情報系システム開発の開発期間・スケジュール・納期について

情報系システム開発の期間は、対象の規模によって大きく変わります。小規模なら1〜3ヶ月、中規模なら3〜6ヶ月、大規模なら6〜12ヶ月程度が目安です。

期間はデータソースの数やKPIの複雑さで変わり、納期を守るには段階的な導入が有効です。

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情報系システム開発の期間全体像と規模別スケジュールの目安

小規模・中規模・大規模の情報系システムについて、開発期間と費用の目安を3枚のカードで示した図。
規模が大きくなるにつれて、期間と費用の目安も段階的に上がります。

情報系システムは、基幹系が作ったデータを集約・分析し、意思決定や情報共有を支える周辺システムです。分析系のシステムには、DWHやBI、レポーティングツール、経営ダッシュボード、需要予測などがあります。また、グループウェアや社内ポータル、メール、スケジューラーなどの情報共有系も含まれます。

基幹系は業務を止めず正確に処理するのに対し、情報系はデータから傾向を読み取り、次の判断に活かします。

たとえば、単一システムの簡易ダッシュボードと、複数の基幹系を統合する基盤では、期間も費用も大きく異なります。開発期間は、データソースの数や可視化するKPIの複雑さ、高度な機能の有無で変わります。現実的なスケジュールを描くには、まず自社が目指す規模を見極めることが出発点です。

基幹系との対比で捉える情報系システム開発の進め方

両者は目的が異なるため、開発スケジュールの組み方も変わります。

  • 基幹系:会計や販売、生産の処理を、止めずに正確にこなす役割です。
  • 情報系:データを集めて傾向を読み、意思決定に活かす役割です。

基幹系は、稼働前に要件を固めるウォーターフォール型が基本です。業務の流れが決まっているぶん、仕様が安定しやすいのが特徴です。

一方、情報系では、開発中に新たな分析軸や指標の追加要望が生まれることがあります。そのため、情報系は最初の仕様を完成させるより、利用しながら育てる性質が強い開発です。全社基盤を最初に一括で作るより、小さく立ち上げて改善する前提で計画します。

規模別(スモールスタート・本格業務利用・全社データ基盤)の期間目安

データ活用系は、規模によって開発期間と費用の目安が大きく変わります。

  • 小規模:1〜3ヶ月、100万〜300万円程度が目安です。
  • 中規模:3〜6ヶ月、300万〜1,500万円程度を見込みます。
  • 大規模:6〜12ヶ月程度、1,500万〜3,000万円以上を要します。

小規模は、単一データソースの連携と基本集計、簡易ダッシュボードに絞ったMVPです。中規模は、販売管理やCRMなどを統合し、複雑なKPIや権限管理、複数の画面を整備します。大規模は、複数部門のデータ基盤に加え、リアルタイム分析や需要予測などのAIモデルを含みます。

一方、グループウェアや社内ポータルは、SaaSなら即日から1ヶ月程度で導入できる場合があります。情報共有基盤は、データ活用系とは期間の感覚が大きく違います。

ポイント

情報系は規模で期間が変わり、小規模は1〜3ヶ月、中規模は3〜6ヶ月、大規模は6〜12ヶ月程度が目安です。まず目指す規模を見極め、基幹系とは違う進め方も含めて計画します。

要件定義から本稼働までの工程別の期間配分

要件定義・設計・開発実装・テストの順に、全体工数に対する各工程の配分目安を示した図。
4工程のうち、開発・実装が最も大きな配分を占めます。

情報系システムは、要件定義、設計、開発・実装、テストを経て本稼働します。工程名は基幹系と似ていますが、各工程の比重や検証内容には、情報系ならではの違いがあります。中規模のデータ活用システムを例に、工程ごとの配分を見ていきます。

各フェーズの期間配分(要件定義・設計・開発実装・テスト)

中規模のデータ活用システムの例では、工程別の工数配分に次の目安があります。

  • 要件定義:全体の約10%が目安です。
  • 設計:全体の10〜20%を占めます。
  • 開発・実装:全体の40〜60%と、最も大きな割合です。
  • テスト:全体の10〜20%を見込みます。

要件定義では、誰がどの業務でどのKPIを見るかを整理し、優先順位を付けます。対象範囲を絞れるかどうかで、その後の工程の見通しが大きく変わります。

設計では、データ構造、KPIの定義、画面のレイアウト、閲覧権限を決めます。たとえば、売上を受注と出荷のどちらで集計するかは、部門間で決めておく必要があります。

KPIの解釈が部門ごとに異なると、後から数値が食い違います。そのため、関係部門と慎重にすり合わせる必要があります。

テストでは、元データとの件数や金額が一致するか、KPIの値にずれがないかを検証します。見た目の不具合より数値のずれのほうが致命的なため、データの正しさを確かめるテストが欠かせません。

