飲食業向け多店舗管理システム開発の完全ガイド

飲食業向け多店舗管理システムは、POS・注文と本部マスタをつなぐ仕組みです。発注・在庫、勤怠・分析も含めて、店舗数や業務要件に合う方式で導入します。

必要な機能、種類と費用、導入の進め方、会社選び、運用の順に見ていきます。詳細は関連記事で確認できます。

▼関連記事一覧
・飲食業向け多店舗管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・飲食業向け多店舗管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・飲食業向け多店舗管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・飲食業向け多店舗管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

飲食業向け多店舗管理システムの概要

このシステムは、POSや注文、発注のデータを本部のクラウドへ集約します。在庫や勤怠、原価、顧客情報も、同じ基盤で扱います。店舗の営業と本部の経営判断を、同じデータでつなぐための業務基盤です。

店舗の注文・会計・仕入・勤務・廃棄は、共通のマスタとルールに従って扱います。そのため、現場の作業と経営管理を一つの流れにまとめられます。

店舗数が増えると必要になる理由

店舗数が増えると、日々の運営業務と本部の判断の両方に影響が出ます。

  • 店舗数と運営負荷:店舗が増えるほど、価格変更や承認などの運営業務が増します。
  • 情報共有の遅れ:情報が翌日まで本部に届かないと、原価率や人員配置の問題に気づくのが遅れ、対策の機会を逃すことがあります。

1〜3店舗であれば、店長が表計算シートや日報で運営できることもあります。一方で、5店舗、10店舗と増えると、価格変更、売上締め、発注確認、勤怠承認の負担が重くなります。

2025年の外食産業市場動向調査では、全店売上高が前年比107.3%でした。店舗数は100.7%、客数は102.9%、客単価は104.3%です(出典: 一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 2025年年間結果」、2026年)。

価格改定や業態ごとの需要変化が続いています。そのため、曜日、時間帯、商品、客数、人員を組み合わせて判断できる仕組みが求められます。

売上ダッシュボードだけでは足りない理由

店舗別に売上を並べると、どの店が伸びたかは分かります。ただし、数字が変わった理由までは読み取れません。

導入の目的は「本部で全店を見たい」で止めず、売上変化の原因と改善効果を追える状態まで広げます。

  • 販売状況:注文チャネル、値引き、取消、客数、予約数。
  • 店舗運営:勤務時間、食材使用量、廃棄。
  • 測定する目的:集計時間の短縮、メニュー反映漏れの削減、発注と在庫の整合、レジ停止時の営業継続。

たとえば、売上が伸びていても人時売上が下がっているなら、ピーク時の人員配置や調理工程に課題があるかもしれません。理論原価と実原価の差が広がるときは、レシピ、計量、棚卸、廃棄を追います。

ポイント

店舗数が増えるほど、運営業務と本部の判断に影響が出ます。売上の一覧だけで足りるかを、業務の負担と原因を追えるかで確かめます。

必要な機能とシステム構成

店舗端末、本部画面、クラウドの業務API・データベース、分析基盤と外部連携層を積み重ねた構成図。
現場の機能からデータ基盤、外部サービスへと役割がつながります。

機能は、営業の流れに沿ってデータがつながるかを基準に選びます。店舗端末から外部サービスまでは、5つの層に分けて考えます。その層は、店舗端末、本部画面、クラウドの業務API・データベース、分析基盤、外部連携層です。層ごとに確かめると、抜け漏れを見つけやすくなります。

店舗運営で必要な機能

店舗運営の機能は、注文から会計までの状態と、例外時の処理を軸に整理します。

  • 商品・会計:メニュー、値引き、軽減税率、キャッシュレス決済、返品・取消、レジ締め。
  • 注文・調理:注文受付から調理、提供、会計までの状態を追跡します。
  • 障害時対応:注文の二重送信や取消漏れ、古いメニューの復旧手順。

商品登録では、サイズやトッピング、コースも設定します。また、ハンディやQR注文などの注文チャネルを導入する場合も、注文から会計までの状態を追跡する仕組みが要ります。

キッチンプリンターやKDSを含め、調理と提供の状態も管理します。通信が不安定な店舗では、メニューと価格を端末に一時保存し、回復後に取引を再送します。さらに、冪等性で二重計上を防ぎ、未送信、送信済み、突合済みの状態をログで確認できるようにします。

