保健指導支援システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

保健指導支援システムの発注は、業務範囲の整理、要件と委託先の比較、小規模検証の順に進めると、追加費用や仕様変更を抑えやすくなります。

発注形態、契約、費用、委託先の選び方を、この順に確認していきます。全体像は保健指導支援システム開発の完全ガイドもご覧ください。

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・保健指導支援システム開発の完全ガイド

保健指導支援システムを発注・外注する前に知るべき全体像

保健指導支援システムを中心に、健診データの取込、対象者の抽出、継続支援、評価・報告・請求を配置した図。
業務の入口から提出までを一つの仕組みで扱う構成です。

保健指導支援システムは、健診データの取込から対象者の抽出、初回面談、継続支援、評価、報告、請求までを一連の業務として管理する仕組みです。そのため、発注時には画面の使いやすさだけでなく、制度上の提出データ、専門職の記録、対象者への連絡、データ保護、導入後の制度改定までを含めて委託範囲を決めます。

特定保健指導と産業保健の範囲の切り分け

発注範囲を決めるには、特定保健指導と産業保健全体を分けて考えます。

  • 特定保健指導:40〜74歳を対象とし、階層化、動機付け支援・積極的支援、支援ポイント、アウトカム評価、報告・請求までを扱う範囲です。
  • 産業保健全体:健診後の事後措置や産業保健活動までを含む範囲で、従業員マイページ、就業判定、ストレスチェック、再検査勧奨、産業医面談も加わります。

この区分が曖昧なまま外注すると、不要な健康管理機能まで見積もりに入り、必要なXML出力や請求機能が後から追加になるおそれがあります。そこで、RFPの冒頭に運用主体と対象者の発生源、支援を行う専門職を示したうえで、データの提出先とシステム化する業務範囲も明記すると、各社が同じ前提で提案しやすくなります。

発注対象は画面ではなく業務フロー

対象者への支援と記録は、一続きの業務の流れとして設計します。

  • 一連の流れ:取込から請求までを、予約、面談記録、支援パターン、未返信者への催促、評価、報告の順につなぎます。
  • 判断の追跡:紙やExcelから移行する場合でも、誰がいつ何を判断したかをたどれることが条件です。
  • 記録の一元化:オンライン面談を使わない対象者がいる場合は、電話・対面・紙の記録も同じ履歴に残せるかを確認します。

年間数百件と数千件では、必要な検索性能や権限設計が変わります。そこで、対象者数、年間実施件数、実施者数、拠点数、月間のデータ取込件数、同時利用者数を示すと、サーバー構成やサポート体制の提案が具体的になります。

発注形態の選び方(SaaS・パッケージ・スクラッチ)

発注形態は、標準業務との近さ、独自要件、導入スピード、社内の運用体制で選びます。第4期対応の標準機能を早く使うなら、SaaSやパッケージが候補になります。一方で、健診・人事・予約システムと複雑に連携する場合は、既製サービスへの追加開発や準スクラッチが候補です。

SaaSと既製パッケージ(標準化を優先する組織向け)

標準業務を揃えやすい形態です。ただし、運用負担と契約条件は分けて比べます。

  • SaaS:サーバーの構築や保守を抱えにくく、複数拠点や在宅の専門職が利用しやすい形態です。
  • 既製パッケージ:業務に近い機能を、端末単位や施設単位で導入できます。

SaaSでは、制度改定や脆弱性対応を提供会社が行う場合もあります。そのため、範囲と費用は契約前に確かめておきます。

見積もりでは、対象者数に応じた従量課金や最低利用料を確かめます。加えて、初期設定費、データ出力費、解約時の返却費用が見積もりに含まれているかを確認します。

特定健診NEXTは、1台のパソコンで税抜40万〜100万円程度の公開目安です(出典: 株式会社アリトンシステム研究所「特定健診システムの価格」、確認日: 2026年8月)。ただし、独自連携、移行、追加開発まで含む確定見積もりではありません。

追加開発・準スクラッチ(固有業務を残したい組織向け)

