基幹システム/ERPのリアーキテクチャを実際に進めようとすると、コアとなるクラウドERPをどう選ぶか、独自業務をどのように素早く構築するか、既存システムと新設サービスをどうつなぐか、分解後のサービス群をどこで稼働させるかなど、単一の「リアーキテクチャ専用パッケージ」では完結しない複数の製品選定が必要になります。基幹システム/ERPリアーキテクチャのパッケージ/クラウド製品一覧とは、こうしたアーキテクチャ再設計を実現するために組み合わせて検討する、クラウドERP、低コード開発基盤、API連携基盤、コンテナ運用基盤という複数カテゴリの製品群を指します。
本記事では、2026年7月時点で現行の公式ページを確認できた6製品を、コアとなるクラウドERP、独自業務を構築する低コード基盤、既存システムと新設サービスをつなぐAPI連携基盤、分解後のサービス群を稼働させるコンテナ運用基盤という4つのカテゴリに分けて紹介します。各製品の位置づけ、料金・提供形態、選定時に確認すべきポイントまで解説しますので、自社のリアーキテクチャ計画に必要な製品の組み合わせを検討する際の材料としてご活用ください。
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・基幹システム/ERPリアーキテクチャの完全ガイド
基幹システム/ERPリアーキテクチャを支える製品の4つのカテゴリ

リアーキテクチャは単一の製品を導入すれば完了するものではなく、複数のカテゴリの製品を組み合わせて実現します。まず、どのようなカテゴリの製品が必要になるかを整理します。
コアとなるクラウドERPというカテゴリ
変更頻度が低く業界標準に近い一般会計や人事給与のような業務は、コアとなるクラウドERPに残すという考え方が一般的です。この場合、コアのERP自体が拡張性の高いAPIやアドオン基盤を備えているかどうかが、リアーキテクチャ全体の柔軟性を左右します。
コアのERPを選ぶ段階で拡張性を軽視すると、後から独自業務を切り出そうとした際に、標準機能の外側に手を入れる余地がなく、結局ベンダーへのカスタマイズ依頼に頼らざるを得なくなることがあります。候補を検討する初期段階から、拡張基盤やAPIの公開範囲を確認しておくことが、後工程での手戻りを防ぐことにつながります。
独自業務を支える低コード基盤とAPI連携基盤というカテゴリ
コアから切り出した変動性の高い業務は、低コード開発基盤でサテライトサービスとして素早く構築したり、フルスクラッチのマイクロサービスとして開発したりします。そして、コアのERPと切り出したサービス、あるいはサービス同士をつなぐ役割を担うのが、API連携基盤(iPaaS)です。分解後のサービス群を安定稼働させるコンテナ運用基盤も、規模が大きくなるほど重要な検討対象になります。
4つのカテゴリすべてを一度にそろえる必要はありません。まずはコアのERPと、最初に切り出す1つのドメインを担う低コード基盤またはフルスクラッチ開発、両者をつなぐ最小限の連携基盤があれば、パイロットとしては十分に機能します。運用基盤への投資は、対象ドメインが増え、サービス数が一定を超えてから本格的に検討する企業も少なくありません。
製品を比較するときの共通軸

カテゴリの異なる製品を横並びで比較することはできませんが、それぞれのカテゴリの中で候補を絞り込む際に共通して確認すべき軸があります。
拡張性・API連携の対応範囲
コアのクラウドERPであれば、標準機能でどこまで対応できるか、追加のプラットフォーム(拡張基盤)を通じてどこまで独自ロジックを実装できるかを確認します。低コード基盤やiPaaSであれば、接続できる既存システムの種類、認証方式、データ形式の対応範囲を具体的に確認することが重要です。
公式サイトの機能一覧に「API連携対応」と書かれていても、対応しているAPIの形式や、リアルタイム同期とバッチ連携のどちらを想定しているかは製品によって異なります。デモや技術資料の段階で、自社が実際に使うAPI仕様や認証方式を提示し、具体的に接続できるかを確認することが欠かせません。
運用体制・料金体系の対応範囲
分散したサービス群を運用するプラットフォームでは、自社のエンジニアだけで運用できるか、ベンダーや開発パートナーの支援が必要かを見極めます。料金体系はユーザー数、接続数、実行回数など製品によって課金単位が異なるため、自社の利用規模を伝えたうえで見積もりを比較する必要があります。具体的な評価の進め方は、基幹システム/ERPリアーキテクチャの選定ポイント/選び方/種類で整理しています。
コアとなるクラウドERPの候補

