成績管理システム開発の完全ガイド

成績管理システムは、学籍や成績、出欠などを一つの仕組みで扱う業務システムです。成績確定の正確性と業務効率を高めるうえで、校種ごとの評価や帳票に合わせた設計が欠かせません。

校種の違いや主な機能を皮切りに、導入の進め方、費用、会社の選び方を順に見ていきます。

▼関連記事一覧
・成績管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・成績管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・成績管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・成績管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

成績管理システムの概要

成績管理システムは、学籍から出欠までの情報を一元管理する業務システムです。成績表や証明書も出力できます。さらに、入力から公開までの履歴も残せるため、成績確定までの正確性と業務効率が高まります。

成績確定までの情報をつなぐ仕組み

成績情報を一つにまとめるには、転記の手間と管理ルールの両方を見直す必要があります。

  • 転記の課題:紙や複数のExcelでは、教員の点数を別の担当者が集計し、通知表や会議資料へ書き写す作業が生じがちです。
  • 起こりやすい問題:入力ミスや古いファイルの使用、計算式の上書きのほか、誰が確定したのか分からなくなることもあります。
  • マスタと権限:学年、クラス、学科、コース、科目、学期、評価基準を登録し、利用者ごとの権限の範囲で入力と確認を行います。
  • 計算と履歴:評定や平均、順位、GPA、単位、合否をルールに沿って算出し、承認後の変更も記録に残ります。

Excelから移行する価値と、計算の自動化以外の効果

導入の効果は、点数の合計を自動で計算することのほか、データの共有や業務ルールの整理にもあります。ただし、独自のExcel計算式をそのまま移す方法では、効果を十分に得られません。

  • データ共有:教務担当者と教員が最新版を見られ、入力漏れや未承認の成績を見つけられるほか、複数の帳票も出力できます。
  • 時間の活用:集計や通知表の作成にかかる時間を、指導内容の確認や保護者への説明に振り向けられます。
  • 業務ルール:評価の根拠や訂正の承認者を決め、過去年度のデータや転入・転出、追試の扱いも整理して、画面・権限・帳票に反映します。

ポイント

成績管理システムを検討するときは、転記や計算の手作業をどこまで減らせるか、確定までの履歴が残るかを、機能の一覧より先に確かめます。

成績管理システムの種類と対象校種

成績管理システムを中心に、小中学校、高校、大学・専門学校、学習塾で異なる管理対象を示した図。
学校段階や塾の運営に応じて、扱う評価と学習情報が分かれます。

校種によって必要なデータと評価処理は異なります。小中高校では、観点別評価や評定が中心になり、指導要録や調査書も扱います。

大学や専門学校では、履修や単位認定に加えて、GPAや再試験、卒業判定の扱いが重要になります。また、学習塾では授業履歴や模試結果、保護者向けの学習報告を扱います。

小学校・中学校の観点別評価と通知表

小中学校向けの選定では、管理する成績項目と公開の手順を確認することが欠かせません。

  • 管理データ:基本情報や学級、教科、観点別評価などの成績データに加えて、出欠や所見、通知表、指導要録も扱います。
  • 画面の適合性:学年や学期で評価基準が変わる場合、教科ごとに入力項目が違う場合でも、画面が対応できるかが問われます。
  • 承認手順:公開前の下書きを担任が確認し、管理職の承認を経て確定します。確定後の訂正も、この役割で分けておきます。
  • 公開方法:通知表を印刷、PDF、保護者向け配信のどれで出すかを、範囲と時期とあわせて決めます。

