水産業向け水産物在庫管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

水産業向け水産物在庫管理システムの開発は、現場の在庫の流れを洗い出す要件整理から始め、実データで候補を選び、段階的に稼働させる順で進めます。この順番を守ると、在庫精度と出荷品質の向上に結び付きます。

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・水産業向け水産物在庫管理システム開発の完全ガイド

水産業向け水産物在庫管理システムの全体像

水産物の在庫データを中央に置き、サイズや産地、重量、荷主、加工ロットの情報を注釈で示した図解。
商品ごとの差と取引・加工の情報が、在庫管理に重なります。

水産業の在庫管理は、産地、ロット、温度帯、顧客、出荷単位を追跡する業務基盤です。

魚種や数量を倉庫に記録するだけの仕組みとは、求められる範囲が違います。

発注側は、一般的な在庫管理との違いを押さえ、そのうえで導入範囲を決めます。

一般的な在庫管理との違い

一般的な在庫管理との違いは、商品の特性、重量、加工、所有区分の管理に表れます。

  • 一般商品:商品コード、数量、保管場所で運用できる場合があります。
  • 水産物:個体差や取引単位の違いも扱います。
  • 加工会社:原料から半製品・製品への変換を追い、歩留まりと加工ロス、製造ロットを記録します。
  • 卸・冷蔵倉庫:自社、荷主別、委託別の在庫を分けて持ち、営業冷蔵庫、船上、外部倉庫を含めた引当可能数を把握します。

同じ魚種でも、サイズや等級、産地が異なります。また、漁獲日や入荷日、荷主、鮮度、賞味期限も違います。

ケース、kg、尾、パックが混在し、不定貫の実重量と単位換算の履歴も管理します。

発注側は、画面に並ぶ機能の数より、実際の在庫の持ち方をデータモデルに表せるかを見極めます。

最初に必要な機能の整理

機能は、入荷から分析まで業務の流れに沿って洗い出します。各工程で確認する内容を並べれば、発注側は必要な範囲を絞り込めます。

  • 入荷:漁獲・仕入情報、計量器の重量取込、検品、不良・返品、荷札発行。
  • 保管:倉庫、ロケーション、温度帯、荷主、ロットを管理します。賞味期限と出荷止めも記録します。
  • 受注・出荷:在庫引当、得意先別単価、出荷指示、納品書・送り状・請求を扱います。
  • 加工:原料から製品ロットへの変換、レシピやBOM、歩留まり、原価を管理します。
  • 連携:計量器、バーコード・QR、ラベルプリンター、ハンディ、温度センサー、販売管理・会計・ERPと接続します。

連携機器や既存システムとの接続は、初期要件の段階で整理します。

後から足すと、現場の入力手順や費用にも影響が広がります。

導入前には、棚卸差異率、計量から在庫反映までの時間、入力回数、出荷ミス件数、廃棄・滞留量を、現場で測っておきます。さらに、在庫回転、歩留まり、棚卸時間、冷蔵庫利用率も測ります。

目標は、「DXを進める」より、現場の人が確認できる形で定めます。

重量の二重入力を1工程にまとめ、回収ロットを担当者の記憶に頼らず、数分の検索で探せるようにします。

ポイント

導入範囲は、不定貫や加工、所有区分など自社の在庫の持ち方を基準に決めます。機能の数だけで比べると、必要な範囲を見落とす恐れがあります。

水産業向け水産物在庫管理システムの進め方

クラウド・SaaS、業種別パッケージ、追加開発、フルスクラッチの4形態を同じ大きさのパネルで示した図解。
自社業務と機器への適合性が、形態を比べる軸になります。

開発は、要件整理、選定、設計開発、テスト、稼働、定着の6フェーズで進みます。各段階で、成果物、意思決定者、次工程へ進む条件を決めておくと、追加要望による手戻りを減らせます。

入荷、計量、在庫、出荷の流れは、早い段階で実データを使って検証します。

フェーズ1:要件整理と現場の在庫の流れの把握

要件整理では、発注側と開発会社が、入荷予定から精算までの業務を目に見える形に描き出します。現場で観察する場面をそろえておくと、聞き取りだけでは見つからない課題も拾えます。

