技術情報管理システムの発注・外注では、図面や仕様書を保存するだけでなく、BOM、版、設計変更、承認、製造実績までをどこまでつなぐかを先に決めることが成功のポイントです。機能の多さや見積金額だけで委託先を選ぶと、データ移行や現場運用が別料金になり、稼働後に使われないシステムになるおそれがあります。
この記事では、技術情報管理システムを発注・外注するときの進め方を、発注形態の選択、RFPと要件整理、契約形態、費用相場、委託先の選び方、見積比較の順に解説します。Excelや共有フォルダに分散した図面、旧版の誤使用、設計変更の伝達漏れ、熟練者の退職によるノウハウ流出に悩んでいる方が、自社に合う範囲で外注計画を作れるように、具体的な確認項目まで整理します。
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技術情報管理システムを発注する前に何を決めますか?

発注前に決めるべきことは、製品名ではなく、管理対象の情報と解決したい業務課題です。技術情報管理システムは、文書管理だけで足りる企業もあれば、PDMやPLM、BOM、ERP・MES連携まで必要な企業もあります。最初に対象範囲を切り分けると、不要なカスタマイズを避けながら、複数社の見積を同じ条件で比較できます。
文書管理・PDM・PLMのどこまで必要かを分けます
図面、仕様書、検査成績書を検索し、最新版だけを閲覧できればよい場合は、文書・図面管理を中心に検討します。一方、部品番号や使用箇所を追跡したい場合はPDMやBOM管理が必要です。設計変更をECR・ECO・ECNの流れで承認し、設計・製造・品質・購買・保守の情報を製品ライフサイクルで結び付けるなら、PLMの領域になります。
この切り分けをせずに「技術情報を一元管理したい」とだけ依頼すると、ベンダーごとに文書管理、PDM、PLMの意味が変わります。RFPでは、対象情報を図面・3D CAD・仕様書・BOM・工程表・品質記録・保守情報に分け、必須、将来対応、対象外の3区分で記載します。特にE-BOMとM-BOMの関係、改訂前後の有効期間、旧版の参照可否は、画面の要望とは別に明文化する必要があります。
困りごとをKPIに変換します
現状の困りごとは、検索時間、旧版の誤使用件数、設計変更の承認リードタイム、設計情報への問い合わせ件数、過去図面の再利用率、見積作成時間、監査時の資料収集時間などに変換します。「効率化したい」だけでは外注先が効果を検証できません。たとえば、図面を探す時間を担当者への聞き取りで測るのか、検索ログで測るのかまで決めておくと、導入後の評価がぶれません。
製造現場では、旧版の図面が使われたことによる手戻りや、設計変更が購買・品質へ伝わらないことが大きな損失につながります。ロット・シリアル単位の製造実績、使用した部品の版、検査記録まで追跡するのかを業務責任者と確認します。検索時間だけをKPIにすると、アクセス権限を緩めるだけの設計になりかねないため、正確性、監査性、機密性も同時に評価します。
関係部門と既存データの責任者を決めます
発注側には、設計、製造技術、品質保証、購買、情報システム、保守、法務または知財の代表者を置きます。情報システムだけで要件を作ると、現場の例外処理や承認責任が抜けやすくなります。最終的な意思決定者、データオーナー、セキュリティ承認者、受入テストの責任者を決め、委託先との定例会議で誰が何を決めるかを明確にします。
既存データは、保存場所、ファイル形式、件数、容量、命名規則、重複、旧版、欠損属性、機密区分、BOMコード、登録責任部署を棚卸しします。紙図面のスキャン、OCR、属性付与、重複排除、旧版の扱いは、開発費と別に見積もられることが多い項目です。移行対象と対象外を先に決め、サンプルデータで品質を確認してから本番移行を依頼することが重要です。
発注形態はクラウド・パッケージ・スクラッチをどう選びますか?

