清掃業向け清掃現場管理システム開発の完全ガイド

清掃現場管理システムは、現場の作業記録を管理者の確認、顧客報告、請求へつなぎ、作業漏れや転記の手間を減らす仕組みです。

システムの種類、導入の進め方、費用相場、開発会社の選び方、安全対策の順に説明します。各テーマの詳しい内容は、関連記事にもまとめています。

▼関連記事一覧
・清掃業向け清掃現場管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・清掃業向け清掃現場管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・清掃業向け清掃現場管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・清掃業向け清掃現場管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

清掃業向け清掃現場管理システムの定義と役割

物件台帳を中心に、契約・作業計画から帳票・請求・経営管理までの基本機能を示した図解。
現場の記録が管理や請求につながる構成です。

清掃業向け清掃現場管理システムは、契約どおりの作業を記録し、そのデータを管理者の確認や顧客報告、請求・原価集計へつなぐ業務基盤です。目的は入力のデジタル化にとどまらず、作業・伝達・請求の漏れや報告書の転記を減らし、現場と本部が同じ事実を見られる状態をつくることにあります。

紙・Excel・電話中心の運用を見直す理由

紙・Excel・電話中心の運用で起きやすい問題は、記録の転記と最新情報の確認に手間がかかる点です。

  • 紙の日報:管理者が内容を書き写し、写真を探して報告書を整える手間がかかります。
  • Excel台帳:複数人が別々のファイルを更新すると、物件情報のどれが最新版か分かりにくくなります。
  • 電話・個人チャット:シフト変更の経緯や急な欠勤時の指示を、後から追いにくくなります。

物件マスターに、担当者や作業周期、チェック項目、報告書様式を紐づけておくと、現場の記録から管理者の確認まで情報がつながります。

写真とチェック結果が現場から送られると、管理者は未提出、差し戻し、遅延を一覧で確認できます。効果は会社ごとに異なるため、導入前に報告書作成時間や確認電話、未実施件数、請求作成日数を測っておきます。

最低限そろえるべき機能

基本機能は、物件台帳から経営管理までの五つです。業務データを一つにつなぐため、各機能の役割を確認しておきます。

  • 物件台帳:建物や顧客の情報を登録し、作業仕様や入館方法、鍵、注意事項も残します。
  • 契約・作業計画:日常、定期、スポットの作業について周期と単価を管理し、期限や更新通知も扱います。
  • シフト・アサイン:担当者と作業予定を管理します。
  • 現場記録・品質確認:作業の開始と終了、チェックリストや写真を記録し、異常報告や電子サインも残します。
  • 帳票・請求・経営管理:確認や顧客報告、請求、原価や経営状況の集計につなげます。

管理者側では、未実施や遅延、差戻しを追跡し、クレームや是正対応も記録できます。写真付き報告書や顧客指定のExcel様式へ出力できると、転記の手間を減らせます。

最初の導入では、五つの機能をすべて搭載する必要はなく、必要な機能から始める進め方もあります。ただし、現場の実績が請求、給与、原価と分断されると、忙しさと利益を結びつけにくくなります。将来ほかのシステムとつなぐ余地も確認しておく必要があります。

清掃現場管理システムの種類

選択肢は、既製SaaS、パッケージ・ローコード、専用開発に分かれます。業務を標準化するか、自社独自の契約・帳票・原価計算を再現するかで、適した方式が変わります。

既製クラウドサービスが向いている会社

写真付き報告やチェックリストに加えて、案件管理、シフト、顧客管理を短期間で始めたい会社には、既製SaaSが候補になります。

  • 運用負荷:認証や通知の仕組み、更新、バックアップを、自社で一から構築せずに済みます。
  • 機能の制約:顧客別の帳票や複雑な出来高計算、独自の締め処理、細かな権限に制約が出る場合があります。
  • 無料体験:実物件を使い、写真送信や通信断への対応、担当変更、顧客指定帳票の出力を試します。

