設備図面管理システム開発の完全ガイド

設備図面管理システムの開発では、管理対象、導入方式、既存システムとの連携範囲の3点を先に決めると、必要な機能と導入の全体像をつかみやすくなります。図面の検索や版管理から、設備台帳や保全履歴との連携まで、どこまでを対象にするかで検討の範囲が変わります。

▼関連記事一覧
・設備図面管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・設備図面管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・設備図面管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・設備図面管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

設備図面管理システムの定義

設備図面管理システムは、工場・プラント・建物・設備機器の図面と関連情報を、設備単位で検索・閲覧・更新する業務システムです。

PDFを保管するだけでなく、図番、設備番号、設置場所、改訂番号、承認状態、利用できる拠点を一貫して管理します。

図面と設備情報を同じ単位で管理

従来のファイルサーバーでは、「工場A」「設備」「新」「最終版」のような名前を頼りに探すため、担当者の記憶頼みになりがちです。

そこで、設備番号を入口に、配置図、詳細図、仕様書を関連付けます。さらに、設備に結び付けておくと役立つ資料も、同じ番号でまとめて扱います。

  • 取扱説明書:設備の操作や保守の手順を確かめる資料。
  • 検査記録:検査の結果を残した記録。
  • 現場写真:設備の現況を現場で撮った写真。
  • 保全履歴:修理や点検など、設備の保全の経緯。

設備の画面から資料をたどれるため、異動や退職の後も情報を引き継ぎやすくなります。

製造図面管理と設備保全管理にまたがる範囲

製造図面管理と設備保全管理では、管理の中心になる情報が異なります。

  • 製造図面管理:図番採番、CAD連携、照査・承認、出図、改訂履歴が中心です。
  • 設備保全管理:建屋・階・ライン・設備の階層、点検・故障履歴、予備品、担当部署、現場写真が重要です。

両方を扱うなら、設計変更を正しく配布することと、設備保全の情報へ素早くたどり着けることのどちらを主な目的にするかを、先に決めます。

目的が曖昧なまま機能を増やすと、PDM・PLMやEAM・CMMSと役割が重なり、二重入力が生じるおそれがあります。

設備図面管理システムの種類と選び方

設備図面管理システムの方式選択に関わる4つの比較軸をカードで示した図。
比較軸をそろえると、方式ごとの検討漏れを見つけやすくなります。

導入方式は、SaaS・クラウド、パッケージ・オンプレミス、専用環境のクラウドのほか、スクラッチ開発やローコードを組み合わせる方式から選びます。

比べる際は、機密図面の扱いと現場の通信環境を中心に見ます。既存システムとの連携、拠点数、運用できる人員も基準になります。

SaaS・クラウド型の特徴と向く場面

SaaS・クラウド型は、自社でサーバーを構築せず、月額または年額で利用します。検索・閲覧・版管理をすぐに使いたい場合や、まず1工場で効果を確かめたい場合に向いています。

公開料金の一例は月額4万8,000円(税別)で、最低利用期間は12か月です。なお、図面データの取り込みは別オプションです(出典: 図面管理クラウドの公開料金ページ、2025年1月時点)。

契約終了時のデータ返却、保存地域、オフライン閲覧を確かめます。加えて、API、SSO、多要素認証、監査ログの保存期間も見ておきます。

パッケージ・オンプレミス型の標準化と管理範囲

パッケージ・オンプレミス型は、図番、改訂、承認を中心とする標準機能を、自社サーバーや閉域環境で運用する方式です。廃図や全文検索も、標準機能に含まれます。

外部クラウドへ出しにくい機密図面や、長期の設備情報を社内で統制したい場合に適しています。一方で、サーバーの更新やバックアップを自社で担う範囲が増えます。障害対応やクライアント更新も受け持つことになります。

標準機能で足りる業務と、追加開発が必要な業務を、要件定義の段階で分けておきます。

スクラッチとローコードの使い分けと独自業務の範囲

独自の設備ID体系、図面上の位置管理、特殊な承認経路が競争力に直結する場合は、スクラッチ開発やAPI連携を検討します。EAM・MES・ERPとの深い連携が競争力に直結する場合も、スクラッチ開発やAPI連携の候補になります。

