ホテル・宿泊業向け清掃管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ホテル・宿泊業向け清掃管理システムの発注では、清掃状況を表示するだけでなく、チェックアウトから点検を経て客室を販売可能にするまでの業務と責任範囲を、現場で使える形に落とし込むことが重要です。

本記事では、既製のクラウドサービスを導入する方法から、PMS連携や独自業務に合わせて開発を依頼する方法までを比較します。RFPの作り方、要件整理、契約形態、費用相場、委託先の選び方、見積書の比較ポイントを順に解説します。

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ホテル・宿泊業向け清掃管理システムの発注全体像

ホテルの清掃管理システムを発注する前に業務全体を整理するイメージ

ホテルの清掃管理は、ハウスキーピング部門だけで完結しません。フロントが把握するチェックアウト情報、清掃責任者の割り当て、スタッフの開始・完了報告、インスペクターの点検、フロントの販売可能判断がつながって、初めて業務全体が成立します。

最初に決めるべき目的は「清掃のデジタル化」だけではありません

発注の起点は、「紙をなくしたい」「電話を減らしたい」という手段ではなく、どの業務指標を改善するかです。例えば、朝の指示書作成にかかる時間、清掃完了から販売可能になるまでの時間、時間内完了率、点検の差し戻し率、忘れ物を登録するまでの時間、清掃会社への確認電話の件数を候補にします。導入前の1週間から1か月ほど実績を記録しておくと、導入後の効果を比較しやすくなります。

観光庁の資料では、清掃管理システムは客室清掃に必要な指示・報告、チェックイン・チェックアウト状況、清掃状況を管理して清掃業務を効率化するシステムと整理されています(出典: 観光庁「令和6年度地域における受入環境整備促進事業補助金」、2025年公表資料)。この定義からも、清掃スタッフの作業画面だけでなく、予約情報とフロントの判断を含めて発注範囲を考える必要があります。

利用者とデータの流れを先に洗い出します

最低限、フロント、ハウスキーピング責任者、清掃スタッフ、インスペクター、清掃会社の管理者、支配人または本部担当者を利用者として整理します。利用者によって必要な情報は異なり、作業スタッフには担当客室と手順、フロントには販売可能かどうか、清掃会社には割当と実績、本部には施設別のKPIが必要です。全員に同じ画面と権限を与えると、入力負荷や情報漏えいのリスクが高まります。

客室の状態も「未着手」「清掃中」「清掃完了」「点検待ち」「差し戻し」「販売可能」のように定義します。清掃スタッフが完了ボタンを押した時点で販売可能にするのか、点検責任者の承認後にするのかを決めておくと、システム会社との認識違いを防げます。連泊、レイトチェックアウト、部屋変更、VIP、故障部屋、清掃不要といった例外も、発注前に一緒に確認することが大切です。

発注形態はどれを選ぶべきですか?

ホテル清掃管理システムの発注形態を比較するイメージ

発注形態は、標準SaaS、既存PMSの機能追加、ノーコード・ローコード、半個別開発、スクラッチ開発の5つに分けて考えると整理しやすくなります。施設規模、既存PMSの有無、清掃会社との分担、独自の品質基準、複数施設への展開予定によって適した選択肢が変わります。

標準SaaSは早く始めたい施設に向いています

標準SaaSは、客室のアサイン、開始・完了報告、写真、点検、忘れ物など、一般的な業務を短期間で導入したい場合に向いています。20〜50室程度の小規模宿や、まず1施設で効果を確かめたいホテルでは、開発費を抑えながら運用を始められる可能性があります。端末やアカウントを用意し、客室マスタとスタッフ情報を設定すれば使えるサービスもあります。

一方で、標準機能に業務を合わせる必要があります。清掃会社ごとに異なる報告項目、独自の清掃単価、複雑な点検承認、本部独自の集計がある場合は、設定変更や追加開発が必要です。契約前に、PMSとの連携方式、CSV出力の可否、オフライン対応、多言語UI、解約時のデータ返却を確認します。

個別開発は独自業務を競争力にしたい場合に選びます

スクラッチ開発や半個別開発は、チェーン独自の清掃ルール、複数の清掃会社の評価、施設別の単価計算、本部のBI、勤怠や在庫との連携まで一つの流れにしたい場合に適しています。ホテル磯部ガーデンでは、従来の業務フローに合わせた特注の客室清掃管理システムと飲料在庫管理システムを導入し、リアルタイム管理を実現した事例が公開されています(出典: 観光庁「宿泊業の生産性向上事例」、2025年度)。

