Java EEのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

Java EEのシステム開発は、現行資産と業務要件を棚卸しし、要件整理から定着化までを6フェーズで管理すると、移行リスクと将来の保守費用を抑えながら進められます。

「Java EEのシステムをどの順番で作るのか」「Java EEとJakarta EEは何が違うのか」「費用や見積もりの妥当性をどう判断するのか」と悩んでいる方に向けて、実務で使える進め方を解説します。既存のWebLogic、WebSphere、JBoss EAP、Cosminexusなどを刷新する場合にも使えるよう、技術選定だけでなく、データ移行、性能試験、教育、運用まで含めて整理します。

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Java EEのシステムの全体像

Java EEのシステム全体像を確認する担当者

Java EEは、企業向けのWebアプリケーションや業務システムを構築するための標準仕様群です。画面だけを作る技術ではなく、認証、トランザクション、データベース接続、非同期処理、REST API、入力検証、監視などをアプリケーションサーバーと組み合わせて利用します。したがって、開発の成否はJavaの知識だけでなく、業務・インフラ・運用を一つの計画にまとめられるかで決まります。

Java EEとJakarta EEの違いを最初に確認します

現在「Java EEのシステム」と呼ばれる対象には、旧Java EE 6〜8で構築された既存システムと、Eclipse Foundationのもとで発展するJakarta EEを使った新規開発・刷新の両方が含まれます。特に重要なのは、Jakarta EE 9以降でAPIのパッケージ名がjavax.*からjakarta.*に変更された点です。単にJDKやサーバーを更新するだけでは動かず、ソースコード、設定ファイル、ライブラリ、テストコード、外部連携の互換性を確認する必要があります。

2025年6月に正式リリースされたJakarta EE 11は、Java 17以上をサポートし、Java 21の仮想スレッド、Jakarta Data、TCKの近代化などを含みます(出典: Eclipse Foundation「Jakarta EE 11 Release」、2025年)。一方で、既存アプリをすぐに最新版へ変換することが正解とは限りません。まず現行の仕様とサーバーを調査し、Java EE 8のまま延命する案、Jakarta EE 8へ移す案、Jakarta EE 10・11へ段階的に移す案を、業務停止リスクと保守期限で比較します。

システム構成と棚卸し対象を把握します

典型的な構成は、利用者のブラウザや外部システム、ロードバランサーまたはAPIゲートウェイ、Java EEアプリケーションサーバー、RDB、メッセージング基盤、認証基盤、ログ・監視基盤です。ServletやJSPが画面を担当し、CDIやEJBが業務ロジックとトランザクションを扱い、JPAがデータアクセス、JAX-RSがREST API、JMSが非同期連携を担当します。どの機能がどの層に存在するかを把握できると、開発範囲とテスト範囲を見誤りにくくなります。

棚卸しでは、(1)JDKのバージョンと起動オプション、(2)javax.*jakarta.*の利用状況、(3)Servlet、JPA、EJB、JAX-RS、JMSなどの仕様、(4)アプリケーションサーバーとその拡張API、(5)DB・帳票・バッチ・ファイル連携、(6)認証・権限・監査ログ、(7)脆弱性のある依存ライブラリ、(8)運用手順と障害時の切り戻しを一覧にします。画面一覧だけで判断せず、夜間バッチや例外処理、月末締め、他システムとの再送処理まで対象にすることが重要です。

Java EEのシステムの進め方

Java EEシステム開発の進め方を計画するチーム

Java EEのシステム開発は、要件整理、技術・製品の選定、設計開発、テスト、稼働、定着の6フェーズに分けると管理しやすくなります。各フェーズで成果物と判断基準を置き、次へ進む条件を合意しておくことがポイントです。特に既存システムの移行では、開発開始を急ぐよりも、最初の調査で不確実な部分を減らす方が、後工程の追加費用を抑えやすくなります。