公式料金の公開例には、初期費用0円で無料プランから始め、月額980円または1,980円のユーザー課金へ拡張できるサービスもあります。別のビルメンテナンス向けサービスは、初期費用30,000円で、5IDまで月額4,980円です。6名以上の場合は1名あたり月額2,980円です(出典: 各サービスの公式料金ページ、2026年8月確認)。

パッケージ・ローコード・専用開発の使い分け

方式は、自社帳票などをどこまで調整するかと、既存業務とどこを連携させるかに応じて選びます。

  • パッケージ・ローコード:標準機能を活かし、自社帳票や承認フローを調整します。
  • 専用開発:複数拠点の契約や協力会社への依頼、物件別損益を、特殊請求や基幹連携と一つにつなぎます。

パッケージやローコードは、初期設定やフォーム作成の費用がかかるものの、スクラッチ開発より短期間で始められ、変更もしやすい方式です。

作業報告から始め、CSVやAPIで会計・給与・勤怠へつなぐ構成にすると、現場の使いやすさと管理側の集計を両立しやすくなります。

自由度が高いほど、要件定義やテスト、教育、保守の責任が増えます。全社版を一度に作るのではなく、写真付き完了報告とシフトを一拠点で検証し、効果の出た機能から段階的に広げると、投資判断を誤りにくくなります。

ポイント

迷ったときは、業務を標準の機能に合わせられるかで判断します。標準で足りるなら既製SaaSやパッケージ、自社独自の帳票や基幹連携まで必要なら専用開発が候補になります。

清掃現場管理システム開発・導入の進め方

企画・要件定義、デモとパイロット、本番展開後へ進む導入の流れを示した図解。
現場で試した結果を見てから対象を広げます。

導入は、機能を先に決めるのではなく、現場の流れと測定指標をそろえるところから始めます。そのうえで、物件登録から予定作成、入館、作業までを一つの業務シナリオにまとめ、写真・チェックと承認、顧客報告、請求へとつなぎます。例外も小さく試します。

▶ 詳細はこちら:清掃業向け清掃現場管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

企画・要件定義で決めること

企画では、現場スタッフや現場責任者から困りごとを聞きます。営業・顧客対応、経理、経営者にも聞き、業務と導入条件を整理します。

  • 困りごとの記録:「報告が遅い」といった声について、誰がいつ何を転記し、確認に何分かかるかを書き留めます。
  • 現場の規模:物件数やスタッフ数、月間作業件数を一覧にします。
  • KPI:報告書作成時間や確認電話の件数、未実施・遅延件数を指標にします。
  • 試行の範囲と目標:最初の3カ月の対象と、報告作成時間の短縮目標を置きます。
  • 要件の範囲:対象範囲と期限を定め、顧客指定帳票やオフラインの扱いを要件にします。

一覧には、定期清掃の比率や写真保存量も加えます。帳票数と協力会社数も、同じ一覧に入れておきます。

KPIには、請求漏れや月末残業、入力完了率も指標に加えます。

試行の数値の例は、10現場・スタッフ20名を対象とし、報告作成時間を1件あたり15分短縮することです。

要件には、GPSや写真保存期間、紙との併用終了日も含めます。複数言語の扱いも、要件に入れます。

デモとパイロットでの検証項目

候補は2〜3方式に絞り、デモ画面だけでなく、実際の物件データを使って操作を確かめます。

  • 通信と写真:不安定な場所でも一時保存でき、写真を複数枚まとめて送れるか試します。
  • 現場での操作:外国人スタッフが迷わず使えるか、欠勤時に担当を差し替えられるかを確かめます。
  • 利用者の評価:現場スタッフも同席させ、管理者だけで判断しないようにします。

パイロットは2〜4週間を目安に、異なる種類の現場で行います。日常清掃や定期清掃、スポット作業の現場に加え、協力会社の作業や顧客指定報告書も試します。

導入前後でKPIを比較し、入力完了率が低いときは、機能を足す前に項目数や写真サイズ、通知、教育方法を見直します。効果が確認できたら、対象拠点を広げ、利用ルールと問い合わせ窓口を決めます。

