HAProxyのシステム開発は、HAProxyをインストールするだけではなく、通信をどこで受け、どのサーバーへ振り分け、障害時にどう切り替え、誰が安全に運用するかまでを設計する取り組みです。費用を抑えながら安定稼働を目指すには、要件整理から定着化までを六つのフェーズに分け、性能・可用性・セキュリティを数値で確認することが重要です。
本記事では、Webサイト、API、WebSocket、gRPC、TCP系の業務システムにHAProxyを導入する進め方を、要件整理、製品・方式選定、設計開発、テスト、稼働、定着の順に解説します。2026年時点の動向を踏まえ、Community版とEnterprise版の違い、クラウドやKubernetesとの組み合わせ、費用相場、見積書で確認すべき成果物、受入試験のチェックポイントまで、発注側が判断に使える形で整理します。
▼全体ガイドの記事
・HAProxyのシステム開発の完全ガイド
HAProxyのシステムとは何ですか?全体像と導入判断のポイント

HAProxyは、クライアントとWeb・アプリケーションサーバーの間に置くリバースプロキシおよびソフトウェアロードバランサーです。アプリケーションの機能を開発する製品ではなく、入口の通信を制御し、複数のバックエンドへ適切に配信する基盤と考えると、導入範囲を決めやすくなります。HAProxy Technologiesの公式説明でも、TCP、UDP、QUIC、HTTPのアプリケーションに対する高可用性、ロードバランシング、TLS処理が主要な役割として示されています(出典: HAProxy Technologies公式ブログ、2025年)。
HAProxyが担う役割と一般的な構成
典型的な構成は、「利用者またはCDN・WAF」「HAProxy」「Web・アプリ・APIサーバー」「データベースや外部SaaS」という流れです。HAProxyはHost、URL、ヘッダー、Cookie、IPアドレス、ポートなどを条件に、リクエストを適切なバックエンドへ振り分けます。HTTPの応答を確認するヘルスチェックを設定すれば、異常なサーバーを自動的に振り分け対象から外せます。単純なTCP接続確認だけでは、プロセスは動いていてもアプリがエラーを返している状態を見逃すため、業務システムでは/healthzなどのアプリケーションレベルの確認を設けることが大切です。
可用性を重視する場合は、HAProxyを1台だけ置いてはいけません。オンプレミスでは2台をactive/standbyにしてKeepalivedとVRRPで仮想IPを引き継ぐ構成、クラウドでは複数のアベイラビリティゾーンに分散した構成やマネージドロードバランサーとの併用を検討します。ただし、2台に増やしただけで高可用性になるわけではありません。仮想IPの切替、セッションの扱い、設定同期、監視経路、復旧後の切り戻しまで試験して初めて、障害に強いシステムになります。
HAProxyを採用しやすいケースと慎重に比較するケース
HAProxyを採用しやすいのは、複数のWeb・APIサーバーへ柔軟に振り分けたい場合、HTTP以外のTCP通信も扱いたい場合、設定をGitやIaCで管理したい場合、オンプレミスとクラウドをまたいで同じ制御を使いたい場合です。一方、一般的なHTTP負荷分散だけで、証明書更新、スケール、監視までマネージドサービスに任せたい場合は、AWSのロードバランサーなどと比較した方がよい場合があります。
Community版はライセンス費を抑えやすい一方、設定、パッチ、脆弱性対応、障害時の調査を自社または委託先が担います。Enterprise版は商用サポートやWAF、DDoS対策、Bot管理、集中管理などを含めて検討でき、公式サイトでは価格を要件に応じた個別見積もりとしています(出典: HAProxy Technologies公式製品ページ、2026年8月確認)。「無料だから安い」と決めず、運用担当者の工数、停止時の損失、24時間対応の必要性まで含めて比較します。
HAProxyのシステム開発の進め方|6フェーズで失敗を防ぐ

