注文管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

注文管理システムの外注は、発注前の社内準備から始まり、会社の選定と契約、契約形態の選択、発注後の管理へと進みます。社内体制や要件の整理、契約形態によって、進め方とリスクは変わります。

全体像は、注文管理システム開発の完全ガイドもあわせてご覧ください。

▶ 詳細はこちら:注文管理システム開発の完全ガイド

注文管理システム開発を外注する前の準備

準備が足りないまま始めると、開始後に手戻りや混乱が生じるおそれがあります。そのため、外注を始める前に、発注側で決める情報と体制を整理しておきます。この内部整備が、外注を進めるための前提になります。

社内の推進体制の整備

社内で役割を決めておくと、開発会社への確認や承認を滞りなく進められます。一方で、意思決定の流れが曖昧なままだと、回答が遅れて全体の日程に影響します。

  • 最終判断者:プロジェクトオーナーを決める
  • 発注側の窓口:プロジェクトマネージャーを任命し、推進役を担ってもらう
  • 部門の参加:EC運営・物流・CS・経理等の担当者を加える

社内体制を固めてから、発注の手順に進むことが推奨されています。

要件・課題の事前整理

課題と要件をまとめた資料があれば、開発会社との初期ヒアリングを具体的に進められます。なお、完璧な資料でなくても、現状と必要なシステムの考えを伝えれば議論は生産的になります。

  • 業務の現状:注文管理の流れと課題点
  • 解決の優先度:開発後に解決したい課題の順番
  • 機能:必要な機能の大まかなリスト
  • 外部連携:連携が必要なシステムの一覧
  • 計画:想定スケジュールと予算感

予算・スケジュールの制約

開発会社は、伝えられた予算の範囲で実現できる内容を提案します。このため、予算の上限と、いつまでに稼働が必要かを早い段階で明確にしておく必要があります。

  • 予算の上限:事前に決め、候補会社に共有する
  • 稼働時期:リリース目標日と日程の実現性を確認する

予算を伏せると、過大な提案や、後から費用が膨らむ過小な提案につながるおそれがあります。また、セールシーズン前や事業計画の開始時期といった目標日も、早めに伝えます。

ポイント

社内の推進体制、要件・課題、予算・スケジュールが決まっていれば、開発会社との相談を具体的に進められます。どれかが曖昧なら、相談の前に社内で詰めておきましょう。

発注の手順と流れ

候補探しから初期相談、提案依頼先の絞り込み、契約締結までの発注手順を示す図。
提案を依頼する会社は、初期相談を経て候補から絞り込みます。

候補会社のリストアップと初期ヒアリング

まずは、注文管理システムの開発実績がある会社を候補に挙げます。探す際は、Web検索や業界の紹介、展示会、IT系メディアなどが手がかりになります。

初期相談では、自社の課題・要件・日程・予算感を伝えます。

  • 候補を探す:開発実績のある会社を5〜10社選ぶ
  • 初期相談:各社に無料相談を依頼する
  • 相性を確認:雰囲気・対話力・業務知識を評価する
  • 提案依頼先:ヒアリング後に3〜5社へ絞る

提案・見積もりの依頼と比較評価

絞り込んだ会社には、RFP(提案依頼書)をもとに技術提案と見積もりを依頼します。また、比べるときは価格だけでなく、長期的に協力できる相手かという視点も加えます。

  • 技術:アーキテクチャと使用技術スタックが適切かを評価する
  • 体制:開発体制と担当エンジニアの経歴
  • 計画とリスク:スケジュール計画の実現可能性、リスク認識と対応策
  • 保守運用:運用体制とSLA
  • 費用:工数内訳と単価の透明性

契約締結と開発開始

発注先が決まったら、契約書で開発の範囲や条件を取り決めます。

  • 開発内容:スコープと成果物の定義
  • 取引条件:スケジュールと支払い条件
  • 権利と責任:知的財産権と瑕疵担保責任
  • 機密保持:守秘義務(NDA)
  • 契約終了:中途解約条件

契約書の内容は、法務担当者や弁護士に確認してもらうことが推奨されています。さらに、契約後はキックオフを開き、体制や連絡ルール、進捗管理の進め方を双方で合意します。

ポイント

候補は初期相談での相性を見て3〜5社に絞り、提案は価格以外の視点でも比べます。契約前には開発範囲と権利の扱いを書面で確かめておきます。

契約形態の選び方(請負/準委任)

請負契約と準委任契約を要件、費用、変更対応の観点で左右に比較した図。
要件の変わりやすさが、契約を選ぶ目安になります。

請負契約のメリット・デメリット

請負契約は、成果物の完成を約束する形態です。

  • 品質:瑕疵担保責任による品質保証がある
  • 費用:固定または上限が明確になりやすい
  • 管理負担:発注側の手間が比較的少ない
  • 変更時:追加費用や日程延伸が起きやすい

要件定義が不十分なままだと、後から大幅な仕様変更が必要になるおそれがあります。そのため、要件が明確で範囲の変更が少ない案件に適しています。

準委任契約のメリット・デメリット

準委任契約(タイム&マテリアル契約)は作業の提供を約束する形態で、要件が変わりやすい案件やアジャイル開発に適しています。

  • 変更対応:仕様変更や機能追加に柔軟に対応できる
  • 関与:発注側が方向性を調整しやすい
  • 段階開発:開発しながら範囲を調整できる
  • 費用と管理:工数で費用が変わり、発注側の負担も増える