発注形態は、機密性、業務の独自性、既存システムとの連携、拠点数、データ量、社内の運用体制で選びます。初期費用を抑えたいからクラウド、自由度が欲しいからスクラッチと短絡せず、版管理やBOM、変更承認など自社の重要業務を標準機能で満たせるかを比較します。実際には、PDM・PLMパッケージを中心に、周辺連携や不足機能を個別開発する構成も多くなります。
クラウド・SaaSは導入速度と責任分界を確認します
クラウド型は、サーバー調達やバックアップ運用の負担を抑えやすく、複数拠点や外部協力会社と共有しやすい形態です。一方で、データ所在地、暗号化、MFAやSSO、ダウンロード制御、監査ログ、退職者や委託先アカウントの停止、障害時の復旧目標を確認する必要があります。機密図面を扱う場合は、AI学習への利用有無、管理者権限の分離、ログの保存期間も契約前に確認します。
クラウドの月額は利用者数だけでなく、ストレージ容量、CADの大容量ファイル、API呼出数、環境数、バックアップ、追加サポートで変わります。標準機能で運用できるかをデモで確認し、カスタマイズできない部分を業務変更で吸収できるかを検討します。拠点間の通信遅延や、工場ネットワークからクラウドへ接続できない時間帯も、PoCで検証しておくと安心です。
PDM・PLMパッケージは標準機能と追加開発を分けます
パッケージ型は、文書管理、構成管理、設計変更、承認、全文検索、監査ログなど、製造業で共通する機能を利用しやすい点が特徴です。たとえばNECのObbligato IIIは、ドキュメント管理、構成管理、設計変更管理、製品定義、全文検索、CAD連携、持ち出し制御などを機能体系として公開しています。公開されている機能を自社の業務シナリオで再現し、標準、設定、追加開発、対象外を分類してから発注します。
パッケージを選ぶときは、導入時の機能だけでなく、アップデート時にカスタマイズがどう扱われるかを確認します。自社独自の承認経路をすべて作り込むと、将来の保守費用とアップデート検証が膨らみます。競争力に直結する固有業務だけを拡張し、検索、版、権限、承認、BOMの基本部分は標準に合わせる方針が、長期の外注費を抑えやすいです。
スクラッチとハイブリッドは独自性と保守性を比較します
スクラッチ開発は、独自の製品構成、特殊な承認、複雑な製造工程、既存の基幹システムとの細かな連携を実装しやすい形態です。ただし、要件定義、テスト、脆弱性対応、担当者交代、将来のOSやブラウザ対応まで自社と委託先で維持する必要があります。初期見積だけでなく、5年程度の改修、保守、再委託、ソースコード引き継ぎまで含めた総保有コストで判断します。
現実的な選択肢として、パッケージやSaaSで文書・BOM・変更管理を整え、APIや中間データ基盤でERP、MES、品質管理、CADをつなぐハイブリッド構成があります。システム間のID、版番号、適用開始日、廃止日、データの正本を決め、連携エラー時の責任部署も定義します。連携を外注先任せにせず、発注側がデータの意味と業務責任を持つことが重要です。
RFPと要件整理では何を外注先へ伝えますか?