HAProxy導入は、設定ファイルを先に書くのではなく、現状の通信と業務要件を整理し、小さく検証してから本番へ広げます。以下の六つのフェーズでは、各段階で決めること、成果物、次へ進む判断を明確にします。特に「止まらない」「速い」といった抽象的な要望を、同時接続数、P95応答時間、切替秒数、復旧目標時間などの測定可能な条件に変換することが重要です。
フェーズ1:要件整理で「何を守るか」を決めます
最初に、対象サービス、利用者、通信プロトコル、現在の入口、バックエンド台数、ピーク時間帯、月間リクエスト量、同時接続数を棚卸しします。Web画面だけでなく、API、WebSocket、gRPC、バッチ、社内拠点からのTCP通信がある場合は、プロトコルごとに要件を分けます。URLやHostで振り分けるのか、Cookieでセッションを固定するのか、接続元IPを保持するのかもこの段階で確認します。
非機能要件は、可用性、性能、セキュリティ、運用の四つに分けると抜け漏れを抑えられます。例えば、可用性は「HAProxy障害時に何秒以内で切り替えるか」、性能は「ピーク時のP95応答時間と同時接続数」、セキュリティは「TLS終端位置、許可するプロトコル、ログのマスキング」、運用は「設定変更の承認者とロールバック時間」のように書きます。成果物は要件一覧、現行構成図、トラフィック一覧、非機能要件表、障害時の業務影響表です。
このフェーズのチェック項目は、対象通信がすべて列挙されているか、ピーク値に余裕率を設定したか、RTOとRPOを合意したか、個人情報や認証情報をログに残さないか、切替後の問い合わせ窓口が決まっているかです。要件が曖昧なまま進めると、後から「管理画面もHTTPS化したい」「障害時もログイン状態を維持したい」といった追加要望が出て、費用と納期が膨らみます。
フェーズ2:製品・方式選定で責任分界を明確にします
次に、Community版、Enterprise版、クラウド上のHAProxy、Kubernetes IngressまたはGateway、クラウドLBとの併用を比較します。選定軸はライセンス価格だけではありません。求めるL4・L7機能、TLSや証明書の扱い、WAF・DDoS・Bot対策、管理画面の有無、設定の自動化、監視、サポート時間、脆弱性修正の通知、将来の移行性を並べます。
自社にLinuxとネットワークの担当者がいて、停止時の一次対応を営業時間内に行えるなら、Community版と外部保守の組み合わせが合う可能性があります。24時間365日のサポート、商用WAF、集中管理、複数環境の統一運用が必要ならEnterprise版を比較します。Kubernetesでは、Podの増減やサービスディスカバリーと連動できる反面、Ingress Controllerの更新やクラスタ障害時の挙動を検証しなければなりません。
候補を絞る前に、1〜2本の代表的なサービスを使ったPoCを実施します。正常系の振り分けだけでなく、バックエンド停止、遅延、5xx、証明書期限切れ、HAProxyノード停止、設定の構文エラーを再現し、製品の違いが業務影響にどう現れるかを確認します。選定結果には、採用理由だけでなく不採用理由、責任分界、将来の拡張条件も残します。
フェーズ3:設計・開発で通信経路と変更方法を固めます
設計では、ネットワーク構成、名前解決、IPアドレス、ポート、セキュリティグループ、TLS終端、バックエンドへの再暗号化、ヘルスチェック、タイムアウト、リトライ、負荷分散アルゴリズムを決めます。タイムアウトは短ければよいわけではなく、アプリケーションやDBの処理時間と整合させます。短すぎれば正常な処理を切断し、長すぎれば障害時に接続が滞留します。WebSocketや長時間接続、ファイルアップロードがある場合は、通常のWebリクエストと別の値を検討します。
本番HA構成では、active/standbyまたはactive/activeの方式、仮想IPやDNSの切替、セッション情報の保管場所、設定同期の方法を決めます。スティッキーセッションを使う場合は、特定ノードへの偏りやノード障害時の再ログインを評価します。可能ならアプリ側をステートレスにして、HAProxyが1台に依存する状態を減らします。証明書と秘密鍵はリポジトリへ平文で置かず、権限を限定した秘密情報管理基盤から投入します。
