ファシリティマネジメントシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ファシリティマネジメントシステムの発注・外注は、設備台帳や点検業務だけでなく、データ整備、既存システム連携、現場定着、保守までを一体で決めることが成功の条件です。

「何をどこまで委託すればよいのか」「SaaS、パッケージ、受託開発のどれが自社に合うのか」「見積金額の差は何から生まれるのか」と悩む担当者は少なくありません。この記事では、発注形態の選び方、RFPと要件整理、契約形態、費用相場、委託先の選定、見積比較、最新のFM-BIMやIoT連携まで、発注前に押さえるべき実務を順番に解説します。FM専用製品の公開価格が少ないため、金額は要件別の推定レンジとして扱い、初期費用だけでなく5年間のTCOで判断できるように整理します。

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ファシリティマネジメントシステムの発注・外注で最初に決めること

ファシリティマネジメントシステムの発注範囲を整理するイメージ

発注前に重要なのは、製品名や開発言語を決めることではなく、施設管理のどの課題を、どの業務範囲で、誰が使うシステムにするかを定めることです。ファシリティマネジメントシステムは、CAFM、IWMS、BMS・BEMS、FM-BIMなど複数の領域を含むため、対象範囲が曖昧なまま依頼すると、会社ごとに見積条件が変わって比較できなくなります。

ソフトウェアとISO 41001のマネジメントシステムを分けて考えます

検索語の「ファシリティマネジメントシステム」には、施設情報や点検履歴を管理するソフトウェアと、FMサービスを継続的に改善する仕組みの両方が含まれます。前者はCAFMやIWMSとして、建物・部屋・設備の台帳、修繕、スペース、エネルギー、契約、工事などを扱います。後者のISO 41001:2018は、FM方針、責任、リスク、利害関係者の要求、KPI、記録、改善を管理する規格です。ソフトウェアを導入しただけでISO 41001の認証を取得できるわけではないため、RFPでは「システム導入」と「業務・マネジメント設計」を分けて依頼します。

対象施設とKPIを先に絞ると発注条件が安定します

最初から全拠点の設備、座席、契約、エネルギー、会計、IoTを統合しようとすると、データ移行と運用設計だけで大きな負担になります。まずは「点検漏れを減らす」「修繕予算を平準化する」「設備情報を担当者のExcelから共有データへ移す」など、2〜5個のKPIに絞ります。対象も1拠点、主要設備、法定点検、修繕申請など効果を測りやすい単位にすると、PoCから段階展開へ進めやすくなります。KPIには、点検期限超過件数、故障受付から完了までの時間、台帳登録率、修繕計画の予算差異、エネルギー使用量などを設定します。

発注形態はSaaS・パッケージ・受託開発・運用委託から選びます

ファシリティマネジメントシステムの発注方式を比較するイメージ

発注形態は、業務を標準化できるか、独自ルールを残す必要があるか、社内に運用担当者がいるかで決まります。価格だけでなく、データの所有権、APIの公開範囲、現場アプリ、導入支援、障害時の責任、解約時のデータ返却まで含めて比較します。開発会社、製品ベンダー、SIer、建設・BIM会社、FM-BPO会社は役割が異なるため、同じ見積書をそのまま横並びにしないことが大切です。

標準化できる業務はSaaSやパッケージが向いています

設備台帳、点検予定、写真報告、作業指示、修繕履歴など、業務の基本形を変えられる場合は、SaaSやCAFMパッケージが候補になります。短期間で始めやすく、クラウド基盤や定期アップデートを自社で持たなくてよい点がメリットです。一方、独自の承認ルート、特殊な法定帳票、複雑なLCC計算、既存BMSや会計との連携は追加設定や別開発になることがあります。デモでは「機能があるか」だけでなく、現場担当者がスマートフォンで設備を検索し、写真を添付して異常報告を完了できるかまで確認します。

