管理会計システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

管理会計システムの発注・外注は、Excelの帳票を置き換えるだけではなく、予算・実績・見込を同じ定義で集め、事業の採算や差異の原因を早く判断できる仕組みを委託先と設計することです。

「SaaSを契約すべきか、個別開発すべきか」「RFPには何を書けばよいか」「見積金額をどう比較すればよいか」と悩む経営企画、経理、情報システム、事業管理の担当者に向けて、発注形態の選び方、要件整理、契約、費用相場、委託先選定、導入後の保守までを2026年時点の情報で解説します。

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管理会計システムの発注・外注はどのように考えますか?

管理会計システムの発注方針を検討する担当者

管理会計システムの発注では、製品を選ぶ前に「どの会議で、誰が、どの数字を見て、どの判断を変えるのか」を決めます。財務会計が外部報告のための正確な記録を重視するのに対し、管理会計は部門、商品、顧客、案件、拠点などの切り口で経営判断を支える情報基盤です。したがって、機能数よりも管理軸、データの責任者、締め処理、差異分析の使いやすさが成否を左右します。

管理会計システムは財務会計システムと何が違いますか?

財務会計システムは、仕訳、決算、税務、法定帳簿など、社外へ説明するための会計処理を正確に行うことが主な目的です。一方、管理会計システムは、財務会計の実績に販売、購買、在庫、生産、案件、人員などのデータを組み合わせ、社内の意思決定に使える形へ変換します。たとえば同じ売上でも、商品別の粗利、営業担当別の受注確度、拠点別の固定費、プロジェクト別の工数を確認できるようにします。

この違いを曖昧にしたまま外注すると、会計ソフトの帳票を増やしただけで、予算の作成、配賦、見込更新、シナリオ比較まで進まないことがあります。発注書やRFPでは「法定決算を効率化する範囲」と「経営会議で使う分析・計画の範囲」を分けて記載し、どちらを正のデータとするかも明確にしてください。

管理会計システムを外注するタイミングはいつですか?

外注を検討しやすいのは、月次報告のたびに複数のExcelを転記している、部門ごとに売上や利益の定義が異なる、配賦計算が担当者の手作業に依存している、予実差異の原因を調べるまでに日数がかかるといった状態です。これらは単純な入力画面の不足ではなく、データモデル、業務ルール、権限、連携の設計が必要な課題です。

自社に業務とデータを理解する責任者がいても、会計、販売、案件、人事などを横断した設計やAPI連携、セキュリティ、移行、テストをすべて内製できるとは限りません。外注する場合も丸投げは避け、発注側は目的と業務上の正解を持ち、委託先は設計・開発・品質管理の専門性を担う役割分担にすると、導入後の定着につながります。

発注形態はどれを選びますか?

管理会計システムの発注形態を比較するチーム

発注形態は、管理会計の標準業務へ自社を合わせられるか、独自の配賦や多軸分析が競争力に直結するか、既存システムと何本連携するかで選びます。一般には、標準化できる部分をクラウド製品で始め、差別化された連携や帳票だけを追加開発する構成が、導入速度と柔軟性のバランスを取りやすい方法です。

SaaS・パッケージ導入はどの企業に向いていますか?

予算入力、予実差異、承認、基本的な部門別集計など、一般化しやすい業務を早く整えたい企業には、管理会計・予実管理のSaaSや会計パッケージが向いています。初期開発を抑えやすく、アップデートやバックアップを自社だけで抱えにくい点も利点です。従業員数や利用者数が少なく、まず1事業部で月次サイクルを試したい場合は、製品を契約して設定・研修を委託する方法が現実的です。

ただし、製品の標準項目に合わせることで、特殊な配賦ルール、独自の責任会計、複雑なシナリオ、既存ERPとのリアルタイム連携が制約される場合があります。管理軸の数、会社数、ユーザー数、データ保持期間、APIやCSVの利用条件、データ返却方法を契約前に確認し、「標準」「設定」「追加開発」「対象外」を機能ごとに分けてください。

クラウド製品と個別開発を組み合わせる方法とは?

