店頭受取管理システムの費用は、導入方式、店舗数、POS・在庫連携の範囲で変わります。初期費用は0〜100万円程度から、2,000万〜5,000万円以上まで幅があります。
その幅が出るのは、既存ECの機能を使うか、POSや在庫システムまで連携するかで作業量が大きく変わるためです。
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店頭受取管理システムの概要
店頭受取管理システムは、オンライン注文から店舗での商品引き渡しまでを、一つの注文状態として管理する仕組みです。
受取店舗の選択と在庫の引当から、ピッキングや検品、保管までを一続きに扱います。さらに、準備完了通知や受取済み登録、期限切れや返金の処理まで管理します。
店頭受取は、BOPIS(Buy Online, Pick up In Store)とも呼ばれます。ECやアプリで注文した商品を、指定の店舗で受け取る仕組みです。
顧客向け機能と店舗向け機能
顧客と店舗スタッフが使う機能を分けて設計しておくと、受け取り時の作業を滞りなくつなげられます。
- 顧客向け:店舗、希望日時、営業時間、注文状況、受取番号やQRコードを表示
- 店舗向け:対象注文一覧、ピッキング指示、検品、保管場所、準備完了登録、本人確認、受取済み登録
店舗向けの機能がないと、店舗スタッフが注文を見つけにくくなる場合があります。その結果、受取時間が遅れたり、引き渡しミスが起きたりします。
在庫と注文状態を連携する仕組み
店頭受取では、ECの配送先を店舗に変えるほかに、在庫と注文状態をつなぐ作業が要ります。費用が膨らみやすいのも、この連携が必要になるためです。
- 在庫区分:販売中、受取用に確保、入荷予定、取り寄せを区別
- 引当制御:注文直後の二重引当を防止
- 更新方式:POSの日次更新では在庫の鮮度表示や安全在庫の差し引きを検討
リアルタイム連携が理想でも、既存システムのAPI仕様や更新頻度を踏まえ、現実的な方式を選びます。
店頭受取管理システムの費用相場

既存ECのオプションを使うなら、初期費用は0〜30万円程度です。SaaSやASPの設定・CSV連携なら、10〜100万円程度が目安です。
POSや在庫APIまで含めて構築すると、300万〜1,500万円程度です。店舗・倉庫・EC・基幹をまたぐ個別開発は、800万〜2,000万円程度です。
大規模なオムニチャネル基盤は、2,000万〜5,000万円以上になる場合があります。なお、これは標準価格ではなく、公開されているEC構築相場と店舗受取固有の開発工数による推定レンジです。
既存ECの店舗受取オプションを使う場合
契約中のECサービスに店舗受取オプションを追加する方法は、小さく始めやすい選択肢です。たとえば、futureshopは初期費用0円、月額費用3,000円、店舗数による課金なしと公開しています(出典:株式会社フューチャーショップ「店舗受取オプション」、2026年確認)。
- 向くケース:店舗数やSKU数が少なく、数店舗で需要を検証したい
- 標準機能の確認:リアルタイム在庫や複雑な返金の要否
- 業務適合性:混在注文、受取店舗変更、店舗間移送への対応
この料金は、futureshopを利用中の事業者向けです。EC本体の利用料、決済手数料、店舗への物流費は、別途確認が必要です。個別デザインやPOS・在庫連携の費用も、別に見ておく必要があります。
ただし、公開料金の安さと、自社の総導入費用の安さは同じではありません。
クラウドECやパッケージを拡張する場合
クラウドECやパッケージに店舗受取の画面・業務を追加する場合、初期費用は300万〜1,500万円程度が目安です。
- 活用する標準機能:会員、商品、在庫、受注、決済
- 追加する機能:状態遷移、在庫引当、POS・WMS連携、スタッフ画面、通知
SaaSやASP、パッケージ、フルスクラッチは、サービスの範囲や要件によって費用が変わります。そこで、料金表のほかに、初期設定、連携、保守の範囲も確認しておきます(出典:Shopify Japan「ECサイト構築費用の完全ガイド」、2026年確認)。
月額費用は、数十万〜数百万円程度になる場合があります。クラウド利用料や店舗・ユーザーのライセンスに加え、監視とバックアップ、通知と決済、保守もかかります。
