保育園・幼稚園向け園児管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

園児管理システムの費用は、SaaS型なら月額3,000円台から4万円程度、カスタム開発なら初期費用300万円から4,000万円程度が目安です。金額は園児数や連携範囲によって変わります。

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保育園・幼稚園向け園児管理システムの全体像

園児管理システムは、園児名簿の電子化とは違い、園児台帳を共通のデータにして業務どうしをつなぐ基盤です。登降園や連絡帳、健康・発達記録などが、同じ台帳を起点につながります。対象は保育計画から安全確認まで広がる場合もあります。

費用を考えるときは、機能の数よりも、同じ情報を何度も入力しなくてよい範囲を確認することが大切です。

園児台帳を中心にした情報のつながり

基本となる園児台帳には、次の情報を登録します。

  • 基本情報:氏名や生年月日など
  • 連絡情報:家族・緊急連絡先など
  • 健康情報:アレルギーや服薬など
  • 保育条件:認定区分や保育時間など
  • その他の記録:写真、同意履歴

その情報を、登降園や連絡帳、健康記録などの業務で再利用できれば、転記ミスと職員の入力時間を減らせます。指導計画や要録、請求計算でも、同じ台帳の情報を使えます。反対に、台帳と帳票が別々の仕組みになると、システムを導入しても二重管理が残ります。

施設種別ごとに異なる必要機能

施設の種類によって、認定区分や保育時間、給付費などの扱いが変わります。無償化や監査、自治体指定帳票への対応も、施設ごとに異なります。

幼稚園では預かり保育や行事管理、保育園では延長保育や午睡・健康記録が重視されやすい傾向があります。一方で、認定こども園では教育と保育の両方にまたがる記録が多くなりやすい傾向があります。

見積もりの前提に施設種別を書いておかないと、契約後に帳票や料金計算の追加開発が必要になることがあります。

料金体系別に見る園児管理システムの費用相場

SaaS型、パッケージ型、カスタム開発の費用の決まり方を3つのパネルで示す図。
費用を比べるときは、方式ごとに中心となる費目が異なります。

費用相場は、SaaS・パッケージ・カスタム開発のどれを選ぶかで変わります。公開価格は比較しやすい一方で、初期設定や機器、決済手数料が別になる場合があります。以下の金額は、2026年8月時点で確認できる公開情報と保育ICT開発の公開概算に基づく目安です。

実額は、園児数や園数、機能で決まるほか、移行データやサポート範囲によっても変わります。

SaaS型の月額目安(3,000円台から4万円程度)

SaaS型は、ベンダーが用意したクラウドサービスを月額で利用する方式です。料金は、基本機能の範囲と追加オプションによって変わります。

  • 基本機能中心:園児台帳と保護者連絡だけなら、月額3,000円から1万円程度です。
  • 機能を追加:登降園、帳票、請求、健康・安全、シフトなどを複数足すと、月額1万円から4万円程度になります。
  • 課金単位:定員課金、施設単位の定額、機能ごとの追加課金があります。園児数が少なくても、機能数が多いと高くなる場合があります。

複数園では、施設数に応じて料金が増えることがあります。

たとえば、CoDMONの公式料金ページでは、初期費用が0円からです。基本利用料は、定員30名まで月額3,300円、31〜60名が月額5,500円、61〜100名が月額8,800円(税込)です(出典:CoDMON公式「ご利用料金について」、2026年8月確認)。

登降園や帳票、請求などのオプションは、それぞれ月額3,300円から8,800円です。定員31〜100名のパックは月額33,000円(税込)です。必要な機能を加えた合計額で比べます。

パッケージ型の導入費と保守費

パッケージ型は、保育業務向けの製品を導入し、初期設定や帳票設定を行う方式です。費用と運用条件は、次の3つの観点で確認します。

  • 導入費:初期費用は数十万円から数百万円が目安です。
  • 利用・保守費:月額数万円程度の見積もりが多く、SaaSより自由度を持たせられる場合があります。
  • 運用の担当範囲:サーバーやOS、バックアップ、障害対応などを誰が担うかで、総額が変わります。

園独自の児童票や自治体帳票を追加すると、設定費、帳票開発費、テスト費が発生します。また、買い切りライセンスでも、法改正や制度変更への対応費が必要になる場合があります。

