式場予約管理システムは、婚礼案件を軸に、会場・控室・衣裳をつなぐシステムです。スタッフの手配から見積、発注、精算までを同じ案件で扱います。
開発は6段階で進みます。出発点は要件整理で、そこで決めた業務の流れが、選定や設計・開発の土台になります。
▼全体ガイドの記事
・式場予約管理システム開発の完全ガイド
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式場予約管理システム開発の全体像

式場予約管理システムは、結婚式場やホテル、宴会場の予約情報を、関係者が同じ情報を見ながら婚礼案件ごとに扱う業務システムです。
初回の問い合わせから来館、仮押さえ、本予約までを一つの案件にまとめます。さらに、打ち合わせや当日の手配、請求、入金、アフターフォローも、同じ案件に含めます。
開発会社と発注側は、画面の見た目より先に、予約の状態と資源のひも付けを定義する必要があります。
予約受付システムと婚礼基幹システムの違い
予約受付中心のSaaSは、式場見学、ブライダルフェア、相談会、衣裳試着、オンライン相談などの予約ページを、短期間で公開したい場合に向いています。顧客情報の登録、リマインドメール、事前決済も、低コストで始められる点が利点です。
婚礼案件ごとの見積変更や両家別の請求分担は、標準機能では扱えない場合があります。
婚礼基幹システムとの違いは、扱う範囲と資源、担当者への引き継ぎに表れます。
- 対象の広がり:衣裳の回転や発注、原価、当日進行まで含めると、標準機能で扱えない範囲はさらに広がる
- 資源の一括管理:会場、控室、衣裳など複数の資源を、一つの婚礼案件にまとめて結ぶ
- 施設の内訳:会場には披露宴会場やチャペル、宿泊室があり、設備や担当スタッフも同じ案件に含める
- 担当交代時の対応:見積の変更が発注や請求に連動し、担当者が替わっても打ち合わせ履歴と要望を引き継げる
自社に必要な範囲は、「Web予約」「顧客・案件」「見積・精算」「手配・原価」「分析・連携」に分けて書き出します。範囲を分けておくと、過剰な開発を避けられます。
式場特有の要件の洗い出し
式場の予約では、会場だけでなく、会場に付随する時間や資源も同じ日程で押さえる必要があります。押さえる対象は、次の3つに分けて見ます。
- 会場の時間:利用時間、準備時間、転換時間
- 控室やチャペル、衣裳:会場と同時に確保される資源
- 料理や装花、写真、映像:担当者の稼働も含め、同じ日程で押さえる
たとえば、披露宴会場が空いていても、控室や衣裳を確保できなければ成約できない場合があります。そのため、カレンダーには会場だけでなく、関連する資源の競合と利用できる時間を表示する設計が必要です。
予約ステータスは、問い合わせから来館予定、仮押さえ、仮予約、本予約を経て成約に至る流れと、キャンセル、失注、ウェイティングに分けて管理します。
仮押さえの期限と確度を管理し、期限が近づいた案件を担当者へ通知できれば、空き枠が使われないまま残る事態を減らせます。発注側は、要件整理の段階で、各ステータスを誰が変更できるか、変更時にどの部署へ通知するか、変更履歴をどこまで残すかを決めておきます。
式場予約管理システム開発の進め方

開発は、次の6段階で進めます。最初から完全な画面一覧をそろえる必要はありません。まずは業務の流れと判断基準を整理し、そのうえでPoCや小規模導入により検証してから、全拠点へ広げます。要件整理で決めた業務フローと優先順位は、選定以降の判断の土台になります。
- 要件整理
- 製品・開発会社の選定
- 設計・開発
- テスト
- 稼働
- 定着
1. 要件整理フェーズの業務フローと優先順位
最初に、問い合わせから成約、当日運営、精算までの業務を一枚の流れにまとめます。
関係者は、プランナーや予約担当、衣裳担当、購買、経理です。会場責任者や経営者も含めます。そのうえで、それぞれが何を入力し、何を確認し、どの時点で承認するかを記録します。
