OBIC(オービック)導入とは、株式会社オービックが提供する統合業務ソフトウェア「OBIC7」シリーズを、会計をはじめとする基幹業務に組み込む取り組みを指します。会計は経理、人事や給与は人事総務、就業管理は各現場というように、業務ごとに担当部署とシステムが分かれ、月次の締めや年末調整のたびに情報を突き合わせる負担が大きくなっている企業は少なくありません。特に複数の拠点や事業所を抱える中堅・大企業では、部門間で情報の粒度や更新タイミングがそろわず、経営層への報告に時間がかかることも課題になりやすい領域です。
本記事では、OBIC(オービック)導入の基本的な考え方と提供体制、OBIC7が採用するコンポーネント型ERPとしての仕組み、会計・人事・給与・就業などの主要機能、導入によって期待できる目的や効果、そして奉行シリーズなど混同されやすい他システムとの違いを順に解説します。OBICという社名や「OBIC7」という製品名を初めて知った担当者の方でも、自社の基幹業務にどう関わるシステムなのかを具体的にイメージできるよう、実際の業務領域に沿って整理します。
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・OBIC(オービック)導入の完全ガイド
OBIC(オービック)導入とは何か?提供会社と基本的な位置づけ

OBIC(オービック)導入とは、株式会社オービックが自社開発・直販する統合業務ソフトウェア「OBIC7」シリーズを、会計をはじめとする基幹業務に組み込むプロジェクトを指します。まず、提供元であるオービックという会社の位置づけと、OBIC7という製品がどのような性格のシステムなのかを整理します。
オービックは大企業・中堅企業向けに直販するシステムインテグレーターです
株式会社オービックは1968年に大阪ビジネスとして設立され、現在は東京都中央区京橋と大阪市中央区平野町の2拠点を本社としています。資本金は191億78百万円で、東証プライム市場に証券コード4684として1998年12月に上場しており、2026年3月末時点の従業員数は連結2,256名、単体2,030名です。事業内容はシステムインテグレーション事業、システムサポート事業、オフィスオートメーション事業の3つで構成されています(オービック公式サイトの会社概要による)。
同社は、業務コンサルティングからハードウェアの選定、ネットワーク構築、システム開発、導入後の運用サポートまでを自社の担当者が一貫して手掛ける直販型の営業モデルを特徴としています。販売パートナーを介した流通が中心の他の国産パッケージとは異なり、要件のヒアリングから稼働後のサポートまで同じ会社の担当者が窓口になる点が、OBIC(オービック)導入を検討するうえでまず押さえておきたい特徴です。
OBIC7は会計を中核とした統合業務ソフトウェアです
OBIC7は、会計を中核に据えながら、人事、給与、就業、販売、生産といった業務領域のシステムを必要な範囲で組み合わせて利用できる統合業務ソフトウェアです。累計導入社数は2万社を超えているとされ、長年にわたり業界内で高い評価を得てきた製品とされますが、この実績や評価は第三者機関による公式統計ではなく、同社の発表や業界評価に基づく情報である点には留意が必要です。
OBIC(オービック)導入を検討する企業の多くは、既存の会計システムだけでは人事・給与・就業までを一元管理できず、部門ごとに異なるツールやExcelで代替してきた企業です。次の章では、OBIC7がこうした複数領域をどのような仕組みでつないでいるのかを見ていきます。
OBIC7が採用するコンポーネント型ERPの仕組み

