葬祭業向け葬儀施行管理システム開発の完全ガイド

葬祭業向けの葬儀施行管理システムは、相談から施行、発注、請求、アフターまでの情報を一つにつなぐ業務基盤です。業務の標準化、独自要件、運用体制に応じて方式を選ぶと、情報共有と転記の負担を減らせます。

機能、方式、進め方、費用、会社選び、導入後の確認事項の順に見ていきます。

▼関連記事一覧
・葬祭業向け葬儀施行管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・葬祭業向け葬儀施行管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・葬祭業向け葬儀施行管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・葬祭業向け葬儀施行管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

葬祭業向け葬儀施行管理システムの概要

葬儀施行管理システムは、相談から施行後のフォローまでを同じ顧客・施行データでつなぐ業務基盤です。予定表や見積作成ソフトより広く、業務の流れ全体を扱います。

葬儀は短い期間で予定変更や追加注文が起きやすいため、情報を次の業務へ引き継ぐ仕組みが欠かせません。この仕組みで、紙やExcel、電話、FAXに分散した情報を一つにまとめます。

顧客情報と施行情報を一つの案件として扱う考え方

紙の受付簿や個人メモを置き換えるとともに、顧客・施行情報を一か所で管理します。あわせて、業務どうしの連携範囲を決めておきます。

  • 顧客・施行:喪主、故人、親族、会員契約、相談履歴、施行番号を紐付け、担当が替わっても相談から請求まで同じ案件をたどれます。
  • 会館・現場情報:会館、担当者、通夜、告別式、火葬、法要、車両、祭壇、返礼品を管理し、施行予定が重ならないかを見られます。
  • 業務間の更新:電話で受けた変更を後から入力すると伝達漏れを招くため、見積の変更を発注や請求に反映し、現場から数タップで事務所へ届けます。

導入を検討する理由

システム導入は、限られた人員で品質を保つための業務設計の一部として考えます。

  • 導入の背景:人手不足のなかで確認や転記に時間を取られると、施行やご遺族対応に使える時間が減ります。
  • 着手範囲:全社を一度に置き換えず、ミスや待ち時間の大きい施行カレンダーと見積、または供花・供物発注から始められます。
  • 効果測定:入力時間、請求締め時間、転記ミス、確認電話の件数を導入前後で測り、次の投資を判断する材料にします。

経済産業省は2025年6月、省力化投資促進プランを策定しました(出典: 経済産業省「サービス産業」、2025年)。

葬儀施行管理システムの主要機能と業務フロー

案件情報を中央に置き、相談、施行、発注・在庫、請求・入金、アフターを周囲に配置した図解。
一つの案件情報が相談後の業務にも引き継がれる構成です。

機能は、相談から施行、アフターまでの流れに沿って見ていきます。発注・在庫、請求・入金も同じ案件情報でつながるため、現場で使う順に見ると、共通キーとして連携できるかを判断しやすくなります。

事前相談・顧客管理で残す情報

相談の内容は、施行への引き継ぎや後からの確認に使える形で記録しておきます。

  • 相談情報:連絡先、故人との関係、葬儀形式、予算感、宗派、希望日、会館、担当者、次回連絡日を記録します。
  • 会員・互助会:契約内容、特典、名義変更、掛金の状況を案件に結びつけます。
  • 顧客情報の継続利用:見込み顧客の段階から施行後まで同じ情報を使えば、担当者が過去の相談を探し直す手間が省けます。
  • 入力項目:必須項目と後から補う項目を分けて、入力にかかる時間を測ります。
  • 相談内容:自由記述に加えて、重要な条件は選択式やチェック項目にしておくと、引き継ぎや分析に使えます。

施行管理での予定変更と資源重複の防止

通夜、告別式、火葬、法要の日時を、案件画面で確認します。会館、式場、担当者、車両、祭壇も、同じ画面で見られます。返礼品、料理、宗派、注意事項についても、同じ案件画面で確認します。