開発・実装が最大工数になる理由とデータ処理の複雑さ

工程別の配分で見ると、開発・実装が全体の40〜60%を占め、最も大きな工数になります。

  • データ抽出:複数の基幹系から、分析に使うデータを取り出します。
  • 加工・整備:データをクレンジングし、集計に備えた状態にします。
  • 集計ロジック:統一した指標を出すための処理です。

費用を押し上げるのは、画面よりも、その裏側で動くデータ処理の複雑さです。

たとえば、顧客コードや退会顧客の扱いがシステムごとに異なることがあります。その場合、名寄せして整合した顧客数にまとめる処理に、相当な工数がかかります。

ダッシュボードの画面は数日で作れても、正しい数値を出すデータ処理基盤には数週間から数ヶ月かかります。そのため、納期と工数は、画面数ではなく、統合するデータソース数とデータの汚れ具合で見積もります。

ポイント

工程別では開発・実装が全体の40〜60%を占め、データ処理の複雑さが工数を押し上げます。見積もりは、画面数ではなく、統合するデータソース数とデータの汚れ具合を基準にします。

情報系システム特有の納期遅延要因と対策

データ統合を中央に置き、形式の違い・更新時期の違い・データの欠損・表記揺れを周囲に示した図。
実データを早い段階で確かめると、統合時に必要な作業を把握しやすくなります。

複数システムのデータを扱う情報系には、基幹系とは異なる遅延要因があります。代表的な原因と、それぞれに応じた実務上の対策を見ていきます。

データ統合の難易度とデータ品質問題

データ統合の難しさと品質問題は、情報系開発で典型的な遅延要因です。

  • 形式の違い:システムごとに書き方が異なり、統合が難しくなります。
  • 更新時期の違い:各システムで取り込みの時期が揃わない場合があります。
  • データの欠損:必須項目が空欄のまま残っていることがあります。
  • 表記揺れ:同じ取引先が、複数の名称で登録されているケースです。

販売管理や会計、CRMなどにデータがまたがると、統合処理は一段と難しくなります。たとえば、取引先名が「株式会社○○」「(株)○○」「○○」と書かれている例もあります。

クレンジングの工数は、想定を超えることが多く、プロジェクト遅延の主な原因になります。

対策としては、要件定義や設計の段階で実データを一部取り出し、品質を確かめます。そのうえで、クレンジングに必要な工数を現実的に見積もります。

きれいなデータを前提にすると、後工程でほぼ確実に破綻します。そのため、データの汚れを織り込んで計画します。

開発中の要件変更の頻発と、基幹系との違い

開発途中で要件や仕様が変わることも、大きな遅延要因です。

  • 分析軸の追加:データを見てから、新たな要望が生まれることがあります。
  • 特徴量の追加:予測などで使う項目を、後から増やす必要が出てきます。
  • 画面の変更:利用後に、ダッシュボードの切り口を変えたくなる場合があります。

情報系では、データやグラフを見て初めて必要なものが分かることもあります。業務の流れが決まっている基幹系に比べ、情報系の要件は安定しにくい傾向があります。当初の仕様が、最後まで変わらないとは限りません。

要件変更は例外ではなく、必ず起きる前提で備えます。変更を柔軟に受け止められる進め方を選んでおきます。

全要件を固めて請負契約で一括開発すると、変更のたびに追加の費用と工数が生じ、スケジュールとコストが膨らみます。具体的な進め方は次章で詳しく見ていきます。

ポイント

遅延の要因は、データ統合の難しさと要件変更が典型的です。要件定義や設計の段階で実データを一部確認し、変更は必ず起きる前提で計画に含めます。

納期を守るための進め方(スモールスタートと段階的導入)

データ統合の難しさと要件変更を踏まえると、基幹系とは異なる進め方が必要になります。最初から完璧を目指すのではなく、段階的に導入しながら改善していきます。

スモールスタートとデータマート単位の段階導入

情報系の納期を守るには、リリース時点の対象範囲を絞るスモールスタートが基本です。

  • 対象を限定:一部の商品や店舗、最重要KPIに絞ります。
  • 業務を限定:営業部の月次レポート自動生成から始める例があります。
  • 領域を段階拡大:データマートごとに作り、次の領域へ広げていきます。