本番展開後の定着の進め方

本番展開後は、責任者と操作手順を定めたうえで、利用状況と業務成果を見ながら運用を整えます。

  • 責任の分担:物件マスターの登録と作業仕様の変更承認、報告書の確認と請求データの確定について、それぞれ責任者を決めます。
  • 現場向けの案内:ログインと担当確認、チェック、写真と送信、差し戻し対応を、一枚の手順にまとめます。
  • 月次の見直し:KPIを確認し、使われていない入力項目を減らします。
  • 紙や個人チャットへ戻す場合:入力の負荷や通信、端末の状態、権限と通知に問題がないかを調べます。
  • 改善の材料:利用率と業務成果を合わせ、現場の声と数値を基に見直します。

日本語以外の説明が要る場合は、画面文言や写真付きの手順も用意します。また、クレームにつながった作業のチェック項目は、更新しておきます。

ポイント

最初の対象は、写真付き完了報告やシフトなど、効果を測りやすい業務に絞ります。一拠点で2〜4週間試し、測定したKPIで効果を確かめてから、対象拠点や機能を広げます。

清掃現場管理システムの費用相場

既製SaaSから全社統合開発まで、方式別の初期費用レンジを横棒で比較した図解。
個別開発では方式と対象範囲で参考額が変わります。

費用は方式と対象範囲によって変わります。10〜20名規模で検討する場合、クラウド型では初期費用0〜3万円程度、月額無料〜10万円程度が出発点になります。

参考レンジは、PoCが50万〜300万円、業務システム開発が300万〜2,000万円程度です。ただし、清掃業に特化した公的統計ではなく、見積実績を断定するものでもありません。

▶ 詳細はこちら:清掃業向け清掃現場管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

方式ごとの初期費用と期間

方式ごとの費用と期間は、企画の段階で比べるための仮説のレンジです。

  • 既製SaaS:初期0〜30万円、月額0〜10万円程度、利用開始は数日〜1カ月です。
  • パッケージ設定・帳票変更:30万〜300万円程度、1〜4カ月です。
  • ローコード・専用フォーム:100万〜500万円程度、2〜6カ月です。
  • スクラッチのMVP:300万〜800万円程度、3〜6カ月です。
  • 全社統合開発:契約・原価・請求・会計まで含めると、800万〜2,000万円以上、6〜18カ月以上かかる場合があります。

金額は、認証・権限やスマートフォン画面、写真保存、帳票を含むかどうかで変わります。データ移行や外部連携、テストと教育、保守を含むかでも差が出ます。

初期費用だけで比べると、追加開発や移行、サポート、解約時のデータ返却費が後から加わり、予算を超えることがあります。見積書では、開発費と初期設定、月額を分けて示してもらい、保守やクラウド、連携・教育の費用も確認します。

見積書で分けて確認する費用

見積では、費用を機能や工程ごとに分けてもらい、対象範囲を確かめます。

  • 設計・画面:要件定義やUI試作と、管理画面、現場アプリを分けて示してもらいます。
  • 基盤・機能:APIやデータベースに加えて、写真・帳票、認証・権限、通知の費用を確認します。
  • 導入・運用:データ移行やテスト、教育、リリース後の保守について、費用を示してもらいます。
  • 一式項目:「帳票対応一式」「連携一式」は、対象帳票数、項目数、連携方式を示してもらい、エラー対応や追加費用の条件まで分解します。

投資効果は、削減時間×担当者の時間単価に、請求漏れや再訪問、クレーム対応の削減額を合計して試算します。たとえば、管理者2名が月40時間ずつ報告書を作り、その25%を減らせれば、月20時間の削減になります。

