医療機関向け医療材料管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

医療機関向け医療材料管理システムの費用は、導入規模、管理範囲、連携要件によって、初期30万円から3,000万円以上まで大きく変わります。

ここで示す金額は、公開価格や近い事例から見た概算です。全体像は、下の完全ガイドでも確認できます。

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・医療機関向け医療材料管理システム開発の完全ガイド

医療機関向け医療材料管理システムの全体像

医療材料管理システムは、院内で使う医療材料を購入から廃棄まで追跡します。対象は診療材料と手術材料が中心で、カテーテル関連品や医療用消耗品も含まれます。

医療材料管理システムは、倉庫の在庫数を管理するだけでなく、現場業務と医事請求、医療安全、経営分析をつなぐ役割を担います。

管理対象の範囲

在庫数以外に何を記録し、どこと連携するかを洗い出すと、必要な機能が見えてきます。

  • 管理する材料:診療材料、手術材料、カテーテル関連品、医療用消耗品
  • 登録情報:品目の基本情報(メーカー、販売名、規格、単位)と、仕入先、保管場所、定数、ロット、有効期限、GS1コード
  • 担当業務:購買は発注点と仕入価格、倉庫は入荷・検収・棚卸、病棟・手術室は払出と使用の記録を受け持つ
  • 患者・手術との連携:医事会計や手術部門のデータと結び、請求漏れや追跡上の問題を抑える

SPD業務とシステム導入の切り分け

システム導入とSPD業務の委託が、一体で提案されることがあります。SPDは院内物流をまとめて管理する考え方です。

委託する作業には、発注や検品、搬送のほか、定数補充や手術室への材料準備などがあり、その範囲に応じて、システム費用とは別に運用費が発生します。

実際に、2023年の調査をもとにした研究では、回答病院の78.3%が医療材料SPD業務を委託していました(出典: J-STAGE「医療材料SPDの業務委託範囲に関する考察」、2025〜2026年公開)。

費用を左右する前提条件の整理

見積もりの前に、病床数、対象部署、品目数などの規模の条件を整理しておきます。

月間入出庫件数や預託品の有無もあわせて押さえ、ロット・期限管理をどこまで細かく扱うか、使用実績から請求までの流れをどうするかも確認します。

依頼を「在庫管理システム一式」とまとめてしまうと、後から対象範囲が増え、連携やマスター作業の追加費用が発生することがあります。

医療機関向け医療材料管理システムの費用相場

小規模診療所から大規模病院・複数施設まで、4段階の初期費用目安を並べた尺度図。
導入範囲が広がるにつれて、初期費用の目安も上がります。

病院向けシステムには、統一された公開定価がほとんどありません。そのため、公開価格や病院向けの個別開発事例を手がかりに、導入規模ごとの予算の幅を考えます。

ここから示すのは予算取りのための概算で、医療材料管理専用品の確定価格ではありません。

クリニック・小規模診療所は初期30万〜80万円程度

小規模な導入では、費用と対応できる業務の範囲を並べて見ます。

  • 費用目安:1施設または少数の診療科が対象で、初期30万〜80万円、月額2万〜5万円程度
  • 対象機能:QR・バーコードでの使用登録、発注、期限管理、簡単な帳票出力

一例として、pittoは標準プランを月額3万円から、機器を含む初期費用を30万円と掲載しています。一方、買取プランは月額2万円です(出典: pitto公式料金プラン、2025年12月時点掲載)。

また、株式会社ナベルのクラウド型薬品在庫管理システムODSSは、初期費用30万円から、月額2万円からと公開しています。新規導入や切り替えの目安は、約1〜2か月です(出典: 株式会社ナベル「ODSS 病院の方へ」)。

ODSSは薬品在庫向けのクラウドシステムで、小規模なクラウド在庫管理の下限を考える参考になります。

マスター登録代行や複数端末の設定を加えたり、現地教育や外部連携を足したりすると、費用がこの価格帯を超える場合があります。

1〜2部署の導入は初期100万〜300万円程度

導入する部署を限る場合は、費用と機能、見積もりの条件をあわせて確認します。

  • 費用目安:初期100万〜300万円、月額3万〜15万円、または年額保守
  • 対象部署と機能:病棟・手術室・材料倉庫の一部で、マスター、入出庫、定数、棚卸、CSV出力を扱う
  • 費用差の条件:パッケージ・SaaSの利用、病院側の品目コード名寄せ、ハンディ端末の台数