連携先が増えると、仕様変更への追随や障害調査が必要になります。データの再送やテスト環境の維持も続きます。そのため、初期費用だけでなく、5年間の運用費を含むTCO(総所有コスト)で判断します。
集客施策では、Google Merchant Centerなど外部サービスの掲載要件も確認します。「本日店舗受取可」の表示には、商品ごとの受取可否に加えて、同日または翌日などを示す「pickup_SLA」属性が必要です(出典:Google Merchant Center ヘルプ「本日店舗受取可」、2026年確認)。
受取可能時期を商品ページや購入手続きで示すには、店舗別在庫の連携が必要です。このため、データ整備やAPI対応が追加の設計費になることがあります。
店頭受取管理システムの費用内訳

見積書は「システム一式」とまとめず、工程ごとに分けて確認します。業務設計、画面、データ連携の費用と、テスト、教育、保守の費用を、それぞれ見ておきます。特に、設計、連携、異常系テストに費用がかかりやすい傾向があります。
要件定義・業務設計・画面設計
要件定義では、業務の状態と店舗ごとの条件を具体的に決めます。
- 注文状態:受付、引当、店舗準備、通知、引き渡し、期限切れ、キャンセル、返品、返金
- 店舗条件:店舗数、営業時間、受取可能商品、温度帯、大型・予約商品、代理受取
条件が曖昧なまま進むと、後から業務ルールが増え、画面やAPIの作り直しが発生します。費用の配分は、要件定義・業務設計が全体の10〜20%、画面・API設計が15〜25%程度が目安です。
この比率は開発規模から見た一般的な整理で、店舗数や既存システムの複雑さによって変わります。初期に店舗スタッフへヒアリングしておくと、後工程の手戻りを減らせます。
実装・POS連携・在庫連携
実装費には、顧客向けの画面と、店舗・管理者向けの機能が含まれます。
- 顧客向け:商品ページ・カートでの店舗選択、受取日時、注文状態、通知、受取番号
- 運用向け:スタッフ画面、管理者画面
POSや在庫システムにAPIがあっても、項目の対応や更新時期を設計する必要があります。さらに、エラー時の再送や二重引当の防止、手動訂正の権限を決めておきます。一方で、APIがなくCSVや日次バッチで連携する場合は、安全在庫や注文保留の仕組みが要ります。
費用は連携先の数と仕様に左右されます。POSが1製品で全店舗共通なら費用を抑えやすいものの、店舗ごとに異なるPOSや倉庫管理などをつなぐと、試験と障害対応が増えます。
会員・ポイント・CRMとの接続や、決済・通知サービスとの接続も工数に影響します。また、混在注文や分割出荷、店舗間移送、欠品時の代替は、追加費用がかかりやすい領域です。
テスト・教育・リリース後の保守
見積もりでは、異常系を含むテスト範囲と店舗での検証内容を確認します。
- 異常系:在庫不足、決済失敗、通信断、同時注文、店舗変更、代理受取、期限切れ、返金、POS停止
- 店舗検証:実機で操作性を確認し、1店舗のパイロットで準備時間や欠品率を測定
- 費用配分:実装・連携・移行・テストに全体の20〜30%程度を充てる考え方
テストを削ると、本番後の障害対応費が膨らみやすくなります。
公開後は、クラウドや監視、バックアップ、セキュリティパッチの対応が続きます。加えて、問い合わせや障害対応、機能改善にも費用がかかり、月額10万〜100万円超になる場合があります。
店舗数や注文数に応じて、通知数やログ保存の量が変わります。サーバー性能やサポート時間も、店舗数や注文数の影響を受けます。保守時間や追加改修の単価、時間外対応、POS変更時の再試験費は、分けて確認します。
店頭受取管理システムの費用が変動する要因

同じ店頭受取でも、10店舗の小売事業者と全国に店舗・倉庫を持つ企業では、必要な設計が違います。そのため、見積金額だけで比べず、条件ごとに価格への影響を分けて確認します。
店舗数・SKU数・注文量
店舗数が増えると、店舗マスタや営業時間、受取場所の管理が必要になります。スタッフ権限、通知先、障害時の連絡先も、店舗ごとに管理する機能が要ります。
SKU数が多い場合は、商品ごとの受取可否や、サイズ・温度帯による違いを扱います。店舗在庫と取り寄せの可否も、管理の対象になります。さらに、検索や在庫表示、引当の性能にも配慮が必要です。