案件の詳細、当日の進行、申し送り、変更履歴も見られると、電話や口頭での確認を減らせます。また、複数の会館を扱う場合は、資源の重複警告も確認できます。

現場では、喪主の希望や人数の変更が直前に発生します。そのため、変更前の内容と更新者、更新時刻を記録しておく必要があります。また、通信が途切れたときの保存と再送は、会館や斎場で検証します。

発注・請求・アフターでのデータ再利用

案件データを発注から施行後の対応まで引き継ぐと、二重入力や確認漏れを防げます。

  • 発注:見積や受注の内容をもとに、供花・供物、料理、返礼品、弔電、仕出しを手配します。
  • 請求:見積、追加・取消、立替、値引き、税区分、入金の情報を案件から引き継ぎます。
  • アフター:アンケート、法要、供養品、次回連絡日、クレームを記録し、短期の売上に限らない継続的な対応につなげます。

発注では、商品マスタ、仕入先、単価を管理します。納品先と納品時間、数量、在庫も管理し、FAXやメールの送信履歴は案件に紐付けます。

インボイス制度や軽減税率、会計連携、入金消込は、実際の請求例を使って確かめます。

葬祭業向けシステムの種類と選び方

方式には、既製パッケージ、クラウド型、構築型クラウド、スクラッチ開発、ローコード構築の五つがあります。選ぶ際は、標準化できる業務、残す独自要件、社内の運用担当者の三つを基準にします。

まずは、現在の業務のうち変えられる範囲と、変えてはいけない差別化要素を分けておきます。

標準化を進めたい会社向けのパッケージ型とクラウド型

標準機能を使う方式は、導入期間と日々の運用をどう整えるかで選びます。

  • パッケージ型:顧客管理や施行などの機能がそろっており、要件定義と開発期間を抑えやすい方式です。
  • クラウド型:複数の会館や外出先から同じデータにアクセスでき、バックアップやバージョンアップを自社だけで担わずに済みます。

パッケージ型では、独自帳票や複雑な会員制度を再現できないことがあります。そのため、運用を標準機能に合わせられるかを、設定と追加開発の範囲とあわせて確かめます。

クラウド型は、利用者数、会館数、容量、帳票、API連携、サポートを含めた月額の総額で比べます。また、解約時のデータ返却の形式と期限、削除証明、障害時の復旧目標も、契約前に確かめます。

独自要件が多い会社向けの構築型クラウドとスクラッチ

独自業務をどこまでシステムに反映するかで、必要な設計の自由度と開発の負担が変わります。

  • 構築型クラウド:独自項目、権限、帳票、画面、外部連携を加えやすい方式です。
  • スクラッチ開発:業務を細かく再現できますが、初期費用、期間、保守の負担は大きくなります。

構築型クラウドは、会員制度、複数ブランド、会館別料金、周辺事業を一つにまとめて管理する場合に候補になります。その際は、社内の責任者と優先順位を決めておきます。

スクラッチは、独自帳票や基幹連携が欠かせず、標準製品では強みを表現できない場合に検討します。あわせて、設計書、コードの扱い、テスト仕様書、運用手順書も納品範囲に含めます。

目的を限定したPoCとAIの組み合わせ

未確定の要件や補助業務は、対象を絞って検証します。そのうえで、利用の範囲と判断の方法を決めます。

  • PoC:1〜3か月で、施行カレンダー、見積、発注の工程を試します。
  • AI:AI-OCRによる紙・FAXの読み取りや、生成AIによる検索・下書きなど、補助業務から使います。

PoCでは、実データ、帳票、現場端末を使い、入力時間、画面の遷移、変更履歴、帳票の再現性を確かめます。デモ用のデータだけでは、移行後の問題を見落とします。

請求の確定、宗教・家族関係の判断、重要な連絡は、AIの出力だけで確定させず、担当者が最終判断します。あわせて、学習利用、参照範囲、根拠の表示、操作ログ、停止手段を確かめます。