出発点は、紙台帳やExcel、個人メール、チャット、既存の顧客データベースを並べて、二重入力や転記、確認待ち、担当者しか分からない作業を見つけることです。特に、仮押さえの失効日や重複予約の止め方、見積の値引き承認、両家別の請求単位を文章にしておく必要があります。これを省くと、会社ごとに前提が違い、価格を比べられなくなります。
次に、必須機能と第2段階の機能を分けます。第1段階では、会場・控室の空き確認、予約ステータス、見積を優先します。変更履歴と権限の管理、通知、帳票まで含めます。一方で、AIによる問い合わせ分類や見積の下書きは、効果と安全性を検証してから追加する選択肢です。顧客ポータルや広告媒体との連携も、同じ検証を経てから追加するかを決めます。
このフェーズでは、次のものを成果物として残します。
- 業務フローと機能一覧:業務の流れと、必要な機能の範囲をまとめた資料
- 予約状態の遷移図:仮押さえ、本予約、キャンセルなどの状態の変わり方
- 画面・帳票と外部連携の一覧:使う画面や帳票と、つなぐ外部システムの範囲
- データ移行方針と権限表:移行する範囲と、誰が何を見て変えられるか
- 非機能要件とRFP:性能や運用などの条件を含め、発注先に示す資料
経済産業省は2026年3月時点の事例集で、冠婚葬祭業の省力化にデジタルツールやAI導入補助金などの支援策を案内しています。ただし、制度の対象や公募条件は、申請時点の最新情報を確認する必要があります(出典: 経済産業省「冠婚葬祭業のためのデジタルツール等を活用した省力化事例集」、2026年3月時点版)。
2. 選定フェーズのデモと実データによる比較
選択肢には、予約受付SaaSや婚礼・宴会向けパッケージがあります。パッケージに個別カスタマイズを加える方式、スクラッチ開発、ローコードや既存データベースの拡張もあります。見学予約だけを早く始めたいならSaaS、見積・発注・精算まで標準機能で揃えたいなら業界特化パッケージが候補になります。独自の料金体系や複数法人の統合が課題であれば、個別開発を検討します。
判断では、初期費用だけでなく、業務への適合性とデータの所有権を見ます。連携、保守体制、将来の変更費用も、並べて比べます。
デモでは、一般的な予約登録ではなく、式場固有のシナリオを依頼します。依頼する内容は、次のような操作です。
- 同日の会場と控室の確保:披露宴会場と控室を、同じ日に押さえられるか
- 仮押さえから本予約への変更:切り替えの操作と、記録の残り方
- 見積と請求の変更:見積への装花の追加と、両家別の請求の分け方
- 担当者不在時の履歴確認:休みの担当者の案件を、別担当が履歴から追えるか
- 期限切れ案件の抽出:仮押さえ期限を過ぎた案件を、一覧で取り出せるか
デモ画面でできても、CSV出力やAPI連携に反映されない場合があります。
権限や操作ログ、帳票についても、同じことが起こり得ます。そのため、実際の成果物まで確認します。
公開情報のある製品は、業界への適合性を判断する材料になります。
ワークシステム株式会社は、婚礼宴会や衣裳、Webマイページを含む業務支援製品を案内しています。そこには、発注や権限設定、操作履歴なども含まれます。
キヤノンITソリューションズのMariesは、ホテル・式場・貸会議室などの会場予約を対象にしています。見積や精算に加えて、売掛・売上と顧客管理も含まれます。
ただし、公開ページの機能が自社の運用にそのまま当てはまるとは限りません。そのため、RFPとデモで差分を確認します。
3. 設計・開発フェーズの変更と連携の設計
設計では、画面を作る前に、顧客や新郎新婦、両家、法人宴会の幹事、予約案件を、どの単位で管理するかを決めます。
会場、控室、衣裳、商品も、資源としてどの単位で持つかを整理します。見積明細や発注、請求、入金、担当者も、同じように単位を決めます。
顧客と予約案件を一つのレコードに詰め込むと、同じ顧客の複数施行や二次会、衣裳だけの予約に対応しにくくなります。そのため、案件と資源を分けて持ち、履歴を追える形にしておくことが欠かせません。
連携設計では、連携先ごとに、どのシステムを正のデータとして扱うかを決めます。
