社内チャットツール開発の発注/外注/依頼/委託方法について

社内チャットツールの発注・外注では、製品を選ぶ前に「どの連絡を、誰が、どのルールで残すか」を決め、SaaS導入、既存基盤への統合、独自開発のどれが自社に合うかを比較することが成功への近道です。

社内チャットツールは、単なる短文メッセージのアプリではありません。部門や拠点をまたぐ相談、ファイル共有、意思決定、タスクの引き継ぎを検索可能な業務履歴として残す基盤です。本記事では、発注形態の選び方、RFPと要件整理、契約形態、費用相場、委託先選定、見積比較、導入後の定着までを、外注を検討する担当者が社内稟議やベンダー面談に使える順番で解説します。

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社内チャットツールを発注・外注する前の全体像

社内チャットツールの発注計画を整理する担当者

社内チャットツールの発注は、アプリの購入手続きだけで終わる場合と、認証・権限・ファイル移行・業務連携まで含むシステム開発プロジェクトになる場合があります。最初に自社が必要としている範囲を見極めると、過剰な開発費を避けながら、現場で使われる仕組みを作りやすくなります。

最初に目的と対象業務を決めます

発注前に「チャットを導入する」という目的を、業務上の変化へ言い換えます。たとえば、拠点間の確認を当日中に終える、問い合わせの引き継ぎ漏れを減らす、電話や個人LINEに散らばった履歴を会社の管理下へ戻す、といった表現です。目的が「便利なツールを入れる」だけだと、機能の多さや画面の印象で比較しやすくなり、導入後にメール・電話・紙・Excelとの二重管理が残りやすくなります。

対象範囲は、利用者、部署、拠点、社外ユーザー、管理者に分けて整理します。顧客情報を扱うコンタクトセンターや営業部門では、チャットへ貼り付けてよい情報と禁止する情報、個人情報のマスキング、保存期間、誤送信時の連絡先も先に決める必要があります。緊急連絡をチャットだけに依存するのか、障害時は電話やメールを使うのかまで決めると、発注先へ伝える要件が具体的になります。

SaaS、パッケージ、スクラッチを比較します

発注先を探す前に、選択肢を三つに分けて考えます。クラウドSaaSは、基本機能を早く使い始められ、サーバーやアップデートを自社で抱えにくい選択肢です。一方で、標準機能に業務を合わせることが前提であり、データ所在地、再委託、AI機能でのデータ利用、メッセージのエクスポート、価格改定の条件を確認する必要があります。

パッケージや既存グループウェアへの統合は、Microsoft 365、Google Workspace、サイボウズなどを契約済みの会社に適しています。認証、ファイル、会議、カレンダーをまとめやすい反面、追加ライセンスや管理設定の費用が発生することがあります。スクラッチ開発は、独自の承認・エスカレーション・監査・業界規制がチャットの中心にあり、既製品の設定やAPI連携では不足する場合に限って検討します。

外注範囲を「導入」と「運用」に分けます

社内チャットツールの外注では、ライセンス契約、初期設定、要件定義、認証連携、データ移行、研修、運用支援を一括で依頼する方法があります。ただし、一括見積だけでは何に費用を払うのか分かりにくくなります。少なくとも「ベンダーとの契約」「導入支援会社への委託」「自社が担う作業」を分け、管理者設定、利用者登録、問い合わせ対応、障害時の一次切り分けを誰が担当するかを文書化します。

社内チャットツールの発注形態はどれを選べばよいですか?