開発の要点は、設定を手作業で直接変更しないことです。設定ファイルをGitで管理し、レビュー、構文検証、ステージング反映、負荷試験、承認、本番反映、ロールバックという流れを作ります。`haproxy -c`などによる構文検証、TerraformやAnsible、Data Plane APIの利用可否を決め、誰がいつ何を変更したかを監査できる状態にします。統計画面や管理ソケットは管理ネットワークに限定し、インターネットへ公開しない設計が必要です。
フェーズ4:テストで正常系以外を重点的に検証します
受入試験は、画面が表示されることだけで終わらせません。まず機能試験として、Host・URL・Cookie・ヘッダーによる振り分け、HTTPとHTTPS、WebSocketやTCP、バックアップサーバーへの切替を確認します。次に性能試験として、通常時、ピーク時、急激な増加時の同時接続数、スループット、P95とP99の応答時間、CPU・メモリ・ネットワーク使用率を記録します。基準値と実測値を同じ表に置くと、合否を判断しやすくなります。
障害試験では、HAProxyノードの電源断、Keepalivedの停止、バックエンド1台の停止、全バックエンド停止、ネットワーク遅延、DNS障害、証明書の期限切れ、誤った設定の投入を再現します。確認するのは切替が成功したかだけではありません。利用者に何が見えるか、既存セッションがどうなるか、アラートが何分で届くか、ログに原因を特定できる情報があるか、復旧後に自動で元へ戻るかも確認します。
テストのチェックリストは、「正常なバックエンドだけへ配信される」「異常判定の閾値が要件どおり」「切替時間が目標以内」「TLS 1.2または1.3の想定設定になっている」「秘密情報がアクセスログに出ない」「設定ロールバックが再現できる」「監視とオンコール通知が届く」「試験結果と未解決課題が記録されている」です。IPAのTLS暗号設定ガイドラインは2025年4月25日に第3.1.1版が公開され、特段の要件がなければ推奨セキュリティ型を勧めています(出典: IPA、2025年)。TLS試験は独自判断だけでなく、このような公的ガイドラインも参照します。
フェーズ5:稼働で段階移行とロールバックを実施します
本番稼働は、いきなり全トラフィックを切り替えず、時間帯と対象範囲を限定して進めます。DNSのTTL、旧経路への戻し方、バックエンドの接続元制限、監視ダッシュボード、関係者の連絡網を事前に確認します。可能であれば、カナリアリリースや重み付けで一部の利用者だけを新経路へ流し、エラー率、応答時間、接続数、業務処理の完了状況を監視してから対象を広げます。
切替手順書には、担当者、実施時刻、実行コマンド、確認画面、判断基準、停止条件、ロールバック方法を記載します。特に、設定反映後に想定外の5xxが増えた場合、どの数値で中止するかを事前に決めます。作業後は、利用者側の画面だけでなく、認証、決済、バッチ、外部API、ログ連携など業務の一連の流れを確認します。
フェーズ6:定着で運用と改善を仕組み化します
稼働後は、HAProxyの稼働率だけでなく、バックエンドの切離し回数、ヘルスチェック失敗、5xx、タイムアウト、TLSエラー、レート制限の発動、P95応答時間を継続的に確認します。ログは保存期間、マスキング、アクセス権限、保管場所を決め、障害調査に使える粒度と個人情報保護を両立させます。監視項目は設定して終わりではなく、実際にアラートを発生させて、担当者が対応できるかを確認します。
定着化の成果物は、運用手順書、障害対応フロー、設定変更申請書、月次レポート、脆弱性対応計画、証明書更新手順、バックアップ・復元手順、教育記録です。HAProxy 3.2ではTLS、QUIC、Runtime API、Prometheus exporterなどの改善が紹介されていますが、2026年8月時点で公式ページは3.4を最新バージョンとして案内しています(出典: HAProxy Technologies公式ブログ、2026年確認)。バージョンアップは機能追加だけでなく、サポート期限、依存ライブラリ、設定互換性、脆弱性修正を含めて計画します。