  • 工程:荷受、計量、検品、ラベル発行、保管、加工を経て、次の段階へ進みます。受注、引当、出荷の順に続き、返品、廃棄、精算も対象です。
  • 現場状況:早朝の水揚げ、入荷集中、冷凍庫への入庫、出荷直前の変更。
  • 情報の重複:紙、電話、FAX、Excel、既存販売管理で再入力する項目。

要件整理の成果として、業務フロー、課題一覧、データ項目一覧をまとめます。

権限表、連携先一覧、優先順位表も、同じ段階でそろえます。

魚種、商品、規格、サイズ、等級、産地は、商品の項目として定義します。ロットや漁獲日、入荷日、重量、単位は、在庫の記録を支える項目です。

温度帯、賞味期限、荷主、所有区分も、同じ一覧に載せて扱います。

法令対応では、対象魚種と取引区分を確認します。そのうえで、伝達する情報、担当者、記録の保存期間を業務項目に記載します。

要件整理には、現場責任者に加えて、荷受、倉庫、加工、営業、経理、情報システムの代表が参加します。

要望は、機能名より「いつ、誰が、何を見て、何を判断するか」の形で書きます。そうすると、不要なカスタマイズを減らせます。

フェーズ2:選定での業態と機器との適合性の確認

選択肢は4つの形態です。どの形態が自社の業務と機器に合うかを、実データで比較します。

  • クラウド・SaaS:初期投資を小さく抑えられ、複数拠点へ広げやすい形態。
  • 業種別パッケージ:水産・食品・冷蔵倉庫向けの標準機能を利用する形態。
  • 追加開発:パッケージを基盤に不足機能を加える形態。
  • フルスクラッチ:要件に合わせて個別に開発する形態。

クラウドを選ぶ場合は、港や倉庫の通信断、月額の増加、外部機器との接続方法を確認します。

パッケージは、標準機能で足りれば短納期になりやすいです。

過剰な個別改修は、更新や保守を難しくします。

デモでは、自社の実データを使い、入荷から出荷までの5ケースを発注側の担当者が操作します。

  • 魚種・規格:同じ魚種でサイズと等級が異なるケース。
  • 重量:一箱ごとに重量が異なるケース。
  • 荷主:荷主が異なるケース。
  • 加工:一部を加工して歩留まりが変わるケース。
  • 期限:賞味期限の短いロットを優先出荷するケース。

計量器、ラベルプリンター、ハンディ、既存販売管理、会計・EDIとの接続も、実演で確かめます。

比較では、適合率、追加開発範囲、更新への影響、移行支援、現地教育を見ます。

障害連絡、復旧目標、納品書類、保守会社変更の条件も確認します。

ニュー浜屋冷蔵は2025年2月時点で、冷凍食品や冷凍水産物を扱う2拠点を運用しています。

同社は拠点差を聞き取り、標準機能と個別対応を組み合わせました(出典:NSW「冷蔵・冷凍倉庫向け入出庫在庫管理システム 導入事例」、2025年)。

フェーズ3:不定貫とロットを中心にした設計・開発

基本設計では、業務機能、データ構造、画面、帳票を確定します。さらに、連携方式、権限、運用ルールも決めます。

  • 不定貫:ケース数と実重量を分け、計量修正履歴と水引を残します。単位換算を固定するか、商品・規格・取引ごとに許容するか決めます。
  • ロット:入荷、加工前原料、加工後製品、出荷の関係を管理し、順追跡と逆追跡を画面や帳票で確認します。
  • 所有区分:委託在庫や名義変更では所有者・請求先・引当可能者を分け、数量の備考欄への記入だけでは済ませません。
  • 現場画面:低温、手袋、濡れた端末、短時間入力を前提にし、魚種などは検索して選び、重量は機器から取得します。
  • 機器運用:ラベル再印刷と通信断時の再送を用意し、在庫反映や貼り直し後の元データを確認します。

フェーズ4:例外処理と現場のピークを再現したテスト

テストは、単体、結合、総合、受入の4段階に分けます。各段階で確認する対象をそろえ、工程間のデータを照合します。

  • 単体テスト:開発会社が画面や機能を確認します。
  • 結合テスト:機能同士の連携を確かめます。
  • 総合テスト:業務の開始から終了までを確認します。
  • 受入テスト:現場担当者が利用できるかを判断します。