社内チャットツールの発注形態を比較する会議

結論として、利用者が30〜100人程度で標準的なチャットを早く始めたいなら、SaaSの直接契約に導入支援を組み合わせる方法が現実的です。認証、端末、監査、既存ファイル、複数拠点を一体で管理するならSIerへの委託を検討し、独自の業務フローが価値の中心にある場合だけ、追加開発やスクラッチを選びます。

標準SaaSを導入支援会社に依頼します

SaaS導入では、製品そのものを開発するのではなく、テナント作成、組織・チャンネル設計、権限設定、SSO、利用者登録、データ移行、研修を外注します。導入期間を短くしやすく、標準機能で始めてから利用状況を見て拡張できる点が特徴です。特に、社内にチャット管理の経験者がいない場合は、初期設定だけでなく、管理者向けの運用手順書と問い合わせの引き継ぎまで含めると安心です。

ただし、SaaSの料金と導入支援費を混同しないことが重要です。ライセンスは利用者数に応じて継続的に発生し、支援会社の費用は初期設定や研修の範囲で変わります。見積書に「初期設定一式」とだけ書かれている場合は、対象テナント数、管理者研修の回数、移行対象データ、テスト環境、稼働後のサポート期間を確認します。

既存のMicrosoft 365やGoogle Workspaceへ統合します

すでにMicrosoft 365を使っている会社はTeams、Google Workspaceを使っている会社はGoogle Chatを候補にすると、アカウントやファイル、会議との連携を設計しやすくなります。Microsoft Teamsでは、Microsoft Entra IDによるシングルサインオン、転送中・保存中の暗号化、Microsoft Purviewによる保持ポリシー、DLP、eDiscovery、監査ログなどが案内されています。ただし、利用できるコンプライアンス機能は契約するMicrosoft 365や関連ライセンスで変わるため、機能名だけで判断しないことが大切です(出典: Microsoft Learn「セキュリティとコンプライアンスの概要」、2025年4月更新)。

既存基盤への統合を依頼する場合は、チャットの設定だけでなく、入社・異動・退職に伴うアカウント処理、外部ユーザーの招待、SharePointやDriveのファイル権限、モバイル端末の利用ルールまで対象にします。統合後の責任分界が曖昧だと、アカウント停止や誤共有が起きたときに対応が遅れるためです。

独自開発は業務価値と非機能要件で判断します

スクラッチや大規模アドオンを選ぶのは、独自の承認、問い合わせのエスカレーション、監査、業界規制、社内システムとの深い連携が、チャットの中核価値になっている場合です。メッセージの送受信だけなら既製品で実現できることが多く、独自開発ではリアルタイム配信、全文検索、通知、スマートフォン対応、権限、監査ログ、バックアップを長期運用する責任まで引き受けることになります。

独自開発を依頼するなら、画面の要望だけでなく、同時接続数、許容遅延、障害復旧目標、ログ保存期間、バックアップ世代、データ削除の証跡を数値で示します。要件が固まる前に開発会社へ丸投げすると、後から「検索対象を増やしたい」「退職者の履歴を保持したい」といった変更が積み重なり、納期と費用が膨らみやすくなります。

社内チャットツールの発注から稼働までの進め方

社内チャットツール導入プロジェクトの進行

発注プロジェクトは、企画、RFP作成、ベンダー選定、要件定義、設定・開発、テスト、パイロット、全社展開、運用改善の順に進めます。SaaS導入であっても、利用ルールやデータ移行を省略すると、稼働後に使われないチャンネルや重複ファイルが増えるため、システム導入と業務設計を一つの計画にします。

ステップ1:現状と要件を整理します

まず、現在の連絡手段を棚卸しします。メール、電話、個人LINE、部署別のチャット、紙の回覧、Excelの共有台帳を並べ、どの業務で何が困っているかを記録します。現場の紙やExcelなどのアナログ業務を整理しないまま新しいツールを追加すると、情報がさらに分散して混乱を早めるためです。ヒアリング対象は、現場利用者、管理者、情報システム、法務・セキュリティ、経営層に分けます。

要件は、必須、できれば欲しい、将来検討の三段階に分けます。必須要件には、1対1チャット、チャンネル、スレッド、全文検索、ファイル共有、モバイル利用、SSO、MFA、退職者の停止、監査ログなどを置きます。業務要件だけでなく、保存期間、削除方法、障害時の代替手段、管理者の人数、問い合わせの受付時間も含めると、後のRFPがぶれにくくなります。