全院展開を見据えつつ、最初に導入する部署は絞り込みます。入力回数や棚の配置を確かめないまま画面を作ると、後から運用変更や追加開発が必要になります。

まず1部署で実績データを集め、定数や発注点を見直してから対象を広げれば、初期費用と手戻りを抑えられます。

100〜300床程度の標準SPDは初期500万〜1,200万円程度

標準SPDの予算を考えるときは、費用と合わせて、導入範囲と規模の条件もそろえておきます。

  • 費用目安:初期500万〜1,200万円、月額10万〜40万円、または初期費用の15〜20%程度の保守
  • 標準的な範囲:複数部署と倉庫の在庫を、発注・検収・払出・補充・棚卸の流れで扱い、定数・期限管理やGS1・医事会計連携を含む
  • 金額を左右する条件:部署・品目数、月間取引件数、端末数、連携先数

例として、株式会社システムアーツのMr.SPDは、基本システムの保守料を月額25,350円と公開しています(出典: 株式会社システムアーツ「Mr.SPD」)。

公開価格は総額とは限らないため、導入作業や機器、オプションの費用を分けて確認します。

連携やマスター移行、現地支援も別に見ておくと、予算のずれを防げます。

大規模病院・複数施設は1,200万〜3,000万円以上

大規模な案件では、予算の幅と、その金額が含む業務の範囲を分けて捉えます。

  • 費用と期間:初期1,200万〜3,000万円以上、月額30万〜100万円以上、12〜18か月以上の場合がある
  • 想定範囲:複数施設の在庫・購入単価統合、電子カルテ等との連携、RFID、患者別実績、請求、分析、移行

このレンジは、公開事例と一般的なSI工数から推定した予算です。専用品の公開価格をそのまま当てはめた数字ではありません。

近い事例として、株式会社スモールステップは、2025年6月公開の滅菌器材管理システムについて、プロジェクト規模850万円、開発期間1年と掲載しています(出典: 株式会社スモールステップ公開事例、2025年6月)。

この事例は対象業務や機能が医療材料管理システムと同じではありません。ただし、病院固有の業務を個別に開発する期間と費用を考えるための、近い事例です。

ポイント

予算の幅は、導入規模と、その金額に含まれる業務範囲をセットで読むのが目安です。数字は公開価格や近接事例に基づく概算として読み、最終的な金額は個別の見積もりで決まります。

医療材料管理システムの費用内訳

見積もりを中心に、業務設計、機能開発・データ移行・外部連携、端末・セキュリティ、保守・SPD運用の4領域を結んだ図。
各領域の作業範囲を分けると、見積もりの差を確認しやすくなります。

見積もりは、画面の開発費だけで成り立つわけではありません。業務設計やデータ整理、連携を分けて見ると、提案の差を説明できます。

端末やセキュリティ、テストも同じように分けて見ます。教育と保守を加えると、見積もりの範囲をそろえて比べられます。

「一式」とまとめられた項目は、誰が何を行うための費用かを確認します。

要件定義・業務設計にかかる費用

要件定義では、どの材料を、どの場所で、誰が、いつ登録するかを決めます。病院側の関係者が多いほど工数が増え、その分だけ費用も膨らみます。

発注点や定数、返品の扱いを決めるほか、預託品と持込品についても決めておきます。期限切れやロット追跡も、同じように整理します。緊急払出や通信障害時の紙運用は現場で迷いやすいため、あらかじめ決めておく必要があります。

現場の動線やバーコードを読む回数、承認者、例外処理を業務フローに落とし込む作業が、見積もりに含まれるかを確認します。

機能開発・データ移行・外部連携の費用

機能、接続方法、移行対象を分けて書いておくと、提案ごとに開発費の範囲を比べられます。

  • 開発機能:マスター、発注・入荷、在庫移動、払出、棚卸、使用実績、ロット・期限照会、帳票、権限
  • 連携先:電子カルテ、医事会計、購買、手術部門、会計、SPD事業者
  • 接続方式:CSV定期取込かAPI・電文か、リアルタイム性やエラー再送の要否
  • 移行データ:Excel・旧システムの品目、単位、仕入先、保管場所、定数、価格、病院固有コード