通知表の公開は、印刷と保護者向け配信で影響する範囲が変わります。公開の段階を先に決めておけば、誤公開を防ぎやすくなります。

高校の科目・単位・進級判定への対応

高校では、評価や履修の処理と帳票がつながっているかを確かめることが大切です。

  • 評価処理:定期考査や平常点、観点別評価を基に、欠課や追試、再評価を経て、単位認定や成績不振、進級・卒業まで扱います。
  • 教育課程:学科や単位制、中高一貫校で異なる履修ルールに合わせて、科目コードや履修パターンを柔軟に管理します。
  • 帳票出力:調査書や指導要録、成績証明書、会議資料を、同じ成績データから用途別に出せます。
  • 独自仕様:自治体や学校ごとの独自帳票は、標準機能でどこまで対応できるか、追加費用はいくらかをサンプルで確かめます。

大学・専門学校の履修・単位・GPA

大学・専門学校では、履修の変化と他システムとのデータ連携を見ておく必要があります。

  • 管理対象:学籍や学科、コースに加えて、履修登録や試験、成績、単位、GPA、卒業要件、証明書を連携して扱います。
  • 履修状態:学期や科目ごとに変わるため、登録締切や取消、追試、認定単位、編入・転入時の読み替えの扱いを確認します。
  • 連携方式:学習管理や出欠システムとの接続が、CSVかAPIかを見極めます。
  • 照合キー:学生番号と科目コード、年度、学期をそろえて検証します。不一致は二重入力や連携エラーにつながります。

学習塾の成績と指導・保護者連絡

塾では、成績情報を指導へつなげるとともに、教室間の権限や退塾後のデータの扱いも決めておきます。

  • 管理情報:在籍や受講科目、授業履歴に加えて、テストや模試の結果、偏差値、目標校、面談の記録、保護者向けの報告まで扱います。
  • 指導への活用:学校の通知表作成とは違い、成績の推移や学習状況を次回の指導につなぐ分析画面を重視する点が特徴です。
  • 複数教室の権限:複数の教室を運営する場合は、教室別のデータを本部で集計できる権限を設計します。保護者向けの情報と講師用のメモも分けておきます。
  • 退塾後:データをどれだけ保管し、いつ削除するかを、導入前に決めておきます。

ポイント

校種によって必要なデータと評価処理は大きく異なるため、自校の校種で何を扱うかを先に決め、その違いを前提に機能を比べます。

成績管理システムの主な機能と導入効果

成績管理システムの機能を、データと評価計算、帳票と公開、権限・履歴・外部連携の3領域に分けた図。
入力後の計算から公開や連携までが、3つの領域でつながります。

機能の多さより、成績入力から確定・出力・公開まで管理できるかを見ることが大切です。評価ルール、操作履歴、安全なシステム連携は、基本となる条件です。

学籍・成績データと評価計算の管理

管理するのは、氏名や番号、所属(学年、クラス、学科、コース、担任)に加えて、保護者情報です。科目や試験、素点は、この学籍情報と結び付けます。平常点や課題、出欠、ルーブリックも、同じ学籍情報のもとで扱います。

評定や平均、順位、GPA、単位も同じ基盤で扱えます。計算ルールは、重み付けや合計、平均、丸めを設定します。

  • 例外条件:欠損や未受験、再試験、追試のほか、評価の上限も設定します。
  • デモでの確認:未入力や転入、途中退学、再評価、科目変更の場面を、実際の画面で試します。

正常なデータだけでなく例外も入力して、計算結果が実際の結果と一致するかを確かめます。

帳票作成と保護者・学生への公開

確定したデータから成績一覧や通知表、指導要録などを出力すれば、転記作業を減らせます。調査書や成績証明書、会議資料、行政提出資料も、同じデータから出せます。

PDFや印刷、CSVなど複数の出力方法がある場合は、出力の権限と保存場所、再出力の履歴も設計しておく必要があります。

  • 公開設定:保護者や学生へデジタルで公開する場合は、対象や日時、閲覧期間、本人確認、誤公開時の停止方法を決めます。
  • 表示項目:通知表や得点、出欠、健康情報は、それぞれ別々に扱います。