ただし、総コストは見通しにくい面があります。要件を段階的に固める案件や、開発後の継続保守にも適しています。

ハイブリッド契約の活用

フェーズごとに契約形態を組み合わせるハイブリッド契約が、有効な場合があります。段階ごとに適した形を選べば、双方のリスクを管理できます。

  • 要件定義・設計:内容が変わりやすいため準委任
  • 開発・テスト:成果物が明確になった段階で固定費用にするため請負
  • リリース後の保守:継続対応のため準委任

ポイント

要件が固まっている案件なら請負、要件を段階的に固めるなら準委任が、判断の目安になります。フェーズごとに契約形態を組み合わせる方法もあります。

発注時の注意点とリスク管理

仕様変更、知的財産権とソースコード、情報セキュリティの3項目を示す確認カード。
3つの論点を契約段階で個別に確認できます。

仕様変更の管理の徹底

仕様変更の管理不足は、コストや日程の超過を招く代表的なトラブルです。たとえば、口頭で頼んだ変更が見積もりなしで進み、大幅な費用増になることもあります。

  • 変更の記録:内容・工数・費用・日程への影響を変更管理票に記す
  • 合意の手順:書面で確認し、双方が了承するルールを決める

変更管理の進め方は、プロジェクトの開始時に開発会社と決めておきます。

知的財産権・ソースコードの帰属の確認

ソースコードの著作権と知的財産権の帰属は、開発委託で特に重要な契約事項です。受託会社が著作権を持つ場合が多いため、第三者への引き継ぎに制約が生じることがあります。

  • 権利の帰属:開発成果物の知的財産権は発注者側にあると記載する
  • 納品と開示:ソースコードの受け渡し条件を契約に含める
  • ライセンス:使用するオープンソースの条件を確認する

情報セキュリティの取り決め

開発の過程では、顧客の個人情報や購買データ、決済情報を開発会社と共有することがあります。そのため、契約の段階で情報の扱いと安全管理について取り決めておきます。

  • 機密保持:NDA(守秘義務契約)を締結する
  • 方針の確認:情報管理ポリシーの内容を照らし合わせる
  • 開発環境:データを匿名化し、アクセス権限を管理する
  • 体制評価:ISMSやPマークの取得状況等も選定時に見る

ポイント

仕様変更の記録と合意の手順を決め、知的財産権とソースコードの扱い、情報セキュリティの取り決めも契約段階で済ませておくと、後のトラブルを減らせます。

発注後のプロジェクト管理

定期的なコミュニケーション体制の構築

発注後は定期的に連絡を取り、進捗を把握します。あわせて、問題が起きたときにすぐ共有し、解決策を決められる体制も整えます。

  • 定例と報告:週次ミーティングや進捗報告を行う
  • 課題対応:挙がった問題を管理し、早期に解決策を決める
  • 連絡ツール:Slack・Teams等を統一する
  • 管理・共有:Jira・Backlog等とConfluence・Notion等を使う

また、ツールがそろっていると、情報が散らばりにくく、プロジェクトの透明性も保てます。

成果物のレビューと受入テスト

要件定義書・設計書・画面モック・ソースコードなどは、発注側も積極的にレビューします。UAT(ユーザー受入テスト)では、要件どおりに動くかを検証します。

  • レビュー:各開発フェーズの成果物を確認する
  • 受入テスト:現場担当者が実業務に沿って操作する
  • 承認記録:修正・再テストの後にOKを出し、結果を書面に残す

後から不具合や仕様との差異が問題になった際、この記録が判断の基準になります。

リリース後の運用フォローアップ

リリース後は、安定して稼働するまで監視を強め、障害があれば迅速に対応します。予期しない問題は起きやすいため、開発会社と発注側でサポート体制を組みます。

  • 初期対応:両社で連携して集中的にサポートする
  • 状況整理:1〜3ヶ月後に稼働の様子や課題、改善要望を確認する
  • 次の計画:機能拡張や改善開発の方針を立てる

業務は変わっていくため、継続的な改善が必要になります。そのためには、開発会社と長期的なパートナーシップを築くことが欠かせません。

ポイント

定例での報告と課題の共有は、進捗の遅れに気づく手段になります。成果物は受入テストの結果を書面で残し、稼働後は改善の方針を立てます。

まとめ

注文管理システムの外注・委託は、発注前の準備から発注後の管理まで、各段階を順に踏むことが近道です。

  • 発注前の準備:社内体制を整え、要件・課題を整理する
  • 会社選定:複数社へ提案を依頼し、比較評価する
  • 契約形態:請負・準委任・ハイブリッドから適切に選ぶ
  • 発注時の管理:仕様変更・知的財産権・セキュリティを取り決める
  • 発注後の管理:定期連絡と成果物レビューを行う

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コンサルティングからシステム設計・開発・運用まで、一気通貫で支援する体制があります。何から始めればよいか分からない段階でも、丁寧に対応します。

さらに、EC・通販・小売領域の豊富な開発実績をもとに、自社の課題と予算に合った最適な提案を行います。初回相談と見積もりは無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。

発注前チェックリスト

発注前には、社内準備から契約・テストまでの事項を一つずつ確認します。

  • 社内体制:プロジェクトオーナーとPMを任命する
  • 業務と要件:業務フロー・課題・機能・外部連携先を整理する
  • 予算と日程:予算上限とリリース目標日を設定する
  • 会社選定:RFPを作り、開発会社3〜5社に提案を依頼する
  • 契約と受入:成果物・IP帰属・SLA、変更管理ルール、UAT計画を確認する

これらを確かめてから発注に進めば、プロジェクトの成功確率を高められます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。