なお、2026年2月にはHAProxyのQUIC処理に関するCVE-2026-26080およびCVE-2026-26081が公開され、公式アドバイザリは影響を確認して更新するよう案内しています(出典: HAProxy Technologiesセキュリティアドバイザリ、2026年2月)。QUICを利用していないつもりでも、設定やイメージの初期値を確認し、脆弱性情報の確認者と更新期限を保守契約に含めることが大切です。
HAProxyのシステム開発にかかる費用相場と期間

HAProxy単体の日本国内の受託開発価格表は一般公開されていないため、以下は公式定価ではなく、要件と作業範囲を分解した見積もり目安です。特にHAProxy案件では、ソフトウェアの導入作業よりも、冗長化、性能試験、TLS、監視、移行、運用設計の比重が高くなります。正確な金額は、対象サービス数、環境数、トラフィック、SLA、既存ネットワーク、納品物によって変わります。
要件別の初期費用と開発期間の目安
PoCや検証環境でHAProxyを1台構築し、基本ルーティング、TLS、簡易ヘルスチェック、負荷試験まで行う場合は、50万〜150万円程度、期間は2〜4週間が一つの目安です。本番Web・APIをHAProxy 2台の冗長構成で導入し、要件定義、証明書、監視、ログ、IaC、切替試験まで含める場合は、200万〜500万円程度、1.5〜3か月程度を見込みます。これらはリサーチノートに基づく推定レンジであり、製品の公式価格ではありません。
複数AZ、複数環境、Kubernetes連携、CI/CD、権限・監査、移行まで含める場合は、500万〜1,500万円程度、3〜6か月程度が目安になります。大規模・多拠点・マルチクラウドで、DR、性能限界試験、WAFやBot対策、24時間運用まで含める場合は、1,500万〜3,000万円以上、6〜12か月程度になる可能性があります。環境数と移行対象が増えるほど、設定の作成よりも調整、試験、切替計画の工数が増えます。
費用の内訳と「無料」の範囲
見積もりは、要件整理・設計、HAProxy設定、OSやネットワーク、冗長化、TLS・証明書、監視・ログ、IaC・CI/CD、性能・障害試験、移行、ドキュメント・教育に分けて確認します。Community版のソフトウェアを無償で利用できても、これらの設計構築費は発生します。開発費の多くは人件費で構成され、リサーチノートでは業務システム開発の一般論として人件費が60〜80%程度になると整理されていますが、案件ごとの見積もり比率として断定しないよう注意します。
クラウドを使う場合は、HAProxyのライセンスまたはMarketplace料金に加えて、VM、ディスク、データ転送、固定IP、ロードバランサー、監視、バックアップ、2台分の料金が必要です。AWS MarketplaceのHAProxy Enterprise Basic Ubuntu Server 24.04 AMIでは、掲載例としてインスタンスにかかわらず0.35米ドル/時間のusage costが示されています(出典: AWS Marketplace、2026年8月確認)。730時間で約256米ドルという試算はできますが、為替やAWSインフラ料金を含まないため、日本円の総額として断定してはいけません。
保守・運用費と将来コストの考え方
保守費には、脆弱性情報の確認、OSとHAProxyの更新、証明書更新、設定変更、障害調査、バックアップ、復元試験、性能確認を含めるか確認します。初期費用の年15〜25%を保守費の仮置きにすると、本番HA構成の初期費用200万〜500万円に対して年30万〜125万円程度という計算になりますが、あくまで一般的な目安です。24時間365日のオンコール、SLA、WAF、SIEM、SOC連携まで含める場合は、別の運用体制と見積もりになります。
将来コストとしては、バックエンド追加、環境追加、帯域増加、証明書の種類、ログ保存量、監視サービス、EOL前の移行、訓練の回数を見込みます。最初の見積もりを安く見せるために、試験や運用設計を削ると、本番後に追加費用が発生しやすくなります。初期構築と保守を分けるだけでなく、通常変更、緊急変更、障害対応、バージョンアップをそれぞれいくらで扱うかを契約書に記載します。