ハイブリッド型では、予算・実績の入力やワークフローはパッケージ、販売・案件・人員データの取り込みはAPIやETL、独自の経営ダッシュボードはBIや限定的な個別開発で実現します。すべてを一から作らないため、検証とリリースを早めつつ、現場が本当に必要とする管理軸へ投資できます。最初の対象を1事業部、1つの月次報告、数本の連携に限定し、運用できた部分から全社へ広げる進め方が有効です。

発注時は、製品ベンダー、導入支援会社、個別開発会社の責任範囲を一枚の構成図にします。連携障害が起きたときにどこへ連絡するのか、データ変換の不具合は誰が切り分けるのか、製品アップデートで追加開発が壊れた場合の費用は誰が負担するのかを定義することが重要です。

スクラッチ開発を選ぶべきケースは何ですか?

業界固有の採算管理、複雑な配賦、細かな権限、複数会社をまたぐ独自の責任会計など、標準製品では業務を大きく変えなければならない場合は、スクラッチ開発が候補になります。自社に合わせた操作や計算を作れる反面、要件が膨らみやすく、保守人材、セキュリティ更新、会計基準や制度変更への対応を発注側が長期的に管理する必要があります。

スクラッチを選ぶ場合も、最初から全社の帳票を再現しないことが大切です。経営会議で最も頻繁に使う利益分析や予算見込をMVPとして作り、数値の正しさと現場の利用率を確認してから、配賦、シミュレーション、子会社展開などを追加します。AIによる予測や異常検知は補助機能として扱い、元データの品質と計算根拠を検証できる設計を優先してください。

RFP・要件整理はどのように進めますか?

管理会計システムの要件を整理する会議

RFP(提案依頼書)は、製品名や画面仕様を先に決める文書ではなく、委託先が同じ条件で提案・見積できるようにする発注側の基準です。現行業務を棚卸ししてから、MUST、WANT、今回対象外を分け、成果物、希望時期、予算の考え方、質問方法まで記載します。発注前の要件が粗いほど、各社の見積もりが違う前提で作られ、価格比較が難しくなります。

最初に現行業務と意思決定を棚卸しします

まず、予算を作る担当、実績を確定する担当、承認者、月次報告の締め日、差異を調査する部門、経営会議で見る資料を一覧にします。Excelファイルは、ファイル名だけでなく、入力セル、計算式、参照元、更新頻度、作成者、利用会議、廃止できるかまで確認します。表面上は同じ「営業利益」でも、配賦前か配賦後か、速報値か確定値かが違えば、連携しても数字は一致しません。

次に、導入効果を測る指標を決めます。月次報告の締め日を何営業日短くするか、Excel集計時間を何時間減らすか、予実差異の原因特定にかかる時間をどこまで短くするか、手入力や二重入力を何件減らすかを設定します。単に「ダッシュボードを作る」ではなく、システム稼働後の行動変化まで定義すると、機能の優先順位を付けやすくなります。

管理軸とデータ連携の要件はどう決めますか?

管理会計では、勘定科目だけでなく、会社、部門、事業、商品、顧客、地域、案件、責任者、期間、シナリオなどのディメンションを定義します。すべての軸を最初から増やすとデータ入力とマスタ管理が重くなるため、経営会議で使う軸、現場が入力できる軸、将来必要な軸を分けます。配賦計算を行う場合は、配賦元、配賦先、基準値、適用期間、端数処理、再計算の履歴まで要件に含めてください。

連携要件では、会計、販売、購買、在庫、生産、勤怠、案件、CRMなどのシステムごとに、データ項目、取得頻度、連携方式、エラー時の再処理、正とするシステム、保持期間を記載します。APIでリアルタイム連携するのか、日次のCSVで十分なのかを業務サイクルから判断し、連携本数だけでなく、コード変換、過去データ移行、欠損値の扱いを見積もり対象にしてください。

RFPには何を記載すればよいですか?

