ゼロトラストのシステム開発費は、小規模PoCで50万〜300万円、ID・端末を含む導入で300万〜1,000万円、オンプレミス業務アプリやZTNAまで含むと1,000万〜3,000万円が目安です。ただし、これは一律の公定価格ではなく、ユーザー数、端末数、アプリ数、既存環境、監視範囲によって変わる推定レンジです。
ゼロトラストは製品を一つ購入して終わる仕組みではなく、ID管理、MFA、端末管理、ZTNAやSASE、ログ監視、業務システム連携を組み合わせるセキュリティ基盤です。本記事では、2026年時点で確認できる料金体系や導入事例を踏まえ、費用相場、内訳、価格が変動する要因、見積もりの取り方、コストを抑える進め方を詳しく解説します。
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・ゼロトラストのシステム開発の完全ガイド
ゼロトラストのシステム開発の費用相場はいくらですか?

ゼロトラストのシステム開発費は、対象範囲をどこまで広げるかによって大きく変わります。20〜100ユーザーを対象にした認証のPoCと、数千ユーザーが利用する全社基盤では、同じ「ゼロトラスト導入」でも必要な設計・移行・運用が異なります。最初に規模別の目安を把握し、ライセンス費用と導入作業費を分けて検討します。
小規模PoCは50万〜300万円、1〜2か月が目安です
SSOやMFAを導入し、Microsoft 365やGoogle Workspaceなど1〜3個のSaaSを20〜100ユーザーで検証する場合は、初期50万〜300万円程度が一つの目安です。対象ユーザーの登録、認証ポリシー、条件付きアクセス、ログ確認、利用者向け手順書までに範囲を絞れば、1〜2か月程度で実施しやすくなります。この金額はリサーチノートに基づく編集部推定であり、製品の公式な受託価格表ではありません。
PoCで重要なのは、ログインできることだけを確認しないことです。端末が未管理のとき、MFA端末を紛失したとき、業務アプリが古い認証方式しか使えないとき、通信が切れたときに業務を止めずに対応できるかまで試験します。代替認証やブレークグラス手順を含めると工数は増えますが、本番移行後の手戻りを抑えやすくなります。
100〜500ユーザーのID・端末導入は300万〜1,000万円です
100〜500ユーザーを対象に、ID管理、MFA、MDMやUEM、EDR、複数SaaS、端末の棚卸し、運用設計まで含める場合は、初期300万〜1,000万円程度を想定します。端末の台数がユーザー数を上回る場合や、個人所有端末、スマートフォン、拠点端末を一緒に管理する場合は、登録・ポリシー設計・例外処理が増えるため、同じユーザー数でも高くなります。
この価格帯では、システム設定だけでなく、アカウントの発行・異動・退職時の無効化、端末紛失時の遠隔消去、ヘルプデスクへの問い合わせ手順、管理者権限の棚卸しまで設計します。導入支援と利用者教育を見積もりから外すと、稼働後に情シスの負担が急増するため、初期費用に含む作業と月額運用に含む作業を分けて記載します。
ZTNA・SASEを含む導入は1,000万〜3,000万円です
拠点やリモートワーク環境から、オンプレミスの基幹システムやファイルサーバーへ安全に接続するZTNA、SWG、CASB、DLPなどを組み合わせる場合は、初期1,000万〜3,000万円程度が推定レンジになります。VPNからの移行、ネットワーク経路の変更、古い業務アプリの接続試験、段階リリース、利用者サポートが発生するためです。期間は4〜12か月程度を見込みます。
数千ユーザー、複数クラウド、複数拠点、マイクロセグメンテーション、SIEMやSOC、委託先・海外拠点まで含む全社基盤では、初期3,000万円〜1億円超、期間12〜24か月以上になる場合があります。規制業種や重要インフラでは、監査証跡、冗長化、障害時の復旧、長期ログ保管などの非機能要件が費用を押し上げます。大規模案件は一括導入ではなく、複数年度のロードマップで分割するのが現実的です。
ゼロトラストのシステムとは何ですか?