すべてのデータを同じ範囲で公開すると、必要以上の情報が見えてしまいます。そこで、利用目的に応じて最小限の情報を表示します。

権限・履歴・外部連携による安全な共同利用

教科担当や担任、教務、学科責任者、管理職、管理者では、必要な操作が異なります。そのため、担当科目のみ入力する人と、確定を承認する人を分けて設定します。

閲覧や編集、出力、削除の権限は、個別に設定します。操作や閲覧のログ、訂正の前後の値、承認者、出力の履歴を残しておけば、誤りの原因をさかのぼって追えます。

  • 連携先:学習管理や出欠、保健、入試、進路、証明書、認証基盤などが対象になります。
  • 連携方法:API、CSV、ファイル転送のうちから、連携先に合う方法を選びます。

連携でエラーが起きた場合に誰が再処理するかも、要件に含めます。

成績管理システム開発・導入の進め方

現状業務と要件の整理から方式比較、データ移行と受入テスト、研修・稼働後の改善へ進む導入手順の図。
業務の整理から稼働後の改善まで、確認を重ねて進めます。

製品や開発会社を選ぶ前に、今の成績処理の流れを一覧にして押さえます。

学期末作業、年度更新、帳票確認、例外的な評価処理を先に整理すると、導入後の手作業を減らせます。

▶ 詳細はこちら:成績管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

現状業務の洗い出しと要件の優先順位

成績入力から確定、帳票出力、保護者・学生への通知までを、業務の流れとして描きます。そのうえで、担当者や入力項目、締切を洗い出します。承認者、ファイル、転記先、例外処理も、この流れに沿って書き出します。

  • MUSTとWANT:要件を、必ず必要なものと、あると望ましいものに優先度で分けます。
  • 業務ルール:評価式や丸め、欠課、追試、再試験、年度更新、過年度訂正のルールを、文章とサンプルの両方で決めます。

利用者数だけでなく、同時アクセス数も確認しておく必要があります。試験後や学期末に一斉入力が重なると、回線やサーバー性能の前提が変わるためです。

校種と校数、児童生徒・学生数を一覧にしておくと、見積条件が明確になります。過去データの保管年数や連携先、帳票数も、同じ表に書き込みます。

クラウド・パッケージ・スクラッチの適性比較

クラウド型は、サーバーの管理やバックアップを外部に任せやすく、初期構築も短くしやすい方式です。一方、パッケージ型は、標準機能を設定や帳票の変更で自校に合わせます。

スクラッチ開発は、独自の制度や複雑な連携に向いています。その一方で、法令や帳票、脆弱性への長期的な対応は、自ら設計しなければなりません。

  • 費用比較:導入費だけでなく、5年間の総保有コストで比べます。
  • 運用費用:更新や移行、研修、保守、解約時の返却にかかる費用も含めて見ます。

候補を絞ったら、成績入力や訂正、承認、年度切替、帳票出力を含む試作品を実際に操作してみます。説明資料と実際の画面に差がないかも、あわせて確かめます。

データ移行と受入テスト

移行では、氏名の変更や学籍番号の重複、転入・転出を検査します。休学や旧年度の科目コード、欠損値も確かめます。Excelの数式や書式も、検査の対象に含めます。

移行の対象を現年度だけにするか、過去何年分を閲覧できるようにするかを決めます。あわせて原本を別に保管するかも決め、件数と合計値を照合します。

  • 入力と承認:未入力や差し戻し、承認者の不在、評価式の例外を、実際の操作で試します。
  • 運用と安全性:年度切替や帳票印刷、権限外の閲覧、連携エラー、バックアップからの復元を、確かめる対象にします。

通常の成績入力に加えて、例外も含めた検査が必要です。旧運用と新システムの結果を一定期間照合し、教務担当者が結果を説明できる状態になってから、本稼働へ移ります。

研修・年度更新・稼働後の改善

本稼働後は、教科担当や担任、教務、管理者ごとに、操作の手順を分けて用意します。入力者には登録と訂正、承認者には確認と差し戻しを、それぞれ教えておきます。

管理者には、マスタと権限の更新を教えておきます。そのうえで、問い合わせ窓口や障害時の連絡網、年度更新のチェックリストも用意します。

  • 導入前後の比較:入力にかかる時間や転記の件数、訂正の件数、帳票作成の時間を、導入前と比べます。
  • 運用状況の確認:問い合わせの件数や、データ連携のエラーの数も見ておきます。