標準機能で足りない固有業務は、必要な差分だけを追加開発して補う方法があります。

  • データ変換:健診機関ごとに異なるデータを自動で変換する部分は、追加開発で対応できる場合があります。
  • 予約連携・帳票:既存の予約システムとの同期や、独自の支援パターン・帳票を、追加開発で補える場合があります。

制度対応と基本履歴は標準機能に寄せ、差別化につながる連携や分析だけを開発すると、初期費用と保守負担を抑えられます。

フルスクラッチは、複数の既存システムを統合し、独自の評価指標や大規模な対象者管理を実現したい場合の候補です。一方で、制度改定やOS・ブラウザの更新、脆弱性対応、バックアップ、障害時の復旧を、自社または保守会社が長期に担うことになります。そのため、開発費だけでなく、5年間の保守・改修・クラウド利用費も含めて比べます。

一括発注より段階発注が適するケース

要件が固まらない段階で全機能を一括発注すると、例外処理が後から見つかり、追加開発が増えやすくなります。

  1. 現状分析と要件定義
  2. 1拠点または1支援パターンでのPoC
  3. 最小限の範囲での本番導入
  4. 検証後の全拠点への展開

各段階の完了条件は、事前に決めておきます。たとえばPoCでは、健診データの取込、対象者抽出、面談・支援履歴の登録、テスト用XMLと帳票の出力を確かめ、その結果を数値で見て次段階に進むかを判断します。こうしておくと、発注側と委託先の認識差を抑えられます。

ポイント

発注形態は、標準業務の範囲、独自要件の多さ、導入の急ぎ具合、社内の運用体制で決めます。標準機能で足りる部分はSaaSやパッケージに任せ、固有業務だけを追加開発する形が目安です。

保健指導支援システムの発注・外注の進め方

発注プロジェクトを現状把握・要件整理から、候補選定・提案比較、契約・開発、テスト・移行・本番稼働へ進める流れ図。
前段階の整理内容を次の発注判断へ引き継ぎます。

まず現状把握と要件整理を行い、候補選定と提案・見積の比較を経て、契約へ進みます。契約後は、次の工程を順に進めます。

  • 設計・開発:要件をもとに、システムを設計して作り込む工程です。
  • テスト・移行:開発したシステムを確かめ、既存のデータを移す工程です。
  • 教育・本番稼働:職員への教育を行い、本番で使い始める工程です。

専門職だけでなく、事務担当と情報システム担当、個人情報管理者、経営層から代表者を出します。そのうえで、判断者と承認ルートを初期に決めておくことが大切です。

現状の業務フローと課題の洗い出し

担当者の認識を揃え、導入後の改善指標につなげるため、現状を図にまとめます。

  • 業務の流れ:健診データが届いてから、対象者の確定、案内、面談、継続支援、評価、報告・請求までを図にします。
  • 利用ツール:紙やExcel、メール、予約ツール、既存健診システムのうち、どこで使っているかの記録です。
  • 例外処理:二重入力や未返信、再予約、途中離脱、電話支援、請求前確認といった例外も書き出す対象です。

課題は「作業が大変」で終わらせず、数値に置き換えます。たとえば、月間の手入力件数、対象者1人あたりの事務時間、XMLエラー件数を測り、未返信者の確認回数、支援完了率、報告書作成に要する日数も押さえます。導入後の効果測定にも同じ指標を使えるため、委託先への要求も具体的になります。

要件定義と小規模検証による実現性の確認

要件は必須と希望に分け、導入時に欠かせない業務から先に固めます。

  • MUST:対象者抽出、予約、面談・支援履歴、進捗アラート、ポイント・アウトカム評価、XML入出力、帳票、権限、操作ログを含む必須要件です。
  • WANT:アプリ、AI入力補助、ウェアラブル連携、詳細分析などの希望要件で、効果を説明できる場合に加えます。

PoCでは、実際の形式に近い匿名化データを使い、取込から面談登録、継続支援、評価、報告までを一通り動かします。

厚生労働省は、第4期の電子的な標準様式とXMLスキーマを公開しています。2025年5月に保険者間引継ぎに関するXMLスキーマも追加公表されています(出典: 厚生労働省「第4期特定健康診査・特定保健指導における電子的な標準様式等に係るXMLスキーマファイルについて」、2025年5月12日)。