RFPには、背景と目的、対象会社・部門、利用者数、現行システム、対象業務、管理軸、予算入力と承認、予実差異、配賦、見込・シナリオ、帳票・ダッシュボード、外部連携、移行データ、権限、監査ログ、バックアップ、障害対応、研修、保守、希望スケジュールを記載します。機能ごとに「標準機能で対応」「設定で対応」「追加開発が必要」「提案に任せる」を回答してもらう欄を用意すると、製品の制約と追加費用を把握できます。

提案依頼時には、各社へ同じサンプルデータと月次締めのシナリオを渡します。たとえば、予算入力、販売実績の取込、共通費配賦、差異の原因確認、部門長の承認、経営会議用レポート出力までを一連のデモで見せてもらいます。資料の見栄えだけでなく、数値の根拠、例外処理、操作ログ、データのエクスポートを確認すると、導入後に使える提案かを見極めやすくなります。

契約形態と責任範囲はどこまで決めますか?

管理会計システムの契約条件を確認する担当者

管理会計システムでは、要件が固まった工程と探索が必要な工程が混在します。契約形態を一つに決めるのではなく、企画・要件定義、製品選定、開発、保守を工程ごとに分け、成果物と変更手続きを対応させることが現実的です。特に、配賦や既存データの品質は実データを確認しないと確定しにくいため、初期調査を独立した契約にする方法もあります。

請負契約はどの工程で使いやすいですか?

請負契約は、合意した成果物を決めた納期・金額で完成させ、検収する工程に向いています。要件定義書、基本設計書、画面・帳票、連携仕様、テスト仕様、操作マニュアルなど、何を納品物とするかを契約書や別紙で具体化してください。「管理会計に対応する」とだけ書くのではなく、部門別損益、予算版管理、配賦、承認、権限、ログなどの受け入れ条件を定義します。

請負では、発注側の確認遅れや前提条件の変更が納期・費用に影響します。要件の未確定部分を残したまま固定価格にすると、委託先がリスクを上乗せするか、後から追加費用になりやすいです。変更要求の受付者、見積の再提示、承認者、納期の再計画、キャンセル時の扱いを変更管理の手順として合意してください。

準委任契約・ラボ型開発はどのような場合に向きますか?

準委任契約は、作業時間や専門家の支援を受けながら、要件を検証し、段階的に成果物を作る場合に向いています。管理軸や連携データを実際に確認しながら、画面の試作、データモデル、MVP、追加機能を順番に決められるため、探索的な企画やアジャイル開発と相性があります。ただし、完成責任が請負と同じではないため、作業範囲、担当者、稼働時間、成果物、定例報告、品質確認の方法を別途明確にします。

契約期間を月単位にする場合は、毎月の終了条件を「会議を実施した」ではなく、「連携仕様を確定した」「予算入力のプロトタイプを受け入れた」のように確認可能な形にします。発注側の意思決定が遅いと、作業時間だけが消化されることがあります。業務責任者と決裁者を置き、質問への回答期限を社内で守る体制が不可欠です。

契約書でデータ・知的財産・保守を確認します

契約時は、入力データやマスタの所有権、生成した帳票や設定の利用権、ソースコード・設計書・API仕様書の引き渡し、再委託の可否、秘密保持、個人情報や機密情報の取り扱いを確認します。クラウドサービスを使う場合は、契約終了時のデータ返却形式、削除証明、エクスポート可能な期間、サービス停止時の対応も重要です。

保守契約では、問い合わせ受付時間、障害の重要度、一次回答、復旧目標、バックアップ、脆弱性対応、法改正や会計基準変更への対応、軽微な改修の範囲を定義します。IPAが2026年3月に公開した中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版では、サプライチェーンを含むサイバー攻撃への備えが拡充されています(出典: IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版、2026年)。委託先だけに任せず、MFA、最小権限、監査ログ、バックアップ、インシデント時の連絡先をRFPと契約へ反映してください。

管理会計システムの費用相場とコスト内訳

管理会計システムの費用見積を確認する担当者

管理会計システムの費用は、管理軸の数、会社・部門数、利用者数、配賦やシナリオの複雑さ、既存システムとの連携、過去データの移行、権限・監査要件、導入支援の範囲で大きく変わります。以下は公開情報と類似する予実管理・ERP導入の情報をもとにした予算取り用のレンジで、個別案件の確定価格ではありません。発注前に同じ要件で提案を受け、含まれる作業を確認してください。

規模別の費用相場はいくらですか?