制度や帳票が変わったときに必要になる改修費用と、対応の期限を確認しておきます。また、年度更新を特定の担当者だけに頼らない体制も大切です。

ポイント

導入の進め方では、製品や開発会社を決める前に、今の成績処理を一覧にして、学期末や年度更新の作業を整理しておくことが出発点になります。

成績管理システムの費用相場とコスト内訳

費用は、校種や学校数、利用者数に加えて、独自帳票や評価式、移行、連携、研修、保守の範囲によって変わります。

金額は、公開料金と類似する業務システムから整理した目安で、個別案件の確定見積ではありません。

▶ 詳細はこちら:成績管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

標準クラウドの初期30万〜100万円と月額2万〜5万円の目安

標準料金は比較の出発点で、かかる費用のすべてを示すものではありません。

  • 標準クラウドの目安:1校あたり、初期30万〜100万円、月額2万〜5万円程度です。
  • 公開料金の例:月額料金は、学校種別によって異なります。
  • 別費用の可能性:現地での操作指導や、サーバー・通信設備、自治体のセンターでの集中運用は、別料金になる場合があります。
  • 含まれる作業:初期設定や成績移行、帳票変更、認証連携、保護者公開、研修、問い合わせ、バックアップ、年度更新の支援が料金に含まれるかを確認します。
  • 長期総額:月額が安くても、追加のオプションによって5年間の総額が大きくなることがあります。

公式料金では、小中学校は月額22,000円、高校は月額44,000円です(出典:学校向け校務支援サービス公式料金ページ、2026年確認)。初期導入費用は330,000円(税込)です(出典:同公式料金ページ、2026年確認)。

独自帳票・連携を加えた場合の費用

独自の要件を加える場合は、追加する機能の範囲と、学校種別ごとの費用を分けて見ていきます。

  • 独自機能の費用:独自の評価式や特殊な進級判定、複数の帳票、学習・出欠・認証の連携を加えると、初期で300万〜1,000万円程度になる場合があります。
  • 学籍・履修管理:専門学校や大学向けでは、移行や証明書発行を含めて、100万〜500万円程度から検討するケースがあります。
  • 見積の分解:費用は画面数よりも、業務ルールと連携数で変わります。評価式の種類や帳票数、移行年数、同期項目数に分けて見積もります。
  • 要件確認:サンプルデータを使って実現方法と制約を確かめると、追加費用の原因を把握できます。

自治体・複数校の統合型の費用幅

複数校をまとめた統合の費用は、単校向けと対象の範囲をそろえて見積もる必要があります。

  • 統合案件の範囲:複数校の統合では、認証やネットワーク、移行、研修、運用監視を含めると、単校向けとは規模が違ってきます。
  • 公表事例:自治体全体の統合案件では、数億円規模の例もあります。
  • 金額の範囲:成績管理の単体ではなく、自治体全体の構築と運用が対象で、標準化やデータ統合、教育、問い合わせ、可用性、障害対応まで含みます。
  • 見積条件:価格だけでなく、対象校や人数、データ年数、連携数、運用体制をそろえてから比べます。

2025年5月に公表された自治体案件は、税抜5億8,084万7,000円で落札されました(出典:福岡市教育委員会、2025年)。案件名は「統合型校務支援システム構築・運用業務委託」です。