そこから、月額や保守、端末、教育費を差し引きます。そのうえで、実際の時間単価と売上への影響を入れ、導入後も同じ指標で検証します。

ポイント

費用は方式と対象範囲で大きく変わるため、初期費用だけでなく、月額や保守、移行、教育を含めた総額で比べます。

清掃業向け清掃現場管理システムの開発会社・サービスの選び方

選定では、営業資料に並ぶ機能数より、自社の現場シナリオを再現できるかを確かめます。なお、「開発会社」と「既製サービスの提供会社」は同じではありません。製品をそのまま使うのか、設定変更を依頼するのか、個別開発やAPI連携を発注するのかを分けて考えると、価格と責任範囲が明確になります。

現場での使いやすさの評価

現場への適合性は、端末や通信環境も含めて、実際の作業の中で評価します。

  • 操作:入力項目の数、片手での操作、写真撮影から送信までのタップ数を確認します。
  • 端末・通信:低スペック端末や古いOS、共有端末を使い、地下や高層階でも試します。
  • 多言語対応:翻訳だけでなく、アイコンや写真、音声、教育資料も評価します。

オフライン時の一時保存と再同期も、現場で実際に確かめます。物件が変わったときに鍵や入館方法が伝わるか、欠勤時に担当を数分で再配置できるか、差戻しを現場が確認できるかも見ます。

評価には、管理部門だけでなく、現場責任者やスタッフ、顧客報告や請求の担当者も加えます。それは、毎日使う画面と月末だけ使う画面では優先順位が異なるためです。

データ移行と外部連携の確認項目

既存のExcelや紙台帳は、すべて捨てなくても構いません。まず移行、整理、廃棄の対象を決め、そのうえで連携方法を定めます。

  • 移行するデータ:物件と顧客、契約のデータを洗い出し、重複や表記ゆれ、古い入館情報を確かめます。
  • 移行の責任:移行後に確認する担当者と、失敗時に元へ戻せるかを契約に含めます。
  • 連携方式:勤怠や給与、会計、請求との接続は、API、CSV、手動出力から選びます。
  • 運用ルール:連携の頻度と項目、エラー通知、再送の方法を明記します。
  • 出力形式:顧客指定のExcelやPDF、電子データで確認し、修正履歴と保存場所を決めます。

移行の対象には、作業仕様や単価、スタッフ、過去報告書、写真も含めます。

連携では、メールや社内チャットとの接続も対象に含めて考えます。また、どこまでを誰が受け持つかも決め、原因を追えるようにします。

提案と契約で比べる項目

提案書では、導入範囲と費用だけでなく、前提条件や成果指標、保守体制を同じ条件で比べます。

  • 導入範囲:対象拠点やスタッフ、業務、導入スケジュールの条件を、各社で揃えます。
  • 追加対応:要件変更の単価と、追加機能の見積方法を確認します。
  • 運用・契約:障害受付や復旧目標、バックアップ、解約時の形式と削除時期を確認します。

安くても現場で使われず紙へ戻ってしまえば、移行や教育を含めた総費用は、結果として高くなります。

RFPには、物件数やスタッフ数、月間作業件数を記載します。さらに、日常・定期・スポットの比率や写真枚数、帳票数、顧客様式も書き添えます。

仕様には、権限やGPS、オフラインの扱いを含めます。多言語、会計・勤怠連携、保存期間も、同じ仕様書に書いておきます。

提案者には、実際の現場シナリオに沿ったデモと、導入後90日間の支援内容を求めます。使わない機能を削って初期費用を抑える提案ができるかも、選定の材料になります。

▶ 詳細はこちら:清掃業向け清掃現場管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:清掃業向け清掃現場管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

