GCP導入/構築の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

GCP導入・構築は、要件定義から本番稼働まで、3つの段階を順に進めるのが一般的です。導入の全体像を先に見ておくと、各段階で確認すべき内容を整理しやすくなります。

  • 要件定義・設計:目的と要件の整理、構成の決定。
  • 構築・設定:設計に基づくGCPリソースの設定。
  • テスト・移行・本番稼働:検証とデータ移行を経た本番運用の開始。

▼全体ガイドの記事は、GCP導入/構築の完全ガイドをご覧ください。

GCPの全体像とサービス種類

GCPを中心に、コンピューティング、データ・分析系、DB、ネットワーク、セキュリティを放射状に配置した図。
用途に応じてサービスの領域を見分けられます。

GCP(Google Cloud Platform)は、200以上のプロダクトとサービスから構成される包括的なクラウドプラットフォームです。インフラストラクチャ層からアプリケーション層、さらにはAI・機械学習サービスまで幅広くカバーしており、スタートアップから大企業まであらゆる規模の組織が活用できる設計になっています。

Googleが自社のグローバルインフラと同じ技術基盤でサービスを提供しているため、高い信頼性とパフォーマンスを実現しています。

GCP(Google Cloud Platform)の主要サービス

コンピューティングでは、Compute Engine(仮想マシン)やGoogle Kubernetes Engine(GKE)(コンテナオーケストレーション)が代表的です。サーバーレスでは、Cloud Run(サーバーレスコンテナ)やCloud Functions(サーバーレス関数)が使えます。いずれもワークロードに応じて使い分けでき、マイクロサービスに適しています。

データ・分析系では、BigQuery(大規模データウェアハウス)やCloud Storage(オブジェクトストレージ)が代表的です。BigQueryはペタバイト規模のデータを高速に処理できるため、BIやデータ分析基盤として多くの企業が採用しています。

DBには、Cloud SQL(マネージドリレーショナルDB)、Cloud Spanner(グローバル分散型RDBMS)、Firestore(NoSQLドキュメントDB)があります。

  • ネットワーク:Virtual Private Cloud(VPC)、Cloud Load Balancing、Cloud CDNなどを提供しています。
  • セキュリティ:Cloud Armor(DDoS対策・WAF)などがあります。
  • メッセージング:Pub/Sub(非同期メッセージング)やDataflow(ストリーム・バッチデータ処理)が中心です。
  • Anthos:マルチクラウド・ハイブリッドクラウドの管理基盤として、既存のオンプレミス環境との統合を可能にします。

GCP導入の特徴とAWS・Azureとの違い

GCPの最大の特徴は、Googleが長年培ってきたデータ処理・AI技術を、そのままサービスとして提供している点です。BigQueryによるサーバーレスのデータウェアハウスや、Vertex AIによる機械学習プラットフォームは、GCP固有の強みです。これらは、データドリブン経営やAI活用を推進する企業に特に適しています。

AWSはサービスの種類と実績の豊富さ、Azureは既存のMicrosoft製品(Office 365、Active Directory等)との親和性が強みです。一方、GCPは、コンテナ技術(Kubernetesの発祥はGoogle)との親和性、大規模データ分析基盤、AI・ML機能の充実という点で差別化されています。

また、Googleのグローバルネットワークインフラを活用したCloud CDNやCloud Interconnectは、国際展開する企業にも優位性をもたらします。料金体系では、コミット利用割引(Committed Use Discounts)やSustained Use Discountが自動適用される仕組みが特徴で、長期利用での費用最適化がしやすい構造です。

ポイント

GCPはサービスの数が多いため、ワークロードの種類ごとに候補を絞り、マイクロサービスや分析基盤など目的に合うものを選ぶと判断しやすくなります。

GCP導入・構築の進め方

GCP導入の要件定義・アーキテクチャ設計、構築・設定、テスト・移行・本番稼働の3工程を矢印でつないだ図。
設計から稼働へ、工程が順に移ります。

各フェーズでは、作業内容と注意点を押さえておくことが大切です。特に初期段階の設計品質は、その後のコストや運用効率に大きく影響します。そのため、要件定義と設計には十分な時間をかけたいところです。

要件定義・アーキテクチャ設計フェーズ

要件定義では、まず現状のインフラ構成を洗い出し、移行や新規構築の目的を明確にします。対象システムの規模(ユーザー数、データ量、トランザクション数)、可用性・信頼性要件(SLA)、セキュリティ・コンプライアンス要件(ISMS、PCI DSS等)を整理します。また、既存システムとの連携要件や段階的な移行計画も確認が必要です。

  • 全体の構造:GCPのリソース構造(Organization → Folder → Project)を設計します。
  • 構成の決定:リージョン構成(マルチかシングルか)、ネットワーク構成(VPCの設計、サブネット分割)を決めます。
  • コンピューティング:Compute Engine、GKE、Cloud Run等の中から選びます。
  • 構成管理:TerraformやDeployment ManagerによるIaC(Infrastructure as Code)で行い、設計段階で組み込みます。

ランディングゾーン(Landing Zone)の設計も、欠かせない工程です。ランディングゾーンとは、GCP上のセキュアで拡張可能な基盤環境のことで、IAMポリシーとネットワーク設計、ログ・監視基盤、セキュリティ基盤を含みます。その際は、Googleが提供するCloud Foundationsブループリントを参考に、自組織のポリシーに沿った標準化された環境を構築することが推奨されます。

構築・設定フェーズ(VPC、IAM、セキュリティ設定等)

構築では、設計に基づいてまずVPCを作り、サブネットの作成、Cloud RouterやCloud NATの設定、ファイアウォールルールの定義を行います。本番・ステージング・開発は別プロジェクトに分けるのが推奨され、Shared VPCで各環境のネットワークをまとめて管理できます。

