Nicolás Padilla氏は2026年7月31日、インターネット公開MCPサーバーの動的評価論文をarXivへ投稿しました。
調査では、検出可能なMCPサーバーが21,000台を超え、本番稼働と確認された640台のうち91.8%がOAuth認証を欠いていました。
記事でいう「約92%」は、監査対象640台におけるOAuth認証欠如率です。公開サーバー全体の認証欠如率ではありません。
MCPを業務システムへ接続する企業は、公開範囲、認証、ツール権限、監査記録を同時に点検する必要があります。
※本記事は2026年8月27日時点の情報です。

露出の規模|21,000台超の検出と640台の本番確認
MCPは、AIエージェントが外部ツールやデータソースへ接続するための標準規格です。Anthropicが2024年11月にローンチしました。
普及に伴い、公開インターネット上で検出可能なMCPサーバーインスタンスは21,000台を超えました。
- 21,000台超:インターネット上で検出されたMCPサーバー
- 640台:本番稼働と確認されたサーバー
- 414台:動的監査を実施したサーバー
- 68件:動的監査で発見された報告可能な脆弱性
21,000台超は検出ベースの数字です。そこから本番稼働の確認と動的監査へ対象が絞られています。
動的監査では、SQLインジェクションやSSRF、プロンプトテンプレートインジェクションなどが報告されました。
つまり、MCPのリスクはサーバーの存在数だけでは測れません。外部から到達できる構成と、ツールが持つ権限を確認する必要があります。
検出数が多い環境では、個別サーバーの確認だけでなく、公開状態を継続して把握する仕組みが必要です。
本番環境だけを対象にすると、開発用や検証用の接続が点検から漏れます。環境ごとの所有部署を台帳に記録します。
公開を続ける理由がないサーバーは、接続停止や公開範囲の見直しも判断します。
ポイント
21,000台超は公開インターネット上の検出数です。本番確認640台、動的監査414台という母集団の違いを分けて、公開範囲と権限を点検します。
認証とツール権限|約92%はOAuth認証欠如率を示す

本番稼働と確認された640台のうち、91.8%がOAuth認証を欠いていました。記事では約92%と表記できます。
この数値が示すのは、監査対象640台におけるOAuth認証の欠如です。MCPサーバー全体の認証状況を表す数字ではありません。
OAuth認証は、公開・運用するMCPサーバーの最低限の要件として扱います。企業の接続設計ではOAuth 2.1とPKCEも確認対象にします。
さらに、687のツールインスタンスで、アクセス制御なしのシェル実行機能が公開されていました。
この687はツールインスタンスの件数です。サーバー台数との割合や、別の台数との内訳として扱わないことが重要です。
- 認証:OAuthの設定、発行先、期限、失効を確認する
- 権限:シェル実行に許可する操作と対象を限定する
- 承認:高リスク操作に実行前の承認を設ける
MCPの仕様や連携方式を学ぶ際は、MCP仕様改定とAIエージェント連携の整理も役立ちます。
認証を追加するだけでは、強い権限を持つツールの危険性はなくなりません。認証後に何ができるかを分けて確認します。
特にシェル実行は、対象ディレクトリ、実行コマンド、実行者、承認者を記録できる状態にします。
ポイント
約92%は、監査対象640台の91.8%というOAuth認証欠如率です。687のツールインスタンスは別の件数として扱い、サーバー台数との割合を作らないようにします。
OWASP MCP Top 10|10カテゴリでレビュー範囲を分ける

