マルチテナントのシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

マルチテナントのシステム開発会社は、同じ基盤を複数の顧客で使いながら、データ・権限・設定・性能を安全に分けられるかで比べます。

株式会社riplaを含む、実在する開発会社・ベンダー6社を紹介します。

▼全体ガイドの記事
・マルチテナントのシステム開発の完全ガイド

  • 分離:データ・権限・設定・性能を顧客ごとに分けられるか
  • 方式:共有DB・専用環境・SaaS化の比較
  • 移行・運用:監視・費用・発注前の質問

マルチテナントのシステム開発でパートナー選びが重要な理由

マルチテナントのシステム開発パートナーを比較するイメージ

マルチテナントのシステムは、一つのアプリケーションやコードベースを複数の企業・組織で共有しながら、利用者からは自社専用の環境に見える仕組みです。販売管理やCRMなど、契約単位で同じサービスを提供する事業で活用されます。ほかにも、次のような分野で使われます。

  • 勤怠・人事:社員の勤務と人事情報を扱う業務
  • 予約:日時や枠の受付と管理を扱う業務
  • EC:商品の販売と注文を扱う業務
  • 自治体向けサービス:自治体の業務や住民向けの手続きを扱うサービス

マルチテナントでは、単にログインできるユーザーを増やす場合と違い、テナントをまたぐデータ混入や権限逸脱を防ぐ設計が中心になります。

適切なパートナー選定が成否を分ける理由

マルチテナントの設計は、テナントIDをテーブルに足す対応では収まりません。認証トークンやAPI、SQLやORM、キャッシュキーの層でも、データがどの顧客に属するかを一貫して押さえる必要があります。ファイル保存先や検索インデックス、メッセージキューも、同じ基準で扱うことになります。

また、ログやバックアップ、メール、管理者画面も対象になるため、設計の範囲は広くなります。OWASPでも、次の項目が主要な確認項目として整理されています。

  • テナント識別子:値を検証し、データアクセス層で認可を行う
  • IDOR対策:IDを書き換えて他テナントのデータを開く操作を防ぐ
  • キャッシュとセッションの分離:顧客ごとの保持先を分けて、情報が混ざらないようにする
  • オンボーディング・オフボーディング:顧客の追加と解約の手順
  • 監査ログ:誰が何をしたかの記録

出典は、OWASPの「Multi Tenant Application Security Cheat Sheet」(2026年確認)です。

設計経験が浅い会社に依頼すると、テストでは見つからなかった情報漏えいや、1社の高負荷が全顧客へ波及するノイジーネイバーが、運用開始後に表面化しやすくなります。そのため、会社規模や知名度だけでなく、同じ基盤で複数顧客を運用した経験と、分離テストを説明できるかを重視します。

発注前に確認すべきポイント

問い合わせ時は、「マルチテナントに対応できますか」と聞くのに加えて、想定テナント数、1テナントあたりのユーザー数、同時接続数、データ保持期間を伝えます。さらに、料金プラン、SSOの有無、許容停止時間も示します。

そのうえで、共有プール型、ブリッジ型、サイロ型、ハイブリッド型のどれを提案するのか、なぜその方式が要件に適するのかを説明してもらいます。見積書は、要件定義から外部連携までの開発と、分離テスト、負荷試験、移行、監視、保守を分けて提示してもらいます。

顧客追加を自動化するオンボーディング、解約時のデータ削除、障害時の影響範囲、専用環境へ移す場合の追加費用、ソースコードやIaCの引き渡し条件まで確認すると、各社を同じ条件で比べられます。

ポイント

テナント分離は、テナントIDを足すだけでは足りません。同じ基盤での運用経験と分離テストを説明できるかを、会社選びの目安にするとよいでしょう。

株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

株式会社riplaのマルチテナント開発支援を表すイメージ

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。

営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。

特徴と強み

マルチテナントの開発では、機能を作る前に、顧客ごとに何が共通で何が異なるかを整理する必要があります。riplaは、業務フローや部門間の情報の流れを確認し、共通機能、テナント別設定、個別開発を切り分けたうえで、現場に定着するシステムの形を検討できます。

