GLOVIA導入とは、富士通グループの国産ERP「GLOVIA」を使って、会計・人事給与・販売・生産といった基幹業務を部門横断で刷新する取り組みです。GLOVIAは、製造業の会計・販売・生産・在庫データを統合し、現場と経営の判断を支えるERPです。
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GLOVIA導入の全体像と特徴

会計・人事給与・販売・生産といった基幹業務が部門ごとに別々のシステムやExcelで管理され、決算のたびに数字の突き合わせに時間がかかっている企業は少なくありません。担当者の異動や退職で業務の経緯が分からなくなる、法改正のたびに現行システムの改修が追いつかないといった悩みもあります。
こうした悩みを解決する手段の一つが、GLOVIA導入です。GLOVIAは、富士通および富士通Japan株式会社が提供する国産の統合業務ソリューション(ERP)シリーズの総称です。
「GLOVIA導入」は、単発のシステム入れ替えではなく、複数部門を横断する一連のプロジェクトとして基幹業務を刷新する取り組みを指します。
その特徴は、古いシステムを新しくするだけでなく、業務の標準化と法改正への継続対応力を同時に得られる点にあります。
会計・販売管理、生産・在庫管理、製造業向けの業務連携が、GLOVIA導入で主に扱う業務です。
- 会計・販売管理
- 生産・在庫管理
- 製造業向けの業務連携
半世紀近い歴史を持つ国産ERPブランド
GLOVIAの沿革を年ごとに追うと、次のような流れになります。
- 1975年:会計・人事給与システム「CAPSEL」が発売され、GLOVIAの源流になりました。
- 1994年:経理システム「SUMMIT」がパッケージ化され、「GLOVIA SUMMIT」として発売されました。
- 1996年:会計、生産・販売・物流、人事の各パッケージがそろい、本格的なERP製品体系が確立しました。
- 2003年:対象企業規模に応じて製品階層が再編されました。
- 2010年:中小企業向けの「GLOVIAきらら」の展開が始まりました。
1996年に出そろったのは、会計業務パッケージ「GLOVIA/Financials」と、生産・販売・物流業務パッケージ「GLOVIA/Manufacturing」です。人事パッケージ「GLOVIA/Human Resources」も、同じ年に加わりました。
この沿革の長さは、後述するabasやEpicorのような海外発ERPと比べたときのGLOVIAの特徴の一つです。特に、長期間にわたり日本企業の基幹業務データと向き合ってきた実績が、日本特有の商習慣への標準対応力の土台になっています。
2026年に統合された製品ラインナップ
従来のGLOVIAは、規模・用途別の製品体系で構成されていました。大企業向けの「GLOVIA SUMMIT/G2」と、業種別要件に最適化した「GLOVIA smart/OM」があり、中小企業向けには「GLOVIAきらら」がありました。中堅企業向けの「GLOVIA iZ」は、データベース・マスタ・UIを統一しつつ、オンプレミスとクラウドを業務ソリューションごとに組み合わせられる製品でした。
2026年4月には、これらのラインナップを統合する新製品「GLOVIA One」の提供が始まりました。GLOVIA Oneは、年間売上高がおおむね30億円から1,000億円規模の企業を主な対象に、クラウドのマルチテナント構成、API連携、AIエージェント機能を備えた次世代ERPとして再編されています。
「GLOVIA導入」という言葉は、既存のGLOVIAシリーズの刷新に加えて、このGLOVIA Oneへの移行を検討するケースも含むようになってきています。
GLOVIA導入の仕組みと業務フロー

GLOVIA導入は、業務システムを買えば終わるものではなく、要件定義から本番稼働まで複数の工程を経るプロジェクトです。
全社の基幹業務を対象にするほど関係者が多くなり、プロジェクトには情報システム部門だけでなく、経理部門、人事部門、生産・販売の各現場部門が関与します。そのため、工程ごとに何を確定させるかを理解しておくことが、後工程での手戻りを防ぐうえで重要になります。
要件定義の段階で関係者を巻き込まずに情報システム部門主導で進めると、稼働直前に現場の業務実態と設計内容がかみ合わないことが判明し、手戻りが発生しやすくなります。さらに、工程ごとに誰が最終承認者になるかをあらかじめ決めておくことも、大規模プロジェクトを止めないために欠かせません。
要件定義とFit&Gap分析が最初の分かれ目
プロジェクトはまず、現行業務とGLOVIAの標準機能を突き合わせる「Fit&Gap分析」から始まります。
標準機能に適合する業務(Fit)は、パッケージに合わせて進めます。一方で、適合しない業務(Gap)は、業務フローそのものを変えるか、アドオン開発で対応するかを個別に判断します。
この工程には目安として約3〜6か月かかります。その後の基本・詳細設計には約2〜4か月をかけ、アドオンの仕様、ハイブリッド環境でのオンプレミス・クラウド間のデータ連携方式、周辺システムとのインターフェースを固めていきます。
開発・テスト・移行と本番稼働までの流れ
設計が固まった後は、パッケージへのパラメータ設定とアドオン機能の開発を並行して進めます。そのうえで、単体・結合・総合テストに加えて、現場ユーザーによる受入テスト(UAT)まで行います。
大手〜中堅企業でのフルスコープ導入では、開発・パラメータ設定に約3〜6か月、テストに約3〜5か月、データ移行・教育・本番稼働に約1〜3か月が一般的な目安です。なお、多機能な統合ERPほど現場の入力負荷が高まりやすいため、テスト・教育期間を十分に確保し、移行前のデータクレンジングを徹底することが、稼働後のトラブルを防ぐうえで欠かせません。
対象業務範囲を絞った段階導入であれば、より短期間での立ち上げも可能です。たとえば、会計・人事給与のみをクラウドで先行導入し、販売・生産管理は後から追加するという進め方も、GLOVIA iZのようなハイブリッド構成では現実的な選択肢になります。
GLOVIAの主要機能とカバー範囲

