Java EEのシステム開発の完全ガイド

Java EEのシステムは、標準仕様、業務要件、運用期間、連携範囲によって構成が変わります。特に、既存資産を活かすか、Jakarta EEなどへ移行するかを選ぶと、長期運用に役立ちます。

全体像、主要機能、技術選定、開発と移行の流れを順に取り上げます。詳しくは関連記事もご覧ください。

▼関連記事一覧
・Java EEのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・Java EEのシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・Java EEのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・Java EEのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

Java EEのシステムの全体像

Java EEシステムを利用者・入口、実行・データ、運用・保護の3層で示す図解。
入口から運用までを層で見ると、基盤の役割分担がつかめます。

Java EEは、企業向けのWebアプリや業務システムを作るための標準仕様で、単独の業務パッケージや製品ではありません。画面、業務ロジック、データアクセス、トランザクション、認証などを、共通の考え方で実装する土台になります。

現在の正式名称はJakarta EEです。既存システムや検索語ではJava EEと呼ばれることも多いため、両方の名称を理解しておく必要があります。

Java EEとJakarta EEの違い

Java EEは企業向けJavaの標準仕様として発展しました。その後、仕様の管理主体が移ったことで、名称がJakarta EEになりました。

  • API名:Jakarta EE 9以降では、パッケージ名がjavax.*からjakarta.*へ変わりました。
  • 移行時の確認対象:ソース、依存ライブラリ、設定ファイル、テストコード。
  • 現行仕様:Jakarta EE 11は2025年に正式仕様となりました。

Java EE 8相当の資産は、サーバーを入れ替えるだけでは動かない場合があります。一方で、Jakarta EE 11は、Java SE 17以上を前提としています。Jakarta DataやJava 21での仮想スレッド活用、互換性テストの見直しも含まれます(出典:Jakarta EE Platform 11 Specification、2025年)。

名称だけで古い技術と決めつけず、資産のバージョンと移行可能性を確かめたうえで判断します。

Java EEのシステムを構成する要素

Java EEシステムは、利用者の画面から業務データ、認証、外部連携までを組み合わせて構成します。

  • 利用者・入口:ブラウザ、ロードバランサー、APIゲートウェイ。
  • 実行・データ:アプリケーションサーバー、RDB、メッセージング基盤。
  • 運用・保護:認証基盤、監視・ログ基盤。

サーバーは、接続プールやトランザクション管理、認証・認可などを担います。そのため、同じ処理を各アプリで重複して実装しにくくなります。

申請、受発注、在庫などの業務ルールは、標準APIとは別に、要件定義で明文化しておく必要があります。顧客、請求、製造、金融、公共でも、業務ルールは同様に明文化の対象になります。

画面だけでなく、夜間バッチや帳票、外部連携も、システムの範囲として考えます。さらに、権限や監査ログ、障害復旧も含めて考えます。

Java EEの主要機能とシステムの種類

Java EEは、Web画面を作る機能に加え、業務処理を安全に実行し、データを整合性のある状態で保存する機能も備えています。他システムや利用者との接続から長期運用までを支える仕組みもそろっています。必要な仕様を選んで組み合わせるため、全機能を一つのシステムに入れる必要はありません。

Web画面と業務ロジック

画面の仕組みと業務ロジックの役割を分けておくと、処理ごとの責任範囲を整理できます。

  • Servlet・JSP:リクエストを受け、Web画面を返す役割です。
  • JSF:サーバー側で画面部品を管理し、入力画面や業務画面を一定の規約に沿って作る仕組みです。
  • CDI:依存性注入により、業務ロジックやサービス、設定の関係を管理しやすくします。
  • EJB:トランザクションや非同期処理を含む業務ロジックの実行基盤です。