フェーズ1:要件整理で目的と現状をそろえます

最初に決めるのは「何をJava EEで作るか」ではなく、「どの業務成果を、誰が、どの条件で実現するか」です。現場担当者、情報システム部門、セキュリティ担当、運用担当、経営側から、現行業務の流れと不満、守るべきルールを聞き取ります。申請から承認、登録から請求、受注から出荷のように業務単位で整理し、画面の数だけでなく、帳票、バッチ、データ連携、権限、例外処理を要件に含めます。

成果物は、業務フロー、機能一覧、データ項目一覧、外部連携一覧、非機能要件、移行方針、優先順位、前提条件、課題・リスク台帳です。非機能要件には、同時利用者数、ピーク時の処理件数、画面レスポンスタイム、バッチ完了時刻、可用性、RTO・RPO、バックアップ保持期間、監査ログ、個人情報の保管場所を数値で記載します。「高速」「安全」「止まらない」といった形容詞だけでは、見積もりも受入判定もできないためです。

要件整理の完了条件は、利用部門が優先順位を承認し、開発会社が対象外の範囲を説明できることです。既存資産なら、ソースコード、設定、DB定義、ジョブ、連携仕様、運用記録のうち、確認できていないものを明示します。ブラックボックスを「問題なし」と扱わず、調査用のPoCや追加分析として見積もりに分けることが、後からの大幅な増額を防ぎます。

フェーズ2:技術・製品を比較し、移行方式を選びます

選定では、Java EEという名称だけで発注先やサーバーを決めないことが大切です。新規開発ならJakarta EE、既存のSpring資産を活かすならSpring Boot、軽量なサービスやコンテナ運用を重視するならQuarkusなども候補になります。ただし、フレームワークの人気より、業務要件、担当者の経験、利用する仕様、保守期間、障害対応体制を優先します。標準APIと長期運用を重視する大規模基幹系ではJakarta EEが適しやすく、短期間で小さなサービスを分割する場合は別の選択肢が有効になることがあります。

既存資産では、(1)現行サーバーを保守しながら延命する、(2)同じJava EE系仕様の別サーバーへ移す、(3)javax.*からjakarta.*へ変換する、(4)Spring BootやQuarkusなどへ段階的にリファクタリングする、という4案を比較します。比較軸は、修正箇所、回帰テスト量、停止時間、ライセンス、運用スキル、将来の人材確保、障害時の切り戻しです。全体を一度にマイクロサービス化せず、まずモジュラーモノリスとAPI分離から始める方が、業務影響を抑えやすい場合があります。

サーバーの対応仕様は、製品名ではなくバージョンとプロファイルで確認します。IBMの公開資料では、WebSphere Application Server LibertyがJava EE 8、Jakarta EE 8、9.1、10、11をサポートし、26.0.0.5以降でJakarta EE 11に対応すると説明されています(出典: IBM「LibertyにおけるJakarta EEおよびJava EE 8」、2026年確認)。Red Hatの対応表では、JBoss EAP 8.1はJakarta EE 10に対応します(出典: Red Hat「JBoss Enterprise Application Platformでサポートされる標準」、2026年更新)。候補製品の認定状況と、アプリが実際に使う仕様の対応状況を別々に確認します。

移行の実例として、Azul PayaraはBMW Groupがミッションクリティカルな環境をGlassFishからPayara Serverへ移行した事例を公開しています(出典: Azul Payara「Payara Server」公開事例)。このような事例から学ぶべき点は、製品を置き換えれば終わりということではなく、現行アプリの互換性、性能、運用手順、サポート体制を移行計画に含めていることです。自社でも、候補サーバーで代表機能を動かし、移行前後の差分を測定してから本番方式を決めます。

フェーズ3:設計・開発で標準化と運用性を組み込みます

設計では、業務機能だけでなく、運用・セキュリティ・障害対応を先に設計します。画面、API、バッチ、帳票の仕様をデータモデルと結びつけ、トランザクション境界、排他制御、再送方法、タイムアウト、エラーコード、ログ項目を決めます。Java EEの標準APIで実現する部分と、アプリケーションサーバー固有の機能に依存する部分を設計書で分けておくと、将来のサーバー変更で影響を把握しやすくなります。

