社内チャットツール開発の完全ガイド

社内チャットツールの成否は、機能の多さではなく、連絡の使い分け、権限管理、現場への定着、3年分の総保有コストを設計できるかで決まります。

社内チャットは、電話や口頭の連絡を残しつつ、緊急度と情報の性質に応じて連絡手段を組み合わせる基盤として考えると、導入の目的がぶれにくくなります。

▼関連記事一覧
・社内チャットツール開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・社内チャットツール開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・社内チャットツール開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・社内チャットツール開発の発注/外注/依頼/委託方法について

社内チャットツールの全体像

社内チャットツールとは、社内の連絡をリアルタイムに共有し、後から検索・参照できるようにする業務システムです。メールの受信箱や個人のメモに情報を閉じ込めず、案件や部署単位で会話を整理できる点に大きな特徴があります。電話や口頭連絡との役割分担は、導入前に決めておく事項です。

社内チャットは、電話や口頭連絡をすべて置き換えるものではありません。緊急度と情報の性質に応じて連絡手段を組み合わせる基盤と考えると、導入の目的がぶれにくくなります。

業務履歴を残せる仕組み

社内チャットの価値は、連絡の速さだけにはありません。誰が、どの案件について、いつ、何を決めたのかを、参加者や後任者が確認できる状態にしておくことが大切です。

顧客からの問い合わせでは、担当者が確認した内容、上長が承認した回答、次の対応期限を同じスレッドに残すと、担当者が不在でも引き継ぎやすくなります。

社内チャットは、開発部門では仕様変更の理由、営業部門では提案内容の確認、管理部門では申請の進捗など、部門ごとの業務記録にも応用できます。

基本機能と管理機能の分け方

社内チャットでは、利用者向けの機能と企業向けの管理機能を分けて確認します。利用者向けには、次のような機能があります。

  • 会話:1対1・グループチャット、チャンネル、スレッド、メンション、リアクション
  • 情報共有:ファイル共有、全文検索、ブックマーク、音声・ビデオ通話
  • 業務拡張:タスク、アンケート、掲示板、カレンダーなどの業務機能です。ワークフロー、ボット、外部連携も含みます。

企業利用では、組織・部署管理、ゲスト制御、SSO、多要素認証の有無を確かめます。さらに、IP制限、操作・監査ログ、保存期間、退職者アカウントの停止も対象になります。

機能がそろっても、重要情報を安全に扱えるとは限りません。そのため、機密ファイルのダウンロード権限、退職日の自動停止、保存期間後の削除、管理者によるログ確認を、業務要件に沿って見ておく必要があります。

社内チャットツールの種類と選び方

社内チャットツールの4種類をカードで並べた図解。
運用を任せる範囲やデータ管理の条件が、選択肢ごとに異なります。

社内チャットツールの選択肢は、クラウドSaaS、既存のグループウェアに含まれるチャット、オンプレミス・ハイブリッド、独自開発の大きく4種類です。

選ぶときは、独自開発を前提とせず、求める業務成果、既存の契約、データ管理の制約、運用できる人員を照らし合わせます。

選定では、チャット部分だけでなく、認証、ファイル、会議、業務システムとの連携まで含めて全体で考える必要があります。

クラウドSaaSの特徴と向いている企業

クラウドSaaSは、サーバーの調達やアプリケーションの大規模開発をせず、アカウント作成と設定から始められる選択肢です。

アップデートやバックアップをサービス側に任せやすく、30〜100人程度の部署で試験導入しやすい点がメリットです。ただし、画面や権限の仕様を自社の慣習に合わせて自由に変えられるとは限りません。

導入では、標準機能に業務を寄せる覚悟と、契約終了時のデータ取り出し方法の確認が欠かせません。

既存グループウェアとの統合による二重管理の削減

メール・予定表・ファイル共有・会議を使う場合、既存環境のチャットは認証とアカウント管理を一本化しやすくなります。一方で、複数サービスを併用すると最新情報の所在が曖昧になり、検索漏れや通知過多を招きます。