小規模SaaSや会計ソフトの予実管理拡張は、初期費用0万〜100万円程度、月額5万〜30万円程度、1〜3か月を一つの目安にできます。パッケージ導入に設定、帳票変更、研修を加える場合は、初期100万〜500万円程度、2〜6か月程度が目安です。公開価格の一例として、OBCの個別原価管理向けクラウドは初期費用が税別5万円からと案内されていますが、製品構成や利用条件で料金が変わるため、管理会計全体の導入費と同一視できません(出典: 株式会社オービックビジネスコンサルタント「個別原価管理の勘定奉行クラウド 料金体系」、2026年確認)。

複数事業部、配賦、複数のERP・販売システム連携を含む中規模開発は、初期900万〜2,400万円程度、6〜12か月程度を予算検討のレンジとします。大規模EPMやグループ経営管理では、初期3,000万円以上、1年以上となることもあります。2025年時点の予実管理システム開発情報では、エンジニア単価60万〜120万円、規模によって5〜30人月程度という整理があります(出典: 株式会社ripla「予実管理システム開発の完全ガイド」、2025年)。

見積書ではどの費用項目を確認しますか?

初期費用は、企画・要件定義、製品選定、環境設定、画面・帳票設定、データモデル、連携開発、配賦ロジック、データ移行、テスト、マニュアル、研修、リリース支援に分けて確認します。合計金額だけでは、安い見積もりが要件定義や移行を含めていない可能性を見抜けません。工程別の人月、担当ロール、成果物、前提条件、除外事項をそろえてもらうことが重要です。

人件費以外にも、クラウド利用料、データベース、BI、ETLやiPaaS、外部API、認証、監視、バックアップ、サポートの費用が発生します。ライセンスは利用者数や会社数、モデル数、環境数で変わる場合があります。追加ユーザー、管理軸の追加、会社追加、帳票追加、連携先追加の単価を事前に聞いておくと、稼働後の拡張費を比較できます。

ランニングコストと補助金はどのように見ますか?

保守・改善費は、初期開発費の年5〜15%程度を一つの目安とし、クラウドの月額、監視、バックアップ、問い合わせ、障害対応、セキュリティ更新、法改正・会計基準対応、軽微な帳票変更を含めて5年TCOで比較します。特に管理軸や組織変更を毎年行う企業は、追加開発の単価と保守契約の対象外作業を確認しないと、初期費用が安くても総額が膨らみます。

2026年のデジタル化・AI導入補助金の通常枠では、対象ITツールのソフトウェア購入費、クラウド利用料最大2年分、導入設定、研修、保守などが対象経費として案内され、補助額は1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下、補助率は原則2分の1以内などとされています(出典: 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠」、2026年)。ただし、登録ITツール、申請時期、対象者、交付決定前の契約禁止などの条件があるため、補助金を前提に価格を断定せず、公募要領と支援事業者を確認してください。

委託先の選び方と見積比較のポイント

管理会計システムの委託先と見積を比較する担当者

委託先選定では、企業規模や知名度だけでなく、管理会計の業務理解、データ連携の経験、発注後の責任者、保守体制、製品やクラウドに対する中立性を評価します。管理会計専用SaaSのベンダー、ERP・連結会計に強い会社、個別開発会社、業務コンサルティング会社では得意領域が異なります。自社の課題に合う候補を複数タイプから選び、同じRFPで比較してください。

開発会社と製品ベンダーはどのように使い分けますか?

予算・予実管理の標準化が主目的なら、製品の機能と導入実績を持つベンダーや導入支援会社が候補です。複数会社の連結、制度会計と管理会計の統合、グループ経営まで対象にするなら、連結・EPMの経験がある会社を検討します。既存ERPや販売システムとの独自連携、業務に合わせた画面や計算が中心なら、個別開発の設計力と保守力を評価します。

発注窓口が一社でも、実際には一次請け、導入パートナー、再委託先、クラウド事業者が関わることがあります。提案時にプロジェクト体制、各社の担当範囲、再委託の有無、障害時の指揮系統、担当者の離任時の引き継ぎを確認してください。Oracleの2025年のNECキャピタルソリューション導入事例では、Oracle Cloud ERPを導入し、構築をアクセンチュアが担当したと公表されています(出典: 日本オラクル「NECキャピタルソリューション、Oracle Cloud ERPを導入」、2025年)。製品会社と構築会社の役割を分けて評価することが実務上のポイントです。

見積書はどの項目をそろえて比較しますか?