月間の注文数やピーク時の同時アクセスを伝えないと、過剰なインフラ費用や性能不足による追加改修が発生する可能性があります。
店舗業務と例外処理の複雑さ
通常は、注文と引当、準備完了通知の順に進みます。そのあと来店して本人確認を行い、受取済みとして登録します。ただし、実務では例外処理も発生します。
- 商品・店舗:商品が見つからない、受取店舗を変更したい
- 受取・保管:代理人が来店した、期限切れ、冷蔵品を保管できない
- 決済・在庫:決済済みなのに一部欠品した
例外を手作業で処理するか、管理画面で状態を戻すか、返金を自動化するかで費用が変わります。
期限切れ注文を自動でキャンセルするなら、在庫の戻しや売上の計上、ポイントの返還を決めておきます。顧客への通知も定義が必要です。なお、期限や返品・返金の扱いは、店舗ルールにも関係します。
すべての例外を初期から自動化すると高額になりやすいため、承認を付けた手動処理から始める方法もあります。発生件数の多いものから、順に自動化していきます。
決済・個人情報・セキュリティ要件
費用と安全性に関わる、個人情報と決済の設計項目を一覧にします。
- 個人情報:氏名、電話番号、メールアドレス、受取店舗、注文履歴
- 店舗権限:スタッフに必要以上の個人情報を見せない
- 受取管理:番号の有効期限、代理受取の確認、操作ログ、退職者アカウントの無効化
- オンライン決済:カード情報の保持方式、決済代行会社との役割分担
個人情報の扱いは、個人情報保護委員会のガイドラインに沿って進めます。対象は、利用目的や委託先、第三者提供、保存期間です(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2026年確認)。
経済産業省は、2025年3月の改訂で、EC加盟店に求める対策を示しています。脆弱性対策、EMV 3-Dセキュア、不正ログイン対策などです(出典:経済産業省「クレジットカード・セキュリティガイドラインが改訂されました」、2025年)。
受取番号の盗用や不正ログインへの対策は、後から足すと大きな改修になりやすいため、初期要件に含めます。
店頭受取管理システム開発の進め方と期間
既存ECのオプション設定は数日〜1か月程度、SaaSの設定と軽微な連携は1〜3か月程度が目安です。
クラウドEC・POS・在庫APIを含む構築は3〜9か月程度、個別開発は6〜12か月程度です。大規模基盤は9〜18か月以上かかる場合もあります。
全店舗を一斉に切り替えるより、1店舗のPoCから始めたほうが、費用と業務リスクを把握しやすくなります。
現状整理と要件定義
最初に、EC注文や店舗・倉庫の在庫、取り寄せのデータを、担当部署ごとに一覧にします。店舗間移送やキャンセル、返金も、同じように洗い出します。
次に、受取できる商品や、在庫更新をどこまで遅らせてよいかを決めます。準備完了までの目標時間、保管できる日数、本人確認と代理受取のルールも決めておきます。
業務フロー図と注文状態一覧を作り、連携項目一覧、権限一覧、異常系一覧も用意しておくと、複数社の見積もりを同じ条件で比べられます。
一店舗PoCとKPI測定
全店舗へ一度に広げず、商品の特性と客数が平均的な一店舗で試験します。受注数だけでなく、ほかのKPIも測ります。
- 注文と受取:準備完了までの時間、受取率、期限切れ率
- 在庫と作業:在庫差異による欠品率、一件あたりの作業時間
- 購買:受取後の追加購買率
測定結果を見ると、システムの改修が必要か、店舗オペレーションの見直しが必要かを切り分けられます。
段階展開と運用改善
PoCで見つかった、在庫引当やスタッフ操作、通知、返金の課題を直します。そのうえで、対象の店舗やSKUを段階的に増やします。
店舗を追加するときは、マスタ登録やスタッフ教育、端末の準備を毎回同じ手順で進めます。問い合わせ窓口や障害時の手動運用も、手順を決めておくと、拡大時の追加費用を抑えられます。
AIを需要予測や問い合わせの補助に使う場合も、返金や在庫引当を自動で確定させる前に、承認の流れと監査ログを用意しておきます。
見積もりの取り方とコストを抑えるポイント
依頼のときは、「店舗受取機能を作りたい」と伝えるだけでなく、店舗数やSKU数、月間とピーク時の注文数も伝えます。
また、既存ECやPOS製品、在庫の更新頻度に加えて、決済方法や通知手段も共有します。さらに、受取期限や返品・返金、代理受取、必要なKPIも示します。