委託先が「第4期対応」と説明している場合も、どの入出力と改定対応を含むのかを検証してください。

移行・教育・並行運用を含む発注範囲

移行・教育・並行運用では、切替の前後に必要な作業をまとめて決めておく必要があります。

  • 移行範囲:過去データを全件移行するか直近年度だけにするかを決めたうえで、対象者ID、健診結果、面談・支援履歴を整理します。
  • 移行ルール:帳票やコード変換、重複処理の取り決めと、移行前後の件数照合の方法。
  • 移行対象外の記録:保管期間と検索方法、アクセス権限を定めておく対象です。
  • 職種別の教育:保健師、管理栄養士、予約事務、請求担当、管理者それぞれの業務演習です。
  • 並行運用と稼働後:旧運用の期間、障害時の紙・手入力への切替、問い合わせ窓口、改善要望の優先順位です。

ポイント

業務の流れと課題を整理し、要件とPoCで実現性を確かめてから契約へ進みます。判断者と承認ルートは初期に決めておくことが目安です。

RFPと要件整理に盛り込む内容

RFPは、機能の要望を並べるだけでなく、業務の目的や対象範囲、データ、連携、非機能要件をそろえて示す資料です。納品物、スケジュール、見積条件、評価基準も含めます。

相見積もりでも価格だけでなく、同じ前提で各社の提案を比べられます。

業務要件とデータ要件の具体化

業務の流れとデータの扱いを具体的に書き、委託先が同じ前提で提案できるようにします。

  • 業務シナリオ:誰が、いつ、どのデータを参照し、何を判断し、どんな記録を残すかを書き出したものです。
  • 対象業務:階層化、予約、対面・オンライン面談、動機付け・積極的支援、継続支援、未返信連絡、評価、報告・請求までの範囲です。
  • 例外ケース:途中離脱、担当変更、再予約、電話支援、アプリを使えない場合など、想定しておく例外です。
  • 健診データ:項目、形式、文字コード、コード体系、更新頻度、欠損・重複処理の決め方を記載します。
  • 変換と提出データ:健診機関別のサンプルを示したうえで、変換表の担当と、提出データの形式・検証方法を定めます。

セキュリティと非機能要件の発注条件

健康診断の結果や専門職の指導情報は、要配慮個人情報の例に当たります(出典: 個人情報保護委員会「要配慮個人情報とはどのようなものを指しますか」、確認日: 2026年8月)。そのため、RFPではアクセス制御から事故対応まで、健康情報の保護に必要な内容を具体的に定めます。

  • 技術的対策:暗号化、権限分離、多要素認証、操作ログを記載します。
  • 運用と委託:バックアップや復旧目標、脆弱性対応、再委託、データの保管場所も定めます。
  • 事故対応:漏えいが起きた場合の報告手順も定めます。

SaaSを利用する場合は、契約終了時のデータ返却形式と削除証明、サービス停止時の告知期間、障害時の連絡窓口と復旧時間、第三者認証の取得状況を確認します。

企業の健康管理部門が利用する場合は、本人への利用目的の通知、事業者と保険者・健診機関の役割分担、閲覧範囲、開示請求への対応を要件に含めます。

MUST・WANTと提案評価基準の区分

必須機能と希望機能を分け、各社の提案を同じ基準で比べます。

  • MUST:対象者抽出、支援履歴、進捗、XML、権限、ログ、バックアップを必須とします。
  • WANT:AI、アプリ、ウェアラブル、詳細なダッシュボードを希望要件とし、将来の対応方法と追加費用も示してもらいます。
  • 評価基準:制度・業務適合、連携、安全性、実績、体制、操作性、支援、費用、拡張性のそれぞれに配点します。

たとえば、年間1,000件規模の導入例や、オンプレミスからクラウドへの移行例は、自組織に近い経験を確かめる材料になります。

ポイント

RFPには、業務の目的や対象範囲、データ、連携、非機能要件を同じ前提で書きます。MUSTとWANTを分け、同じ評価基準で各社の提案を比べられるようにします。

契約形態の使い分け(請負・準委任・保守)

