KYCシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

KYCシステムの開発会社は、本人確認方式、業務との連携範囲、導入後の運用体制を比べると、自社の審査や監査に合う基盤を選びやすくなります。

取り上げるのは、riplaを含む計6社(実在企業5社)です。全体像は、KYCシステム開発の完全ガイドもご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・KYCシステム開発の完全ガイド

KYCシステムのパートナー選びが重要な理由

KYCシステムを中心に、eKYC、リスク評価、取引モニタリング、監査対応を結んだ図
本人確認後の審査や継続管理まで、業務の接点が広がります。

KYCには、免許証などを撮影するeKYCのほかに、個人・法人確認やPEPs・制裁対象者の照合も含まれます。さらに、開発では、リスク評価、ケース管理、再確認、取引モニタリング、監査対応までを一つの業務として設計します。

画像認識が優れていても、審査や既存システムとつながっていなければ、業務全体の改善にはつながりにくくなります。

適切なパートナー選定が成否を分ける理由

KYCの判定結果は、口座開設や会員登録、決済、CRM、勘定系などへ連携されます。そのため、選定の段階で、連携先と記録する情報を一緒に確認しておく必要があります。

  • 判定の記録:判定理由と参照リストを残す
  • 変更の記録:ルール・モデルの版数を記録する
  • 操作の記録:担当者と操作時刻をたどれるようにする

これらを後から付け足すと、データモデルの作り直しや再審査が発生し、初期開発より高い改修費がかかる場合があります。

発注前に確認すべきポイント

比較では、本人確認方式に加えて、審査・保管・障害対応の条件を確かめます。金融機関向けのシステムでは、説明資料も比較材料になります。

  • 確認範囲:対応書類、法人KYB、目視審査、反社・制裁・PEPsチェック
  • データ管理:保存期間と保管場所
  • 障害対応:障害時の代替手段
  • 金融機関向け資料:アクセス制御、ログ監視、委託先、クラウド、復旧体制

FISC「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書」第13版は、2025年3月に公表されています。

ポイント

KYCは本人確認だけでなく、審査・監査・既存システムとの連携まで含めた業務全体として捉えると、パートナー選びの判断がぶれにくくなります。

株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援する企業です。IT事業会社として社内DXを推進した経験を活かしています。

ビジネス成果の創出とシステムの定着支援に強みがあります。また、営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築と導入の実績があります。そのうえで、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。

特徴と強み

riplaは、KYCを顧客情報や業務フローの中に位置づけて扱います。そのため、業務全体をまとめて相談したい企業が候補に入れやすい会社です。

  • 業務整理:現場へのヒアリングと業務の洗い出し
  • 設計・開発:要件定義、画面・API設計、開発
  • 定着支援:導入後、利用が根づくまでの支援

既存の会員管理や販売管理にKYCを加える場合は、本人確認の結果を自社の標準データとして保持しておくと、将来ベンダーを変える際に検討しやすくなります。

得意領域・実績

複数部門をまたぐ業務システムや、要件がまだ固まりきっていない段階からのシステム化相談に向いています。

  • 組み合わせ:SaaS・APIと個別開発の使い分け
  • 整理対象:本人確認、法人確認、審査ケース、監査ログ

KYC専用サービスの料金に加えて、同類型のKYC領域の実績、対応方式、セキュリティ要件、運用体制も案件ごとに確認します。そのうえで、過不足のない開発範囲を決めます。

株式会社TRUSTDOCK|本人確認と顧客確認に特化したAPI・BPO

株式会社TRUSTDOCKは、デジタル本人確認やeKYCを専門とする実在企業です。公式サイトでは、東京商工リサーチの2024年12月時点の調査として、導入企業300社以上と案内されています。

この数値は、eKYCのコア機能を自社開発するサービスについてのものです。調査では、金融のほか、行政、シェアリング、人材、リユースなどの業界が対象に含まれています。