ゼロトラストのシステムとは、社内ネットワークにいることや一度ログインしたことを理由に利用者を信頼せず、利用者、端末、アプリケーション、データ、通信の状態を都度確認してアクセスを許可するセキュリティアーキテクチャです。NISTのSP 800-207の考え方に基づき、明示的に検証すること、最小権限を付与すること、侵害を前提に監視することが基本になります。
ゼロトラストは単一製品ではなく複数機能の組み合わせです
主な構成要素は、SSOやMFAを担うIDaaS・IAM、端末を管理するMDMやUEM、端末の挙動を監視するEDR、アプリ単位で接続を許可するZTNA、インターネットやSaaSの利用を制御するSWG・CASB、データを守るDLP、ログを集約するSIEMやSOCです。これらを既存のMicrosoft 365、Google Workspace、業務システム、クラウド、オンプレミス環境へつなぎます。
したがって、「MFAを入れたからゼロトラストが完了した」とは言えません。MFAは本人確認を強化する重要な要素ですが、端末が脆弱な状態ではないか、許可されたアプリへアクセスしているか、利用者に必要最小限の権限だけを与えているか、異常な操作を検知できるかまで設計して、はじめてゼロトラストのシステムとして機能します。
VPNとの違いはネットワーク全体ではなくアプリ単位で許可する点です
従来のVPNは、認証に成功した利用者を社内ネットワークへ入れ、ネットワーク内の複数システムへ接続できる構成になりやすい方法です。一方、ZTNAは利用者、端末、場所、時間、リスク、対象アプリなどの条件を確認し、許可されたアプリだけへ接続させます。ネットワークに入れた後の横展開を抑えやすく、リモートワークや外部パートナーとの接続にも適しています。
ただし、ゼロトラストを導入するからといって、既存VPNを初日から廃止する必要はありません。古い業務アプリ、工場設備、特殊な通信、障害時の代替経路が残っている場合は、VPNを例外経路として管理しながら、利用頻度やリスクの高いアプリからZTNAへ移行します。VPNの廃止時期と残す条件を最初に決めることが、移行費用の管理につながります。
ゼロトラストのシステム開発はどのように進めますか?

ゼロトラストの導入では、最初から全社のネットワークやすべてのアプリを置き換えると、費用と障害リスクが膨らみます。資産とIDを棚卸しし、優先順位を定め、小さなPoCで利用者体験と技術的な制約を確認してから、段階的に対象を増やす流れが適しています。
資産・ID・データを棚卸しして対象範囲を決めます
最初に、ユーザー、管理者、端末、SaaS、クラウド、オンプレミスの業務アプリ、ファイルサーバー、API、拠点、委託先、重要データ、現在のVPN経路を一覧化します。特に、退職者アカウント、共有アカウント、管理者権限、サポート期限が切れた端末、外部公開された管理画面は、優先して確認します。
対象範囲が曖昧なまま見積もりを依頼すると、「全社対応」の一言に異なる作業が含まれ、会社ごとの価格を比較できません。ユーザー数と端末数、連携するアプリ数、ログ保存期間、拠点数、委託先数、対象外にするシステムをRFPに記載し、同じ前提で提案を受けることが大切です。
PoCで認証・端末・アプリ接続と業務影響を検証します
PoCは、1部門、1拠点、1〜3個のアプリなど、結果を評価しやすい単位で始めます。確認する項目は、SSOやMFAの成功率、端末の準拠判定、アプリ接続、ログの見やすさ、管理者操作、認証失敗時の復旧、利用者からの問い合わせです。セキュリティだけでなく、現場の操作時間や認証回数も測定します。
特に、古い業務アプリがSAMLやOIDCに対応していない場合は、代理認証、コネクタ、リバースプロキシなどの追加方式を検討します。ここを本番直前まで放置すると、追加開発、ネットワーク変更、データ移行が発生し、初期見積もりから費用が増えやすくなります。技術的な不確実性は、早い段階で費用化して確認します。
段階移行と運用改善を前提に本番展開します
PoCの結果をもとに、対象アプリとユーザーを段階的に増やします。先にSaaSと管理部門を移行し、次に営業・現場、最後に古い基幹システムや例外の多い拠点を移行する方法が一般的です。各段階で、認証失敗、未管理端末、過剰権限、誤検知、問い合わせ件数を確認し、ポリシーを調整します。
稼働後は、月次のアカウント・権限レビュー、端末の準拠状況確認、ログ分析、脆弱性対応、インシデント訓練を運用に組み込みます。ゼロトラストは導入時の設定だけで完成するものではないため、設定変更、チケット対応、SOC、教育、年次のアーキテクチャ見直しをランニングコストとして計画します。