条件が少ないまま出された概算は、会社ごとの金額差が大きくなりがちです。安く見えても、後から追加費用が発生しやすい点に注意が必要です。
見積もり比較で確認する項目
各社には、工程ごとの見積書と、標準機能・追加開発・運用で補う範囲の明示を求めます。
- 工程:要件定義、設計、実装、連携、移行、テスト、教育、リリース、保守
- 追加費用:POS・決済の仕様変更、店舗・連携の追加、通知数増加、障害時の再処理
- 対応条件:追加セキュリティ診断、PoCの有無、店舗スタッフの操作テスト回数、障害時の対応時間
初期費用に加えて、月額費用や5年間の保守費を合算します。追加店舗や連携の単価、移行費、教育費、契約終了時のデータ返却費も、含めて見ます。
費用を抑えながら失敗を防ぐ方法
費用を抑えるには、まず初期リリースの範囲を絞ることから始めます。
- 初期機能:店舗選択、在庫引当、準備完了通知、受取済み登録、期限切れ管理
- 後から追加:店舗間移送、複雑な混在注文、AI自動化
- 既存機能の活用:EC標準機能、決済代行、メール配信を使い、独自開発は店舗業務・在庫連携に集中
- 運用の切り分け:必要な品質を削らず、手動運用で始める箇所と初期から自動化する箇所を分ける
全面スクラッチに比べると、独自開発の範囲が狭いぶん初期費用を抑えられます。ただし、在庫精度や権限、ログ、異常系テストを削ると、欠品や二重引当、誤受取、返金漏れにつながります。
1店舗・限定SKUのPoCで作業時間を測り、その結果を次の見積もりに反映すると、最終的なTCOを抑えやすくなります。
よくある質問
最適な方法は、自社の店舗数や既存システムによって変わります。費用を検討するときによく出る質問を、目安と判断基準に分けて答えます。
店頭受取機能だけなら安く開発できますか?
既存ECの標準オプションやSaaSを利用できれば、初期0〜100万円程度で始められる可能性があります。
POS・在庫連携やスタッフ画面、複雑な返金、混在注文が必要になると、連携と業務設計の費用が加わります。まずは、標準機能で対応できる範囲を確認するとよいでしょう。
開発期間はどれくらいかかりますか?
既存ECの設定は数日〜1か月程度、軽微な連携は1〜3か月程度、POS・在庫APIを含む構築は3〜9か月程度が目安です。
個別要件が多い中規模開発は6〜12か月程度、大規模案件は9〜18か月以上かかる場合があります。要件定義やAPI確認、データ移行、店舗テストを急ぐと、本番後の修正費が増える可能性があります。
見積もり依頼前に何を準備すればよいですか?
店舗数やSKU数、月間の注文数に加えて、既存のECやPOS、在庫システムの構成を整理します。在庫の更新頻度や受取期限、決済と通知の方法も、あらかじめ決めておきます。さらに、返品・返金と代理受取のルールも用意します。
注文から受取完了までの状態と、欠品・期限切れ・通信障害時の処理を資料にまとめると、各社の条件がそろいます。最初から全店舗の詳細を完璧にまとめようとせず、代表店舗の業務を具体化する方法も有効です。
まとめ
既存ECのオプションは初期0〜30万円程度、SaaS・ASPの設定や軽微な連携は10〜100万円程度が目安です。クラウドECやパッケージとPOS・在庫を連携する場合は、300万〜1,500万円程度です。
店舗・倉庫・基幹を含む個別開発は800万〜2,000万円程度、大規模なオムニチャネル基盤は2,000万〜5,000万円以上になる場合があります。
ただし、価格は受取ボタンを付けるかどうかより、業務の範囲で決まります。費用と期間は、店舗数やSKU数、注文量によって変わります。さらに、在庫精度、POS・WMS連携、店舗作業、期限切れ・返金の扱い、決済・個人情報の安全対策も影響します。
初期費用だけでなく、月額保守や追加店舗の費用、障害対応、5年間のTCOも確認してください。まず現行業務を整理し、1店舗・限定SKUでPoCを実施します。
受取完了率や準備時間、欠品率、期限切れ率、スタッフの作業時間を測ります。そのうえで、標準機能で足りない部分だけを個別開発すると、過剰な初期投資を避けながら段階的に改善できます。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
