GCP導入・構築の導入/開発事例や活用/成功事例について

GCP導入の事例は、費用削減からデータ活用まで4つの切り口で見ると、自社に合う移行の進め方を選ぶ材料になります。

発注企業の担当者向けに、実例やBefore/After数値、つまずきと修正を掘り下げます。これらは稟議の材料になります。全体像は、GCP導入・構築の完全ガイドもご覧ください。

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・GCP導入・構築の完全ガイド

オンプレミスからGCPへ移行しコストを削減した事例

影響範囲の小さいシステムからリフト&シフトで移し、安定後にマネージドサービスやサーバーレスへ広げる流れ。
移行で得た運用ノウハウを次の対象へつなげます。

老朽化したオンプレミスサーバーでは、機器の購入費や減価償却、保守契約の費用がかかります。電力や空調、設置場所も、利用量に関係なく発生する固定費です。

さらに、定期的なハードウェアの更改も必要です。GCPへ移すと、これらの固定費が利用量に応じた変動費に変わり、ピークに備えた過剰投資を避けられます。事例では、資本支出を運用支出に転換できることが、移行の主な動機になる場合があります。

マネージドサービス活用でインフラ費を約1/3に削減した事例

移行事例で象徴的なのは、マネージドサービスを活用し、インフラ費を約1/3に圧縮したケースです。

  • 運用作業:バックアップや冗長化、パッチ適用をクラウド側に任せる設計
  • インフラ費:Cloud SQLなどに置き換えて、費用と運用人員の工数を減らす構成

従業員50〜100名規模の移行では、設計・構築に100万〜400万円、データ移行に20万〜80万円がかかります。合計では、150万〜500万円前後が目安とされています。

効果を漠然としたコストダウンで終わらせないために、現状の機器費や保守費を年間で合算します。電力費や運用人件費も同じように加え、その合計を移行後のGCP月額利用料と比べると、投資を回収するまでの年数を概算できます。

Linux構成(2コア/約8GB)で従量課金にした場合、GCPの仮想サーバーn1-standard-2は月62.3ドルです。主要3クラウドのなかでも抑えやすい水準です。そのうえで、事例の数字を自社に置き換え、移行費用を回収できるシナリオを描くことが大切です。

確約利用割引で長期コストを最適化した事例

移行後の費用を抑えた事例では、GCPの確約利用割引(Committed Use Discounts)を使っています。

  • 常時稼働分:1年または3年の利用を確約し、従量課金より単価を下げる方式
  • 変動分:利用量の変化が大きい部分を、従量課金のまま残す範囲

常時動かす基盤には割引を適用し、変動分は従量課金のままにする設計が、長期運用の総額を左右します。

一次データでは、仮想サーバーを3年契約にすると月額が下がり、n1-standard-2クラスは月40ドル前後の水準です。

費用を抑えるには、稼働状況を見える化し、未使用リソースの停止やサイズの見直し、割引の適用を定期的に行います。こうした運用しだいで、費用は数十パーセント単位で変わります。

オンプレミスの感覚で常に最大スペックを使い続けると、変動費の利点を逃して割高になる場合があります。最適化を運用の標準に組み込むことが、移行の成功につながります。

段階的なリフト&シフトで移行リスクを下げた事例

移行事例では、全システムを一度にクラウドネイティブ化せず、既存構成をGCPの仮想サーバーへ移す「リフト&シフト」から始めています。

  • 最初の移行:構成を大きく変えずに移し、障害リスクを抑える段階
  • 安定後:マネージドサービスやサーバーレスへの段階的な置き換え

この二段階の進め方は、移行時の障害リスクと現場の混乱を抑えるのに役立ちます。段階移行では、対象の優先順位づけが大切です。まず、影響範囲が小さく、停止しても業務への影響が少ないシステムから移し、運用ノウハウを蓄積します。

その後、基幹系の重要システムへ対象を広げます。最初から基幹システムを移すと、検証が足りないまま本番に進むため、失敗のリスクが高まります。小さく移行して得た学びを次に活かすことが、大規模移行を着実に進める方法です。

