Moonshot AIは2026年10月、Kimi K3.1 Proと高速版のKimi K3.1 Pro Highspeedを発表しました。Kimi K3.1 ProはKimi K3を追加のポストトレーニングで仕上げたモデルで、100万トークンのコンテキストウィンドウを備えます。
コーディングを評価するTerminal-Bench 4.0では65.7%を記録し、APIでは入力が100万トークンあたり2ドル、出力が10ドルです。Highspeedは通常版の2〜3倍の速度をうたいます。
長いコードベースや文書を扱う企業にとって有力な候補ですが、1Mコンテキストの利用条件、thinking必須の仕様、重み公開前という時期を踏まえた評価が必要です。APIで代表タスクを測ったうえで、重み公開後に自社運用の可否を判断します。
※本記事は2026年10月26日時点の情報です。

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Kimi K3.1 Proとは|K3を追加学習した1Mコンテキストの3T級モデル
Kimi K3.1 Proは、Kimi K3をベースにポストトレーニング計算を大幅に増やしたモデルです。Moonshot AIは、コーディング、3D制作、金融リサーチ、複数のツールを使うエージェント作業で改善したと説明しています。
規模を理解するには、基盤モデルのKimi K3を見ます。公式モデルカードでは、Kimi K3はMixture of Experts(MoE)です。総パラメータは2.8T、1トークンあたりのアクティブパラメータは104B、コンテキスト長は1,048,576トークンです。K3.1 ProはこのK3のpost-trained versionとして発表されています。
ここでいう1Mコンテキストは、入力に使える情報量の上限です。長大なリポジトリや複数の設計資料を同じセッションで参照できる余地が広がりますが、毎回1Mトークンを送る必要があるわけではありません。実際の費用は入力と出力のトークン数で変わるため、長文を扱う業務ほど利用量の計測が欠かせません。
中国発のオープンウェイトモデルを比較するときは、中国製オープンウェイトAIの選定軸も参考になります。総パラメータの大きさだけでなく、利用できるコンテキスト、推論速度、ライセンス、運用経路を分けて確認してください。
ポイント
Kimi K3.1 ProはK3のpost-trained versionです。2.8T総/104Bアクティブという数値は基盤のKimi K3のモデルカードにある仕様として、K3.1 Proの追加学習と区別して読みます。
ベンチマーク|コーディング65.7%、3D 92.7%を業務評価に置き換える
公式発表で最も目を引くのが、Terminal-Bench 4.0の65.7%です。この評価は、リソース制約のあるターミナル作業を、タスクごとの厳格なテストで測ります。比較対象はGPT-6 Astraが58.2%、Claude Opus 5.5が66.4%でした。
長い開発タスクを測る社内評価のKimi Code Bench 3.0 Long-horizonでは61.2%で、Kimi K3の55.95%を上回りました。ツールを使った複数ステップの実行や、最後まで問題を解く力を測る評価です。自社の開発工程に近い指標ですが、社内評価である点は切り分けます。
3D分野のBenchCADでは、ツール使用時に92.7%でした。Claude Opus 5.5は96.2%、GPT-6 Astraは95.9%です。Kimi K3.1 ProはBlenderやCADソフト用のスクリプトを作成・実行し、MCPコネクターなしでモデルや形状を調整できると説明されています。

金融文書の分析を測るOfficeQA Pro v2は64.4でした。社内評価では、Kimi K3と比べてFinancial Modelingが7.2ポイント、Financial Researchが11.6ポイント改善しました。Business Operationは約4.2倍になったと報告されています。
これらの数値は、導入を決めるための最終回答ではありません。開発なら代表的なリポジトリの修正・テスト・レビュー、3Dなら実際のCADデータ、金融なら出典確認を含む文書処理をサンプル化し、同じ指標で比較します。ベンチマークの順位より、自社の失敗条件を再現できる評価セットが判断材料になります。
ポイント
65.7%や92.7%は、Kimi K3.1 Proの得意領域を知る入口です。自社のコード、3D、文書から代表タスクを選び、同じ失敗基準で再測定してから採用を決めます。
API料金とHighspeed|1Mトークンを使う費用を先に見積もる。
Kimi APIでは、Kimi K3.1 ProのモデルIDがkimi-k3.1-pro、Highspeedがkimi-k3.1-pro-highspeedです。標準版は入力が100万トークンあたり2ドル、出力が10ドル。Highspeedは入力4ドル、出力20ドルです。
※1ドル=150円で換算すると、標準版は入力約300円、出力約1,500円、Highspeedは入力約600円、出力約3,000円です。入力と出力の単価が異なるため、回答が長い業務では出力トークンの上限も予算に影響します。
| モデル | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) | コンテキスト |
|---|---|---|---|
| Kimi K3.1 Pro | 2ドル(約300円) | 10ドル(約1,500円) | 最大1M(標準)。 |
| Kimi K3.1 Pro Highspeed | 4ドル(約600円) | 20ドル(約3,000円) | 最大1M(高速)。 |
| Kimi K3 | 3ドル(約450円) | 15ドル(約2,250円) | 最大1M(K3)。 |
Highspeedは同じモデル品質で、通常版の2〜3倍の速度を提供します。人が画面の前で待つ開発支援や対話ならレイテンシーを優先し、夜間バッチや大量の文書処理なら単価を優先する、といった分け方ができます。Kimi K3や他モデルのAPI料金と比べるときは、同じ入力・出力トークン数で試算してください。
モデル選定では、DeepSeek V4のAPI料金を比較対象に加える方法もあります。1回あたりの料金だけで決めず、品質、応答速度、キャッシュ利用、リトライを含む1タスクの総コストで見ます。
ポイント
標準版とHighspeedの差は、速度と単価の交換です。画面操作を伴う開発支援と大量処理を同じ設定にせず、入力・出力トークンを分けて費用を見積もります。
Kimi Codeと企業利用|thinking必須・1M利用プラン・管理者設定を確認
Kimi Codeで使う場合、Kimi K3.1 Proはthinking mode専用です。thinkingを無効にしたリクエストは拒否されます。推論の強さはreasoning_effortのlow、high、maxから選べ、公式ドキュメントの既定値はhighです。
1Mコンテキストは、すべてのプランで同じように使えるわけではありません。新プランではPro以上、旧プランではAllegretto以上が1Mに対応し、Plus/ModeratoではKimi K3.1 Proを利用できても1Mには制限があります。契約プランと実際の上限を先に確認してください。
- モデルID:
k3.1-proとk3.1-pro-highspeedを環境ごとに固定する。 - コンテキスト上限:契約プランが1Mに対応するか確認する。
- 思考設定:thinkingを無効化せず、
reasoning_effortごとに品質と費用を測る。 - 接続方式:公式が推奨するネイティブAPIを優先し、プロキシ変換の影響を試験する。
企業アカウントでは、Kimi Enterpriseの管理者がKimi K3.1 Proを有効化できます。ローンチ時はアクセスがデフォルトで無効です。APIではZero Data Retentionが利用できるため、機密情報を扱う場合は契約条件とデータ保持設定を確認し、利用部門ごとに権限を分離する運用です。