監査・保持・DLP・高度な管理には追加契約が必要な場合もあるため、利用人数、保存容量、外部招待、監査ログを契約単位で比べます。

オンプレミスとハイブリッドの管理責任

データ保存場所やネットワークを細かく管理したい場合に候補になります。閉域網や独自認証にも適しますが、サーバー、冗長化、パッチ、バックアップは自社か委託先が担います。

さらに、モバイル接続や災害対策も必要です。導入費に加え、障害対応や更新を含む運用体制を準備できるかで判断します。

独自業務が中心の場合のスクラッチ開発

独自開発は、独自の承認、エスカレーション、監査、業界規制、基幹連携が業務の中心にある場合に適します。

実装には配信、検索、通知、権限が必要です。加えて、監査、バックアップ、スマートフォン対応、障害復旧も含まれます。特に、既製APIや拡張機能で解決できる要件まで作ると、費用と将来の保守負担が急増します。

ポイント

独自開発は、独自の承認や基幹連携が業務の中心にあるかで判断します。それ以外は、標準機能に業務を合わせるほうが早く始められます。

社内チャットツール開発・導入の進め方(6段階)

社内チャットツールは、契約や開発を急いだからといって成功するものではありません。まず業務上の目的を絞り、そのうえで現場の使い方、情報の分類、認証と権限を決めます。移行、教育、運用責任も、この順に決めていきます。

全社一斉展開に進む前に、1部署・1用途のパイロットで通知量や検索性を確かめることが、手戻りを抑える近道です。

▶ 詳細はこちら:社内チャットツール開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

1. 目的と対象業務の絞り込み

「コミュニケーションを活性化する」といった表現のままでは、導入効果を測れません。

導入の目的は、「拠点間の確認を当日中に終える」「問い合わせの一次回答を担当者の不在時でも追える」「決定事項を検索できるようにする」など、観測できる業務成果に置き換えて定めます。

導入前には、メール件数、電話の取り次ぎ回数、問い合わせ対応時間、情報を探す時間、会議時間を1〜2週間だけ計測します。これにより、導入後との比較がしやすくなります。

2. 現場・管理者・セキュリティ担当からの要件の収集

ヒアリングには、利用者に加えて、情報システム、法務・個人情報担当、現場管理者、経営層も参加します。次の要件を確かめます。

  • 運用権限:誰がチャンネルを作るか
  • 利用範囲:外部ユーザーを招待できるか、顧客情報を投稿できるか
  • 保存と停止:添付ファイルの保存年数、退職者の停止時刻
  • 障害対応:障害時に使う代替手段

紙、Excel、個人メモ、口頭連絡も洗い出します。業務を整理しないままチャットやAIを加えると、二重管理や誤通知が早く広がってしまうためです。

3. 小規模なパイロットによる利用ルールと設定の確認

パイロットは、協力的な部署だけでなく、デスクワーク中心の人、現場スタッフ、管理者など利用環境の異なる参加者を含めます。

2〜4週間程度、実際の案件連絡、ファイル共有、検索、メンションを使ってみます。そのうえで、会議後の決定事項が記録されるか、通知が多すぎないか、必要な情報を見つけられるかを確認します。

また、チャンネル名、投稿の件名、返信の使い方、緊急連絡のルールをこの段階で修正します。試験の終了条件は、「参加者が使った」ではなく「定めた業務がチャット上で完了した」と定めると、評価の基準がはっきりします。

4. 移行範囲とアカウント連携の設計

既存のメールや別ツールの全履歴を移行すればよいとは限りません。そのため、移行対象を、現在進行中の案件、参照頻度の高い資料、法令・契約上保存が必要な記録、移行しない過去ログに分けます。

事前に、移行できるデータ形式、添付ファイルの紐付け、作成者や日時の保持、検索対象になるか、移行後のアクセス権を確かめます。

なお、入社・異動・退職を人事情報と連動させるSCIM、ログインを一つにまとめるSAMLまたはOIDC、端末認証なども、利用を始めた後ではなく設計時に決めておくと安全です。