たとえば、受注登録では、入力値を検証したうえで在庫を確認し、受注と明細を保存します。必要に応じて、請求や出荷にも通知します。

途中で失敗して一部だけ保存される事故を防ぐには、トランザクション境界の設計が欠かせません。そのため、画面表示だけで開発会社を選ぶべきではありません。

データアクセス・連携・非同期処理

データや外部システムとつなぐ際は、標準APIごとの用途と、運用時の確認事項を整理しておくと分かりやすくなります。

  • データ:JPAはオブジェクトとRDBの対応を管理し、JTAは処理を一つのトランザクションとして扱います。
  • 入力・API:Bean Validationは値の検証、JAX-RSはREST APIに使います。
  • 連携:JSON-B・JSON-PはJSONの扱い、JMSは非同期のメッセージ連携に使います。

大量データを扱うバッチでは、オンライン処理と更新が重なる時間や、再実行時の重複、失敗後の再開方法を設計します。

外部連携では、タイムアウトやリトライ、重複排除を確かめます。さらに、文字コードや障害通知、相手側の仕様変更も確認項目に入れます。

連携品質は、標準APIを使うだけでは決まりません。そのため、業務シナリオに沿った結合テストが必要です。

Java EEが向いているシステムの種類

Java EEが向く業務と、ほかの選択肢を検討しやすい状況を分けて見ておきます。

  • 複数部門の業務:標準化した権限や処理を組織で使うシステム。
  • 基幹業務:大量取引や定時バッチがあるシステム。
  • 長期保守:公共・製造・金融など、独自ルールを長く支えるシステム。

厳格な権限管理にも適しており、審査、計算、承認などの業務を実装できます。さらに、在庫や契約の処理も実装できます。

短期検証の小規模サービスや、別のフレームワークに習熟したチームでは、Spring BootやQuarkusが適する場合もあります。

選定では、必要な仕様や開発者の経験を見ます。さらに、サーバー運用体制、3〜5年の保守費、既存資産との接続性も確かめます。

Java EE・Jakarta EE・Spring Boot・Quarkusの選び方

既存Java EE資産を活かし、標準仕様と長期運用を重視するなら、Jakarta EEを候補にします。

小さなサービスを素早く分けたい場合や、Springに強い組織では、Spring BootやQuarkusも比較の対象になります。

全システムを一つの技術にそろえるより、業務単位と移行リスクを踏まえて選ぶほうが現実的です。

Jakarta EEを選びやすいケース

標準機能を組織でそろえ、複数の業務アプリを長期保守する場合は、Jakarta EEが有力です。

  • 共通機能:認証、トランザクション、データアクセス、メッセージングを共通の形でそろえます。
  • 将来の選択肢:仕様と実装を分けることで、特定ライブラリへの依存を抑えられます。
  • JDK計画:Jakarta EE 11では、Java 17以上が必要です。

採用するサーバーが、必要なプロファイルと仕様を実装し、互換性テストを満たすかを確かめます。

SOAPなど旧仕様を使う資産では、Jakarta EE 11で削除・非推奨となった領域が影響することがあります。そのため、実際に使っているAPIと照らし合わせて確認します。

Spring BootやQuarkusを比較するケース

新規APIや小規模サービスを短い周期で開発し、コンテナやクラウドのマネージドサービスと組み合わせる場合は、比較の対象になります。

  • 既存の強み:資産、CI/CD、監視、開発者のスキルがそろっているかどうか。
  • 移行対象:EJB・JPA・JMSのような標準API、独自API、帳票、バッチ、分散トランザクションを調べます。
  • 段階移行:業務単位で難易度を見て、モジュラーモノリスやAPI分離から始めます。

移行先のフレームワークを決めること自体を、目的にしないことが大切です。また、資産やスキルがそろっていれば、学習コストや採用コストを抑えやすくなります。

効果と安全性を確かめてから細かなサービス分割へ進めば、過度な複雑化を避けられます。

ポイント

既存のJava EE資産と移行の難易度を業務単位で比べ、技術を選びます。資産とスキル、段階移行の可否を並べると、好みに頼らず判断できます。

Java EEのシステム開発・移行の進め方

Java EEの開発・移行を、現行資産の棚卸し、移行方式の比較とPoC、設計から段階リリースの順に示す図解。
調査からリリースへ進む順序が、検討の抜けを防ぎます。