自社の業務をSaaSとして外部提供したい企業や、既存の1社専用システムを複数顧客向けに展開したい企業に相談しやすい体制です。

得意領域・実績

営業・顧客・生産・販売管理など、複数部門をまたぐ基幹システムの構築・導入を検討している企業に向いています。

マルチテナント化では、画面やAPIだけでなく、権限、帳票、通知、CSV、データ移行、運用ルールまで、業務側の判断が必要になります。

riplaへ相談する際は、将来の顧客数、料金プラン、専用環境を用意する顧客の有無を伝えておくと、事業計画とアーキテクチャを結び付けて検討できます。

ポイント

一気通貫で相談したい場合は、要件整理から開発、定着支援までの担当範囲を、見積もり前に確認してください。業務側の判断が要る範囲も、そこで合わせて整理しておくと比べやすくなります。

NTTデータ|企画から開発・運用までクラウドを支援

NTTデータのクラウド開発・運用支援を表すイメージ

NTTデータは、さまざまな業界の業務システムとクラウド環境を対象に、企画から開発・運用まで支援する大手SIerです。公式のクラウドサービス情報では、オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドマネージドを掲げています。

大規模なマルチテナントサービスを、既存基幹やデータセンターも含めて全体設計したい企業にとって、候補に挙げやすい会社です。

特徴と強み

NTTデータの公式ページでは、クラウド領域に3,000人以上のスペシャリストが在籍し、上流工程からシステム基盤、アプリケーション開発、運用まで対応すると説明されています。

マルチテナントの基盤を作るときは、アプリケーションの共有だけでなく、データ主権、法令、ネットワーク、セキュリティガバナンス、SLAを同時に考える必要があります。そのため、複数の専門領域をまとめて管理したい場合に強みを発揮しやすい会社です。

得意領域・実績

公共、金融、通信、製造など、可用性や監査への要求が高い業界で、既存システムと新しいサービスを連携させたい企業に向いています。

問い合わせでは、マルチテナント部分をNTTデータがどこまで設計・実装するのか、データ分離方式、顧客追加の自動化、運用監視、障害時の責任分界を確認します。

大規模案件では、いきなり本開発を依頼するより、要件整理とアーキテクチャ検証を先行させると比較しやすくなります。

ポイント

既存基幹やデータセンターも含めて全体を設計したい場合は、候補に挙げやすい会社です。マルチテナント部分の設計範囲は、問い合わせ時に確認してください。

TIS|複数自治体を単一基盤で管理するサービスの展開

TISのマルチテナント型サービスを表すイメージ

TISは、基幹システム、アプリケーション、プラットフォームまで幅広いITサービスを提供する会社です。特に、公式の「マルチポイントサービス」では、県や市町村など複数の自治体ポイントを単一基盤上で統合管理・運用できる、マルチテナント型ポイント基盤サービスを公開しています。

複数の契約主体や地域サービスを一つの基盤で提供したい場合に、具体的なサービスモデルを確認しやすい候補です。

特徴と強み

TISのマルチポイントサービスは、複数ポイントを単一基盤で統合管理し、都市OSなどのデータ連携基盤と接続できる構成です。さらに、システム導入・運用だけでなく、事務局機能、制度設計、広報活動までワンストップで支援すると案内されています。

TISの支援は、ソフトウェアだけでなく、テナントごとの制度や運用ルール、利用者への定着まで設計したい案件で参考になります。

得意領域・実績

自治体、決済、ポイント、地域サービスなど、複数の事業主体をまたぐシステムに向いています。

公式事例はポイント基盤のため、一般的な業務SaaSの開発を依頼する場合は、アプリケーションのテナント設計、顧客別設定、課金、認証、データ移行をどこまで担当できるかを個別に確認します。

公共案件では、データ所在地、委託・再委託、監査ログ、障害時の住民向け対応もRFPに含めると、提案の差が見えやすくなります。

SCSK|業務知識とクラウド・運用を組み合わせた支援

SCSKの業務システムとクラウド支援を表すイメージ

SCSKは、基幹システム、クラウドサービス、ネットワーク・プラットフォーム、運用サービスを幅広く扱う大手SIerです。公式サイトでは、SaaS、PaaS、ASP、データセンターなどのサービス領域を掲げています。

ホスティングや仮想化、ストレージも含め、業務やシステム特性に応じたハイブリッド・マルチクラウドを支援しています。複数企業へ業務機能を提供しつつ、既存基幹とも連携したい案件で検討しやすい会社です。