計量、在庫引当、出荷、請求、ロット追跡のデータが、各工程で一致するかを確かめます。

通常の処理に加えて、例外も試します。例外には、魚種・規格違い、再計量、返品、不良、期限切れを含めます。さらに、出荷止め、在庫不足、名義変更、加工ロスも対象にします。

通信断、プリンター停止、二重送信も試験します。

ピーク時間帯に複数人が同じ在庫を引き当てても、二重出荷にならないかを検証します。

受入基準は、入荷1件の入力時間、計量からラベル発行までの時間、棚卸差異の許容範囲、通信復旧後の再送時間を、発注側と開発会社が数字で決めておきます。

さらに、トレーサビリティ帳票の出力時間も合意しておきます。加えて、テストの結果、未解決課題、回避策、リリース承認者を記録に残し、口頭の合意だけで本番に進まないようにします。

フェーズ5:小さく始める段階的な稼働

稼働の切り替えでは、導入範囲と移行準備を段階ごとに確認します。

  • 切替方式:全拠点・全機能一括か、1拠点・1工程から段階的に行うか決めます。
  • パイロット:入荷計量から在庫反映、出荷ラベル、ロット検索を候補にします。漁協・市場は魚種・時間帯、加工会社は一製品ラインから始められます。
  • 移行データ:商品、取引先、倉庫、ロケーションのデータを整えます。単位、ロット、在庫残高もそろえます。表記揺れ、重複、古い情報、単位混在が差異の原因です。
  • 移行照合:少なくとも一度リハーサルし、旧帳簿と新システムの数量・金額・ロットを責任者が照合します。
  • 初日運用:問い合わせ先、紙運用、端末・プリンターの予備、通信断時の記録、旧システムの参照期間を決めます。

ZIFISHは、ヒアリング、カスタマイズ、開発・テスト、本運用の流れを示しています。同社は、最短2か月、初期費用300万円から、月額利用料3万円からと案内しています(出典:株式会社ZIFISH公式サイト、2026年確認)。

この目安は、計量器、タブレット、プリンター、アプリ、既存システムへの転記を含むパッケージ向けです。販売・加工・倉庫の統合費用とは分けて考えます。

フェーズ6:KPIと改善会議による定着と運用

稼働後は、研修だけで終わらせず、定着、改善、制度対応を運用に組み込みます。

  • 教育とマスタ:役割別手順書、端末ルール、問い合わせ先、変更承認者と履歴を用意します。項目を自由に追加すると表記揺れが再発します。
  • KPI確認:週次または月次で、棚卸差異率、出荷ミス、二重入力、欠品、滞留・廃棄を追います。加えて、歩留まり、在庫回転、棚卸時間、問い合わせ件数も追います。
  • 原因分析:改善しない場合は、運用、マスタ、教育、機器、通信から原因を切り分けます。
  • AI活用:需要予測や魚種判定は、入力とロットの品質を整えてから検討します。
  • 制度変更:変更時の項目や帳票の見直しを誰が担うか、保守契約に含めます。

水産庁は、2026年4月1日施行の改正により、特に厳格な漁獲量管理が必要な資源の取引で、情報伝達や記録の作成・保存が義務付けられると案内しています(出典:水産庁「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」、2026年)。

対象魚種や制度の詳細は定期的に確認します。そのうえで、保存項目と帳票を見直します。

ポイント

発注側と開発会社が各段階の完了条件を決め、入荷から出荷までの流れを実データで早く検証すると、追加要望による手戻りを減らせます。

水産業向け水産物在庫管理システムの費用相場

水産業専用の公的な平均価格統計は確認できません。そのため、ここに示す金額は、研究ノートの類似システム相場と、2025年から2026年に公開された製品情報に基づく目安です。

不定貫、計量機器、冷蔵冷凍倉庫、加工、追跡を加えると、費用は上振れします。EDIや既存ERP連携を含める場合も、上振れの要因になります。金額は要件、拠点、機器台数、移行量で変わるため、固定額ではなくレンジで比べます。