ゼロトラストのシステム費用とコストの内訳

見積もりは「ゼロトラスト導入一式」ではなく、ライセンス、初期設計、設定・連携、端末整備、移行・試験、教育、監視・保守に分けて確認します。初期費用だけを見ると安く見える提案でも、月額の監視やログ保管、チケット対応を加えると3年総額が大きくなることがあります。
ライセンス費はユーザー数・機能・契約期間で変わります
代表的な料金体系は、ユーザー単位の月額課金、端末単位の課金、通信量やログ量に応じた従量課金、年間契約の個別見積もりです。例えばMicrosoftの日本向け公開価格では、Microsoft Entra ID P1が899円、P2が1,349円、Entra Suiteが1,799円のユーザー・月額相当で、いずれも年払いの価格として案内されています(出典: Microsoft「Microsoft Entraのプランと価格」、2026年確認)。ただし、Microsoft 365 E3やBusiness Premiumなどに機能が含まれる場合があるため、既存契約との差額で評価します。
CloudflareのZero Trust料金ページでは、50ユーザー未満または企業のPoC向けのFreeプラン、Pay-as-you-goの7米ドル/ユーザー/月、SASEや手厚いサポートを含む年間個別見積もりのContract Planが案内されています(出典: Cloudflare「Zero Trust & SASE Plans & Pricing」、2026年確認)。円換算や税、契約期間によって実際の請求額は変わるため、記事の価格をそのまま予算化せず、見積もり時点の為替と契約条件を確認します。
初期設計・設定・連携に導入支援の費用がかかります
初期作業には、現状調査、要件定義、製品選定、認証方式の設計、ロールと権限の整理、条件付きアクセス、端末ポリシー、アプリ接続、ログ設定、管理者教育などが含まれます。設定項目が少なくても、現行環境を止めずに移行するための切り戻し設計や、例外ポリシーのレビューに工数がかかります。
NTTドコモソリューションズの2026年資料でも、CiscoやMicrosoftのサービスを組み合わせ、インターネットアクセス、社内システムアクセス、端末セキュリティ、SOC運用、問い合わせ対応を分けて提供しています。同資料の価格欄は導入範囲・要件による個別見積もりとされているため、ゼロトラストの費用はライセンス単価だけでなく、どの設定・運用を委託するかで決まると理解します(出典: NTTドコモソリューションズ「ゼロトラスト型セキュリティサービス」、2026年)。
SOC・ログ保管・問い合わせ対応が月額費用を構成します
運用費には、サブスクリプション、SOCやMDR、ログ保管、アラートの一次対応、設定変更、問い合わせ、権限レビュー、端末交換、バックアップ、脆弱性対応、利用者教育が含まれます。24時間365日の監視を求めるか、平日日中の通知でよいか、一次切り分けを自社で行うかによって、月額のレンジは大きく変わります。
業務システム開発では、初期開発費の年15〜25%程度を保守費の仮置きにする考え方がありますが、ゼロトラストではユーザー課金、通信量、ログ量、監視時間の影響が大きくなります。例えば初期導入費1,000万円に対して年150万〜250万円を置く場合でも、ライセンスやSOCが別建てなら総額はそれ以上になります。初期費用と月額費用を分け、1年、3年、5年の総保有コストで比較します。
ゼロトラストのシステム費用が変動する要因

費用の差は、製品の値引き率だけで生まれるわけではありません。対象人数、アプリの接続方式、既存端末の状態、拠点や委託先、ログの保存要件、運用体制、導入期間が組み合わさって総額になります。見積書の金額だけでなく、その金額を構成する前提条件を比較します。
ユーザー数・端末数・拠点数が増えるほど費用が増えます
ユーザー単位のライセンスでは、従業員だけでなく、派遣社員、業務委託先、取引先、共有端末の利用者を数える必要があります。1人がパソコン、スマートフォン、タブレットを使う場合にユーザー課金なのか端末課金なのかも確認します。拠点が増えると、ネットワーク機器、回線、無線LAN、現地試験、障害時の保守体制も必要になります。
端末が古く、OSの更新や暗号化に対応していない場合は、セキュリティ製品の導入前に端末交換が必要です。端末購入費、キッティング、データ移行、利用者への配布、廃棄、予備機まで含めると、ソフトウェアの見積もりだけでは把握できない費用になります。端末の準拠率を事前に測定して、更新対象台数を絞ります。