ポイント

標準化できる業務と残す独自要件を分け、社内の運用担当者がいるかも含めて方式を選びます。独自要件が多い場合は、構築型クラウドやスクラッチも候補に入れます。

葬儀施行管理システム開発の進め方

現状把握、優先順位付け、PoC、パイロット導入、横展開を左から順に並べた開発工程図。
小さく試した後に、会館への展開を広げる流れです。

開発では、業務の切り分けと現場の参加が欠かせません。現状把握、優先順位付け、PoC、パイロット導入、横展開の順に進めます。

▶ 詳細はこちら:葬祭業向け葬儀施行管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

現状業務と目標業務の書き出し

相談、受注、施行、発注、請求、入金の流れを、工程ごとに書き出します。法要とアフターも、同じように書き出します。その際は、担当者、媒体、確認相手、帳票まで並べます。

各工程で起きている重複入力、確認待ち、請求や施行品質に影響するミスを洗い出します。あわせて、会館数、利用者数、商品点数を把握します。さらに、年間・同時施行件数、会員数、過去データ件数も押さえます。

標準化する業務と、地域性や顧客対応の強みとして残す業務を分けておきます。先に区切っておくと、追加開発の要求が増え続けるのを防げます。

要件定義での必須・希望・将来の区分

要件一覧には、機能名に加えて、利用者、入力項目、処理条件を記載します。さらに、帳票、連携先、権限、エラー時の対応も書き込みます。

たとえば、「見積作成」では、商品マスタからの選択、追加・取消の履歴、税区分、請求確定の時点まで決めます。

  • 必須:導入の初日に必要な共有、帳票、権限、バックアップ、移行、会計連携です。
  • 希望:導入効果を高める要件です。
  • 将来:今後の拡張候補として扱う要件です。

優先順位は、経営者、現場責任者、事務、会計、情報システムの間で合意します。

データ移行と本番に近い条件でのテスト

本番移行の前に、取り込むデータの状態と、実際の業務で起きる変更を確かめておきます。

  • 移行データ:氏名の表記、住所の旧字体、重複している顧客や会員の番号、欠損している電話番号、施行番号を確認します。
  • テスト:日程変更、取消、返金、請求の差し戻しを試します。会館・担当者の変更、通信断、権限外の閲覧も、同じように確かめます。

移行するデータと、保管だけにするデータを決めておきます。データクレンジング費用は、初期費用と別に計上される場合が多いため、早めにサンプルを渡し、見積もってもらいます。

実際の帳票を使い、現場スタッフが操作できるかを確かめます。さらに、変更が発注・請求に反映され、履歴を追えることを受け入れの基準にします。

パイロット会館での定着確認と横展開

本稼働は小さく始め、現場の利用状況と導入計画の期間を確かめてから広げていきます。

  1. 業務量と協力体制を見て会館を選び、入力、帳票、請求締めの時間、転記ミス、共有時間を導入の前後で比べます。
  2. 操作研修、問い合わせ窓口、マニュアル、障害時の代替手順を準備します。
  3. PoCは1〜3か月、連携や移行を含む場合は3〜8か月が目安です。
  4. 本格カスタマイズや複数会館展開は6〜18か月が目安です。

期間は、機能数だけでなく、意思決定、データの状態、帳票の数、外部仕様によって変わります。また、テストや教育を削ると、稼働後の混乱が大きくなります。ただし、数値が改善しても、現場で使われなければ効果は限られます。

ポイント

この工程は、現場の参加を得て要件の優先順位を決め、パイロット会館で確かめてから広げる流れで組み立てます。途中で要件が増えないよう、最初に区切りを付けておくのが要点です。

葬儀施行管理システムの費用相場と3年総保有コスト

費用は、標準クラウドを使う場合と、個別見積のカスタマイズ開発を行う場合で異なります。ここで示す金額は、2025〜2026年の公開価格と施設・現場サービス系の開発費を基にした推定です。ただし、市場の平均ではなく、自社の要件を整理するための目安として使います。