見積比較では、金額を横並びにする前に、前提条件をそろえます。会社数、部門数、利用者数、管理軸、連携本数、過去データの年数、帳票数、環境数、想定する同時利用者、研修回数、保守期間を比較表の条件に固定します。同じ「データ移行」でも、Excelの整形だけを含む会社と、コード変換・重複排除・検証まで含む会社では工数が変わるため、作業内容を分解してください。

評価項目は、費用と納期だけでなく、要件理解、提案の具体性、標準機能と追加開発の切り分け、数値検証の方法、プロジェクト管理、担当者の経験、セキュリティ、保守、データの可搬性を含めます。極端に安い見積もりは、テスト、移行、研修、障害対応、設計書のどれかが除外されていないかを確認します。逆に高い見積もりも、過剰なカスタマイズや不要なライセンスが含まれていないか見直してください。

委託先の実績とリスクはどう確認しますか?

実績は、単に「管理会計の導入実績がある」と聞くだけでなく、自社と似た会社数、事業部数、管理軸、ERP、導入期間、運用体制を確認します。可能であれば、公開事例だけでなく、匿名化された要件定義書の例、受け入れテストの進め方、稼働後の問い合わせ件数、担当者の継続率を質問します。守秘義務で詳しく話せない場合も、どの範囲なら説明できるかという姿勢から信頼性を判断できます。

セキュリティでは、データの保管場所、暗号化、MFA、権限の分離、操作ログ、バックアップ、脆弱性の報告、再委託、インシデント時の連絡、復旧目標を確認します。管理会計データは人件費、利益率、取引条件などの機密情報を含むため、経営層だけでなく部門長、現場、委託先が見られる範囲を細かく設定する必要があります。契約終了後のデータ返却と、委託先に残るコピーの削除まで確認できる会社を選んでください。

発注から運用開始までの進め方

管理会計システムの導入計画を確認するチーム

発注先を決めた後は、要件定義、設計、開発・設定、データ移行、テスト、研修、リリース、運用改善へ進みます。各工程の終わりに発注側の確認を置き、未決事項と追加費用の可能性を残したまま次へ進まないことが重要です。特に、管理会計は月次締めという実際の業務サイクルで検証しなければ、導入後に初めて問題が発覚します。

最初はPoCやMVPで何を検証しますか?

PoCやMVPでは、機能の多さではなく、数値の整合性と業務定着を検証します。対象を1事業部、1つの予算サイクル、1つの経営会議資料に絞り、予算入力、実績連携、差異分析、承認、レポート出力を実データに近い条件で試します。Excelと新システムの数字を突合し、差異が出た場合にどの担当者がどの根拠で修正するかまで確認します。

検証指標は、入力完了率、月次締めの所要日数、差異原因を特定する時間、手作業の回数、利用部門の割合、問い合わせ内容などにします。PoCで基準値を取っておくと、全社展開後に導入効果を説明できます。試作品の見た目だけで契約を決めず、データ取込の失敗、権限不足、締め後の訂正、再計算、出力データの再利用まで確認してください。

受け入れテストと研修で現場利用を確かめます

受け入れテストでは、正常な入力だけでなく、未入力、重複、締め後の訂正、権限のない閲覧、外部連携の遅延、配賦基準の変更、データの再取込、バックアップからの復旧を確認します。テストシナリオは発注側の業務担当者が承認し、委託先の説明だけでなく実際に使う人が操作します。検収条件には、重要な不具合が残っていないこと、帳票の数字が検証済みであること、マニュアルが揃っていることを含めます。

研修は、管理者向け、予算入力者向け、承認者向け、経営会議の閲覧者向けに分けます。操作方法だけでなく、数字の定義、入力締め、差し戻し、問い合わせ先、Excelとの使い分けを伝えます。稼働後1〜3回の月次締めに委託先が同席し、エラーや質問を記録して改善する体制を契約へ含めると、現場が使わなくなるリスクを下げられます。

稼働後はどのKPIで改善を判断しますか?