特徴と強み

SCSKは、PROACTIVEのような業務・業界特化型のデジタルオファリングや、Oracle Fusion Cloud ERP、SAPなどの業務ソリューションも扱っています。さらに、標準機能を共通基盤として使い、顧客ごとの差分を設定やアドオンで吸収する設計を考えやすい点が特徴です。

製造、金融、商社、自動車、建設など、業務知識が重要な企業では、単なるWeb開発会社とは違う比較軸を持てます。

得意領域・実績

複数社へ同じ業務サービスを提供する場合は、共通の業務テンプレート、顧客別の権限、マスタ設定、データ連携、運用窓口を整理する必要があります。SCSKへ依頼する際は、既製サービスを採用するのか、個別開発を行うのか、SCSKの運用・データセンター・クラウドサービスをどこまで組み合わせるのかを確認します。

稼働後の追加機能やバージョンアップが全テナントへどう反映されるかは、確認しておきたい質問です。

富士通|クラウド基盤・セキュリティ・運用の総合支援

富士通のクラウド・セキュリティ支援を表すイメージ

富士通は、業務システム、クラウド、セキュリティ、データセンター、運用サービスを含む大規模なIT環境を支援する会社です。FJcloudなどのクラウド基盤と、クラウドセキュリティコンサルティング、ハイブリッドクラウド運用を組み合わせ、可用性やデータ所在地を重視する案件で比較対象になります。

金融、公共、医療など、顧客ごとの機密性や監査要件が厳しいサービスに向いています。

特徴と強み

富士通の公式クラウドセキュリティコンサルティングでは、クラウド事業者やクラウドモデルの選定、セキュリティポリシー、SLAの支援が案内されています。さらに、業務システムごとの要件定義や運用ガイドライン作成まで支援するとしています。

マルチテナントのシステムでは、共有型を採用する顧客と専用型を求める顧客を同じサービス体系で扱うことがあります。安全性とコストのバランスを、契約や運用規程まで含めて検討したい場合に相談しやすい会社です。

得意領域・実績

顧客ごとのデータ保持場所、国内外の委託先、バックアップやDR、24時間365日の監視、監査証跡を重視する企業に合った選択肢です。富士通へ見積もりを依頼するときは、FJcloudやパブリッククラウドの利用範囲、専用環境の有無、暗号鍵の管理、アプリケーション開発を担当する体制を確認します。

基盤とアプリの担当が分かれる場合は、テナント境界の責任者と障害の一次切り分けを契約書に明記することが大切です。

クラスメソッド|AWSを中心としたクラウドネイティブ開発の支援

クラスメソッドのAWSクラウド支援を表すイメージ

クラスメソッドは、AWSをはじめとするクラウド、モバイル、ビッグデータ、AIなどの技術支援を行う会社です。AWSの請求代行、構築支援、運用保守を総合的に提供し、SaaSやWebサービスをクラウドネイティブに立ち上げたい企業の候補になります。

大規模SIerとは異なるスピード感や、マネージドサービスを活用したMVP開発を重視する案件で比較しやすい会社です。

特徴と強み

クラスメソッドの公式AWS総合支援サービスでは、請求代行から構築支援、運用保守までを支援すると案内されています。また、AWS認定資格を持つ200名以上のエンジニアが技術アドバイザーとして対応するとされています。

さらに、AWS Consulting Partner of the Year 2025 Japanの受賞も掲載されています(出典: クラスメソッド「AWSサポート・問い合わせ対応」、2026年確認)。AWS Lambda、ECS、Aurora、S3、WAF、Cognitoなどを組み合わせて、テナント追加や監視を自動化したい場合に専門性を活かしやすい会社です。

得意領域・実績

新規SaaS、既存WebサービスのAWS移行、データ活用基盤、生成AIやRAGを組み込むマルチテナントサービスに向いています。AWSのマネージドサービスを使うと、インフラ運用の負荷を抑えながらスケールしやすくなります。ただし、DB、キャッシュ、ベクトル検索、プロンプトや会話履歴のテナント分離は、別途設計が必要です。