契約形態は、成果物と受入条件が明確かどうか、要件の不確実性がどの程度あるかで選びます。

たとえば、要件定義や現状調査は準委任、仕様が固まった開発や納品物は請負、稼働後の問い合わせ・障害対応・制度改定は保守契約にすると、実務に合いやすくなります。一つの契約にまとめる場合でも、工程ごとの責任範囲は明記します。

請負契約の成果物と変更条件

請負では、完成物と受入条件をそろえるとともに、仕様変更の扱いも契約時に決めておきます。

  • 成果物と検収:機能や納品物、検収基準と期間、不具合対応、納期、支払条件を明記します。
  • 受入条件:XMLサンプルやエラー表示、帳票、権限別の操作、移行件数の照合まで含めます。

制度改定や追加要望を無制限に含めると、双方がリスクを価格に織り込むことになります。そのため、請負範囲を定め、仕様変更の申請者や影響調査、見積提示、承認者、リリース時期を契約書などに記載します。

準委任契約の使いどころ(要件の不確実性が高い工程)

仕様を検討しながら業務理解を深める工程では、完成機能を固定する請負より、準委任が実態に合う場合があります。

  • 対象工程:専門家の時間や役務を対象に、現状調査、要件整理、設計支援、アジャイル開発、移行支援で使えます。
  • 契約条件:作業範囲、稼働時間、成果物、報告方法を明確にし、どこまでを誰が受け持つかを決めます。
  • 成果物:業務フロー、要件一覧、画面遷移、データ項目、見積前提を取り決める対象です。

準委任でも成果物は必要です。たとえば、要件定義を準委任で行い、確認後の開発を請負で発注する方法があります。この進め方なら、発注側は成果を確認してから本開発の予算を決められ、委託先も不確定な仕様を無理に固定せずに進められます。

保守契約の制度改定と障害対応の責任

保守費用と責任範囲を比べられるよう、障害対応と制度改定の条件を契約で明らかにしておきます。

  • 障害対応:受付時間や障害の重要度、一次回答と復旧目標、バックアップ、監視の内容です。
  • 更新の範囲:脆弱性修正やOS・ブラウザの更新、制度改定への対応を、どこまで含むかです。
  • 改定時の分担:標準様式やXML変更の際に、調査担当、改修担当、費用負担者をどう分けるかです。
  • 委託とデータ管理:再委託や監査、データの保管と削除、事故通知、契約終了時の返却を確認する項目です。

障害対応や制度改定が別料金になる場合もあるため、初年度だけでなく複数年の総額で比べます。

ポイント

契約形態は、成果物と受入条件が明確かどうか、要件の不確実性の大きさで選びます。工程ごとに準委任、請負、保守を分けて考えると、実務に合わせやすくなります。

保健指導支援システムの発注費用・相場の目安

標準機能中心の導入からフルスクラッチまで、4つの導入形態別の初期費用レンジを横棒で示す図。
導入範囲が広がる選択肢ほど、予算検討レンジも上がります。

標準機能を中心に導入する場合、初期費用は20万〜120万円程度が目安です。連携や移行を含むクラウド導入は、200万〜800万円程度です。

独自帳票やアプリを含む準スクラッチは500万〜1,500万円程度で、フルスクラッチは1,500万〜3,000万円超が予算検討の幅です。ただし、これらは公開価格と一般的な開発工数をもとにした目安で、確定価格ではありません。

公開価格と推定レンジの読み分け

見積もりを読むときは、公開価格、個別見積もり、開発予算の推定を区別して考えます。

  • 公開価格:公表された製品価格で、比較の基準になります。
  • 個別見積もり:非公開の料金は、提供会社に問い合わせます。
  • 開発レンジ:公的な平均ではなく、予算検討用の推定です。

たとえば、特定健診NEXTは1台のパソコンで税抜40万〜100万円程度です(出典: 株式会社アリトンシステム研究所「特定健診システムの価格」、確認日: 2026年8月)。カロミル保健指導は、第4期対応や面談予約、支援管理、請求データ出力、アプリ連携を案内しています。

料金は支援レベル別の対象者単価で、要問い合わせです(出典: 株式会社アリトンシステム研究所、ライフログテクノロジー株式会社の公式サービス情報、確認日: 2026年8月)。そのため、非公開の価格を推測で比べず、提案書では公開価格と委託先の個別見積もり、記事の推定レンジを混同しないようにします。