アプリ連携と古い認証方式が追加工数を生みます
SaaSがSAMLやOIDCに対応していれば、IDaaSとの連携を標準機能で進めやすくなります。一方、オンプレミスの基幹システム、古いWebアプリ、専用クライアント、工場設備、ファイルサーバーでは、コネクタ、リバースプロキシ、証明書、ネットワーク経路、認証アダプターの追加設計が必要になる場合があります。
アプリごとに、認証方式、利用者ロール、データ分類、アクセス元、可用性、ログ項目、障害時の代替手段を確認します。アプリ数が10個でも標準連携で済む案件と、3個のうち1個が特殊なアプリである案件では、後者の方が高くなることがあります。見積もりではアプリ数だけでなく、連携方式と個別開発の有無を明示します。
ログ保管・監査・規制対応の要件で費用が変わります
個人情報、金融情報、医療情報、教育データなどを扱う場合は、認証ログ、管理者操作、データアクセス、設定変更、インシデント対応の証跡が必要になります。ログを何日または何年保存するか、改ざん防止をどう実現するか、誰がレビューするかを決めると、SIEMのストレージ、監視、レポート、監査対応の費用が変わります。
個人情報保護委員会の通則編ガイドラインでは、個人データへのアクセス制御、識別・認証、不正アクセス防止などの技術的安全管理措置が示されています。ゼロトラストを導入すれば自動的に法令適合になるわけではなく、自社のデータ分類、委託先管理、国外クラウド利用、保存期間を要件として整理します。法務・監査部門とのレビューを後工程に回さないことが重要です。
ゼロトラストのシステム導入事例から費用を考える方法

公開事例は、導入費用そのものを示していない場合でも、どの機能を組み合わせ、どの順番で移行したかを知る手がかりになります。機能名だけを比較するのではなく、課題、対象ユーザー、既存ネットワーク、導入時期、運用開始後の効果を読み取り、自社の見積もり項目へ置き換えます。
NISTの19実装例は構成要素と統合工数を確認する材料です
NISTが2025年6月に公開したSP 1800-35では、オンプレミスと複数クラウド、ハイブリッド勤務、外部パートナーを想定し、商用技術を組み合わせた19のゼロトラスト実装例が紹介されています。24の協力組織と検証したガイドであり、ID、端末、マイクロセグメンテーション、SASEなどを統合する際のモデルとして参照できます(出典: NIST「SP 1800-35 Implementing a Zero Trust Architecture」、2025年)。
この情報から読み取れるのは、ゼロトラストに単一の標準構成があるわけではないことです。自社では、どの製品を選ぶかより先に、IDをどこで管理するか、端末の健全性をどう判定するか、アプリ単位の接続をどう実現するか、ログを誰が監視するかを決めます。製品間のAPI連携や設定差分が、導入支援費用の重要な部分になります。
朝霞市の事例は利便性と移行範囲を見積もる参考になります
ユニアデックスが公開する埼玉県朝霞市教育委員会の事例では、2024年9月から市内の小中学校で運用を開始し、SASEを中心にリモートアクセス、MFA、Webフィルタリング、EDR、クラウド型校務支援などを組み合わせています(出典: ユニアデックス「校務ネットワークのゼロトラストモデル化事例」、2025年公開)。学校と教職員が場所を問わず安全に利用できる環境を目指した事例です。
この事例を費用見積もりに活かすときは、「SASEを入れる」とだけ捉えません。既存の閉域網やオンプレミスサーバーの整理、学校ごとの利用差、端末や無線LAN、クラウド校務システム、教職員への説明、運用開始後のサポートまでが対象になります。現場の利便性を守るための試験・教育費用も、セキュリティ製品と同じように予算化します。
ゼロトラストの見積もりを取る際のポイント

ゼロトラストの見積もりを比較するときは、安い会社を選ぶのではなく、同じ条件で比較できる状態を作ります。対象範囲、前提、成果物、作業分担、月額の含有範囲、追加料金、障害時の責任分界を明確にしてから、2〜3社程度へ相談します。
RFPには人数・端末・アプリ・運用条件を具体的に書きます
RFPには、ユーザー数、管理者数、端末数、OS、拠点数、クラウドとオンプレミスの比率、接続アプリ数、認証方式、データ分類、ログ保存期間、目標稼働率、サポート時間、移行希望時期を記載します。さらに、MFAの方式、端末未準拠時の動作、退職者の無効化、権限レビューの頻度、障害時のブレークグラス手順も明記します。
