遺言信託管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

遺言信託管理システムの開発費用は、導入方式、対象業務、既存システムとの連携範囲によって、50万円程度から数億円以上まで変わります。

クラウド導入なら50万〜300万円程度、個別開発なら3,000万〜1億円程度が目安です。全体像は、遺言信託管理システム開発の完全ガイドでも確認できます。

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・遺言信託管理システム開発の完全ガイド

遺言信託管理システムの概要

遺言信託管理システムは、金融機関や信託会社などが受託する遺言信託と遺産整理を、申込受付から相続後の執行まで、まとめて管理する業務システムです。

長く続く案件では、遺言書の保存に加えて、案件の状態、期日、責任者、証憑、承認履歴を追えることが欠かせません。

長期間の案件ライフサイクルの管理

遺言信託の案件は、相談・申込、遺言書作成支援、受託審査の順に始まります。その後は、定期照会、死亡連絡、執行と続き、最後に財産の払出し・報告へ至ります。

工程の間に数年から数十年の空白が生じることもあります。そのため、担当者が替わっても経緯を引き継げるデータ構造が必要です。

  • 期日:定期照会の予定日と、案件に紐づく期限
  • 顧客情報:家族構成と保有財産を、案件単位で持つ情報
  • 書類・承認:徴求済み・不足書類と承認者の記録

これらを案件に紐づけておけば、Excelや担当者の記憶に頼る場面を減らせます。

オービックの公式ソリューションは、受付、遺言書作成、受託起案、定期照会、執行の稟議・決裁をカバーします。さらに、期日アラートと書類管理も備える構成です(出典:株式会社オービック「相続業務支援ソリューション」、2026年確認)。

遺言信託と遺言代用信託の対象範囲の切り分け

要件定義では、遺言信託と遺言代用信託を別の業務として整理することが欠かせません。

  • 遺言信託:遺言書の作成支援・保管と、相続後の執行が中心
  • 遺言代用信託:受益者への払出し、契約管理、決算、総勘定元帳、当局向け報告などが加わることがあります。

たとえば、BIPROGYのTrustPORT個人信託システムは、遺言代用信託に加えて、認知症対応型金銭信託や遺贈寄付信託にも対応する機能を案内しています(出典:BIPROGY株式会社「TrustPORT 個人信託システム」、2026年確認)。

対象範囲があいまいなまま見積もると、会計・払出し・報告の機能が後から加わり、当初予算との差が大きくなります。

遺言信託管理システムの費用相場と価格帯

公開価格は限られるため、ここに示す金額は、一般的な開発相場と信託・相続業務の機能を組み合わせた予算策定用の目安です。

税込・税別や、ライセンス・保守、既存システム連携、データ移行を含むかで金額は変わります。そのため、相見積もりでは前提条件を揃えることが大切です。

最小限のクラウド導入:50万〜300万円程度

案件台帳、顧客情報、書類保管、タスク、簡単な承認を既製クラウドで始める場合の目安は、初期50万〜300万円程度、月額10万〜100万円程度です。

この価格帯には、遺言信託専用の会計や勘定系連携は含まれません。既存の顧客管理・文書管理を残し、案件の進捗と期日管理を先に整える場合に適しています。

短期間で導入できる一方で、閉域接続、厳格な権限分離、電子署名、長期保存、詳細な監査証跡を加えると、アドオンと個別のセキュリティ評価が必要になります。

パッケージ導入と設定・アドオン:1,000万〜5,000万円程度

パッケージ費用は、設定する機能の範囲と、標準機能にどれだけ合うかで変わります。

  • 価格の目安:顧客・家族・財産情報、相続人関係図、遺言書の版管理を設定する場合の1,000万〜5,000万円程度
  • 設定対象:徴求書類、定期照会、稟議・決裁、帳票も含む範囲

