
- 利用人数:料金内で利用できるユーザー数
- 法対応:電子帳簿保存法対応の目安となるJIIMA認証の有無
必要な機能が上位プランにしか含まれない場合や、送信上限が低い場合には、基本料金が安くても総コストが高くなることがあります。そこで、締結件数と必要な機能を洗い出し、過不足のないプランを選ぶことが欠かせません。
1件あたりの送信料(送信従量課金)の相場
契約書を1件送信して締結するごとにかかる送信料は、契約管理システムにはない費目です。税込110円〜220円程度が平均的な相場です。
たとえば、電子印鑑GMOサインの送信単価は110円、クラウドサインの送信料は242円という水準が知られています。一方で、マネーフォワード クラウド契約は送信料0円で、paperlogic電子契約には送信料がかからない固定料金制があります。
送信料の有無や単価は、締結件数が多い企業ほど総コストに響きます。月間数件であれば1件220円でも負担はわずかですが、月間数百件になると、課金体系の違いが年間数十万円規模の差につながります。
- 件数が少ない場合:従量課金型が候補として挙がります。
- 件数が多く安定する場合:送信料が定額または0円の固定料金型を候補にできます。
まず、月間・年間の締結見込み件数を明確にしたうえで、自社の締結パターンに合う課金体系を選ぶことが大切です。
電子署名・タイムスタンプ・本人確認にかかるコスト
費用を正確に見積もるには、署名方式、タイムスタンプ、本人確認のそれぞれについて金額を把握しておく必要があります。これらは、契約書保管システムにはない、締結を担う電子契約システム固有の費目です。署名方式による費用の違いと、本人確認や長期署名にかかる費用は、分けて見ていくと整理がつきます。
立会人型署名・タイムスタンプは基本料に内包、当事者型は証明書費用
クラウド型の多くは、立会人型(事業者署名型)の電子署名やタイムスタンプを、月額基本料金か送信料のどちらかに含めています。そのため、立会人型では基本的に、送信料を払えば署名とタイムスタンプまで利用できます。
paperlogic電子契約のように送信料がかからないサービスでは、月額料金の中で締結、署名、タイムスタンプを賄います。
当事者型(ローカル署名型)では、当事者本人が電子証明書を用いて署名するため、自社の電子証明書の費用がかかります。さらに、相手方の証明書発行費用がかかる場合もあるので、追加コストとして見積もりに含める必要があります。
なお、セコムWebサインのように、自社の認証局を利用して証明書の発行料金を0円にするサービスもあります。証明書費用の負担はサービスごとに異なるので、見積もりの段階で確認しましょう。
- 日常的な契約:基本料内で使える立会人型を利用する
- 証拠力を重視する重要契約:当事者型の利用を検討する
このように、契約の重要度に応じて署名方式を使い分けると、コストと安全性のバランスを取りやすくなります。
本人確認(eKYC)の従量コストと長期署名(LTV)の維持
金融機関と同レベルの本人確認機能を備えるサービスもあります。ただし、従量課金額はサービスや利用形態によって異なるため、必要な精度を見極め、過剰な確認による費用増を避けることが求められます。
- メール認証:立会人型で使う複製不可の固有URLによる確認は、一般に基本料や送信料の範囲内です。
- 厳格なeKYC:身分証や顔写真を使う場合、別途従量コストが発生することがあります。
- 長期署名(LTV):契約の証拠力を長く保つ仕組みで、数年程度の有効期限を超えて証拠力を維持するにはLTV技術が必要になります。
- 長期保存費用:有効期限10年のサービスもあります。多くのクラウドでは月額内ですが、文書数や期間によってストレージ費用が加算される場合があります。
法改正対応・自社開発の保守運用費用

電子契約システムは、電子署名法や電子帳簿保存法に基づいて成り立っています。法改正への対応費用を誰が負担するかは、長期の費用を見積もるうえで見落とせない点です。
この負担は、クラウド型を選ぶか自社開発を選ぶかで大きく変わります。費用構造を比べる際の大きな分かれ目になります。
法改正対応はSaaSなら月額内で自動対応
SaaSの法改正対応では、保存要件を押さえたうえで、費用の負担と対応状況を確認します。
電子帳簿保存法は近年たびたび改正され、電子取引データの保存要件も見直されてきました。具体的には、取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態を保つことが要件に含まれます。