開発ルールでは、JDKとビルドツールのバージョン、依存ライブラリの管理方法、ブランチ運用、コードレビュー、静的解析、テスト自動化、設定の暗号化、秘密情報の保管場所を定めます。既存移行の場合は、機械的なjavaxからjakartaへの置換だけで終えず、非標準API、XML設定、認証方式、クラスローダー、JPAの方言、文字コード、日時処理を確認します。変換前後で同じ結果が出る業務シナリオを、実データに近いテストデータで再現します。

この段階のチェック項目は、ソースコードと設定がリポジトリで管理されているか、IaCやデプロイ手順を第三者が再現できるか、監視項目とアラートの担当者が決まっているか、復旧手順を実際に試せるかです。納品物としてソースコードだけを受け取っても、ビルド環境、DB定義、証明書更新、ジョブ定義、運用Runbookがなければ、稼働後に自社で保守できません。

フェーズ4:テストで業務結果と非機能要件を検証します

テストは、単体、結合、システム、受入の順に実施しますが、種類を消化することが目的ではありません。要件整理で決めた業務シナリオをテストケースに変換し、正常系、権限不足、二重送信、通信断、DB障害、連携先の遅延、バッチ再実行、月末・年度末の境界値まで確認します。既存移行では、現行と新システムの処理結果を比較する回帰テストを、重要な業務から優先的に設計します。

性能テストでは、平均値だけで判断せず、ピーク時の同時接続数、1分あたりのトランザクション数、95パーセンタイルの応答時間、バッチ処理時間、CPU・メモリ・DB接続プールの使用率を測定します。実際の本番規模に近いデータ量で、キャッシュの有無、ログ出力、外部連携の遅延も含めて試験します。RTO・RPOを掲げるなら、バックアップからの復旧と切り戻しを実測し、手順の所要時間を記録します。

セキュリティテストでは、認証・認可、最小権限、セッション、入力検証、SQLインジェクション、XSS、CSRF、暗号化、監査ログ、依存ライブラリの脆弱性を確認します。OWASP Top 10の2025年版には、アクセス制御の不備、セキュリティ設定不備、ソフトウェアサプライチェーンの失敗、暗号化の失敗、インジェクションなどが含まれます(出典: OWASP Developer Guide「OWASP Top 10」、2025年版)。個人情報を扱う場合は、個人情報保護委員会のガイドラインに沿って、アクセス記録、委託先管理、漏えい時の連絡・復旧手順も受入条件にします。

フェーズ5:稼働で切り替えと切り戻しを管理します

稼働前には、移行対象データ、移行時間、停止可能時間、凍結する業務、連携先への通知、利用者への案内、問い合わせ窓口を決めます。移行リハーサルを少なくとも一度は実施し、件数、欠損、重複、文字化け、採番、権限、残高や在庫などの業務整合性を確認します。本番切り替えの判定者を決め、誰の判断で進めるかを曖昧にしないことが重要です。

切り替え方式は、一括移行、段階移行、並行稼働から選びます。一括移行は短期間で切り替えられますが、問題発生時の影響が大きくなります。段階移行は部門や業務を分けてリスクを下げられますが、旧新システム間の連携が増えます。並行稼働は比較検証に有効ですが、二重入力や照合作業の負担が発生します。方式の違いを費用だけでなく、業務停止の許容度と切り戻し時間で評価します。

稼働当日は、監視ダッシュボード、ログ検索、バックアップ、ジョブ、証明書、外部連携、権限付与を順番に確認します。重大障害の判定基準、一次切り分け、エスカレーション、復旧目標、経営報告のテンプレートを用意します。稼働後30日程度は、開発会社と利用部門が日次または週次で課題を確認し、障害だけでなく、処理時間、問い合わせ数、利用率も観測します。