設備台帳や申請画面だけをローコードで作り、図面・CAD・PDMの中核は専用製品に任せる構成もあります。

データの正本を一つに決め、同期失敗時の再送やID重複の防止まで設計できれば、独自開発を抑えつつ業務に合わせられます。

ポイント

方式を選ぶときは、機密図面を外部のクラウドに置けるか、現場の通信環境が安定しているかを先に見ておくと、SaaSと自社運用のどちらが合うか判断しやすくなります。

設備図面管理システムの主要機能

設備図面管理の機能を、検索・プレビュー、版管理・承認、現場連携の3つに分けた図。
機能を業務の場面ごとに分けて、確認範囲を整理できます。

設備図面では、ファイルを表示できるだけでは足りないため、機能は業務の流れの中で使えるかどうかで見ます。最新版への到達、設計変更の影響確認、協力会社への限定共有を、業務シナリオで確かめます。

機能一覧を見ると、検索や承認、閲覧、権限は、どの製品にもあるように見えます。ただ、名前が同じでも中身は製品によって異なります。

一元保管・属性検索・プレビュー機能

図面はDWG、DXF、JWWなどのCAD形式に加えて、PDF、TIFF、BIMやCAD出力も扱えます。仕様書や取扱説明書、検査記録は、設備・案件・製品と関連付けます。写真や注文関連資料も、ひも付けの対象です。

図番、設備番号、工場、建屋、階、ラインの属性で絞り込めます。作成者、承認者、改訂日、状態でも条件にできます。そのうえで、全文検索やOCR、サムネイルで内容を確かめます。

CADライセンスがない現場でも、ブラウザやタブレットで見られるかを確かめます。特に、大容量の図面を実用的な速度で開けるかも見ておきます。

版管理・承認・廃図処理の機能

図面は、登録、承認、配布の各状態で管理します。そのほかに、確認から廃図までの流れも図面ごとの状態として持たせると、いまどの段階かを追えます。

  • 照査:別の担当者が図面の内容を確かめる段階。
  • 出図:確認を終えた図面を正式に発行する段階。
  • 受領:発注先や関係部門が図面を受け取る段階。
  • 差し戻し:修正のため、図面を前の段階へ戻す状態。
  • 廃止:もう使わない図面として扱う状態。

誰がいつ何を変更したかは監査ログに残し、旧版を開いたときの警告や、廃図の通常検索からの除外、承認前の仮登録の配布制限も設けます。

図面を差し替えるとき、関連設備、作業標準書、点検項目、協力会社への配布先まで影響範囲を追えると、変更の伝達漏れを抑えられます。

位置管理・モバイル・写真連携の機能

現場での図面参照や記録、通信条件に関わる機能は、3つに分けて確かめます。

  • 位置管理:配置図から建屋、フロア、ライン、設備へたどり、仕様や保全履歴、関連文書を開けます。
  • モバイル連携:設備番号やQRコードで呼び出し、図面上に写真やメモを残して、巡回後の転記を減らします。
  • 現場要件:通信が不安定な場所でのキャッシュ・オフライン動作、同期競合、画像容量、端末紛失時の遠隔消去。

2026年6月時点の公開更新情報でも、新しいCAD形式への対応が続いています(出典: 図面管理クラウドの公式更新情報、2026年6月)。対応形式は、導入時だけでなく運用中も確かめます。

ポイント

機能は、最新版への到達や設計変更の影響確認、協力会社への限定共有を業務の場面で動かせるかで比べると、製品の違いが見えてきます。

導入メリットと効果測定のKPI

導入効果を測るには、導入前に測れる数字を決めておく必要があります。図面検索時間、誤った版の使用件数、承認から配布までの時間、紙のコピー枚数、点検記録へ到達する時間などが候補です。