導入形態ごとの初期費用と期間の目安

費用と期間は導入形態によって異なるため、発注側は自社の対象業務に近いレンジを起点に見積もります。

  • クラウド・SaaS:初期0〜50万円程度、月額5,000円〜10万円程度、1〜3か月。
  • 計量・漁獲管理パッケージ:初期300〜800万円程度、月額3万円から、2〜4か月程度。
  • 加工・卸向けパッケージ:移行や連携を含め初期500〜2,000万円程度、3〜9か月程度。
  • 複数拠点統合:WMS、販売、購買、加工、EDIを含め1,500〜5,000万円程度、6〜18か月程度。
  • スクラッチ・IoT基盤:市場・漁協・複数企業をまたぐ場合は5,000万円〜1.5億円超、大規模刷新は3億円以上、1〜3年規模。

機器保守、通信、現場設定、既存システム連携は、別料金になる場合があります。

各レンジは、水産業専用の平均ではなく、研究ノートの在庫・購買・受発注システムの推定値です。ZIFISHの初期300万円からという公開価格は、計量、荷物管理、ラベル、クラウド保管、既存システムへの転記を含む小規模パッケージの実例です。フル機能の基幹システムと同じ扱いにはせず、自社の導入範囲にどれだけ近いかを確認します。

費用の工程と項目の内訳

工程別の配分は案件ごとに異なります。そのため、研究ノートにある類似業務システムの推定を目安にしつつ、成果物と作業範囲を見積に記載します。

  • 要件定義:10〜15%程度。
  • 設計:基本設計15〜20%、詳細設計10〜15%程度。
  • 開発:30〜40%程度。
  • 結合・総合テスト:15〜20%程度。
  • 移行・教育・本番導入:5〜10%程度。

見積では、工程ごとの金額に、成果物、担当者、回数、修正範囲を併記してもらうよう、開発会社に依頼します。

初期費用以外にも、クラウドや年間保守、サーバー・バックアップの費用がかかります。機器では、計量器、ハンディ、タブレット、ラベルプリンターが対象になります。

温度センサー、通信、現地訪問、データ整備、教育も確認します。追加帳票、API・EDI利用料の扱いも確かめます。

年間保守は、初期開発費の10〜20%程度が目安となる場合があります。SaaS月額、機器保守、24時間対応、法令改定対応の有無は、契約ごとに異なります。

比較では、初期費用だけでなく、5年程度の総保有コストで見ます。

拠点や利用者の追加、帳票の変更で、費用が積み上がる場合があります。API本数と保存容量も、費用を押し上げる要因になります。さらに、機器交換と休日対応も、費用を押し上げる要因になります。

初期費用が高くても、標準機能や保守が含まれ、追加開発を抑えられる場合もあります。見積の前提をそろえて比べます。

ランニングコストの内訳と確認点

ランニングコストは内訳ごとに見ると、契約に含まれる範囲を確認できます。

  • ソフトウェア:利用料やクラウド料金。
  • 保守:障害対応、更新、問い合わせ対応。
  • 機器・通信:計量器、端末、プリンター、回線。
  • 運用人件費:入力、マスタ管理、現場対応。

クラウド料金にサーバーだけが含まれ、端末管理やプリンターが別請求となる場合があります。

計量器台数、拠点数、利用者数、EDI本数、保存量が増えた場合の料金表を、事前に確認します。

月額を下げるためにバックアップや障害対応を省くと、冷蔵・冷凍設備や出荷へ影響するリスクが高まります。

費用と合わせて確かめるのは、復旧時間、バックアップ頻度、復旧テスト、保守時間帯です。訪問費、端末無効化、セキュリティ更新の責任者も確認します。

金額の安さだけでなく、止められない業務をどこまで守る費用かで判断します。

ポイント

費用は要件や拠点数、機器台数、移行量で変わるため、初期費用だけで比べず、機器・移行・連携・保守を含む5年総額で見積を比べます。

水産業向け水産物在庫管理システムの見積ポイント

業務範囲、商品マスタ、機器と環境、システム連携、非機能の5項目を見積条件の周囲に配置した図解。
5つの観点をそろえると、会社ごとの見積範囲を比べやすくなります。

見積を比べるには、業務、データ、機器、非機能、保守の前提をそろえます。会社ごとに導入、連携、移行、教育の範囲が異なるため、RFPやヒアリングシートに観点を記します。