フェーズ6:定着化で運用と改善を仕組みにします

システムは稼働しただけでは定着しません。利用者向けに、業務がどう変わったか、どの操作をいつ行うか、エラーが出たときにどこへ連絡するかを、役割別の手順書と研修で伝えます。管理者には、ユーザー登録、権限変更、ログ確認、バックアップ確認、障害連絡、月次の棚卸しを実演してもらいます。操作マニュアルを配るだけでなく、実際の業務データに近い環境で練習できる場を用意します。

運用設計では、Java、アプリケーションサーバー、DB、OS、コンテナ、依存ライブラリのサポート期限と更新責任を台帳化します。パッチ適用のSLA、脆弱性発見時の優先度、定期バックアップ、復旧訓練、証明書更新、容量監視、ログ保持、再委託先の連絡網を契約と運用手順に落とします。初期開発の納品範囲に含まれない場合でも、保守契約や社内運用費として別途予算化します。

定着の指標には、利用率、入力漏れ、問い合わせ件数、処理時間、手作業の削減時間、障害復旧時間、パッチ適用までの日数を使います。稼働後90日で一度効果を評価し、不要な機能を減らす、権限を見直す、帳票を改善する、連携を自動化するなど、次の改善テーマを決めます。Java EEの標準仕様を採用するメリットを長く活かすには、作って終わりではなく、更新できる運用体制を残すことが必要です。

Java EEのシステム開発にかかる費用相場

Java EEのシステム開発費用を検討する担当者

2026年時点でも、Java EE固有の全国統計やアプリケーションサーバーの一律価格表は少ないため、費用は業務システムとJava開発の公開相場を組み合わせて考えます。以下の金額は、リサーチノートと2025年公開のJava開発相場をもとにした目安であり、製品ライセンス、クラウド、データ移行、性能試験、セキュリティ診断を含むかで大きく変わります。発注前には、同じ前提条件で複数社から見積もりを取得してください。

規模別の初期開発費と期間の目安

小規模な社内申請、顧客管理、単一業務のWeb化なら、初期開発費は300万〜800万円、期間は2〜6か月が一つの目安です。画面、API、RDBを中心とし、外部連携や複雑な権限が少ない場合を想定します。中規模の受発注・販売管理で複数部門、外部API、バッチ、帳票、データ移行を含む場合は、800万〜5,000万円、6〜12か月程度が目安になります。

複数拠点、大量トランザクション、複雑な連携、冗長化、24時間運用を含む大規模・基幹システムでは、5,000万円〜3億円超、12か月〜2年以上を見込むケースがあります。既存Java EEの移行では、コード調査、javaxjakarta変換、サーバー更新、回帰試験、クラウド化、データ移行が加わるため、1,000万〜1億円超、6〜24か月程度のレンジで検討します。これは公開相場から推定した幅であり、画面数だけで上下を判断できません。

人件費の参考として、エン・ジャパンの2025年4月の開発言語別月額平均単価では、Javaは68.4万円と公表されています(出典: エン・ジャパン「フリーランススタート 開発言語別の月額平均単価」、2025年4月)。仮に5人が6か月、合計30人月で稼働すると、単価だけの単純計算は約2,052万円です。ただし、これは人材市場の平均単価を掛けた試算に過ぎず、PM、要件定義、テスト、会社経費、環境費、ライセンス費を含む発注額ではありません。

費用内訳と稼働後のランニングコスト

見積書を比較する際は、要件定義10〜12%、設計・環境構築22〜24%、実装48〜50%、テスト15〜17%という配分を仮置きすると、工程の偏りに気づきやすくなります。実際の比率は、既存資産の品質、画面や帳票の数、移行方式、品質基準によって変わります。要件定義が極端に少なく、実装だけが大きい見積もりは、後で仕様変更や追加調査が発生しないか確認します。

初期費用以外には、商用アプリケーションサーバーのライセンス・サポート、クラウドの常時稼働費、DB、WAF、監視、バックアップ、ログ保管、証明書、データ転送、脆弱性診断、Javaやミドルウェアのバージョンアップがあります。保守運用費は初期開発費の年15〜25%、または月15万〜80万円程度を仮置きする考え方がありますが、24時間監視、障害対応、追加開発を含むかで変わります。契約前に「保守」と「追加開発」の境界を確認します。