対象は、会計、ホテルPMS、POS、決済などです。メール・LINEや自社サイト、広告媒体、既存顧客DBも、同じ考え方で整理します。
連携の仕様では、予約のたびに全システムを同期させるか、夜間にまとめてCSV連携するかを決めます。
エラーが起きたときに誰が再送するかも、あわせて決めておきます。
とくに見積変更を発注や精算へ反映する場合は、連携のタイミングと取消・返金の扱いを決めておく必要があります。決めないままだと、画面上は正しくても、現場帳票に古い情報が残るおそれがあります。
クラウドで構築する場合は、次の点を確認します。
- 二要素認証:ログイン時に、本人確認を二段階で行えるか
- IP制限:接続できる場所を、決めた範囲に限れるか
- バックアップ:保存の頻度と、保存先
- データの保管場所:個人情報を置く拠点やクラウドの所在
- 解約時のエクスポート:契約を終えたあと、データを取り出せるか
顧客の住所や家族情報、写真、決済情報を扱う式場では、SSL対応と書かれていても、それだけで安全性は判断できません。
個人情報保護委員会の通則編ガイドラインは、2026年6月に一部改正されています。そのため、取得から削除までの流れ、委託先管理、アクセス権限、漏えい時の報告と本人通知を、RFPに入れておきます(出典: 個人情報保護委員会、通則編ガイドライン2026年6月改正)。
4. テストフェーズの繁忙期と例外処理の再現
テストでは、画面の操作だけでなく、業務の流れ全体で予約が正しく動くかを見ます。見る観点は、通常の流れと例外の流れ、受け入れの判定に分かれます。
- 正常系:問い合わせ登録から来館、仮押さえ、本予約を通し、見積変更、発注、請求、入金、施行完了まで流れを追う
- 異常系:同一会場の重複予約、控室の時間重複、仮押さえ期限切れ、キャンセル料の変更、値引き承認なしの確定、連携先の停止、担当者の退職、通信断を試す
- 判定基準:予約登録から関連資源の空き状況が表示されるまでの時間、見積変更が発注データへ反映されるまでの時間、重複予約を検知できる割合を、導入前に測る
異常系の確認では、式場の実データに近い匿名化データを使い、現場スタッフに操作してもらうことで、実用性を確かめられます。
判定の数値は、入力項目の削減数や問い合わせへの初回回答時間も対象です。数値は自社の現状を基準に決め、外部の成功事例の数字をそのまま目標にしない方が安全です。
5. 稼働・定着フェーズの1店舗からの展開
全店舗を一度に切り替えると、問題が起きたときに原因を特定しづらくなります。そのため、まず1店舗、1種類のフェア、または見積・顧客登録の一業務に限定します。1〜3か月程度のPoCで、入力時間、二重予約、問い合わせ応答時間、キャンセル率、成約率などを測ります。
この期間は、システムを使わない業務が勝手に残っていないかを確かめます。紙台帳との二重管理が本当に必要かも、あわせて検証します。
稼働前には、マスタ登録と旧データの移行を準備します。あわせて、利用者のアカウントを発行し、権限を設定します。
さらに、バックアップ確認や障害時の連絡先、紙の代替手順、顧客への案内文も用意します。移行データについては、件数だけでなく中身も確かめます。顧客名の表記揺れや重複、過去施行とのひも付け、保存期限、同意の状態が対象です。
稼働後は、毎週の問い合わせを「操作が難しい」「要件不足」「教育不足」「データ不備」に分類し、改善の優先順位を決めます。
問い合わせの分類と改善の優先順位を踏まえたうえで、定着を担当者の努力だけに任せないため、次の事項を社内規程や業務マニュアルに反映します。
- 予約ステータスの変更ルール:誰が、どの状態へ変えてよいか
- 見積確定の承認者:見積を確定させる人
- キャンセル処理:取消の手順と、その扱い
- 個人情報の閲覧範囲:顧客の情報を、誰まで見てよいか
- 月次レポートの責任者:月ごとの集計を報告する人
AIを追加する場合は、問い合わせの分類や議事録、見積の下書きなど、補助業務に限ります。価格変更、返金、高額発注、クレーム対応の最終判断は、人が承認します。あわせて、入力内容をAIの学習に使うかどうか、外部サービスへ送信するかどうか、監査ログを残せるかを確認します。