要件と仕様書に記載する項目

発注側は、見積条件をそろえられるよう、業務、商品、機器、連携、非機能の仕様を整理します。

  • 業務範囲:対象拠点、利用者、魚種・商品数、年間入荷・ピーク処理件数、倉庫数、温度帯を示します。委託在庫、加工、受注経路、帳票、法令、連携先も含めます。
  • 商品マスタ:魚種、規格、サイズ、等級、産地、漁獲日を示します。入荷日、重量、単位、賞味期限、ロットも書きます。荷主、所有区分も含めます。
  • 機器と環境:計量器のメーカー・型式・接続方式、プリンター、ハンディ、タブレットを示します。温度センサー、無線LAN、弱電波場所、停電時の運用も書きます。
  • システム連携:販売管理、会計、ERP、EDI、FAX、RPAの形式・頻度・エラー再処理・重複防止。
  • 非機能:同時利用者数、反映・復旧時間、稼働時間、バックアップ、保存期間を示します。監査ログ、権限、暗号化、MFA、SLAも書きます。

厚生労働省は、原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに沿う衛生管理を求めています。あわせて、計画・手順書と実施記録の保存を案内しています。

同省の案内(出典:厚生労働省「HACCP(ハサップ)」、2026年確認)によると、農業・水産業における食品の採取業はHACCP制度化の対象から除外されています。

自社が採取、加工、製造、販売、冷蔵倉庫のどれに当たるかを整理します。次に、温度、検品、清掃、製造の記録を、ロットと連携させます。

複数社の見積の比較方法

発注側は、各社に同じ資料と実データを渡し、対応方法と費目をそろえて比べます。

  • 対応区分:標準機能、設定、個別開発、外部製品のどれか。
  • 見積範囲:機器、連携、移行、教育、保守を分けて記載。
  • デモ項目:不定貫、歩留まり、名義変更、委託在庫、ロット追跡を見ます。出荷止め、期限逆転チェックも含めます。

候補会社は、知名度より自社のボトルネックで分類します。たとえば、漁協・市場や計量・ラベルに強い会社があります。ほかにも、冷蔵倉庫やWMS、加工原価、食品ERP、水産DXに強い会社などがあります。

事例の会社規模、拠点数、機器、連携、稼働後の保守体制が自社に近いか確認します。

比較表には、初期費用、月額、保守を入れます。機器、連携、移行の費用も入れ、教育費も同じ表に含めます。さらに、追加開発単価、納期、支払条件も加えます。

契約期間、解約時のデータ返却、ソースコードや設計書の納品範囲も記載します。

見積額が低い場合ほど、対象外の項目と将来の拡張単価を確認しておくと、導入後の予算超過を防げます。

失敗しやすいリスクと防ぎ方

最も多いのは、現場の例外を把握しないままパッケージを選び、稼働直前に個別開発が増えるケースです。

  • 例外の見落とし:ピーク時を観察し、実データのデモと受入基準を設定。
  • 範囲の拡大:優先工程を試行し、成功条件の達成後に広げる。
  • データの不整合:古いマスタは重複や表記揺れの原因です。移行範囲、除外、整備担当、照合、旧データ参照を契約に記載。
  • 現場での未定着:高機能でも使われない画面を避けます。入力を減らし、機器連携と短時間の教育で使えるか受入時に確認。
  • 法令・通信・安全:対象魚種の記録保存、HACCP衛生記録、端末紛失、無線LAN停止を要件に含める。

クラウド障害、APIキー管理、バックアップ復旧、セキュリティ更新は、誰が責任を持つかもあらかじめ決めておきます。

出荷を止めにくい現場では、開発会社と発注側が、障害時の紙やオフラインの記録と、復旧後に重複なく再送する手順まで設計します。

ポイント

各社に業務範囲、商品マスタ、機器と環境の仕様を同じ条件で渡し、対応区分と見積範囲を分けて比べると、会社ごとの差を見分けられます。

水産業向け水産物在庫管理システムのよくある質問

導入前の疑問は、自社の業態、在庫、通信、機器、法令の対象に照らし合わせると、必要な機能と見積条件を絞り込めます。

Excelで管理している在庫データは移行できますか?