開発や移行では、要件定義に入る前に、技術と業務の現状をつかんでおく必要があります。新規開発でも、会計や販売、認証などの周辺システムを確認します。さらに、帳票やデータ連携も対象に含めます。

既存システムを移行する場合は、コードを読める状態にするための調査費用を、先に確保しておきます。

▶ 詳細はこちら:Java EEのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

1. 現行資産の棚卸しと要件定義

技術資産と業務要件を分けて洗い出し、移行対象と判断材料をそろえます。

  • 技術資産:JDK、仕様、javax.*・jakarta.*、サーバー、DB、ライブラリ。
  • 実行機能:バッチ、帳票、外部連携、認証方式、非標準API。
  • 業務要件:業務イベント、データの正本、権限、締め・例外処理、保存期間。

ソースコードがない、設計書が古い、担当者が退職しているといった状態も、リスクとして記録します。

業務側では、Must要件と、標準化できる要件を分けておきます。

会計やワークフローなど差別化しにくい領域は、SaaSやパッケージを比較します。一方で、独自審査や計算、製造ロジックなど競争力に関わる領域は、個別開発として整理します。また、画面一覧も業務要件の整理対象に含めます。

2. 移行方式の比較とPoC

既存資産の状態と制約に照らして、移行方式を比べます。

  • 現行環境を延命:現在のサーバーを保守しながら使い続けます。
  • リホスト:別のサーバーへ移します。
  • 段階移行:Jakarta EEへ名前空間を移すか、Spring BootやQuarkusへ改修します。

重要度や変更量、停止可能時間を並べて見ると、技術の好みだけに頼らず選べます。保守契約、テストデータ、切戻し条件も、判断材料に加えます。

PoCでは、簡単な画面だけでなく、認証や複雑なJPAクエリ、トランザクションを動かします。さらに、バッチや外部連携、帳票も対象に含めます。

javax.*からjakarta.*へ置き換えたあとは、依存ライブラリや設定、文字コードの差を確認します。さらに、日付やトランザクション境界の差も見ておきます。

成果物にはデモだけでなく、修正箇所と残課題を含めます。性能結果や移行工数の根拠も、あわせて示してもらいます。

3. 設計・開発・テスト・段階リリース

品質と運用の条件を数値で決め、開発から本番移行まで一貫して管理します。

  • 設計条件:同時接続、応答時間、バッチ終了時刻、可用性、RTO・RPO。
  • 運用条件:ログ保存期間、権限分離、バックアップ、監視。
  • 管理対象:コード、設定、IaC、DB変更、テストデータ、運用・障害対応手順。

テストは、単体、結合、総合の段階に分けます。性能、セキュリティ、障害復旧の試験は、別に計画します。利用者受入れも、テストの一部として扱います。

既存移行では、同じ入力を現行と新環境に与えて結果を比べる回帰試験が重要です。たとえば、計算結果や帳票、連携メッセージを比べます。バッチ結果も対象になります。

本番は業務単位で段階的にリリースします。計画には、並行稼働と切戻しに加え、利用者教育や稼働後90日の改善体制まで含めます。

ポイント

まず現行資産と業務要件を棚卸しし、移行方式はPoCで比べます。本番は回帰試験の結果を見て、業務単位で段階的に進めます。

Java EEのシステム開発費用相場と内訳

小規模、中規模、大規模、既存Java EE移行の初期費用目安を横棒で比較する図解。
規模ごとの費用帯を並べると、既存移行の見積枠も区別できます。

Java EE固有の全国一律の価格は公表されていません。そのため、次の数値は、2025〜2026年公開のJava・業務システム相場と必要人月をもとにした目安です。

見積額は、機能数や連携数、データ移行、性能試験によって変わります。商用ライセンスやクラウド、セキュリティ診断などの条件も、見積額を左右します。見積額を比べる際は、成果物と除外項目も確認します。

▶ 詳細はこちら:Java EEのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

規模別の初期費用と開発期間

初期費用と期間は、機能や拠点、移行範囲などの規模で異なります。

  • 小規模:社内申請、顧客管理、単一業務のWeb化。
  • 中規模:受発注・販売管理や複数部門で使う業務。
  • 大規模・移行:基幹業務、複数拠点、大量取引、既存資産の更新。