OBIC7の大きな特徴は、会計情報システムを中心に据えながら、人事・給与・就業・販売・生産の各システムをコンポーネントとして組み合わせられる構成にあります。全業務を一括導入する必要はなく、自社が優先したい領域から段階的に範囲を広げられる点が、他の統合型パッケージとの違いとして語られることが多い部分です。
必要な業務領域だけを選んで組み合わせられます
コンポーネント型ERPという表現が示すとおり、OBIC7では会計情報システムを土台にしながら、人事情報システム、給与情報システム、就業情報システムなど、業務領域ごとに独立したモジュールを必要な範囲で選択して導入できます。全社の基幹システムを一度に刷新するのではなく、まず会計領域から着手し、その後に人事・給与領域を追加するといった段階的な進め方も可能です。
この構成は、部門ごとに異なるシステムやExcelで運用してきた企業が、いきなり全業務を統一するリスクを避けながら、優先度の高い領域から情報基盤を整えたい場合に適しています。一方で、モジュール間の連携範囲や、どこまでを標準機能でカバーできるかは領域ごとに異なるため、導入前に自社の業務範囲と照らし合わせて確認する必要があります。
会計情報を軸に他領域のデータが連携します
会計情報システムを中核に据えることで、人事情報システムで管理する人件費データや、就業情報システムで記録する勤怠実績、販売情報システムの取引データなどを、最終的な会計処理へつなげやすくなります。部門ごとに個別集計していた情報を会計データへ集約する工程を減らせることは、月次決算や年次決算の早期化を目指す企業にとって重要な観点になります。
ただし、連携範囲や自動化の程度は、どのモジュールをどこまで導入するかによって変わります。会計情報システムだけを導入し、人事・給与は既存の他システムを使い続ける構成も可能であるため、自社がどこまでをOBIC7に統合するかを、業務フローの図示を通じて具体化しておくことが大切です。
会計・人事・給与・就業を支える主要機能

OBIC7の各モジュールには、企業規模を問わず利用できる標準機能に加えて、業種や運用ルールに応じたオプション機能が用意されています。ここでは、OBIC(オービック)導入を検討する際に確認しておきたい主要領域の機能を整理します。
人事・給与領域では発令管理と柔軟な計算式設定が中心になります
OBIC7人事情報システムは、社員情報や組織情報に加え、発令管理、給与履歴、考課履歴など幅広い項目を一元管理できる点が特徴です。オービックの公式サイトによると、異動・発令に関する候補者抽出やシミュレーション、辞令発行といった機能が用意されており、グループ会社をまたいだ人事情報の共有にも対応するとされています。
給与情報システムでは、月例給与、賞与、年末調整、社会保険関連の処理を扱い、支給・控除の項目や計算式を自社の給与制度に合わせて柔軟に設定できる仕組みが特徴です。就業情報システムと組み合わせることで、勤怠実績を給与計算へ引き継ぐ流れも構築しやすくなります。人事考課や異動シミュレーションなど、必要に応じて追加できるオプション機能が用意されている点も、自社の運用ルールに合わせて機能範囲を調整したい企業には参考になります。
販売・生産領域は業種特有の関連業務まで対応します
会計・人事・給与・就業に加えて、販売情報システムや生産管理情報システムを組み合わせることで、輸出入、小売、製造、工事、保守、修理、レンタルといった業種特有の関連業務まで一つの基盤で扱える点もOBIC7の特徴です。EDIやEC、POSなど外部システムとの連携により、国内取引と海外取引を一元管理し、取引データを会計処理へ自動的に反映させる仕組みも用意されています。
生産管理領域では、原価管理や債権債務管理を会計情報と統合し、部品表(BOM)を扱うPDMとの連携にも対応するとされています。ただし、業種ごとに必要な機能の重み付けは異なるため、自社の主要な取引形態や生産形態に照らして、どこまでを標準機能でまかなえるかを個別に確認することが欠かせません。
直販・自社一貫体制がもたらす特徴