HAProxyの見積もりを取る際のポイントとチェックリスト

HAProxyの見積もりは、台数と設定項目だけでは比較できません。同じ「2台構成」でも、障害切替試験まで含むのか、監視を設定するだけか、IaCを納品するのか、24時間対応を契約するのかで、成果物と費用が大きく変わります。見積依頼書には、現行構成、対象サービス、ピーク値、目標SLA、移行希望日、既存のクラウド・ネットワーク制約、必要な保守レベルを記載します。
要件と成果物を見積書に対応づけます
見積書では、要件定義書、構成図、通信マトリクス、HAProxy設定、OS・ミドルウェア設定、証明書手順、監視設計、ログ設計、IaCコード、テスト仕様書、試験結果、切替手順、ロールバック手順、運用手順書、教育資料が含まれるか確認します。「設定一式」「導入支援一式」のような項目だけでは、納品後に必要な作業が見えません。各成果物について、ドラフトの提出時期、レビュー回数、最終版の形式、引き渡し範囲を明確にします。
また、性能の前提も記載してもらいます。例えば、同時接続数、リクエスト数、TLS通信の割合、1リクエストのサイズ、バックエンド台数、想定ピーク、合格ラインを明記します。「高速」「大規模対応」といった表現だけでは、実際の性能保証になりません。試験環境と本番環境の差、負荷生成ツール、試験データ、実施回数、試験中の監視項目まで確認すると、ベンダー間の比較がしやすくなります。
複数社比較では価格より担当範囲と実績を見ます
比較先は、HAProxy Technologiesのような製品開発元、AWSのようなクラウド基盤、Red HatのようなLinux・自動化基盤、既存のF5やNGINXを扱うSIer、ネットワークやセキュリティに強い構築会社などに分けて考えます。すべてを同じ「HAProxy開発会社」として並べるのではなく、どこが製品サポートを提供し、どこが設計・構築・移行・保守を担うのかを切り分けます。HAProxyの構築実績だけでなく、2台以上の切替を実機で検証した経験、TLS・API・Kubernetes・TCPの対応経験を確認します。
ベンダーへの質問は、「障害試験の実施回数」「設定とIaCコードの引き渡し」「脆弱性の通知期限」「EOL時の更新支援」「夜間休日の連絡方法」「保守契約終了時の情報返却」「別会社へ移行する場合の制約」まで具体化します。回答が担当者の経験談だけでなく、匿名化した試験結果、標準手順書、サポート条件、契約条項で確認できる会社を優先します。
隠れたリスクを契約と受入条件で抑えます
最も見落としやすいのは、HAProxyの前後にある責任です。HAProxyが正常でも、DNS、WAF、クラウドのルートテーブル、セキュリティグループ、バックエンドのアプリ、DB接続、外部APIが原因でサービスは停止します。見積もりでは、HAProxyの範囲外を明示し、外部システムとの調整、証明書発行、ネットワーク申請、アプリ改修、負荷試験データの用意を誰が担当するかを決めます。
受入条件には、正常系、バックエンド障害、HAProxyノード障害、負荷、TLS、ログ、監視、ロールバックを含めます。例えば「バックエンド停止を検知して対象から除外できる」「冗長系へ目標秒数以内に切り替わる」「設定ミスを本番反映前に検知する」「証明書更新後に通信できる」「障害通知が指定担当者へ届く」といった条件です。合否の基準値、再試験の扱い、未解決課題の本番持ち越し条件まで契約に入れると、完成の認識がそろいます。
最後に、24時間365日の保守を契約する場合は、障害の重大度、一次回答時間、復旧目標、代替要員、メンテナンス通知、脆弱性対応、バックアップ、定期報告を確認します。営業時間内の問い合わせ窓口と、夜間にサービスが止まった場合のオンコールは別物です。費用だけでなく、止まったときに何分以内に誰が動く契約なのかを判断材料にします。
HAProxyのシステム開発でよくある質問(FAQ)

ここでは、発注前に特に相談されやすい質問へ回答します。実際の可否や費用は、通信方式、バックエンド、クラウド、可用性、セキュリティ、運用体制によって変わるため、PoCと要件整理で確定させます。
HAProxyは無料でシステム開発できますか?