小規模は300万〜800万円、2〜6か月が目安です。中規模は800万〜5,000万円、6〜12か月程度です。

中規模では、複数部門での利用や外部API、バッチが含まれる場合があります。さらに、帳票や権限、データ移行が加わることもあります。

大規模は5,000万円〜3億円超、12か月〜2年以上になることがあります。複数拠点や大量取引、冗長化を含む場合です。さらに、24時間運用や複雑な連携、段階移行が加わる場合も該当します。

既存Java EE移行は1,000万〜1億円超、6〜24か月が目安です。ただし、この数字は、コード調査や名前空間変更、サーバー更新に、回帰試験やクラウド化を含めた公開相場からの推定で、確定価格ではありません。

人月計算と見積もりの読み方

人月単価の単純計算が、そのまま発注額になるとは限りません。工程ごとの費用や運用費も分けて見ます。

  • 技術者単価:2025年4月のJava月額平均単価は約68.4万円です。
  • 工程配分:要件定義10〜12%、設計・環境構築22〜24%、実装48〜50%、テスト15〜17%程度。
  • 保守費:初期開発費の年15〜25%、または月15万〜80万円程度が目安です。

5人が6か月働く例では、68.4万円×30人月で、約2,052万円になります(出典:開発言語別フリーランス月額平均単価調査、2025年)。

案件管理や要件定義、テストは、単価計算に含まれない場合があります。さらに、会社経費や環境費、契約リスク、商用サーバー費も、含まれないことがあります。そのため、人月の計算結果が発注額と一致するとは限りません。

商用ライセンスやクラウドの常時稼働費は、別項目で比べます。WAFや監視、バックアップも、別項目として見ておきます。JDKやミドルウェアの更新費も、別に比べます。

ポイント

費用は、規模と移行範囲、連携数、運用条件で大きく変わります。人月単価の掛け算だけで判断せず、工程ごとの費用と保守費を分けて見ることが目安です。

クラウド・コンテナ化とJava EEシステムの運用

クラウド化には、仮想マシンへ移すリフトや、サーバーをコンテナ基盤へ載せるリホストがあります。さらに、Jakarta EEやMicroProfileなどで再構成するリファクタリングもあります。

名称は似ていても、必要な設計変更と費用は異なります。そのため、移行方式を最初に明示しておきます。

クラウド移行で先に決めること

クラウドを使うかどうかと合わせて、必要な可用性と月額費用を決めます。運用担当や自動化の範囲も、同時に決めておきます。

  • 可用性:複数ゾーン構成、負荷分散、DBバックアップ。
  • 保護・監視:秘密情報、ログ集約、脆弱性パッチ、監視通知。
  • 障害対応:切戻し方法と担当者。

ローカルファイルや固定ホスト名、共有セッションに依存していると、コンテナ化の前にその依存を解消する必要があります。サーバー固有の設定も、見直しの対象です。

一度にマイクロサービス化すると、ネットワークや認証、トレーシングの管理が増えます。データ整合性やデプロイ管理の手間も増え、費用も上がります。

そのため、まずモジュラーモノリスとAPI分離で境界を作ります。効果を確認できた部分から分割するほうが、安全です。

運用ライフサイクルの予算化

各基盤のサポート期限を把握したうえで、更新時期と作業責任を採用時点で決めておきます。

  • 対象:Java、アプリケーションサーバー、DB、OS、コンテナイメージ、依存ライブラリ。
  • 期限・パッチ:サポート終了日、提供方法、緊急脆弱性への対応時間。
  • 保守契約:一次切り分け、復旧目標、夜間休日連絡、復元訓練、月次確認、設定変更承認。

サポート期限を過ぎてから更新すると、テスト環境の再構築や大規模な改修が必要になることがあります。そのため、更新テストの責任分担も事前に確認しておきます。

納品物として、ソースやビルド手順、IaC、環境変数一覧を受け取れるかを確認します。DB定義、監視設定、運用手順書も対象です。これらは、将来のベンダーロックインにも関わります。