比べる基準は機能数ではなく、自社の現場シナリオを実物件で再現できるかです。「開発会社」と「既製サービスの提供会社」の違いも、契約前に確かめておきます。

GPS・写真・顧客情報を扱う際の安全対策

GPSや写真を使う現場では、位置情報や施設写真が、ほかの現場情報と同じシステムに集まります。

  • スタッフ情報:現場に入る担当者の情報です。
  • 鍵・入館方法:物件に入るための情報です。
  • 契約・請求情報:契約内容と請求に関する情報です。

これらを扱うには、取得目的や閲覧者、保存期間をあらかじめ決めておく必要があります。さらに、解約後の返却・削除方法も決めておきます。

個人情報とGPSの利用目的の定め方

個人情報とGPSは、利用目的を定めたうえで、必要な情報だけを扱う設計にします。

  • GPS:到着確認や作業場所の不正利用防止などに絞り、業務ごとに常時か、作業開始・終了時のみかを分けます。
  • スタッフへの説明:目的や閲覧者、保存期間、問い合わせ先を伝えます。
  • 写真・端末情報:人や書類が写らないルールを作り、不要な位置情報や個人データは集めません。

個人情報保護委員会の通則ガイドラインを踏まえ、アクセス制御や認証を確認します。出典は、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2026年確認です。

ほかに、次の項目も確認します。

  • 不正アクセス対策:外部からの侵入や不正な操作を防ぐ仕組みです。
  • 組織・人的・物理的管理:運用の体制と、人や設備の管理です。
  • 委託先監督:開発や運用を任せる先の管理状況を確かめます。

利用企業と提供者の責任、再委託先や国外保管の有無、漏えい時の報告手順も、契約前に確認します。

最低限確認する技術・運用項目

技術・運用面では、事故を防ぎ、起きたときに備える仕組みを確認します。

  • アクセス管理:役割別の権限や二要素認証、操作ログと変更履歴を確認します。
  • データ保護:通信・保存時の暗号化、バックアップ、復元試験を確認します。
  • 写真・端末:容量上限や圧縮、原本性、検索や削除の扱いを確認し、DL制御や紛失時の遠隔ログアウトも確かめます。

IPAの中小企業向け情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版は、経営者向けと実践者向けの二部構成です。このほか、クラウドの安全利用やインシデント対応の資料も公開されています(出典: IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版」、2026年3月公開)。

安全は、導入したあとの運用で保たれます。退職者のアカウント削除や権限の見直しを運用に組み込み、さらに復元訓練と事故時の連絡網も決めておきます。

請求・電子取引データの保存で注意すること

電子取引データを扱う場合は、保存要件や検索性、変更履歴を経理担当者と確認します。国税庁は、電子取引データの真実性・可視性確保に関する資料やチェックシートを公開しています(出典: 国税庁「電子取引関係」、2026年確認)。

  • 対象取引:見積書や請求書、領収書、顧客メールの情報を、経理担当者と確認します。
  • 検索・履歴:取引年月日や金額、取引先で検索でき、訂正や削除の記録が残るかを確認します。

紙の報告書をPDF化して保存すれば足りるとは限らず、承認状態や出力履歴、保存期間、バックアップも設計します。適用関係は、取引形態や社内規程で変わるため、税務担当者や専門家に確認して仕様へ落とし込みます。

ポイント

個人情報やGPSは、利用目的と保存期間を先に決め、その範囲に収まるように機能を絞るのが目安です。導入後も、退職者のアカウント削除や権限の見直しを運用に組み込みます。

導入で起きやすい失敗と対策

失敗の多くは、機能の不足より、業務と導入順序の設計不足から起きます。集計機能を重視しても、入力画面が複雑ならデータは集まりません。現場アプリが承認や請求までつながっていないと、管理側の手作業が残ります。

全社一斉導入と過剰なカスタマイズのリスク

一斉導入や過剰な個別対応は、要件の膨張や変更費用につながるため、導入を段階に分けます。

  • 全社一斉導入:物件や契約の情報から請求、勤怠、原価まで同時に置き換えると、試行が遅れます。
  • 段階導入:写真付き完了報告、チェックリスト、シフトの三つに絞り、一拠点で2〜4週間試します。
  • 帳票対応:テンプレート、CSV、PDFで足りる範囲と、専用開発が要る業務を分けます。

