GCP導入/構築の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

Google Cloud Platform(GCP)は、Googleが提供するクラウドコンピューティングサービスであり、コンピューティング、ストレージ、データ分析、機械学習など幅広い機能を提供しています。近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速に伴い、多くの企業がオンプレミス環境からGCPへの移行や、GCPを活用した新規システム構築を検討しています。特にGoogleが持つAI・機械学習技術との連携やBigQueryによる大規模データ分析など、他社クラウドにはない強みが注目されています。

しかし、GCPの導入・構築を成功させるためには、適切な手順と技術的な知識が不可欠です。要件定義からアーキテクチャ設計、セキュリティ設定、本番稼働まで、各フェーズで抑えるべきポイントが存在します。本記事では、GCP導入・構築の進め方を体系的に解説し、プロジェクトを成功に導くための実践的な知識をお届けします。

本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。

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・GCP導入/構築の完全ガイド

GCPの全体像とサービス種類

GCPの全体像とサービス種類

GCP(Google Cloud Platform)は、200以上のプロダクトとサービスから構成される包括的なクラウドプラットフォームです。インフラストラクチャ層からアプリケーション層、さらにはAI・機械学習サービスまで幅広くカバーしており、スタートアップから大企業まであらゆる規模の組織が活用できる設計となっています。Googleが自社のグローバルインフラを同様の技術基盤で提供していることから、高い信頼性とパフォーマンスを実現しています。

GCP(Google Cloud Platform)の主要サービス

GCPの主要サービスとして、まずコンピューティング分野ではCompute Engine(仮想マシン)、Google Kubernetes Engine(GKE)(コンテナオーケストレーション)、Cloud Run(サーバーレスコンテナ)、Cloud Functions(サーバーレス関数)が挙げられます。これらはワークロードの特性に応じて使い分けることができ、マイクロサービスアーキテクチャの実現に適しています。

データ・分析系サービスとしては、BigQuery(大規模データウェアハウス)、Cloud Storage(オブジェクトストレージ)、Cloud SQL(マネージドリレーショナルDB)、Cloud Spanner(グローバル分散型RDBMS)、Firestore(NoSQLドキュメントDB)が代表的です。BigQueryはペタバイト規模のデータを高速に処理できるため、BIやデータ分析基盤として多くの企業が採用しています。

ネットワーキング・セキュリティ面では、Virtual Private Cloud(VPC)Cloud Load BalancingCloud CDNCloud Armor(DDoS対策・WAF)などを提供しています。メッセージング・統合サービスとしてはPub/Sub(非同期メッセージング)やDataflow(ストリーム・バッチデータ処理)が重要です。さらにAnthosはマルチクラウド・ハイブリッドクラウド管理基盤として、既存のオンプレミス環境との統合を可能にします。

GCP導入の特徴とAWS・Azureとの違い

GCPの最大の特徴は、Googleが長年にわたって培ってきたデータ処理・AI技術をそのままサービスとして提供している点です。BigQueryによるサーバーレスデータウェアハウスや、Vertex AIによる機械学習プラットフォームはGCP固有の強みであり、データドリブン経営やAI活用を推進する企業に特に適しています。また、Googleのグローバルネットワークインフラを活用したCloud CDNやCloud Interconnectは、国際展開する企業にも優位性をもたらします。

AWSはサービスの種類と実績の豊富さ、Azureは既存のMicrosoft製品(Office 365、Active Directory等)との親和性が強みです。一方GCPは、コンテナ技術(Kubernetesの発祥はGoogle)との親和性、大規模データ分析基盤、AI・ML機能の充実という点で差別化されています。料金体系ではコミット利用割引(Committed Use Discounts)やSustained Use Discountが自動適用される仕組みが特徴で、長期利用での費用最適化がしやすい構造です。

GCP導入・構築の進め方

GCP導入・構築の進め方

GCPの導入・構築は、大きく「要件定義・設計フェーズ」「構築・設定フェーズ」「テスト・移行・本番稼働フェーズ」の3段階で進めるのが一般的です。各フェーズでの作業内容と注意点を押さえることが、プロジェクト成功の鍵となります。特に初期段階での設計品質がその後のコストや運用効率に大きく影響するため、十分な時間をかけた要件定義と設計が重要です。

要件定義・アーキテクチャ設計フェーズ

要件定義フェーズでは、現状のインフラ構成の棚卸しと、移行・新規構築の目的を明確化することが最初のステップです。対象システムの規模(ユーザー数、データ量、トランザクション数)、可用性・信頼性要件(SLA)、セキュリティ・コンプライアンス要件(ISMS、PCI DSS等)を整理します。また、既存システムとの連携要件や段階的移行の計画も確認が必要です。

アーキテクチャ設計では、まずGCPのリソース構造(Organization → Folder → Project)を設計します。マルチリージョン構成か、シングルリージョン構成かの選択、ネットワークトポロジー(VPCの設計、サブネット分割)、コンピューティングリソースの選択(Compute Engine、GKE、Cloud Run等)を決定します。また、IaC(Infrastructure as Code)ツールとしてTerraformやDeployment Managerを用いた構成管理の仕組みを設計段階から組み込むことが重要です。

ランディングゾーン(Landing Zone)の設計も重要な工程です。ランディングゾーンとは、GCP上のセキュアで拡張可能な基盤環境のことで、IAMポリシー、ネットワーク設計、ログ・監視基盤、セキュリティ基盤を含みます。Googleが提供するCloud Foundationsブループリントを参考に、自組織のポリシーに沿った標準化された環境を構築することが推奨されます。