見積書では、導入費用と年間保守費用を分けて示してもらいます。

問い合わせの回数や障害対応の時間、軽微な変更の範囲も、あわせて確かめます。

カスタム開発の費用幅(300万円から4,000万円程度)

独自開発の対象に、園児管理から帳票・行政連携までを含めると、費用は機能の範囲に応じて上がります。

  • 園児管理・登降園:独自開発で300万円から600万円程度です。
  • 保護者アプリを追加:600万円から1,200万円程度かかります。
  • 請求管理を追加:1,200万円から2,000万円程度になります。
  • フルスペック:写真や指導計画、行政連携、複数園管理を含み、2,000万円から4,000万円程度です。

これは民間企業が公開した概算で、正式な市場平均や個別案件の見積もりではありません(出典:GXO「保育園・幼稚園ICTシステム開発の費用相場」、2026年公開)。

別の2026年公開の概算では、SaaS型は月額1万円から5万円、カスタム開発は200万円から600万円です。この差は、対象範囲と前提条件によって生まれます。

自園向けのWeb画面と、複数法人・複数園向けのサービスでは、必要な工数が異なります。保護者アプリや会計連携を備える場合も、工数は変わります。さらに、自治体報告や監査ログを備える場合も、工数は変わります。金額だけでなく、各レンジに含まれる範囲を確かめることが大切です。

ポイント

方式によって、公開価格に含まれる費目と別に必要な費用が違います。SaaSは月額、パッケージは導入費と保守費、カスタム開発は機能の範囲を見て比べると、判断の材料がそろいます。

園児管理システム開発の費用内訳

園児管理システム開発の費用を、要件定義とデータ設計、画面開発・外部連携・帳票対応、移行・研修・保守の3層に分けた図。
見積書では、機能開発以外の準備や運用費も確認対象になります。

見積書の金額は、単純なプログラム作成費だけでなく、要件定義から開発、テスト、保守まで、各工程の費用が積み重なって決まります。データ移行や導入教育、インフラの費用も、総額に含まれます。

費用内訳を工程ごとに見ると、削ってよい範囲と、削ると危ない範囲を分けて考えられます。

要件定義とデータ設計の費用

要件定義では、業務と情報の扱いを次の3点で決めます。

  • 業務・データの関係:園児や保護者、職員を、クラスや年度、料金、出欠と結びつけて一覧にします。
  • 更新の担当:誰がいつ担当するかの取り決め。
  • 安全情報の管理:アレルギー、服薬、送迎者変更、午睡について、入力者や承認者、変更履歴、閲覧権限を設計します。

ここを省くと、開発中の仕様変更が増えるうえ、完成後もExcelとの二重管理が残ります。

要件定義費は、対象業務や園の数、ヒアリングの回数、既存帳票の量で変わります。1園の台帳・連絡帳の整理と、法人本部・複数園・自治体担当者との調整は、同じ工数ではありません。

見積書では、ヒアリングの記録や業務フロー、権限表が成果物に含まれるかを確認します。そのほか、画面一覧やデータ項目一覧を含むかも見ておきます。

画面開発・外部連携・帳票対応の費用

画面と連携の開発範囲は、利用者と接続先の両面から整理します。

  • 画面:職員用のPCやタブレット、保護者用のスマートフォン、園長・法人本部向けの集計を作ります。
  • 外部連携:QRコードやICカード、通知のほか、写真、決済、会計・給与、自治体様式との接続が加わると、工数が増えます。
  • CSVの確認:出力だけでなく、文字コードや日付形式、再取込時の重複処理も必要です。

接続にはAPI、データ変換、エラー処理の工数も含めて見積もります。

帳票では、園児台帳の出力書式に加えて、年度や認定区分、保育時間などの条件が関係します。押印欄や自治体改定への対応も、工数に影響します。独自帳票を増やすほど、開発費と将来の改修費が増えます。