ただし、最初から全施設・全機能を開発する方法にはリスクがあります。業務ルールが固まっていない状態で作り始めると、追加要望が増えて予算と納期が膨らみます。標準SaaSや1フロアのPoCで実際の状態遷移を検証してから、差別化に必要な部分だけを個別開発する方が、発注の判断をしやすくなります。

施設規模と運営形態で発注方法を絞り込みます

100〜300室のホテルで自社清掃と外注清掃が混在する場合は、標準SaaSに権限設定やPMS連携を加える方式が現実的です。複数施設を本部で管理し、施設ごとに異なる清掃会社や品質基準を統合する場合は、クラウドサービスを共通基盤にして不足機能だけ追加する方法が候補になります。逆に、既存PMSが古くAPIを提供していない場合は、CSV取込を暫定策にして、将来の連携方式を別途設計する必要があります。

選定前には、紙の指示書を完全に再現することが目的なのか、それとも業務を見直して入力項目を減らすことが目的なのかを決めます。現場のボタン数を増やすだけでは定着しません。日本語・英語などの多言語対応、アイコン中心の画面、通信が弱い客室での後同期、共用端末のログイン方法まで含めて評価します。2025年に正式リリースされたWASIMILの清掃管理モバイルアプリも、PMSとのリアルタイム連携や日本語・英語のインターフェースを打ち出しており、現在は現場適合性が重要な比較軸になっています(出典: 株式会社AZOO「WASIMIL清掃管理モバイルアプリ」、2025年)。

RFPと要件整理はどのように進めますか?

ホテル清掃管理システムのRFPと要件を整理するイメージ

RFPは、システム会社に希望を伝える資料ではなく、同じ条件で提案と見積もりを比較するための共通資料です。機能一覧だけでなく、現行業務、対象施設、利用者、データ連携、導入後の評価指標、予算の考え方、提案に求める成果物まで記載します。

RFPには対象範囲と業務フローを記載します

冒頭に、対象施設数、客室数、清掃室数のピーク、運営形態、既存PMSの製品名、利用予定の端末、導入希望時期を記載します。次に、「チェックアウト情報を受信する」「優先順位を付ける」「担当者へ割り当てる」「清掃開始・完了を報告する」「点検する」「差し戻す」「販売可能にする」という業務フローを示します。各工程で誰が何を入力し、誰が承認するかまで書くと、提案会社の解釈が揃いやすくなります。

機能要件は、客室台帳、フロアマップ、PMS連携、清掃アサイン、状態管理、モバイル報告、写真、点検、忘れ物、備品、通知、帳票、KPI、権限、監査ログに分けます。非機能要件では、稼働時間、障害時の連絡、バックアップ、復旧目標、通信が不安定な場合の動作、端末の対応OS、セキュリティ、データ保存場所、データの返却方法を確認します。

PMS連携とデータ所有を曖昧にしないことが大切です

PMSから受け取るデータを、チェックアウト、連泊、延泊、部屋変更、当日予約、キャンセル、アーリーチェックインなどに分けて確認します。連携方式がAPIなのか、CSVなのか、Webhookなのかによって、反映速度と障害時の対応が変わります。RFPには、PMSのテスト環境を利用できるか、データ項目の仕様書を提供できるか、連携費用を誰が負担するかも記載します。

忘れ物の写真、客室番号、発見者、保管場所、返却状況、宿泊者に関係する情報を扱う場合は、ホテル側と委託先のどちらがデータ管理者となるかを契約前に決めます。データの所有権、利用目的、保存期間、エクスポート形式、退会後の返却・消去、再委託先への共有範囲をRFPと契約書の両方に反映します。

受け入れ条件を数値と業務シナリオで定義します

「使いやすい」「リアルタイム」といった表現だけでは、完成後に評価できません。「チェックアウト情報が所定時間内に反映される」「清掃完了と点検完了を別状態で記録できる」「通信断のあとに二重登録なく同期できる」「清掃会社は担当施設の客室だけ閲覧できる」など、確認可能な条件に置き換えます。

テストケースには、通常清掃だけでなく、連泊清掃、急な部屋変更、優先清掃、差し戻し、忘れ物、備品不足、写真の登録失敗、担当者変更、清掃会社の交代を含めます。自社の実データに近い客室マスタと予約データで確認できることを、提案段階から依頼します。デモ画面が整っていても、例外処理で電話に戻るなら発注効果は小さくなります。

契約形態と委託範囲はどう決めますか?