検索時間と手戻りの削減

紙棚や共有フォルダを探す時間と、担当者へ確認する回数を減らせます。さらに、最新版の承認状態を画面で確認できれば、古い図面で工事や点検を進めるリスクも下げられます。

公開導入事例では、図面・写真の整理を含む調査・報告業務全体を約25%削減した例があります(出典: 図面管理クラウドの公開導入事例、2021年)。

個社の効果は、そのまま自社に当てはまるとは限りません。そのため、対象業務と測定方法をそろえて比べます。

設備IDとログを使ったKPIの設計

KPIには、図面1件の検索・表示時間の中央値や、最新版以外の参照件数を使えます。承認リードタイム、廃図処理完了率、設備台帳とのひも付け率、写真付き点検記録の登録率も候補になります。

図面が見つからないことで起きた工事の手戻りや、保全担当者が過去資料を探す時間も記録しておきます。検索回数が増えても旧版参照や手戻りが減っていれば、その効果を評価できます。利用者数は、判断材料の一つにとどめます。

設備図面管理システム開発・導入の進め方

現状の棚卸しと要件定義からPoCとMVPを経て、データ移行・教育・拠点展開へ進む流れ図。
検証段階を挟むことで、次の展開範囲を判断しやすくなります。

設備図面管理の完成には、契約後の準備も欠かせません。まず紙やPDF、CAD、Excel台帳を棚卸しします。そのうえで、命名規則や権限、承認ルール、現場教育も整える必要があります。

全社一括の導入による混乱を避け、効果を検証しながら段階的に進めます。

▶ 詳細はこちら:設備図面管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

現状の棚卸しと要件定義

要件定義の前に、現状を次の4点で整理します。

  • 図面の所在:図面の種類、枚数、容量、形式、保管場所を洗い出し、重複や旧版、欠落、紙図面の状態も確かめます。
  • 表記の揺れ:設備番号や図番、工場名、建屋名、ライン名の表記揺れを一覧にまとめます。
  • 関係者:設計、製造、保全の各部門だけでなく、品質、情報システム、協力会社も含めます。どの場面で何を見るかを書き出します。
  • 対象範囲:検索や最新版表示、承認、権限、監査ログから始めるか、位置管理や保全履歴、QR呼び出しまで含めるかを決めます。対象外の範囲も明記します。

代表データのPoCとMVPによる適合度の確認

代表データの検証、MVPの評価、対象範囲の拡張という順で進めます。

  1. 候補を決める前に、代表データで検索やCAD変換、図面比較、承認、廃図、写真連携を試します。
  2. 薄い文字のスキャンPDF、古い図番、同じ設備の重複資料、大容量図面を用意し、権限の異なる利用者も含めます。
  3. 最初のMVPは、1拠点・1設備カテゴリ・数百から数千件程度を対象にします。検索や最新版表示、承認、権限、監査ログに絞ると、評価しやすくなります。
  4. 運用できることを確かめてから、保全履歴、複数拠点、外部連携へ広げます。

データ移行・教育・拠点展開の段階的な進め方

データ移行、権限設定、教育、拠点展開は、一度にまとめず段階を追って進めます。

  1. スキャンやOCR、CAD形式変換、属性付与、重複排除、旧版・廃図の判定は、別作業として見積もります。
  2. 全件を一度に仕上げようとせず、現場でよく使う図面から品質を確かめます。
  3. 運用を始める前に、登録者、照査者、承認者、閲覧者、協力会社の権限を設定します。申請と差し戻しを実際に使いながら教育します。
  4. 1拠点でKPIを測り、命名規則やワークフローを直してから、次の拠点へ広げます。

ポイント

導入は、棚卸しと要件定義、代表データでのPoCとMVPを先に終えてから全社展開を判断すると、手戻りを抑えやすくなります。

設備図面管理システムの費用相場とコストの内訳

費用は、ユーザー数に加えて、図面の枚数・容量や紙図面のスキャン・OCR、CAD形式によっても変わります。設備台帳とのひも付けや既存連携、拠点数は費用を左右します。権限の複雑さや現場端末、移行、教育、保守も、費用に影響します。