独自連携や複雑な運用は部分開発やスクラッチを検討します

既存のBMS・BEMS、ERP・会計、購買、入退室、CAD・GIS、BIM、IoTセンサーなどをつなぐ場合や、施設ごとに異なる安全手順をシステムへ組み込む場合は、パッケージへの追加開発、ローコード、API連携、スクラッチ開発を組み合わせます。すべてを作り直すより、台帳・点検・ワークオーダーは標準製品、独自の分析や連携だけを追加する方が、保守範囲を抑えやすい場合があります。スクラッチを選ぶ場合も、5年後の担当者が仕様を理解できるドキュメントとソースコードの扱いを契約に含めます。

運用委託はシステム導入と責任分界を切り分けます

FM-BPOや施設運用会社へ、点検計画、業者手配、修繕受付、データ更新まで委託する方式もあります。人手不足や拠点ごとの運用差を解消しやすい反面、システムを導入しても業務データを誰が更新するかが曖昧だと、台帳がすぐに古くなります。システム開発会社へ依頼する範囲と、FM-BPO会社へ依頼する範囲を分け、設備マスタの更新責任、点検結果の承認、緊急時の連絡、委託先の再委託、KPI報告の頻度を責任分界表にします。

ファシリティマネジメントシステムの発注・外注は6段階で進めます

ファシリティマネジメントシステムの導入工程を整理するイメージ

発注は「製品を選んで契約する」だけで終わりません。現状業務、データ、利用者、連携先、受入条件を整理し、提案・開発・移行・教育・稼働後支援までをひとつの工程として設計します。一般的には、現状調査、構想と対象範囲の決定、RFP配布と提案比較、要件定義・設計、開発・移行・受入テスト、教育・段階稼働の順で進めます。

現状調査で業務フローとデータの欠損を見つけます

最初に、建物、部屋、設備、什器、契約、点検周期、工事履歴、担当者、法定帳票がどこで管理されているかを棚卸しします。Excelの列名が拠点ごとに違う、設備番号が図面と台帳で一致しない、写真だけが共有フォルダに残っている、担当者の記憶で優先順位を決めているといった問題を洗い出します。現場同行では、設備を検索して点検し、異常を登録し、上長が承認し、業者へ依頼し、完了を記録する一連の流れを実際に確認します。

RFPで同じ前提の提案と見積を依頼します

RFPは完成した設計書ではなく、各社が同じ条件で提案するための依頼書です。背景と目的、対象拠点、利用者数、設備点数、現行業務、必須機能、希望機能、連携先、データ移行、セキュリティ、希望スケジュール、予算の考え方、提案書の提出項目を記載します。「点検機能が必要」とだけ書かず、「設備IDを選択して点検項目を表示し、写真と異常内容を登録し、承認後に作業依頼へ連携する」のように、受入テストへ変換できる業務シナリオで書くと比較しやすくなります。

PoCと段階移行で現場定着とデータ品質を確認します

本契約の前に、1拠点または代表的な設備群でPoCを行うと、画面の使いやすさだけでなく、台帳の粒度、QRコードの貼付、通信環境、写真容量、承認の滞留、既存システムとのID対応を確認できます。データ移行は、すべての過去履歴を一度に移すのではなく、現行設備、保証期限、直近の点検・修繕履歴など、稼働初日から必要な範囲を優先します。移行後の件数照合、不備一覧、現場確認、修正期限を成果物として定め、教育と並行して段階的に拠点を増やします。

RFPと要件整理はどこまで作り込めばよいですか?

ファシリティマネジメントシステムのRFPと要件を確認するイメージ

RFPは、発注側がすべての仕様を決め切る必要はありません。ただし、業務上譲れない条件、現場の制約、連携先、データ量、受入条件は具体化します。標準機能で対応できる部分と、追加開発が必要な部分を提案会社に分けて示してもらうことで、見積の根拠と将来の保守負担を確認できます。