200万〜800万円や500万〜3,000万円超という広いレンジは、特定保健指導だけの公的な平均統計ではありません。データ変換、APIやXML連携、過去データ移行などを含む、予算検討用の推定です。ほかにも、アプリや個別帳票の作成が含まれます。さらに、権限分離と受入テスト、教育と並行運用も含まれます。

見積書の初期費用と運用費の内訳

見積書は初期費用と継続費用に分け、項目ごとに比較できる形で受け取ります。

  • 初期費用:調査、要件定義、画面・データ設計、開発、連携、変換、移行、テスト、教育、初期設定。
  • 運用費:ライセンスまたは対象者課金、クラウド・サーバー、監視、バックアップ、問い合わせ、制度改定、追加改修、データ出力、端末。

「システム一式」とひとまとめにされると、比較の前提が見えなくなります。

価格を抑える方法としては、MUST機能を標準サービスで導入することや、不要な個別帳票や複雑な分析を初期範囲から外すこと、移行対象を重要な履歴に絞ることがあります。一方で、制度対応、権限、監査ログ、バックアップ、障害時の復旧は、後から削ると業務や安全性に影響するため、価格だけを理由に削らないでください。

5年間の総保有コスト

初年度の価格だけで選ばず、5年間に発生する費用をまとめて試算します。

  • 導入と利用:初期設定、月額・年額利用料、対象者増加、拠点追加の費用を含めます。
  • 運用・移行:制度改定や保守、データ移行、研修、障害対応の費用も加えます。
  • 契約終了時:データ返却にかかる費用も見込みます。
  • オンプレミス:サーバーの更新やバックアップ媒体、保守工数も含めます。

兵庫県健康財団は、年間1,000件規模でオンプレミスからクラウドへ移行しました(出典: 株式会社エヌアイデイ「公益財団法人兵庫県健康財団 導入事例」、確認日: 2026年8月)。第4期見直しの事例で、進捗管理、スマートフォンアプリ、XMLデータ作成まで一連で扱うため、価格だけでなく、保守負担や現場作業の変化も確かめられます。

ポイント

標準機能中心なら初期20万〜120万円程度、フルスクラッチなら1,500万〜3,000万円超が予算検討の幅です。公開価格と個別見積もり、推定レンジは分けて比べます。

委託先の選定と見積比較の確認事項

委託先は、システム開発会社、既製サービスの提供会社、保健指導の実施代行会社、SIerに分けて比較します。

システムだけを発注するか、対象者への案内や専門職の支援まで委託するかで、責任範囲と費用の構造が変わります。そのため、提案を頼む前に、求める契約が「システム利用」「受託開発」「保健指導の運用代行」のどれにあたるかを伝えておきます。

第4期対応と似た業務の実績

導入件数だけでなく、特定保健指導で担当した工程と、機能の実装方法を確かめます。

  • 工程と機能:健診データ取込、対象者抽出、面談予約、継続支援、ポイント・アウトカム評価、XML、請求、アプリ、権限管理のうち、どこまで実績があるかです。
  • 実装方法:各機能が標準機能か、追加開発かの区別です。

たとえば、シンコム・システムズ・ジャパンは、健診データの読込、面談予約、支援進捗、報告書作成、メール支援などを、特定保健指導システムの機能として案内しています(出典: 同社「特定保健指導システム」、確認日: 2026年8月)。ライフログテクノロジーは、第4期対応のクラウドや請求データの出力、食事・体重・運動のアプリ連携を案内しています。

公式情報に載る機能は、自組織で必要な要件と一つずつ照合します。

同じ前提と総額による見積もり比較

各社へ同じ条件を渡し、費用の内訳と見積もりの前提をそろえて比べます。

  • 共通の前提:同じRFPやサンプルデータ、対象者数、希望稼働時期を、全社に示します。
  • 費用の内訳:要件定義から開発、連携、移行、保守、制度改定、クラウド、追加端末まで、同じ項目で尋ねます。
  • 提案書の記載事項:前提、対象外、別途費用、期間、発注側の作業を書いてもらいます。