移行はできますが、商品、取引先、単位の重複や表記揺れを整理します。倉庫、ロット、在庫残高も同じ観点で整理します。

移行する範囲は、過去分すべてか、現行在庫と参照用の履歴だけかを決めます。次に、リハーサルで旧帳簿と新システムを照合します。

データ整備を発注者と開発会社のどちらが担うかを、見積に含めます。

港や冷蔵倉庫の通信が不安定でも利用できますか?

利用はできますが、通信断を前提に設計します。端末に一時保存し、計量値やラベル情報には、一意の受付番号を付けます。

通信が復旧したら自動で再送する方法を検討します。また、オフライン中に同じ在庫を別の端末で引き当てられないかを確認します。

再送による二重登録や、プリンター停止時の紙運用も、実際の場所と端末でテストします。

賞味期限やロットの追跡、回収検索に対応できますか?

対応はできますが、入荷、加工、出荷ロットの関係を設計し、順追跡と逆追跡を試します。

賞味期限、製造年月日、出荷止め、先期限出しを、引当に反映します。回収対象は、ロット、取引先、出荷日から検索できるようにします。

帳票に加えて、誰がいつ修正したかを記録する監査ログも確認します。

計量器やラベルプリンターを既存システムと接続できますか?

接続できる可能性があります。メーカー、型式、通信方式、ドライバー、出力項目、設置場所を確認して設計します。

重量を手入力する場面が残ると、二重入力が再び起きます。計量、ラベル発行、在庫反映、既存販売管理への連携を、一連で確認します。

ZIFISHは、Bluetooth計量器、タブレット、Bluetoothプリンター、計量・漁獲管理アプリ、既存システムへのRPA転記を案内しています(出典:株式会社ZIFISH公式サイト、2026年確認)。

水産流通適正化法やHACCPの記録をシステムで管理できますか?

管理はできますが、対象範囲と記録の種類を先に整理します。

  • 対象確認:法令の対象業態・魚種・取引区分を確定します。
  • 水産流通適正化法:対象水産動植物の情報伝達や取引記録をロットに結び付けます。
  • HACCP:加工・製造・販売業態に必要な衛生管理計画、手順書、実施記録を整理します。
  • 保守:制度変更時に記録を見直す体制を契約に含めます。

まとめ

導入は、要件整理、選定、設計開発、テスト、稼働、定着の順で進みます。

一般的な在庫数だけでなく、不定貫、魚種・規格、産地、ロットを設計します。加えて、温度帯、賞味期限、委託在庫、加工歩留まりも、設計に含めます。計量・ラベル・既存システムとの連携も、現場業務の流れに組み込みます。

費用と開発会社の判断:総額と実データ

費用と発注先は、価格の根拠、実データへの適合、契約範囲をそろえて判断します。

  • 費用幅:SaaS初期0〜50万円程度、小規模パッケージ300〜800万円程度です。
  • 導入形態:加工・卸向け500〜2,000万円程度、複数拠点統合1,500〜5,000万円程度、大規模刷新は5,000万円以上です。
  • 総額比較:公開価格と推定値を分け、機器・移行・連携・保守を含む5年総額を比べます。
  • 発注先:魚種、在庫区分、計量器、倉庫、加工工程を実データで再現できるか確認します。
  • 契約と受入:成果物、対象外、追加単価、障害対応、制度改定、データ返却を明記し、現場責任者が受入テストに参加します。

現場観察と導入範囲の決定

導入準備から範囲の決定まで、次の順に進めます。

  1. 入荷計量から在庫反映、出荷を観察し、在庫差、二重入力、出荷ミス、滞留・廃棄、棚卸負担を数値で把握します。
  2. パイロット工程、マスタ、機器、連携、KPI、法令・衛生記録の範囲を要件メモにまとめます。
  3. 小さく始めて定着させ、KPIと制度変更を確認しながら拠点・機能を広げます。

システムは、現場データを蓄積し、在庫精度と出荷品質を高める業務基盤です。段階的に導入すれば、費用とリスクのバランスを保てます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。