ここでは、2026年7月時点で現行の公式ページを確認できたクラウドERPの候補を紹介します。掲載順は優劣を示すものではありません。
Microsoft Dynamics 365 Finance
Microsoft Dynamics 365 Financeは、財務管理を中心としたクラウドERPで、Microsoft 365やCopilot Studioとの連携、AppSourceを通じた拡張機能の追加に対応しています。2026年7月時点の公式サイトには、基本版が1ユーザーあたり月額210米ドル(年払い)、上位のPremium版が1ユーザーあたり月額300米ドル(年払い)という料金が掲載されていますが、為替や契約条件によって実際の負担額は変わるため、見積もり時に最新情報を確認することをおすすめします。
コアとして採用する際に確認したいポイント
コアのERPとして採用する場合は、標準機能でどこまでの業務をカバーできるか、独自ロジックをアドオンやAPI経由でどこまで拡張できるかを確認します。既存の基幹システムからのデータ移行範囲や、切り出したサテライトサービスとの連携方式についても、導入前のデモやPoCで具体的に検証することが望まれます。
すでに他社のクラウドERPを利用している場合、コアを入れ替えずに一部ドメインだけを切り出すハイブリッド型を選ぶ企業も多くあります。その場合は、既存のコアERPが提供するAPIやアドオン基盤の対応範囲を確認したうえで、ここで紹介する製品を新規のコアとして採用するか、既存コアの拡張として位置づけるかを整理する必要があります。
独自業務をサテライトサービスとして構築する低コード基盤の候補

コアから切り出した変動性の高い業務を、開発期間を抑えながらサービスとして構築したい場合の候補です。
OutSystems
OutSystemsは、ビジュアル開発と再利用可能な部品、AIによる開発支援を組み合わせた企業向けの開発プラットフォームです。2026年7月時点の公式サイトには具体的な料金は掲載されておらず、無料トライアルへの案内と見積もり用の問い合わせ導線が用意されています。独自業務のサテライトサービスを構築する場合、既存の基幹システムとの接続方式や、開発したサービスをコンテナ基盤へどう配置できるかを確認することが重要です。
低コード基盤を選ぶ際は、生成されるコードやアプリケーションの実行環境が、自社のインフラ方針に合っているかも確認します。特定のクラウド環境に強く依存する製品もあるため、将来的にマルチクラウド構成へ広げる可能性がある場合は、実行環境の柔軟性についても事前に質問しておくとよいでしょう。
Mendix
Mendixは、エンタープライズ向けの低コード開発プラットフォームで、AI/MLモデルの組み込みやプロセスオーケストレーション、ガバナンス機能を備えています。2026年7月時点の公式サイトには具体的な料金は掲載されておらず、こちらも見積もりは個別の問い合わせが必要です。OutSystemsとあわせて、既存のエンジニアリング体制との親和性や、生成したサービスをAPI-firstの設計に組み込みやすいかを比較検討します。
Mendixが強調するガバナンス機能は、複数のサテライトサービスを並行して開発する組織で特に重要になります。誰がどのサービスをどの権限で開発・リリースできるかを一元的に管理できるかどうかは、対象ドメインが増えるほど運用上の負担を左右するため、比較検討の段階で具体的な管理画面を確認しておくことをおすすめします。
既存システムと新設サービスをつなぐAPI連携基盤の候補

コアのERPと切り出したサービスの間、あるいはサービス同士をつなぐ役割を担うAPI連携基盤(iPaaS)の候補です。
Boomi
Boomiは、統合、データ準備、エージェント管理を組み合わせたiPaaSで、1000以上のエンタープライズアプリケーションとの接続や、API管理、B2B/EDI管理、イベント駆動型の統合に対応しています。2026年7月時点の公式サイトには具体的な料金は掲載されておらず、個別見積もりのページへの導線が用意されています。マスタデータの同期やイベント駆動連携をどこまで標準機能でカバーできるかが、比較のポイントになります。
ハイブリッド構成でコアのERPとサテライトサービスをつなぐ場合、オンプレミス環境への接続を担うエージェント機能の有無や、クラウドとオンプレミスをまたぐ通信の暗号化・監査ログの取得方法も確認しておく必要があります。長期的に接続先が増えていくことを想定し、管理画面上で連携状況を一覧できるかも比較の材料にします。
Workato
Workatoは、iPaaSに加えてAIワークフローやエージェントのオーケストレーションを含む統合・自動化プラットフォームで、API管理機能や500以上の連携先への対応を明記しています。2026年7月時点の公式サイトには「Predictable Pricing Commitment」という料金方針のページが用意されていますが、具体的な料金表はトップページには掲載されていません。既存の基幹システムのAPIやイベントとどこまで標準コネクタで接続できるかを、Boomiと合わせて比較することをおすすめします。
自動化ワークフローを重視する製品では、連携そのものだけでなく、承認や例外処理を含む一連の業務プロセスをどこまでノーコードで表現できるかも比較のポイントになります。基幹システム側の承認フローと重複した仕組みを二重に持つと運用が複雑になるため、どちらのシステムを正としてワークフローを管理するかを事前に整理しておくことが大切です。
分解後のサービス群を稼働させるコンテナ運用基盤と課題別の選び方