ここで示す金額は、公開料金と類似する製造業務システムの相場をもとにした初期検討の目安です。市場全体の統計平均ではありません。

▶ 詳細はこちら:設備図面管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

SaaS・クラウドの1年目総額

SaaS・クラウドは、試行時の費用と初年度に必要な費用を分けて比べます。

  • 小規模試行:初期費用0万〜60万円、月額1万〜5万円、導入期間は数時間から数週間が目安です。
  • 年間利用料:月額4万8,000円のサービスなら、12か月で57万6,000円です。
  • 初年度総額:初期設定、権限設計、スキャン、OCR、CAD変換、属性登録、SSO・API連携を含めると20万〜200万円程度です。
  • 比較対象:利用料、移行、教育、追加ストレージ、サポートも合算します。

パッケージ・個別開発の費用と規模・連携の関係

規模ごとの費用と期間は、対象機能や連携範囲と合わせて見ます。

  • 中小規模:検索、属性、版管理、承認、閲覧の機能と、数千〜数万ファイルの移行を含み、300万〜1,000万円、期間3〜6か月程度が目安です。
  • 中規模の対象機能:設備階層、位置管理、複数工場、SSO、EAM・MES・ERP連携、モバイル、監査ログ、データクレンジング。
  • 中規模の費用・期間:上記の機能を含む導入の目安は、1,000万〜3,000万円、6〜12か月程度です。
  • 複数拠点・全社連携:全社PDM・PLM連携まで含むと、3,000万〜5,000万円以上、12〜18か月以上となる可能性があります。

見積書の移行費・連携費・保守費の内訳

スクラッチ開発の見積では、開発工程と単価、年間保守費を分けて確かめます。さらに、見積の対象外になっている作業も確認します。

  • 開発工程:要件定義、画面・データ・権限設計、実装、連携、テスト、移行、教育、運用設計。
  • PM・SE単価:PMは月90万〜150万円、SEは月65万〜110万円が目安です。
  • 開発・テスト単価:プログラマーは月50万〜90万円、テスターは月45万〜80万円が目安です。
  • 運用・維持:初期開発費の15〜25%を年間保守費として見込み、クラウドやバックアップ、脆弱性診断、端末、ヘルプデスクも確かめます。
  • 追加費用:データ移行や障害時の復旧が見積もりに含まれない場合、稼働後に費用が発生します。

ポイント

費用は、移行、連携、教育、保守を含めた1年目総額で同じ条件に並べると比べやすくなります。SaaSと個別開発の差も、その比較で見えてきます。

設備図面管理システムの開発会社・ベンダーの選び方

会社を選ぶときは、知名度や見積額に加えて、設備図面業務とデータ移行への理解を確かめます。図面管理が得意でも、設備台帳や保全連携が弱い会社があります。また、設備管理が得意でも、CADの版管理や出図承認が不足する場合があります。

比較軸の中心は、設備台帳と位置管理、図番・版・廃図です。そのうえで、外部システムとの連携から保守体制まで、5つの観点を比べます。

  • CAD・BIM・PDM・EAM連携:図面や設備情報を、ほかの業務システムとやり取りできるか。
  • 現場モバイル:現場の端末から図面を見たり記録したりできるか。
  • 移行支援:既存の図面データを移すところまで支援してもらえるか。
  • セキュリティ:機密図面をどう守るかを具体的に説明できるか。
  • 保守体制:稼働後の問い合わせや修正に、誰がどう対応するか。

製造・設備業務とデータ移行の実績

導入社数に加えて、図面の種類や枚数、古い紙資料の扱いを聞きます。CAD形式や設備番号の整理、旧版・廃図の移行方法も確かめます。

可能であれば、自社に近い業種や拠点数、図面量の事例を聞きます。導入前の課題や対象範囲、期間、移行体制、稼働後のKPIも確認します。

個別の導入効果を約束せず、前提条件と測定方法を説明できる会社は、計画の精度を高めやすくなります。

正常系と異常系のデモ依頼

デモでは、登録や検索に加えて、通信断、権限不足、同時編集、誤登録、承認差し戻しを再現してもらいます。旧版参照、APIエラー、バックアップからの復旧、退職者アカウント停止も確認します。