ホテル清掃管理システムの契約形態と委託範囲を確認するイメージ

清掃管理システムの発注では、SaaS利用契約、業務委託契約、請負契約、準委任契約、保守・運用契約が組み合わされることがあります。名前だけで判断せず、成果物、作業範囲、責任分界、検収、変更管理、データの扱いを確認します。法務や情報システム部門とも相談し、自社の取引条件に合う契約にする必要があります。

SaaS契約では月額以外の条件を確認します

SaaSでは、初期設定費、アカウント費、施設単位の月額、客室数や作業件数に応じた従量料金、PMS連携費、写真ストレージ、追加サポート費が発生する場合があります。無料トライアルがあっても、本番移行時の設定費、教育費、データ移行費が別にかかることがあります。

契約書には、サービス停止時の通知、障害対応の時間帯、問い合わせ窓口、バックアップ、セキュリティ事故の報告、再委託、データの保存期間、解約時のデータ返却・消去を記載します。清掃会社にもアカウントを発行する場合は、ホテル側の管理者が権限を停止できること、退職者や契約終了先のアカウントが残らないことを運用条件にします。

個別開発では請負部分と準委任部分を分けます

要件定義や現場調査は、状況に応じて作業時間と専門性に対して対価を支払う準委任形式が適することがあります。一方、合意した仕様の画面や連携機能を納品し、検収する部分は請負形式が候補になります。要件が固まっていない段階で開発全体を固定価格にすると、変更のたびに追加見積もりとなり、双方が不利益を受けやすくなります。

現実的には、要件整理・PoCを短い準委任契約で行い、検証結果をもとに本開発の範囲と納期を合意する段階契約が使いやすい場合があります。契約変更の手順、追加費用の算定方法、優先順位の決め方、納品物の著作権や利用権、第三者サービスの費用負担まで事前に決めておくと、開発中の判断が速くなります。

委託先監督とセキュリティを契約条件にします

清掃管理システムは、忘れ物の写真や客室情報などを扱うため、委託先の選定だけでなく、契約後の監督も必要です。個人情報保護委員会の通則ガイドラインでは、委託先の取扱状況を把握するため、契約内容の実施状況を調査し、必要に応じて見直すことが望ましいとされています(出典: 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2024年改正反映版)。

実務では、施設・役割単位の権限、管理者操作ログ、通信と保存時の暗号化、多要素認証、写真URLの期限設定、バックアップ、障害復旧目標、再委託先の事前承認、漏えい時の連絡期限を確認します。AIで写真分類などを行う場合は、入力データが外部学習に利用されないか、保存期間はどれくらいか、誤判定を人が承認できるかも契約と仕様に含めます。

ホテル清掃管理システムの費用相場はいくらですか?

ホテル清掃管理システムの初期費用と月額費用を確認するイメージ

ホテル清掃専用システムだけを対象にした公的な価格統計は確認しにくいため、以下は公開料金、近接する宿泊施設向けSaaS、施設・現場サービスの個別開発相場を組み合わせた推定レンジです。正式な見積もりではなく、PMS連携、写真点検、複数施設、本部集計、外部清掃会社の権限設計が入ると上振れする前提でご覧ください。

公開価格は下限の比較材料として使います

公開価格の例として、バルテックのHOT/TEL Cは2022年の製品発表時点で、20内線までのスモールプランを月額5,980円、初期費用49,800円と案内していました(税別、出典: 株式会社バルテック製品発表、2022年)。ただし、これは過去の発表価格であり、2026年の現行料金を保証するものではありません。ホテル向けメンテナンス管理アプリHoteKanは、2026年時点で設備のみ月額30,000円、備品のみ月額10,000円、両方で月額40,000円を掲載していますが、清掃指示システムとは対象範囲が異なります。

民泊清掃向けのStaybleが月間100件で月額5,000円を公開している例もありますが、ホテルの客室数、PMS、点検、複数の清掃会社を同じ条件で管理するサービスの価格とは比較できません。公開価格は「その機能範囲ならこの程度」という下限または比較材料として使い、対象施設、作業件数、連携、サポートの違いを確認します。

発注前に見る費用レンジと期間の目安

既存情報と2026年時点の公開価格をもとに、発注判断に使いやすい目安を整理します。小規模施設の標準SaaSは初期0〜10万円、月額5,000円〜5万円程度、導入期間は2週間〜2か月程度が一つの目安です。100〜300室のクラウド導入は、初期10万〜100万円、月額3万〜20万円程度、初期設定や教育を含めて1〜3か月程度を見込みます。