標準機能をそのまま使えるほど下限に近づき、既存の事務規程に合わせて画面や帳票を大きく変えるほど上限に近づきます。

見積書では、ライセンスや移行などが別項目で示されているかを確かめます。特に、導入支援、教育、連携、受入テストも別項目になっているかを見ます。

個別開発:3,000万〜1億円、大規模連携:1億円以上

個別開発の費用は、実装する業務機能とシステムの規模で変わります。

  • 個別開発の機能:固有商品、複数拠点の権限、勘定系・顧客管理・本人確認・文書管理とのAPI連携
  • 個別開発の費用:信託会計、相続後の払出し、監査証跡を含めた3,000万〜1億円程度
  • 大規模案件:複数金融事業、24時間運用、災害対策、移行、外部機関連携を含む案件
  • 大規模案件の費用:1億円から数億円以上になる可能性

2026年の一般的な相場は、小規模で100万〜300万円、中規模で500万〜1,000万円、大規模で1,000万円〜数千万円以上です。

人月単価は60万〜200万円程度とされています(出典:SIA株式会社「システム開発の費用・相場 2026年版」、2026年7月)。遺言信託では金融水準のテスト、監査、長期保守が加わるため、一般的な大規模帯より上振れしやすい点に注意が必要です。

ポイント

費用相場は、機能範囲と利用規模、既存システム連携の有無で目安が大きく変わります。予算を組むときは、どの方式の金額帯を前提にしたのかを、見積もりの前提条件とあわせて先に確かめてください。

遺言信託管理システムのコスト内訳

見積総額を要件定義、開発、外部連携・移行、セキュリティ・テスト・保守の4領域に分けた図。
総額の比較前に、各領域の作業範囲を揃えます。

見積総額だけでは、費用の中身は判断できません。業務整理や既存データとの整合、権限・監査、移行、運用設計にも費用が配分されることがあります。そのため、初期費用と運用費用を分けて、作業範囲と納品物を確認します。

要件定義・業務設計の費用

要件定義の見積もりでは、管理対象を具体化するための作業範囲を確認します。

  • 業務工程:受託前から受託中、定期照会、死亡連絡、執行、会計・報告までの流れの整理
  • 工程の定義:各工程の状態、期限、責任者、承認者、必要書類、例外処理の取り決め
  • 関係者:顧客、委託者、受託者、相続人の間の関係
  • 財産台帳:不動産、預貯金、有価証券、非上場株式、債務それぞれの登録方法

要件定義を省くと、開発中に「このケースも管理したい」という要望が増えて、画面、データベース、テストのすべてに影響します。

予算の抜け漏れを確かめやすくするため、初期仮説として、要件定義に初期開発費の10〜20%程度を見込んでおきます。

画面・データ・ワークフローの開発費

開発費は、実装する仕組みと業務上の分岐を分けて見ると、中身をつかめます。

  • 開発対象:画面、データベース、帳票、通知、権限、承認、検索、バッチ、APIにかかる人件費
  • 主な機能:顧客登録画面、家族関係図、財産評価履歴、遺言書文案の版管理
  • 業務分岐:書類不足アラート、受託審査の差戻し、死亡連絡後の執行タスク
  • 機能範囲:これらが必要になると、単純な案件管理より分岐が増えます。

見積書では画面数だけでなく、各画面の権限分岐、承認経路、外部データ取得、エラー時の処理まで確認します。人月の積算根拠が機能一覧と対応していれば、追加費用の理由を確かめやすくなります。

外部連携・データ移行の費用

連携と移行の見積もりでは、接続先とデータ整備の作業範囲を整理します。

  • 連携先:顧客管理、勘定系、本人確認、電子契約、文書管理、会計・税務との接続先
  • 連携作業:API仕様、項目変換、認証、エラー処理、接続テストといった作業
  • 番号の整合:システムごとに顧客番号と案件番号の対応が異なると生じる、名寄せルール作成の工数
  • データ移行:不要データの廃棄、重複の統合、文字種の統一、証憑の紐づけ、移行後の照合

初期費用の10〜25%程度を、移行・インフラ・連携関連の費用として仮置きします。対象件数と品質基準を明示しておけば、安い見積もりに作業漏れがないかを判断できます。

