OBIC(オービック)導入の完全ガイド

OBIC(オービック)導入は、業務の全体像を押さえ、要件定義から運用定着まで段階的に進め、適切なベンダーを選ぶことで、自社に合う基幹システムにつながります。

経営者や情報システム担当者に向けて、機能から失敗対策までを一通りまとめました。各テーマの詳細は下の関連記事で確認できます。

▼関連記事一覧

・OBIC(オービック)導入の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・OBIC(オービック)導入でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・OBIC(オービック)導入の見積相場や費用/コスト/値段について
・OBIC(オービック)導入の発注/外注/依頼/委託方法について

OBIC(オービック)の概要とERPシステムの全体像

会計を中心に人事・給与・就業、販売、生産のモジュールがつながる構成図
業務ごとの機能を選び、会計を軸に組み合わせる形です。

OBIC(オービック)は、株式会社オービックが1997年から提供しているERP(統合基幹業務システム)です。正式名称は「OBIC7(オービックセブン)」です。

財務会計を基幹に、人事・給与・就業管理、販売管理、生産管理などのモジュールを組み合わせる、コンポーネント型のERPです。企業全体の業務を、一つの仕組みでまとめて管理できます。

日本の商習慣や法制度に特化しているのも特徴です。さらに、国内企業だけで、企画から開発、販売、サポートまでを一貫して行う体制を取っています。

主要モジュールと機能構成

OBIC7では、会計を中核として、人事・就業、販売、生産の各モジュールが業務データをつなぎます。

  • 会計:財務・管理会計、予算、固定資産を扱い、売上や仕入れを自動で仕訳に反映させます。
  • 人事・給与・就業:人事異動、人材育成、目標管理を担い、給与計算と連動して、精度と効率を高めます。
  • 販売:受注・出荷・請求をまとめて管理し、在庫をリアルタイムで把握しながら、売掛金と買掛金も扱います。
  • 生産:製造業の複雑な工程管理と原価管理を支えます。

生産情報システムは、個別製番生産と見込生産(繰返生産)が混在する体制にも対応します。

就業情報システムは、勤怠打刻から労働時間の集計、残業管理まで対応します。とくに就業情報システムのニーズは、2019年の働き方改革関連法の施行以降に急増しています。

OBIC7は必要な機能だけを選んで導入できるので、企業規模や業種に応じた構成を組めます。

クラウド型・オンプレミス型の違いと選び方

導入形態は、IT戦略や運用方針に合わせて選びます。両者の主な違いは、費用のかけ方と運用・管理の範囲です。

  • クラウド型:初期投資を抑えやすく、保守・運用を委託できます。
  • オンプレミス型:自社サーバーで運用し、データ管理や独自要件に対応します。

クラウド型は月額課金が一般的です。また、法改正対応や機能更新も自動で提供されるため、最新の環境を保ちやすい点が利点です。

社内のIT人材が少ない中小企業や、迅速に導入したい企業には、クラウド型が合いやすいといえます。

金融・医療・製造業など、高度なセキュリティ基準が求められる業界では、オンプレミス型が選ばれるケースがあります。オンプレミス型は初期費用が大きい一方で、運用費を抑えられ、長期的な総保有コスト(TCO)で有利になる場合もあります。

