イベント管理システム開発の完全ガイド

イベント管理システムの開発は、流れや開発会社の選び方、費用相場、発注方法を押さえると全体像がつかめます。

  • 対象:セミナーや展示会、社内イベント、カンファレンスなど、あらゆるイベントの企画から運営までを支えるシステムです。
  • 管理の範囲:企画や運営に加えて、事後フォローまでを一元的に管理できます。

申込から当日受付、アンケート収集まで複数の業務を統合的にデジタル化し、工数削減と参加者体験の向上を同時に実現できます。近年は、オンラインやハイブリッドの普及で需要が急拡大し、カスタム開発への注目も高まっています。

開発の進め方、開発会社の選び方、費用相場は、それぞれ次の記事で詳しく解説しており、詳細はそれぞれのページでご確認いただけます。

発注・外注の方法は、別の記事で扱っています。

イベント管理システム開発の進め方

MVPを先に公開し、利用者の声を受けて機能を広げる段階的な開発の循環図
小さく公開し、利用者の反応を次の機能に反映します。

開発フローの全体像

イベント管理システムの開発も、一般的なシステム開発と同じく「要件定義→設計→開発→テスト→リリース→運用保守」の順に進みます。

  • 要件定義:漏れや曖昧さが残ると、後の工程で仕様変更が重なり、コストと期間が大きく膨らみます。
  • 出発点:関係者に丁寧にヒアリングし、業務フローを一覧にして優先度を整理することが、プロジェクト成功の第一歩です。
  • 設計の中身:システム構成の選定、データベース設計、画面設計(UI/UX)を行います。

イベント管理システムは参加者の個人情報を大量に扱うため、セキュリティ要件の策定や個人情報保護法への準拠は、早い段階から検討しておく必要があります。

要件定義では、セミナー・展示会・社内イベントなど、どのようなイベントを対象にするのかを決めます。あわせて、何名規模のイベントに対応するかと、オンライン・オフライン・ハイブリッドのどれに対応するかも明確にします。

イベント管理システムでは、参加者が迷わず申し込める操作性と、運営側が参加者情報を効率よく管理できる管理画面の両立が求められます。さらに、クラウド環境を前提に設計すると、イベント当日のアクセス集中にも柔軟に対応できる拡張性を確保できます。

各フェーズのポイント

開発フェーズでは、アジャイル開発を採用することが多く、短い期間でリリースを繰り返しながら、システムを段階的に完成させていくのが主流です。

  • 段階的な公開:MVP(最小限の機能を持つ製品)を先に公開し、実際の利用者の声をもとに機能を広げていくと、使いやすいシステムに育てていけます。
  • テストの範囲:機能テスト・負荷テスト・セキュリティテストを行います。中でも、申込が集中する時間帯を想定した負荷テストは欠かせません。
  • 事前の備え:人気のイベントは申込開始直後にアクセスが集中するため、サーバーダウンのリスクを事前に取り除いておく必要があります。

個人情報を扱うシステムでは、不正アクセスや情報漏えいを防ぐためのセキュリティテストも、しっかり行うことが求められます。

リリース後の運用保守では、システムを安定して稼働させながら、利用者からのフィードバックを集めて機能改善を続けていきます。

イベント管理システムは、構築した後も更新を重ねることで長く価値を発揮します。イベントの流行や参加者のニーズは変わるため、それに合わせて機能を見直していく必要があります。

▶ 詳細はこちら:イベント管理システム開発の進め方の記事をご覧ください。

ポイント

迷ったときは、要件定義で対象とするイベントの種類・規模・開催形式を先に決めておくと、後の仕様変更や費用の膨らみを抑えられます。

イベント管理システム開発でおすすめの開発会社

イベント管理システム開発会社を選ぶときに確認する技術力、業務知識、開発経験、社内体制、保守・運用サポート体制の図解
運用開始後の支援体制も比較対象です。

開発会社選びの重要ポイント

イベント管理システムの開発会社を選ぶときは、エンジニアリングの技術力に加えて、イベント運営の業務をどこまで理解しているかも見ておく必要があります。中でも、イベント運営の業務知識があるかは重要です。

  • 業務知識の深さ:イベント管理の業務への理解が深い会社であれば、要件定義の段階から的確な提案が受けられ、仕様の抜け漏れも少なくなります。
  • 過去の開発経験:イベント管理システムや類似システムの開発実績があるかを、まず確認しましょう。
  • 社内の体制:アジャイル開発かウォーターフォール開発か、プロジェクトマネージャーやデザイナーが社内にいるかどうかも、開発の進めやすさに影響します。

ポートフォリオや事例を見せてもらい、想定するイベント規模・業種・形式に近いプロジェクトを手がけているかを見極めることが重要です。そのうえで、開発手法と体制も確かめておくことが大切です。