ステップ2:RFPで同じ条件を提示します

RFPには、背景と目的、対象部署・人数・拠点、現行環境、必要機能、セキュリティ、移行対象、導入スケジュール、支援範囲、提出してほしい見積の内訳を記載します。製品名を先に指定するのではなく、「既存ID基盤と連携できること」「ゲストを管理者承認制にできること」「操作ログを指定期間保存できること」のように、達成したい状態で書くと比較しやすくなります。

候補会社には、同じ質問票と同じデータ量のサンプルを渡します。提案書には、標準機能、設定で対応する範囲、追加開発、できないことを分けて記載してもらいます。さらに、発注者側の協力事項として、利用者名簿の提供、既存データの整理、受入テスト、社内周知の担当を明記します。発注者の準備不足を曖昧にしたまま契約すると、仕様変更や移行遅延の責任分界が不明確になります。

ステップ3:小さく試してから全社展開します

いきなり全社へ展開せず、1部署または1用途でパイロットを行います。たとえば、営業とサポートの引き継ぎ、拠点間の障害連絡、管理職の意思決定共有など、効果を測りやすい業務を選びます。確認する指標は、アクティブ利用者率、質問への初回返信時間、検索で過去情報を見つけられた割合、メールからチャットへ移った件数、誤送信や外部共有の件数などです。

導入事例の数値は、そのまま自社の成果になるとは限りません。Slackが紹介するKADOKAWAの事例では、重版の注文から製造出荷までが通常10営業日から2営業日になり、重版スピードが5倍になったとされていますが、これはSlackだけでなく業務プロセスのデジタル化と定着支援を組み合わせた結果です(出典: Slack「KADOKAWAの組織コミュニケーション基盤DX」)。自社では導入前の値を測り、同じ指標で効果を検証します。

ステップ4:移行・教育・運用設計を実施します

移行では、過去の全メッセージを移すことだけを目標にしません。残すべき規程、ナレッジ、進行中の案件、ファイルの最新版を分類し、不要な個人情報や重複ファイルを整理してから移します。移行できないデータがある場合は、元システムを閲覧専用で残す期間、利用者への告知、検索性を補う台帳の作り方を決めます。データの持ち出しや削除ができるかは、契約前にベンダーへ確認します。

教育は、全機能の説明会よりも、日常業務の具体例を使う方が定着しやすくなります。チャンネル命名規則、緊急連絡と通常連絡の使い分け、メンションのルール、ファイルをチャットに添付する場合の注意、議論を決定事項へ変える方法を短い教材にします。管理者には、アカウント停止、外部ユーザーの承認、ログ確認、問い合わせのエスカレーション、障害時の連絡を演習してもらいます。導入支援会社へ依頼する場合は、手順書の納品と管理者への引き継ぎを契約に含めます。

社内チャットツール外注の契約形態と責任分界

社内チャットツール外注の契約条件を確認する担当者

社内チャットツールの外注では、作業の完成を求めるのか、専門家の支援を受けながら一緒に進めるのかで、契約の考え方が変わります。SaaSの利用規約、導入支援の業務委託契約、追加開発の開発委託契約を分けて確認し、成果物、検収、変更手続き、障害対応、データの扱いを一つの責任分界表にまとめます。

準委任契約は検討や支援の進行に向いています

準委任契約は、要件整理、現状調査、プロジェクト管理、導入伴走、運用改善のように、専門家が作業や助言を提供する場面に向いています。社内の課題がまだ流動的で、利用部門との調整をしながら設計する場合に使いやすい契約形態です。一方で、成果物が何か、稼働時間や担当者、報告方法、会議体、発注者の協力義務を曖昧にすると、支援の範囲が広がり続けるため注意します。

月次の作業報告だけでなく、要件一覧、課題管理表、決定事項、設定変更履歴、運用手順書を成果物として定めると、支援の価値を確認しやすくなります。準委任であっても、作業時間を消化することではなく、次の意思決定に必要な情報を納品することを期待水準として合意します。

