基幹システム/ERPリアーキテクチャのパッケージ/クラウド製品一覧

基幹システム/ERPリアーキテクチャは、クラウドERP、低コード基盤、API連携基盤、コンテナ運用基盤の4カテゴリの製品を組み合わせて実現します。製品カテゴリの役割と候補、製品を比べる共通の観点、課題別の選び方を一覧で示します。各テーマの詳細は関連記事で扱っています。

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・基幹システム/ERPリアーキテクチャの完全ガイド

基幹システム/ERPリアーキテクチャを支える製品の4つのカテゴリ

クラウドERP、低コード基盤、API連携基盤、コンテナ運用基盤の4カテゴリを並べた図解。
4カテゴリを組み合わせて構成する全体像です。

リアーキテクチャは、複数カテゴリの製品を組み合わせて初めて成り立ちます。カテゴリごとに役割が違うため、それぞれの役割を押さえてから組み合わせを考えます。

コアとなるクラウドERPというカテゴリ

コアERPでは、どの業務を残すかと、後から拡張できるかの両方を見ておく必要があります。

  • 標準業務:変更頻度が低く業界標準に近い一般会計や人事給与は、コアERPに残す考え方が一般的です。
  • 拡張性:全体の柔軟性は、ERPのAPI・アドオン基盤によって左右されます。
  • 事前確認:拡張基盤とAPIの公開範囲を早い段階で確かめ、後工程の手戻りを減らします。
  • 拡張を軽視した場合:標準機能の外に手を入れられず、ベンダーへのカスタマイズ依頼が必要になる場合があります。

独自業務を支える低コード基盤とAPI連携基盤というカテゴリ

各基盤の役割を押さえたうえで、導入範囲は段階的に決めるという考え方があります。

  • 独自業務:変動性の高い業務は、低コードのサテライトか、フルスクラッチのマイクロサービスで構築します。
  • API連携基盤:iPaaSで、コアERPと切り出しサービスをつなぐか、サービス同士をつなぎます。
  • コンテナ運用基盤:なお、両基盤で作ったサービスを動かすコンテナ運用基盤は、規模が大きいほど重要になります。

4カテゴリすべてを一度にそろえる必要はありません。パイロットでは、コアERPと、最初のドメインを担う低コード基盤またはフルスクラッチ開発を用意します。

両者をつなぐ最小限の連携基盤があれば、パイロットとして十分に機能します。なお、運用基盤は、対象ドメインが増えてサービス数が一定を超えてから本格的に検討する企業も少なくありません。

ポイント

コアERPに残す業務は変更頻度の低さと業界標準への近さで、独自業務は変動性の高さで切り分けて考えます。4カテゴリすべてをそろえるかは、パイロットの範囲を見て決めます。

製品を比較するときの共通軸

拡張性・API連携の対応範囲、運用体制、料金体系、課金単位を確認軸として並べた図解。
接続条件と運用・見積もり条件を分けて整理できます。

候補を絞るときは、同じカテゴリの製品を共通の確認項目で比べます。カテゴリが違えば、そもそも横並びで比べられないためです。

拡張性・API連携の対応範囲

比べる仕様は、製品カテゴリによって変わります。

  • クラウドERP:標準機能と追加基盤で、独自ロジックを実装できる範囲。
  • 低コード・iPaaS:既存システム、認証方式、データ形式への対応範囲。
  • API仕様:API連携対応の有無に加えて、形式とリアルタイム・バッチの同期方式。
  • 接続確認:実際に使うAPI仕様と認証方式を示し、デモや技術資料で接続可否を見ます。

運用体制・料金体系の対応範囲

分散サービスを運用するには、自社エンジニアだけで対応できるか、ベンダーや開発パートナーの支援が要るかを見極める必要があります。また、料金の課金単位は製品によって異なるため、ユーザー数、接続数、実行回数など、自社の利用規模を伝えて見積もりを比べます。

評価の具体的な進め方は、基幹システム/ERPリアーキテクチャの選定ポイント/選び方/種類で整理しています。

ポイント

製品は同じカテゴリの中で、拡張性・API連携と運用体制・料金体系の対応範囲から比べます。課金単位は製品ごとに違うため、利用規模を伝えて同じ条件で見積もりを取る点も押さえておきます。