式場予約管理システムの費用相場とコストの内訳

費用は、予約受付だけを始めるか、婚礼業務全体を一元化するかで大きく変わります。そのため、公開料金、公開された個別実案件、類似システムからの推定を分けて読むことが欠かせません。
ここに示す金額は、2026年時点で確認できた情報と、施設・現場系システムの要件をもとにした検討用のレンジです。すべての式場に当てはまる平均価格ではありません。
導入方式別の費用と期間の比較
予約受付中心のSaaSは、初期費用0円、月額0〜6.6万円程度が一つの目安です。たとえば、STORES予約の公式料金ページでは、フリープランは月額0円、スモールは年契約で月額9,790円と案内されています。チームは19,690円、ビジネスは28,600円、エンタープライズは66,000円です。
クレジットカードの事前決済には、4.9%に99円を加えた手数料がかかります。そのため、利用料だけでなく決済費も含めて計算します(出典: STORES予約「利用料金・プラン」、2026年8月確認)。
RESERVA予約も、公式の料金案内ではフリーからエンタープライズ、スイートまで複数プランが用意されています。
掲載の年払い月額換算では、0円から4万円台までの選択肢があります。
こうしたSaaSは、見学・フェア・相談会の予約開始に向いています。一方で、婚礼案件の原価や発注、両家別精算、既存PMSとの深い連携が必要な場合は、追加開発や別システムの費用を見積もります。
公開料金は契約期間やオプション、決済手数料で変わるため、申込時点の公式ページを確認します。
業務特化パッケージ、個別カスタマイズを加える方式、スクラッチ開発の3方式は、対象の範囲が広がるほど、初期費用も導入期間も大きくなります。
この3方式の金額は、公開平均ではなく、類似する施設・現場系の要件と公開実案件からの推定です。
- 業務特化パッケージ:初期300〜800万円程度、導入期間2〜6か月程度
- パッケージ+個別カスタマイズ:初期500〜1,000万円程度、4〜9か月程度。複数会場や既存会計・PMSとの連携、過去データの移行、帳票の変更を加える場合
- スクラッチ開発:1,000〜2,000万円程度、9〜18か月程度。独自の商流や複数拠点の統合、両家別精算、詳細な原価分析まで含める場合
個別開発の参考例として、TechSuite株式会社が公開する結婚式・パーティー会場の管理予約システムを挙げられます。開発言語はVue 3と.NET Core、費用目安は501〜1,000万円、開発期間は約4か月です。
担当範囲は、要件定義、設計、構築、テスト、運用と掲載されています(出典: システム幹事「結婚式、パーティー等の管理システム」、2026年8月確認)。
この事例は市場全体の平均ではなく、要件や体制、既存資産が近い案件を考えるための公開事例です。
初期費用以外のランニングコストの内訳
総保有コストには、初期開発費以外の費用も含まれます。
クラウド利用料や保守、監視、バックアップは、分けて見積もります。追加アカウントと決済手数料も、別の項目として見ます。
API利用料や、SMS・メールの送信費、データ移行の費用は、別建てで見積もる必要があります。
加えて、サポートや端末更新、OSやミドルウェアの更新費も、見積りに入れます。
特に、店舗数や会場数、月間予約数、同時接続者数を示さないと、初年度と2年目以降の費用を比べられません。
保管年数や移行件数、連携本数も、併せて示すことが必要です。
保守費用には、問い合わせ対応だけでなく、次の作業が含まれるかを確認します。
- 障害復旧:不具合が起きたときの復旧作業
- セキュリティパッチと法改正:安全性を保つ更新と、制度変更への対応
- 帳票変更と外部APIの仕様変更:出力の形式と、連携先の仕様変更への対応
- マスタ追加:登録情報を増やす作業
- 運用改善:使い方の見直しに伴う改善
月額は安くても、変更のたびに高額なスポット費用がかかる契約もあります。
見積書では、月額保守の対応時間や緊急時の連絡方法、復旧目標、データ返却、解約時の移行支援を、別項目で提示してもらいます。
