システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

本記事では、システム開発の進め方・やり方・流れや方法・手法・工程・手順について、要点を整理して解説します。結論として、システム開発を成功させるためには、「要件定義で目的と機能を明確にする」「プロジェクトの特性に合った開発手法を選択する」「設計・開発・テストの各工程を丁寧に進める」「費用の内訳とランニングコストを把握したうえで予算計画を立てる」「複数のベンダーを比較し信頼できるパートナーを選ぶ」という5つのポイントが重要です。特に要件定義は全工程の土台となる最も重要なフェーズであり、ここに時間と労力を惜しまないことがプロジェクト成功への近道です。

  • システム開発の全体像と主な手法
  • システム開発の進め方・工程と手順
  • 費用相場とコストの内訳
  • 見積もりを取る際のポイントと発注先の選び方

システム開発を初めて発注する担当者の方や、過去に失敗した経験をお持ちの方の多くが「どのように進めればよいかわからない」「どこで何を決めるべきか見当がつかない」という悩みを抱えています。実際、ITプロジェクトの成功率は調査によって30〜50%程度にとどまるとされており、失敗の大半は要件定義や計画段階での認識のズレが原因です。正しい進め方を理解するだけで、プロジェクトの成否は大きく変わります。

この記事では、システム開発の全体像から各工程の具体的な手順、開発手法の選び方、費用相場、ベンダー選びのポイントまでを網羅的に解説します。発注者側の担当者が「何をいつ決めるか」を理解し、開発会社と対等に話し合いながらプロジェクトを成功へ導くための実践的な知識が身につく内容になっています。

本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・システム開発の完全ガイド

システム開発の全体像と主な手法

システム開発の全体像と主な手法

システム開発とは、業務上の課題を解決したり新しいサービスを提供したりするために、ソフトウェアやWebシステムを設計・構築するプロセス全体を指します。単にプログラムを書くだけでなく、何を作るかを決める「要件定義」、どう作るかを設計する「設計」、実際に作る「開発・実装」、品質を確認する「テスト」、本番環境に展開する「リリース」、そして継続的に維持管理する「運用・保守」まで、多くの工程が連携して初めて成り立ちます。どの工程をどのように進めるかは、採用する開発手法によって大きく異なります。

ウォーターフォール型開発の特徴と適した場面

ウォーターフォール型開発は、水が高いところから低いところへと流れるように、工程を順番に一つずつ完了させながら前に進む手法です。「要件定義→基本設計→詳細設計→実装→テスト→リリース」という流れで進み、原則として前の工程に戻ることはありません。最大のメリットは、プロジェクト開始時点で全体スケジュールや費用を明確に見積もれる点です。発注者側も「いつ・何が・いくらで完成するか」を把握しやすく、社内稟議や予算確保がしやすい特徴があります。一方で、開発途中での仕様変更に弱く、後工程で問題が発覚した場合の手戻りコストが大きくなります。基幹系業務システムや、要件が最初から固まっている社内向けシステムの開発に適しています。

アジャイル・スパイラル型開発の特徴と適した場面

アジャイル型開発は、「スプリント」と呼ばれる短い開発サイクル(通常1〜4週間)を繰り返しながらシステムを少しずつ完成させていく手法です。各サイクルで設計・開発・テストを行い、ユーザーのフィードバックを反映しながら柔軟に機能を追加・変更していきます。仕様が固まっていない段階でも開発を始められるため、スタートアップのサービス開発やユーザーの反応を見ながら方向性を決めたいプロダクト開発に向いています。一方で、最終的な費用や期間が予測しにくく、仕様変更が多いほどコストが膨らむリスクがあります。スパイラル型は機能ごとに小さなウォーターフォールを繰り返す手法で、アジャイルとウォーターフォールの中間に位置する進め方です。要件をある程度固めつつ、段階的にリリースしていきたいプロジェクトに適しています。

システム開発の進め方・工程と手順

システム開発の進め方・工程と手順

システム開発は大きく分けて「上流工程」「中流工程」「下流工程」の3つのフェーズに分類されます。上流工程では何を作るかを決め、中流工程では設計と実装を行い、下流工程では品質確認とリリースを実施します。各工程で何をアウトプットするかを明確に意識することが、プロジェクト全体のスムーズな進行につながります。