コアとなるクラウドERPの候補

Dynamics 365 Financeの概要、AppSourceによる拡張、基本版とPremium版の料金を示す図解。
2つのプランは同じ年払いの月額基準で示しています。

取り上げるのは、2026年7月時点で現行の公式ページを確認できた候補です。掲載順は優劣を示すものではありません。

Microsoft Dynamics 365 Finance

機能の拡張方法と、プラン別の料金を、2026年7月時点の公式ページの情報で整理します。

  • 製品概要:財務管理を中心とするクラウドERPで、Microsoft 365とCopilot Studioに連携します。
  • 拡張:AppSourceを通じて、機能を追加できます。
  • 基本版:2026年7月時点で1ユーザーあたり月額210米ドル(年払い)。
  • Premium版:2026年7月時点で1ユーザーあたり月額300米ドル(年払い)。
  • 実負担:為替や契約条件で変わるため、見積もり時に最新情報を確認します。

コアとして採用する際の確認ポイント

採用の前に、標準機能と既存環境との移行・連携を確かめておきます。

  • 機能と拡張:標準で対応する範囲と、アドオンやAPIで独自ロジックを足せる範囲。
  • 移行・連携:既存基幹システムの移行範囲と、つなぎ方を、導入前のデモやPoCで検証。
  • ハイブリッド型:他社クラウドERPの利用中に、コアは替えず一部ドメインを切り出す企業も多くあります。
  • 位置づけ:既存コアのAPIやアドオン基盤を見たうえで、新規コアか既存コアの拡張かを整理。

独自業務をサテライトサービスとして構築する低コード基盤の候補

コアから切り出した変動性の高い業務を、開発期間を抑えてサービス化したいときの候補です。

OutSystems

OutSystemsを候補にするなら、料金の案内と自社環境への適合性を確かめておきます。

  • 開発機能:ビジュアル開発、再利用部品、AI支援を組み合わせた企業向けの基盤。
  • 料金:2026年7月時点の公式サイトに具体額はなく、無料トライアルと見積もり窓口を案内しています。
  • 接続・配置:既存基幹システムとつながる方式と、コンテナ基盤への配置方法。
  • 実行環境:生成コードやアプリの動く場所が、自社のインフラ方針に合うかどうか。
  • クラウド依存:マルチクラウドで使う可能性がある場合の、実行環境の柔軟性。

Mendix

Mendixでは、機能と見積もりの条件に加えて、開発と運用の両面から適合性も見ます。

  • 機能:企業向け低コード基盤で、AI/MLモデル組み込み、プロセスオーケストレーション、ガバナンスに対応。
  • 料金:2026年7月時点の公式サイトに具体額はなく、見積もりには個別問い合わせが必要。
  • 比較軸:OutSystemsと並べて、既存エンジニア体制との親和性やAPI-first設計への組み込みやすさを比べます。
  • 権限管理:複数サービスを並行して開発する組織で、誰がどの権限で開発・リリースできるかを一元管理できるかどうか。
  • 運用負担:対象ドメインが増えるほど管理負担が変わるため、比較段階で管理画面を見ておきます。

既存システムと新設サービスをつなぐAPI連携基盤の候補

取り上げるのは、コアERPやサービス間の連携を担うiPaaSの候補です。

Boomi

Boomiでは、連携機能と費用の確認方法、運用面で検討すべきことを挙げます。

  • 統合・接続:iPaaSとしてデータ準備やエージェント管理を備え、1000以上の企業向けアプリとつながります。
  • 連携機能:API管理、B2B/EDI管理、イベント駆動型統合に対応。
  • 料金:2026年7月時点で具体額はなく、個別見積もりページへ案内。
  • 標準機能:マスタデータ同期やイベント連携の対応範囲を比較。
  • 接続・運用:ハイブリッド構成では、オンプレミス用エージェントや通信暗号化を見るほか、監査ログと状況一覧も確認します。

Workato

Workatoでは、API接続に加えて、自動化や承認フローの扱いも比べます。

  • 製品機能:iPaaSに加え、AIワークフローやエージェントを統合・自動化。
  • 連携機能:API管理機能があり、500以上の連携先に対応。
  • 料金:2026年7月時点で「Predictable Pricing Commitment」の方針ページがあり、料金表はトップページに掲載されていません。
  • 標準コネクタ:基幹システムのAPIやイベントの対応範囲をBoomiと比較。
  • 業務フロー:承認や例外処理をノーコードで表せる範囲と、基幹側と重なるときの管理元。