RFPは、欲しい画面を並べる資料ではなく、どの業務課題をどのデータと判断で解決するかを伝える資料です。利用者数、拠点数、図面や文書の件数、CADの種類、BOMの階層、既存のERP・MES・品質システム、希望する稼働時期、予算の考え方、想定するKPIを最初に示します。ベンダーごとの前提をそろえることで、価格だけでなく提案の中身を比較できます。
機能要件は業務シナリオとデータ項目で書きます
機能要件には、図面・仕様書・CADデータの登録、属性検索、全文検索、サムネイル、関連文書の紐付け、重複排除、版管理、旧版の参照制御、承認・差戻し、変更理由、監査ログを記載します。BOMを扱う場合は、部品番号、名称、数量、単位、代替部品、使用箇所、E-BOMとM-BOMの関係、有効期間、改訂番号を定義します。画面単位でなく、登録から承認、製造への通知、変更後の追跡までを一つのシナリオにします。
たとえば設計変更のシナリオでは、変更要求を起票し、影響する図面と部品を検索し、品質・製造・購買が確認し、承認後に新しい版を発行し、旧版を誤使用できない状態にするまでを記載します。設計者が登録した情報を製造担当者がどのタイミングで参照できるか、サプライヤーへどの版を共有するか、承認が滞留したときに誰へ通知するかも含めます。
非機能要件とセキュリティ要件を数値で示します
非機能要件には、同時利用者数、ファイル容量、検索応答時間、稼働時間、バックアップ頻度、復旧目標、データ保持期間、APIの処理量、障害時の代替手順を記載します。大容量の3D CADを扱う場合は、アップロードやプレビューの性能を通常の文書管理と分けて確認します。連携では、ピーク時の遅延、重複送信、通信断後の再送、途中失敗時のロールバックまで検証項目にします。
セキュリティは、部門・職務・案件・取引先単位の最小権限、MFAやSSO、閲覧とダウンロードの分離、電子透かし、操作ログ、DLP、退職者や外注先アカウントの期限管理を明記します。NISTが2025年9月に公開した「Cybersecurity Framework 2.0 Manufacturing Profile」の初期公開草案では、製造業のサプライチェーンリスク管理、プラットフォームセキュリティ、技術基盤のレジリエンスが追加されています(出典: NIST IR 8183 Rev.2、2025年)。RFPでも、工場ネットワーク、委託先、復旧テストを含めて確認します。
PoCとデータ移行を先に検証します
本契約の前に、1製品群、1拠点、代表的な図面や多段階BOMを使ったPoCを行うと、提案書だけでは分からない差が見えます。正常系だけでなく、旧版の閲覧、BOM改訂、権限不足、重複ファイル、承認差戻し、連携エラー、通信断、大容量ファイルのプレビューを試します。現場担当者が結果の根拠を説明できるか、管理者がログを追えるかを合格条件にします。
データ移行では、ファイルをコピーするだけでは不十分です。文書ID、品目コード、版番号、適用開始日、廃止日、機密区分、承認状態、関連部品、使用箇所を標準化し、重複や欠損の扱いを決めます。紙のスキャンやOCR、属性付与を誰が行うか、移行後に現場がサンプル検証するか、移行失敗時に旧環境へ戻すかを、作業分担表と受入条件に落とし込みます。
技術情報管理システムの契約形態は請負と準委任のどちらが適切ですか?

契約形態は、要件が固まっているか、成果物を客観的に検収できるか、発注側が業務判断を行えるかで使い分けます。技術情報管理では、現状調査でデータ品質や業務ルールが変わりやすいため、要件整理を準委任で行い、合意した開発範囲を請負で発注する段階契約が検討しやすいです。実際の責任範囲や法的な適用は、契約書と専門家の確認が必要です。
準委任契約は現状分析と要件整理に向いています
準委任契約は、専門家の知識や作業の提供を受けながら、発注側と受託側が共同で成果を作る工程に向いています。現状分析、Fit to StandardとGap整理、RFP作成支援、データ診断、PoC、プロジェクト管理、稼働後の改善など、調査結果で優先順位が変わる作業に適しています。作業時間や体制だけでなく、要件定義書、データ診断報告書、課題一覧、意思決定記録などの中間成果物を契約書や個別発注書に定めます。
準委任で注意したいのは、作業を依頼するだけで成果の責任が曖昧にならないようにすることです。週次で課題、決定事項、未決事項、担当、消化工数、次の判断日を共有し、誰が要件を承認するかを固定します。要件定義を終えて請負へ移る基準として、対象業務、画面・帳票、データ移行範囲、連携仕様、受入条件、予算上限が合意されている状態を設定します。
請負契約は成果物・検収・変更条件を明記します