要件定義・企画フェーズ

要件定義はシステム開発の中で最も重要な工程であり、「このシステムで何を実現したいか」をビジネス目的から逆算して整理するフェーズです。解決すべき課題、必要な機能(機能要件)、パフォーマンスやセキュリティなどの品質基準(非機能要件)を文書化します。ここで曖昧さを残すと、後工程で「言った言わない」のトラブルや高額な追加費用が発生する原因になります。経済産業省が公表している「DXレポート」でも指摘されているように、DXプロジェクトの失敗の多くは要件定義の不備に起因しています。要件定義書は発注者とベンダーが共同で作成し、双方が合意した内容を書面で確認することが不可欠です。企画フェーズでは、費用対効果の試算やスケジュールの大枠も決定します。RFP(提案依頼書)を作成してベンダーに提示することで、複数社から同じ条件で見積もりを取得できるようになります。

設計・開発フェーズ

設計フェーズは「基本設計(外部設計)」と「詳細設計(内部設計)」の2段階で構成されます。基本設計では、画面レイアウト・帳票の形式・データベースの構造・他システムとの連携仕様など、ユーザーから見えるシステムの振る舞いを定義します。詳細設計では、プログラマーがコードを書けるレベルまで処理の詳細・ロジック・エラーハンドリングを設計書に落とし込みます。設計書の品質がそのままシステムの品質に直結するため、発注者側も基本設計のレビューには積極的に参加することが重要です。開発フェーズでは、設計書をもとにエンジニアがプログラムを実装します。コーディングと並行して単体テスト(ユニットテスト)も行われ、各モジュールが設計通りに動作するかを逐次確認します。

テスト・リリースフェーズ

テストフェーズは、システムの品質を担保するために欠かせない工程です。最初に行われる「結合テスト」では、複数のモジュールを組み合わせた状態で、モジュール間のデータ連携やインターフェースに問題がないかを確認します。次の「システムテスト(総合テスト)」では、システム全体として要件定義書通りに機能するかを検証します。性能テスト・負荷テスト・セキュリティテストもこの段階で実施されます。最後に「受入テスト(UAT)」として発注者側がシステムを実際に操作し、業務フローに沿って動作を確認します。ここで合格となれば本番環境へのリリースに移行します。リリース後も、一定期間の初期サポートやバグ対応が行われ、その後は保守・運用フェーズへと移行します。テストで発見されたバグは優先度に応じて修正され、すべての重大な問題が解消された時点でリリース判定会議が開かれます。

費用相場とコストの内訳

システム開発の費用相場とコストの内訳

システム開発の費用は、システムの規模・複雑さ・開発手法・発注先によって大きく幅があります。小規模な業務支援ツールであれば数十万円から始められる一方、大規模な基幹システムや複数部門をまたぐ統合型システムでは数千万円に達することもあります。適切な予算計画を立てるためには、費用の内訳を正しく理解することが重要です。

人件費と工数の考え方

システム開発費用の約80%を占めるのが人件費です。開発費用は主に「人月単価×総工数」という計算式で算出されます。人月単価とは、エンジニア1人が1か月稼働した場合のコストを指し、スキルレベルや役割によって異なります。システムエンジニア(SE)の場合は月80〜150万円程度が相場であり、プロジェクトマネージャーやアーキテクトクラスになるとさらに高くなります。工数は「何人で何か月かかるか」で表され、たとえば3人のエンジニアが4か月稼働すれば12人月の工数になります。この場合、人月単価を100万円とすると人件費だけで1,200万円になります。工数見積もりの精度を高めるには、詳細な機能リストと画面数・帳票数・連携システム数を事前に整理しておくことが有効です。開発会社はこれらの情報をもとに工程別の工数を積み上げて見積もりを作成します。

初期費用以外のランニングコスト

システム開発で見落とされがちなのが、リリース後に継続的に発生するランニングコストです。クラウドサービス(AWS・Azure・GCPなど)のサーバー費用は月額数万円から数十万円が一般的です。また、ソフトウェアのライセンス費用・SSL証明書の更新費用・ドメイン維持費なども毎年発生します。さらに、不具合対応やセキュリティパッチの適用・機能追加などを行う「保守・運用費用」として、初期開発費の10〜20%程度を年間予算として確保しておくことが推奨されています。たとえば1,000万円で開発したシステムであれば、年間100〜200万円の保守費用を見込む必要があります。この保守費用を予算に組み込まずにいると、問題が発生したときに迅速に対応できなくなり、結果的に業務停止リスクにつながります。

