Sakana AIは2026年9月11日、複数のオープンモデルや専門モデルを束ねるオーケストレーション基盤の新モデル「Fugu Max」と「Fugu Ultra v2」を発表しました。Fugu Maxはコスト性能、Fugu Ultra v2は複雑な多段階タスクの最高性能に重心を置くモデルです。
両モデルは同じコアのオーケストレーション・アーキテクチャを使います。OpenAI互換APIのモデルIDを切り替えれば、複数モデルの振り分けを1つのAPIとして試せます。企業にとっては、コストとタスク品質で選択肢を分けられる点が焦点です。
一方、公式ベンチマークの数値はSakana AIによる評価です。Fugu Ultra v2には2026年8月28日の学習カットオフと固定モデルプールの条件があり、Fugu MaxにはWebツールの従量課金もあります。API互換だけで導入を決めず、料金、地域要件、モデル構成、自社タスクでの再評価を確認する必要があります。
※本記事は2026年10月14日時点の情報です。

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発表の概要|Fugu MaxとUltra v2を同じAPIで提供
今回の発表は、新しい単体モデルを2つ追加したという話ではありません。Fugu Maxは「最低コストで可能な限り良い出力」、Fugu Ultra v2は「複雑な多段階タスクで可能な限り高い能力」を目指し、同じオーケストレーション・アーキテクチャを別の目的へ最適化しています。
発表時点で両モデルは標準のOpenAI互換APIから利用でき、既存のFugu利用者はパラメーターを1行変更するだけで切り替えられると説明されています。現行のモデルIDはfugu-max-v1.0とfugu-ultra-v2.0です。Fugu Maxは2026年9月17日の公式更新でSakana Chatにも搭載され、全ユーザーに提供されています。
そのため、既存のAPI統合を大きく作り直さずに、同じ入力をFugu MaxとFugu Ultra v2へ送り、費用と品質を比べる検証を始められます。マルチエージェントの役割分担を設計する場合は、AWS「Kiro Crew」のマルチエージェントOSS設計も比較材料になります。
ポイント
APIでコスト優先と品質優先の経路を試せます。
仕組み|複数モデルを動的に束ねるオーケストレーション

Sakana Fuguは、複数の強力で多様なモデルを動的に組み合わせ、タスクごとにモデルを選択・切り替える仕組みを1つのモデルAPIとして提供します。利用者があらかじめ役割やワークフローを固定するのではなく、タスクごとのモデル編成と協調を学習する設計です。
Fugu Maxは、Sakana Fuguがオーケストレーションする最大規模のモデルプールを使います。NVIDIAとの協業を通じてNVIDIA Nemotronファミリーを含むオープンウェイトモデルや専門モデルを統合し、タスクを解ける最も軽量なモデルへ動的に振り分けると説明されています。
Fugu Ultra v2も入れ替え可能なオープンモデル・専門モデルのプールをオーケストレーションします。ただし、公式FAQではFuguはコンソール設定から特定モデルを除外できるのに対し、Fugu MaxとFugu Ultraは性能・コスト最適化のため固定モデルプールを使うとされています。特定のモデルやプロバイダー構成が必要な法人は、個別対応の確認が必要です。
モデル選択をサービス側へ寄せるほど統合は簡素になります。社内規定で利用モデルやプロバイダーを限定している場合は、固定プールが条件を満たすか先に確認します。
ポイント
固定モデルプールとプロバイダー構成を導入前に確認します。
料金|Maxは入力2ドル・出力6ドル、Ultra v2は品質重視
Fugu Max v1.0は、100万トークンあたり入力2ドル、出力6ドル、キャッシュ入力0.25ドルです。コンテキスト長にかかわらず固定料金で、組み込みのweb_searchとweb_fetchは1回あたり0.007ドルが別にかかります。短い対話だけでなく、検索や取得を何回呼ぶかまで含めて見積もる必要があります。
Fugu Ultra v2.0は、272K以下のコンテキストでは入力5ドル、出力30ドル、キャッシュ入力0.50ドルです。272Kを超えると入力10ドル、出力45ドル、キャッシュ入力1ドルに上がります。月額プランはStandardが20ドル、Proが100ドル、Maxが200ドルで、API Platform向けの利用枠です。
| モデル・プラン | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) | キャッシュ入力 | 向く用途 |
|---|---|---|---|---|
| Fugu | 基盤モデルの標準料金 | 基盤モデルの標準料金 | 基盤モデルによる | 性能とレイテンシーのバランス |
| Fugu Max v1.0 | 2ドル(約300円) | 6ドル(約900円) | 0.25ドル(約38円) | コスト性能を重視する大量処理 |
| Fugu Ultra v2.0(272K以下) | 5ドル(約750円) | 30ドル(約4,500円) | 0.50ドル(約75円) | 複雑な多段階タスク |
| Fugu Ultra v2.0(272K超) | 10ドル(約1,500円) | 45ドル(約6,750円) | 1ドル(約150円) | 長文コンテキストの高品質処理 |
※1ドル=150円で換算。Fuguの複数エージェント利用は、関与する最上位モデルに基づく単一料金です。Fugu MaxとFugu Ultra v2は表の固定レートで比較します。1タスクの入力・出力・キャッシュ・ツール利用量を実測してください。
ポイント
単価と長文条件、検索・取得の回数を含めて試算します。
性能|Maxはコスト性能、Ultra v2は複雑なタスクで評価
Fugu Maxは、Terminal Bench 2.1、GPQAD、AA-LCR、GDP.pdf、AutomationBench、SWEFishの6つのベンチマークで総合最高スコアを達成したとSakana AIが発表しています。10個のベンチマークのうち7個でコスト性能のパレートフロンティアを広げ、出力料金は比較対象より40〜60%低いという評価です。
Fugu Ultra v2は、8つのベンチマークのうちGDP.pdf、Chartography、SWEFish、DeepSWE、Toolathonの5つで最高または同率最高、7つでトップ2に入ったとまとめられています。Chartographyは48.3、DeepSWEは74.3でした。複雑な多段階推論、自律研究、フルスタック開発の品質を重視する用途が主な対象です。
ただし、これらはSakana AI公式の評価です。Fugu Ultra v2の学習データのカットオフ日は2026年8月28日で、Fable 5、Fable 5.1、GPT-6-Astraはモデルプールに含まれていません。ベンチマークの順位を自社の成功率や処理時間へそのまま置き換えず、代表的なタスクで同じ条件の比較を行います。
モデル選定では、同一指示で複数モデルを測ったAIモデル11種のコスト比較のように、品質・処理量・費用を同じ表に置きます。
ポイント
公式評価を参考に、自社の同一タスクで再測定します。
使い分け|コスト・品質・レイテンシーでモデルを選ぶ
公式FAQの役割分担に沿うと、Fuguは性能とレイテンシーのバランス、Fugu Ultraは複雑な多段階推論の品質、Fugu Maxは最大規模のモデルプールによるコスト性能を重視します。まずは処理の失敗がどれだけ許容されるか、1件あたりの予算がいくらかを分けて整理します。
大量の要約、分類、定型的なコード生成など、成功率を保ちながら単価を抑えたい処理はFugu Maxから試します。誤りの確認に人手をかけられるか、出力の再実行が可能かも判断材料です。Web検索を使う処理では、検索1回あたり0.007ドルの追加費用を記録します。
深い調査、長い計画、複数段階のソフトウェア開発など、最終出力の品質を優先する処理はFugu Ultra v2が候補になります。出力単価はFugu Maxより高いため、正答率の上昇がレビュー工数や再実行費用をどれだけ減らすかまで測るのが実務的です。
PoCでは同じ入力セットを両モデルへ送り、成功率、出力トークン数、ツール回数、完了時間、レビュー修正量を記録します。業務ごとに許容コストと品質の境界を決めます。
ポイント
成功率・時間・総コストを同じタスクで比較します。
導入前の確認|API互換だけで決めない4つの条件