提案会社には、初期費用、ライセンス、ネットワーク、端末、移行、試験、教育、SOC、ログ保管、問い合わせ、設定変更、保守を分けて提示してもらいます。各項目に、数量、単価、期間、作業時間、含まれない作業を付けてもらうと、会社ごとの提案を比較しやすくなります。
発注先は製品名より設計・移行・運用の実績で選びます
ゼロトラストは、製品の販売会社、マルチベンダーのSIer、業務システムの開発会社、SOC事業者が関わることがあります。選定時には、同規模・同業種の実績、古いアプリの接続経験、MFAや端末管理の展開力、ログ・監視の範囲、設定情報の引き渡し、契約終了時のデータ返却を確認します。
「ゼロトラストに対応できます」という説明だけでは、運用開始後の責任分界が分かりません。PoCの対象ユーザーとアプリ、利用者への教育、認証障害時の対応、誤検知の調整、月次レポート、緊急時の連絡経路を質問し、回答を提案書と契約書に反映します。担当者個人の経験だけでなく、引き継ぎ可能なチーム体制も評価します。
追加費用につながるリスクと対策を契約前に確認します
費用が膨らみやすい要因は、対象範囲の後出し、例外ポリシーの増加、古いアプリの認証方式、端末の未整備、データ移行の品質、利用者教育の不足、ログ量の想定外増加です。リスク一覧を作成し、発生確率、影響、回避策、予備費、判断期限を記載します。
例えば「全社一斉切り替え」ではなく、部門ごとのウェーブ移行にして、各段階に完了条件と切り戻し条件を設けます。アプリ連携が間に合わない場合の暫定経路、MFA端末を紛失した場合の本人確認、SOCが受け取るアラートの基準も決めます。予備費の金額を一律に断定せず、未確定要件ごとに工数と上限を置くことが大切です。
ゼロトラストのシステム費用を最適化するポイント

コスト最適化は、機能を削ってセキュリティを弱めることではありません。既存ライセンスを活用し、対象を絞って効果を測り、標準機能を優先し、運用負荷を定量化することで、必要な防御を維持しながら無駄な初期費用と重複契約を減らします。
既存ライセンスと標準機能を先に確認します
Microsoft 365、Google Workspace、既存のIDaaS、MDM、EDRを契約している場合は、すでに利用できる機能を確認します。Microsoft Entra ID P1がMicrosoft 365 E3やBusiness Premiumに含まれる場合があるように、単体製品を追加購入する前に、契約中のプラン、対象ユーザー、機能の有効化条件を確認すると重複費用を抑えられます。
独自の認証基盤やポリシーエンジンをスクラッチ開発すると、初期開発費だけでなく、脆弱性対応、暗号方式の更新、監査、障害対応の費用が継続します。製品の標準機能とAPI連携で実現できる部分は標準に寄せ、独自開発は自社固有の業務フローや統合処理に限定します。
リスクの高いID・端末・アプリから段階的に着手します
すべてのシステムを同じ強度で一度に保護する必要はありません。特権ID、退職者アカウント、個人情報を扱うアプリ、外部公開サービス、リモートアクセス、管理者端末など、被害が大きい対象から優先します。対象を絞ることで、PoCの期間と費用を抑えながら、導入効果を測定できます。
優先順位は、資産価値、攻撃される可能性、既存対策、業務停止の影響、移行の難しさで評価します。例えば、外部委託先が利用する顧客情報システムを先に対象にし、工場の古い設備は別の隔離ポリシーで守るなど、リスクと移行難易度の両方からロードマップを作ります。
効果指標を決めて過剰な機能追加を防ぎます
費用対効果を確認するため、MFA適用率、未管理端末数、過剰権限数、退職者アカウントの無効化時間、異常検知から遮断までの時間、認証失敗率、問い合わせ件数、VPN経由のアクセス数などをKPIにします。KPIが改善していない状態で製品だけを追加すると、費用が増えてもリスクが下がらない可能性があります。
毎月または四半期にKPIを確認し、利用されていないライセンス、重複したログ保管、過剰な監視ルール、不要な例外を見直します。機能を追加する判断には、解決するリスク、導入費、月額費、運用工数、代替策を並べ、セキュリティ部門だけでなく業務部門と合意します。
よくある質問

ゼロトラストの費用を検討する際は、製品の価格だけで判断せず、自社の利用者、端末、アプリ、監視体制に置き換えて考えます。ここでは、予算策定や発注前によく出る質問に直接回答します。
中小企業でもゼロトラストのシステムを導入できますか?