比較は初期費用だけでなく、3〜5年総額で行います。ライセンスの更新、クラウドの増強、サポート終了に伴う移行、運用担当者の教育、障害時の業務損失まで含めると、安価な初期見積もりが必ずしも有利とは限りません。差別化しにくい会計、ワークフロー、勤怠などはSaaSやパッケージと比較し、独自の審査、計算、製造、連携ロジックにJava EEを使うように、投資対象を分けて考えると予算を最適化しやすくなります。

Java EEのシステムの見積もりを取る際のポイント

Java EEシステムの見積もりを比較する会議

Java EEの見積もりは、画面数や人数だけでなく、業務の複雑さ、連携数、移行データ、品質基準、運用体制をそろえてから比較します。RFPでは、現行環境と目標環境、対象範囲、納期、予算の考え方、非機能要件、納品物、契約条件を明記します。情報が不足している場合は、開発見積もりと調査・PoC見積もりを分けてもらうと、未知のリスクを可視化できます。

要件と前提条件を同じ資料で渡します

発注前に、業務フロー、機能一覧、画面・帳票一覧、データ項目、外部連携、ユーザー数、利用時間帯、ピーク件数、保管期間、権限区分を整理します。既存システムなら、JDK、アプリケーションサーバー、DB、ソースコードの有無、テスト資産、ジョブ、非標準API、ライセンス契約、サポート期限を記載します。作業対象外も明示し、データクレンジング、マスタ整備、端末更新、ネットワーク変更、利用者教育を誰が担当するかを決めます。

非機能要件は、同時接続数、レスポンスタイム、バッチ完了時間、稼働率、RTO・RPO、バックアップ、監査ログ、暗号化、脆弱性対応、障害連絡、保守時間帯を数値化します。セキュリティでは、認証方式、権限モデル、個人情報の項目、ログへのマスキング、保管場所、委託先のアクセス範囲、脆弱性パッチの期限を決めます。これらを後から追加すると、設計・開発・テストのやり直しになりやすいためです。

会社ではなく担当体制と成果物を比較します

候補会社には、同じJDK、同じアプリケーションサーバー、同程度のデータ量、同じ業界規制に対応した実績を確認します。「Javaに詳しい」という説明だけでなく、要件定義を担当する人、移行診断を担当する人、テスト責任者、稼働後の一次対応者が誰かを確認します。担当者の経歴、再委託の範囲、国内拠点、夜間連絡、障害時の代替要員も、見積もりの金額と同じ重さで評価します。

見積書には、工程別の工数、単価、前提、除外項目、ライセンス、クラウド、移行、テスト、教育、保守を分けて記載してもらいます。RFPで確認したい質問は、(1)javax.*からjakarta.*への変換対象をどう調査するか、(2)非標準APIの検出方法は何か、(3)性能試験のデータ量と合格基準は何か、(4)切り戻しを何分以内に実施できるか、(5)ソースコード・IaC・設定・テスト資産をどこまで納品するか、(6)脆弱性発見時の修正期限は何日か、です。

契約とリスク分担を見積もりと一緒に確認します

要件が固まっていない段階で全工程を請負契約にすると、追加変更の扱いが争点になりやすくなります。調査・要件整理は準委任、仕様確定後の設計・開発は請負など、工程ごとに契約形態を検討します。変更管理の手順、追加単価、納期延長の条件、検収基準、瑕疵対応、著作権の扱い、再委託先の責任、秘密情報の管理を契約書に落とします。

リスク台帳には、現行仕様が不明、テストデータが不足、連携先の環境が未確定、サーバーのサポート期限が近い、移行停止時間が短い、担当者が不足しているといった項目を登録します。それぞれに発生確率、影響度、回避策、発生時の対応者、予備費や予備期間を設定します。リスクをゼロにするのではなく、早期に見つけて調査・PoC・段階移行へ振り分けることが、現実的なコスト管理につながります。

よくある質問(FAQ)

Java EEのシステム開発に関する疑問を確認する担当者

Java EEのシステム開発では、技術の選択だけでなく、既存資産、費用、移行時期、運用体制について多くの疑問が出ます。ここでは、発注や刷新を検討する際に特に確認されやすい質問へ、判断の基準を簡潔に回答します。

Java EEは古い技術なので、採用しない方がよいですか?