また、開発後の保守・運用サポート体制も、重要な選定基準です。イベント当日に障害が起きたときに迅速に対応できるかを事前に確かめておけば、本番のリスクを小さく抑えられます。

発注側は、問い合わせ対応の時間帯、緊急時の連絡方法、SLA(サービスレベル合意)の有無などを事前に確認します。

優良パートナーの見極め方

優良な開発会社を見極める方法としては、最初の打ち合わせ(ヒアリング)の質に注目するのが効果的です。

  • 深掘りする姿勢:要望を聞くだけでなく、業務課題の本質まで掘り下げて質問し、より良い解決策を自分から提案してくる会社は、信頼できるパートナーです。
  • 表面的なヒアリング:要望をそのまま仕様書に写すだけの会社は、開発の完了後に「使いにくい」「想定と違う」という事態を招きやすいため、注意が必要です。
  • 見るべき点:価格のほかに、提案の質、やり取りのスムーズさ、担当者の専門性も合わせて判断することが、プロジェクト成功への近道です。

複数の会社から相見積もりを取ることも大切です。費用の相場感をつかめるほか、各社の提案の違いを比べることで、自社に合うパートナーを見つけやすくなります。

さらに、過去のクライアントの評判や口コミも判断材料になります。開発会社のウェブサイトに載っている導入事例や、第三者の口コミサイトのレビューを参考にするとよいでしょう。これにより、実際の対応品質や成果物のクオリティを、ある程度つかめます。

▶ 詳細はこちら:イベント管理システム開発でおすすめの開発会社の記事をご覧ください。

ポイント

開発会社は技術力だけで選ばず、イベント業務への理解、類似の開発実績、障害時の対応体制まで含めて比べることが大切です。

イベント管理システム開発の費用相場

カスタム開発の小規模、中規模、大規模・高機能なシステムの費用目安を示す図解
規模が上がると費用の目安も変わります。

規模別の費用目安

イベント管理システムの開発費用は、必要な機能の範囲、システムの規模、カスタマイズの程度によって大きく変わります。

  • 既存のクラウド型システム:導入する場合は、初期費用が0〜30万円程度、月額利用料が0〜10万円程度が目安です。
  • 無料プランの注意点:機能が限られるため、本格的に業務で使うには有料プランへの切り替えが必要になるケースがほとんどです。
  • リリース後の費用:初期の開発費用とは別に、保守・運用費用として月額5万〜20万円程度を見込んでおく必要があります。

既存のSaaSとカスタム開発では、選ぶ方法によって費用の考え方が大きく変わります。既存のSaaSパッケージとゼロからのカスタム開発では、費用の桁が違うこともあるため、両方を比べて検討する必要があります。そのうえで、自社の要件に合わせて、どちらが適切かを判断することが大切です。

カスタム開発の費用は、システムの規模ごとに目安が異なります。自社の業務フローに完全に合わせてカスタム開発(スクラッチ開発)を行う場合、小規模なシステムで100万〜300万円程度が目安です。中規模システムで300万〜1,000万円程度、大規模・高機能なシステムでは1,000万円以上になることも珍しくありません。

カスタム開発では、申込フォームや決済連携、メール配信などを一から構築します。アンケート機能や管理画面、QRコードでのチェックインも対象になります。そのため、機能が増えるほど費用も上がります。

障害対応やセキュリティアップデート、機能改善などの継続的なコストを含めた総保有コスト(TCO)で比べることが、長期的に見て適切な判断につながります。

コストを抑える方法

開発コストを抑えるには、いくつかの方法が有効です。まず、すべての機能を一度に作ろうとせず、最初は必須機能に絞ったMVP(最小限の製品)から始めます。

  • 段階的な機能追加:実際に運用しながら必要な機能を足していく方法が効果的です。初期投資を抑えながら、実際のニーズに基づいて機能を広げられます。
  • 併用:既存のSaaSシステムとカスタム開発を組み合わせる方法も有効です。
  • 外部サービスの活用:API連携を前提に設計すれば、開発費用を節約しながら、品質も確保できます。

たとえば、決済機能はStripeやPAY.JPなどの決済APIを使い、メール配信はSendGridなどのサービスを利用します。これにより、自社で一から作る工数を大きく減らせます。

複数の開発会社から相見積もりを取り、価格と提案内容を比べることも、コストを抑える有効な手段です。

開発会社によって得意な技術や料金体系は異なるため、3〜5社程度に見積もりを依頼し、費用対効果の高いパートナーを選ぶことをおすすめします。

▶ 詳細はこちら:イベント管理システム開発の見積相場や費用の記事をご覧ください。

ポイント

費用は既存SaaSの導入かカスタム開発かで大きく変わるため、初期費用に加えて保守・運用費用まで含めた総額で比べることが判断の目安になります。

イベント管理システム開発の発注・外注方法

発注前の準備事項

イベント管理システムの開発を外注する前に、社内で十分な準備をしておくことが成功の鍵になります。最初に取り組むのは、現在の業務フローを整理し、課題を洗い出すことです。