機能要件は施設・設備・作業を一つの流れで書きます

機能要件には、建物・部屋・設備・什器のマスタ管理、図面やBIM属性との紐付け、点検計画、作業指示、故障受付、写真、修繕見積、承認、業者管理、契約・SLA、長期修繕計画、LCC、予算、エネルギー、帳票、ダッシュボードを記載します。設備の登録だけで終わらず、「設備を検索する」「点検項目を確認する」「異常を報告する」「承認する」「業者へ依頼する」「完了を確認する」「履歴を集計する」という業務シナリオを要件にします。現場が紙で行っていた判断を、画面上の入力項目とワークフローへ翻訳することがポイントです。

非機能要件は現場利用と監査・復旧まで含めます

非機能要件には、利用者数、同時利用数、拠点ごとの権限、スマートフォンやタブレットの対応、オフライン時の入力、画面応答、画像容量、データ保持期間、バックアップ、復旧目標、ログ、認証、SSO、多要素認証、暗号化、脆弱性対応、障害通知、保守時間、クラウドのデータ所在、解約時の返却形式を含めます。FMでは、設備や部屋の情報だけでなく、点検者、委託業者、入退室、工事履歴などの権限を分ける必要があります。誰がいつ何を変更したかを追える監査証跡は、事故対応と法定記録の確認にも役立ちます。

データモデルとAPI連携を機能要件より先に確認します

建物、部屋、設備、作業、契約、業者、エネルギーのID体系を決めずに連携開発を始めると、同じ設備が複数のIDで登録され、集計やアラートが壊れます。RFPでは、BMS・BEMS、ERP・会計、購買、入退室、BI、SSO、CAD・GIS、BIM、IoTセンサーのどれとつなぐか、データの向き、更新頻度、エラー時の再送、API仕様、CSV入出力、責任分界を明示します。BIMは3Dモデルを表示するだけでなく、部屋・設備・仕様・保証などの属性を運用で再利用できるかが重要です。

契約形態は準委任・請負・保守を段階で使い分けます

ファシリティマネジメントシステムの開発契約を確認するイメージ

ファシリティマネジメントシステムでは、既存台帳や現場業務を調べないと仕様が固まりません。そこで、要件定義・現状調査は準委任、仕様が確定した開発・連携・移行は請負、稼働後は保守運用契約とする段階契約が現実的です。契約名だけでなく、成果物、検収、変更管理、責任範囲、知的財産、再委託、障害対応、データ返却を条項で確認します。

現状調査・RFP作成・PoCは準委任が使いやすいです

準委任契約は、専門家の知識や作業時間の提供を受ける形で、現状調査、業務ヒアリング、データ棚卸し、RFP作成支援、製品選定、プロトタイプ検証に向いています。受託側と発注側が協働して標準機能と追加開発の境界を決める段階です。作業時間だけでなく、業務フロー、要件一覧、データ定義、課題管理表、比較評価書などを成果物として明記すると、次工程へ引き継ぎやすくなります。

開発・連携・移行は請負で検収条件を明確にします

請負契約では、合意した仕様に基づくシステムや成果物を完成させ、発注側が検収します。画面、帳票、API、バッチ、権限、ログ、移行データ、テスト結果、マニュアルを成果物として列挙し、受入条件を具体化します。例えば「点検できる」ではなく、「指定した設備の点検項目が表示され、必須項目未入力では完了できず、写真と異常区分が保存され、承認後に作業依頼が発行される」と書くと、検収時の解釈差が減ります。仕様変更の手順と追加費用の算定方法も、契約前に合意します。

保守運用契約は障害・改修・データ更新の範囲を定めます

稼働後は、問い合わせ、障害一次対応、バックアップ復元、脆弱性修正、OSやブラウザの更新、外部APIの仕様変更、設備マスタ更新、帳票改修、法令・社内ルール変更への対応が発生します。月額保守に含まれる作業と追加費用になる作業、受付時間、重大障害の連絡期限、復旧目標、再委託先、保守終了時の引き継ぎを確認します。SaaSでも、契約終了時に台帳、点検履歴、写真、工事履歴、監査ログをどの形式で返却できるかを契約書と利用規約で確認します。