セキュリティ・法務・RFPで確認すべき項目

個人情報や従業員情報、取引情報を扱う場合は、フレームワークを採用しただけでは足りません。リスクに応じて、安全対策を設計します。

対策には、アクセス制御や認証、暗号化を含めます。さらに、ログやバックアップも対象に含めます。教育や委託先管理も、忘れずに含めます。

個人情報保護委員会のガイドラインでは、漏えい・滅失・毀損を防ぐため、事業規模とデータの性質・量に応じた安全管理措置が求められています。

実装・試験で外せないセキュリティ

権限や入力、秘密情報を確認し、実装と試験の条件に反映します。

  • 認証・認可:本人確認に加えて、職務、組織、データ範囲、操作権限を分けて管理します。
  • 入力・セッション:SQLインジェクション、XSS、CSRF、セッション不備、パス名パラメーターを確認します。
  • 情報保護:秘密情報をコードやログに出さず、暗号化と鍵のローテーションを要件にします。

特権操作は記録し、入力値はサーバー側で検証します。通信と保存データがどの方式で守られるかも、あわせて確かめます。

OWASP Top 10:2025は、アクセス制御の不備や設定ミス、サプライチェーンの失敗を主要リスクとして挙げています。

そのほか、暗号の失敗やインジェクション、認証の失敗も含まれます。ログとアラートの不備も挙げられています(出典:OWASP Top 10:2025)。

依存ライブラリ一覧とSBOM、脆弱性スキャン、パッチ期限を、RFPに書いておきます。そうすると、納品後の責任も明確になります。検知後の連絡先も、あわせて書いておきます。

RFPと契約に書く項目

RFPと契約に必要な条件を分けて記し、見積もりの前提をそろえます。

  • システム条件:環境、対象業務、画面・API・バッチ・帳票、データ件数、ピーク接続。
  • 品質・移行:応答時間、バッチ時間、可用性、RTO・RPO、名前空間移行、非標準API。
  • 契約条件:請負・準委任の別、追加変更単価、再委託範囲、著作権・利用許諾、脆弱性対応SLA、保守期間と終了時の引き継ぎ。

テストデータや性能試験、障害訓練の納品条件も、RFPに明記します。ソースや設定、IaC、文書の納品条件も、RFPに書いておきます。

要件定義や移行調査が別料金なら、安く見える見積もりでも総額は増えます。回帰試験や運用設計が別料金のときも、総額が増える点は変わりません。

初期費用に加えて、3〜5年の総保有コストと、契約終了時の選択肢も比べます。

ポイント

個人情報や取引情報を扱う場合は、リスクに応じた安全対策をRFPと契約に書き込みます。脆弱性対応の担当と期限を決めると、納品後の責任が明確になります。

Java EEのシステム開発会社・ベンダーの選び方

Javaの知識に加え、業務理解や既存コード調査を確認します。アプリケーションサーバーやデータ移行の経験も、あわせて見ます。

性能試験やセキュリティ、24時間運用まで、一つの計画にまとめられる会社を選びます。

社名や画面だけでは実力を判断しにくいため、担当した工程や、同規模・同データ量・同運用条件での改善内容を確認します。

実績と担当者の経験の確認

実績の説明は、技術環境、移行経験、調査方法の具体性という観点で確かめます。

  • 技術環境:Java EE、JDK、サーバー、DB、トランザクション、外部連携。
  • 運用規模:データ件数、利用者数、稼働時間。
  • 移行経験:名前空間変換、非標準API修正、回帰試験、切戻し。

提案時には営業だけでなく、設計責任者、移行担当、運用責任者とも話します。

現行資産のサンプルを渡して、調査の観点と成果物の例、想定リスクを出してもらうと、提案を比べやすくなります。追加で必要な調査項目も、あわせて聞いておきます。

担当者が交代しても知識が失われない体制かどうかも確認します。

候補先へ聞くべき質問

質問への回答が一般論にとどまらず、調査方法や責任者まで示すかどうかを見ます。

  • 移行障害:現行APIのどれが障害となり、互換性をどの試験で証明しますか。
  • 性能・障害:試験データ量とピーク条件、障害時の一次連絡時間はどうなりますか。
  • 脆弱性:パッチを何営業日以内に評価し、誰が対応しますか。