分解後のサービス群を稼働させるコンテナ運用基盤と課題別の選び方

分解したマイクロサービスを稼働させる基盤と、自社の課題に応じたカテゴリの選び方を取り上げます。

Red Hat OpenShift

Red Hat OpenShiftは、分解したサービスを稼働させる基盤として、機能、費用、運用体制の面から見ます。

  • 機能:Kubernetesを中核とし、パイプライン、GitOps、サービスメッシュを備える。
  • 料金:2026年7月時点で詳細な料金表はなく、別ページで見積もりを案内。
  • 運用体制:社内にKubernetesの運用者がいない場合は、導入や運用の支援も含めて依頼先を検討。
  • 導入規模:サービスが少ない段階で大規模な基盤を入れると、運用コストが業務量に合わないことがあります。
  • 拡張方法:必要最小限で始め、対象ドメインが増えるのに合わせて段階的に広げます。

自社の課題別に検討する製品カテゴリ

課題の種類に応じて、優先する製品カテゴリと導入範囲を決めます。

  • 改修速度:低コードでサテライトを構築し、iPaaSでコアERPと連携。
  • 既存連携:API連携基盤の刷新を優先。
  • 運用の複雑さ:サービス数が増えたら、コンテナ運用基盤を検討。
  • 着手範囲:4カテゴリをまとめて大きく導入するより、最優先課題のカテゴリを選びます。
  • 進め方:1つか2つのカテゴリから始め、効果を見てから必要な製品を追加。

ポイント

課題に応じて優先するカテゴリを選びます。コンテナ運用基盤は、サービス数が増えてから本格的に検討する企業も少なくありません。

基幹システム/ERPリアーキテクチャ製品を比較する際の論点

製品を組み合わせる際に、判断が分かれやすい点を取り上げます。

リアーキテクチャを1製品で完結させる可否

ほとんどの場合、1つの製品では完結しません。通常は、複数カテゴリの製品を組み合わせて設計します。

組み合わせの候補は、コアERPや、独自業務の低コード基盤、連携用のiPaaS、運用用のコンテナ基盤などです。

料金の比較の仕方

多くの製品は個別見積もりで、公開されている料金の課金単位も製品ごとに異なります。ユーザー数、接続数、実行回数などが例です。

利用規模と将来の拡張予定を示し、複数社から同じ条件で見積もりを取ります。そのうえで、運用工数を含めた総保有コストで比べます。

特定ベンダーへの依存の回避

低コード基盤やiPaaSは、特定ベンダーの実行環境やコネクタに依存する設計になりやすいため、注意が必要です。

将来の切り替えに備えて、データやAPI定義を標準形式で出力できるかを確かめます。また、契約終了時のデータ返却条件も見ておきます。

ポイント

1つの製品で完結させず、カテゴリの組み合わせで設計します。見積もりは同じ条件で複数社に取り、ベンダーへの依存は標準形式の出力と返却条件で確かめます。

まとめ

基幹システム/ERPリアーキテクチャは、複数カテゴリの製品を組み合わせて実現するものです。単一パッケージの導入で完結するわけではありません。

クラウドERP、低コード基盤、API連携基盤、コンテナ運用基盤は、それぞれ異なる役割を担います。また、紹介した6製品も、いずれかのカテゴリに属します。

自社の課題とカテゴリの組み合わせで決まる製品選定

選ぶ製品は、業務領域ごとに抱える構造的な課題によって変わります。そのため、まず課題を特定し、必要なカテゴリの組み合わせを整理します。

PoCによる実際の連携の確認と決定

PoCで接続性を検証し、製品の構成で補えない部分については、開発方式を検討します。

  • PoC:コアERPと低コード基盤・iPaaSを連携させ、業務シナリオの処理を確認。
  • 開発方式:製品の組み合わせで独自のドメイン境界や複雑な既存連携を扱えない場合は、フルスクラッチも選択肢。
  • 独自業務:製品の組み合わせで対応しきれない、自社特有の業務の構築を、riplaはフルスクラッチ開発の立場から支援。
  • 既存連携:既存基幹システムとの接続を含むリアーキテクチャも支援。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。