GLOVIAは、会計・人事給与・販売・生産という基幹業務を単一のブランド内で統合的にカバーする点が特徴です。業種特化色の強いERPとは異なり、業種を問わず利用できる総合型の製品として設計されています。
会計・人事給与・販売・生産の横断的なカバー
会計領域では、決算処理、債権債務管理、原価管理などを扱います。人事給与領域では、給与計算、勤怠管理、社会保険関連の手続きを扱います。
販売・生産領域では、受発注と在庫の管理を起点に、生産計画から実績管理までを一貫して扱います。これらの領域は、共通のデータベース・マスタを介してつながっています。この点が、部門ごとに別システムを運用する場合との大きな違いです。
ハイブリッド構成とAPI連携による柔軟性
GLOVIA iZでは、業務ソリューションごとにハイブリッド構成を選べる点が特徴です。たとえば、カスタマイズの多い販売管理・生産管理はオンプレミスで、経営管理・会計・人事給与はクラウドで運用できます。
さらに、GLOVIA Oneでは、API連携による他システムとの接続性が強化されています。SFAや勤怠管理システムなどの周辺システムとも、データを連携できる範囲が広がっています。
ただし、API連携や機能追加ができることと、自社にとって最適な連携方式であることは別問題です。何と何を、どのタイミングで同期するかを導入前に整理しておかないと、連携先が増えるほど仕様変更時の影響範囲も広がります。
GLOVIA導入の目的と期待できる効果

GLOVIA導入の目的は、単なるシステムの入れ替えではなく、基幹業務データを一元化し、法改正への対応や経営判断のスピードを高めることにあります。
経営データの一元化と可視化
会計・人事給与・販売・生産のデータが分断されていると、経営層が全社の状況を把握するために、各部門から個別に報告を集める必要が生じます。
GLOVIA導入によってデータの基盤を統一すれば、部門横断の集計や分析にかかる時間を短縮しやすくなります。
GLOVIA Oneが掲げる「INSIGHT」という方針は、AIによるデータ活用を通じてこうした経営の可視化を支援する狙いを持っています(富士通の公式発表によるものです)。
属人化した業務の標準化と法改正対応の負担軽減
基幹業務が担当者個人のExcelや紙の帳票に依存していると、担当者の異動や退職によって業務が滞るリスクがあります。
GLOVIA導入によって、承認フローやマスタ管理をシステム上に統一すれば、業務の属人化を抑えられます。
また、インボイス制度や消費税率改定などの法改正が生じた際も、パッケージ側のアップデートで対応できる範囲が広がります。この点は、後述するフルスクラッチ開発との比較で重要な論点になります。
GLOVIAと他のERP・基幹システムとの違い

GLOVIAは、会計システム単体や生産管理システム単体とは異なり、複数の基幹業務を横断する総合型ERPです。また、同じERPカテゴリの中でも、海外発の製品とは異なる立ち位置を持っています。
単機能の会計・販売管理システムとの統合範囲の違い
会計システム単体は仕訳や決算処理に特化しており、販売管理システム単体は受発注や在庫管理に特化しています。
GLOVIAは、これらの機能を共通のデータベース上で連携させています。そのため、たとえば販売時点の受注情報が会計側の売上計上にそのまま反映されるなど、部門をまたいだデータの整合性を保てる仕組みになっています。
単機能システムを組み合わせる場合と比べると、連携のための個別開発が少なく済む可能性があります。
海外発ERPとの差別化と日本特有の業務対応力
ドイツ発のabasは、複雑な部品表や個別受注生産(ETO)への対応力を強みとして打ち出しています。一方、北米発のEpicorは、クラウドネイティブSaaSとしての導入スピードや業種別テンプレートを強みとして打ち出しています。優劣よりも、自社の業務が海外標準の生産管理に近いか、日本特有の会計・税制対応を重視するかで、適したERPの系統が変わります。
これに対してGLOVIAは、日本特有の会計・税制・商習慣への標準対応力を武器にしています。たとえば、インボイス制度や電子帳簿保存法、多段階の稟議・承認フローへの対応が挙げられます。加えて、大企業から中堅企業まで一つのブランド内でカバーする製品ラインナップの厚みも強みです。
業種を問わず会計・人事給与・販売管理・生産管理を統合してカバーする総合型ERPである点も、製造業特化色の強いabas・Epicorとの違いです。この総合型という設計があるため、製造業以外の業種でも検討の対象になります。
日本特有の会計・税制・商習慣とGLOVIAの対応