請負契約では、合意した成果物を完成させ、定めた基準で検収することが中心になります。基本設計書、詳細設計書、画面・帳票一覧、API仕様、移行ツール、テスト結果、マニュアル、ソースコードの利用権などを納品物として一覧化します。技術情報管理では「最新版が表示される」だけでなく、承認者、改訂履歴、旧版の扱い、BOM展開結果、連携データの正しさを検収条件に含めます。
固定価格で発注すると予算を管理しやすい一方、仕様変更が追加費用になりやすい点に注意します。追加開発の単価、変更要求の提出方法、影響分析の期限、納期変更の条件、発注側の遅延が与える影響を先に決めます。データ移行で新しい欠損が見つかった場合や、既存ERPの仕様が変更された場合など、前提条件が崩れたときの協議方法も契約に残します。
保守・運用・知的財産の責任分界を決めます
稼働後は、クラウド利用料やライセンスだけでなく、問い合わせ、障害、脆弱性、バックアップ、復旧テスト、マスタ更新、法改正、追加連携、権限レビューの担当を分けます。工場の稼働に影響する場合は、初動時間、復旧目標、休日対応、代替運用、データ復旧の責任者を定めます。システム本体とCAD・ERP・MESのどこで障害が起きたかを切り分ける手順も必要です。
また、ソースコード、設定情報、移行用スクリプト、データモデル、API仕様、操作マニュアルの利用権と引き渡し条件を確認します。受託会社が再委託する場合の承認、秘密保持、サプライヤーのアクセス期限、契約終了時のデータ返却・消去、第三者サービスの継続性も確認対象です。AI検索を追加する場合は、学習利用の有無、入力データの保管先、回答の根拠表示、誤回答を人が承認する運用を別項目にします。
技術情報管理システムの費用相場はいくらですか?

技術情報管理システムの費用は、利用者数よりも、対象データの整理、BOMや版の整合、既存システム連携、権限、移行、教育の範囲で大きく変わります。公開価格がある製品は参考にできますが、技術情報管理全体の開発費を示すものではありません。以下では、公開価格と、リサーチノートで整理した2025〜2026年時点の推定レンジを分けて説明します。
公開価格は標準機能の下限として読み取ります
NECのObbligato IIIは、設計者5名でドキュメント管理のみの場合、自社構築のライセンス費用を170万円以上、クラウドを月額14万円以上と公開しています。いずれもシステム構築費や、BOM、設計変更、CAD連携、持ち出し制御などの追加範囲は別途見積となります(出典: NEC「Obbligato III 製品体系・価格」、2026年確認)。この金額は、PLM全体の導入費ではなく、標準的なドキュメント管理の比較基準です。
新明和ソフトテクノロジの図面管理システムNAZCA5 EDMは、セルフ導入が195万〜250万円、おまかせ導入が350万〜650万円、フルカスタムが800万円以上と公開されています。運用設計、設定、他システム連携、紙データのスキャニング、データ登録の扱いがプランで異なり、紙のスキャンとデータ登録費は含まれないと明記されています(出典: 新明和ソフトテクノロジ「NAZCA5 EDMの価格プラン」、2026年確認)。見積比較では、標準製品の価格と導入作業を分けて見ることが大切です。
導入規模別の推定レンジを予算の初期線にします
公開価格と製造業向け業務システムの相場を組み合わせた推定では、文書・図面管理中心で1拠点、利用者10〜30名、数千〜数万ファイル、標準クラウド、簡易ワークフローなら、初期200万〜700万円、月額5万〜30万円、導入2〜4か月程度が一つの目安です。紙のスキャン、属性付与、複雑な権限、既存CADやERPとの連携を含める場合は、この範囲を超える可能性があります。
複数部門でPDM、BOM、設計変更、CAD連携、数万〜十数万件の移行を行う中規模案件は、初期700万〜2,000万円、月額15万〜80万円、導入4〜9か月程度の推定レンジです。複数工場、海外拠点、E-BOMとM-BOM、品質・調達・生産との連携、厳格な持ち出し制御を含む大規模案件は、初期2,000万〜1億円超、導入9か月〜2年以上になることがあります。これらは個別案件の正式価格ではなく、要件を整理するための推定です。
AI検索やRAGを加える場合は、AIそのものより、OCR、属性付与、重複排除、版と権限の整備、評価用データの作成に費用がかかります。リサーチノートでは、これらの追加作業を含めて200万〜1,000万円程度を見込む推定が整理されていますが、データ量や検索方式で変わります。PTCは2025年12月にArena AI Engineを発表し、PLM・QMSで文書の要約やファイル比較を支援する機能を示しています(出典: PTC「Arena AI Engine」、2025年12月)。最新機能を採用する場合も、機密情報をAIへ渡せる条件と検証費を別に見積もります。