5. 段階リリースと教育による定着

全社展開では、部署ごとの管理者や相談役を置き、使い方と情報管理を案内します。

  • 利用案内:短い操作説明、投稿例、禁止事項、問い合わせ先の用意
  • 情報の線引き:「機密情報」だけで済ませず、顧客の氏名、連絡先、契約、認証、健康情報を具体例で示す
  • 現場端末:通知を切る時間帯、紛失時の連絡、覗き見対策の説明
  • 段階導入:連絡、検索、ファイル共有を定着させてから、機能を増やす

機能を一度に増やすと現場が迷いやすく、利用率も上がりにくくなります。

6. KPIによる運用の見直し

定着度は登録者数だけでなく、利用と業務の変化を示すKPIで確認します。

  • 利用状況:週次アクティブ率、目的のチャンネルで投稿した人数
  • 検索・重複:検索で回答に届いた割合、同じ質問の重複数
  • 連絡・資料:チャットへ移った件数、最新版を探す時間

通知の多いチャンネルを整理し、未使用分をアーカイブして、機密情報の削除・移動手順も決めます。そのうえで、月次または四半期の確認とルール改訂の責任者を明確にし、運用が形だけのものになるのを防ぎます。

ポイント

目的の絞り込みから運用改善まで順番に進め、全社展開の前に1部署・1用途で通知量や検索性を確かめます。そうすると、手戻りを抑えられます。

社内チャットツールの費用相場と内訳

ライセンスから教育・運用支援まで、社内チャットツールの費用項目を4層に分けた図解。
月額の契約費に加えて、導入時と利用開始後の費用も積み上がります。

社内チャットツールの費用は、ライセンス、初期設定、認証・外部システム連携、データ移行に分けて考えます。さらに、教育、運用支援、追加ストレージや監査機能も、費用の内訳に含めます。

月額料金だけで比べると、導入後に移行費や管理費が膨らみます。

ここに示す金額は、2026年8月時点で公開されている公式料金と、類似する業務SaaS導入・業務システム開発の一般的な見積もりレンジをもとにした企画段階の目安です。個別案件の確定見積もりではありません。

▶ 詳細はこちら:社内チャットツール開発の見積相場や費用/コスト/値段について

既製サービスの基本料金(1ユーザー月数百円から)

2026年8月に主要な国内向けサービスの公式料金ページを確認したところ、次のような例がありました(出典: 各サービス公式料金ページ、2026年8月確認)。

  • 無料プラン:30人まで利用できるサービス
  • 年契約:1ユーザー月450円・800円、年払い月599円の例
  • 100人の試算:基本料金は年間約54万円、約71万8,800円、約96万円
  • 別サービス:月700円・1,200円の年契約は、100人で年間84万〜144万円です。

無料枠は人数、保存容量、通話時間、管理機能、検索範囲に制限がある場合が多いため、長期利用では有料プランの条件を確かめます。

監査ログ、長期保存、追加容量、ワークフロー、問い合わせ管理、AI要約などは、有料オプションになる場合もあります。

見積もりでは、ライセンス費と追加オプション費を分けて見ます。月契約と年契約、最低利用人数、途中解約、価格改定を同じ表で並べると、比較しやすくなります。

導入・連携・移行の初期費用(30万円から数百万円)

利用人数や導入範囲によって、初期費用と期間の目安が異なります。

  • 30〜100人:標準設定・登録・基本説明で30万〜150万円、2〜8週間。
  • 100〜500人:SSO、部署設計、外部制御、保存・ログ、移行、研修を含め150万〜500万円、2〜4か月。
  • 500〜3,000人:500万〜2,000万円以上、4〜12か月となる場合があります。
  • 大規模導入の条件:複数拠点、既存連携、段階展開、端末管理、監査設計を含む場合の目安です。