PMS・在庫・写真点検の連携を強化する場合は、初期50万〜300万円、月額5万〜30万円程度または従量課金、期間2〜6か月程度が推定レンジです。複数施設向けのスクラッチ開発や大規模カスタムでは、初期300万〜2,000万円程度、月額5万〜50万円超と別途保守、期間6〜12か月程度を見込むことがあります。いずれもホテル清掃専用の公的統計ではなく、施設規模と要件から算出した予算検討用のレンジです。

追加費用になりやすい項目は、業務整理・要件定義、PMS接続仕様の確認、API開発、端末やMDM、写真ストレージ、翻訳、多言語サポート、現地研修、データ移行、24時間障害対応、セキュリティ監査です。見積書では、初期費用と月額だけでなく、3年分の利用料、追加施設、追加アカウント、データ出力、解約・移行費まで含めた総保有コストを比較します。

補助金は対象経費と申請時期を別に確認します

補助金を使える地域でも、対象になる費用は制度ごとに異なります。例えば大分県の2026年度宿泊事業者DX推進事業費補助金は、清掃管理システムの導入・改修を対象例に含み、一般枠は補助率3分の2以内、1施設あたり上限300万円、賃上げ枠は補助率4分の3以内、上限340万円です。一方で、システムや機器のリース、レンタル、月額利用料は対象外とされています(出典: 大分県「宿泊事業者DX推進事業費補助金」、2026年7月更新)。

この例を全国のホテルにそのまま適用できるわけではありません。申請前に、対象地域、交付決定前の契約や着手が認められるか、初期開発費と月額費用の区分、相見積もりの要否、申請期限、予算上限を公募要領で確認します。見積書も補助対象経費と対象外経費を分けて提出できるよう、ベンダーに依頼しておくと手戻りを減らせます。

委託先の選び方と見積比較のポイント

ホテル清掃管理システムの委託先と見積書を比較するイメージ

委託先は、会社の知名度や画面の見栄えだけでなく、ホテル清掃の業務理解、PMS連携の経験、現場の入力負荷、外部清掃会社との権限設計、導入後のサポートまで比較します。清掃特化SaaS、ホテルPMS一体型、ホテルDX基盤、個別業務システム開発会社では得意領域が異なるため、同じ評価軸で無理に順位を付けないことが大切です。

実績は客室数だけでなく導入後の運用まで確認します

導入事例では、施設名や客室数だけでなく、どの課題をどの機能で解決したかを質問します。株式会社EDEYANSのJtasでは、157室のリゾートホテルを含む導入事例が公開され、写真を使ったインスペクションなどが紹介されています(出典: 株式会社EDEYANS「Jtas導入事例」、2026年確認)。自社と同じ規模でなくても、自社が困っている電話連絡、紙の転記、差し戻し、忘れ物管理の改善実績があるかを見ます。

候補会社には、PMS名と連携方式、オフライン対応、多言語・写真・点検、清掃会社の権限、導入後のKPI伴走、障害時の連絡体制、ログ、データ返却、再委託先、ホテル清掃の実績を同じ質問票で回答してもらいます。回答が抽象的な場合は、実際の画面を使ったデモや、自社データに近いPoCを依頼します。

見積書は同じ範囲にそろえて比較します

見積比較で最も多い失敗は、A社がPMS連携込み、B社が連携なし、C社が教育や保守を別計上している状態で合計金額だけを見ることです。機能、施設数、客室数、ユーザー数、連携本数、データ移行、端末、研修、サポート、保守、税、オプションを同じ項目にそろえます。要件ごとに「標準」「設定変更」「追加開発」「対象外」を明記してもらうと、価格差の理由がわかります。

初期費用だけでなく、1年目と3年目の総額を計算します。月額料金が安く見えても、施設追加、アカウント追加、API接続、写真容量、帳票変更、問い合わせ時間外対応、解約時のデータ出力が別料金になることがあります。逆に、初期費用が高くても、現場教育や標準連携が含まれていれば、社内工数を含めた総額では有利になる場合があります。

発注を急がず確認したいリスクがあります

「すべて自動化できます」と説明されても、PMSの仕様や現場の通信環境を確認しなければ実現できない場合があります。デモで実際の予約データを使えない、例外フローを説明できない、清掃会社の権限や再委託を契約に書かない、障害時の代替手段がない、データを出力できない会社は慎重に評価します。

導入後に紙や電話へ戻るリスクもあります。現場の代表者を要件整理から参加させ、1フロアまたは1施設で試し、入力時間とエラーを測定します。研修では機能説明だけでなく、チェックアウト集中時、差し戻し、忘れ物、通信断の対応を練習します。導入責任者、現場責任者、ベンダーの窓口を決め、週次でKPIと課題を確認すると定着しやすくなります。

よくある質問(FAQ)

ホテル清掃管理システムの発注に関するよくある質問

発注前に多く寄せられる疑問を、施設規模や運用条件を踏まえて回答します。自社のPMS、清掃会社、通信環境、予算、導入時期に置き換えて確認してください。

PMSが古くても清掃管理システムを発注できますか?

