医療機関向け病床管理システム開発の完全ガイド

医療機関向け病床管理システムは、病床の状態、入退院・転棟の予定、病棟の機能や看護の負荷を一元管理し、安全な受け入れの判断に役立てる仕組みです。

主な機能、導入前の整理、開発と導入の進め方を、発注側の視点で順に見ていきます。各テーマの詳細は関連記事もご覧ください。

▼関連記事一覧
・医療機関向け病床管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・医療機関向け病床管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・医療機関向け病床管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・医療機関向け病床管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

医療機関向け病床管理システムの定義

空床、退院予定・清掃中、感染対策中・調整中、受入可の4つの病床状態を並べた図解。
空床と受入可は同じ状態ではありません。

病床管理システムは、ベッドの状態と入院患者の移動予定を一つの画面で把握する仕組みです。病床管理室、看護部、病棟が、同じ情報を参照します。医事課、地域連携室、救急外来も同じ情報を参照し、医師もそこに加わります。

空床の台帳ではなく受入可能病床の管理

病床管理では、「空床」と「受入可能病床」を分けて考えます。ベッドが空いていても、受け入れには清掃、感染対策、男女区分、個室条件、診療科、重症度も関わるからです。

  • 空床:患者が入っていないベッド
  • 退院予定・清掃中:退院後の作業が終わるまで調整が必要な状態
  • 感染対策中・調整中:条件や確認状況を踏まえて受け入れを判断する状態
  • 受入可:患者の条件に合い、受け入れに使える状態

状態を分けて表示すると、「空き」の意味の違いを減らせます。なお、目的は空床率を機械的に高めることではありません。

受入可否は、患者の安全や看護師の負荷も含めて判断し、必要な部署へ伝えます。この定義がないまま画面だけを作ると、電話確認や個別メモが残り、期待した効果が出にくくなります。

従来運用での情報の遅れと判断基準のばらつき

紙の病床表やExcelは、病床数が少ないなら管理に使えます。しかし、更新する人が増えると情報がずれます。たとえば、退院予定が病床管理室に伝わらないまま、救急外来が電話で確認した時点で別の入院が決まっていることもあります。

同じ「空き」でも、今すぐ入れる意味なのか、数時間後なら入れる意味なのかは、部署によって異なる場合があります。そこで、更新日時、更新者、状態の理由、次の作業をシステムに残し、入院調整の経緯をたどれるようにします。

効果は、病床利用率に加えて、空床確認や入院決定から受け入れまでの時間、電話や紙の回数でも確認します。

病床管理システムの全体像と主な機能

主な機能には、病床マスタ、病棟マップ、入退院・転棟管理があります。このほか、通知・申し送り、集計・分析、外部連携もあります。機能は一度にすべて入れるより、業務判断との関係を整理して、必要なものから選びます。

病棟・病室・ベッドのマスタと病床マップ

病床マスタの項目をそろえると、病室や病棟の位置関係と利用条件を確認できます。

  • 病床の識別:病棟名、病室番号、ベッド番号
  • 利用条件:個室・大部屋、男女区分、診療科、病床機能
  • 対応状況:感染症対応、使用停止の期間

病棟マップは、移動や清掃の状況を一目で示します。利用条件を変える場合は、現場責任者が申請し、管理者が承認する仕組みも用意します。

マスタの粒度は、分析の精度にも影響します。病棟を統合したままだと、急性期と回復期の違いや一時的な使用停止を把握できません。

令和7年度の病床機能報告では、G-MISの集計データを病棟コードに基づき病棟単位で扱う考え方が示されています。院内でも病棟コードや病床機能を追跡できる設計は、報告や経営分析に役立ちます(出典:厚生労働省「令和7年度 病床機能報告」、2025年度)。

入院・退院・転棟と調整中の状態の一元管理

入退院と転棟の予定を一覧にまとめ、移動先の判断に必要な状態をそろえます。

  • 入院・救急:入院予定と救急患者の受け入れ先を記録
  • 退院予定:確定・見込み・未定に分け、予定の確度を記録
  • 転棟・仮押さえ:候補病床と仮押さえを含め、誰がいつどこへ移るか記録