GLOVIA導入を検討する企業の多くが重視するのが、インボイス制度や電子帳簿保存法といった日本特有の法制度への対応力です。この対応力は、フルスクラッチ開発を避けるべき理由としても語られます。
インボイス制度・電子帳簿保存法・多段階承認への対応
日本企業の基幹業務には、海外発ERPでは標準機能として想定されていない要件が数多くあります。たとえば、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応が挙げられます。ほかにも、消費税率改定や日本独自の決算・手形処理、多段階の承認フローがあります。
こうした日本特有の業務プロセスに、GLOVIAは標準機能で対応しやすくなっています。この点が、abasやEpicorのような海外発ERPに対する明確な優位性になります。
法改正への継続対応力とフルスクラッチを避ける理由
法改正対応は通常、パッケージやSaaSの保守契約を通じてベンダー側のアップデートで提供されます。
これに対してフルスクラッチ開発を選んだ場合、インボイス制度や消費税率変更のような法令改正のたびに、自社負担で改修費用を都度支払う必要が生じるリスクを抱えます。
そのため、会計・税制に関わる基幹システムでは、フルスクラッチを極力避けるのが現実的です。GLOVIAのようなパッケージの標準機能に自社業務を合わせる方法は、中長期で見ると低コストになりやすいと考えられます。
GLOVIA導入前に確認しておきたいポイント

GLOVIA導入を検討する際に確認すべき論点は、自社の企業規模や現行システムの状況によって変わります。実務で挙がりやすい論点は、企業規模、並行運用期間、他製品との比較の3点です。
自社の年商規模とGLOVIA Oneの主な対象
GLOVIA Oneは年間売上高がおおむね30億円から1,000億円規模の企業を主な対象としています。
これより小規模な企業や、逆に売上高が数千億円規模を超えるような企業では、想定される機能や価格帯が合わない可能性があります。そのため、自社の規模感がどの層に近いかを事前に確認しておくことが必要です。
既存システムとの並行運用期間の見積もり
全社の基幹業務を刷新するプロジェクトでは、旧システムとの並行運用やデータ移行の準備期間を十分に確保できるかが、スケジュール全体に影響します。
特にデータクレンジングの準備不足は、稼働後のトラブルにつながりやすい失敗要因として挙がるため、移行対象データの整理を要件定義の段階から並行して進めることが望ましいと考えられます。
同じ国産ERPの他製品との比較の要否
GLOVIAは国産ERPとして長い実績を持ちますが、同様に日本の商習慣に対応した国産ERPは他にも存在します。
自社にとって重要な要件が、GLOVIA固有の強みと一致しているかを見極める必要があります。そのためには、他の国産ERP製品と機能・料金・提供形態を比較する工程を省かないことが望ましいです。具体的な比較の進め方は、GLOVIA導入の選定ポイント・選び方・種類で解説しています。
まとめ

GLOVIAは、半世紀近い歴史を持つ国産の統合基幹業務システムです。日本特有の会計・税制・商習慣への標準対応力と、大企業から中堅企業まで幅広くカバーする製品ラインナップの厚みを武器にしています。
2026年4月には、既存ラインナップを統合した「GLOVIA One」への再編も進んでいます。
基幹業務の刷新と法改正対応力の両立
Fit&Gap分析から本番稼働までの一連の工程を経ることで、属人化した業務を標準化できます。さらに、インボイス制度のような法改正にも継続的に対応できる体制を作れる点が、GLOVIA導入の中心的な価値です。
海外発ERPとの違いを理解したうえで検討することで、自社に本当に必要な機能を見極めやすくなります。
現状の業務フローの洗い出し
まずは、自社のどの基幹業務にどの程度の標準化余地があるかを、Fit&Gapの前提となる現状の業務フローから洗い出します。
GLOVIAの標準機能だけでは吸収しきれない独自業務がある場合、既製パッケージへの追加開発や、他システムとのAPI連携を含む構築支援が必要になることもあります。
riplaはフルスクラッチ開発の立場から、こうした既存システムとの連携や、パッケージでは対応しきれない業務要件の整理・構築を支援しています。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