発注できますが、API連携が難しい場合はCSV取込や限定的な手動連携から始める方法があります。PMSの製品名、バージョン、出力できる項目、更新頻度、テスト環境の有無をベンダーに伝え、リアルタイム連携と日次連携の差を確認してください。

清掃スタッフが個人スマートフォンを使えない場合はどうしますか?

ホテルが管理する共用端末、業務用スマートフォン、タブレットを用意する方法があります。端末の貸出・返却、ログイン、紛失時の停止、翻訳やアイコン中心の画面、オフライン時の入力を要件に含めます。端末費用、MDM、通信費、充電場所、教育時間を見積もりに含めることが大切です。

客室の通信が不安定でも運用できますか?

オフライン登録と再接続時の同期に対応したシステムであれば、通信が不安定な場所でも運用できる可能性があります。ただし、同じ客室を複数人が更新した場合の競合処理、写真の一時保存、同期失敗時の再送、管理者への通知まで確認してください。PoCでは、地下や客室奥など実際に電波が弱い場所でテストします。

月額SaaSと個別開発はどちらが得ですか?

1施設で標準的な清掃フローを早く始めたいなら、初期費用と月額が見通しやすいSaaSが候補です。複数施設で独自の清掃単価、品質評価、本部集計、複雑なPMS連携を長期運用するなら個別開発が合う場合があります。3年分の利用料、社内運用工数、追加開発、保守、移行費を含む総額と、改善したいKPIを並べて判断してください。

清掃管理システムの発注に補助金を使えますか?

自治体や年度によっては、清掃管理システムの導入・改修が対象になる制度があります。ただし、月額利用料や交付決定前の契約が対象外になることもあります。申請前に公募要領を確認し、対象経費を分けた見積書、相見積もり、事業計画、導入効果の根拠を準備してください。

まとめ

ホテル清掃管理システムの発注方法をまとめるイメージ

ホテル・宿泊業向け清掃管理システムの発注では、製品を選ぶ前に、チェックアウトから清掃指示、担当割り当て、清掃完了、点検、販売可能までの状態と責任者を整理します。そのうえで、標準SaaS、既存PMSの機能追加、半個別開発、スクラッチ開発を、施設規模、清掃会社との関係、PMS連携、現場の使いやすさで比較します。

発注前は業務・費用・契約の3点を最終確認します

最終確認では、現場の状態遷移と例外処理が要件書にあるか、初期費用・月額・追加費用・保守費用が見積書に分かれているか、データ所有・権限・障害対応・解約時の返却が契約書にあるかを確認します。3つの資料の内容が一致していれば、発注後に「聞いていた範囲と違う」という問題を抑えられます。

小さく検証してから本格展開します

候補を1社に決める前に、1施設または1フロアでPoCを実施し、実際の予約データ、客室マスタ、清掃スタッフ、通信環境で試します。導入後に改善したいKPIを測定し、標準機能で足りる部分と個別開発すべき部分を分けてから、全施設への展開計画を確定すると、投資の妥当性を説明しやすくなります。

RFPには現行業務、例外フロー、機能要件、非機能要件、受け入れ条件、導入後のKPIを記載し、複数社へ同じ条件で依頼します。費用は標準SaaSで月額数千円〜数十万円、連携や独自開発を含む場合は初期50万〜300万円、大規模なスクラッチ開発では300万〜2,000万円程度という推定レンジを参考にできますが、公開価格と推定価格を分け、3年分の総額で判断することが大切です。

最後に、PMS連携、オフライン、多言語、写真・忘れ物の権限、委託先監督、再委託、データ返却、障害対応を契約条件に含めます。自社の実データと現場環境を使って1施設または1フロアでPoCを行い、電話件数、販売可能までの時間、時間内完了率、差し戻し率などのKPIで継続判断すると、導入後に紙へ戻るリスクを抑えられます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。