タイムスタンプの付与や訂正削除履歴による真実性の確保も、保存要件の一部です。
- 改修費用:自社で改修すると大きな負担になりますが、ベンダーが最新要件に対応し、利用者は月額内で使えます。追加の保守費用は基本的に不要です。
- 対応状況:月額料金を払う間は法対応済みで利用でき、負担を避けたい企業にはクラウド型を選ぶ理由になります。JIIMA認証も目安です。
フルスクラッチ・オンプレの保守運用費用
導入後の費用を見積もるときは、保守料率の目安と法改正時の負担を分けて確認します。
- 初期・保守費用:高度な基幹連携を伴うオンプレミス導入では、初期カスタマイズに数十万円から数百万円かかる事例があります。保守運用も法改正を含めて自社負担です。
- 保守料率の参考例:買い切り型ワークフローシステムでは、初期ライセンス費の年間15%程度が保守料の例です。
- 法改正対応:自社開発では改修費と期間が追加になり、SaaSは月額内で済みます。内製費を保守費に含め、長期の総保有コストで比べます。
電子契約システム単体のオンプレミス版では、保守料率の一律の相場を示しにくいのが実情です。そこで参考として、関連する買い切り型ワークフローシステムの例を見ると、初期費用240万〜360万円に対し、年間保守費用は36万〜54万円です。
買い切り型ワークフローシステムの例は、あくまで目安として捉えてください。
電子契約システムの運用コストを最適化するポイント

運用コストを抑えるには、料金体系を締結パターンに合わせることと、削減できる費用を差し引いて費用対効果を評価することが大切です。
締結件数と課金体系のマッチング
月額基本料金と送信従量課金の組み合わせは、締結件数の見込みによって適したプランが変わります。そのため、自社の件数に課金体系を合わせることが、費用を抑える近道になります。
- 月間件数が少ない企業:月額基本料金が安い従量型が有利です。
- 月間数百件を安定して締結する企業:送信料が定額または0円の固定料金型なら、件数が増えても費用が跳ね上がりません。
導入前には、過去1年間の締結件数を契約類型ごとに整理し、電子化する対象の月間件数を見積もります。そのうえで、複数サービスの年間総額を「基本料金+送信料×想定件数」で試算して比べます。
当事者型署名や厳格なeKYCは、必要な契約に限って使います。一方、日常的な契約は、基本料金の範囲に収まる立会人型で締結します。件数と機能要件の両面から見れば、過不足のないプランを選べます。
印紙税・郵送費削減とのトータルコスト比較
電子契約システムの料金は、紙で締結していた費用を置き換えるものとして捉えられます。そこで、削減できる費用を洗い出し、月額料金や送信料と比べます。
- 印紙税:契約金額に応じて発生します。月20件の電子化例では年間48万円の削減になります。
- 郵送・資材費:郵送費や封筒・用紙などが対象です。月20件の例では年間12万円の削減になります。
- 作業人件費:印刷・封入・投函・ファイリングにかかります。月20件の例では年間36万円の削減になります。
- 削減額の合計:月20件の電子化で、年間約96万円の効果が見込めるとする試算があります。
この削減額と、月額料金・送信料の年間総額を比べれば、実質的な費用対効果がつかめます。特に、印紙税は契約金額が大きいほど高くなるため、高額契約を多く扱う企業ほど電子化による削減効果が大きくなります。
まとめ
電子契約システムの主な費用は、クラウド型の月額基本料金と送信料、署名や本人確認の追加費用、保守運用費用に分けられます。月額基本料金は1万円〜3万円程度が主流で、送信料は0円〜税込242円程度です。
契約管理システムと違い、電子契約システムでは締結のたびに送信従量課金がかかります。
立会人型署名やタイムスタンプは基本料や送信料に含まれることが多いです。また、当事者型やeKYCでは追加費用が生じる場合があります。
SaaSは法改正対応を月額内で行う一方、自社開発では改修コストを自社で負担します。そのうえで、締結件数に課金体系を合わせ、必要な機能に絞り、印紙税・郵送費・人件費の削減も含めた総額で評価しましょう。
締結後の契約書を長期保管して期限を管理するには、契約管理システムを併用するのが一般的です。具体的な費用の試算は、自社の月間締結件数と必要な機能を複数のサービスに伝えて、見積もりを取ることから始まります。
▼全体ガイドの記事
・電子契約システム開発の完全ガイド
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