特徴と強み

ブラウザやスマートフォンアプリに対応しており、API・SDKを申込の導線に組み込みやすいのが特徴です。個人確認と法人確認を組み合わせた事例もあります。

  • 審査分担:目視審査をどこまで受け持つか
  • 利用者対応:再提出対応と問い合わせ窓口の体制
  • 運用方式:APIとBPOの組み合わせ方

確認業務を自社の担当者だけで抱えず、APIとBPOで運用工数を抑えたい企業は、委託する範囲を具体的に決めておきます。

得意領域・実績

短期間で本人確認を追加したい企業や、確認業務を定型化して複数の事業へ広げたい企業に向いています。公式サイトには、次の事例が挙がっています。

  • 金融:freee finance labの個人・法人確認
  • 業界団体:全国銀行協会のオンライン手続き
  • 行政:農林水産省の公的個人認証

導入前には、KYCの入口だけを委託するのか、法人情報やリスク確認まで任せるのかを切り分けておきます。あわせて、顧客・ケース・監査データを自社に残す設計になるかも確認します。

ポイント

本人確認の入口だけを委託するのか、法人情報やリスク確認まで任せるのかで、候補になるベンダーと委託範囲の決め方が変わります。

株式会社Liquid(ELEMENTSグループ)|ICチップ・顔認証に強いeKYC

株式会社Liquidは、生体認証や画像解析を手がける株式会社ELEMENTSのグループ会社です。オンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」を提供しています。

ELEMENTSの公式の会社情報では、2026年に累計の本人確認件数が1億5,000万件を突破したと案内されています。こうした実績から、大量の本人確認を扱う事業者や、本人確認から当人認証・不正検知へ広げたい事業者が検討しやすい会社です。

特徴と強み

書類撮影、ICチップ読取、顔照合、JPKIを組み合わせて、方式を選べます。また、2025年9月の公式発表では、iOSのWebブラウザでIC読取と顔認証を行う機能が案内されました。

  • ブラウザ対応:専用アプリの開発・保守が要らない構成
  • 方式の選択:書類撮影、IC読取、顔照合、JPKI

アプリのインストールによる離脱を抑えたい場合は、端末やOSごとの対応範囲を確認しておきます。

得意領域・実績

金融機関、通信、カード、CtoCなど、本人確認件数が多い案件に向いています。不正対策と利用者体験を同時に改善したい場合にも、検討の候補になります。

  • 方式評価:IC読取方式とJPKI方式の自動承認率の比較
  • 保管条件:結果の保持期間と、画像・IC情報の削除時期
  • 将来連携:法人KYBや取引モニタリングへの対応

上の箇条書きにあるIC読取方式とJPKI方式の自動承認率の比較は、公式発表に示されています。あわせて、契約時には誤判定時の人手審査も確認しておきます。

ポイント

ICチップや顔認証の方式は、利用者が使う端末とOSの対応範囲で選び分けます。誤判定時の人手審査も、契約前に確かめておく必要があります。

株式会社ポラリファイ|金融・カード向けのeKYCと生体認証

株式会社ポラリファイは、身元確認の「Polarify eKYC」と当人認証の「Polarify eAuth」を提供する実在企業です。公式サイトでは、2025年に複数の導入実績が案内されています。

導入先には、楽天カード、みずほ銀行、第四北越銀行などがあります。そのため、銀行口座やクレジットカードの申込など、金融サービスの本人確認では候補になりやすい会社です。

特徴と強み

犯罪収益移転防止法の各方式に沿った本人確認に対応しています。さらに、書類・容貌撮影やICチップ読取などを、業務に応じて組み合わせられます。

  • 本人確認:書類撮影、容貌撮影、ICチップ読取
  • 認証機能:サーバーパッシブライブネス、顔認証

本人確認の後の当人認証まで設計できます。ただし、方式が法令に適合しているかは、用途と契約時点の法令を照らして確認する必要があります。

得意領域・実績

金融機関やカード会社の申込フローに本人確認を組み込みたい企業に向いています。個人口座だけでなく、法人の申込についても検討できます。

  • 認証の連続性:確認後のログイン・取引時認証
  • 処理能力:申込ピーク時の対応力と失敗時の再撮影
  • 運用・連携:審査画面、監査ログ、外部サービスとの分担