患者情報を連携する場合は、診療科、感染対策、看護必要度など、入院先の判断に必要な項目に絞ります。退院予定の確度が分かれば、病床の空きの予測も現実に近づきます。

通知を増やしすぎると、重要な連絡が埋もれてしまいます。そのため、救急受け入れ、退院確定、清掃完了など、行動が必要なイベントに絞ります。さらに、担当部署も明確にします。

コメントや承認履歴を残すと、電話による確認を減らせます。また、判断の責任の所在も確認できます。

経営指標と電子カルテなどの連携

集計指標は、改善点の検討に使えます。そのうえで、数字だけで判断せず、現場の負荷や感染対策の制約も合わせて確認します。

  • 病床運用:病床利用率、平均在院日数、病床回転
  • 患者の動き:病棟別入退院数、救急受け入れ件数、在宅復帰率
  • 現場の制約:看護師の配置、処置の集中、感染対策

電子カルテや医事会計との連携は、CSV、API、院内標準規格などで行います。初めからリアルタイムのAPIを前提とせず、更新頻度と必要な精度を確かめます。

CSVで始めて段階的に広げる方法も、現実的な選択肢です。

連携項目、更新時刻、欠損時の扱い、重複患者の照合方法は、要件定義書に記載します。数字だけを優先すると、重症患者の移動や現場の負荷を見落とす恐れがあります。そのため、数字と現場の両方を設計で扱う必要があります。

導入前に整理すべき業務・データ・権限

導入前の確認項目として、状態と更新ルール、マスタと連携データ、職種・病棟ごとの権限、アクセス制御と操作ログを示す図解。
運用、データ、権限を導入前にそろえます。

導入の成否は、機能の数よりも、病床の状態と更新ルールが院内で統一されているかに左右されます。そこで、導入前に関係者を集め、現状の流れを図にします。

対象は、病床管理室、看護部、病棟師長です。ほかに、医事課や地域連携室、救急外来も関わります。情報システム担当も対象です。

「空床」「受入可」「調整中」の定義の統一

状態は5〜8種類程度を目安に整理します。そのうえで、現場が判断でき、入院調整に役立つ粒度から始めます。

  • 使用中:患者が入院している
  • 退院予定・清掃中:退院または清掃の作業中
  • 感染対策中・受入可:対策中または利用可能な状態
  • 仮押さえ・調整中・使用停止:予約や利用制限がある状態

状態を増やしすぎると入力されにくくなります。次に、状態を変える担当者と期限を決めます。

退院予定の入力期限、清掃完了の確認者、感染対策解除の承認者を決め、画面に更新者と時刻を表示します。曖昧さをシステムで隠さず、責任の所在を明らかにすることが、定着の第一歩です。

マスタと連携データの品質確認

マスタの表記ゆれや重複をなくし、複数のシステムの間でコードを照合します。番号が一致しないと、別人として表示されたり、誤った病棟に集計されたりすることがあります。

  • 病床マスタ:病棟名、病室・ベッド番号、診療科、病床機能、入院料区分、使用停止期間
  • 患者識別:病棟コード、患者番号、医療機関コード
  • 連携仕様:項目名、形式、更新頻度、エラー処理

令和7年度病床機能報告では、医療機関コードと保有マスタの照合が集計表示の条件として扱われています。病床管理でも、マスタの整合性を先に検証します(出典:厚生労働省「令和7年度 病床機能報告」、2025年度)。

欠損時の処理と再取り込みの方法も定めておきます。電子カルテを入れ替えない場合も、患者情報は最小限にとどめ、不要な診療情報は持ち込まないようにします。

実データで検証する場合は、匿名化したデータかテスト用データを使います。また、検証環境から本番環境への持ち出しも制限します。

職種・病棟ごとの権限と監査範囲

職種と役割に応じて、閲覧と変更ができる範囲を決めます。たとえば、病床管理室は全病棟を扱い、各病棟は自部署の情報を扱う設計にすることもできます。

  • 一覧画面:患者氏名を表示しない選択肢
  • 詳細画面:必要時に限って患者情報を表示
  • 管理画面:マスタ変更を管理者に限定

Webサービスやクラウドでは、アクセス制御、多要素認証、通信保護を見ます。さらに、操作ログ、バックアップ、復旧を確かめ、委託先とどこまで分担するかも確認します。

厚生労働省は2026年6月に、安全管理ガイドライン第7.0版とチェックリストを公開しています。確認票にはこれを反映し、クラウドか院内サーバーかという方式だけで安全性を判断しないようにします(出典:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」、2026年6月)。

