OpenAI Agents APIを解説|マネージド基盤で何が変わるか

OpenAIは2026年9月10日、Codexハーネスでクラウドエージェントを構築・実行するAgents APIをパブリックベータとして公開しました。セッションのオーケストレーション、コンテキスト圧縮、復旧をOpenAIが管理し、アプリケーションから入力やイベント、ツール、実行環境を接続できるAPIです。

Agents APIを使うと、長時間タスクの状態管理、途中経過の配信、サンドボックス接続、サブエージェントへの委譲を一つの実行基盤にまとめられます。エージェントのループや状態を自社で組む範囲を減らせる一方、実行環境や認証、承認、データ境界の設計までOpenAIに預けられるわけではありません。

OpenAI-hostedとself-hostedのどちらを選ぶかが、最初の判断になります。モデル・ツール・コンテナの利用量、米国のみのデータレジデンシー、Zero Data Retention(ZDR)非対応も導入条件です。機密度と運用責任を整理し、小さなタスクから適用範囲を決めます。

※本記事は2026年9月29日時点の情報です。

アプリケーション、OpenAI管理のセッション、Codexハーネスとサンドボックスの3層で示したAgents APIの構成図
セッションの管理と復旧をOpenAIが受け持つ

Agents APIとは|9月10日に公開されたCodexハーネスのマネージドAPI

Agents APIは、単発のモデル呼び出しを包むだけのAPIではありません。OpenAIが管理するCodexハーネスを通じて、タスクを継続的に処理するセッションを作り、入力と出力をイベントとして扱います。公開時点ではパブリックベータです。

基本単位は4つあります。Agentはモデル、指示、ツール、MCPサーバーを定義します。Environmentはファイルやコマンドにアクセスするサンドボックスまたはコンピューターです。Sessionはタスクを処理し入力に応答する耐久的なエージェントの実体で、Events and itemsはセッション中の入力と出力を表します。

OpenAI-hosted sessionでは、アプリケーションが入力を送り、イベントを受け取る設計です。OpenAI側がエージェントを実行し、サンドボックスをプロビジョニング・管理します。セッション作成、タスク投入、ストリーミングまたはWebhookによる進捗確認、同じセッションへの継続や途中操作という流れです。

ポイント

Agents APIは、入力から回答までの一回限りの処理より、状態を持つ長時間タスクの実行基盤として検討するサービスです。

何が楽になるか|状態管理・進捗配信・ツール接続をまとめる

Agents APIに任せる部分とアプリケーション側に残る責任を左右で分けた図
実行基盤は任せても、権限とデータの判断は自社に残る

自前でエージェントを動かすと、セッションの保存、ターンをまたぐ状態、途中経過の配信、失敗後の復旧を個別に設計する必要があります。Agents APIでは、耐久セッションがターンをまたいで作業を継続し、出力をストリーミングできる仕組みです。Webhookを使えば、完了したか入力を待っているかも把握します。

サンドボックスではコード実行、ファイル編集、MCPサーバー接続、アーティファクト生成が可能です。管理ハーネスにはコマンド実行、スキルや指示の適用、外部データへの接続、作業中のステアリング、過去作業の要約、サブエージェントへのタスク委譲も含まれます。不要になったセッションと公開済みアーティファクトは削除対象です。

MCPサーバーを使う場合は、接続先の設計が実行基盤の一部です。MCPの接続方式を整理したいときは、MCP仕様改定の解説が参考資料になります。企業向けエージェント基盤との違いを確認するなら、Gemini Enterprise Agent Platformの機能と運用も比較対象にします。

ただし、管理されるのはセッションやハーネスの処理です。どのデータをツールに渡すか、どの操作に承認を要求するか、どの環境へ接続するかはアプリケーション側で決めます。自前実装の部品をすべて消すのではなく、管理を寄せる範囲を切り分ける設計が必要です。

ポイント

セッション、進捗通知、復旧、ツール実行を一体で扱える点が管理基盤の効果です。データ・権限・接続先のルールは別途アプリケーションで持ちます。

自前構築との違い|Responses API・Agents SDK・Agents APIを使い分ける

選択の軸は、モデルを呼び出したいのか、エージェントのループを運用したいのか、長時間タスクの実行ハーネスまで任せたいのかです。ここを先に分けます。公式の整理では、Agents APIはOpenAIが管理するCodexハーネスです。Agents SDKはアプリケーション内のエージェントループ・ツール・ハンドオフ・保存を扱い、Responses APIはモデルへの直接リクエストや独自エージェントの構築に使います。

選択肢主な実行主体状態・オーケストレーション向いているケース運用上の確認点
Agents APIOpenAI管理のCodexハーネス。OpenAI側がセッション、文脈圧縮、復旧を管理。長時間タスクをマネージドに動かす。環境、権限、データ境界。
Agents SDKアプリケーション。アプリケーションがループ、ツール、ハンドオフ、保存を制御。自社アプリ内でエージェントを組む。状態管理と実行環境の設計。
Responses APIアプリケーション。アプリケーションが独自エージェントを構築。直接リクエストや独自構成。ループ、ツール、復旧を自社で設計。