請負契約は合意した成果物の完成に向いています

請負契約は、要件定義書、設定済みテナント、連携機能、移行ツール、テスト結果、運用手順書など、完成させる成果物を明確にできる場合に向いています。追加開発を含む場合は、受入条件、検収期限、修正対応の範囲、納期遅延時の扱い、第三者ライブラリやソースコードの権利を契約書と仕様書に落とします。

チャットツールは、外部サービスの仕様変更やID基盤の状態に影響されるため、すべてを固定価格で完成させられるとは限りません。要件定義を準委任で行い、仕様が固まった設定・開発部分を請負にするなど、工程ごとに契約を分ける方法もあります。契約を分ける場合は、前工程の成果物が次工程の入力になることを明記します。

セキュリティと再委託を契約条項で確認します

社内チャットに顧客情報や従業員情報を扱わせるなら、データ所在地、暗号化、アクセス権、ログ、保存期間、削除、バックアップ、インシデント通知、監査、再委託先を確認します。海外のクラウドや再委託先が個人データを扱う可能性がある場合、個人情報保護委員会のガイドラインは、委託先への必要かつ適切な監督、再委託先の事前報告・承認、定期的な確認などを示しています(出典: 個人情報保護委員会「外国にある第三者への提供編」、令和7年12月一部改正)。

「ISOを取得している」「大手クラウドである」という説明だけでは、自社の運用リスクを判断できません。契約書や別紙で、誰が権限を付与するか、退職者を何時間以内に停止するか、ログを何年間確認できるか、事故発生時に何時間以内に第一報を受けるか、契約終了時にどの形式でデータを返却・削除するかを確認します。IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版も、経営者編と実践編で段階的な対策を示し、2026年7月3日に更新されています(出典: IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」)。

社内チャットツールの費用相場とコストの内訳

社内チャットツールの費用と見積内訳を確認する担当者

社内チャットツールの費用は、月額ライセンス、初期設定・要件定義、認証や他システムとの連携、データ移行、教育、運用支援に分けて考えます。全国統一の公開開発統計がある分野ではないため、以下の導入・開発費は、類似する業務SaaSやグループウェア導入の実績をもとにした企画段階の推定レンジです。特定の会社へ依頼した場合の確定見積ではありません。

既製SaaSのライセンス費は1人あたり月額で比較します

2026年8月時点の公式料金を見ると、Chatworkは旧ビジネスプランに相当する新しいスタンダードが年契約で1ユーザー月700円、旧エンタープライズに相当するプロフェッショナルが同1,200円です。2026年8月4日から名称が変わりましたが、料金・機能・契約条件は変更されていません(出典: Chatwork「料金プランの名称変更に関するお知らせ」)。LINE WORKSは、フリーが30人まで0円、スタンダードが年額契約で1ユーザー月450円、アドバンストが800円です。Microsoft Teams Essentialsは年払いで1ユーザー月599円です(出典: LINE WORKS公式料金ページMicrosoft Teams公式料金比較)。

たとえば100人で利用する場合、基本ライセンスだけなら年間約54万円から144万円程度が比較の出発点になります。LINE WORKSスタンダードなら約54万円、Teams Essentialsなら約71万8,800円、Chatworkのスタンダードなら約84万円、プロフェッショナルなら約144万円という計算です。税、月契約と年契約の差、追加ストレージ、アーカイブ、監査、AI、電話連携、導入支援費は別になるため、料金表の数字だけで予算を確定しないようにします。

導入・移行・連携の初期費用は規模で変わります

目安として、30〜100人で標準設定と基本教育に絞る小規模SaaS導入は、初期30万〜150万円、期間2〜8週間程度が企画段階のレンジです。100〜500人でSSO、部署設計、外部ユーザー制御、ファイル移行、研修、運用ルールまで行う中規模導入は、初期150万〜500万円、期間2〜4か月程度を見込みます。500〜3,000人で複数拠点、既存グループウェア移行、端末・ID・監査連携、段階展開を行う場合は、500万〜2,000万円以上、4〜12か月程度が目安になります。