連携先やKPIを絞ると、統合するデータソースと検証する指標が限られます。そのぶん、初期の立ち上げを早め、早期の成果にもつながります。

全社の全データを一度に扱おうとすると、統合の難しさは指数関数的に高まります。その結果、いつまでも本稼働できず、終わらないプロジェクトになりかねません。

データマートは、特定の業務や部門に特化した小さなデータの集まりです。初期に得た知見を次の段階に活かし、適用範囲を着実に広げていきます。

準委任契約とアジャイル的な改善サイクル

要件が変わりやすい情報系では、契約形態も進めやすさを左右します。

  • 請負契約:仕様が固まった基幹系が対象になります。
  • 準委任契約:実際にかかった工数に応じて費用がかかります。
  • 改善運用:初期費用の5〜15%程度を予算に見込んでおきます。

請負では、開発途中で変更が出るたびに、契約変更や追加の見積もりが必要になります。一方、準委任なら、データや予測結果を確認しながら改善を進めやすくなります。

分析指標の追加や予測モデルの改善を続ける体制を前提に、運用の予算を考えます。また、本稼働日を完成日とせず、その後も改善を続けるスケジュールを組みます。

ポイント

納期を守るには、対象を絞って段階的に導入し、利用しながら改善する進め方が基本です。要件が変わりやすい情報系では、準委任契約の形と改善の予算を前提にすると進めやすくなります。

グループウェア・情報共有基盤の導入スケジュールの考え方

情報系には、データ活用系のほかに、情報共有系のシステムも含まれます。グループウェアや社内ポータル、メール、スケジューラー、ワークフローなどがこれに当たります。

同じ情報系でも、情報共有基盤はデータ活用系とは導入スケジュールが異なります。

SaaS型グループウェアの短期導入とフルスクラッチの違い

情報共有基盤は、SaaSの標準機能で足りるかを先に確かめます。

  • SaaS:標準機能を使う場合、契約から即日〜1ヶ月程度で導入できます。
  • ノーコード基盤:標準機能で満たせない要件があるときの候補です。
  • フルスクラッチ:独自要件に合わせて開発する選択肢です。

グループウェアには、サイボウズOffice、Google Workspace、Microsoft 365などのSaaS型サービスがあります。

SaaSでは、サーバー構築やメンテナンスをベンダーが担うので、自社のインフラ準備は不要です。このため、データ活用系の分析基盤より短期間で導入できます。

独自の組織文化や業務フローに合わせたい場合は、フルスクラッチも選択肢になります。ただし、サーバー構築、セキュリティ対策、継続保守を自社で担うことになり、期間と費用が増えます。

スケジュールとコストの両面から、開発方法を選ぶのが合理的です。

発注前の準備と現場定着までを見込んだスケジュール設計

データ活用系も情報共有系も、現場が実際に使ってこそ価値が生まれます。そのため、定着までを計画に含めます。

  • 利用目的:誰がどの業務で何を見たいかを整理します。
  • 対象と時期:対象データ、連携先、希望する稼働時期を一覧にします。
  • 定着の準備:開発・導入の日程に、マニュアル、研修、移行期間を必ず組み込みます。

発注前にこれらを整理しておくと、複数のベンダーから比べやすい提案を受けられます。

短期間で導入しても、現場が使い方を理解できなければ、投資が無駄になるおそれがあります。そこで、技術的な完成ではなく、日常業務で自然に使える状態をゴールに据えます。

ポイント

情報共有系は、まずSaaSの標準機能で足りるかを確かめます。足りるなら即日から1ヶ月程度で導入できる場合があり、発注前には利用目的と定着の準備も整理しておきます。

まとめ

情報系は、日常業務の処理を担う基幹系と対になる周辺システム群です。そのデータを集約・分析し、意思決定や情報共有に活かします。

開発期間の目安は、スモールスタートで1〜3ヶ月、本格利用で3〜6ヶ月です。全社基盤や予測AIを含む場合は6〜12ヶ月以上となり、規模によって幅があります。

開発・実装が最大の工数を占めるため、データの統合難易度も納期に影響します。要件変更を前提に、段階導入や準委任契約で改善を続ける進め方が有効です。

情報共有基盤はSaaSで短期導入できる場合があります。いずれの場合も、現場定着の日を目標にすると、投資を成果に結びつけやすくなります。

本記事が、情報系システム開発の現実的なスケジュール設計の一助となれば幸いです。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。