▶ 詳細はこちら:葬祭業向け葬儀施行管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

▶ 詳細はこちら:葬祭業向け葬儀施行管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

導入形態ごとの初期費用と月額の目安

必要な機能や連携の範囲によって、初期費用、月額費用、導入期間の目安が変わります。

  • 標準クラウド:初期0〜50万円、月額3万〜15万円、期間1〜3か月が目安です。
  • 帳票・マスタ・権限・移行:初期30〜150万円、月額5万〜30万円、期間2〜4か月です。
  • 連携・大規模移行:会計、CTI、供花受注、在庫連携などを含み、初期100〜500万円、月額5万〜40万円、期間3〜8か月です。
  • カスタマイズ・スクラッチ:初期は300〜1,000万円で、独自業務の開発では800〜2,500万円程度の場合があります。

葬祭業向けのクラウドには、1ユーザー月額3,000円からの例もあります。ただし、これは標準利用の下限で、複数会館、帳票、移行、連携を含めた総額ではありません。

金額は、公開情報と施設・現場サービス系の一般的な開発レンジを組み合わせた推定です。規模の面では、利用者、会館、商品、帳票の数で変わります。さらに、連携、移行の状態、保守の範囲によっても変わります。

見積書では、標準機能と追加開発を分けて記載してもらいます。

月額ではなく3年総保有コストでの比較

月額料金だけでは導入後の負担を比べきれないため、初期費用や運用費も含めて試算します。

  • 比較式:初期費用に、月額×36か月と、移行・連携・端末・研修・帳票・保守の費用を足します。
  • 試算例:初期120万円、月額15万円、移行等80万円の場合、利用料は540万円、総額は740万円です。

月額が低くても、帳票ごとの追加費、最低利用人数、従量のサポート、データ出力費によって、差が縮まる場合があります。

自社でも、打ち合わせやデータ整備、研修が発生します。さらに、二重運用、端末更新、通信、障害時の作業も加わります。効果は、入力時間に加えて、請求の早期化、発注漏れや問い合わせ対応、管理者の数値確認の時間も含めて評価します。

予算化での補助制度と将来費用の区分

導入時に使える制度を確かめるとともに、稼働後も必要になる費用を予算に含めます。

  • 補助制度:公募の時期、対象者や経費、契約の時期、実績報告、効果測定を確かめます。
  • 継続予算:初年度だけでなく、2年目以降の保守、更新、端末、教育の費用も計上します。
  • 将来費用:会館や利用者、データ量が増えたときの単価も見ておきます。

補助がなくても維持できる予算を、先に作っておきます。

経済産業省は、2026年3月時点版の冠婚葬祭業向け事例集を公開しており、紙・手書き・FAXの削減や情報の一元化を扱っています(出典: 経済産業省「冠婚葬祭業のためのデジタルツール等を活用した省力化事例集」、2026年3月)。

ポイント

月額料金ではなく、初期費用、移行・連携費、研修費、保守費を含めた3年総保有コストで比べます。月額が低くても、帳票の追加費や従量のサポートで差が縮まることがあります。

葬祭業向け葬儀施行管理システムの開発会社・ベンダーの選び方

会社は、知名度や機能数だけでなく、業務理解と稼働後の改善支援で選びます。同じRFPと質問票で比べると、価格だけに引っ張られにくくなります。

標準機能、設定、追加開発、連携、移行は、そろった粒度で回答してもらいます。教育と保守も、同じ粒度で示してもらいます。

葬祭業の業務理解と移行経験の確認

候補先の業務理解とデータ移行の進め方を確かめると、導入後の作業負担を見通せます。

  • 業務理解:相談から施行、発注、請求、会員、アフターまでの流れを理解しているかを確かめます。
  • 導入経験:媒体、移行データ、期間、教育、稼働後の改善について尋ねます。
  • 移行計画:重複や欠損の診断、担当者、リハーサル、並行期間、照合、切り戻しの内容を確認します。
  • 作業負荷:自社の作業範囲と担当者の負荷を含めて比べます。