見積もりを取る際のポイントと発注先の選び方

システム開発の見積もりと発注先の選び方

システム開発の見積もりは「同じ機能を依頼しても会社によって2〜3倍の価格差が出る」ことも珍しくありません。費用の妥当性を判断するためには、複数社から見積もりを取得して比較することが基本です。ただし、単純に安い会社を選ぶのではなく、見積もりの根拠・品質管理体制・実績を総合的に評価することが重要です。

要件の明確化と仕様書の準備

見積もり精度を高めるために最も効果的なのは、発注者側が事前に「何を作りたいか」を整理した文書(RFPや要件概要書)を用意することです。RFPには「現在の業務フロー」「解決したい課題」「必要な機能の一覧」「システムの利用者数」「想定されるデータ量」「他システムとの連携要件」「希望する納期」「予算の上限」を記載します。これらの情報があることで、ベンダーは正確な工数を積算できるようになり、見積もり後のスコープ変更も最小限に抑えられます。逆に要件が曖昧なまま見積もりを依頼すると、ベンダーがリスクを加味して高めの金額を提示したり、後から「仕様追加」として別途費用が発生したりするケースが増えます。特に「現行システムの機能をそのまま移行したい」という場合は、現行の画面一覧・帳票一覧・業務マニュアルを共有することで大幅に認識のズレを減らせます。

複数社比較と発注先の選び方

見積もりは最低3社から取得することをおすすめします。1社だけでは価格の妥当性が判断できず、5社以上になると選定作業が煩雑になります。比較の際は金額だけでなく「見積もり内訳の明確さ」「過去の類似案件の実績」「プロジェクト管理体制」「担当者の提案力とコミュニケーション能力」も評価指標に加えましょう。特に重要なのが担当者との相性です。システム開発は数か月から1年以上にわたる長期プロジェクトになることも多く、問題が発生したときに迅速かつ誠実に対応してくれるパートナーかどうかを見極める必要があります。提案段階でのヒアリングの丁寧さ、質問への回答の速さ、専門用語を噛み砕いて説明してくれるかどうかなどが、信頼できる会社かどうかを見分けるポイントになります。発注実績が豊富な会社は、自社と同じ業界・規模・課題の案件事例を示してくれるはずです。

注意すべきリスクと対策

システム開発で発生しやすいリスクとその対策を事前に把握しておくことで、プロジェクトの失敗を未然に防げます。最も多いリスクは「スコープクリープ」と呼ばれる要件の際限ない拡大です。開発途中で「あの機能も欲しい」「この仕様を変更したい」という要望が重なり、予算超過・納期遅延につながります。対策としては、契約時に「変更管理プロセス」を明確に取り決め、仕様変更が発生した場合は必ず見積もり変更と承認を経るルールを設けることが有効です。次に多いリスクが「コミュニケーション不足による認識のズレ」です。特に発注者側の担当者が多忙でベンダーとの打ち合わせに十分な時間を割けない場合、設計書のレビューや進捗確認が疎かになりがちです。週次の定例ミーティングと議事録の共有を習慣化し、進捗と課題を常に可視化することが大切です。また、知的財産権(ソースコードの著作権)や個人情報保護への対応についても、契約前に確認しておくことをおすすめします。

まとめ

システム開発のまとめ

システム開発を成功させるためには、「要件定義で目的と機能を明確にする」「プロジェクトの特性に合った開発手法を選択する」「設計・開発・テストの各工程を丁寧に進める」「費用の内訳とランニングコストを把握したうえで予算計画を立てる」「複数のベンダーを比較し信頼できるパートナーを選ぶ」という5つのポイントが重要です。特に要件定義は全工程の土台となる最も重要なフェーズであり、ここに時間と労力を惜しまないことがプロジェクト成功への近道です。開発手法はウォーターフォール・アジャイル・スパイラルのどれが絶対に正解ということはなく、「要件の確定度合い」「仕様変更の頻度」「リリースまでの期間」「組織の体制」によって最適解が異なります。費用については初期開発費だけでなく保守・運用コストまで含めた総所有コスト(TCO)の視点で検討することが大切です。ベンダー選びでは価格の安さだけでなく、同業種の実績・コミュニケーション能力・変更管理の仕組みを総合的に評価してください。riplaはコンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネス成果の創出とシステムの定着支援に強みを持っています。システム開発の進め方でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。