ポイント

導入前の整理で迷ったら、病床の状態の定義と更新者を先に決められるかを基準にします。決まらない項目は、機能を増やす前に業務の側で決め直します。

病床管理システム開発・導入の進め方

要件定義・連携調査、設計・開発、テスト・パイロット導入を経て全病棟展開へ進む流れ図。
一病棟での検証を経て全体へ広げます。

導入は、まず要件定義と連携調査から始めます。そのあと設計・開発とテストを行い、パイロットを経て全病棟へ展開します。

最初から全病棟のすべての業務を対象にすると、例外処理と調整事項が膨らみます。

そこで、病床状態と入退院調整を一つの対象病棟で検証し、効果を測ってから広げると、現場の負担とリスクを抑えられます。

▶ 詳細はこちら:医療機関向け病床管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

企画・要件定義での業務の目的とKPI

まず、早く正確にしたい判断を決めます。管理床数から考えるより、業務の判断から考えるほうが要件を絞れます。救急受け入れの確認、退院予定の精度、転棟調整の電話削減などが候補になります。

  • 現状を測る:確認時間、受け入れまでの時間
  • 予定を測る:退院予定の変更回数
  • 連絡を測る:電話や紙の件数

要件定義書には、対象病棟、利用者、画面を書きます。さらに、状態、入力項目、通知の決め方を記載します。権限や連携、帳票のほか、障害時の代替運用も同じ書類に含めます。

「リアルタイム」は、画面表示時、5分ごと、イベント発生後などと、具体的に決めます。曖昧なまま開発すると、現場が求める更新速度と連携方式が合わなくなります。

設計・開発での連携と例外処理の検証

設計では、画面の配置と、例外時の確認方法を明確にします。

  • 画面配置:病床マップ、入退院予定、救急受け入れ、退院・清掃の進捗、病床利用状況を、業務の順に並べた画面
  • 状態共有:状態変更と申し送りを一つの流れで扱う
  • 閲覧範囲:患者詳細は必要な職種に絞り、一覧では個人を特定しにくい表示も検討
  • 連携テスト:退院取消、転棟先変更、同姓同名、患者番号欠損、通信停止、夜間バッチ遅延の各場面で試すとともに、二重予約や古いデータの確認担当
  • 代替手順:警告と手動確認、紙へ戻る手順を、受け入れテストに含める

パイロット導入から全病棟展開までの段階的な進め方

90日程度のパイロットでは、1病棟と状態5〜8種類を対象にし、CSVなど可能な連携から始めます。ただし、期間は規模や連携範囲によって変わります。

  1. 最初の30日は、業務とマスタの整理に充てます。
  2. 次の30日で、画面、連携、権限を試験します。
  3. 最後の30日は、現場運用とKPIの評価です。

評価の区切りを先に置いておくと、全体展開をどう判断するかが明確になります。教育では病棟ごとに推進担当者を置き、退院登録や清掃完了、受け入れ判断、誤登録の訂正を、実際の業務時間帯に練習します。

導入後は毎週、問い合わせと状態変更の漏れを確かめます。そのうえで、運用ルールや画面を改善し、次の病棟へ広げます。

ポイント

全病棟へ広げるか、一病棟から始めるかは、例外処理と調整事項がどこまで増えるかで判断します。一病棟で効果を測ってから広げると、現場の負担を抑えやすい目安になります。

病床管理システムの費用相場とコストの内訳

価格は、病床・病棟数、電子カルテ接続、端末数で変わります。さらに、環境や移行、教育、保守の範囲も影響し、公開されないことが多いです。以下の数字は、一般的な医療業務システムの工数と公開事例をもとにした2026年時点の初期予算仮説です。

この数字は、全国の病床管理専用製品を調べた統計ではありません。見積もりのたたき台として使います。

▶ 詳細はこちら:医療機関向け病床管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

導入パターン別の初期費用・月額・期間の目安

導入範囲に応じた費用と期間の目安は次のとおりです。病床数や連携内容によって幅があります。

  • 小規模クラウド型:初期100万〜500万円、月額5万〜30万円、2〜3か月
  • 標準パッケージと電子カルテ連携:初期500万〜1,500万円、年100万〜400万円、4〜9か月
  • 大規模ダッシュボード・複数施設基盤:初期1,500万〜5,000万円超、6〜18か月