ファシリティマネジメントシステムの費用相場とコスト内訳

ファシリティマネジメントシステムの費用相場と見積内訳を確認するイメージ

FM専用製品は、施設数、延床面積、設備点数、ユーザー数、BIM・CADの有無、センサー数、既存システム連携、移行データ量で価格が大きく変わります。主要IWMSの公開価格も限られるため、以下はリサーチノート、公開されている設備管理SaaSの価格、類似する業務システムの相場から整理した、2026年時点の予算取り用の推定レンジです。確定見積ではなく、同じ条件で複数社へ依頼するための基準として利用します。

小規模SaaSから大規模IWMSまでの予算レンジを分けます

1〜数拠点で設備台帳、点検、写真報告に絞る小規模SaaSは、初期費用0〜100万円、ランニング費用は月額1万〜20万円程度、導入期間は2週間〜3か月程度が一つの目安です。複数拠点で台帳、保全、修繕、帳票を導入するパッケージ・CAFMは、初期費用100万〜500万円、月額5万〜30万円または年額契約、期間3〜6か月程度が推定レンジです。

BIM・CAD、会計・購買、BMS・API連携を含む中規模構築は、初期費用500万〜1,500万円、ランニング費用月額10万〜50万円、期間6〜12か月程度が目安です。多数拠点、ワークプレイス、LCC、IoT、細かな権限・監査を含む大企業向けIWMSやスクラッチは、初期費用1,500万〜4,000万円以上、期間9〜18か月以上となる可能性があります。これらはFM固有の公開見積ではなく、設備・業務システムの公開価格と類似案件からの推定です。

公開価格の比較材料として、2026年8月に確認した「設備管理の匠WEB版」では月額9,900円(税別)の料金が掲載されています(出典:株式会社エコニティ「設備管理の匠 価格」)。これは設備管理に特化したサービスの一例であり、複数拠点のFM全体、BIM、エネルギー、会計連携まで含む価格ではありません。公開価格は最小構成の下限を確認するために使い、導入支援や移行費を含めた総額は必ず個別見積で確認します。

初期費用はデータ整備・移行・教育を分けて比較します

見積書では、要件定義、設計、設定・開発、API連携、データクレンジング、図面・BIM整備、移行、端末・QR準備、テスト、教育、マニュアル、プロジェクト管理を別項目にしてもらいます。初期開発費が安くても、設備IDの整理、過去履歴の電子化、図面の変換、センサー設置、現場教育が別途になると、実際の導入費は増えます。作業量の根拠として、拠点数、設備点数、データ行数、図面枚数、連携本数、研修回数、移行対象期間を確認します。

5年間のTCOでライセンス・保守・社内工数を比較します

方式を比較するときは、初期費用に月額利用料、クラウド基盤、端末、センサー、通信、API利用料、保守、データ更新、教育、社内の運用担当者の工数を加え、3〜5年間のTCOを試算します。保守費は初期費用の年5〜15%程度、または年10〜20%程度と見積書に記載されることがありますが、契約範囲により大きく変わるため一般化できません。候補会社には、同じ利用期間と利用者数で、初期、毎月、年次、スポット、解約・移行の費用を分けたTCO表を提出してもらいます。

委託先の選び方と見積比較では何を確認しますか?

ファシリティマネジメントシステムの委託先と見積を比較するイメージ

委託先は、価格の低さではなく、FM業務の理解、データ移行、現場アプリ、連携、保守、導入後の定着を同じ条件で評価します。FMシステム専業のパッケージ会社、IWMS製品会社、SIer、建設・BIM会社、FM-BPO会社では得意領域が異なります。候補を3〜5社程度に絞り、同じRFP、同じサンプルデータ、同じデモシナリオで確認すると、提案の差が見えやすくなります。