独自の承認・エスカレーション・監査を組む開発は、1,500万〜5,000万円以上、6〜18か月が目安です。

この金額は、類似する社内ポータルや業務ワークフローからの推定で、社内チャット専用の公的統計ではありません。通話、検索、モバイル、監査、可用性を自作するほど工数は増えるため、既製サービスと比べて予算を立てます。

100人・300人の3年TCO比較

3年TCOは、基本ライセンスに加え、導入・移行・運用の費用も積み上げて比べます。

  • 100人:月599円の年契約は年71万8,800円、3年で215万6,400円です。
  • 300人:同条件では年215万6,400円、3年で646万9,200円です。
  • 加算費用:初期設定、移行、教育、追加容量、監査機能、運用支援に加え、既存契約との重複期間と解約費用
  • 人数による差:窓口、部署管理、研修回数、移行データ量も変わります。

稼働後の保守は、初期開発費の年10〜20%と見る考え方があります(出典: NotebookLM参照の業務システム費用・保守整理、2026年確認)。

SaaS費用は、月額ライセンス、管理、オプション、価格改定、保存・出力費で積み上げます。そのうえで、3年の支出とメール・電話・ファイル共有の削減額を比べると、経営層に説明する材料になります。

ポイント

費用は月額料金だけでなく、導入・移行・運用まで含めた3年の総額で比べます。ライセンス費と追加オプション費を分けると、見積もりの差がどこから生じるかも分かります。

社内チャットツールの開発会社・ベンダーの選び方

社内チャットツールの選定では、製品を提供するベンダーと、要件定義・設定・移行・連携・教育を支援する開発会社やSIerを分けて考えます。

サービスの機能が自社に合っていても、導入側の設計や運用が弱ければ、通知過多、権限ミス、使われないチャンネル、移行漏れが起こります。

RFPでは、製品の機能だけでなく、導入後に誰が何を担当するかまで同じ条件で比べます。

要件定義と現場テストの品質確認

提案書に機能一覧だけが並んでいる場合は、要件定義の進め方を質問します。

現場ヒアリングの回数、対象部署、利用シナリオを確かめます。加えて、パイロットの評価方法、権限表やチャンネル設計書の納品有無、移行リハーサルの回数も聞いておきます。

可能であれば、実際の問い合わせ、ファイル共有、退職者の停止、検索、外部招待を使ったデモを依頼します。完成した画面の印象だけでなく、導入前後の業務がどう変わるかを説明できる相手が望ましいです。

セキュリティ回答と責任分界の文書での受け取り

「安全です」「認証取得済み」といった説明だけで判断せず、回答は書面で受け取ります。そのうえで、保存地域、再委託先、暗号化、脆弱性対応、事故通知期限、ログ保存期間を確かめます。

バックアップ、削除証跡、停止時のデータ出力、窓口を確かめ、障害時にどこまでを誰が受け持つかも見ておきます。海外事業者や基盤が個人データを扱う場合は、移転先の国、保護制度、委託先措置も確認します。

移転先の実施状況を継続して確認する考え方も求められます(出典: 個人情報保護委員会「外国にある第三者への提供編」ガイドライン、令和7年12月一部改正)。

移行・教育・運用支援の範囲の比較

見積もりを比べるときは、要件定義、初期設定、認証連携、データ移行を工程ごとに分けて見ます。さらに、テスト、操作説明、マニュアル作成、問い合わせ対応、定着支援も並べて確かめます。

安い見積もりに移行や教育が含まれていないと、社内担当者の工数が後から発生します。反対に、使わないカスタマイズが含まれると、費用だけでなく、将来のアップデートや乗り換えも難しくなります。

納品物、会議体、修正回数、追加費用の条件を事前に確かめておくと、発注後の認識違いを減らせます。

提案比較の質問項目

提案を比べるには、候補先すべてに同じ項目を同じ条件で尋ねます。質問の観点は次の5つです。

  • 導入条件:同規模・同業務の実績、標準機能と追加開発の境界、利用開始までの期間
  • データと認証:移行形式、SSO・SCIM、外部ユーザー管理
  • 管理・AI:監査・保持・削除、AI機能でのデータ利用
  • 障害・契約:障害連絡と復旧目標、終了時のエクスポート、月額以外の費用
  • 定着支援:教育と利用定着を支える支援の範囲