式場予約管理システムの見積もりを取る際のポイント

見積もりの精度は、RFPの具体性で決まります。機能名を並べるだけでなく、誰が、いつ、どのデータを使い、どんな判断をするかまで示します。
発注先から同じ前提で提案を受けられるよう、必須要件と希望要件、対象外、現行業務、移行範囲を一つの資料にまとめます。その資料には、連携先や納期、予算上限、運用体制も含めます。
RFPに記載する予約ルールと現場の判断
RFPには、会場数や店舗数、月間の問い合わせ・予約件数、ピーク時の同時利用者数、予約可能な時間帯を記載します。
加えて、仮押さえの有効期限やウェイティングの扱い、キャンセル料も書き込みます。さらに、変更の承認や両家別の請求、衣裳や控室の在庫管理を、RFPに明記します。
会場の収容人数や宴会形式、六曜、曜日、時間帯を、空き状況の検索条件にするかも明記します。ここを省くと、一般的な予約フォームだけの見積になり、後から重要な機能を足すことになります。
データ移行では、次の対象を含めるかを決めます。
- 顧客名簿:顧客の基本情報を移すかどうか
- 過去施行と予約履歴:過去の婚礼と、予約の経緯の記録
- 商品・プラン:婚礼で扱う商品やプランの情報
- 会場と衣裳:会場と衣裳の登録情報
移行前の名寄せや欠損データの扱い、旧システムとの並行期間を決めます。移行後の照合方法と、削除依頼があった場合の対応も、見積の条件に入れます。
個人情報の取り扱いを委託する場合は、再委託や保管場所を確認します。加えて、アクセス権限やログ、返却・消去の証跡も確かめます。
複数社の同一シナリオと評価軸による比較
相見積もりは、価格だけでなく、要件理解や式場・ホテル・宴会の実績、標準機能と追加開発の境界で比べます。さらに、連携方式や開発体制、保守、教育、データ所有権も評価の軸にします。評価表には、必須要件を満たすか、追加費用はいくらかを記録します。標準機能か、納期に影響するか、将来のアップデートで壊れないかも、あわせて残します。
選定時の確認事項は6つあります。まず、同じ会場の仮押さえと本予約を同時に登録したときに二重予約を止められるか、控室や衣裳を同じ案件にひも付けられるか、見積変更が発注と請求に反映されるかです。加えて、誰がいつ変更したかを追跡できるか、CSV・APIでデータを取り出せるか、障害時に手作業へ切り替えられるかも見ます。
開発会社の担当者だけでなく、導入後のサポート担当や実装責任者とも話せるかを確認します。そのうえで、できるかどうかだけでなく、どのプランで、どの追加費用や運用条件のもとでできるのかを、回答欄に残します。
導入リスクへの対策(契約と運用設計)
主な失敗は、次のような点です。
- 要件の決め方:現場を巻き込まずに、要件を決めてしまう
- 画面の印象での判断:デモのきれいな画面だけで選ぶ
- 連携の見落とし:既存の会計やPMSとの連携を、対象から外す
- 仮押さえの扱い:仮押さえのルールを、システムに組み込まない
- 比べ方の偏り:初期費用だけで比べる
対策としては、プランナーと予約担当を要件定義と受け入れテストに参加させます。繁忙期の例外シナリオは実データで試し、連携エラーの責任者と復旧手順も決めておきます。
契約では、要件変更の扱い、検収条件、納期遅延、障害の重要度と対応時間を確認します。また、ソースコードや設計書の引き渡し、データの所有権、再委託、保守終了時の移行支援も、契約で扱いを決めておきます。
スクラッチ開発を選ぶ場合は、担当者が退職しても引き継げるように、納品物にデータベース定義やAPI仕様、テスト仕様を含めます。運用手順とインフラ構成も、納品物に含めます。
パッケージを選ぶ場合は、どのような条件で、バージョンアップ後に個別改修が使えなくなるかを確認します。
式場予約管理システム開発でよくある質問(FAQ)

導入の判断では、費用とあわせて、どこまでを最初に作るか、既存業務をどう変えるか、現場が使い続けられるかを見ます。
式場予約管理システムはSaaSとスクラッチ開発のどちらがよいですか?