本部管理で押さえるべき機能

本部機能は、マスタ、分析、権限それぞれの単位をそろえて設計します。

  • マスタ:店舗、ブランド、商品、レシピ、食材、税率、決済、スタッフ、権限、営業時間、予算。
  • 分析:売上、客数、客単価、予算実績、PL、人時売上、原価率、FLコスト、値引き、取消、廃棄。
  • 権限:店舗、ブランド、本部、加盟店本部ごとに、閲覧と承認の範囲を分けます。

全店共通、ブランド別、店舗限定のメニューを同じ画面で扱うなら、共通設定を変えたときに個別設定をどうするかを先に決めておく必要があります。上書きするか、個別設定を優先するかのどちらかです。

価格改定や販売期間、アレルゲン情報は、承認者と配信履歴を残しておきます。

分析値は、店舗、ブランド、曜日などの切り口によらず、同じ定義で揃えておきます。さらに、直営店とフランチャイズ店では閲覧と承認の権限が異なるため、権限を分けておく必要があります。

在庫、人員、外部サービスをつなぐには、まず元データと反映方法を決めます。

  • 在庫・原価:レシピ、発注、入荷、棚卸、店舗間移動、廃棄、ロスを連動。
  • 人員:売上予測と労働時間を結び、店長がAI提案を承認。
  • 外部連携:予約、顧客、デリバリー、会計・給与などをAPI、Webhook、CSVで接続。

セントラルキッチンや物流センターがある場合は、出荷データを店舗の仕入データに反映させ、二重入力を避けます。

連携ごとに、更新元と許容時間を決めます。また、障害時の再送と差分取込、責任分界、保存期間も定めておきます。とくに連携先が増えるほど、データの正しさと障害時の運用が成否を左右します。

飲食業向け多店舗管理システムの種類と選び方

導入方式は、初期費用だけでなく業務の条件で比べます。業務の標準化、既存POSの継続、独自原価計算に加え、本部の分析の細かさや店舗の変更負荷も基準になります。3年分の総保有コストや、解約時のデータ返却も選定の条件に含めます。

クラウドSaaSが向いているケース

SaaSが合うかは、業務の標準化、展開の速さ、費用の範囲を見て判断します。

  • 適する業務:標準化しやすく、短期間で複数店へ広げる場合です。サーバーの構築や更新を自社で抱えずに済み、店舗の追加も設定で進められます。
  • 増店の見込み:1〜3店舗で始め、将来の増店を見込む場合にも適しています。
  • 月額以外の費用:店舗追加、本部オプション、端末、通信、決済手数料、初期設定、移行、API連携、サポートが別料金か確認します。

公開料金の一例では、初期費用は0円、1店舗あたり月額2,980円(税別)、複数店舗の本部オプションは9,800円/月です。10店舗ならソフトウェア部分は月39,600円(税別)です。

ただし、機器や設置費は別途確認が必要です。ここに挙げた金額はSaaSの価格例で、個別開発の相場ではありません。

パッケージ導入とカスタマイズが向いているケース

標準機能で足りる範囲と、独自業務を追加する範囲を分けて判断します。

  • 導入に向く場合:POS、発注、在庫、勤怠、衛生管理が標準機能でそろっており、独自帳票や会計連携を追加する程度なら、軽微なカスタマイズで対応できます。
  • 導入効果:ゼロから作るより要件定義を短くでき、既存の運用を大きく変えずに導入できます。
  • 適合性の確認:標準機能に無理に合わせると、手作業が増えて、Excelに戻ってしまうことがあります。

複数ブランドの商品継承や物流ルールを簡略化すると、現場の手作業が増えることがあります。そこで、標準機能、設定変更、追加開発を機能表で分け、将来の更新で壊れないかを確認します。

スクラッチ開発が必要になるケース

独自業務の強みと運用の責任を踏まえ、段階的に導入する前提で検討します。

  • 開発が候補になる業務:独自の発注、原価、フランチャイズ、物流、会計のロジックが強みの場合や、既存システムと深く連携する場合。
  • 複雑なルール:価格や原価計算が店舗・ブランド・契約条件で変わる場合、自社ルールをドメインモデルとして設計すると長期運用しやすい可能性があります。
  • 担う責任:自由度の分、要件定義からテスト、監視、障害対応までを自社で負い、セキュリティや機能追加も含まれます。
  • 段階検証:1ブランド・1〜2店舗で売上取込、メニュー配信、日報、本部集計、オフライン復旧を検証してから全店へ広げます。