回答があいまいな項目は、契約書、仕様書、サービスレベル合意書のどこに書かれるかまで確かめます。

候補数より、比較軸をそろえることが大切です。要件定義の質、現場テスト、移行支援、セキュリティ回答を評価します。さらに、受け持つ範囲、納品資料、API・データ持ち出し、定着支援も比べ、価格だけで決めないようにします。

▶ 詳細はこちら:社内チャットツール開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:社内チャットツール開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

開発会社は、要件定義、現場テスト、移行、セキュリティ回答、導入後の受け持つ範囲を同じ条件で比べて選びます。価格だけで決めると、導入後の設計や運用の弱さが後から表れます。

導入後の運用ルールとセキュリティ対策

情報の扱いを中心に、多要素認証、人事異動との連動、アクセス制御を配置した図解。
日々の権限管理を人事の変化に結び付けると、運用の抜けを抑えられます。

社内チャットは、導入時の設定よりも、日々の投稿と権限変更を管理する運用が重要です。便利さを優先して外部共有やAI機能を無制限にすると、誤送信、情報の過剰公開、根拠のない要約が起きる可能性があります。

利用者の行動を縛りすぎると、個人チャットや非公式なファイル共有へ戻ってしまいます。そのため、守るべきルールと、現場が続けられる手順をセットで設計します。

チャットに書く情報と書かない情報の線引き

通常の進捗、確認事項、決定事項、社内の手順はチャットに向いています。一方で、パスワード、秘密鍵、クレジットカード情報、必要以上の顧客個人情報、健康情報、評価に関わる情報は、投稿しないルールにします。

顧客情報を扱う部署では、氏名や受付番号をマスキングし、必要な場合だけ権限のあるシステムへのリンクにとどめる運用が安全です。

緊急障害や人命・安全に関わる連絡は、通知を見落とす可能性があるため、チャットだけに頼らず、電話や別の緊急連絡網も併用します。

認証・権限・ログの人事異動との連動

認証やアクセス管理は、人事異動と連動させて次のように設定します。

  • 認証:全社員への多要素認証の適用、必要な人数に限った管理者
  • 人事連携:部署・役割によるグループ化、異動・休職・退職時の連携または停止手順
  • 個人の特定:共有アカウントを避け、投稿者を追える個人アカウント
  • アクセス制御:IP・端末制御、外部招待の承認、DL制限、業務に応じたログ確認頻度

公的ガイドラインでも、多要素認証やアクセス管理を基本対策に挙げています(出典: 独立行政法人情報処理推進機構「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版」、2026年公開)。

AI要約・検索における人の確認と権限

AIによる要約、回答候補、過去ログ検索は、長い会話を整理する助けになります。ただし、AIが参照できる範囲と利用者が本来見られる範囲が一致しない設定では、権限を越えた情報が表示される危険があります。

確かめる項目は、AIへの入力が学習に使われるか、保存されるか、国外の処理基盤へ送られるか、管理者が利用状況を監査できるかです。

顧客対応や社内規程の回答に使う場合は、出典や元の投稿を確認する担当者を置き、AIの出力をそのまま最終回答にしない運用にします。

ポイント

運用では、投稿してよい情報、権限の付与と停止、AI機能の利用範囲を先に決めておきます。ルールは、現場が続けられる手順と組み合わせると、個人チャットへの逆戻りを防げます。

社内チャットツールに関するよくある質問

社内チャットツールを選ぶときは、料金や機能だけでなく、自社の人数、既存システム、扱う情報、管理できる体制を確認します。導入前に特に相談されやすい質問を、判断の基準とともに取り上げます。

社内チャットツールは無料で使えますか?