帳票は、標準帳票で足りるものと独自対応が必要なものを分け、優先順位を付けると、費用を管理しやすくなります。

移行・研修・保守の費用

紙やExcelからの移行では、氏名の表記揺れや兄弟関係、退園者を整理します。年度更新や重複行、古い連絡先も、移行前に整えておく必要があります。

費用は、移行する過去の年数、画像や添付書類の有無、園側とベンダー側のどちらが確認するかで変わります。

  • 全件を移行:対象データをまとめて移す方式です。
  • 必須情報に限定:在園児の必須情報を移し、過年度資料は保管ルールに沿って別管理します。

研修と保守に含まれる支援は、分けて見積もります。

  • 導入研修:職員向けの操作説明、管理者の権限設定、保護者向けの登録案内、問い合わせ窓口を整えます。
  • 継続支援:月次の活用支援、電話・チャット、障害時の連絡、バックアップ、データ返却・削除を確認します。

年度更新や職員の入れ替わりに対応するには、研修を一度で終わらせず、継続して見込むことが必要です。そのため、初期費用とランニング費用を分けて計上します。

ポイント

見積書の金額は、要件定義から保守までの工程が積み重なって決まります。迷ったときは、工程ごとに削ってよい範囲と削ると危ない範囲を分けて考えます。

園児管理システムの価格が変動する要因

園児管理システムの価格に関わる利用人数・園数、セキュリティ・ネットワーク・端末要件、独自帳票・制度変更・連携、サポート要件をハブ状に示す図。
見積もり条件を分解すると、価格差の理由を比べやすくなります。

同じ機能名でも、利用人数や園数、業務ルールによって価格は変わります。端末やネットワーク、データ連携、サポート要件も、価格に響きます。

見積もりを比べるときは、安い・高いを急いで決めず、価格を押し上げている条件を一つずつ分解します。

園児数・職員数・施設数による料金差

料金の課金単位は、サービスごとに異なります。

  • 園児数・定員:30名、100名、300名などの区分で、月額が変わります。
  • 職員アカウント:上限があるプランでは、パート職員や本部職員も数に含むかを確認します。
  • 複数園:園別課金、法人定額、園児数の合算があります。5園でも、単園価格の5倍だけでは比べられない場合があります。

ルクミー公式では、カスタマイズプランは月額5,000円(税抜)、伴走型スタンダードプランは月額30,000円(税抜)です(出典:ルクミー公式「料金プラン」、2026年8月確認)。いずれも、園児定員数や職員数で月額が変動しないと説明されています。

登降園や請求、午睡チェックのほか、シフトやバス位置情報も有償オプションです。そのため、課金単位が違うサービスを、月額だけで比べないようにします。

セキュリティ・ネットワーク・端末要件による費用差

園児や保護者、職員の情報を守る対策と、自治体の環境要件によって、費用が変わります。

  • 情報管理:ID・パスワード、二要素・多要素認証、IP制限、権限分離、暗号化、監査ログ、バックアップ、退職者アカウントの停止を確認します。
  • 自治体要件:閉域網、LGWAN、指定端末、データセンター、災害時の業務継続が求められる場合があります。

自治体要件がある場合は、一般的なクラウド導入より、設計や検証の費用が増えることがあります。

新たに用意する機器や回線には、機器代と、設定・交換・通信費がかかります。

  • 機器:タブレット、登降園用端末、ICカードリーダー、QRコード、午睡センサー、体温計を確認します。
  • 通信:Wi-Fiやモバイル回線の準備費用を含めます。

既存の端末を使えば初期費用を抑えられますが、OSの対応期間や故障時の代替機を確認しないと、運用費が膨らみます。

独自帳票・制度変更・連携の数による費用差

標準機能を変更する場合や、制度改定に追随する場合に、費用が発生します。

  • 園独自の機能:児童票、健康記録、指導計画、延長保育計算、写真公開範囲、兄弟一括連絡が対象です。
  • 制度・帳票の改定:認定こども園や自治体では、報告様式を含めた改修が必要になる場合があります。

見積もりでは、初回の開発費に加えて、制度改定への対応が標準保守に含まれるか、個別に請求されるかを確認します。

将来の連携に備えて、API、CSV、データエクスポートの有無を初期要件に入れておきます。また、2026年度のこども家庭庁の事業資料でも、保育業務施設管理プラットフォームと自治体基幹業務システムを結ぶAPI開発が示されています。

現在使える機能だけでなく、データを持ち出せるかどうかも、将来の乗り換えコストを左右します。

ポイント

価格差は、園児数や園数だけでなく、端末やネットワーク、連携、自治体要件の違いから生まれます。見積もりを比べるときは、条件をそろえてから金額を見ると、差の理由が見えやすくなります。