安い見積もりでは、移行やデータクレンジング、受入テスト、個人情報の安全管理、導入後のサポートが含まれているかを確かめます。逆に高い見積もりでは、独自開発や過剰な機能が入っていないかを確かめます。

価格差の理由を、機能、工数、ライセンス、保守、リスクのどれで説明しているかが、比べるうえでの要点になります。

セキュリティ・サポート・データ返却の確認事項

個人情報を安全に扱えるかどうか、稼働後の支援と契約終了時のデータ対応まで質問します。

  • アクセス権:職種・拠点・担当範囲で分けられるか、管理者がログを確認できるかを尋ねます。
  • 安全管理:バックアップからの復旧、開発と本番環境の分離、従業者教育の内容です。
  • 個人データの管理:再委託の管理、保管場所、通信・保存時の暗号化、事故時の連絡・報告も質問します。
  • サポート:受付時間や休日対応、問い合わせ方法、回答目標、障害・要望の分類、制度改定案内、研修範囲を比べます。

契約終了時は、CSVやXMLでの返却、削除までの日数、削除証明の発行可否を確かめます。特にSaaSを発注する場合は、返却方法や削除条件を契約書で確認します。

保健指導支援システムの発注・外注に関するよくある質問

発注前に迷いやすい点を、費用、契約、制度対応の観点から回答します。ただし、対象者数や運用方法によって最適な形は変わるため、FAQの回答をそのまま仕様にせず、RFPの前提へ落とし込んでください。

保健指導支援システムの費用は何で決まりますか?

主に、対象者数や拠点数、利用者数、標準機能との差分で決まります。加えて、健診データの形式、既存システムとの連携、データ移行も費用に影響します。ほかにも、次の要素が影響します。

  • 帳票・アプリ:独自に作る帳票やアプリの範囲です。
  • セキュリティ:求める安全対策の水準によって、必要な作業が変わります。
  • 教育・保守:職員への教育と、稼働後の保守の範囲です。

標準パッケージの公開価格は比較の材料になりますが、連携や移行が加わると個別見積もりになります。そのため、初期費用、月額費用、支援実施費、追加改修費を分けて確認してください。

最初からフルスクラッチで開発するべきですか?

最初からフルスクラッチにしなくても進められます。標準業務はSaaSやパッケージで使い、必要な差分だけを追加開発すると、導入期間と保守負担を抑えやすくなります。

固有業務が競争力に直結し、将来の拡張が難しい場合は、フルスクラッチを検討します。

開発会社と保健指導の実施代行会社はどう違いますか?

開発会社は、要件定義、システム設計・開発、連携、移行、保守を主な契約対象にします。一方で、実施代行会社は、対象者への案内、面談、継続支援、評価、報告など、保健指導そのものを担う場合があります。

両方を含むサービスもあるため、どこまでを委託先が行い、どこからを自組織が行うのかを、成果物、責任、費用に分けて確認します。

保健指導支援システムの発注・外注を成功させるまとめ

まず、特定保健指導と産業保健の対象範囲を分けたうえで、対象者数、支援体制、データ形式、必須業務、非機能要件を整理します。次に、SaaS、パッケージ、追加開発、フルスクラッチを比べ、標準機能と自社固有の開発範囲を決めます。

RFPにまとめる業務・制度・データ・安全性

見積条件をそろえるため、RFPに業務要件から運用・保守までをまとめます。

  • 業務フロー:対象者抽出から報告・請求までの流れです。
  • 制度・データ:第4期のXMLや帳票、健診データの取込と移行を含めます。
  • 安全性・運用:権限、ログ、バックアップ、教育、並行運用、保守、制度改定まで記載します。
  • 費用:月額、保守、追加改修、データ返却を含む複数年の総額で比べます。

小さく検証してから段階的に広げる進め方

要件が不確かな場合は、検証を挟みながら開発範囲を段階的に広げます。

  1. 準委任による現状調査とPoC
  2. 検証結果を踏まえた、MUST業務の請負による開発
  3. 対象者の利用状況や専門職の作業時間をもとにした、アプリ、AI、分析の拡張

発注側に業務の判断者を置き、委託先と定例で課題、変更、リスクを確認すると、導入後も使われるシステムに近づきます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。