導入できます。まずは既存のID基盤を活用し、20〜100ユーザー程度のPoCでMFA、端末条件、SaaSアクセス、ログ確認を始めると、初期50万〜300万円程度の範囲で検証しやすくなります。全社のネットワークを一度に変えるのではなく、重要なアプリや管理者IDから段階的に対象を広げます。
MFAだけ導入すればゼロトラストと言えますか?
MFAだけでは、ゼロトラスト全体を実現したとは言えません。MFAは本人確認を強化する一要素であり、端末の健全性、最小権限、アプリ単位のアクセス制御、ログ監視、異常時の遮断や復旧まで組み合わせる必要があります。ただし、MFAは優先度の高い最初の施策として始めやすい方法です。
ゼロトラストを導入すればVPNはすぐに廃止できますか?
すぐに廃止できるとは限りません。古い業務アプリ、工場設備、特殊な通信、障害時の代替経路が残っている場合は、VPNを例外経路として管理しながら、対応できるアプリからZTNAへ移行します。VPNの廃止を急ぐより、利用状況を可視化し、経路ごとのリスクと移行費用を比較する方が安全です。
ゼロトラストの運用費は毎月いくらかかりますか?
ユーザー数、製品、ログ量、監視時間、問い合わせ範囲によって異なるため、一律には決められません。ライセンスだけならユーザー単位の月額課金で計算できますが、SOC、ログ保管、設定変更、教育、端末更新を含めると、初期費用の年15〜25%程度という一般的な保守目安を超えることもあります。1年・3年・5年の総額で確認します。
まとめ

ゼロトラストのシステム開発費は、PoCなら50万〜300万円、ID・端末中心の導入なら300万〜1,000万円、ZTNAやオンプレミス連携まで含むと1,000万〜3,000万円が目安です。大企業や規制業種の全社基盤では、3,000万円〜1億円超になる場合もありますが、これらは対象範囲や運用条件から整理した推定レンジであり、特定の金額を保証するものではありません。
費用はライセンス・導入・移行・運用を分けて考えます
見積もりでは、ユーザー数や端末数だけでなく、アプリ連携、ログ保存、SOC、ヘルプデスク、教育、端末交換、障害時の復旧まで確認します。既存ライセンスを活用し、標準機能を優先し、リスクの高いID・端末・アプリから段階移行すると、初期費用と手戻りを抑えやすくなります。
最初に現状棚卸しと小さなPoCの見積もりを依頼します
まずは、ユーザー、端末、アプリ、データ、既存VPN、管理者権限を棚卸しし、守る対象と移行対象外を決めます。そのうえで、1部門・1拠点・1〜3アプリ程度のPoCについて、初期費用、月額費用、期間、成果物、評価指標、切り戻し条件を明記した提案を依頼します。ゼロトラストは製品の導入ではなく、安全なアクセスと継続運用を設計するシステム開発として進めることが重要です。
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・ゼロトラストのシステム開発の完全ガイド
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