依頼時はAWS部分だけでなく、アプリケーションの認可、分離テスト、運用引き継ぎまで担当するかを確認します。

マルチテナントのシステム開発会社の選び方

マルチテナントのシステム開発会社を選ぶイメージ

6社は、得意な規模や業界、クラウド、支援範囲がそれぞれ異なります。大手SIerは既存基幹や厳格な運用要件を含む全体最適に強い一方、クラウド専門会社はMVPやAWS活用のスピードに強みがあります。

自社の目的は、「システムを作ること」より、「何社の顧客へ、どの品質で、何年提供するか」に置き換えて比べることが大切です。

実績と経験の確認方法

実績を確認するときは、会社名や導入社数だけでなく、中身まで確かめます。「同じコード・基盤を何テナントで運用したか」「共有DBか、スキーマ分離か、DB分離か」「顧客追加は手作業か自動化か」「大口顧客だけ専用環境へ移せるか」を質問します。

可能であれば、匿名化された構成図、テナント追加の手順、分離テストの観点、障害訓練の内容を見せてもらうと、公開事例の表面的な印象に左右されにくくなります。

実績の業界が自社と違っていても、複数の契約主体へ同じ機能を提供した経験があれば参考になります。一方で、単一企業向けのWebサイト制作の実績があっても、テナント管理、課金、オンボーディング、解約処理、顧客別のSLAまで対応できるとは限りません。そこで、担当予定のアーキテクトやプロジェクトマネージャーが、過去案件でどの工程を担ったかまで確認します。

技術力と専門性の評価

技術面では、データ分離の方式だけでなく、認証・認可とデータアクセス層の二重防御ができるかを見ます。共有テーブルを使う場合は、すべての検索条件にtenant_idを付けるだけでなく、DBのRow Level Security、サービスアカウントの権限、管理者の特権操作を検討します。

スキーマやDBを分ける場合は、次の領域で別テナントの情報が混ざらないことを確かめます。

  • バックアップ:復元したデータに他テナントの情報が含まれないか
  • 検索・分析:結果の表示や集計に他テナントのデータが出ないか
  • ログ:テナントごとに記録を分けて管理できるか
  • ファイル:保存先が顧客ごとに分かれているか
  • バッチ処理:処理の対象が顧客ごとに区別されているか

AWSはSaaSレンズで、分離方式はドメイン、コンプライアンス、デプロイモデル、利用サービスによって変わると整理しています。

2025年11月には、AWS Lambdaで同じ関数を使いながらテナントごとに実行環境を分けるテナント分離モードも発表されました(出典: AWS「Building multi-tenant SaaS applications with AWS Lambda’s new tenant isolation mode」、2025年)。

ただし、これはコンピュート環境の分離を助ける機能で、DB、キャッシュ、ファイル、契約、アプリ認可を自動で安全にするものではありません。そのため、総合的な設計力を評価します。

プロジェクト管理体制の確認

マルチテナントの開発では、機能追加のたびに全テナントへの影響を検討するため、プロジェクト管理の確認も欠かせません。要件定義から負荷試験までと、受け入れ、移行、リリース後の監視について、各工程の責任者と成果物を提案書に記載してもらいます。

なお、アジャイル開発を採用する場合も、テナント境界やセキュリティ要件を後回しにしない受け入れ基準が必要です。そのうえで契約面では、ソースコードや設計書、インフラ設定、IaCの扱いを確認します。監査ログの所有・利用範囲、改修権、再委託先、国外クラウドや保守事業者の取り扱いについても、見ておきます。

さらに、運用を外部委託する場合は、障害発生時の連絡時間、復旧目標、データ復元の責任、契約終了時のエクスポート方法も決めます。価格だけでなく、将来の顧客追加とベンダー変更に耐えられる契約かを見極めます。

ポイント

迷ったときは、実績の中身、技術面での分離の設計、契約とプロジェクト管理の範囲を、会社ごとに同じ基準で比べてください。

よくある質問

マルチテナントのシステム開発に関するよくある質問のイメージ

マルチテナントのシステム開発では、費用や期間だけでなく、安全性と将来の運用も一緒に考える必要があります。

発注前によく聞かれる質問に、ひとつずつ答えます。

マルチテナントのシステム開発費用はいくらですか?