ポイント

導入方式は初期費用だけで選ばず、業務の標準化や既存POSの継続などで比べます。独自の原価や物流の仕組みが強みでなければ、標準機能を中心に検討する方が判断しやすくなります。

飲食業向け多店舗管理システムの費用相場

クラウドSaaS、パッケージ、多店舗スクラッチMVP、大規模統合の初期費用の範囲を横棒で比べた図。
導入方式によって、想定する初期投資の規模が変わります。

費用は店舗数、端末数、ブランド数で変わります。さらに、POSのAPIや移行、取引量、外部連携、オフライン要件、保守範囲によっても変わります。

対象を絞った公的な価格統計は確認できません。そのため、以下の数字は、公開料金と飲食業システムの公開相場、類似案件を組み合わせた目安です。個別見積もりを確約する数字ではありません。

▶ 詳細はこちら:飲食業向け多店舗管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

導入方式ごとの初期費用と期間

方式ごとの初期費用、月額、導入期間は、次の幅が目安です。

  • クラウドSaaS:初期0〜30万円、月額3,000〜30,000円/店舗、または本部オプション0〜10万円/月。数日〜1か月。
  • パッケージ:初期80万〜600万円、月額数万円〜数十万円。1〜4か月。
  • 既存POS連携・本部基盤:300万〜1,000万円。3〜8か月。
  • 多店舗スクラッチMVP:400万〜1,500万円。4〜9か月。
  • 大規模統合:1,500万〜5,000万円以上。6〜12か月以上。

スクラッチ部分の金額は、2026年公開の飲食業システム開発相場と類似案件から推定したものです(出典: 2026年公開の飲食業システム開発相場資料、類似案件からの推定)。

見積書で確認するランニングコストと3年TCO

初期費用だけで比べると、後から追加費用が発生しやすくなります。そこで、見積もりでは次の3つの区分で費用を分けて確認します。

  • 機器・運営:端末、周辺機器、設置、回線、決済手数料。
  • 導入・保守:移行、メニュー登録、研修、窓口、監視、バックアップ、障害対応。
  • 継続・終了:API、追加店舗、更新、解約時のデータ返却。

3年TCOは、「初期費用+月額費用×36か月+機器・通信費+連携・移行費+教育・保守費」の式で概算できます。

SaaSとスクラッチを比べるときは、店舗追加単価、社内の運用工数、障害時の営業損失、乗り換え時のデータ出力も含めて考えます。見積もりに含まれない業務は、自社の負担として明記してもらいます。

店舗数別のモデルケース

店舗数と業務範囲ごとの費用や期間は、次のモデルを検討の材料にできます。

  • 3店舗・単一ブランド:SaaSで初期0〜30万円、月額数万円、数日〜1か月。重要KPIは日報集計時間、レジ締め時間、メニュー反映漏れ、客単価。
  • 10店舗・複数ブランド:POS連携、メニュー、予算、発注・原価を含めた場合で、初期300万〜1,000万円、3〜8か月のケースです。
  • 30店舗以上:物流やフランチャイズの統合を含む場合で、初期1,500万円以上、6〜12か月以上を想定します。

3店舗であれば、売上、メニュー、権限から始め、在庫や勤怠は必要性を見て追加します。10店舗では、データ移行と店舗教育を先に設計します。30店舗以上では、段階的な導入と運用体制も費用に含めて考えます。

ポイント

初期費用が低くても、月額や追加費用が積み上がれば3年間の総額で差が出ます。見積もりは3年TCOの同じ条件で並べて比べます。

導入・開発の進め方と失敗しないポイント

要件定義とマスタ設計、PoCとMVP、データ移行と現場教育、セキュリティとAIの利用範囲を並べた4項目のチェックリスト。
検討項目は要件整理から安全な運用準備まで広がります。

導入の成否は、画面デザインよりも、業務とデータの定義を先にそろえられるかで決まります。そこで、店舗、本部、経理、購買、キッチン、店長が参加し、営業開始から閉店後までを一通り確認します。