OBIC(オービック)導入のもう一つの特徴は、販売パートナー網を介さず、オービックの担当者がコンサルティングから運用サポートまでを一貫して担う直販モデルにあります。この体制は、パッケージ製品でありながら、個社の要件に応じた柔軟な対応を可能にしています。
要件定義から運用サポートまで同じ担当者が窓口になります
多くの国産パッケージ製品では、販売パートナーやシステムインテグレーターを介して導入・運用が進みますが、OBIC(オービック)導入では、要件のヒアリング、ハードウェアやネットワークの選定、システム構築、導入後の問い合わせ対応までを、オービックの担当者が一貫して担う体制が取られています。担当窓口が変わらないことは、自社の業務要件を深く理解した相手と継続的にやり取りできるという意味で、大企業や中堅企業の複雑な要件に向き合ううえで一つの利点になり得ます。
一方で、直販体制であるがゆえに、地域や案件規模によって対応できるリソースには限りがあることも想定されます。導入を検討する際は、自社の事業所や拠点をカバーできる体制か、要件定義から本稼働までのスケジュール感がどの程度になるかを、早い段階で担当者に確認しておくとよいでしょう。
標準パッケージとフルスクラッチの中間的な性格を持ちます
OBIC7は標準パッケージとして提供されながら、個社ごとの業務要件に応じたカスタマイズ対応を柔軟に行える点も特徴として挙げられます。これは、パートナー経由で標準機能をそのまま導入するタイプのパッケージ製品と、要件を一から設計するフルスクラッチ開発の、ちょうど中間に位置する性格と捉えることができます。
ただし、カスタマイズの範囲が広がるほど、開発期間や費用も増える傾向にある点は、他のパッケージ導入と同様に注意が必要です。標準機能でどこまで業務を賄えるかを見極めたうえで、どうしても対応できない部分だけをカスタマイズで補うという考え方が、費用対効果の観点からは重要になります。
OBIC(オービック)導入の目的と期待される効果

OBIC(オービック)導入の目的は、単に会計システムを刷新することではありません。会計を軸に人事・給与・就業などのバックオフィス業務全体を一つの基盤でつなぎ、部門をまたいだ情報の分断を解消することが本来の狙いです。
会計を軸にバックオフィス業務全体の一貫性を高めます
経理、人事総務、各事業部門がそれぞれ異なるシステムやExcelで情報を管理していると、人件費の集計や予算実績の突き合わせに時間がかかり、経営層への報告が遅れがちになります。OBIC(オービック)導入では、会計情報システムを中核に人事・給与・就業のデータを連携させることで、こうした情報の分断を減らし、月次や年次の締め作業にかかる工数を抑えることを目的とします。
特に、複数の事業所や関連会社を持つ企業では、拠点ごとに異なる集計ルールや締め日が存在することも多く、グループ全体の数値をそろえる作業自体が大きな負担になりがちです。OBIC7のグループ管理機能を活用することで、こうした拠点間の情報のばらつきを是正しやすくなる点も、導入目的として挙げられます。
部門間で同じ情報を参照できる状態をつくります
会計・人事・給与・就業の情報が一つの基盤に集約されると、経理担当者は人件費の内訳を、人事担当者は勤怠と給与の整合性を、経営層は部門別の収支をそれぞれ同じデータから確認できるようになります。担当者ごとに異なる集計ファイルを突き合わせる作業が減ることで、確認漏れや二重入力のリスクも抑えやすくなります。
ただし、システムを導入しただけでこうした効果が自動的に生まれるわけではありません。どの部門がどのタイミングでデータを確定させ、誰が最終的な数値を承認するかといった運用ルールを整備し、それをOBIC7の権限設定やワークフローに反映させて初めて、部門間の情報連携が機能します。
混同されやすい奉行シリーズ・他システムとの違い

OBIC(オービック)導入を調べる際、名称が似ている「奉行シリーズ」との違いが分かりにくいという声も少なくありません。ここでは、提供会社の違いと、他の業務システムとの役割分担について整理します。
オービック(OBIC)とOBC(オービックビジネスコンサルタント)は別会社です
「勘定奉行」「給与奉行」などの奉行シリーズを提供する株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)は、オービックがグループの大株主となっている関連会社ですが、対象市場や製品、販売手法が異なる別会社です。OBCは主に中小企業向けに、全国の販売パートナーを通じてノンカスタマイズのパッケージ製品を提供する一方、オービックは主に大企業・中堅企業向けに、OBIC7シリーズを直販・受託開発型で提供しています。両社の間で従業員の出向・派遣などはなく、独立して事業を運営しているとされています。
検索や資料収集の過程で「オービック」と「奉行シリーズ」の情報が混在し、対象企業や対象製品を取り違えてしまうケースも見られます。OBIC(オービック)導入を検討する際は、自社が比較しているのがOBIC7シリーズなのか、OBCの奉行シリーズなのかを、まず提供会社の公式サイトで確認することが欠かせません。
生産管理領域に強みを持つ国産ERPとは対象領域が異なります
国産のERPパッケージには、生産管理や原価管理、多品種少量生産への対応を強みとし、製造業を主な対象とする製品も少なくありません。これに対してOBIC7は、会計を中核に人事・給与・就業といったバックオフィス業務全体を軸とする点に特徴があり、業種を問わず幅広い企業のバックオフィス業務に強みを発揮しやすい製品として位置づけられます。
そのため、製造現場の細かな工程管理や原価計算そのものを最優先で刷新したい企業と、会計・人事・給与を含めたバックオフィス全体の一貫性を高めたい企業とでは、比較検討すべき製品の重点が変わってきます。自社が最も改善したい業務領域がどこにあるかを整理したうえで、OBIC(オービック)導入が候補として適しているかを判断することが重要です。
OBIC(オービック)導入前に確認しておきたいポイント