例外が起きても業務が止まらないよう、エラー表示や再送、問い合わせ先、復旧目標、操作ログの残り方を確かめます。協力会社へ共有した図面を、契約終了後に閲覧できなくする仕組みも、機密保持の面で欠かせません。

RFPと見積の比較項目

RFPと見積の条件は、対象範囲や運用要件、費目ごとにそろえておきます。

  • 範囲・データ:対象拠点、図面形式・枚数・容量、設備階層、メタデータを記載します。
  • 運用:版・廃図ルール、承認経路、閲覧・印刷・ダウンロード権限を明記します。
  • 接続条件:移行対象、連携先、ピークアクセス、モバイル・オフラインを示します。
  • 安全対策:バックアップ・復旧、監査ログ保存期間、保守体制を含めます。
  • 見積項目:要件定義、ライセンス、設定、追加開発、移行、連携、テスト、教育、保守に分けてもらいます。

前提条件や除外項目、追加費用の条件、納品後の責任範囲をそろえると、価格だけの比較を避けられます。

▶ 詳細はこちら:設備図面管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:設備図面管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

開発会社は、導入社数よりも、近い業種での移行経験と、通信断や差し戻しの場面を実演できるかで判断します。個別の効果より、前提条件と測定方法を示せるかも材料になります。

セキュリティ・監査・運用ルール

設備図面には、製造ノウハウや設備仕様、取引先情報が含まれることがあります。工場の構造や保全上の重要箇所を含むこともあります。

誰がどの図面を見られるか、どの操作を記録するか、障害や攻撃からどう復旧するかを設計します。工場のIoT化やネットワーク接続に伴うリスクも踏まえると、システム担当者だけの問題にせず、現場の担当者も一緒に考えることが大切です。

権限・認証・監査ログの設計

権限と認証では、操作の範囲と図面の保護、アカウントの停止方法を決めます。

  • アクセス権:部門、拠点、案件、設備種別、役割ごとの操作の分け方。
  • 認証と保護:SSO、多要素認証、IP制限、暗号化、バックアップの組み合わせ。
  • アカウント管理:操作ログと棚卸しによる、退職者や一時利用者の停止。

ログには閲覧の記録に加えて、登録や改訂、承認も残すことが望ましいです。ダウンロードや共有解除、権限変更も追えるようにしておくと安心です。

経済産業省は2025年4月、中小規模の製造事業者向けに、工場セキュリティの重要性と始め方を手順や事例で示す解説書を公開しています(出典: 経済産業省、2025年)。

最新版・廃図・命名規則の運用ルール

現場が別の共有フォルダや個人PCへコピーし続けると、正本が分散します。そのため、正本の保管場所や図番・設備番号、改訂番号、承認者を規程で決めます。廃図や緊急時の仮登録、紙で持ち出す場合の返却方法も、同じ規程に含めます。

紙図面を完全にはなくせない現場では、出力日時や利用者、図面の版、回収・廃棄の記録も残します。

よくある失敗例と回避策

失敗の多くは、対象範囲やデータ、権限、運用責任が決まらないまま進むことで起きます。導入前にこれらを想定し、回避策を計画に含めておくと、稼働後の手戻りを抑えられます。

全工場一括導入と紙図面の丸投げ

全工場を最初から対象にすると、設備番号や承認経路、図面の品質、通信環境の違いが一度に表面化します。

代表拠点と代表設備でMVPを行い、検索時間や旧版参照、移行品質、現場の利用率を確認してから拡張します。

紙図面は、スキャンに加えて図番、設備番号、設置場所、改訂日、状態の属性を付けると、検索性が上がります。さらに、正本・旧版・廃図を判定する作業も移行計画に含めます。