たとえば、モデルの応答を既存システムに組み込むだけならResponses APIが候補になります。自社のデータストアや承認フローと密接に結び付いたループを制御するならAgents SDKです。セッションの継続やコンテキスト管理を含む長時間処理を先に動かしたい場合にAgents APIを検討します。

ポイント

実行主体と状態管理の持ち主を先に決めると、Agents API・Agents SDK・Responses APIの選択がぶれません。

実行環境の選び方|OpenAI-hostedとself-hostedの境界

OpenAI-hosted sandboxのsmall・medium・largeの計算資源を比較するパネル図
既定はmedium(2 vCPU・4 GB)

Agents APIのEnvironmentは、OpenAI-hosted sandbox、自社インフラに接続するself-hosted sandbox、サンドボックスなしから選べます。OpenAI-hostedではOpenAIが環境をプロビジョニング・接続します。self-hostedでは開発者側の計算環境とファイルを接続する方式です。実行基盤をどこまで自社で管理するかが選択の分かれ目です。

OpenAI-hosted sandboxはLinuxワークスペースで、Python、Node.js、コマンドラインツールを使えます。作業ディレクトリは/workspaceです。コンテナサイズはsmall(1 vCPU・1 GB)、medium(2 vCPU・4 GB)、large(4 vCPU・16 GB)で、既定値はmediumです。パッケージ、セットアップコマンド、入力ファイル、環境変数、スキル、プラグインも構成できます。

ネットワークはenabled、disabled、restrictedから選べます。restrictedでは許可ホストを1〜100個の完全一致ホスト名で指定し、ワイルドカード、プロトコル、パス、ポートは指定できません。成果物を後から取得するなら/workspace/outputsに保存します。そこに置いたファイルは不変アーティファクトとして公開され、サンドボックスの有効期限後もダウンロードできます。

サンドボックスは活動とキープアライブが1時間止まると削除される可能性があり、このタイムアウトは設定できません。環境の選択では計算資源だけでなく、成果物の保管方法、ネットワークの許可先、削除後に残すデータを先に確認する必要があります。エージェントの資格情報を管理する観点では、非人間IDの権限管理も確認材料です。

導入前に確認すること|料金・データ・権限を先に決める

Agents API自体に追加料金はありません。これは公式発表にある説明です。利用したモデルのAPI料金、OpenAIツールの標準料金、OpenAI-hosted sandboxの標準コンテナ料金は別途かかります。1タスクでモデルが複数回呼び出される可能性があるため、サブエージェント、リトライ、ツール、サンドボックス計算、外部サービスの料金も見積もり対象です。

  • タスク単位の利用量:モデル呼び出し回数、サブエージェント、リトライ、ツール、コンテナ時間を記録する。
  • データの所在:データレジデンシーは米国のみで、ZDRには対応しない。
  • 権限の境界:生成コードがアクセスできるファイル、認証情報、ネットワークを分離する。
  • キーの保管:アプリケーションAPIキーをサンドボックス外に置き、必要な権限だけを付与する。

self-hosted sandboxを選んでも、Agents APIがZDR対象になるわけではありません。機密データを扱う業務では、リージョンと保持条件を採用条件に含めます。生成コードは実行環境のファイル、認証情報、ネットワークにアクセスできるため、ワークロードやユーザーごとの環境分離、送信先の制限、承認が必要な操作の切り分けも必要です。

サンドボックスを安全境界として扱うときは、権限を与えた後の到達範囲を点検します。Claudeのサンドボックス脱出事例の論点も、エージェントの封じ込めを設計する材料になります。データ保持の条件も、導入前に確認する項目です。

ポイント

導入前に、タスク当たりの総コスト、米国のみのデータレジデンシー、ZDR非対応、生成コードとAPIキーの権限境界を確認します。

よくある質問

Q. OpenAI Agents APIはいつ公開されましたか?

2026年9月10日にパブリックベータとして公開されました。

Q. Agents APIとResponses APIは何が違いますか?

Agents APIはOpenAI管理のCodexハーネスで長時間タスクを動かし、Responses APIはモデルへの直接リクエストや独自エージェント構築に使います。

Q. Agents APIはZDRに対応していますか?

対応していません。データレジデンシーは米国のみで、self-hosted sandboxを選んでもZDR対象にはなりません。

まとめ

Agents APIは、OpenAI管理のCodexハーネスで耐久セッションを動かし、文脈圧縮、復旧、進捗配信、ツール実行、サンドボックスをまとめて扱うパブリックベータです。Responses APIやAgents SDKと比べ、長時間タスクの実行管理をどこまでサービスに寄せるかが選択の軸です。

導入時は、OpenAI-hostedとself-hostedの責任分界を決め、モデル・ツール・コンテナを含むタスク単位の費用を測る必要があります。米国のみのデータレジデンシー、ZDR非対応、生成コードが到達できるファイル・認証情報・ネットワークを確認し、低リスクの業務から検証することが起点です。

ポイント

「長時間タスクを早く動かす」要件と、「実行ループ・状態・データ境界を自社で制御する」要件を分けてから、利用するAPIを決めます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。