見積には初期費用以外のコストも含めます
見積書では、ライセンスまたは月額利用料、要件定義、基本設計、設定、追加開発、インフラ、API連携、データクレンジング、移行、テスト、教育、稼働支援、保守を分けてもらいます。特にデータ移行は、対象ファイル数、属性付与の単価、紙のスキャン、OCRの精度確認、移行後の現場検証を分けます。受託会社側の作業だけでなく、発注側が提供するデータ整理や業務確認の工数も併記すると、価格差の理由が分かります。
保守運用は、初期費用の年15〜25%程度を類似業務システムの目安として置くことがありますが、実際には契約内容で変わります。クラウド利用料、バックアップ、セキュリティ監視、脆弱性対応、OSやブラウザ対応、問い合わせ窓口、追加改修を混ぜずに確認します。安価な初期見積でも、保守やデータ登録が別契約になっていれば、長期費用は高くなるため、3〜5年の総額で比較します。
技術情報管理システムの委託先選定と見積比較のポイントは何ですか?

委託先は、製造業の業務知識とシステム開発力の両方で選びます。製品のデモがきれいでも、図面の旧版管理、BOMの改訂、設計変更の影響範囲、製造現場への通知、品質記録との紐付けを理解していなければ、導入後の調整が増えます。会社の知名度や価格だけでなく、同業・同規模の実績、担当者の経験、移行と定着支援の体制を確認します。
製造業の実績とデータ移行の経験を確認します
実績確認では、単に「製造業への導入実績がある」と聞くのではなく、図面・CAD、BOM、設計変更、ERPやMESとの連携、品質・購買とのデータ共有が自社と近いかを尋ねます。可能であれば、類似規模の利用者数、拠点数、移行ファイル数、導入期間、段階展開の方法、稼働後の問い合わせ件数を匿名化した範囲で確認します。公開事例は参考になりますが、自社で同じ効果が出ると断定せず、前提条件を聞き取ります。
データ移行の経験は、技術情報管理の外注先を見極める重要なポイントです。サンプルデータを受け取った後、旧版、重複、欠損、ファイル名の揺れ、BOMコードの不一致をどう診断するか、移行対象外をどう管理するかを確認します。移行ツールの再実行、差分移行、検証ログ、ロールバック、発注側の承認方法を説明できる会社は、開発画面だけでなく稼働まで見ている可能性が高いです。
見積項目と前提条件を同じ書式で比較します
複数社へ見積を依頼するときは、ライセンス、初期設定、要件定義、追加開発、連携、データ移行、テスト、教育、稼働支援、保守を同じ項目で回答してもらいます。価格だけでなく、対象利用者、データ件数、対象拠点、連携本数、標準とカスタムの境界、発注側の作業、納品物、スケジュール、除外事項を並べます。見積の前提が違う場合は、金額を横並びにせず、前提をそろえる追加質問を行います。
特に確認したいのは、安い見積に含まれていない作業です。紙図面のスキャン、属性登録、BOMのコード変換、ユーザー登録、権限設計、既存システム側の改修、APIの監視、操作教育、現場立会い、切替後の問い合わせが別料金になっていないかを確認します。各社へ同じ代表データと業務シナリオを渡し、検索、改訂、承認、変更通知、BOM参照、監査ログのデモを行うと、価格と実現性を同時に評価できます。
体制・リスク・稼働後の定着まで評価します
提案時には、プロジェクトマネージャー、業務設計者、データ移行担当、連携担当、セキュリティ担当、保守窓口が誰かを確認します。再委託の有無、担当者の交代ルール、課題のエスカレーション、週次報告、品質レビュー、受入テストの支援方法も比較します。営業担当だけが説明し、実装担当がデモに参加しない場合は、契約後に認識差が出る可能性があります。
リスク評価では、過剰なカスタマイズ、データ移行の遅れ、連携仕様の未確定、権限設定の誤り、現場教育不足、工場の通信断、AIの誤検索を対象にします。対策を提案書に書いてもらい、リスクの発生条件、検知方法、回避策、発注側の作業、追加費用の扱いを確認します。導入後は、図面検索時間だけでなく、旧版誤使用、変更承認時間、設計再利用、問い合わせ、監査対応を定期的に測り、権限とデータ品質を見直します。
技術情報管理システムの発注・外注でよくある質問(FAQ)

発注前に頻繁に寄せられる疑問を、費用、期間、クラウド、AIの観点から回答します。自社の条件で判断するために、利用者数、拠点数、データ件数、既存システム、移行範囲を合わせて考えることが大切です。
技術情報管理システムの導入期間はどのくらいですか?