構築・設定フェーズ(VPC、IAM、セキュリティ設定等)

構築フェーズでは、設計に基づいてGCPリソースを実際に作成・設定していきます。まずVPC(Virtual Private Cloud)の構築から始め、サブネットの作成、Cloud Routerや Cloud NATの設定、ファイアウォールルールの定義を行います。本番・ステージング・開発環境を別プロジェクトに分離する構成が推奨され、Shared VPCを活用することで各環境のネットワークを一元管理できます。

IAM(Identity and Access Management)の設定は、セキュリティの根幹となる重要な工程です。最小権限の原則に基づき、カスタムロールの作成、サービスアカウントの管理、組織ポリシーの設定を行います。Google Workspaceや既存のActive Directoryとのフェデレーション設定も検討します。また、Cloud Audit LogsやSecurity Command Centerを活用したセキュリティ監視の仕組みを構築します。

アプリケーション基盤の構築としては、GKEクラスターの作成と設定(ノードプール、オートスケール、Workload Identity等)、Cloud SQLやCloud Spannerなどデータベースの設定、Cloud StorageバケットのIAMポリシー設定などを進めます。CI/CDパイプラインはCloud Build、Artifact Registry、Cloud Deployを組み合わせて構築し、Infrastructure as CodeはTerraformで管理することが一般的です。

テスト・移行・本番稼働フェーズ

テストフェーズでは、単体テスト・結合テスト・性能テスト・セキュリティテストを体系的に実施します。性能テストではCloud Monitoringと連携しながら、想定負荷における応答時間やリソース消費量を測定します。また、Disaster Recovery(DR)テストとして、フェイルオーバーや バックアップからの復元手順の確認も重要です。

データ移行では、Database Migration Service(DMS)やTransfer Applianceを活用します。大規模なデータ移行では、まずオフラインバルク転送でベースラインを同期し、カットオーバー直前に差分同期を行う方法が推奨されます。移行前にはデータの整合性チェックを徹底し、ロールバック計画を策定しておくことが不可欠です。

本番稼働後は、Cloud Monitoringによるリソース監視、Cloud Loggingによるログ集約、Error Reportingによるエラー検知の体制を整えます。SLO(Service Level Objectives)を設定し、Cloud Monitoringのアラートポリシーで自動通知の仕組みを構築します。また、定期的なコスト最適化レビューとセキュリティレビューを行い、継続的な改善サイクルを回すことが重要です。

GCP導入の費用相場

GCP導入の費用相場

GCP導入・構築の費用は、システムの規模や要件によって大きく異なります。費用は大きく「初期構築費用」と「月次クラウド利用料」に分かれます。初期構築費用には要件定義・設計・構築・テスト・移行の工数が含まれ、月次クラウド利用料はGCPのリソース使用量に応じて発生します。適切な見積もりを行うためには、両方の費用を正確に把握することが重要です。

規模別の費用目安

小規模なシステム(数十ユーザー程度のWebアプリケーション、シンプルなAPI基盤等)の場合、初期構築費用は100万〜500万円程度が目安となります。Cloud RunやApp Engineを活用したサーバーレス構成を採用することでインフラ管理コストを下げ、月次クラウド利用料も数万〜数十万円程度に抑えられます。

中規模システム(数百ユーザーのエンタープライズアプリ、GKEを活用したマイクロサービス基盤等)では、初期構築費用が500万〜2,000万円程度になることが多いです。VPC設計やIAM設計、CI/CDパイプラインの整備、複数環境(開発・ステージング・本番)の構築などが含まれ、月次クラウド利用料は数十万〜数百万円規模となります。

大規模システム(大量トランザクション処理、マルチリージョン構成、BigQueryを活用したデータ基盤等)の場合は、初期構築費用が2,000万円以上となるケースも珍しくありません。金融・医療などの高度なコンプライアンス要件がある場合やオンプレミスからの大規模移行では、さらに費用が増加する傾向があります。

コスト最適化のポイント

GCPのコスト最適化にはいくつかの重要な手法があります。まずCommitted Use Discounts(CUD)を活用することで、1年または3年のコミットメントにより最大57%の割引を受けられます。また、定常的に稼働しているリソースにはSustained Use Discountsが自動適用され、月の使用時間が長いほど割引率が増加します。

バッチ処理やCI/CDなど中断可能なワークロードにはSpot VM(旧プリエンプティブルVM)の活用が有効で、通常価格から最大91%のコスト削減が可能です。また、Cloud Monitoringのコスト分析ダッシュボードや、Active Assist(推奨事項)機能を定期的に確認し、使用していないリソースの削除や適切なマシンタイプへの変更を行うことが重要です。

まとめ

まとめ

GCP導入・構築を成功させるためには、要件定義・アーキテクチャ設計から始まり、VPC・IAM・セキュリティの適切な設定、そしてテスト・移行・本番稼働の各フェーズを計画的に進めることが重要です。GCPはCompute Engine、GKE、Cloud Run、BigQuery、Cloud SQL、Pub/Sub、Dataflowなど多彩なサービスを提供しており、ワークロードの特性に合わせた最適なアーキテクチャを選択することが求められます。

費用面では規模によって大きく異なりますが、Committed Use DiscountsやSpot VMなどの割引制度を活用することでコストの最適化が可能です。特に初めてGCPを導入する場合は、Google Cloudのパートナー企業や専門のSI会社への依頼を検討することで、プロジェクトのリスクを低減し、確実な導入を実現できるでしょう。本記事がGCP導入・構築の進め方を理解する上での参考になれば幸いです。

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株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。