第1に、接続方式を確認します。FuguはChat Completions、Responses、ModelsのOpenAI互換APIとAnthropic互換のMessages APIに対応します。生成リクエストではResponses APIが推奨です。モデルID、レスポンス形式、ツール呼び出しを自社実装で検証します。
第2に、モデルプールの統制を確認します。Fugu MaxとFugu Ultra v2は固定モデルプールなので、特定のモデルやプロバイダーを指定できる前提で設計しません。機密データを扱う場合は、利用モデルの構成とデータ処理条件を契約・社内規定に照らします。
第3に、地域要件を確認します。公式製品ページでは、FuguはEU/EEA域内では現時点で利用できないと記載されています。対象地域にEU/EEAが含まれる企業は、API互換性より先に提供地域と規制対応の条件を確認し、対象外地域へデータを送らない構成を検討します。
第4に、1タスクの総額を計測します。トークン料金に加えてweb_searchとweb_fetchの呼び出し料金がかかり、1つの検索クエリで複数の内部ツール呼び出しが発生する場合があります。エージェントの実行回数、リトライ、ツール回数をログに残すと、月額プランと従量課金の選択も判断しやすくなります。
複数のエージェントを運用する基盤全体を比較するときは、OpenAI Agents APIのマネージド実行基盤のように、APIの互換性だけでなく、状態管理や実行責任の境界も確認します。
- API:モデルID、Responses API、ツール呼び出しを既存クライアントで検証する。
- モデルプール:固定プールとプロバイダー構成が社内要件を満たすか確認する。
- 地域:EU/EEAを含む対象地域とデータ処理条件を確認する。
- 費用:トークン、キャッシュ、Webツール、リトライをタスク単位で記録する。
ポイント
API、固定プール、地域条件、総コストを確認します。
よくある質問
Q. Fugu MaxとFugu Ultra v2は何が違いますか?
Fugu Maxは最大規模のモデルプールを使い、コスト性能を重視します。Fugu Ultra v2は複雑な多段階タスクで回答品質を優先します。
Q. Fugu MaxのAPI料金はいくらですか?
入力は100万トークンあたり2ドル、出力は6ドル、キャッシュ入力は0.25ドルです。コンテキスト長にかかわらず固定で、Web検索・取得は1回0.007ドルです。
Q. Fugu Ultra v2の料金はいくらですか?
272K以下では入力5ドル、出力30ドル、キャッシュ入力0.50ドルです。272Kを超えると入力10ドル、出力45ドル、キャッシュ入力1ドルになります。
Q. 既存のOpenAI APIクライアントから利用できますか?
利用できます。FuguはChat Completions、Responses、ModelsのOpenAI互換APIに対応し、生成リクエストではResponses APIが推奨されています。モデルIDを指定して利用します。
まとめ
Fugu MaxとFugu Ultra v2は、複数モデルを束ねる同じ基盤から、コスト性能と最高性能へ最適化したモデルです。Fugu Maxは入力2ドル・出力6ドル、Fugu Ultra v2は272K以下で入力5ドル・出力30ドル。用途ごとに検証できます。
導入時は、公式ベンチマークを自社タスクの結果と混同しないことが大切です。固定モデルプール、EU/EEAの利用条件、Webツールの追加料金、学習カットオフを確認し、同じ入力で成功率・処理時間・レビュー工数・総費用を測ってから本番範囲を決めます。
ポイント
検証結果で2モデルを使い分けます。
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