費用を見誤らない開発・導入の進め方

費用を抑えるには、まず現状の業務と優先順位を整理し、そのうえで開発会社に見積もりを依頼します。

現場の入力負荷を無視すると、導入後に使われず、追加研修や再カスタマイズの費用がかかります。

現状の洗い出しと優先順位付け

導入範囲は、現状の業務を洗い出し、必要度と導入段階を分けて決めます。

  1. 園児台帳、出欠、登降園、連絡帳、健康記録、午睡、保育計画、帳票、請求、写真、バス、電話まで、紙やExcelを含めた業務の流れを洗い出します。
  2. 要件を、必ず必要なもの(Must)、できれば必要なもの(Should)、将来検討するもの(Could)に分けます。
  3. 登降園と保護者連絡を先行し、請求や高度な分析を第2段階に回して、初期投資と導入リスクを分散します。

1園または1クラスでの試行

試行では、1園または1クラスで4〜8週間程度運用し、次の流れで確認します。

  1. 登降園の打刻や欠席連絡、連絡帳を、実務の中で試します。
  2. 入力時間や誤入力を記録し、保護者の利用率、電話件数、紙の残量も残します。
  3. 見つかった例外処理を要件に戻し、全園展開後の追加開発を減らします。

試行には園長や主任、担任、事務などの職員が参加します。法人本部や、必要に応じて保護者代表も加わります。

トップダウンで決めると、現場で使われない入力項目が増えがちです。特に、アレルギーや服薬、送迎者の変更、午睡確認は、入力者と確認者、誤りの訂正方法を現場と取り決めておきます。

データ移行・研修・全園展開の管理

データ移行と本番展開は、次の順に管理します。

  1. 旧台帳の重複や表記揺れ、退園者、未入力項目を整理し、テスト移行を行います。
  2. 園児名や保護者連絡先、アレルギー、服薬、緊急連絡先、認定区分を元データと照合します。
  3. 職員研修や保護者説明、障害時の連絡方法、紙へ戻す手順を準備して、本番稼働します。

移行担当を決めずに、ベンダーへ任せきりにすると、誤登録の発見が遅れます。

導入期間は、機能の数だけでなく、移行や研修、試行まで含めて見積もります。

  • 園児管理・登降園:2〜4か月です。
  • 保護者アプリを含む:4〜7か月です。
  • 請求・自治体連携を含む:6〜10か月です。
  • フルスペック:10〜16か月程度です。

園児管理システムのコストを最適化するポイント

コストの見直しでは、機能や品質を一律に削るのではなく、園児の安全や個人情報保護、法令・自治体帳票を守りつつ、使わない機能を後回しにし、重複する費用をなくします。障害時の連絡も、守るべき対象です。

標準機能を基本にした独自開発の絞り込み

最初に、SaaSやパッケージの標準機能で業務を回せるかを確かめ、標準機能で対応できない差分だけをカスタムします。

園独自の紙帳票を、そのまま画面にするより、入力を減らせる標準項目へ業務を寄せるほうが、開発費と将来の改修費を抑えられます。

アレルギーや服薬、午睡、安全確認のように現場の安全に関わる要件は、コストだけで削らない判断が必要です。

3年TCOでの比較

園児管理システムを3年TCOで比べるときは、初期導入から運用・変更までの費用を含めます。

  • 導入・運用費:初期費用、月額利用料、初期設定、保守、通信、決済手数料が対象です。
  • 移行・利用環境:端末やデータ移行、研修にかかる費用をまとめて見ます。
  • 変更費:追加カスタマイズの費用を含めます。

SaaSは初期費用が小さくても、園数が増えると月額が積み上がります。一方で、標準化できる複数園で使う場合は、カスタム開発の初期費用が大きくても、月額の増加を抑えられることがあります。

1〜3園で標準業務を使うならSaaSを優先し、4園以上で独自帳票や法人横断集計、会計連携がある場合は、部分カスタムも比べます。

判断は、利用年数や園の増減、解約時のデータ返却の可否でも変わります。短期の導入費だけでなく、利用終了までの総額を同じ前提で並べます。

補助金の対象範囲と自己負担

こども家庭庁の令和7年度保育関係補正予算資料にある、ICT導入補助基準額は、機能数に応じて次のとおりです(出典:こども家庭庁「令和7年度保育関係補正予算の概要」、2026年8月確認)。