完成まで時間がかかるほど、契約や作業仕様が変わり、画面が実態からずれるリスクも高まります。

自社の紙帳票を完全に再現するカスタマイズには、注意が必要です。顧客ごとに個別画面を作ると、変更のたびに開発費が発生するうえ、標準アップデートを受けにくくなることもあります。

現場に定着しないときの見直し

入力率が低いときは、原因を順に確認し、現場に必要な入力へ絞ります。

管理者が入力項目を増やすと、現場の送信が遅れ、後からまとめて入力する場合があります。そこで、品質証明に必要な項目と、集計目的だけの項目を分けます。

  • 入力項目と環境:項目数や必須項目、写真サイズを確認し、通信環境や端末の共有、アカウント、通知時期も見直します。
  • 現場での支援:現場責任者を推進役にして、最初の数件を一緒に操作します。
  • 定期的な確認:導入後30日、60日、90日に、入力完了率や報告作成時間を確認します。
  • 機能の見直し:成果が見えない機能は、削ることも検討します。

問い合わせ内容を記録し、同じ質問が繰り返されるなら、画面や手順を変えます。

未提出件数やクレーム対応時間も、同じ時点で見ます。

清掃業向け清掃現場管理システムのよくある質問

答えは、現場の人数や物件数、契約形態、既存ツールによって変わります。導入前によくある質問を、判断の基準とあわせて紹介します。

小規模な清掃会社でもシステムを導入するべきですか?

小規模な会社でも導入できます。ただし、最初から大規模な専用開発を行う必要はありません。

初期費用0円や月額数千円からの既製サービスを使えば、案件管理や写真報告、チェックリスト、簡単な顧客管理を始められます。まずは月末の転記時間を測り、効果を確認してから、請求や原価へ広げます。

通信が不安定な現場でも使えますか?

サービスや開発方式によりますが、入力の保存と回復後の同期を要件にすれば対応できます。

地下や高層階、屋外、共有Wi-Fiで通信を切り、作業開始からチェックや写真の登録、送信、再同期までをテストします。非対応のサービスでは、入力内容を端末に一時保存するか、紙の代替手順を事前に決めます。

システム開発費を抑えるにはどうすればよいですか?

写真付き完了報告やシフトなど、効果を測りやすい業務から始めます。標準機能や設定変更、帳票変更、個別開発、外部連携を分けて考え、標準の範囲で運用を変えられる部分は作り込みを抑えます。

複数社に同じRFPを渡し、3年間の総額で比べます。総額には、初期費用に加えて月額や保守、変更費用を入れます。移行や教育、解約費用も忘れずに入れます。

解約や乗り換えのときにデータは返してもらえますか?

契約前に、物件や顧客、契約、作業実績のデータを、どの形式で出せるかを確認します。写真や帳票、操作ログについても、出力形式を確かめます。

特に、写真のファイル名や撮影日時、物件IDとの紐づきが保たれるか、出力に費用や期限があるかも確かめます。解約後の削除時期、バックアップの保存期間、再委託先の削除証明の有無は、契約書や利用規約で確認します。

まとめ

清掃現場管理システムは、物件や契約、予定、作業記録を写真や品質確認、顧客報告、請求へつなぎ、現場の事実を会社の資産にする仕組みです。選定では、現場の入力負荷、オフライン、移行、帳票を確かめ、請求・原価、権限、ログ、バックアップ、解約時のデータ返却まで確認します。

最初に取り組むこと

物件登録から請求までの現状を一枚の図にまとめ、報告書作成時間や未提出件数、確認電話、月末残業を測ります。写真付き完了報告とシフトを対象に、既製SaaS、設定・ローコード、専用開発を同じシナリオで比べます。小規模なパイロットで、現場が使い続けられることと、管理側の数字が改善することを確かめてから広げます。

比較で迷ったときの判断基準

機能数よりも、現場が毎日入力でき、管理者が同じデータを確認でき、請求まで転記せずに進められることを優先します。測定するKPIと将来の連携を決め、不要な機能は後回しにします。小さく検証して、成果が出た機能だけを全拠点へ広げます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。