セキュリティ・テスト・保守の費用

安全対策の費用は、設計、試験、稼働後の対応に分けて確かめます。

  • 安全対策:アクセス権限、職務分掌、操作ログ、暗号化、バックアップの設計
  • 検査・運用:脆弱性診断、障害対応、災害復旧まで含めた設計
  • 業務テスト:差戻し、複数相続人、財産追加、担当交代、期限超過、連携先障害を想定したテスト

FISCは2026年3月に安全対策基準・解説書の第14版を公表し、経済安全保障やオペレーショナル・レジリエンス、サイバーセキュリティ、AIの安全対策などを扱っています(出典:公益財団法人金融情報システムセンター「安全対策基準・解説書 第14版」、2026年3月)。

発注者の業態とシステムの重要度に応じて、基準の適用範囲を確かめる費用も予算に含めます。稼働後は、クラウド利用料やライセンス、監視などの費用を5年単位で比べ、問い合わせや脆弱性・法改正対応の費用も含めて見ておきます。

ポイント

見積総額を比べる前に、要件定義から保守までの作業がそれぞれ見積もりに含まれているかを見てください。金額の差が作業の抜けから生じていないかを判断しやすくなります。

見積もり金額が変動する主な要因

見積もり金額の周囲に、業務分岐、連携とセキュリティ、移行データと利用規模、法改正と長期保守の4要因を配置した図。
各要因の範囲を分けると、価格差の理由を追いやすくなります。

同じシステムでも、価格は管理対象や利用者、連携先によって変わり、セキュリティ水準やデータ量でも差が出ます。そこで、金額に影響する変数を分けたうえで、業務上の重要度から優先順位を付けます。

機能数より業務分岐と例外処理の多さ

顧客登録や書類アップロードは見積もりやすい機能です。一方で、審査差戻しや複数の承認経路、相続人の追加があると、業務確認とテストが増えます。財産評価履歴や遺言書の版管理、例外的な払出しは、さらに確認範囲を広げる例です。

担当者や管理者、審査部門が閲覧・編集する範囲を分ける場合、権限設計と画面制御が必要になります。コンプライアンス部門や外部専門家が加わると、分ける範囲は広がります。

見積もり前には、通常ケースだけでなく例外も洗い出しておくと、価格の精度が上がります。対象は、差戻しや取消し、変更のほか、期限超過や担当者交代です。

既存システム連携とセキュリティ水準の影響

連携条件と個人情報の取扱条件を整理しておくと、設計費の根拠を確かめられます。

  • 連携範囲:単独クラウドか、勘定系・顧客管理と送受信する構成かで費用が異なります。
  • 連携方式:リアルタイムか日次バッチか、APIがあるかで設計が変わります。
  • 安全・障害対策:閉域網、多要素認証、障害時の手作業への切替も検討の対象

金融分野の個人情報保護では、安全管理措置や委託先の監督などが求められます。そのため、再委託、保存場所、ログ保管期間、削除手順も契約とシステムの両面で確かめます(出典:個人情報保護委員会・金融庁「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」、2024年3月公表版)。

移行データ量と利用拠点・利用者数による違い

既存案件が数百件か数万件かで、移行の設計と検証方法は変わります。案件数に加えて、家族情報や財産明細、書類画像などの量も確かめます。面談記録と変更履歴の量も対象です。

複数支店で使う場合は、支店ごとの閲覧範囲や全社管理者の権限を決めるとともに、データ同期と拠点障害時の運用も必要です。

利用者が増えると、ライセンス費用に加えて、同時接続や性能試験の費用も増えます。問い合わせ窓口や教育資料の費用も増えます。そのため、役割別に利用頻度を見積もります。

案件を長期間保有するため、制度変更や業務ルール変更への対応範囲が費用を左右します。稼働時の完成度とあわせて、この点も見て判断します。

  • 保守範囲:法令・ガイドライン・帳票変更の調査、仕様変更、回帰テスト、周知まで含むか
  • 追加費用:初期見積もりが安くても、法改正のたびに大きな追加費用が生じれば、5年総額は高くなることがあります。
  • 比較項目:初期費用、年間保守、クラウド、診断、追加開発、データ抽出の別項目