見学・フェア・相談会のWeb予約を早く始めたい場合はSaaS、見積・衣裳・発注・精算・原価まで一元化したい場合は業務特化パッケージまたは個別開発が向いています。
複数拠点の独自ルールや既存システムとの深い連携が経営課題なら、スクラッチが候補になります。一方で、初期費用と保守負担は大きくなります。そのため、1店舗のPoCで効果を確かめてから段階的に広げる方法も有効です。
式場予約管理システムの開発費用はいくらかかりますか?
予約受付中心のSaaSは初期費用0円、月額0〜6.6万円程度が目安ですが、決済手数料やオプションが別にかかります。
業務特化パッケージは初期300〜800万円程度、パッケージへの個別カスタマイズは500〜1,000万円程度、複数拠点を含むスクラッチ開発は1,000〜2,000万円程度が検討用のレンジです。
実際の価格は、会場数や予約件数、移行データ、連携本数によって変わります。権限や帳票、保守条件も価格に影響します。そのため、同じRFPをもとに、複数社から見積もりを取ります。
過去の顧客データや予約履歴は移行できますか?
移行できるかどうかは、旧システムから出力できる項目、データ形式、重複や欠損の状態、添付ファイルの扱いで決まります。
移行の対象は、次の項目から決めます。
- 顧客名簿と予約履歴:顧客の基本情報と、予約の記録
- 商品・プランと入金:販売内容と、支払いの記録
- 担当者:案件ごとの担当者の記録
- 添付書類:案件に添付された書類
対象が決まったら、匿名化したサンプルで移行テストを行います。
現行の施行に必要な情報と、参照用の履歴を分けておくと、費用と品質のバランスを取れます。
開発を始める前に社内で何を準備すればよいですか?
まず、導入目的を「入力時間の削減」「二重予約の防止」「成約率や稼働率の可視化」など一つか二つに絞り、現行の業務フローと課題を店舗別に整理します。
次に、会場数や月間予約数、仮押さえのルール、移行件数をまとめます。さらに、既存の会計・PMS・顧客DB、個人情報の取り扱い、導入希望時期も整理します。
プランナー、予約担当、経理、情報システム、経営層を選定チームに含め、受け入れテストに参加できる体制を先に確保します。
まとめ

式場予約管理システムの開発は、婚礼案件に関わる資源と判断を一つの業務フローに整理するプロジェクトです。
まず、Web予約中心のSaaSで足りるのか、見積・発注・精算までを管理する婚礼基幹システムが必要なのかを分けます。そのうえで、要件整理から選定、設計開発を経て、テスト、稼働、定着へと、6つのフェーズを進めます。
成功のポイントは、次の5点を最初に決めることです。
- 予約の状態:仮押さえ、本予約、ウェイティングの移り変わり
- 資源の競合:会場・控室・衣裳・スタッフが重ならないか
- 見積と発注・請求の連動:見積の変更を、発注と請求へ反映する仕組み
- 会計やPMSとのデータ連携:データを、どの範囲でどう受け渡すか
- 権限と操作ログ:誰が何を見て、何を変えられるか
費用は、SaaSの公開料金、個別開発の公開実績、類似要件からの推定レンジに分けて捉えます。そのうえで、初期費用だけでなく、保守や決済、移行、連携、教育まで含めた総保有コストで比べます。
最後に、1店舗または1業務でPoCを行い、実際のスタッフと実データに近い条件で、効果と使いやすさを確認します。現場の入力負担が減るか、情報が担当者の中に閉じない運用へ変えられるかを測ったうえで、全拠点へ展開します。そうすれば、開発費を活かしながら、無理のない定着を目指せます。
▼全体ガイドの記事
・式場予約管理システム開発の完全ガイド
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