Community版は無償で利用できる選択肢がありますが、システム開発全体が無料になるわけではありません。設計、冗長化、クラウドやOS、証明書、監視、性能試験、脆弱性対応、保守の費用は別に発生します。運用担当者が不足する場合や停止損失が大きい場合は、Enterprise版や外部保守の費用も含めて比較します。
NGINXやクラウドLBではなくHAProxyを選ぶ理由は何ですか?
HAProxyは、HTTPだけでなくTCP、UDP、QUICなどを扱え、L4とL7の振り分け、細かな条件制御、ヘルスチェック、ログ、Runtime APIを組み合わせやすい点が特徴です。一方、一般的なHTTP配信をマネージド運用へ任せたい場合は、クラウドLBの方が適することもあります。既存のNGINX、F5、クラウドLBとの機能重複と運用負担をPoCで比べ、必要な制御だけをHAProxyに担わせることが合理的です。
HAProxyを2台にすれば停止しないシステムになりますか?
2台構成は単一障害点を減らせますが、停止しないことを自動的に保証するものではありません。仮想IPやDNSの切替、設定同期、監視、セッション、ネットワーク、電源やAZの分離を設計し、ノード停止と復旧後の切り戻しを実機で試験する必要があります。目標の可用性、切替時間、許容する再接続や再ログインを要件として定義してください。
KubernetesやAPI、WebSocketにもHAProxyを使えますか?
利用できますが、プロトコルと運用方式に応じた設計が必要です。KubernetesではIngress ControllerやGatewayとの連携、Podの増減、証明書管理、クラスタ障害時の経路を確認し、WebSocketでは長時間接続やタイムアウト、gRPCではHTTP/2やTLSの扱いを試験します。APIではレート制御、認証ヘッダーの引き継ぎ、ログのマスキングも要件に含めます。
まとめ|HAProxyのシステム開発は段階的な検証と運用設計が要点です

HAProxyのシステム開発は、導入や設定作成を目的にするのではなく、通信を安定して届ける仕組みを作り、障害や脆弱性に継続して対応できる状態を作る取り組みです。要件整理では通信量、RTO・RPO、TLS、ログ、運用体制を数値化し、選定ではCommunity版、Enterprise版、クラウド、Kubernetes、クラウドLBとの役割を比較します。
発注前に確認する五つの判断基準
発注前は、第一に、対象となるWeb、API、TCP、WebSocketなどの通信が漏れなく整理されているかを確認します。第二に、HAProxy障害、バックエンド障害、証明書期限切れ、設定ミスを含む障害試験が見積もりに含まれているかを確認します。第三に、初期費用だけでなく、クラウド、ライセンス、監視、ログ、保守、バージョンアップの費用が分かれているかを確認します。
第四に、構成図、設定、IaC、テスト結果、運用手順、証明書更新手順が納品され、将来自社や別会社でも運用できるかを確認します。第五に、脆弱性の通知、更新期限、夜間障害、SLA、契約終了時の引き渡し条件が明記されているかを確認します。この五つを満たせば、安価な構築費だけでなく、長期的な運用のしやすさで提案を比較できます。
まずは現状構成とPoCの範囲を整理します
最初の一歩は、現在の通信経路、ピーク値、障害時の業務影響、既存の監視・クラウド環境を一枚の資料にまとめることです。そのうえで代表的なWebまたはAPIを1〜2本選び、正常系、バックエンド停止、HAProxyノード停止、負荷、TLS、ロールバックを含むPoCを実施します。PoCの結果をもとに本番HA、Kubernetes連携、多拠点、WAFや24時間保守の要否を決めると、過不足の少ない見積もりを取得できます。
HAProxyのシステム開発や、要件整理から設計・構築・テスト・運用定着までの進め方に不安がある場合は、現在の構成と目標を整理したうえで、必要な範囲から相談することをおすすめします。
▼全体ガイドの記事
・HAProxyのシステム開発の完全ガイド
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