マスターの整理を後回しにすると、稼働後に材料を検索できなかったり、同じ材料が複数登録されたりします。請求コードも合わなくなりがちです。

移行では、データの件数だけでなく、名寄せの作業や確認、試行移行と本番移行の回数まで見積もります。

端末・バーコード・セキュリティの費用

ソフトウェア以外に必要な機器と、安全管理の要件も洗い出します。

  • 機器:端末、バーコードスキャナー、ラベルプリンター、棚・カート、RFIDリーダー
  • 設置範囲:倉庫だけか、病棟・手術室にも置くか、予備機を持つかで台数が変わる
  • RFIDの考慮点:タグ費用、電波環境、金属・液体の影響、読取後の確定操作
  • 安全管理:患者・手術と結ぶ場合は権限、認証、暗号化、ログ、バックアップ、復旧訓練、脆弱性対応

安全管理の要件を考えるうえで、厚生労働省は2026年6月に「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版を公表しています(出典: 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」、2026年6月)。患者・手術・請求の情報と連携する場合は、医療材料の情報だけのように見えても、安全管理の費用を削らずに見ておく必要があります。

保守・サポート・SPD運用の費用

稼働後の支援とSPD委託は、システム本体とは別に費用を確認します。

  • 稼働後の費用:ソフト保守、問い合わせ・障害対応、バックアップ監視、マスター更新、端末交換、追加機能、教育
  • 別料金の条件:休日対応、現地訪問、追加帳票、連携変更、データ抽出、解約時の返却
  • SPD委託:システム・機器・材料・委託を分けたうえで、発注、検品、搬送、補充、棚卸、手術材料の取揃えを確認

病院側でデータを取り出せるか、解約時に返却されるかも確認します。特に、返却条件は長期のコストとベンダーロックインを左右します。

委託範囲が広いほど、職員の作業は減る可能性があります。ただし、評価方法やデータ活用が曖昧なままだと、費用対効果を確かめられません。

委託する業務と、病院が担う承認、成果指標は、契約書と運用設計に明記しておきます。

ポイント

見積もりは、要件定義から保守までを領域ごとに分けて比べると、一式にまとめられた作業の中身が見えてきます。移行や連携の回数まで含めて比べるのが目安です。

医療材料管理システム開発・導入の進め方

費用を抑えて失敗を防ぐには、最初から全機能を作らず、業務の優先順位を決めて段階的に導入します。マスターや現場の動線から既存システム、請求まで、一体で考えます。

用度、購買、医事の担当者に加え、看護や薬剤、臨床工学、手術室、情報システム部門も参加する体制を作ります。

現状調査と小規模PoC

まず、材料の入荷から保管、払出、使用確定、請求までを業務フローに描きます。そのうえで、紙伝票やExcelの項目、入力者、入力のタイミング、例外処理を確認します。

導入前の状態を数字で残すため、棚卸時間と欠品件数、期限切れ廃棄を記録します。請求漏れや在庫金額、現場の入力時間も同じように残しておくと、導入後の比較ができます。

  1. 1診療科や1倉庫、1手術室などに対象を絞り、バーコード、定数補充、期限管理、使用登録を試します。
  2. 現場が迷わず登録できるか、通信障害時も業務を続けられるか、請求や棚卸にデータを使えるかを確かめます。
  3. PoCの実測値を、本導入の見積もりと要件に反映します。

マスターと連携仕様の先決め

稼働後の照合や請求が滞らないように、登録情報とデータの受け渡し方を先に決めておきます。

  • マスター項目:名称、メーカー・販売元、規格、単位、仕入先、保管場所、GS1、ロット、期限、償還・請求情報
  • 名称と更新:現場名と請求コードが違う場合は表示名と正式コードを対応させ、新規採用品・終売品の更新担当を決める
  • データ連携:電子カルテの患者・手術情報、医事会計への使用材料、購買からの発注情報を、どこまで扱うかを整理する