見積の段階で、マイナPocketなど外部サービスとの役割分担を確認しておきます。

GMOグローバルサイン株式会社|公開料金で始めやすい顔認証eKYC

GMOグローバルサイン株式会社は、電子認証の知見をもとに「GMO顔認証eKYC」を提供しています。公式ページには、公開されている料金の例があります。

例では、初期費用なしで、最小50件・月額22,000円からです。これは本人確認APIの利用料であり、KYCシステム全体の開発費ではありません。なお、申込画面、既存システム連携、審査運用、ログ保存、法務確認の費用は含まれません。

特徴と強み

スマートフォンのブラウザで書類と顔を撮影し、AIの判定結果をAPIで受け取れます。そのため、既存サービスへの追加導入を検討する際の候補になります。

  • ホ方式:書類撮影と顔撮影の組み合わせ
  • へ方式:ICチップ読取と顔撮影の組み合わせ

公式情報では、2026年3月時点でこの2方式への対応が案内されています。利用件数を見ながら小規模に始める場合は、費用の初期仮説を立てやすいベンダーです。

得意領域・実績

古物商、チケット、不動産、レンタル、オンライン診療など、本人確認が必要なWebサービスに向いています。利用の形としては、API連携とメール送信のタイプがあります。

メール送信タイプは、開発対応が難しい事業者向けです。比べる際は、対応方式に加えて、結果データや証跡の保管期間を確認します。さらに、反社チェックや年齢判定のオプション、障害時の通知とSLAも押さえておきます。

株式会社NTTデータ|JPKIと金融業務を含む大規模連携

株式会社NTTデータは、金融機関向けのシステム開発・運用や制度対応を手がける実在企業です。「マイナPocket」では、電子証明書を使う本人確認などが案内されています。

マイナンバーカードのICチップにある電子証明書を使った本人確認や、マイナンバーの収集に対応しています。さらに、2025年には、金融機関向けバンキングアプリでJPKIを使うeKYCの提供開始も公表されました。

特徴と強み

口座開設、保険、決済の本人確認を、金融業務・勘定系・CRM・アプリと一体で設計したい場合に強みがあります。

  • 本人確認方式:電子証明書を使い、券面画像の目視に頼らない方法
  • 利用者体験:カードの保有状況と暗証番号の入力
  • 金融業務:可用性、災害対策、運用監視も含めた相談

利用者側の条件は、方式を決める前に確かめておく必要があります。

得意領域・実績

金融システムを止めずに制度対応を進めたい企業や、大量のデータと監査への説明責任を重視する企業に向いています。

  • 構成:自社アプリへのSDK組み込み、マイナPocket利用
  • 販売形態:特約販売店を介する構成
  • 責任分界:どこまでを誰が受け持つか

大規模案件では、要件定義のほかに、移行、総合テスト、運用引き継ぎ、障害時の指揮系統も見積書に入れておく必要があります。

KYCシステムのパートナー選びで比較するポイント

3年TCO、運用指標、復旧指標、事例条件を並べたKYCベンダーの比較図
費用と実績に加え、運用時の指標もそろえて見比べます。

6社は、知名度や機能数の順位ではなく、案件との適合性で比べます。本人確認の入口を早く導入する場合と、法人確認・AML・基幹連携まで一体化する場合とでは、適したベンダーも費用の構造も異なります。

RFPには、同じ前提条件を記載します。そのうえで、初期費用だけでなく、利用料、連携開発、保守、審査運用を含む3年TCOで評価します。

実績と経験の確認方法

「金融に強い」という説明に加えて、自社に近い業種・顧客数・本人確認方式の事例を確認します。実績の具体性は、数値と体制の両面から比べます。

  • 運用指標:完了率、平均審査時間、再提出率、目視審査割合
  • 復旧指標:障害時の復旧時間
  • 事例条件:業種、月間件数、連携先、導入期間、双方の担当範囲