OWASP MCP Top 10は、MCPに特有のリスクを10カテゴリで整理する取り組みです。AI開発者やセキュリティ実務者のレビューに使えます。
項目を一覧で見ると、認証だけでなく、ツール、供給網、監査、コンテキストまで確認範囲が広がります。
- MCP01:トークン誤管理・シークレット漏洩
- MCP02:スコープ拡大による権限昇格
- MCP03:ツールポイズニング
- MCP04:サプライチェーン攻撃・依存関係改ざん
- MCP05:コマンドインジェクション・実行
- MCP06:意図フロー乗っ取り
- MCP07:認証・認可の不備
- MCP08:監査・テレメトリの欠如
- MCP09:シャドーMCPサーバー
- MCP10:コンテキストインジェクション・過剰共有
この分類は、MCPサーバーだけでなく、利用しているMCPクライアントのレビューにも適用します。
レビューでは、10カテゴリを一度に同じ深さで確認する必要はありません。公開範囲と権限の大きい接続から優先します。
そのうえで、トークン、ツール定義、依存関係、監査ログ、コンテキスト共有を順番に確認します。
AIエージェントの拡張機能を管理する際は、Agent Plugins 1.0の選定ポイントとも観点を接続できます。
ポイント
OWASP MCP Top 10は、認証・権限だけでなく、ツールポイズニング、供給網、監査、シャドーMCP、コンテキストまで含めてレビューするための分類です。
企業への含意|公開MCPを資産台帳と権限管理へつなぐ
MCPの点検は、脆弱性スキャンだけで完了しません。どの部署が、どのデータへ、どのツールで接続するかを整理します。
特に、公開した覚えのないサーバーや、開発用の接続が残っていないかを確認します。
- 資産:公開中のMCPサーバー、環境、所有部署を一覧化する
- 接続:接続元、接続先、OAuth認証の状態を確認する
- 権限:シェル実行など高リスクツールの操作範囲を限定する
- 記録:呼び出し、承認、エラー、設定変更を監査できるようにする
AIエージェントの権限を管理する際は、非人間IDの権限管理の考え方も参考になります。
実行基盤に脆弱性がある場合は、AI学習基盤のRCE対応と同様に、公開範囲と更新責任を切り分けます。
ポイント
企業の確認単位は、MCPサーバー単体ではありません。資産、接続、権限、記録を所有部署と責任者に結び付け、公開状態を継続管理します。
企業が点検するチェックリスト

最初の点検は、公開されているMCPを把握することです。次に、認証と高リスク操作を確認します。
- 公開範囲:インターネットから到達できるサーバーを洗い出す
- OAuth認証:OAuth 2.1とPKCEを含む認証状態を確認する
- ツール権限:シェル実行の権限範囲と承認フローを点検する
- 監査レビュー:OWASP MCP Top 10の10カテゴリで記録を確認する
対応の優先順位は、外部到達性、認証、シェル実行権限の順で確認すると整理しやすくなります。
社内で利用するだけの構成でも、接続先のデータとツール権限を確認します。
利用部門とセキュリティ部門で記録を共有し、確認日、対象環境、設定の状態、残る課題、次回確認日を記録します。
認証や権限を変更したときは、変更前後の状態と承認者を残します。設定変更を監査できるようにするためです。
セキュリティレビューを導入審査だけで終わらせず、公開後の定期点検へつなげることが重要です。
海外拠点や特定地域のAIエージェント運用を整理する場合は、中国のAIエージェント実施意見のような地域別論点と分けて管理します。
点検の結果は、公開継続、制限付き運用、接続停止の判断に使える形でまとめます。
判断の根拠として、認証状態、ツール権限、データ接続、監査記録を同じ管理表に残します。
公開設定を変更したときは、変更理由と再点検の担当者も記録します。次のレビューで同じ確認を繰り返せるためです。
点検結果は関係部署へ共有します。
ポイント
公開範囲、OAuth認証、ツール権限、監査レビューの4項目を最低限の点検単位にします。サーバーを見つけるだけでなく、誰が責任を持つかまで記録します。
よくある質問(FAQ)
Q. 21,000台超、640台、414台は何を示しますか?
21,000台超は検出された公開MCPサーバー、640台は本番稼働と確認されたサーバー、414台は動的監査を実施したサーバーです。
Q. 約92%は何の割合ですか?
本記事の約92%は、監査対象640台のうち91.8%がOAuth認証を欠いていた割合です。公開サーバー全体の認証欠如率ではありません。
Q. 687という数字は何を示しますか?
アクセス制御なしでシェル実行機能を公開していたツールインスタンスの件数です。サーバー台数との割合としては扱いません。
Q. OWASP MCP Top 10は何に使えますか?
MCPの認証・認可、ツール、供給網、監査、シャドーサーバー、コンテキストなどを10カテゴリでレビューするチェックリストとして使えます。
まとめ
Padilla氏の論文は、21,000台超の公開MCPサーバーと、本番確認640台の監査結果を示しました。
91.8%は、監査対象640台におけるOAuth認証欠如率です。687は無制限シェルアクセスを公開したツールインスタンスの件数です。
企業は、公開範囲、OAuth認証、ツール権限、監査記録を資産台帳とつなぎます。OWASP MCP Top 10でレビュー範囲をそろえることも有効です。
参考情報:
arXiv:2608.00150「Exposed by Design」
OWASP Foundation「OWASP MCP Top 10」
ポイント
MCPのセキュリティ点検は、認証だけで終わりません。公開範囲、ツールの実行権限、監査記録、責任部署まで一体で確認します。
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