最後に、分解したマイクロサービス群を安定して稼働させる運用基盤の候補と、自社の課題に応じた製品カテゴリの選び方を整理します。
Red Hat OpenShift
Red Hat OpenShiftは、Kubernetesを中核としたクラウドネイティブなアプリケーション基盤で、パイプラインやGitOps、サービスメッシュといった運用機能を備えています。2026年7月時点の公式サイトには詳細な料金表は掲載されておらず、別ページの見積もり案内へ誘導される構成です。自社にKubernetesの運用知識を持つエンジニアがいない場合は、導入・運用支援を含めて依頼先を検討する必要があります。
コンテナ運用基盤を検討する段階では、対象となるサービス数がまだ少ないうちから大規模な基盤を導入すると、運用コストが業務量に見合わなくなることがあります。最初は必要最小限の構成で開始し、対象ドメインの追加に合わせて段階的に運用基盤を拡張していく進め方が現実的です。
自社の課題別に検討する製品カテゴリ
特定業務の改修速度が課題であれば、低コード基盤でサテライトサービスを素早く構築し、iPaaSでコアのERPと連携する組み合わせが検討対象になります。既存システムとの連携そのものが課題であれば、まずAPI連携基盤の刷新を優先します。分解したサービスの数が増え、運用の複雑さが課題になっている場合は、コンテナ運用基盤の整備を優先的に検討します。
いずれの課題から着手する場合も、最初から4つのカテゴリすべてを大規模に導入する必要はありません。最優先の課題に対応する製品カテゴリを1つか2つ選び、小さく始めて効果を確認しながら、必要に応じて他のカテゴリの製品を追加していく進め方が、投資対効果を見極めるうえで現実的です。
基幹システム/ERPリアーキテクチャ製品の比較で確認しておきたいポイント

製品を組み合わせて検討する際、判断が分かれやすい論点を整理します。
1つの製品だけでリアーキテクチャは完結しますか
完結しないことがほとんどです。コアのERP、独自業務を構築する低コード基盤、連携を担うiPaaS、運用基盤となるコンテナ基盤など、複数のカテゴリの製品を組み合わせて設計することが一般的です。
料金はどのように比較すればよいですか
多くの製品で具体的な料金は個別見積もりとなっており、公開されている料金体系もユーザー数、接続数、実行回数など課金単位が異なります。自社の利用規模と将来の拡張予定を提示したうえで、同じ条件で複数社から見積もりを取得し、運用工数まで含めた総保有コストで比較することが重要です。
特定ベンダーへの依存は避けられますか
低コード基盤やiPaaSの多くは、特定ベンダーの実行環境やコネクタに依存する設計になりやすい点に注意が必要です。将来的に製品を切り替える可能性がある場合は、データやAPI定義を標準的な形式でエクスポートできるか、契約終了時のデータ返却条件がどうなっているかを事前に確認しておくと安心です。
まとめ

基幹システム/ERPリアーキテクチャは、単一のパッケージ導入では完結せず、コアとなるクラウドERP、独自業務を構築する低コード基盤、既存システムと新設サービスをつなぐAPI連携基盤、分解後のサービス群を稼働させるコンテナ運用基盤という複数カテゴリの製品を組み合わせて実現します。今回紹介した6製品も、それぞれ異なるカテゴリで異なる役割を担っています。
製品選定は自社の課題とカテゴリの組み合わせで決まります
どの製品を選ぶべきかは、自社がどの業務領域でどのような構造的な課題を抱えているかによって変わります。まずは自社の課題を特定したうえで、必要な製品カテゴリの組み合わせを整理することが選定の出発点になります。
PoCで実際の連携を確認してから決定します
候補が絞り込めたら、実際にコアのERPと低コード基盤・iPaaSを連携させるPoCを行い、想定した業務シナリオが問題なく処理できるかを確認してください。既製の製品の組み合わせだけでは吸収しきれない独自のドメイン境界の設計や、複雑な既存システム連携が必要な場合には、フルスクラッチによる開発も選択肢になります。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、製品の組み合わせでは対応しきれない独自業務の構築や、既存基幹システムとの連携を含むリアーキテクチャを支援しています。
▼全体ガイドの記事
・基幹システム/ERPリアーキテクチャの完全ガイド
株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