小規模型は、1〜3病棟を対象に、CSV、病棟マップ、基本権限、簡単な帳票を組み合わせる想定です。電子カルテは置き換えず、空床確認を早くしたい場合に適します。

標準型でも、複数病棟や複数のCSV・API、移行、研修を含めると、目安を超える場合があります。

厚生労働省の勤務環境改善事例集には、病院ICT案件の一例が示されています。それによると、導入費用の中央値は350万円、運用費用の中央値は年140万円、導入期間は3.5〜10か月です。病床管理だけの統計ではなく、見積もりの近似値として扱います(出典:厚生労働省「ICT活用による勤務環境改善の取組事例紹介」、令和7年度)。

初期費用以外に発生するコストの確認

見積書は工程別に確認し、初期費用に含まれない接続や環境整備、運用費が抜けていないかを見ます。

  • 導入工程:要件定義、設計、開発、連携、移行、テスト
  • 院内環境:ネットワーク、端末、認証、バックアップ、監視
  • 運用支援:教育、保守、24時間障害対応の有無

クラウドの場合は、ユーザー数や病床数、保存容量、追加環境、サポート時間を確認します。月額の計算条件は、開発会社に見積書へ明記してもらいます。

病棟の再編や病床機能、電子カルテの変更、診療報酬改定、連携仕様の変更は、将来の費用として想定しておきます。そのうえで、改修単価と保守範囲に加え、復旧目標、問い合わせ時間、データ返却、契約終了時の移行方法まで含めて、総額を比べます。

ポイント

見積もりを比べるときは、初期費用と月額だけでなく、連携、移行、教育、保守を含めた総額で見ます。範囲が広がると目安を超えやすいため、まず導入範囲を絞ってから比べます。

パッケージ・クラウド・スクラッチの選び方

短期間で標準的な可視化を始めたいなら、クラウドや標準パッケージを検討します。密接な統合や独自の運用が必要なら、個別開発が候補になります。

判断材料は、電子カルテの刷新や病床数、複数施設での展開です。さらに、情報管理体制と現場の変更余力も見ます。

クラウド・標準パッケージの段階導入と運用負担の軽減

標準機能が合えば、サーバー保守やバックアップを自院で抱えずに済み、比較的短い期間で始められます。1病棟で運用して効果を確かめてから広げる進め方も選べます。

電子カルテのCSVを定期的に取り込めば、基幹システムを置き換えずに可視化できる場合があります。

独自の病棟区分、複雑な承認、特殊な感染対策、細かな帳票を標準機能で再現しようとすると、追加開発が膨らむことがあります。そこで、標準の運用に合わせられる業務と、患者安全や法令上変えられない業務を分けて考えます。

統合要件と運用体制による院内サーバー・スクラッチの判断

方式は、統合要件と院内の運用体制を合わせて判断します。

  • 院内サーバー:既存ネットワーク・基幹システムとの統合や、院内でのデータ保持に合わせやすい方式です。
  • 方式の安全性:クラウドと院内サーバーに一律の優劣はなく、実際の運用体制で比べます。
  • スクラッチ開発:複数病院の共通配分や救急、手術室、看護配置、DWHとの深い連携に適する場合があります。
  • 開発の進め方:高額化や長期化を避けるため、最小機能、画面試作、連携仕様、受け入れテストを先に決めておく。
  • AI・BIの利用:提案を最終決定とせず、人が確認して承認や上書きができる設計

院内サーバーの場合は、サーバーの更新やバックアップ、災害対策を自院で管理します。遠隔保守や障害連絡も、自院が担います。

厚生労働省の医療DXは、クラウドなどを通じてデータの外部化、共通化、標準化を進める考え方です。2026年7月には医療DXのダッシュボードも公開されました。病床管理も、標準化されたデータを院内改善に使う基盤として検討されています(出典:厚生労働省「医療DXについて」、2026年7月更新)。