例えば、大阪大学医学部附属病院などのRFID導入事例では、使用材料とロット情報が活用されています。一方、統合物流システムとの接続や特定保険医療材料の請求には課題があります(出典: J-STAGE「RFIDタグを用いた医療材料管理システム導入による現状と課題」、2025年46巻2号)。

RFIDを導入する場合も、連携と確定操作まで含めて設計します。

連携テスト・並行稼働・全院展開

本番の前後に行う試験と、全院展開へ進む条件を、順番に押さえます。

  1. 通常業務に加えて、返品や欠品、期限切れ、ロット回収、預託品を試します。緊急手術や端末紛失、ネットワーク停止、連携エラーもテストします。
  2. 本番直後は、紙や旧システムと並行して稼働させ、二重入力をやめる条件を決めます。
  3. 棚卸差異や入力の遅れ、請求漏れ、問い合わせ件数が基準を満たした部署から、次へ段階的に広げます。

実際の品目や運用に近いテストデータを使い、在庫数と請求データが一致するかを確かめます。あわせて、ログから誰が何を確定したかも検証します。

医療材料管理システムの費用が変動する要因

医療材料管理システムの費用要因を、導入規模、管理する材料情報、連携・安全管理の3枚のパネルに整理した図。
見積もりを比べるときは、3つの要因群の条件を揃えることが大切です。

在庫数だけを管理する場合と、患者別の使用材料を請求までつなぐ場合では、必要な機能も責任の範囲も変わります。

見積もりを比べるときは、金額の大小だけでなく、どの変動要因が含まれているかを揃えて確認します。

病床数・品目数・部署数による工数の違い

病床数は費用を考える入口ですが、工数に響くのは品目数や保管場所、部署数です。月間入出庫件数や発注先、利用者数も影響します。

倉庫だけを対象にするのか、病棟・外来・手術室・カテーテル室・ME部門まで含めるのかで、棚卸や補充の業務フローが変わります。

複数施設をまとめる場合は、施設ごとのコードや価格を統合し、在庫移動や権限も含めて設計する必要があります。

ロット・期限・請求・預託品の管理粒度

追跡する単位や材料の所有形態によって、必要な情報と連携の範囲が変わります。

  • ロット・期限管理:品目単位なら比較的シンプルだが、一個単位では入荷・払出・使用・返品・廃棄を記録する
  • 患者別追跡:手術材料・カテーテルは患者、手術、ロット、請求を連携し、画面・読取・テスト範囲が広がる
  • 預託品・持込品:所有者、保管場所、使用実績、請求対象、返却条件が通常在庫と異なる

後から追加すると、在庫区分や帳票を作り直すだけでなく、権限や請求連携にも手を入れる可能性があります。そのため、対象に含めるかどうかと、費用や請求を確定する時点を、先に明記しておきます。

連携・セキュリティ・障害対策の要件

連携方法と設置形態ごとに、費用や運用上の確認点を比べます。

  • 接続条件:相手側の仕様や接続環境、テストデータ、相手ベンダーとの調整によって費用が変わる
  • 連携方式:手動CSVは始めやすい一方、二重入力や取込漏れが起こり得ます。自動連携では、異常通知や再送、ログ確認、仕様変更時の保守も見積もります。
  • クラウド:院内専用サーバーの費用を抑えやすい一方、障害時の代替手順や保管場所、バックアップ、権限、委託先との責任分界、解約時の返却を確認する
  • オンプレミス:院内ネットワークや既存端末を使いやすい一方、サーバー更新やバックアップ、障害対応、保守終了に備える

ポイント

金額の差は、規模、ロット・期限や預託品などの管理粒度、連携とセキュリティの要件という3点を、見積もりごとにそろえて読むと見えてきます。

医療材料管理システムの見積もりを取るポイント

病院側の前提条件を文書にまとめ、同じ条件で複数社に見積もりを依頼します。

機能一覧に加えて、対象部署や品目・データ件数、連携先、端末を揃えます。導入時期や保守時間、病院とベンダーの役割も書き添えます。

RFPに盛り込む業務・データ・連携・効果

複数社が同じ前提で提案できるように、業務要件と導入後に測る効果をまとめます。

  • 業務と規模:部署・倉庫、品目・取引量、発注・入荷・払出・棚卸、GS1・RFID
  • データと連携:ロット・期限・預託品、医事請求、電子カルテ・購買、権限・ログ・バックアップ
  • 運用と効果:障害時の代替策、棚卸時間、在庫金額、欠品、廃棄、請求漏れ、現場入力時間