▶ 詳細はこちら:飲食業向け多店舗管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

要件定義とマスタ設計の先行

要件定義では、まず対象データと運用条件を確定します。

  • マスタ設計:店舗から予算までのマスタを洗い出し、更新元と承認者を決めます。
  • コードと履歴:商品や店舗のコードを後から変えると、過去売上や在庫、会計の集計が崩れます。コードの体系と履歴の持ち方は、初期に固めます。
  • RFPの条件:店舗・ブランド数、ピーク取引数、POS、連携先、改定頻度、発注方式、オフライン許容時間、KPI、権限、保存期間、返却形式を記載します。
  • 業務シナリオ:「通信断が30分続いても会計を継続し、復旧後に重複なく再送する」のように書くと、提案を比べやすくなります。

PoCとMVPでのピーク営業の検証

全店に広げる前に、業務機能とピーク時の例外処理を検証します。

  1. 1ブランド・1〜2店舗で、売上取込、メニュー配信、日報、本部集計、権限、オフライン復旧を確認します。
  2. ランチやディナーに近い取引量で、注文遅延、取消、返品、通信断、二重取込、決済失敗を試します。
  3. 集計時間、入力時間、発注時間、レジ締め時間、取消率、廃棄金額、原価差異、客単価、人時売上、データ同期遅延を導入前と比較します。

数値が改善しないときは、機能を足す前に、業務ルールやマスタに問題がないかを調べます。

データ移行と現場教育の実施

教育では、本部向けの操作説明に加えて、現場ごとの練習も必要です。

  • 移行対象と品質:店舗、商品、レシピ、食材、スタッフ、権限、過去売上、顧客情報に分けて、不要な古いデータは移行しません。
  • 事前確認と突合:移行前にデータの揺れを調べ、移行後に旧システムと突合します。
  • 担当別の練習:店長、レジ、ホール、キッチン、発注担当ごとに通常操作、取消、返品、通信断、端末交換、締め処理を練習します。
  • 導入初週:店舗責任者と問い合わせ窓口を明確にし、現場の声を機能要望と障害報告に分けて記録します。

移行の前には、コードの重複や閉店店舗、販売終了商品、税率、全角と半角の揺れを調べておきます。移行後は、件数や金額、日次合計、在庫数を旧システムと照合し、どこまでの差異を許すかを決めます。

セキュリティとAIの利用範囲の決定

個人情報、決済情報、AIの利用は、それぞれ分けて管理条件を定めます。

  • 個人情報:利用目的や保管条件を整理します。
  • カード情報:決済方式と責任範囲を確認します。
  • AI:利用範囲と人の確認手順を決めます。

予約、会員、購買の履歴には、氏名や電話番号、来店履歴などが含まれます。そのため、利用目的と閲覧権限を決め、保存期間と削除方法も整理しておきます。

クラウドの利用が個人データの取扱いの委託に当たる場合は、委託先を監督する必要があります(出典: 個人情報保護委員会「クラウドサービス提供事業者が個人情報取扱事業者に該当する場合の留意点」、2024年更新情報)。

契約では、保守IDとアクセス制御の扱いを確認します。再委託や保存場所、事故通知も確かめます。データの返却と削除も、あわせて確認します。

カード情報は、トークン化や非保持方式を検討したうえで、自社の多店舗管理システムに保存しない設計を優先します。

カード情報を保持、処理、送信する範囲は、PCI DSS v4.0.1の適用範囲と決済事業者との責任分界で確認します。カード決済を自社で扱う範囲も、この2点から決済事業者へ確かめます。

2026年時点では、PCI SSCの文書ライブラリにPCI DSS v4.0.1が掲載され、国内のクレジットカード・セキュリティ資料でも6.1版が案内されています(出典: PCI Security Standards Council「Document Library」、2026年確認/日本クレジット協会「関連資料」、2026年確認)。

AIは、売上や来客の予測、発注の提案、シフト案、異常検知、分析コメントのような場面から使い始めます。一方で、返金、発注の確定、契約、顧客への確定案内は、人が承認してログを残します。

外部AIを使う場合は、入力データの学習利用、プロンプトインジェクション、誤予測による過剰発注を想定しておきます。そのうえで、入力制限、出力確認、停止手順を用意します。