ポイント

パッケージ、クラウド、スクラッチのどれにするかは、統合の深さと運用体制で決めます。標準機能で済む業務と、患者安全や法令上変えられない業務を分けると、判断の材料がそろいます。

医療機関向け病床管理システムの開発会社/ベンダーの選び方

知名度や機能数だけでなく、病院業務と既存システムの連携への理解を見ます。提案を依頼するときは、導入条件をそろえたうえで、複数案を比べます。

医療・病床業務の実績と対象規模の適合性

まず、自院に近い病床数や病棟機能、救急の有無での実績を確かめます。看護体制や電子カルテ構成での実績も見ておきます。

病床専用の仕組みか、基幹システムの一機能か、周辺設備と連携する仕組みかも区別します。

導入事例を聞くときは、期間や費用に加えて、やめられた業務、入力負担、導入後のKPIを尋ねます。同規模の医療機関の担当者の声や、稼働後の支援体制も確かめます。

連携・セキュリティ・保守の提案の具体性

提案書では、情報の正となるシステムと、CSV・APIなどの方式を確認します。更新遅延の表示や患者番号の照合方法に加え、権限、ログ、バックアップ、復旧時間も見ます。

安全管理は、企画から運用まで各段階で扱います。機能一覧の末尾だけで扱うと、各段階の抜けに気づきにくくなります。

保守では、夜間・休日の対応、障害の一次切り分け、連携仕様の変更、ログの保存期間を確認します。また、月次報告にとどまるか、KPI分析や改善会議まで含むかは、運用の定着にも関わります。

同じ質問票による3社程度の提案比較

比較表で条件をそろえると、提案内容と見積もりの差を把握できます。

  • 対象範囲:病床数、病棟、患者情報、状態の種類
  • システム要件:更新頻度、連携、権限、監査ログ
  • 運用条件:障害時対応、教育、KPI支援
  • 契約条件:初期費用、月額・保守費用、導入期間

見積もりに含まれない作業も、事前に明らかにします。そのうえで、現場の代表を含む評価会で実際の病床マップを使い、退院取消、転棟先変更、受入不可、連携停止、権限差をデモで確かめます。

導入後に自院で設定を変えられる範囲も、確かめておきます。

▶ 詳細はこちら:医療機関向け病床管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:医療機関向け病床管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

開発会社は、病院業務の実績、連携の具体性、保守体制を同じ質問票で比べて選びます。提案が自院の病床数や電子カルテ構成に合うかは、見積もりの前に見極めます。

導入後の運用定着とKPIの設計

稼働開始後も、入力漏れや病棟ごとの定義の違い、通知の多さ、担当者不在による更新の停止を見直します。そのうえで、現場が使い続けられる運用に整えます。

病床利用率に加えた業務時間と安全性の指標

利用率に加えて、業務時間や安全性を示す指標を組み合わせます。利用率だけを目標にすると、受入条件を満たさない病床を使う方向へ動くおそれがあります。

  • 業務時間:空床確認、入院受け入れ、転棟調整
  • 運用状況:退院予定変更、電話・紙の回数
  • 安全と品質:入力漏れ、連携エラー、状態変更遅延、看護負荷

導入前の2〜4週間を基準にして、導入後30日、60日、90日で同じ指標を比べます。目標値は、対象病棟の業務量と患者構成を踏まえて決めます。

数値が悪化したときは、原因が入力負担、ルール、連携遅延のどこにあるかを切り分け、それぞれ改善します。

教育・問い合わせ・BCPの運用への組み込み

役割を決めて問い合わせを一か所に集め、誤操作や判断ルールは、FAQやマニュアルに反映します。改善会議では、KPIと合わせて現場の声も扱います。

システム停止、ネットワーク障害、サイバー攻撃、停電に備えて、訓練を行います。訓練では、紙の病床表への切り替え、復旧後の再入力、二重登録の防止、連絡先の確認を扱います。

厚生労働省の第7.0版ガイドラインは、医療機関向けのサイバー対策チェックリストと事業継続計画の資料を示しています。停止時の安全性も、導入条件に含めます。

よくある質問(FAQ)

導入の方法は、病床数や既存システム、運用ルールによって変わります。検討の初期によくある疑問に、ここで答えます。

小規模な病院でも病床管理システムは必要ですか?