導入後の費用対効果を判断するには、指標をあらかじめ決めておく必要があります。「在庫金額を下げる」だけでなく、適正在庫率や発注から納品までの時間も検討対象になります。

導入前に計測できる指標を選び、数値目標は病院の実績をもとに設定します。根拠のない削減率は、見積もりには含めません。

提案会社の業務知識と担当範囲による比較

提案会社の得意分野と、導入後まで担う支援の範囲を確かめます。

  • 業務実績:医療材料・SPDの導入、マスター整備の支援体制
  • 技術範囲:GS1・RFID、電子カルテ・医事連携、クラウド・オンプレミス
  • 導入後の支援:現地導入、教育、障害対応、データ返却

1社で全範囲を担うか、複数社を組み合わせるかも検討します。費用は初期と月額・保守に分けて、機器や開発、連携ごとに表にまとめます。移行、教育、現地支援、SPD委託も、同じ表に別の行として書いてもらいます。

安い提案でも、マスター移行や連携テストが含まれていなければ、後から追加費用が発生する可能性があります。一方で、高い提案に不要なカスタマイズや過剰な機器が含まれることもあります。

項目ごとに必要性の説明を求め、価格の根拠を確かめます。

契約前の追加費用・責任分界・データ返却

追加費用が発生する条件には、品目数や利用者数の上限、連携先の追加、画面や帳票の変更などがあります。

  • 現地対応:訪問、休日対応、ネットワーク工事
  • 運用変更:マスター更新、端末交換、仕様変更
  • 契約後の追加:要件追加の単価と承認手順

クラウドでは、復旧目標やバックアップの保持期間、データの保管場所を確かめます。委託先の監査や、解約時のデータ形式と返却期限も確認します。

オンプレミスでは、サーバーやOSの更新を誰が担うか、保守終了時にどう移行するかを確認します。バックアップ媒体と、院内ネットワーク障害時の対応も見ておきます。

SPD会社に委託する場合は、データの所有者と利用範囲も契約書に記載します。

ポイント

前提条件と必要な機能、役割分担を同じ形の文書にまとめておくと、提案会社の比較も契約前の確認も同じ土俵で行えます。

医療材料管理システムのコスト最適化ポイント

コスト最適化には、初期費用を下げるだけでなく、現場で使わない機能を減らし、マスターや連携の手戻りを防ぐことも含まれます。

導入後に在庫・請求・作業時間の改善を測れる状態にしておくことも重要です。安全性やトレーサビリティを損なう削減は、かえって運用費やリスクを増やします。

標準機能で賄う業務と個別対応の範囲

標準運用と個別対応の境目は、変えやすさと業務上の重要度で決めます。

  • 標準機能を使う業務:複数病院で共通しやすい発注や入荷、払出、補充、棚卸、期限管理。パッケージやSaaSなら開発・保守費を抑えやすい
  • 要件の仕分け:自院の帳票や承認経路をすべて再現せず、法令・安全・請求、変更が難しい業務、標準化できる業務に分ける
  • 個別対応を検討する業務:特殊材料、独自の預託品、複数施設の購買、既存の医事請求。重要な要件を標準化すると、迂回作業を招きます
  • 構成選定:標準機能と個別開発を分け、将来のアップデートで壊れにくい構成を選ぶ

バーコード基盤とRFIDの段階導入

読み取り方法は現場ごとに選び、RFIDへの投資範囲は段階を追って決めます。

  1. GS1バーコードやQRコードで、品目・ロット・期限のマスターと読取運用を固めます。
  2. バーコードで管理できる場所は続けて使い、手術室・カテーテル室など複数品目を短時間で扱う場所でRFIDを試します。タグやリーダーへの投資を絞れます。