施設数・設備数・業界が近い導入実績を確認します

実績は、企業名の数よりも、自社に近い業務をどこまで担当したかで見ます。建物数、延床面積、設備点数、拠点の分散、点検業者の数、BIM・BMS・会計連携、現場端末、移行件数、稼働後の保守期間を確認します。FMシステムの公式事例では、富国生命保険相互会社が200棟を超える建物を管理し、FM-Refineで竣工後60年までの長期修繕コストをシミュレーションしています(出典:株式会社FMシステム「富国生命保険相互会社様導入事例」)。Excelからの移行や、担当者交代後の運用まで質問できる事例を選びます。

見積は機能数ではなく前提・工数・除外項目を比較します

見積比較では、要件定義、設計、設定、開発、テスト、移行、教育、保守を同じ行で並べます。会社Aの見積にデータ移行が含まれ、会社Bでは別途になっていると、合計額だけでは判断できません。ユーザー数、拠点数、設備点数、画像容量、API本数、過去履歴の年数、研修回数、サポート時間、税・クラウド費の扱いを揃えます。安い理由が標準機能の活用なのか、テストや教育の省略なのか、将来の追加費用なのかを確認します。

評価表とリスク質問で担当者の力量を見極めます

評価表は、業務適合性、データ移行、連携・API、現場操作、セキュリティ、導入体制、保守、TCO、提案の透明性に分けます。価格だけでなく、デモで実際の点検シナリオを完了できたか、要件の未対応部分を正直に示したか、プロジェクト責任者が誰か、現場教育を誰が行うか、障害時にどの窓口が対応するかを点数化します。リスク質問として、担当者が退職した場合の引き継ぎ、再委託先の管理、クラウド障害時の業務継続、ベンダー変更時のデータ返却、追加開発の単価とリードタイムを確認します。

2026年の発注で重視したいFM-BIM・省エネ・IoTセキュリティ

FM-BIMとIoT連携を含むファシリティマネジメントシステムの発注イメージ

近年は、施設情報を登録するだけでなく、建築・施工段階のデータを運用へ引き継ぎ、エネルギーや設備データを分析し、現場の判断を支援する発注が増えています。ただし、AIやデジタルツインという言葉だけで機能を選ぶと、データ品質や責任者が不足します。発注時は、実際に使うデータ、判断する担当者、誤検知時の対応、運用で更新する項目まで確認します。

FM-BIMは形状より運用属性と引き継ぎ方法を確認します

2025年5月公開のNTT DATAの事例では、データセンターの構築から運用をデジタルでつなぎ、BIMを使ったFM業務変革が紹介されています(出典:NTT DATA「デジタルでつなぐデータセンター構築とFM業務」、2025年)。このような取り組みでは、竣工図や3Dモデルを保存するだけでなく、設備属性、点検項目、交換部品、保証期限、関連文書を運用システムで検索できる設計が必要です。RFPには、竣工時のデータ受領形式、属性の必須項目、モデル更新者、BIMと台帳のID対応、改修後の差分更新を含めます。

省エネ・衛生管理の記録を業務要件へ落とし込みます

国土交通省は、2025年4月以降に着工する原則すべての住宅・建築物について、省エネ基準への適合を義務付ける制度を案内しています(出典:国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法」)。FMシステムでは、電力・空調・照明・水・CO2などの実績を記録し、設備更新や運用改善の判断へつなげる要件が重要になります。また、建築物衛生法の対象施設では、環境衛生管理や記録の運用が必要です。システムは記録・期限管理を支援しますが、法令適合そのものを保証するものではないため、施設用途と適用法令を専門家に確認して要件化します。

BMS・IoT連携は導入から廃棄までのセキュリティを契約します

設備センサーやBMSをクラウド、ネットワーク、スマートフォンへ接続する場合、初期設定だけでなく、脆弱性情報、ファームウェア更新、認証情報、通信の暗号化、ネットワーク分離、ログ、廃棄時の初期化まで管理します。IPAは2025年9月公開の「IIoT機器ライフサイクル管理構築手引き」で、導入から廃棄までを通じたリスク評価と、関係部門の役割分担を整理しています(出典:IPA、2025年)。RFPには、機器一覧、接続先、保守責任、パッチ適用、インシデント時の連絡、バックアップ、再委託先、契約終了時のデータ・認証情報の扱いを含めます。

ファシリティマネジメントシステムの発注・外注でよくある質問

ファシリティマネジメントシステムの発注に関するよくある質問

最後に、発注前によく寄せられる質問へ回答します。費用や期間は要件によって変わるため、ここでは一律の断定を避け、判断の基準を示します。

ファシリティマネジメントシステムの開発費用はいくらですか?