OBIC(オービック)導入を検討する企業からよく挙がる疑問を、実務の観点から整理します。導入範囲や体制、費用感を事前に把握しておくことで、検討段階での認識違いを防ぎやすくなります。
どこまでの業務範囲を対象にするかを最初に決めます
会計だけを対象にするのか、人事・給与・就業まで含めるのかによって、必要な検討期間や体制は大きく変わります。既存システムとの役割分担を整理せずに全業務を一度に置き換えようとすると、要件定義の負荷が過大になりやすいため、まずは最も課題の大きい領域から範囲を定め、段階的に広げる進め方を検討するとよいでしょう。
標準機能でどこまで賄えるかを見極めます
OBIC7は直販体制ゆえに個社要件へのカスタマイズ対応がしやすいとされますが、カスタマイズの範囲が広がるほど費用や期間も増えていきます。導入前には、自社の業務フローのうち標準機能で対応できる部分と、独自ルールとして残す必要がある部分を切り分け、後者についてどこまでの投資が正当化できるかを検討しておくことが大切です。
サポート体制と費用感を事前に確認します
直販・自社一貫体制によるサポートは品質の均一性という利点がある一方、他の汎用的なクラウドサービスと比較すると、保守費用が相対的に高めになりやすい傾向があるとも言われています。年間の保守費用は初期投資額の一定割合が目安になることが多いため、初期費用だけでなく、稼働後にかかる継続的なコストまで含めて予算感を確認しておく必要があります。具体的な選定の進め方は、OBIC(オービック)導入の選定ポイント・選び方・種類で詳しく解説しています。
まとめ

OBIC(オービック)導入とは、株式会社オービックが直販する統合業務ソフトウェア「OBIC7」シリーズを、会計を中核に人事・給与・就業などのバックオフィス業務へ組み込む取り組みです。コンポーネント型ERPとして必要な領域から段階的に導入できる点、直販・自社一貫体制による柔軟なカスタマイズ対応、そして奉行シリーズなど混同されやすい他製品との違いを理解しておくことが、検討を進めるうえでの土台になります。
OBIC7は会計を軸にバックオフィス全体をつなぐ基盤です
会計・人事・給与・就業のデータを一つの基盤でつなぐことで、部門間の情報分断や二重入力を減らし、月次・年次の締め作業を効率化できる可能性があります。ただし、その効果はシステムを導入するだけで得られるものではなく、自社がどの業務範囲を対象にし、どのような運用ルールでデータを確定させるかを、事前に整理しておくことが前提になります。
自社の業務範囲を整理することから始めます
まずは、現在会計・人事・給与・就業のどこで情報が分断され、どの確認作業に時間がかかっているかを洗い出してください。優先すべき業務領域が明確になれば、OBIC7のどのモジュールから着手すべきかも具体化しやすくなります。標準機能を軸にしたパッケージ導入に加えて、独自の業務フローや既存の基幹システムとの連携が必要な場合は、個別開発やハイブリッド構成も選択肢になります。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、パッケージでは吸収しきれない業務要件の整理や、既存システムとの連携を含めた構築を支援しています。
▼全体ガイドの記事
・OBIC(オービック)導入の完全ガイド
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