このため、導入形態は費用試算と合わせて慎重に選ぶことが大切です。

▶ 詳細はこちら:OBIC(オービック)導入の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

ポイント

導入範囲は、自社の業務に必要なモジュールだけを選んで決めます。導入形態は、クラウド型とオンプレミス型のどちらが運用方針に合うかを、費用試算と合わせて見ます。

OBIC(オービック)導入の進め方

要件定義・企画から設計やテスト、データ移行と利用者訓練を経て本番稼働後へ進む図
前段階での整理が、後工程の手戻りを抑えます。

OBIC導入は、業務のあり方を見直す大規模なプロジェクトです。要件定義・企画から始まり、設計と開発、テストを経て、本番稼働と運用定着へと進みます。

また、OBIC導入には半年から1年以上かかるケースがほとんどです。だからこそ、各段階で決める内容と関わる人を事前に整理しておくことが、成功の鍵になります。

要件定義・企画フェーズ

要件定義は導入のなかで最も重要で、失敗しやすい工程です。まず、機能一覧を見る前に、現行業務の実態を洗い出します。

  • 業務の実態:部署ごとの業務内容と、例外業務があるかどうかを確かめます。
  • 現行の課題:既存システムや紙の運用で起きている問題点を、一覧にまとめます。
  • 対応範囲:標準機能で足りる範囲と、カスタマイズが必要な範囲の切り分け。

要件は、例外業務も踏まえて組み立てます。標準機能とカスタマイズの範囲の切り分けを早い段階で済ませておくと、後工程のコスト管理にもつながります。

経営層から現場担当者まで、幅広い参加が必要です。情報システム部門だけで進めると、現場の実態が要件に反映されず、稼働後に使いにくさや業務の停滞が起きる場合があります。

このため、経営層がプロジェクトオーナーとして関わり、各部門のキーパーソンが参加できる体制を整えます。

設計・開発・テストフェーズ

設計では、業務の進め方と、それを支えるシステム仕様を並行して具体化します。

  • 業務設計:標準機能に合わせて業務を決めたうえで、承認フロー、権限、マスターデータを定めます。
  • システム設計:パラメータ、カスタマイズ仕様、外部連携の方式を具体化します。

仕様が曖昧なまま開発を進めると、あとから手戻りが増えます。そのため、設計と開発の仕様は、関係者の間で丁寧に合意しておきます。

テストでは、仕様どおりに動くかだけでなく、実際の業務が回るかも確認します。通常業務と例外処理に加えて、権限別の操作や月次・決算処理などを検証します。

テストに合格したら、本番データの移行(マイグレーション)と並行して利用者の訓練を進めます。教育期間や操作マニュアルが足りないと、稼働直後に混乱するおそれがあります。

さらに、本番稼働後も、制度改定への対応や分析機能の活用、定期的な見直しを続けられる運用体制が必要です。

▶ 詳細はこちら:OBIC(オービック)導入の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

ポイント

導入期間が長くなるため、段階ごとに決めることと関わる人を先に整理しておきます。特に要件定義では、標準機能で足りる範囲と、カスタマイズが必要な範囲を分けておくことが大切です。

OBIC(オービック)導入の開発会社・ベンダーの選び方

OBIC導入の成否は、開発会社・ベンダーの選定に大きく左右されます。そこで、技術力や業務知識、管理・サポート体制を評価して、自社に合う会社を選びます。

実績・技術力の確認ポイント

製造業の生産情報の構築と、流通業の販売・在庫管理の構築では、必要なノウハウが大きく異なります。そのため、OBIC7の導入実績は、自社と同業種・同規模の企業への経験を特に重視して確認します。

「OBIC7を扱う」と示されているだけでなく、導入事例を具体的に確かめると、導入後のリスクを減らせます。

技術面では、専門性と対応範囲の2点を見ます。

  • 専門性:OBIC7の認定資格を持つ人材と、社内で開発できる体制の有無。
  • 対応範囲:要件定義から開発、運用保守まで一貫して任せられるかを見ます。

工程ごとに担当会社が異なると、連携のミスが起きたり、責任の所在があいまいになったりする場合があります。原則として、一社で対応できるベンダーが理想です。

プロジェクト管理体制とサポートの評価

管理体制では、専任のプロジェクトマネージャーがいるかどうかと、進捗・課題・リスクの管理方法を確認します。

大規模なERP導入では課題が重なりやすく、納期の遅れや予算の超過につながる場合があります。問題が起きたときに速やかに共有でき、意思決定もできる体制かも確かめます。