小規模SaaSなら初期費用0〜100万円、月額1万〜20万円程度、パッケージ導入なら初期費用100万〜500万円程度が予算取りの目安です。BIM・CAD、会計・購買、BMS・IoT連携を含むと500万〜1,500万円、大企業向けIWMSやスクラッチでは1,500万〜4,000万円以上となる可能性があります。いずれも公開価格と類似システム相場からの推定で、データ移行、教育、端末、センサー、保守を含むかで変わります。

パッケージとスクラッチ開発はどちらを選ぶべきですか?

設備台帳、点検、修繕、写真報告など標準化しやすい業務は、SaaSやパッケージを優先すると導入期間と保守負担を抑えやすいです。独自の安全手順、特殊な帳票、複数システムの複雑な連携が競争力や法令対応に直結する場合は、標準製品に部分開発を加える方式やスクラッチを検討します。全機能を作り込む前に、標準機能、設定、追加開発の順で適合度を確認することが大切です。

RFP作成から開発会社へ依頼してもよいですか?

依頼できます。社内にFM業務とIT調達の両方を整理できる人がいない場合は、現状調査、業務フロー、要件一覧、候補会社の評価までを第三者へ支援依頼すると、提案比較の前提を揃えやすくなります。ただし、最終的な優先順位、予算、法令対応、現場運用の責任は発注側に残ります。RFP作成支援の成果物、守秘義務、候補会社との利益相反、作成後の選定支援範囲を契約前に確認します。

導入にはどれくらいの期間がかかりますか?

設備台帳と点検に絞ったSaaSなら2週間〜3か月程度、複数拠点のパッケージ導入なら3〜6か月程度、BIM・CAD・会計・BMS連携を含む構築なら6〜12か月程度が予算取りの目安です。大規模IWMSや多数拠点の移行では9〜18か月以上になる可能性があります。要件定義、データ整備、現場教育、並行運用をスケジュールに含め、リリース日だけを先に決めないことが重要です。

ファシリティマネジメントシステムの発注・外注まとめ

ファシリティマネジメントシステムの発注をまとめるイメージ

ファシリティマネジメントシステムの発注では、最初に対象施設、解決したい課題、KPI、利用者、業務の責任者を決めます。そのうえで、標準化できる業務はSaaSやパッケージ、独自連携や特殊要件は部分開発・スクラッチ、運用人材が不足する場合はFM-BPOというように、発注形態を組み合わせます。RFPには機能だけでなく、設備ID、データ移行、BIM・BMS・会計連携、現場のオフライン利用、権限、監査ログ、バックアップ、解約時のデータ返却を記載します。

見積比較は初期費用ではなく5年間の総額で行います

費用は、FM専用の公開価格が少ないため、要件別のレンジとして捉えます。初期費用のほか、データクレンジング、図面・BIM整備、端末、センサー、教育、クラウド、保守、追加開発、社内運用工数を含めたTCOで比較します。各社へ同じRFPとデモシナリオを渡し、含む項目、除外項目、工数、前提、追加費用、保守範囲を確認すると、見積の安さだけに引きずられにくくなります。

発注前は現場を見てRFPと責任分界表を作成します

次の一歩は、代表拠点の現場同行、台帳と図面のサンプル確認、業務フローの可視化、MUST・WANTの整理です。PoCで現場が使えることとデータ品質を確かめ、要件定義・開発・移行・教育・保守の契約を段階的に結びます。将来のBIM、エネルギー、IoT、AI活用を見据えつつ、最初は点検・修繕・台帳など成果を測りやすい範囲から始めると、無理のない外注計画になります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。