  • 1〜4機能:1施設あたり20万円、40万円、60万円、80万円です。
  • 端末購入などを併用:同じ機能数の順に70万円、90万円、110万円、130万円です。

補助対象や補助率、申請時期のほか、月額利用料と保守費の扱いも、自治体によって異なります。

申請の前に、補助対象と自己負担の範囲を確かめておきます。

  • 対象費用:機能や端末、初期設定、研修、データ移行、消費税を確認します。
  • 申請条件:自己負担の割合と、契約・発注を先に進められるかの扱い。
  • 予算の備え:採択されなかった場合に、補助金なしの負担も見積もります。

高額なカスタムを採択前提で進めると、不採択時の負担が大きくなります。そのため、補助対象の機能と園独自の追加機能は、見積もりの段階で分けておきます。

ポイント

コストを抑えるときも、園児の安全や法令に関わる機能は残し、標準機能を優先します。月額だけでなく3年間の総額で比べると、判断を誤りにくくなります。

見積もりを取る際に確認すべきポイント

相見積もりを取るときは、各社に同じ前提を渡すことが大切です。

機能名が同じでも仕様の解釈がそろわないことがあるため、前提条件を一枚にまとめます。施設の規模は利用施設数や園児数、職員数で示し、端末や連携先、移行対象は別に書きます。帳票や研修、保守、導入希望時期も、同じ一枚に入れます。

RFPに載せる業務とデータの条件

RFPや要件一覧には、対象業務と運用条件を記載します。

  • 業務情報:園児台帳、保護者・家族、登降園、欠席・遅刻・早退、延長保育、連絡帳、健康・発達、アレルギー、午睡を含めます。
  • 記録・管理:指導計画、要録、帳票、請求、写真、バス、職員権限、監査ログ、バックアップ、データ返却を記載します。
  • 実現方法:「できる・できない」に加え、標準機能、設定、追加開発、外部連携のどれで実現するか回答を求めます。

初期費用・月額費用・追加費用の区分

見積もりは、初期費用と月額費用、追加費用に分けて見ます。

  • 初期費用:要件定義、設定、開発、連携、データ移行、端末、研修を確認します。
  • 月額費用:利用料や保守、サポート、バックアップ、ストレージ、通信の費用。
  • 追加費用:園児数や園の増減、帳票変更、制度改定、API、決済手数料、休日対応、追加研修の単価です。

自治体の調達例では、初期費用やサービス利用料のほか、導入前の準備や説明会、運用保守が別項目になる場合があります。

江戸川区の公開資料では、機能要件対応表やデモンストレーションが確認項目です。保護者連絡、登降園、連絡帳・帳票の連動性も、提案内容に含まれます(出典:江戸川区「保育園業務支援システム導入および運用保守業務」実施要領、令和7年度)。費用だけでなく、提案範囲と検証項目も比べます。

セキュリティと解約時のデータ返却

個人情報保護委員会のガイドラインは、情報リスクに応じた安全管理措置を求めています(出典:個人情報保護委員会「個人情報保護法ガイドライン(通則編)」)。そのため、認証マークに加えて、次の運用も確認します。

  • アクセス管理:園児・健康情報の権限分離、退職者の利用停止、アクセスログを確認します。
  • 事故・継続対応:脆弱性への対応、バックアップ、障害連絡、委託先、報告の取り決め。
  • 解約時の処理:データの削除と返却の方法。

CSVで返却されても、写真や添付ファイル、履歴まで戻せるとは限りません。兄弟関係や年度情報、帳票設定も、戻せるかどうかを見ておく必要があります。

返却の形式や費用、期限のほか、削除証明や移行支援を契約前に確認します。また、将来の乗り換えが難しいと、月額が安くても長期の切り替え費用が高くなります。

ポイント

見積もりを比べる前に、同じ前提条件を各社に渡します。初期・月額・追加費用の区分や、セキュリティ、解約時のデータ返却まで揃うと、金額の差を読み解きやすくなります。

よくある質問(FAQ)

園児管理システムの費用について、特に質問されやすい点をまとめました。公開料金とカスタム開発費は性質が異なるため、前提条件をそろえて判断することが大切です。

園児30名程度の小規模園ならいくらかかりますか?