ポイント

費用は初期費用と月額だけでなく、独自帳票や連携、移行の範囲をそろえて比べます。範囲が違う見積もりでは、金額の差がどこから来るのか読み違えやすくなります。

成績管理システム開発会社・ベンダーの選び方

会社を選ぶ際は、機能の数や知名度に加えて、自校の校種や業務を理解し、導入後も支援してくれるかを見ます。

独自の評価式や帳票、年度切替、訂正履歴、移行は、実データに近いシナリオで確かめます。

自校と近い校種・規模の導入経験

小中高校の校務支援、大学・専門学校の学務管理、塾の生徒管理では、必要なデータの構造が異なります。

  • 導入経験:近い校種や人数、学校数、教育課程、利用者数、導入時期が、自校に合うかを確かめます。
  • 運用事例:可能であれば、同規模の学校での運用を見せてもらいます。

導入校数だけでは、成績機能の範囲や掲載時点が分かりません。そのため、公式の数値かどうか、現在も稼働しているかを確かめます。

事例を聞く際は、入力時間だけでなく、移行の方法や帳票の変更、研修、稼働後の支援内容も尋ねます。

評価式・帳票・移行・連携の同一条件での見積比較

相見積もりでは、どの会社にも同じRFPを渡します。RFPには、対象の校種や規模、利用者の役割を書いておきます。成績項目や評価式、丸めも、具体的に書き込みます。年度・学期と例外処理も、同じRFPに含めます。

必要な帳票や保護者・学生への公開、連携先、移行年度に加えて、研修や保守、障害対応、終了時のデータ返却も含めて記載します。

  • 費用項目:設定や要件定義、設計、開発、テスト、移行、研修ごとに、金額を分けてもらいます。
  • 継続費用:月額や年額と、帳票、API、サポート、更新の費用は、別々に示してもらいます。

見積に「一式」と書かれている場合は、含まれる作業と含まれない作業を確認します。あわせて、仕様変更時の単価と承認方法も契約の前に決めておきます。

保守・制度変更対応・契約条件

成績管理は、学習指導要領や学校独自の評価基準、帳票の様式、自治体のルールに左右されます。

  • 制度・帳票の変更:標準の更新で対応するのか個別の改修になるのか、対応の期限はいつかを確かめます。
  • 支援体制:問い合わせの受付時間や、学期末の緊急対応、障害時の復旧目標を比べます。
  • クラウド契約:保管場所や暗号化、バックアップ、復旧目標、再委託先、脆弱性対応に加えて、停止時の返却や消去証明も定めます。
  • オンプレミス運用:サーバーの更新やパッチ、媒体、障害対応について、誰がどの責任を負うかを決めておきます。
  • 引き継ぎ:設定情報と手順書を、誰が持つのかをはっきりさせます。

▶ 詳細はこちら:成績管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:成績管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

会社の選び方は、機能の数や知名度よりも、自校と近い校種・規模での導入経験と、同じ条件で出された見積もりを基準に比べます。

成績や出欠、健康、家庭、進路の情報は、組み合わせによっては本人への影響が大きい個人情報です。

まず、誰が何の目的でどの情報を見るのか、訂正や削除をどう行うのかを決めます。そのうえで、クラウドや連携の方式を選びます。

教育情報セキュリティの考え方とRFPの記載

文部科学省は2025年3月に「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を改訂しました。このガイドラインは、情報資産や端末、ID・パスワード、クラウド、アクセス制御の考え方を示しています(出典:文部科学省「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和7年3月)」)。

RFPに「安全に対応」とだけ書いても、開発会社によって解釈が分かれます。保存場所や通信時・保存時の暗号化を、具体的に記載します。管理者や教務、担任の役割は、それぞれ分けて書きます。教科担当と保護者の役割も、明記しておきます。

  • アクセス管理:多要素認証やIP制限、操作・閲覧・出力のログの有無を確かめます。
  • 継続性:バックアップや復旧時間、脆弱性への対応、端末をなくした場合の措置を確認します。

校務系と学習系のネットワークが分かれている場合は、連携の経路と認証の方式も設計します。

委託先・再委託先・契約終了後のデータ管理

個人情報保護委員会のガイドラインでは、委託先の安全管理措置を確かめたうえで、取扱状況や監査、再委託の条件を契約で定めることが示されています(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2026年確認)。