稼働直後は混乱や不具合が集中しやすく、迅速な支援が業務の継続に関わります。このため、保守契約も比べる対象に入れます。

  • 問い合わせ対応:ヘルプデスクの対応時間と、問い合わせの手段。
  • サービス水準:SLA(サービスレベル合意)の中身を、自社の求める支援と照らし合わせます。
  • 変更対応:法改正やバージョン更新への対応方針。

長期的なパートナーとして信頼できる関係を築けるかどうかが、最終的な選定の決め手になります。

▶ 詳細はこちら:OBIC(オービック)導入でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

ポイント

開発会社は、導入実績と専門性、要件定義から保守までの対応範囲で比べます。工程ごとに担当が分かれると連携ミスが起きやすいため、一社で任せられるかも判断材料になります。

OBIC(オービック)導入の費用相場

小規模、中堅、大規模の3区分ごとにOBIC7の初期費用目安を示す図
導入範囲が広がるほど、費用の目安も上がります。

OBIC7の料金は、公式サイトでは公開されていません。費用は構成やカスタマイズの内容・範囲によって変わるため、複数のベンダーから見積もりを取って比べます。

規模別の費用目安

OBIC7は、従業員約50名の中小企業から数千名規模の大企業まで導入されています。費用は規模や構成によって異なります。

  • 小規模:従業員100名以下で会計中心の導入。初期費用は500万〜1,500万円程度が多く報告されています。
  • 中堅:従業員100〜500名で、複数モジュールを導入する場合。初期費用は1,500万〜5,000万円程度が一般的です。
  • 大規模:大企業やグループ展開を含む導入では、5,000万円超も珍しくありません。
  • クラウド運用:月額費用がかかり、年間の運用費は初期費用の15〜20%程度が目安です。

小規模導入の初期費用には、ライセンス、導入支援、初期設定が含まれます。一方で、中堅企業では、カスタマイズ開発や業務コンサルティングの費用も加わります。

費用を左右する主な要因

見積もりでは、導入範囲や利用規模、移行や支援の内容が費用を左右します。

  • モジュール:導入する数や範囲が広いほど、費用は高くなります。
  • カスタマイズ:有無と規模で、費用が大きく変わります。
  • 利用規模:ユーザー数と利用拠点数で、見積もりが決まります。
  • データ移行:複雑な移行や既存システムとの連携ほど、費用が増えます。
  • 導入支援:業務コンサルティングを含む支援の工数が関わります。

OBIC7は標準機能が豊富で、多くの業務に対応できます。一方で、企業固有の業務をそのまま組み込む場合は開発費が発生し、費用の変動幅も大きくなります。

過剰なカスタマイズは、初期費用だけでなく、更新や法改正への対応費用も増やすおそれがあります。このため、標準機能に業務を合わせるFit to Standard(F2S)は、長期的な費用管理に有効です。

▶ 詳細はこちら:OBIC(オービック)導入の見積相場や費用/コスト/値段について

ポイント

OBIC導入の費用は規模と導入範囲で大きく変わるため、規模別の目安を踏まえて各社の見積もりを並べて判断します。カスタマイズを増やすほど、初期費用に加えて更新や法改正への対応費も膨らみます。

OBIC(オービック)導入の発注・外注方法

発注先の種類と特徴を理解し、自社の状況に合った依頼方法を選びます。発注の形態を誤ると、期待した支援を受けられず、費用が想定外に膨らむおそれがあります。

事前の準備と発注先の選定を適切に進めることが、プロジェクトの成功に直結します。

発注先の種類と特徴

OBIC導入の発注先は、主に3種類あります。支援範囲や得意分野を、自社の状況に照らして比べます。

  • オービック本体:製品知識が深く、最新バージョンへの対応が速い傾向です。
  • 認定パートナー:地域に密着した支援や、業種に特化した知見を持つ会社があります。
  • SIer・ITコンサル:導入実績があり、業務改革から関わる会社もあります。