必要性は、病床数だけでなく、救急受け入れ、病棟数、転棟頻度、電話やExcelにかかる時間で判断します。

1〜3病棟の規模であれば、CSV連携と病床マップだけの構成から始める方法があります。その際は、空床確認や退院調整にかかる時間を測ります。

古い電子カルテでも導入できますか?

導入できる可能性があります。CSVの出力や定期的なファイル連携、手入力を組み合わせれば、電子カルテをすぐに入れ替えずに始められる場合があります。

導入の前に、更新頻度、患者番号の照合、欠損データ、停止時の手作業を確認します。将来はAPIや標準規格による連携へ広げられるよう、設計も検討します。

Excelの病床台帳から移行できますか?

移行できます。取り込む前に、病棟名、病室・ベッド番号、状態、患者番号、更新時刻の表記をそろえます。

履歴をすべて移すのか、稼働中の予定だけを移すのかを決めます。そのうえで、テスト環境で重複、欠損、誤った病棟への割り当てを確かめ、本番へ移します。

オンプレミスとクラウドはどちらがよいですか?

方式は、重視する点によって選びます。短期導入や保守負担の軽減、複数拠点での利用を重視するなら、クラウドが候補になります。

院内ネットワークとの統合やデータ保持の方針を重視し、自院でサーバーを管理できるなら、院内サーバーも候補になります。どちらの方式でも、権限、ログ、復旧、委託先の分担を確認します。

病床管理システムの費用はいくらですか?

小規模な可視化型は初期費用で100万〜500万円、標準パッケージと連携を含む場合は500万〜1,500万円程度が、予算仮説の目安です。

費用は、病床数や連携、移行、教育、保守によって変わります。公定価格と断定せず、要件と費用の内訳を分けて、見積もりを取ります。

AIで入院先や退院日を自動決定できますか?

AIは、過去の入退院データから退院の見込みや病床の需要を推定し、候補の比較を支援できます。一方で、患者の入院先や退院日をAIだけで決める運用は避けます。

推定の根拠、予測の誤差、データの更新時刻を示したうえで、担当者の承認や手動での上書きを認め、操作ログを残します。特に、医療安全と説明責任を優先します。

個人情報保護と安全管理にはどう対応しますか?

患者情報を扱う場合は、利用者認証、役割別の権限、アクセスログを設計します。さらに、通信保護、バックアップ、脆弱性への対応、委託先の管理、障害時の復旧まで、設計の対象にします。

2026年6月改訂の厚生労働省ガイドライン第7.0版と関連チェックリストを確認し、自院の規程や契約に、責任の分担を反映します。

まとめ

病床管理システムは、空床を記録する台帳にとどまらず、受入可能病床を判断する基盤です。判断には、入院・退院・転棟の動きを合わせて使います。清掃や感染対策、病棟機能も、同じ判断の材料になります。看護負荷も、そこに加わります。

導入前には、状態と更新ルールをそろえ、既存システムとの連携と権限を確認します。導入後は、業務時間と安全性をKPIで測ります。

導入判断で押さえるべき要点

導入判断では、定義、方式、総費用の順に整理します。続けて、安全性とAI活用を確かめます。

  1. 「空床」と「受入可能病床」を分け、状態と更新責任を決めます。
  2. 標準パッケージ、クラウド、院内サーバー、スクラッチを要件で選びます。
  3. 連携、移行、教育、保守、障害対応を含む総額で比べます。
  4. 認証、権限、ログ、バックアップ、BCP、委託先の分担を定めます。
  5. AIや分析は、人の判断を支援する用途で使います。

安全管理の要件は、2026年6月のガイドライン第7.0版を踏まえて定めます。AIについては、推定の根拠を確認でき、人が承認や上書きできることを条件にします。

90日間のパイロットによる開始

全病棟を一度に変えず、1病棟で90日間の試行から始めます。

  1. CSV連携、状態5〜8種類、担当者、KPIを決めたうえで試行します。
  2. 空床確認時間、退院予定の精度、入院調整時間、入力漏れ、現場負担を確認します。
  3. 評価結果を運用に反映してから、他の病棟へ広げます。

病床管理のデジタル化は、安全な受け入れを支える院内共通ルールをつくる取り組みです。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。