  • データ閲覧:サポート担当者が本番のデータを見られるか、障害の調査でデータを複製するかを確かめます。
  • 契約条件:利用目的やアクセス担当者、再委託の事前の報告と承認を、契約で決めます。
  • 監督と終了時:監査や報告、漏えい時の連絡、国外での取扱い、返却と消去、消去証明を契約に盛り込みます。
  • バックアップ等:消去の時期や返却の形式、返却にかかる費用を、事前に確かめておきます。

AIの補助用途と評定の自動決定の扱い

成績や出欠を見やすく示すことや、保護者へのデジタル通知、学習分析、入力チェックにAIを使う提案があります。

AIだけで評定や進級を決めてしまうと、誤った判定を直すことや、根拠を説明すること、本人に通知すること、データの利用目的を整理することが難しくなります。

  • 補助用途:未入力や異常値の検出、帳票の校正、問い合わせの検索、学習状況の集計などに使います。
  • 運用条件:入力の範囲や保存期間、学習への利用、出力の確認者、訂正の手順を決めておきます。

最終的な判断は人が行い、教育上の説明責任を損なわない運用にします。

成績管理システムに関するよくある質問

費用や機能に加えて、自校の運用に当てはめたときの確認点もまとめます。

成績管理システムの導入前に何を準備すればよいですか?

導入前には、現行のExcelや紙の帳票、成績処理のカレンダーを用意します。評価式や学籍と科目のマスタ、利用者と承認者の一覧も、あわせて揃えておきます。

追試や再評価、転入・転出、未受験、年度切替のサンプルも用意しておくと、候補のシステムを正確に比べられます。

成績管理システムの導入期間はどのくらいですか?

標準クラウドを1校で導入する場合は1〜3か月です。一方、専門学校・大学向けの学籍・履修・成績パッケージは、3〜6か月が目安です。

独自帳票や外部連携を含む導入は、4〜9か月が目安です。さらに、スクラッチ開発や複数校の統合では、要件定義や移行、研修を含めて6か月から1年以上かかることがあります。

Excelを残したまま成績管理システムを導入できますか?

段階的に導入する方法として、ExcelからCSVで素点を取り込み、評定の計算や承認、帳票の作成をシステムで行う進め方があります。

Excelの数式や書式を残すほど、二重管理や古いファイル、入力ルールの不統一が残りやすくなります。そのため、どのデータを正本にするか、取り込み後の訂正をどこで行うかを、あらかじめ決めておきます。

クラウド型の成績管理システムは安全ですか?

安全性は、クラウドかオンプレミスかという形態よりも、学校や自治体の方針に照らして各対策を確かめた結果で決まります。

確認項目には、アクセス制御や認証、暗号化、ログ、バックアップのほか、脆弱性への対応や復旧、委託先の監督、契約終了時のデータ処理があります。

まとめ

成績管理システムは、学籍や履修、成績をつなぐ仕組みです。出欠や帳票、保護者や学生への公開も、同じ仕組みの中で扱います。Excelでの転記ミスや属人化を減らし、確定の根拠と履歴を残せます。

選定での校種・評価式・帳票・移行・連携の条件のそろえ方

選定では、対象の校種や規模、評価式を先に整理します。帳票や移行年度も、同じ条件として書き出します。連携とセキュリティも、あわせて整理します。利用者や年度更新、例外処理、公開の範囲も含めて整理すると、比べる条件がそろいます。

候補を比べるときは、公開料金だけでなく、5年TCOや保守、制度変更、障害時の支援、契約終了時のデータ返却も確かめます。

現行フローとサンプルデータの準備

まず、成績入力から確定、帳票出力までの現行フローを描き、通常のケースと例外のケースのサンプルデータを用意します。

実際の業務を基準に、クラウド、パッケージ、スクラッチの適性と費用を比べると、導入後も使えるシステムを選びやすくなります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。