費用は規模や分離要件で大きく変わりますが、PoC・MVPなら300万〜800万円、標準的なBtoB SaaSなら800万〜2,000万円、本格的な業務サービスなら2,000万〜5,000万円程度が一つの推定レンジです。これはマルチテナント専用の公的統計ではなく、一般的な業務システムの相場にテナント管理、分離テスト、課金、監査、負荷試験などを加味した目安です。

一般的なシステム開発では、フルスクラッチの基幹システムが400万円以上、人月単価が50万〜150万円程度、人件費が開発費の約8割と整理されています。出典は秋霜堂株式会社「システム開発の費用相場は?抑えるコツや開発会社を選ぶポイント」です(2026年7月更新)。

自社SaaSの場合は、クラウド利用料、監視、WAF、バックアップ、サポート、顧客追加の運用費も別に見積もります。

データベースはテナントごとに分けるべきですか?

分けるかどうかは要件次第です。共有テーブルはコストと運用効率に優れる一方、スキーマ分離やDB分離は機密性、障害影響、顧客別バックアップに強くなります。その分、構築、監視、移行の負荷が増えます。

AWSのSaaSレンズでも、分離方式は要件に応じて選ぶものとされています。そのため、顧客の機密性、法規制、利用量、専用環境プランの有無から決めます。

現実的には、低価格プランを共有型、大口顧客や規制の厳しい顧客を専用型にするハイブリッド方式が有効です。ただし、将来移行できるデータモデル、テナント単位のエクスポート、スキーマ変更、監視指標を初期設計に含めておかないと、後から専用化する費用が高くなります。

マルチテナント開発会社には何を質問すればよいですか?

まず、同じ基盤で運用したテナント数、分離方式、顧客追加と解約の自動化、クロステナント試験の内容を質問します。次に、DB、キャッシュ、ファイル、検索を含め、テナント境界を守る方法を確認します。

キュー、ログ、バックアップの扱いや、負荷の大きい顧客を制限するクォータ、障害時の影響範囲も見ておきます。

提案書には、要件定義から運用までの工程と担当者、成果物を書いてもらいます。あわせて、SLA、保守費、クラウド費、再委託、契約終了時のデータ返却条件も記載してもらいます。また、3社以上へ同じRFPを渡して比較すると、会社の営業資料では分かりにくい、設計の深さと責任分界の違いを確認できます。

ポイント

費用は規模や分離要件で大きく変わるため、運用費も含めた見積もりで比べてください。DBの分け方は、顧客の機密性や法規制から決めるとよいでしょう。

まとめ

マルチテナントのシステム開発会社選びをまとめるイメージ

6社比較の結論

マルチテナントのシステム開発会社は、知名度や見積金額だけでなく、どの分離方式を採用し、顧客追加・解約・障害対応・監査・運用をどう設計するかで選びます。

株式会社riplaは業務要件とシステム定着を含む一気通貫の相談、NTTデータは大規模なハイブリッドクラウドに強みがあります。

TISは複数自治体を単一基盤で扱うサービス、SCSKは業務知識とクラウド・運用の組み合わせが持ち味です。富士通はセキュリティや可用性を含む総合支援、クラスメソッドはAWSを中心としたクラウドネイティブ開発が得意分野です。

相談前に準備する情報

相談前に、想定テナント数、顧客ごとのユーザー数、業務機能を整理します。

データの種類とデータ所在地も押さえておきます。加えて、次の項目もまとめておきます。

  • 料金プラン:顧客に提示する料金の区分
  • 同時接続数:同時に利用する見込みの数
  • 許容停止時間:止めてもよい時間の上限
  • SSO・外部連携:SSOの有無と、接続する外部サービス
  • バックアップと削除方針:どこまで残し、いつ消すかの考え方

3社以上に同じ条件を伝え、初期開発費、クラウド費、専用環境費、保守費、追加テナント費、移行費を分けた見積もりを比較してください。

マルチテナントのシステムは、共有によるコストメリットを得ながら、顧客ごとの安全性とサービス品質を維持するための事業基盤です。

まずは小さなPoCで、ログイン、権限、データ取得、ファイル、通知を検証します。さらに、バックアップ復元、テナントID改ざん、高負荷も試し、将来の専用化と運用まで見通せるパートナーを選ぶことが成功につながります。

▼全体ガイドの記事
・マルチテナントのシステム開発の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。