これらはリサーチノートで整理した、類似する業務SaaSや問い合わせ管理システムの導入実績に基づく推定レンジです。利用者数だけでなく、移行する履歴の量、外部ユーザーの数、認証方式、端末管理、研修対象、既存システムのAPI品質で上下します。見積では、要件定義、設計・設定、開発、移行、テスト、教育、プロジェクト管理を分けて提示してもらいます。

スクラッチ開発は3年TCOで比較します

独自業務を組み込むスクラッチ開発や大規模アドオンは、1,500万〜5,000万円以上、期間6〜18か月程度になる可能性があります。これは社内ポータルや業務ワークフローなどの類似システムから推定した企画用のレンジで、通話、検索、モバイル、監査、可用性を自作する場合はさらに増えることがあります。既製SaaSの月額だけと比較せず、開発費、クラウド費、監視、バックアップ、脆弱性対応、改修、問い合わせ、担当者の人件費を足します。

保守費は、一般的な業務システムでは初期開発費の年10〜20%程度が目安とされますが、SaaSにはそのまま当てはめられません。SaaSは月額ライセンスとオプション、運用支援、将来の価格改定、契約終了時のデータ移行費を含めた3年TCOで比較します。100人・300人・1,000人の利用者数でシナリオを作り、退職・異動によるライセンス変動も加えると、稟議の予算が現実に近づきます。

委託先選定と見積比較で確認すべきポイント

社内チャットツールの委託先と見積を比較する会議

委託先は、製品ベンダー、導入支援会社、システムインテグレーター、受託開発会社に分けて比較します。製品ベンダーは標準機能やサポートに強く、導入支援会社は設計・移行・教育を補い、SIerはID・端末・既存システムを含む全体設計に向いています。会社名や導入社数だけでなく、自社と同じ規模、業界、利用者構成で何を担当したかを確認します。

RFPでは対応方法と対象外を分けて回答してもらいます

RFPの回答欄は、「標準機能」「設定で対応」「API・連携で対応」「追加開発」「運用で補完」「対応不可」に分けます。たとえば、退職者アカウントの即時停止、外部ユーザーの招待承認、メッセージの保持、監査ログの検索、顧客情報のマスキング、既存チャットからの移行を、機能名ではなく運用シナリオで質問します。ベンダーの回答が「可能です」だけの場合は、追加ライセンス、制約、設定作業、納品物まで掘り下げます。

提案時には、導入責任者と実作業者の経験、再委託の有無、問い合わせの受付時間、障害時のエスカレーション、納品ドキュメントのサンプルも確認します。SCSKはMicrosoft Solutionsで、Teamsの導入設計から運用ルールの定着や形骸化防止まで支援すると案内しており、現行調査、計画、導入、展開を必要な範囲で選べる構成です(出典: SCSK Microsoft Solutions公式サービス一覧)。このように、製品の販売だけでなく、どの工程を支援できるかで委託先を見ます。

見積は総額ではなく作業単位で比較します

見積比較では、初期費用の安さだけを見ません。要件定義、プロジェクト管理、テナント・権限設計、SSOやSCIM連携、API開発、データ移行、テスト、操作研修、マニュアル、稼働後の伴走を同じ項目で並べます。作業量の単位が「一式」だけなら、何人日を想定しているか、前提となるデータ量、会議回数、修正回数、対象端末、現地対応の有無を確認します。

安い見積には、発注者側の作業や追加ライセンスが含まれていないことがあります。逆に高い見積でも、運用設計や定着支援、障害対応の訓練まで含むなら、比較対象として妥当な場合があります。価格、納期、品質、移行リスク、運用負荷を評価軸にして、重み付けを決めてから採点すると、担当者の印象だけで選びにくくなります。