ポイント

導入では、画面より先に業務とデータの定義をそろえられるかで、成否が決まります。全店展開の前に1〜2店舗で検証し、数値が改善しなければ業務ルールやマスタから見直します。

開発会社・ベンダーの選び方

開発会社は、飲食業向けの機能数や導入店舗数だけでなく、得意範囲と契約上の責任も比べて選びます。既製サービスのベンダーと個別開発のSI会社では、この2点が異なるためです。

まず自社の課題を整理し、同じRFPを複数の候補へ渡すことが、比較の出発点になります。

飲食業と自社規模への適合性の確認

飲食業の実績があるかだけでなく、自社に近い規模と業務の事例があるかを確認します。店舗数やブランド数、直営・FC構成が近いかを見ます。加えて、営業時間や注文チャネル、セントラルキッチンの事例があるかも確認します。

導入店舗数が多くても、同じ業態や業務フローで同じ効果が出るとは限りません。提案では、入力回数、メニュー変更の反映順、店舗限定商品を、画面や業務フローで確かめます。また、導入、連携、保守の責任者が同席し、障害時の連絡経路と復旧目標を説明できる体制が望ましいです。

連携・移行・導入後サポートの比較

比較表には、接続機能、移行、運用条件を並べます。そのうえで、連携の頻度や費用の違いを確認します。

  • 機能・連携:POS、注文、KDS、発注、原価、在庫、勤怠、会計・給与、予約、オフライン。
  • 導入・契約:API・CSV、移行、権限、監査ログ、料金、導入期間、解約時の返却。
  • 運用:サポート時間、追加店舗・ユーザー、帳票変更、API利用料、障害復旧目標。

契約の前には、追加する店舗やユーザーの単価、帳票変更、API利用料、移行範囲を確かめます。加えて、障害の定義や復旧目標、更新通知、解約時の形式と期限も確認しておきます。

「連携可能」と書かれていても、リアルタイムか、1日1回のCSVかで業務への影響は異なります。さらに、問い合わせの一次受付を誰が担うか、社内の管理者が何人必要かも、見積もりに含めて考えます。

提案と見積もりの評価基準の統一

評価基準と動作のシナリオは、候補の間で同じものをそろえて比べます。

  • 評価軸:価格、機能、期間、現場負荷、拡張性、保守性、セキュリティ、データの出口に、同じ配点を付けて評価します。
  • 見積もり範囲:未対応の部分が「対象外」「別途見積もり」「運用で対応」として隠れていないかを確認します。
  • 共通シナリオ:通信断、二重送信防止、価格改定承認、商品継承、原価差異、退職者ID無効化、バックアップ復旧について、各社に説明してもらいます。

画面だけでなく、障害ログや運用手順、責任分界まで具体的に示されていれば、導入後のリスクを見積もりやすくなります。

▶ 詳細はこちら:飲食業向け多店舗管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:飲食業向け多店舗管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

開発会社は、飲食業の実績だけでなく、自社に近い店舗数や連携先、障害時の体制で比べます。候補には同じRFPを渡し、未対応部分が見積もりの外に隠れていないか確かめます。

導入後の定着と運用の確認事項

システムは、稼働した日に完成するわけではありません。メニューや店舗、権限、原価、シフト、連携先は変わっていくため、運用ルールと改善サイクルを設けておきます。また、店舗の入力の負担と本部の分析の精度の両方も確かめます。

導入効果のKPIによる定期測定

導入前の基準値を取り、同じ定義で月次比較する指標を決めます。本部の閲覧人数の増加は、そのまま成果とは見なせません。

  • 時間・同期:集計、発注、レジ締めの時間、データ同期遅延。
  • 店舗運営:メニュー反映漏れ、取消率、原価差異、廃棄額、人時売上、レジ停止時間。

効果が出ない店舗では、教育、業務手順、マスタ、ネットワークのどこに原因があるかを切り分けて調べます。

異常値を誰が確認し、店長へ何を依頼し、いつ改善したかを追跡します。

AIの予測精度だけでなく、その予測を使って発注や人員配置が改善したかも測ります。

権限・障害・バックアップの運用

アクセス管理と障害対応の担当者と手順は、定期的な運用の中に組み込みます。

  • 権限と保護:認証、権限、操作記録、脆弱性への対応を進めます。
  • 復旧と連絡:バックアップと復旧訓練を行ったうえで、通信断や端末故障に備え、紙伝票、代替端末、仮締め、再送、売上突合を用意します。