  • 機能の優先度:システムに必要な機能を「必須機能」と「あればよい機能」に分けて一覧にしておくことが重要です。
  • 打ち合わせの準備:これらの機能に優先度を付けておけば、開発会社への説明がスムーズになり、正確な見積もりを取りやすくなります。
  • スケジュールの前提:プロジェクト全体の予定とリリースの希望時期も、事前に決めておくことが大切です。

今どのようにイベント管理を行っているか(Excelや紙での管理なのか、既存ツールを使っているのかなど)を整理します。そのうえで、どの業務が非効率で、システム化によって改善できるかを明確にします。

イベント管理システムには、参加者申込フォームの作成・管理、自動確認メールやリマインドメールの配信、QRコードを使った当日受付、決済処理と入金管理といった機能がよく挙げられます。加えて、アンケートの配信と回答の集計、参加者データの分析やレポート出力も含まれます。

大型イベントの開催日が決まっている場合は、その日に間に合うよう、開発スケジュールを逆算して決める必要があります。開発期間は、小規模なシステムで2〜4ヶ月、中規模で4〜8ヶ月程度を見込んでおくとよいでしょう。

外注成功のための注意点

外注を成功させるには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。最もよくある失敗は、「丸投げ」です。

  • 完成品のずれ:開発を外部に委託しても、すべてを任せきりにすると、想定と大きく異なるシステムが出来上がることがあります。
  • 社内の役割:発注側も要件定義や進捗確認に積極的に関わり、定期的にやり取りを重ねることが欠かせません。
  • 協業の姿勢:開発会社と良好なパートナーシップを築き、同じゴールに向けて協力し合える関係を育てることが、質の高いシステムの完成につながります。

契約内容の確認も大切です。見積書の基本費用だけでなく、仕様変更や機能追加、テスト期間の延長など、追加費用が発生する条件も事前に確かめておきます。その内容を契約書に明記しておくことが、トラブルの防止につながります。

開発したシステムの著作権やソースコードの帰属も、契約の段階で明確にしておくことが大切です。

開発の途中で仕様が変わると、コストとスケジュールの両方に大きな影響が出ます。そのため、発注前にできる限り要件を固め、変更が生じたときの進め方(変更管理プロセス)も、開発会社と合意しておくことが大切です。

テスト段階では、実際の利用者(参加者・運営担当者)に試してもらうユーザーテストを行い、使いやすさの観点からフィードバックを集めることをおすすめします。

発注先の選定から契約、開発、リリースまでを円滑に進めるには、社内の窓口となるプロジェクト担当者を決めておくことが大切です。意思決定を素早く行える体制を整えることも、成功の条件のひとつです。

▶ 詳細はこちら:イベント管理システム開発の発注方法の記事をご覧ください。

ポイント

外注で失敗を防ぐには、要件を発注前に固め、仕様変更の進め方と追加費用の条件を契約段階で決めておくと、トラブルを防ぎやすくなります。

まとめ

ここまでの内容を、順に振り返ります。

  • 取り上げた内容:イベント管理システム開発の主なテーマを、ここまで順に見てきました。
  • 主な項目:「開発の進め方」「開発会社の選び方」「費用相場」「発注・外注方法」を解説しました。

各テーマの要点は、次のとおりです。

開発の進め方は、要件定義から始めて、設計、開発、テストを順に踏み、リリースと保守運用へ進むことが大切です。

特に要件定義の精度は、プロジェクト全体の成否を左右します。そのため、関係者へのヒアリングと業務フローの整理に、十分な時間をかけることをおすすめします。

開発会社の選定では、技術力に加えて、イベント業務への理解、提案力、保守体制を合わせて評価することが大切です。

複数社から相見積もりを取り、価格と提案内容を比べたうえで、最適なパートナーを選びましょう。費用面では、既存SaaSの導入かカスタム開発かによって、相場が大きく異なります。

自社の要件と予算に合う選択肢を検討し、初期費用だけでなくランニングコストも含めたTCOで判断することが大切です。

発注や外注では、事前の準備と、発注者としての積極的な関わりが成功の鍵です。

要件を明確にしてから発注し、開発中も定期的にやり取りをしながら進捗を確かめれば、期待どおりのシステムを完成させられます。

イベント管理システムの開発は、社内でも大きなプロジェクトになります。適切なパートナーと進め方を選ぶことが重要です。これにより、組織のイベント運営を大きく効率化し、質を高めることができます。

ぜひこの記事と各記事を参考に、最適な開発プランを練ってみてください。

ここまでの内容を詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。

発注方法については、次の記事で詳しく解説しています。

▼関連記事一覧(再掲)。です。

各記事では、詳細情報を確認できます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。