既存システムとの二重入力とAIの過信

既存データとの分担と、AI検索・OCRの扱いを、導入前に決めておきます。

  • 二重入力の防止:既存の保全システムに設備台帳があるのに、設備名や場所を図面管理側へ手入力すると、表記揺れや更新漏れが起きます。
  • 連携ルール:設備IDを共通キーにし、正本の置き場所、APIか定期CSVかの方式、失敗時の確認担当を決めておきます。
  • 検索精度の確認:AI類似図面検索やOCRの成果は、スキャン品質、図面の種類、属性整備、確認者で変わります。
  • 候補の扱い:AIの結果を承認済みの情報とみなさず、検索支援として検証する運用を設けます。

よくある質問

設備図面管理システムの検討でよく寄せられる質問に、判断の基準を交えて答えます。

図面の形式、設備管理の範囲、現場の通信環境によって、最適な答えは変わります。この回答をそのまま仕様にせず、代表データの検証につなげてください。

設備図面管理システムの導入費用はいくらですか?

小規模なSaaS利用なら、初期費用0万〜60万円、月額1万〜5万円程度から検討できます。

パッケージや個別開発は、図面管理単体なら300万〜1,000万円、設備台帳や複数システムとの連携を含めると1,000万〜3,000万円程度を仮置きの目安にします。

スキャン、属性付与、CAD変換、教育、保守は別費用になりやすいため、1年目総額で比べます。

CADデータや古い紙図面も管理できますか?

管理できる形式は製品や構成によりますが、DWG、DXF、JWW、PDF、TIFF、BIM出力などを候補にできます。

登録できるかに加えて、ブラウザやタブレットで表示できるか、寸法や注記が崩れないか、変換後も原本を保持できるかを確かめます。

紙図面は、スキャン、OCR、属性付与、重複確認、旧版・廃図の判定を工程ごとに分けます。そのうえで、代表的な劣化資料でPoCを行います。

クラウド型とオンプレミス型はどちらが良いですか?

複数拠点や現場タブレットで早く共有したい場合はクラウド型、構内運用や独自のネットワーク・認証要件を優先する場合はオンプレミス型が候補です。

クラウドでも専用環境や接続制限を選べる場合があります。一方で、オンプレミスにも保守や更新は必要です。そのため、データ所在、MFA、バックアップ、復旧目標、オフライン利用、契約終了時のデータ返却を、同じ質問票で比べます。

最初はどの範囲から導入すればよいですか?

図面の利用頻度が高く、課題と効果を測りやすい1拠点・1設備カテゴリから始めます。検索、最新版表示、承認、権限、監査ログをMVPの中心にし、設備IDとのひも付けや現場写真は次の段階で加えます。

3〜6か月程度でKPIを測り、検索時間や旧版参照件数、承認リードタイム、移行品質を確かめてから、全社展開を判断します。

まとめ

設備図面管理システムの目的は、設備IDを軸に図面や仕様書、写真、点検履歴を結びつけ、最新版や承認状態、廃図を追いながら、設計と現場の判断を早めることにあります。

導入は、図面と設備の棚卸しと、目的・対象範囲の決定から始めます。方式比較、代表データのPoC、MVPへと進みます。移行、教育、KPI測定は、その後に段階的に行います。

費用は、移行、連携、教育、保守を含めた1年目総額で比べます。開発会社・ベンダーには、通信断や権限不足、差し戻し、旧版参照、復旧も実演してもらいます。

AI検索やOCRは、データの品質と確認ルールが整って初めて効果を発揮します。

最初に押さえるべき判断軸

図面管理を主な目的にするか、設備台帳や保全管理まで一体で扱うかを決めます。

そのうえで、図面の正本、設備ID、承認状態、権限、監査ログ、既存システムとの連携先を明確にします。ここが定まれば、必要機能と不要な追加開発を分けやすくなります。

次に行うべきアクション

代表拠点の図面と設備台帳を集め、検索時間、旧版参照、承認時間、紙の使用量を測ります。

候補会社には代表データでのPoCと異常系デモを依頼し、1年目総額、移行範囲、保守体制、復旧方法を同条件で比べます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。