稼働後は、ログイン数だけで成功と判断せず、月次報告の締め日、予算入力の完了率、差異原因の特定時間、手入力・二重入力の件数、修正予算の作成期間、利用部門率、問い合わせ件数、経営会議でのレポート利用状況を継続して測ります。管理会計システムの価値は、画面を使った人数より、意思決定が早くなり、利益や資源配分の見直しが行われたかで評価するためです。

月次レビューでは、未利用の機能、入力が滞る部門、数字の定義が揺れる項目、連携エラー、追加したい管理軸を確認します。追加開発は要望をそのまま積み上げず、経営判断への効果、利用者数、データ品質、保守負荷、費用を見て優先順位を決めます。AIによる予測を追加する場合も、予測値の根拠、学習データ、誤差、承認者の責任を説明できる状態を先に整えてください。

管理会計システム発注・外注のよくある質問

管理会計システムのよくある質問を確認する担当者

管理会計システムの発注では、費用だけでなく、どこまで外部へ任せるか、既存業務をどこまで標準化するか、稼働後に誰が数字を管理するかが疑問になりやすいです。ここでは、見積依頼前に確認したい質問へ直接回答します。

管理会計システムはSaaSとスクラッチのどちらで発注すべきですか?

標準的な予算・予実管理を早く始めたい場合はSaaSやパッケージ、独自の配賦・多軸分析・業務連携が競争力に直結する場合はスクラッチが候補です。実務では、標準機能を使い、連携や帳票だけを個別開発するハイブリッド型が検討しやすいです。管理軸、会社数、連携、将来の拡張、5年TCOを同じ条件で比較して決めてください。

管理会計システムの外注費用はどれくらいかかりますか?

小規模SaaSや予実管理の設定は初期0万〜100万円程度、パッケージ導入は100万〜500万円程度、中規模の連携・配賦を含む開発は900万〜2,400万円程度、大規模EPMは3,000万円以上というレンジが予算検討の目安です。これは公開情報や類似案件から整理した幅であり、利用者数、管理軸、移行、連携、保守を含む範囲によって変わります。複数社へ同じRFPを渡し、初期費用、月額、保守、追加開発を分けて見積もってください。

RFPを作れない場合でも外注できますか?

外注できます。RFP作成支援や現状分析・要件定義だけを先に委託し、現行Excel、会計、販売、案件データ、月次報告の流れを整理してから、製品選定と開発の見積もりへ進む方法があります。最初の支援契約では、業務フロー、管理軸一覧、データ項目、優先順位、概算予算、次工程のRFPを成果物として合意し、調査後に本開発の契約を判断するとリスクを抑えやすくなります。

管理会計データを外注先へ渡しても安全ですか?

安全性は、外注するかどうかではなく、誰がどのデータへアクセスし、どのように保護・監査・削除するかで決まります。機密度を分類し、最小権限、MFA、暗号化、操作ログ、バックアップ、再委託の管理、障害時の報告、契約終了後の返却・削除をRFPと契約へ記載してください。実データを渡す前に匿名化したサンプルで検証し、必要な期間だけアクセスを許可することも有効です。

まとめ

管理会計システムの発注計画をまとめる担当者

管理会計システムの発注・外注では、まず「どの意思決定を早くしたいか」を定め、現行Excelとデータの流れ、管理軸、締め処理、権限を棚卸しします。そのうえで、SaaS・パッケージ、クラウドと個別開発の組み合わせ、スクラッチの違いを、標準機能と追加開発の境界で比較してください。

発注前にRFPと比較条件を整えます

RFPには、目的、対象範囲、MUST・WANT、管理軸、連携、移行、セキュリティ、テスト、研修、保守、データ返却を記載し、同じサンプルシナリオで提案とデモを受けます。見積書は初期費用だけでなく、月額、保守、追加開発、ライセンス、クラウド、移行、5年TCOで比較し、安さの理由と高い理由を確認します。

委託先と運用まで責任を分担します

契約形態は、確定した成果物には請負、探索や要件整理には準委任など、工程の性質に合わせて選びます。委託先の実績、担当体制、再委託、セキュリティ、保守、契約終了時のデータ返却を確認し、PoCや段階導入で数値の正しさと現場利用を検証してください。管理会計システムは納品して終わりではなく、月次報告や経営判断を改善し続けるための基盤です。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。