同業、同規模、会館数が同じ会社でなくても、短い納期で変更が多い現場業務の経験は参考になります。

デモで見る自社の実データと例外処理

自社の通常業務と例外時の操作を試し、現場で使えるかを複数の役割の立場から評価します。

  • 業務シナリオ:相談から受注、変更、供花の追加、請求、入金消込までの流れを試します。
  • 例外処理:担当者や会館の変更、取消、返金、通信断、権限外の閲覧を、場面ごとに確かめます。
  • 操作評価:事務、施行、発注、会計、経営者の各担当が、画面や帳票を評価します。
  • PoC判定:入力時間や伝達漏れなど、目的に直結するKPIを基準に決めます。

操作評価では、入力項目、検索、スマートフォン表示、帳票の修正を確かめます。

契約・保守・サポートの担当範囲

障害対応やクラウド上のデータ管理について、提供会社と自社の担当範囲を契約前に確かめます。

  • 障害・保守:受付時間、回答と復旧の目標、計画保守、バックアップ、復旧試験の条件を確かめます。
  • クラウド管理:保管場所、再委託先、アクセス権、ログの保存、解約時の返却と削除の扱いを見ておきます。

個人情報保護委員会のガイドラインは、委託先の安全管理措置を確認し、契約や監査で取扱いの状況を把握する考え方を示しています(出典: 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」)。

葬儀の情報には、住所、連絡先、親族関係、請求の情報が含まれます。そのため、機能と同じ重さで、委託先の管理を評価します。

比較表に並べる価格と将来の変更費

候補を同じ条件で比べるため、現在の機能と将来の変更費、評価の方法をそろえます。

  • 基本条件:提供形態と標準機能、設定、追加開発の単価を比べます。さらに、連携、移行、帳票も並べます。
  • 運用条件:端末、権限、サポート、期間、公開価格も並べます。
  • 将来費用:会館や利用者の追加、帳票やAPIの変更、出力、解約にかかる費用を確かめます。
  • 採点:必須要件を満たさない場合に許容するかを決め、複数人で各条件を評価します。

初期見積が安い候補については、含まれない作業を明確にします。また、担当者一人の好みで決めず、稼働後に使う人の声も最終判断に反映します。

▶ 詳細はこちら:葬祭業向け葬儀施行管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

ポイント

同じRFPと質問票で候補を比べ、業務理解、移行経験、保守の担当範囲を見て判断します。価格は、作業範囲をそろえたうえで比べると、差の理由が分かりやすくなります。

導入後の定着とセキュリティの確認事項

葬儀情報を中央に置き、権限、認証とアカウント、操作ログ、バックアップで囲んだ保護の図解。
情報保護は複数の運用要素を組み合わせて支えます。

稼働後は、入力方法、マスタの更新、権限の申請、障害の連絡、帳票の変更について窓口を決めます。あわせて、閲覧できる範囲、退職者のアカウント、復旧の方法も、運用の中で定めます。

最小権限と操作ログによる情報範囲の管理

葬儀情報を適切に扱うには、閲覧できる人と操作を追える範囲を決めておく必要があります。

  • 権限:会館、役職、案件、業務に応じて、必要な情報だけを閲覧できるようにします。
  • 認証とアカウント:多要素認証、端末の停止、退職や異動の際の削除を確かめます。
  • 操作ログ:閲覧、変更、出力、削除を記録し、大量の出力や時間外のアクセスも見ておきます。

IPAは2026年7月、中小企業向け情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版を公開しました。バックアップやクラウド利用の手引きも案内しています(出典: IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」、2026年7月)。

バックアップと障害・漏えい時の対応

バックアップは、頻度、世代数、保管場所、暗号化、復旧目標、テストの担当を確かめます。あわせて、本番環境から分離し、復旧後の施行や請求のデータの整合性も決めておきます。

紙の運用に戻す場合は、最低限の帳票と再入力の手順を準備します。さらに、漏えいした時の連絡先、停止、ログの保全、委託先の報告期限、報告と本人への通知の判断も定めます。