オービック本体は、主に大企業や中堅企業を支援しています。一方で、中小企業への丁寧な対応では、パートナー経由が適する場合もあります。

認定パートナーは全国にあり、所在地や業種が自社に合う会社を選ぶと、きめ細かな支援を受けやすくなります。

SIerやITコンサルには、業務コンサルティングから保守まで一貫して対応する会社もあります。そのため、大規模な業務改革では有力な候補になります。

発注前に準備すべきドキュメント

見積もりの精度を高め、提案を比べやすくするために、自社の現状と目的、制約条件を資料にまとめます。

  • 現状業務:主要業務の流れ、現行システムの構成、課題を書き出します。
  • 目的・要件:導入の目的と、解決したい業務課題を文書にまとめます。
  • 制約条件:予算の上限、稼働を希望する時期、担当者の人数と役割を明確にしておきます。

業務の流れや課題を共有すると、ベンダーの理解が進み、見積もりの精度も上がります。一方で、目的が曖昧なままだと評価の軸が定まらず、提案の比較が難しくなります。

資料をもとにRFP(提案依頼書)を作成し、複数のベンダーに同じ条件で見積もりを依頼します。そうすると、費用や提案内容、体制の違いを客観的に比べられます。

▶ 詳細はこちら:OBIC(オービック)導入の発注/外注/依頼/委託方法について

OBIC(オービック)導入で失敗しないためのポイント

OBIC導入では、失敗の要因と対策を事前に把握しておくことが欠かせません。あわせて、データやセキュリティ、法令対応の考え方も整理しておきます。

よくある失敗パターンと対策

導入の目的は業務効率化や経営の高度化です。ところが、非効率な業務の流れをそのままシステム化すると、稼働しても改善につながらない場合があります。

  • 業務の見直し:現行業務のあるべき姿を描いてから、システム化に進みます。
  • カスタマイズ:標準機能で足りる業務は、標準機能をそのまま使います。
  • 現場参加:各部門の担当者を早い段階で巻き込み、その声を要件に反映します。

カスタマイズに依存しすぎると、更新や法改正への対応費用が増え、保守性も下がります。さらに、特定のベンダーや担当者しか把握できないシステムになるおそれもあります。

現場の担当者が参加しないままだと、稼働後に使いにくさへの反発が起きる場合があります。

セキュリティ・法令対応の考え方

機密情報を守るため、設計の段階で利用者の権限、監査記録、外部接続の管理方法を決めておきます。

  • アクセス権限:利用者ごとに使える機能を設定します。
  • ログと監査:記録をどこまで残し、どう対応するかを決めます。
  • 外部アクセス:外部ネットワークからの接続を制御します。

クラウド型では、データセンターがISMSやSOC2などのセキュリティ認証を取得しているかも、ベンダーを評価する基準になります。

近年は、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応が重要になっています。OBIC7は、こうした法改正に対応する更新を続けています。

カスタマイズが多い環境では、法改正の更新を適用しにくい場合があります。標準機能の範囲で運用すれば、法令対応の費用を抑えられます。

給与計算や社会保険の法改正も毎年あります。そのため、ベンダーの対応実績と速さを事前に確かめておきます。

ポイント

業務の見直し、標準機能の活用、現場の参加を最初に決めておくと、稼働後の使いにくさや保守の負担を抑えやすくなります。セキュリティと法改正への対応も、設計段階で決めておくことが欠かせません。

まとめ

OBIC7は、日本の商習慣や法制度に対応した国産のERPで、累計導入社数は2.5万社を超えています。ただし、導入には期間や費用、社内の人手が必要なため、事前の準備とパートナー選定が大切です。

要件定義で業務を整理し、関係者を巻き込むことが第一歩です。そのうえで、標準機能を活用し、信頼できるパートナーと長期的に協力することが、導入を支えます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。