園児台帳と保護者連絡を中心にしたSaaSなら、公開料金をもとに、月額3,000円台から1万円程度が比較の出発点です。

登降園や帳票、請求などを追加すると、月額1万円から4万円程度に広がります。端末や初期設定が別に必要になる場合もあります。

独自帳票や連携まで含むカスタム開発は、園児数だけでなく要件の複雑さによって数百万円規模になります。そのため、小規模園では標準機能から検討する方法が現実的です。

SaaSとカスタム開発はどちらが安いですか?

1〜3園で標準業務を使う場合は、初期費用が小さく、短期間で始められるSaaSが安くなりやすいです。

複数園を長期で運用し、独自帳票や法人横断集計、会計連携などが必要な場合は、初期費用が大きくても、カスタム開発や部分カスタムが合うことがあります。

3年または5年のTCOで比べると、判断しやすくなります。その際は、月額や端末、保守、追加改修、データ移行まで含めます。

補助金を使えば園の負担はゼロになりますか?

ゼロになるとは限りません。補助金には、対象機能や補助率、上限、申請時期の決まりがあり、自治体ごとの運用も異なります。費用は項目ごとに対象かどうかが分かれます。

  • 初期設定、研修、保守:対象外になる場合もあります。
  • 月額利用料、端末、消費税:対象外になることがあります。

申請の前に契約や発注をしてよいかどうか、採択されなかった場合の負担を誰が持つかも確認します。そのうえで、補助金なしの予算案を用意しておきます。

補助金の採択は申請後に決まるため、不採択だった場合の負担も、あらかじめ予算に含めておきます。

紙やExcelのデータ移行費用はどのくらいですか?

移行費用は、対象件数や過去何年分か、画像や添付ファイルの有無によって変わります。表記揺れや重複の多さ、移行後の照合作業も関係します。

作業量は、移す範囲によっても変わります。

  • 在園児の基本情報だけ:小さく抑えられます。
  • 過年度の児童票や写真、健康履歴も移す:作業量が増えます。

見積もりでは、データ整形からテスト移行、本番移行、検証まで、どこまで含むかを確認します。失敗時のやり直しも対象かどうかを見ておきます。

まとめ

保育園・幼稚園向け園児管理システムの費用は、公開SaaSなら月額3,000円台から4万円程度、カスタム開発なら300万円から4,000万円程度まで幅があります。

価格差は、園児数だけでなく、どこまでを対象に含めるかで生まれます。

費用は、登降園や請求、帳票を含む機能の範囲と、周辺の作業をどこまで含めるかで大きく変わります。各社の見積もりを比べるときは、下の項目がどこまで含まれているかを確かめます。

  • その他の機能:連絡帳、健康・安全、保護者アプリ、複数園管理
  • 周辺の作業:外部連携、セキュリティ、移行、研修、保守

費用を判断するときの要点

比較では、必要な機能を足した月額と、初期設定や端末を含む導入費、3年または5年のTCOを並べて見ます。

標準機能で始められる業務と独自開発が必要な業務を分けて、まず1園または1クラスで試行します。その際、利用率や入力時間、誤入力、電話件数を確認します。

補助金は、対象範囲と自己負担を確かめたうえで、採択されない場合の予算も用意します。

次に作る見積もりの前提

見積もり条件は、施設の前提、必要機能、運用条件に分けて整理します。

  • 施設の前提:施設種別、園数、定員・園児数、職員数をまとめます。
  • 機能・環境:優先機能、既存データ、帳票、連携先、端末、ネットワーク、移行範囲を整理します。
  • 導入後の運用:研修、保守、障害時対応、データ返却の条件を決めます。

同じ条件を複数社に示すと、金額だけでなく提案内容や将来の運用コストも比べられます。

園児管理システムは、園児情報を安全に扱い、職員が入力しやすく、保護者との連絡と園の記録を確実につなぐための仕組みです。

費用の根拠と変動要因を確かめ、現場で続けて使える範囲から段階的に導入すると、無理のないコスト管理につながります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。