ポイント

同じシステムでも価格が変わるため、管理対象や利用者、連携先、セキュリティ水準のうち、どれが金額を押し上げているかを分けて考えてください。業務上の重要度が高い要因から、優先して見直すとよいです。

開発方式ごとの費用と選び方

相談受付と案件管理から定期照会と書類管理へ進み、執行・会計・外部連携へ広げる3段階の図。
業務範囲を段階に分けると、利用者の反応を次の予算計画に反映できます。

方式は、価格だけでなく、自社業務をどこまで標準化できるか、将来の変更を誰が担うかで選びます。

パッケージでもアドオンを重ねると、個別開発に近い費用と保守負担になります。逆に、独自性の小さい業務をスクラッチで作ると、不要な初期費用を抱える可能性があります。

パッケージ・クラウド:標準業務を短期間で整える方式

パッケージやクラウド・ASPでは、案件管理や顧客、書類、タスク、承認といった共通性の高い機能を使えます。そのため、初期開発を抑えやすい方式です。

バックアップや監視をサービス側が担う場合は、社内の運用要員も抑えられます。一方で、保存場所や再委託先、復旧時間、データ返却の方法、契約終了後の移行可否を事前に確かめる必要があります。

標準機能に合わせて業務を見直す範囲を決め、独自に残す業務だけをアドオンにすると、5年TCOを抑えやすくなります。

スクラッチ:独自業務と複雑な連携の開発

スクラッチを選ぶ際は、開発する業務に加えて、引継ぎと保守の見通しも立てておきます。

  • 適する業務:独自商品、複雑な受託審査、基幹との深い連携、独自の財産評価や払出しを中核に据える場合
  • 開発範囲:画面やデータ構造を自社業務に合わせて組める反面、要件定義から運用設計まで、自社と開発会社で作り込む範囲が広がります。
  • 納品物:担当者退職後の保守に備えて、ソース、設計書、テスト仕様、運用手順を含める
  • 保守費:初期費用だけでなく、法改正やOS・ミドルウェア更新を含む年間保守の費用も比べる

標準機能と個別連携を分けた段階導入

案件管理や書類、タスク、承認にはパッケージやクラウドを使い、独自の財産評価や基幹連携、会計・払出し、監査だけをAPIやアドオンで実装する構成が候補です。

  1. 相談受付と案件管理(第一段階)
  2. 定期照会と書類管理(第二段階)
  3. 執行・会計・外部連携(第三段階)

一度に全業務を置き換えないことで、段階ごとの利用者の反応を予算計画に反映できます。

NTTデータは2026年、金融業界横断で相続手続きをまとめて扱うプラットフォーム構想を公表し、2026年秋頃の提供開始を目指しています(出典:NTTデータグループ「みらいたすく構築に向けた基本合意」、2026年4月)。

今後は、金融機関どうしの連携や手続きの標準化も検討の対象になり得ます。将来の連携を見込むなら、初期の段階からAPIの境界とデータ項目を設計しておきます。

ポイント

業務ごとに独自性の大きさを見て、標準機能で足りる部分と個別に作る部分を分けておくと、方式を選ぶ判断がしやすくなります。将来の変更を誰が担うかも、あわせて考えます。

開発コストを抑えるポイント

コストを抑える目的は、稼働後の損失まで含めた総コストを下げることにあります。見積額だけを下げようとすると、その目的からずれてしまいます。

相続案件の遅延や書類漏れ、誤送付などを想定したうえで、監査対応のやり直しやデータ移行の失敗も含め、削る項目と守る項目を業務への影響とリスクで分けます。

最初のリリースの重要業務への絞り込み

初回から相続税シミュレーションや全帳票、全拠点連携、スマートフォン対応まで実装すると、開発期間と検証範囲が広がります。そこで初回は、次の重要業務に絞って実装します。

  • 案件管理:案件の状態の管理
  • 期日・書類:期日アラートと書類不足の管理
  • 安全管理:権限と操作ログの整備

これらは事故や遅延を防ぐ機能です。執行や会計を第二段階に回す場合でも、将来必要になるデータ項目は初期から設計しておきます。リリース時期を分けておけば、現場の反応を見ながら予算を配分できます。