文書・図面管理を中心に、1拠点で標準機能を使う場合は2〜4か月程度が一つの推定目安です。PDM、BOM、CAD連携、データ移行、複数部門の承認を含む場合は4〜9か月程度、複数工場やERP・MES連携を含む大規模案件では9か月以上になることがあります。期間を短くするには、対象範囲を絞り、代表データでPoCを行い、発注側の意思決定者を確保することが重要です。
機密図面をクラウドで管理しても安全ですか?
クラウドかオンプレミスかだけで安全性は決まりません。MFAやSSO、最小権限、暗号化、ダウンロード制御、操作ログ、バックアップ、復旧テスト、データ所在地、委託先アカウントの期限管理、インシデント対応を確認し、自社の機密区分と取引先要求に合うかを判断します。工場やサプライヤーとの接続では、ITとOTのネットワーク分離やリモート接続の責任分界もRFPに含めます。
AI検索を先に導入すれば図面をすぐ探せますか?
AI検索だけを先に導入しても、図面の命名、属性、重複、版、権限が整理されていなければ、回答の精度と安全性を確保しにくいです。まず正本となるデータ、最新版の判定、検索対象の機密区分、回答の根拠表示、誤回答時の人による承認を決めます。そのうえで限定した製品群を対象にPoCを行い、検索時間だけでなく、誤った図面を提示しないことや、回答が監査できることを評価します。
まとめ

技術情報管理システムの発注・外注では、最初に文書管理、PDM、BOM、PLM、ERP・MES連携のどこまでを対象にするかを決めます。図面、仕様書、CAD、BOM、設計変更、品質記録、保守情報を棚卸しし、検索時間、旧版誤使用、承認リードタイム、設計再利用、監査対応などのKPIに落とし込むことが、RFPと見積比較の出発点です。
発注形態と契約を段階的に設計します
クラウド、パッケージ、スクラッチ、ハイブリッドの特徴を、機密性、独自性、連携、保守性で比較します。要件が固まらない現状分析やデータ診断は準委任、成果物と検収条件が固まった開発は請負とする方法を検討し、追加変更、再委託、知的財産、保守、契約終了時のデータ返却まで責任分界を定めます。
価格より前提条件と稼働後の定着を比較します
委託先は、製造業の実績、BOM・版・設計変更・CAD・ERP/MES連携、データ移行、異常系デモ、現場教育、保守体制で評価します。見積はライセンスや初期開発だけでなく、移行、連携、テスト、教育、保守、バックアップ、セキュリティ対応を同じ書式で比較し、3〜5年の総額と発注側の作業を確認します。最初から全社展開せず、代表製品や1拠点でPoCを行い、データ品質と現場定着を確かめてから段階的に広げることが、工場を止めない外注計画につながります。
技術情報管理システムは、導入した時点で完成するものではなく、版・権限・BOM・連携データを継続的に整える業務基盤です。発注前にデータの正本と責任者を決め、委託先と判断基準を共有しておくことで、費用の追加や運用上の手戻りを抑えながら、設計から製造・品質・保守までの情報を再利用できるようになります。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