AIエージェントとして長時間の作業を任せるなら、評価値だけでなく実行ログ、失敗時の停止条件、権限の範囲も決めます。可観測性・評価・監視の設計にはAgentOpsの整理が有効です。
ポイント
導入の最初に、1Mを使える契約か、thinking必須の実装に対応できるか、企業管理者がアクセスを有効化できるかを確認します。
オープンウェイト公開前に決めること|API検証から自社運用判断へ
Kimi K3.1 Proの完全なモデル重みは、2026年11月4日までに公開予定です。2026年10月26日時点では、API、Kimi.ai、Kimi Work、Kimi Codeで先に利用できますが、重みを自社サーバーへ配置できる段階とは分けて考えます。
公開後に自社運用を検討する場合は、まずライセンスを確認する設計です。次に、必要な計算資源、量子化や推論基盤の対応、実効速度、更新方法、障害時の切り戻しを検証します。2.8T級の数字だけで設備を決めず、実際に使う量子化形式と同時実行数で見積もることが必要です。
安全面では、Moonshot AIがK3.1 Proについて、学習の中間段階と強化学習段階からサイバー関連データを除去したと説明しています。xdev-bench-hardでは、対策後のK3.1 Proが81.0%(pass@3)、対策なしのチェックポイントが90.5%でした。これはモデル側の対策を示す評価であり、企業の本番環境で権限管理やサンドボックスが不要になることを意味しません。
したがって、10月26日時点の進め方は二段階に分けられます。APIで自社の代表タスクを測り、出力品質と1タスクの費用を記録する。その後、重みが公開されたらライセンス、運用コスト、セキュリティ評価を確認し、クラウドAPIを継続するか自社運用へ移すかを決める流れです。
ポイント
重み公開予定は2026年11月4日までです。いまはAPIで業務適合性を測り、公開後にライセンス・計算資源・推論基盤・安全運用を確認して自社運用を判断します。
よくある質問
Q. Kimi K3.1 Proのコンテキスト長は?
最大100万トークンです。Kimi Codeでは1Mコンテキストの利用にPro以上などのプラン条件があります。
Q. Kimi K3.1 ProのAPI料金はいくらですか?
標準版は入力が100万トークンあたり2ドル、出力が10ドルです。Highspeedは入力4ドル、出力20ドルです。
Q. Highspeedとの違いは?
同じモデル品質で、通常版の2〜3倍の速度を提供します。APIの入力・出力単価は標準版の2倍です。
Q. すぐ自社サーバーで動かせますか?
2026年10月26日時点では完全な重みは公開前です。2026年11月4日までの公開予定で、公開後にライセンスや計算資源などの条件を確認する必要があります。
まとめ
Kimi K3.1 Proは、Kimi K3を追加学習した3T級のオープンウェイトモデルです。1Mコンテキスト、Terminal-Bench 4.0の65.7%、APIの入力2ドル・出力10ドルが、技術担当者が比較するときの軸です。
導入では、1Mを使えるプランか、thinking必須の実装に対応できるか、標準版とHighspeedのどちらが業務に合うかを先に確かめます。まずAPIで代表タスクを測り、重み公開後に自社運用の条件を詰める順序なら、性能の期待と実際の運用負荷を分けて判断できます。
ポイント
Kimi K3.1 Proは「大きいモデルだから導入する」のではなく、自社タスクの品質・費用・速度・権限を測って選ぶモデルです。
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