データ項目と業務フローの標準化

標準化では、個別対応を減らせる箇所と、残すべき例外を分けて整理します。

  • 表記・入力:支店や担当者ごとの差をそろえ、画面・帳票・連携・検索の個別対応を減らす
  • 必須データ:顧客、家族、相続人、財産、書類、契約、状態、期日、承認の共通化
  • 帳票出力:一度登録したデータを複数の書類に出し、重複入力と改修を減らす

標準化は、一時的に利用者の負担を増やすことがあります。ただし、開発費と保守費を継続的に抑える効果があります。

初期費用ではなく5年TCOでの比較

5年間の総費用を比べるために、初期費用と継続費用、追加費用を洗い出します。

  • 基本費用:初期開発、ライセンス、クラウド、保守、監視、バックアップを含めた費用
  • 追加費用:診断、法改正、帳票、教育、問い合わせ、データ抽出、終了時の移行まで見込んだ費用
  • 5年試算:初期2,000万円と年保守300万円の場合、初期・保守だけで3,500万円
  • 利用量:利用者や容量の追加、API、長期保存、データ返却の別料金も計算する

標準機能が多く、法改正や障害対応まで含む提案は、多少高くても総額とリスクの両面で有利になることがあります。

セキュリティと品質保証の費用を削らない理由

品質を保ちながら費用を整えるには、必須の対策と効率化できる作業を分けることが必要です。

  • 削らない項目:アクセス制御、操作ログ、バックアップ、復旧訓練、診断、受入テスト。
  • 効率化:診断環境の段階化、テストデータ生成、標準認証の活用の検討
  • RFPと契約:誤閲覧・誤送付の防止に加え、誰がどの証跡を残すか、点検頻度、障害時の復旧時間の明記

対策を削ると、稼働後の事故や監査の指摘につながる可能性があります。遺言書や財産情報を誤って閲覧させたり誤送付したりすれば、顧客の信頼を損ないます。

見積もりを取る際の進め方と確認ポイント

依頼前には、対象業務と利用者、データを整理します。連携先やセキュリティ、運用体制もあわせて整理しておきます。完全な仕様書は必要ありません。現行業務と必須条件を共有すれば、各社の見積もりの差を比べやすくなります。

RFPへの機能・データ・非機能要件の記載

見積もりの条件を揃えるため、RFPには要件の種類ごとに整理して記載します。

  • 機能要件:顧客・家族・相続人・財産・契約・書類・状態・期日・承認・執行・帳票
  • データ要件:既存データの件数、項目、画像、保存期間、名寄せ、移行後の照合基準
  • 非機能要件:利用可能時間、復旧目標、権限、ログ、暗号化、接続、脆弱性、バックアップ、代替手順
  • 契約確認:法改正、再委託、データ返却、ソース・設計書の権利、検収条件
  • 納品区分:要件定義、設計、開発、テスト、移行、教育、保守ごとに分けて提示

複数社の見積もりの同条件での比較

提案内容を横並びで評価できるよう、各社に同じ比較基準を示します。

  • 比較条件:2〜3社以上に同じRFPを渡し、金額、範囲、前提、除外、体制、期間、保守、実績を比べること
  • 業務知識:信託・相続、金融機関の権限・監査・個人情報保護、法改正や引継ぎ支援についての知識の確認
  • 方式別の確認:パッケージ会社には標準機能とアドオン、SI会社には再利用部品と個別開発の境界を尋ねること
  • 未確定事項:「要確認」項目の回答期限と責任者を、契約前に決めておくこと

契約と検収での追加費用の条件

追加費用や稼働後の負担を抑えるため、契約・検収・保守の条件を揃えます。

  • 契約条件:準委任・請負の区別、要件変更の承認手順、追加開発の単価
  • 検収基準:画面表示に加え、通常処理、差戻し、期限超過、担当交代、移行照合、権限拒否、ログ、障害復旧を含む確認範囲
  • 保守条件:受付時間、重大障害の連絡、復旧目標、バックアップ、脆弱性・法改正、データ返却形式の取り決め
  • 長期運用:長く使う前提で、納品価格に加えて、変更しやすい設計と運用体制も契約の対象に含めること