回答では、判断基準や成果物、責任者の部分まで確認します。

商用サーバーとクラウドの費用は、初期費用と分けて提示してもらいます。監視やバックアップの費用も、別に示してもらいます。JDKやミドルウェアの更新費も、別に示してもらいます。

自社で運用するためには、ソースや設定、ビルド手順を納品対象とすることが欠かせません。デプロイや監視、障害対応手順も、納品対象に含めます。さらに、引き継ぎ期間も契約に入れます。

▶ 詳細はこちら:Java EEのシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:Java EEのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

社名や画面だけでは実力を判断しにくいため、同規模・同データ量での改善内容を見ます。担当工程や性能・セキュリティの計画をまとめられるかを、同じ条件の提案で比べます。

Java EEのシステムに関するよくある質問

最後に、Java EEのシステムを検討する際によくある疑問を、順に取り上げます。既存資産の状態によって最適な答えは変わるため、一般論は自社の棚卸し結果やPoCで確かめてください。

Java EEは古い技術なのでしょうか?

Java EEの仕様群はJakarta EEへ移管され、現在も更新が続いています。そのため、名称だけで廃棄や全面刷新を決める必要はありません。

Java EE 8以前の資産は、JDKやサーバー、ライブラリの状態を確認します。加えて、脆弱性や保守期限、業務要件も見て判断します。

Java EEからJakarta EEへ移行する際の注意点は何ですか?

Jakarta EE 9以降はAPI名がjavax.*からjakarta.*へ変わりました。そのため、ソースを置換するだけでは移行できない場合があります。

依存ライブラリや設定、サーバー機能を確認します。認証やシリアライザー、テスト、外部連携も対象に含め、PoCと回帰試験で業務結果を比べます。

移行方式と切戻し条件も、本番計画に含めます。

Java EEのシステム開発費用を抑える方法はありますか?

機能を絞るとともに、SaaSやパッケージで代替する領域と、独自開発する領域を分けます。

既存資産を廃棄する前に棚卸しし、再利用できる業務ロジックやデータ、テストを見極めます。

安価な提案だけで選ばず、要件定義やPoC、回帰試験に加え、運用自動化にも先行投資すると、3〜5年の総額を抑えやすくなります。

開発会社・ベンダーには何を比較すればよいですか?

会社名や知名度よりも、同じJDKやサーバー、同程度のデータ量、同じ業界規制での実績を比べます。

要件定義や現行調査、移行の担当範囲を確認します。データ移行や性能・セキュリティ試験、24時間運用も、担当範囲を分けて見ます。

担当者の経験や成果物、保守SLA、引き継ぎ条件も見ておきます。そのうえで、複数社に同じRFPを渡し、見積もりの前提と除外項目をそろえます。

まとめ:現状診断を起点としたJava EEのシステム計画

Java EEは企業業務を長期に支える標準基盤で、現在はJakarta EEとして発展しています。Jakarta EE 11は、Java 17以上を前提とし、Jakarta DataやJava 21の仮想スレッド活用などを示しています。

既存資産では、名前空間変更や非標準API、古いJDKが論点になります。サーバー固有の設定や連携、バッチの回帰試験も、あわせて検討が必要です。

まず業務と資産を棚卸しし、SaaSやパッケージ、Jakarta EE、Spring Boot、Quarkusの役割を分けます。次に、PoCで移行リスクを確認します。

比べる際は、3〜5年の総額で見ます。ライセンスやクラウド、保守に加え、パッチや教育も含めます。そのうえで、性能やセキュリティ、RTO・RPOを明記したRFPを作り、同規模・同条件の実績がある会社へ提示します。SLAや成果物の条件も、RFPに書いておきます。

▼関連記事一覧
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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。