委託先に任せきりにせず、自社の責任者が判断できる体制にします。また、AIを使う場合は、保存先、学習利用、第三者提供、誤りの検知も手順に含めます。

導入計画に含める教育とKPI

導入後にシステムを使い続けるため、担当ごとの教育と効果を測る指標を用意します。

  • 役割別研修:施行は当日の更新、事務は見積・請求とマスタ、発注は納品、管理者は権限・承認・分析を学びます。
  • 業務マニュアル:日程変更や商品の取消など、業務シナリオごとに作成します。
  • KPI:入力や共有の時間、二重入力、発注漏れ、請求の差し戻しから選びます。月次の締めや問合せ、利用率も選べます。

導入後は1か月、3か月、6か月の時点で確かめ、使われていない項目や余計な入力を見直します。悪化したときは、機能、権限、教育、業務ルール、画面のどこに原因があるかを切り分けます。

ポイント

委託先に任せきりにせず、権限、操作ログ、バックアップ、漏えい時の連絡体制を自社でも決めておくと、導入後の運用を続けやすくなります。

葬祭業向け葬儀施行管理システムのよくある質問

費用、規模、導入方法、セキュリティに関する疑問を取り上げます。自社の条件によって結論が変わる場合は、候補先への確認項目として使ってください。

小規模な葬儀社でも葬儀施行管理システムを導入できますか?

導入できます。利用者や会館が少ない場合は、標準クラウドを1工程から始めると、初期費用と教育の負担を抑えやすくなります。

会館の追加、データの返却、帳票の変更、サポートの条件を確かめたうえで、3年総保有コストで判断します。

独自の帳票や互助会制度にも対応できますか?

対応できる可能性はあります。そのうえで、標準設定、追加開発、運用変更のどれで実現するかを確かめます。

帳票、項目、計算式、印刷条件、承認者の要件を、候補先に示します。さらに、会計連携や会員契約の例外も示したうえで、追加費用と保守費を見積もってもらいます。

独自要件をすべて初期導入に詰め込まず、業務上不可欠なものから優先します。

葬儀情報をクラウドで管理しても安全ですか?

クラウドの安全性は一概に判断できません。そのため、認証、権限、暗号化、ログ、バックアップを確かめます。あわせて、復旧テストと脆弱性への対応も見ておきます。

委託先と再委託先、解約時のデータ処理、自社の運用ルールも評価します。また、契約に障害や漏えいの際の連絡期限と担当範囲が書かれているかどうかも重要です。

導入前に最初に準備すべき資料は何ですか?

まず、業務フロー、施行カレンダー、見積・請求・発注帳票、商品マスタを用意します。会館・担当者一覧、連携先、移行データのサンプルも、あわせて準備します。

困っている時間やミスは数値にし、必須要件と希望要件を分けておきます。同じ資料を候補先に渡すと、提案と見積を同じ条件で比べられます。

まとめ

葬儀施行管理システムは、顧客、故人、施行、発注、請求、アフターをつなぎ、確認や転記を減らす業務基盤です。

標準化できる範囲、独自要件、移行、導入後の教育と保守を見て、機能数や月額だけでは決めないことが大切です。

自社に合う導入方法の選択と実データでの確認

小規模な事業者は標準クラウドを1工程から、複数会館や独自の制度がある事業者は構築型や連携を比べます。

独自業務が不可欠な場合は、大規模開発を検討します。どの方式でも、実際の帳票、過去のデータ、現場の端末を使ってPoCを行います。

導入の前後で、入力時間、転記ミス、請求締めの時間、共有の速さを測っておくと、投資効果を説明できます。

比較前のRFPと確認事項の整理

候補先の提案と見積を同じ条件で比べられるよう、依頼内容と契約前の確認点を整理します。

  • RFP:業務、機能、帳票、連携、移行をまとめた資料にします。権限、セキュリティ、保守、解約条件も含めます。
  • 費用比較:初期費用と月額を分けて、移行、連携、端末の費用も並べます。研修、保守、追加変更も含め、3年総額を比べます。
  • 契約判断:現場の操作性と、個人情報を預けられる責任体制を確かめます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。