Java EEという名称は旧称ですが、標準仕様はJakarta EEとして継続的に発展しています。既存システムがJava EE 8やjavax.*を使っている場合は、すぐに廃棄するのではなく、保守期限、セキュリティ更新、人材確保、移行効果を確認して段階的な計画を立てます。新規開発では、Jakarta EE、Spring Boot、Quarkusを業務要件と運用体制で比較し、名前の新しさだけで決めないことが重要です。

既存Java EEシステムをJakarta EEへ移行する費用はいくらですか?

公開相場からは、既存Java EE移行は1,000万〜1億円超、期間は6〜24か月程度を検討するレンジがあります。ただし、これはコード量、非標準API、テスト資産、DB・外部連携、停止可能時間、サーバーやクラウドの変更を含むかで大きく変わる目安です。最初にアセスメントと小規模PoCを行い、変換対象と回帰テストの量を確認してから、本開発の見積もりを確定させます。

WebLogicやWebSphereなどのサーバーはどう選びますか?

必要なJakarta EEプロファイルと仕様、現在のアプリが利用する拡張機能、JDKの対応、サポート期間、ライセンス、クラウド・コンテナ運用、障害対応体制で比較します。既存製品を継続する場合も、保守期限と更新費用を確認します。別製品へ移す場合は、互換性の表だけでなく、実アプリを使ったデプロイ、認証、トランザクション、JPA、バッチ、外部連携、性能のPoCを行い、差分を見積もりに反映します。

Java EEのシステムはクラウドへ移行できますか?

移行できますが、クラウド化の方法を分けて検討します。現行サーバーをVMへ移すリフト、アプリケーションサーバーをコンテナやマネージド基盤へ載せるリホスト、Jakarta EEやMicroProfileを使って構成を見直すリファクタリングがあります。短期の業務継続が優先ならリフトやリホスト、将来の自動スケールやデプロイ速度が重要なら段階的なリファクタリングを選び、ネットワーク、DB、認証、監視、バックアップ、RTO・RPOまで含めて検証します。

まとめ

Java EEのシステム開発計画をまとめる担当者

Java EEのシステム開発は、要件整理、選定、設計開発、テスト、稼働、定着の6フェーズで進めます。最初にjavax.*jakarta.*、JDK、アプリケーションサーバー、DB、外部連携、バッチ、権限、運用手順を棚卸しし、現行の延命、サーバー移行、Jakarta EEへの変換、別フレームワークへの段階移行を比較します。技術選定だけでなく、業務結果と運用の継続性を基準に判断することが重要です。

発注前に確認するチェックポイント

発注前は、目的と対象範囲、現行資産の不明点、性能・可用性・セキュリティの数値、移行と切り戻し、工程別の費用、ライセンスとクラウド、保守の範囲、担当体制、納品物、契約と追加変更の条件を確認します。費用は小規模300万〜800万円、中規模800万〜5,000万円、大規模5,000万円〜3億円超、既存移行1,000万〜1億円超という公開相場のレンジを出発点にし、案件固有の条件で調整します。特定金額をそのまま予算化せず、調査やPoCを含めて見積もりを分解してください。

最初の一歩は現状調査と小さなPoCです

まずは現行システムの構成図、仕様、コード、設定、連携、データ、運用記録を集め、未知の範囲をリスト化します。そのうえで、代表的な画面やAPI、認証、JPA、バッチ、外部連携を小さなPoCで動かし、候補サーバーとJDKの互換性、性能、移行工数を確かめます。調査結果をRFPとフェーズ別の見積もりへ反映し、利用部門と運用担当が納得した状態で設計開発へ進むことが、Java EEのシステムを長く使うための近道です。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。