退職者や異動者のアカウントをいつ無効にするか、店舗責任者がどのデータを見られるかを決めておきます。本部の保守用IDについては、承認者を定めます。

MFA、最小権限、操作ログ、脆弱性対応も、継続して行うことが求められます。

バックアップは、実際に復元できるかを確認します。加えて、復旧にかかった時間とデータ欠損の範囲を記録します。

外部サービスが止まったときの責任分界と連絡先は、一覧にしておきます。営業中に判断する人を決めておけば、店舗スタッフが複数の窓口へ連絡して混乱する事態を防げます。

よくある質問(FAQ)

費用だけでなく、店舗数、ブランド、既存POS、本部体制、導入後の運用もあわせて検討します。特に判断に迷いやすい質問には、直接答えます。

飲食業向け多店舗管理システムの費用はいくらですか?

標準的なSaaSは、初期0〜30万円、月額3,000〜30,000円/店舗程度から検討できます。ただし、機器、設置、連携、移行は別途かかる場合があります。

個別開発の目安は、既存POS連携で300万〜1,000万円、スクラッチMVPで400万〜1,500万円、大規模統合で1,500万円以上です。最終的には、要件と3年TCOで判断します。

SaaSとスクラッチ開発はどちらを選ぶべきですか?

標準業務が多く、短期の導入を優先するならSaaSが候補になります。一方で、独自原価、物流、FC管理、既存システムとの深い統合が競争力になるなら、スクラッチを検討します。

迷う場合は、売上集計、メニュー配信、権限、日報を先に導入し、発注、原価、勤怠、AI予測は第2フェーズに分ける方法があります。

既存POSを残したまま本部管理だけ改善できますか?

可能ですが、その前提として、既存POSのAPIとCSV、更新頻度を確認します。取消・返品の表現、商品コード、店舗コードも、あわせて確認します。

POSを正とするデータと本部を正とするデータは、分けて扱います。加えて、同期の遅延や再送、二重計上の検知、障害時の責任分界も仕様書に記載します。

通信障害が起きても営業を続けられますか?

継続できる注文と会計の範囲は、設計と端末によって異なります。そのため、メニューと価格の一時保存、未送信データの暗号化、再送、冪等性、売上突合を要件に含めます。

ピーク時の営業で通信断を試し、紙へ切り替える手順も用意しておくと、営業停止のリスクを下げられます。

顧客情報やカード情報の安全性はどう確認しますか?

利用目的、閲覧権限、保存期間は、運用のルールとして確認します。削除と返却、再委託、保守ID、事故通知は、契約の内容として確かめます。

カード情報は、非保持化やトークン化を優先します。そして、カード決済を自社で扱う範囲とPCI DSSの適用範囲を、決済事業者に確認します。

MFA、最小権限、暗号化、操作ログ、バックアップ、復旧訓練が提案に含まれるかも評価します。

まとめ

多店舗管理システムは、売上の一覧にとどまらず、業務基盤として設計します。中心になるのは、POS・注文と本部マスタ、発注・在庫・原価です。勤怠や予約・販売も加えます。さらに、分析、権限、監査、オフライン復旧も含めて設計します。

自社に合う方式の選定と段階的な導入

標準業務が中心ならSaaS、独自帳票や連携を加えるならパッケージ、独自の原価・物流・FC管理が強みならスクラッチが基本になります。

初期費用だけでなく、月額、機器、移行、教育の費用も比べます。保守や障害対応、追加店舗、3年TCO、解約時の返却まで含めて考えます。

1〜2店舗のPoCで、ピーク営業や通信断、取消、返品、メニュー配信、データ突合を検証してから、全店へ広げます。

導入前のチェック項目

店舗数やブランド数、直営・FCの別は、RFPの前提として整理します。既存POSや連携先、ピーク取引数、メニュー改定頻度も、RFPに書き込みます。さらに、発注・原価の粒度、オフライン許容時間、KPIを、同じRFPに加えます。

顧客情報やカード情報の非保持化、MFA、操作ログ、バックアップ、問い合わせ体制も記載します。同じ条件で候補に渡し、営業を止めずにデータを経営に生かせるかを比べます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。