ポイント

移行の効果は、現状の機器費や保守費、電力費、運用人件費を年間で合算し、GCPの月額利用料と比べて判断します。段階移行や確約利用割引を選ぶかも、この比較を起点に考えます。

サーバーレス化でアイドルコストをゼロに近づけた事例

リクエスト時の起動、処理後のゼロまでの縮小、アクセスがない時間帯の低い費用を示す3枚のパネル。
稼働時間に合わせて計算資源が伸縮します。

GCPの強みが表れるのは、Cloud RunやCloud Functionsによるサーバーレス構成です。リクエスト時だけ計算資源が起動し、処理後に自動でゼロまで縮小します。

アクセスがない時間帯は、サーバーを稼働させる費用がほぼかかりません。常時稼働の仮想サーバーとは、コストの構造が異なります。

無料枠を活かしてランニングを月数百円に抑えた事例

アクセスが少ない社内ツールや小規模な業務アプリでは、月数百円、場合によっては無料枠の範囲内で運用している事例があります。

  • API呼び出し:月200万回まで無料、超過分は100万回あたり0.4ドル
  • 他社の無料枠:AWSやAzureは月100万回まで
  • コンピューティング:100万GB秒あたり2.5ドル

コンピューティング料金は、AWSの16.7ドルやAzureの16ドルより低く、軽量な処理を大量に行う場合に費用差が表れます。

社内申請や定型バッチ、Webhook受信など、必要なときだけ動けばよい処理をサーバーレス化した事例もあります。こうした事例では、常時稼働のサーバーを持たず、処理時だけ起動する設計で、可用性とスケーラビリティを確保しながら費用を抑えています。小さく始めて利用分だけ支払う方法は、クラウドネイティブの費用対効果を高める選択肢です。

急なアクセス増にも自動スケールで対応した事例

キャンペーンやメディア露出でアクセスが急増するサービスを、Cloud Runで構築した事例があります。

  • アクセス増加時:リクエスト量に応じたインスタンスの自動増加
  • アクセス減少時:インスタンス数の減少と、ピーク用の過剰投資の回避

この事例では、ピーク時もサービスを止めずに処理できました。常時稼働サーバーで同じように対応するには、余剰のスペックを持つか、手作業で増設する必要があります。

ただし、高負荷が続く処理や長時間の処理、特殊なミドルウェアが必要な用途では、仮想サーバーやコンテナ基盤(GKE)が適する場合もあります。

動くときだけでよい処理はサーバーレスにし、常時稼働の基盤は確約利用割引を付けた仮想サーバーやコンテナに分けます。成功事例では、処理に応じて基盤を使い分けています。適材適所の構成選びが、費用と性能の両立につながります。

ポイント

常時稼働のサーバーを置くか、必要なときだけ動かすかは、処理ごとのアクセス量と稼働時間で分けて考えます。高負荷が続く処理や長時間の処理は、仮想サーバーやGKEも比べます。

内製化に向けCCoEを立ち上げた事例

設計思想や運用手順の記録、共同作業、運用を移す期間を示す3つの確認カード。
構築の各段階で社内に知識を引き継ぎます。

多くのクラウド導入記事は、「どのサービスをいくらで使うか」というWhatに偏りがちです。しかし、実際の成功を分けるのは、「自社でどう推進し、組織をクラウドに適応させるか」というHowです。

GCP導入後も長期的に成果を出す企業は、外部委託に頼りきらず、社内に運用ノウハウを蓄積しています。その中核となるのが、クラウド活用を全社で推進する専門組織、CCoE(Cloud Center of Excellence)です。

外部委託のスキルトランスファーで内製比率を高めた事例

内製化した企業は、初期構築を外部に委託しながら、自社エンジニアが設計や運用を計画的に学べる条件を契約に含めています。

  • ドキュメント:設計思想や運用手順の記録
  • 共同構築:自社エンジニアとパートナーによる作業
  • 引き継ぎ:運用を移すための期間

事例では、この方法によって、丸投げにともなう弱点を計画的に補っています。

外部委託は本業に集中でき、早く立ち上げられる点が利点です。一方で、丸投げでは社内に知識が残らず、運用や改修の外部依存が続きます。

クラウド人材の月単価は、初級(経験1年程度)が25万〜50万円、ミドルが50万〜80万円です。さらに、シニアやアーキテクトは65万〜120万円以上が目安で、設計経験が豊富な人材では月100万円を超える場合もあります。