IAM(Identity and Access Management)の設定は、セキュリティの根幹となる工程で、最小権限の原則に基づいて行います。

具体的には、カスタムロールの作成やサービスアカウントの管理、組織ポリシーの設定を行い、Cloud StorageバケットのIAMポリシーも定めます。加えて、Google Workspaceや既存のActive Directoryとのフェデレーション設定も検討します。セキュリティ監視の仕組みは、Cloud Audit LogsやSecurity Command Centerを活用して構築します。

  • アプリケーション基盤:GKEクラスターの作成と設定(ノードプール、オートスケール、Workload Identity等)を進めます。
  • データベース:Cloud SQLやCloud Spannerなどの設定を行います。
  • CI/CD:Cloud Build、Artifact Registry、Cloud Deployを組み合わせて構築します。
  • 構成の管理:IaCはTerraformで管理するのが一般的です。

テスト・移行・本番稼働フェーズ

テストフェーズでは、単体テスト・結合テスト・性能テスト・セキュリティテストを体系的に実施します。性能テストでは、Cloud Monitoringと連携しながら、想定負荷における応答時間やリソース消費量を測定します。また、Disaster Recovery(DR)テストとして、フェイルオーバーやバックアップからの復元手順も確認します。

データ移行では、Database Migration Service(DMS)やTransfer Applianceを活用します。特に大規模なデータ移行では、まずオフラインバルク転送でベースラインを同期し、カットオーバー直前に差分同期を行う方法が推奨されます。移行前にはデータの整合性チェックを徹底し、ロールバック計画を策定しておくことが不可欠です。

本番稼働後は、Cloud Monitoringでリソースを監視し、Cloud Loggingでログを集約し、Error Reportingでエラーを検知します。SLO(Service Level Objectives)を設定し、Cloud Monitoringのアラートで自動通知の仕組みを作ります。さらに、定期的なコスト最適化とセキュリティのレビューで、継続的な改善サイクルを回します。

ポイント

導入の判断に迷ったら、要件定義と設計に十分な時間をかけているかを見てください。初期段階の設計品質が、その後のコストや運用効率を大きく左右します。

GCP導入の費用相場

小規模システムは100万〜500万円程度、中規模システムは500万〜2,000万円程度、大規模システムは2,000万円以上と示したGCP初期構築費用の3枚パネル図。
規模が上がるにつれて費用の目安も段階的に変わります。

GCP導入・構築の費用は、システムの規模や要件によって大きく異なります。費用は、「初期構築費用」と「月次クラウド利用料」の2つに分けられます。

初期構築費用には、要件定義・設計から、構築、テスト、移行までの工数が含まれ、月次クラウド利用料はGCPのリソース使用量に応じて発生します。両方の費用を正確に把握しておくことが、適切な見積もりの前提になります。

規模別の費用目安

小規模なシステム(数十ユーザー程度のWebアプリケーション、シンプルなAPI基盤等)の場合、初期構築費用の目安は100万〜500万円程度です。Cloud RunやApp Engineのサーバーレス構成を採用すると、インフラ管理コストを下げられ、月次クラウド利用料も数万〜数十万円程度に抑えられます。

中規模システム(数百ユーザーのエンタープライズアプリ、GKEを活用したマイクロサービス基盤等)では、初期構築費用が500万〜2,000万円程度になることが多いです。初期構築費用には、VPC設計やIAM設計、CI/CDパイプラインの整備、複数環境(開発・ステージング・本番)の構築が含まれます。月次クラウド利用料は、数十万〜数百万円規模となります。

大規模システム(大量トランザクション処理、マルチリージョン構成、BigQueryを活用したデータ基盤等)の場合、初期構築費用が2,000万円以上となるケースも珍しくありません。金融・医療などの高度なコンプライアンス要件がある場合や、オンプレミスからの大規模移行では、費用がさらに増える傾向があります。

コスト最適化のポイント

GCPのコスト最適化には、いくつかの方法があります。まず、Committed Use Discounts(CUD)を活用すると、1年または3年のコミットメントにより最大57%の割引を受けられます。加えて、定常的に稼働しているリソースにはSustained Use Discountsが自動適用され、月の使用時間が長いほど割引率が上がります。

中断可能なワークロード(バッチ処理やCI/CDなど)では、Spot VM(旧プリエンプティブルVM)を使うと、通常価格から最大91%のコスト削減が可能です。さらに、Cloud Monitoringのコスト分析ダッシュボードやActive Assist(推奨事項)機能を定期的に確認し、使用していないリソースの削除や適切なマシンタイプへの変更を進めることが大切です。

ポイント

費用は規模と要件で大きく変わるため、初期構築費用と月次クラウド利用料を分けて見積もりを比べると判断しやすくなります。

まとめ

GCP導入・構築を成功させるには、要件定義・アーキテクチャ設計からVPC・IAM・セキュリティの設定、テスト・移行・本番稼働まで、各フェーズを計画的に進めることが大切です。GCPは、Compute EngineやGKE、Cloud Run、BigQuery、Cloud SQL、Pub/Sub、Dataflowなど多彩なサービスを提供しています。

ワークロードの特性に合わせて、最適なアーキテクチャを選ぶことが求められます。

費用は規模によって大きく異なりますが、Committed Use DiscountsやSpot VMなどの割引制度を活用すると、コストの最適化が可能です。初めてGCPを導入する場合は、Google Cloudのパートナー企業や専門のSI会社への依頼を検討することで、プロジェクトのリスクを低減し、確実な導入を実現できるでしょう。

本記事が、GCP導入・構築の進め方を理解するうえでの参考になれば幸いです。

▼全体ガイドの記事は、GCP導入/構築の完全ガイドをご覧ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。