ポイント

各社の見積もりに大きな差があるときは、まず前提条件が揃っているかを見直してください。範囲や除外事項の違いが金額差の原因になっていないかを確かめると、判断の材料が増えます。

よくある質問

費用相場は前提条件付きの目安です。対象業務、連携、セキュリティ、移行、保守の範囲をそろえたうえで判断します。

遺言信託管理システムは最低いくらから開発できますか?

案件・書類・タスク管理に絞る既製クラウドなら、初期50万〜300万円程度が目安です。

遺言書の厳格な版管理、金融機関の閉域接続、勘定系連携、信託会計、詳細な監査証跡まで含める場合は、1,000万円未満に収めるのが難しいケースがあります。

必要な業務範囲を分けて、第一段階と将来拡張の予算を別々に考えると、判断しやすくなります。

パッケージとスクラッチ開発はどちらが安いですか?

標準業務が多い場合、パッケージは初期費用と導入期間を抑えやすいです。

独自の受託審査や財産評価、信託会計、既存基幹連携が中心なら、アドオンを重ねるより必要範囲を設計したスクラッチが5年TCOで有利なこともあります。

標準機能、アドオン、個別開発を分けた見積もりを取り、初期費用だけでなく保守と法改正対応も比べます。

開発後の保守費用はどのくらい見込めばよいですか?

保守費を見積もるときは、提供されるサービスと契約上の条件を整理しておきます。

  • 費用範囲:クラウド、ライセンス、監視、バックアップ、問い合わせ、障害・脆弱性・法改正対応によって変わります。
  • 5年総額:初期開発費の一定割合で決めず、年間固定費と都度費用を分けて、5年総額を計算します。
  • 定期対策:重要システムとして復旧訓練やセキュリティ診断を行う場合の費用も含める
  • 契約確認:対象外作業、対応時間、復旧目標の明記

安い見積もりを選ぶときに注意することは何ですか?

安い提案では、費用から抜けやすい範囲と、品質面で確認すべき事項を照らし合わせます。

  • 見積範囲:要件定義、移行、連携、セキュリティテスト、教育、保守の有無
  • 除外事項:開発中の追加費用や稼働後の再委託費用により、総額が上がる可能性
  • テスト内容:複数相続人や担当交代、期限超過、書類差戻し、連携先障害を想定しているかの確認
  • 提供体制:金融・信託の知見、納品物、運用体制、終了時のデータ返却の評価

まとめ

相場の目安は、クラウド導入で50万〜300万円、パッケージ導入で1,000万〜5,000万円、個別開発で3,000万〜1億円、大規模な基幹連携型で1億円以上です。

示した金額は、機能範囲、利用規模、既存システム連携を前提とした推定レンジです。データ移行や監査、セキュリティ、保守も前提に含めています。公開されている価格ではありません。

業務範囲と5年TCOで見る費用

見積もりでは、まず要件定義、開発、テストを分けて、それぞれ含まれているかを確かめます。そのうえで、連携、移行、インフラ、教育、保守も、項目ごとに含まれているかを見ます。

長期の定期照会や担当者交代、相続後の執行を扱うシステムなので、品質も評価します。品質の評価では、書類と財産情報の整合や権限・監査も欠かせません。

業務フローとデータ項目を先に整理し、標準化する範囲と独自性を残す範囲を決めます。それが適正な見積もりにつながります。

要件整理と同条件の相見積もり

発注の準備は、対象範囲を定めてから各社の提案を比べる順に進めます。

  1. 遺言信託・遺言代用信託の対象と、受付から執行までシステム化する工程の決定
  2. 機能、移行、連携、安全対策、SLA、法改正、データ返却をRFPに記載すること
  3. 複数社から同条件で提案を受け、自社の業務と予算に合う方式を段階的に選ぶこと
  4. 稼働後の運用まで含めた、無理のないシステムの構築

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。