RFIDの読み取りが済んでも、使用確定や患者とのひも付けまで正しく完了するとは限りません。2025年の導入研究では、読み取り精度やネットワーク障害、確定忘れが課題として挙がっています(出典: J-STAGE「RFIDタグを用いた医療材料管理システム導入による現状と課題」、2025年)。

機器を増やす前に、確定操作と障害時の復旧を、PoCで確かめておきます。

マスター更新の責任者とKPI

導入後のデータ品質と効果を保つには、更新担当と評価方法を決めておきます。

  • 定期更新:毎月、新規採用品や規格・販売・価格・保管場所の変更を登録
  • 責任者と反映:登録する人、承認する人、現場へ反映する時期を決める
  • 外部サービス利用時:病院固有コードや定数の確認担当を決める

効果は、在庫金額だけでなく、期限切れ廃棄額や欠品、棚卸差異も含めて見ます。発注・入力時間や請求漏れ候補、問い合わせ件数は、月次で追います。

改善を確かめてから追加開発を判断すれば、効果の見えない投資を抑えられ、必要な施策に予算を振り向けられます。

ポイント

コストを下げる判断は、初期費用の多少だけでなく、標準機能の範囲と導入後の効果測定をあわせて見るのが目安です。RFIDの段階導入やマスター更新の担当も、同じ判断の中で扱います。

よくある質問

費用は機能だけでなく、運用やデータ、連携、機器、保守まで含めて考えます。見積もり前によく聞かれる質問を取り上げます。

医療機関向け医療材料管理システムの費用はいくらですか?

小規模在庫管理は初期30万〜80万円程度、1〜2部署は100万〜300万円程度が目安です。

100〜300床程度の標準SPDは500万〜1,200万円程度、大規模な個別開発は1,200万〜3,000万円以上が概算です。

金額は、品目や部署の数に加え、マスター整備、連携、端末、RFID、教育、保守の範囲で変わります。そのため、前提をそろえた個別見積もりが必要です。

クラウドSaaSとスクラッチ開発はどちらが安いですか?

標準機能を使えるクラウドSaaSやパッケージは、初期投資を抑えやすい選択肢です。

マスター移行や追加連携、端末、教育、月額利用料、データ返却まで含めた総額で比べます。

独自の手術材料や預託品、請求、複数施設の購買分析が重要な場合は、スクラッチや個別カスタマイズが業務に合うこともあります。

RFIDを導入すると費用対効果は高くなりますか?

手術室のように複数の材料を短時間で読む業務や、個品の追跡が求められる業務では、効果が期待できます。

タグやリーダーの費用に加え、電波環境や読取精度、確定操作、障害時の運用も検討が必要です。

対象業務を絞ってPoCを行い、入力時間や請求漏れ、棚卸差異といった導入前後の指標で判断します。

見積もり前に病院が準備する資料は何ですか?

対象の部署と倉庫、品目数、月間入出庫件数を用意します。既存マスターや業務帳票、連携先、端末台数もあわせて準備します。

預託品やロット・期限の扱い、希望時期も整理しておきます。導入前の指標として、棚卸時間や欠品、廃棄、請求漏れ、在庫金額をそろえておくと、提案を比べやすくなります。

まとめ

費用は小規模導入で初期30万〜80万円程度、1〜2部署で100万〜300万円程度が目安です。

100〜300床の標準SPDは500万〜1,200万円程度、大規模な連携や個別開発は1,200万〜3,000万円以上です。ただし、これは公開価格や近接事例に基づく概算で、病院の規模や要件によって変わります。

業務全体で見る費用の判断

初期費用に加えて、マスター整備や連携、機器の費用を確認します。教育や保守の費用も見ておきます。そのうえで、SPD委託や障害時の代替運用まで含めた総額を確認します。

ロット・期限や預託品、患者別の使用実績、医事請求を扱う場合は、安さだけを理由に要件を削らないことが大切です。

業務フローと見積もり条件の整理

まず、対象の部署や品目数、在庫・発注・使用・請求の流れを整理します。既存システムやマスター、効果指標も、あわせて並べておきます。

1部署のPoCや段階導入を含む複数の案を同じ条件で比べると、必要な機能と費用のバランスが見えやすくなります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。