委託先の実績と運用責任を面談で確かめます

実績確認では、導入社数よりも、同じ課題をどう解決したかを聞きます。利用者数、拠点数、移行元、認証基盤、外部ユーザーの扱い、パイロットの期間、定着の指標、導入後の改善内容を確認し、可能なら担当者の話を聞ける事例を依頼します。製品ベンダーが公開する事例は参考になりますが、成果を自社へ一般化せず、自社の導入前データと比較します。

最後に、契約終了やベンダー変更まで考えます。全データをどの形式でエクスポートできるか、ファイルとメッセージの関連を保てるか、削除証明を取得できるか、移行支援の料金はいくらかを確認します。導入時の提案が魅力的でも、運用管理者が自社に残らなければ継続できません。発注先には、定着支援の期間と終了条件、自社へ引き継ぐ知識、将来の追加費用を明示してもらいます。

よくある質問(FAQ)

社内チャットツールの発注に関するよくある質問

社内チャットツールの発注では、費用だけでなく、導入期間、既存データ、セキュリティ、運用体制について質問を受けます。ここでは、発注前に特に確認されやすい論点を、判断の基準とともに回答します。

社内チャットツールの導入は何か月かかりますか?

標準設定だけなら2〜8週間程度、中規模でSSO、移行、研修、運用設計まで行うなら2〜4か月程度が企画段階の目安です。複数拠点や既存システムとの連携、段階展開がある場合は4〜12か月程度になることがあります。利用者名簿や既存データの整理を発注者側で早く用意できるほど、導入期間を短くしやすくなります。

社内チャットの開発はSaaSとスクラッチのどちらが安いですか?

一般には、標準機能で業務を運用できるならSaaSの方が初期費用と開始までの期間を抑えやすくなります。独自開発は初期の自由度が高い反面、検索、通知、モバイル、監査、バックアップ、保守まで含めた費用が発生します。自社固有の業務価値が既製品の設定やAPIで実現できないかを先に検証し、ライセンス・導入・運用を含む3年TCOで判断します。

発注先にはセキュリティについて何を聞けばよいですか?

データ所在地、再委託先、AI機能でのデータ利用、SSOとMFA、権限分離、監査ログ、保存期間、削除、バックアップ、インシデント通知、契約終了時のエクスポートを確認します。回答は「対応しています」だけでなく、対象プラン、設定作業、追加費用、責任者、証跡の形式まで求めます。顧客情報や従業員情報を扱う場合は、法務・セキュリティ部門をRFPの段階から参加させます。

無料プランで試してから本契約してもよいですか?

小規模なパイロットとして無料プランやトライアルを使うことは有効です。ただし、本契約の判断前に、メッセージ閲覧期間、組織のユーザー上限、ストレージ、外部ユーザー、管理者機能、ログ、データ移行、終了時のエクスポートを確認します。無料環境で作ったチャンネルやファイルを本番へ移せない場合もあるため、検証用テナントと本番テナントの切り替え方法をベンダーへ聞いておきます。

まとめ

社内チャットツールの発注計画をまとめる担当者

社内チャットツールの発注・外注では、最初に目的、対象業務、利用者、残す情報、管理ルールを整理します。そのうえで、標準SaaS、既存グループウェアへの統合、独自開発を比較し、必要な導入支援だけをRFPへ落とし込みます。

費用はライセンスだけでなく、要件定義、認証連携、移行、テスト、教育、運用支援、3年TCOで確認します。見積は一式の総額ではなく作業単位で比較し、契約では成果物、検収、変更、データ所在地、再委託、事故通知、終了時の返却・削除まで責任分界を明確にします。

導入後に使われるかどうかは、機能数よりも業務ルールと定着支援で決まります。まず小さく試し、利用率や検索時間、引き継ぎ漏れなどの指標を測り、現場の声を反映してから全社展開することが、社内チャットツールを業務基盤として定着させる方法です。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。