委託を続けると、運用期にも単価が発生します。構築中に技術を移し、定常運用を内製化すれば、中長期の費用削減につながります。スキルトランスファーは、初期の手間をかけることで運用費を構造的に下げる取り組みです。

人材育成と評価制度を整えて定着させた事例

CCoEを機能させた企業は、組織づくりと並行して、人材の採用・育成・評価制度を整えています。

  • 資格取得:GCP認定資格の取得支援
  • 研修:ハンズオン研修や社内勉強会の定例化
  • 評価:評価項目へのクラウドスキルの追加

技術だけを導入しても、それを使いこなす人材や文化が育たなければ、外部依存が続く場合があります。GCP導入の成否は、ツールだけでなく組織の適応力にも左右されます。riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発の立場から、現場の自走を重視しています。

構築を支援しつつ、運用と改善を自社で続けるためのHowの設計は、競合の解説では手薄になりやすい部分です。長期の投資効果を高める勘所でもあります。

ポイント

内製化の範囲は、外部委託の契約に、自社エンジニアが学ぶ条件と引き継ぎの期間を含められるかで判断します。人材の採用や評価まで含めて、組織として続けられるかも確かめます。

BigQueryとAPI連携で業務を自動化した事例

BigQueryで分析基盤を作り、APIで業務を自動化すれば、GCP導入の効果を広げられます。AI APIで定型業務を自動化した事例もあります。こうした事例は、単なるサーバー移行で終わらせず、データの価値を引き出す基盤として位置づけています。

分散データをBigQueryに集約し意思決定を速めた事例

複数の基幹・業務システムに分散したデータをBigQueryに集約し、Excelで手作業していた経営レポートを自動化した事例があります。

  • 分析基盤:サーバーレスのデータウェアハウスで、大量データを高速に検索できるBigQuery
  • 分析環境:データの取り込みから可視化までをGCP内で完結させ、必要な分析をすぐ行える環境
  • 業務設計:誰がいつ、どの粒度のデータを見るかを決めてから、基盤を作る順序

この事例の本質は、データを意思決定につなぐ業務プロセスの再設計であり、技術の導入そのものではありません。レポート作成の工数を減らし、判断の質と速さを高められます。ただし、業務フローに組み込んで初めて、投資効果が生まれます。

AI APIで定型業務を自動化しコストを抑えた事例

GCPのAIサービスを業務に取り入れ、定型作業を自動化した事例があります。

  • 画像認識API:月1,000ユニットまで無料、超過分は1,000ユニットあたり1.5ドル
  • 自動化する業務:書類確認、画像分類、テキスト抽出をAPIに任せる範囲
  • 検証方法:無料枠や小規模利用で効果を確かめ、そこから対象を広げる流れ

処理量が増えても、人員を増やさずに対応できます。無料枠が手厚いためPoC(概念実証)の費用を抑えやすく、この流れに合っています。

成果を確認してから展開すれば、稟議で投資判断の根拠を数字で示せ、社内の合意を得やすくなります。

移行を単なる引っ越しで終わらせず、データ活用や業務自動化まで見据えて設計することが大切です。

ポイント

データ活用は、誰がいつ、どの粒度のデータを見るかを先に決められるかで判断します。AI APIも、小さく効果を確かめてから広げます。

まとめ

成果を上げた事例では、コストを把握したうえで段階的に投資し、運用や組織に定着させています。

移行では、マネージドサービスと確約利用割引が費用削減に効きます。サーバーレス化では、無料枠や自動スケールが費用の抑制に役立ちます。

CCoEとスキルトランスファーで内製化し、BigQueryやAI APIでデータ活用と業務自動化を進めた事例もあります。

事例を読むときは、使ったサービスだけでなく、組織や業務への定着方法も見てください。そのうえで、自社の費用と課題に照らし、効果が大きい領域から小さく検証します。

riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、GCP構築から内製化の伴走まで一貫して支援します。全体像は完全ガイドをご覧ください。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。