事例企業の名前を開示できない場合でも、これらの条件を聞けば比較できます。

技術力と専門性の評価

本人確認は、対応書類、JPKI、ICチップの3つを軸に一覧にして比べます。加えて、機能面の対応状況も同じ基準で見ておきます。

  • 顔照合
  • ライブネス
  • 法人確認
  • PEPs・制裁・反社チェック

標準機能と追加開発は分けて見積もり、あわせて判定について次の点を確認します。

  • 判定の説明:要確認となった理由を追える
  • 監査ログ:最終判断者と、ルール・モデルの版数
  • 救済方法:誤判定時の再提出や人手審査への移行

AIを使う場合は、判定精度に加えて、判断過程を監査できるか、誤判定された顧客を救済できるかも確認します。

プロジェクト管理体制の確認

要件定義、セキュリティ、法務・コンプライアンス、開発、導入後サポートの各責任者を、あらかじめ明確にしておきます。また、契約には障害時や解約時の対応も盛り込んでおく必要があります。

  • 継続対応:API停止時の代替、リスト・法令更新への対応
  • 委託条件:再委託先と、データの返却・削除
  • 解約条件:解約後の移行費

SaaSの場合も、顧客・ケース・監査データをベンダーに任せきりにせず、自社で保有するデータの範囲を決めておきます。

ポイント

案件との適合性を軸に、3年TCOと運用指標を同じ前提で並べると、候補を絞り込みやすくなります。事例の条件も、同じ基準でそろえておく必要があります。

よくある質問

eKYCだけで要件を満たせるか、費用はいくらか、開発会社とサービス会社のどちらに相談するかという質問があります。

KYCシステムとeKYCの違いは何ですか?

eKYCは、オンラインで本人確認を完結させる入口の仕組みです。一方、KYCシステムは、本人・法人確認から監査ログまでを含む業務基盤です。

具体的には、リスク評価、審査ケース、継続的な情報更新、取引モニタリングも扱います。本人確認だけであればeKYC API、法人確認やAMLまで必要な場合は、複数のサービスと自社の業務基盤を組み合わせます。

KYCシステムの開発費用はいくらですか?

標準的なeKYC API連携は初期0〜300万円、法人確認や審査画面、CRM連携を加える場合は300万〜1,500万円が、編集上の目安です。

AMLや基幹連携を含む金融向けパッケージは1,000万〜5,000万円程度です。一方、大規模なスクラッチ開発では、5,000万円から数億円以上になる可能性があります。

これは公開価格と類似案件から整理した概算で、月間件数、対応書類、目視審査、保存・監査要件によって変わります。

開発会社とeKYCベンダーはどちらに相談すべきですか?

本人確認だけを早く加えたいならeKYCベンダー、顧客・審査・監査・基幹連携まで再設計するなら開発会社やSIerが候補になります。

実務では、eKYCを外部APIで使い、顧客・ケース・監査ログを自社基盤に持つ構成も比較の候補になります。方式を最初から固定しなくてもかまいません。

PoCで、完了率、審査時間、再提出率、誤判定率、1件あたりのコストを測り、そのうえで決めます。

ポイント

本人確認だけを早く加えたいのか、審査・監査や基幹連携まで再設計したいのかで、相談先の候補と、見込む費用の幅が大きく変わります。

まとめ

開発会社やベンダーは、本人確認方式に加えて、法人KYB、AML、審査運用、監査ログ、既存連携、法改正対応まで含めて比べます。

riplaは業務整理から個別開発までを支援します。TRUSTDOCKは本人確認と顧客確認のAPI・BPOに対応します。Liquidは、ICチップ・顔認証と大量処理を重視する企業に向いています。

自社に必要な範囲からの候補の絞り込み

Polarifyは、金融・カードの本人確認と生体認証に対応します。GMOグローバルサインは小規模なAPI導入、NTTデータはJPKIと金融業務・基幹連携を含む大規模案件の相談先です。

同じRFPをもとに、初期費用、月額、従量課金、連携費、保守費を3年TCOで比べます。そのうえで、価格以外にも、障害時の代替、データ返却、再委託、法改正対応を確認します。

小さなPoCによる導入効果の測定

全顧客や全業務を一度に切り替えず、まずは一つの申込導線に限って、本人確認の完了率や平均審査時間を測ります。あわせて、再提出率、誤判定時の救済率、運用担当者の工数も確かめます。

KYCは、法令、不正の手口、端末環境の変化に合わせて、継続的に改善していくシステムです。導入前の要件整理と導入後の改善をともに進めるパートナーであれば、使い続けられるKYC基盤を構築しやすくなります。

▼全体ガイドの記事
・KYCシステム開発の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。