無料プランは人数、容量、管理機能、検索、通話に制限がある場合があります。30人まで無料のサービスや、年契約で1ユーザー月450円〜800円、599円のプランもあります。

そのため、必要な管理機能を含む年間費用で比べ、小規模な試験は無料枠で行います。全社展開では、有料プランの条件で試算する方法が現実的です。

メールや電話を完全に社内チャットへ置き換えるべきですか?

全面的に置き換える必要はありません。チャットに寄せるのは、日常の確認、進捗共有、ファイル受け渡し、意思決定の記録です。一方で、緊急連絡、正式な対外通知、長期保存文書、本人確認は、電話・メール・専用システムを使います。

導入前に、チャットへ書く情報と別に残す情報を決め、同じ内容の二重投稿を避けることが定着のポイントです。

社内チャットツールは自社開発と既製サービスのどちらがよいですか?

独自の承認、エスカレーション、監査、基幹システム連携がチャットの中心にあり、既製サービスの設定やAPI連携で解決できない場合は、自社開発が候補になります。

それ以外の場合は、クラウドSaaSや既存グループウェアを導入し、標準機能に業務を合わせるほうが適しています。早く始められ、アップデートや障害対応の負担も抑えやすいためです。

独自開発を検討する場合も、非機能要件まで見積もって比べます。対象は、メッセージ配信、全文検索、通知、権限です。さらに、監査、バックアップ、モバイル対応も含めます。

過去のメールやチャット履歴は移行できますか?

移行できる範囲は、旧ツールのエクスポート形式、契約プラン、API、添付ファイルの構造、移行先の仕様によって異なります。

全履歴を無理に移す代わりに、進行中の案件、参照頻度の高い記録、保存義務のあるデータを優先する方法があります。移行しない履歴は、読み取り専用の保管場所に残せます。

作成者、日時、参加者、添付ファイル、アクセス権、検索可否が移行後も保たれるか、事前にサンプルデータで検証します。

社内チャットで顧客情報を扱っても安全ですか?

安全性は、ツール名よりも、データの種類、権限、保存場所、運用ルール、契約条件の組み合わせで決まります。

顧客情報を扱う場合は、まず投稿範囲を最小限にします。そのうえで、マスキング、アクセス制御、多要素認証、監査ログを確かめ、さらに保存期間、削除手順、インシデント通知も確認します。

海外の委託先や再委託先が関わる場合は、移転先の国や保護措置を確認し、契約と定期的な確認の仕組みを整えます。

まとめ:業務・費用・管理を一体で見る社内チャットツールの選び方

社内チャットツールは、短文を送るためのアプリにとどまらず、意思決定、ファイル、タスク、問い合わせ履歴を検索できるようにする業務基盤です。

導入前に目的を1〜3個に絞り、利用ルール、権限、保存期間、退職者対応、障害時の代替手段を決めます。

クラウドSaaS、既存グループウェア、オンプレミス・ハイブリッド、スクラッチ開発の候補は、機能だけでなく運用体制と3年TCOで比較します。

最初に決める利用目的と情報の境界

何を速くし、何を検索可能にするのかを決めたうえで、チャットに書く情報と書かない情報を具体化します。目的、権限、保存、退職者対応を先に定めておくと、サービス選定や開発範囲の過不足を見極めるのに役立ちます。

小規模な検証による効果の確認

費用や導入効果を確かめるときは、次の要素を分けて把握します。

  • 費用内訳:基本ライセンス、追加機能、導入・移行・教育、運用支援
  • 選定条件:要件定義、現場テスト、セキュリティ、移行支援
  • 検証指標:検索時間、問い合わせ対応時間、アクティブ率、重複連絡

2026年時点では、無料枠や1ユーザー月数百円のプランがある一方で、監査、長期保存、容量、AI、連携が別料金の場合があります。

個社名やランキングだけで選ばず、要件定義、現場テスト、セキュリティ、移行、契約終了時のデータ持ち出しを共通の質問票で比べます。導入後の定着支援も確認し、自社に合う選択肢を絞ります。

1部署・1用途のパイロットで、上記指標の変化を測ります。効果と課題を確認してから段階的に広げると、便利さと安全性を両立しやすくなります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。