ITシステム監視対応の費用は、月額3万円から200万円以上まで幅があります。その差は、対応レベル、監視対象の規模、対応時間帯によって生まれます。
対応レベル別の相場、24時間365日体制の費用、内製との比較、見積もりの確認点を説明します。全体像はITシステム監視対応の完全ガイドもご覧ください。
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ITシステム監視対応の費用が決まる仕組み
ITシステム監視対応の費用を読むには、まず料金を決める変数を理解しておく必要があります。価格は、対応レベル、体制の時間帯、監視対象の規模という3軸で決まります。
アラートの通知だけか、夜間の切り分けと一時復旧まで行うかで、工数が変わります。加えて、提供される工数だけでなく、担う責任の範囲もサービスによって異なります。特に、この違いを曖昧にしたまま相見積もりを取ると、安い会社が通知のみで、復旧は別料金になることがあります。
対応レベル(L1/L2/L3)別の価格帯
費用を最も左右するのは、どの対応レベルを委託するかです。
- L1(一次対応):アラート検知と、プレイブックに基づくトリアージを担います。
- L2(二次対応):ログ分析、一時復旧、監視ルールの調整までを受け持ちます。
- L3(三次対応):改修やデバッグ、根本対応が含まれる段階です。
運用現場では、問題の約80パーセントをL1で処理できるという経験則があります。残りの20パーセントをL2が、全体の20パーセント以下の難しい案件をL3が受け持ちます。
レベルが上がるほど必要なスキルは高くなり、そのぶん人件費も積み上がります。料金は、一次対応、二次対応、三次対応・復旧の順に段階的に上がります。
まずは、自社で対応できる範囲を見極めることが出発点になります。そのうえで、外注するレベルだけを切り出します。
監視対象の規模と時間帯による単価の差
対応レベルに加えて、監視対象の規模と対応時間帯も費用を決めます。
- サーバー台数:台数が増えるほど、対応に必要な工数も膨らみます。
- 監視メトリクス:監視する指標の種類が多いほど、検知すべきアラートも増えます。
- 対応時間帯:夜間・休日を含めると、人員配置そのものが変わります。
クラウド環境やネットワーク機器が増えても、対応工数は比例して増えます。10台規模を平日の日中だけ見る場合と、50台規模を24時間365日見る場合とでは、必要な人員が異なります。
平日9時から18時を基準にすると、24時間365日体制の月額は2倍から3倍になることがあります。深夜・休日の待機やシフト勤務の人件費が、月額に反映されるためです。時間帯による費用差は、後の章で具体的な金額を示します。
対応レベル別の費用相場

委託する範囲ごとに、月額費用の目安を示します。監視対応は、一次対応のみ、二次対応まで、三次対応・復旧までの3段階に分かれます。
金額はサーバー10〜30台程度の中小〜中堅規模を想定した一般的な目安です。ただし、実際の見積もりは対象規模やSLA条件で変わるため、予算感をつかむ基準として使ってください。
一次対応のみ(検知・通知・トリアージ)の相場
一次対応のみの委託は、3段階のなかで最も手頃な価格帯です。
- 営業時間内対応:月額3万円から10万円程度が目安です。
- 24時間365日有人監視:月額10万円から30万円程度が目安です。
アラートを受けると、プレイブックに沿って一次切り分けを行い、必要に応じて自社の担当者へエスカレーションします。
一次対応の多くは自動化や定型化ができるため、この価格帯が成り立ちます。たとえば、アイレットのcloudpackでは、アラート全体の約80パーセントを社内システムで自動処理し、人間が対応するのは残り20パーセントにとどまります。
DTSのReSMでも、アラートの80パーセントをフィルタリングしています。検知から一次切り分けまでを仕組みにすると、人件費を抑えられます。この価格帯は、夜間の通知だけを受けたい企業や、自社で復旧できる企業が選ぶ選択肢です。
二次対応まで(切り分け・一時復旧)の相場
二次対応込みのプランは、ログ分析や一時復旧まで任せたい企業向けです。
- 営業時間内対応:月額20万円から60万円程度が中心です。
- 24時間365日対応:月額50万円から100万円超になることがあります。
この範囲なら、夜間に障害が起きても、エンジニアが詳細なログを確認できます。サービスの一時復旧に加えて、再発を防ぐ監視ルールの調整まで対応してもらえます。
二次対応には、復旧作業の代行以外の価値もあります。特に優れたMSP(マネージドサービスプロバイダ)は、恒久的な改善提案を続けます。
あるサービスでは、半期で30件以上の恒久改善を積み重ねました。アラート正常対応率を、目標の99.9パーセントから99.99パーセントへ高めています。あわせて、アラート対応時間を1万時間以上削減した実績もあります。
料金は上がりますが、再発するアラートを減らせます。その結果、長期的な運用コストの削減にもつながります。
三次対応・復旧完了まで任せる場合の相場
フルマネージドは、根本原因の特定から復旧完了まで一貫して任せるプランです。
- 費用帯:月額60万円から200万円以上と、幅広い水準です。
- 上振れ要因:大規模なシステム、または停止が許されないシステムです。
アーキテクチャレベルの改修や、復旧完了までの作業を含むため、価格に幅が出ます。たとえば、中堅製造業が50台規模のクラウド環境をフル委託すると、月額100万円超も一般的です。
ミッションクリティカルなサービスほど、高いスキルを持つ専属エンジニアが必要になります。また、三次対応まで任せると、社内のITリソースを守りの運用から解放できます。
オンラインゲーム事業者では、クラウド移行後に24時間365日有人監視を委託した事例があります。独自の自動監視システムも組み合わせ、サービス停止のない安定稼働を実現しました。
自動車メーカーでは、クラウド環境の急増を受けて運用監視を外部委託した事例があります。その結果、開発メンバーを本来業務に集中させました。
経済産業省は、IT人材が2030年に最大約79万人不足すると試算しています。人材を定常的な運用保守に縛り続けるコストを考えると、合理的な投資になり得ます。
24時間365日体制で発生する追加コストの内訳

見積もりで最も金額が動くのは、対応時間帯です。同じ対応レベルでも、営業時間内か24時間365日かで月額は大きく変わります。追加コストの内訳を知っておけば、深夜にアラートが少ないシステムに過剰な体制で発注することを防げます。
営業時間内対応と24時間体制の費用差
対応時間帯は、おおむね3区分で見積もられます。
- 営業時間内:平日9時から18時の対応です。
- 延長対応:平日夜間を含めた対応です。
- 24時間365日対応:土日祝も含めて対応します。
営業時間内対応を基準の100とすると、平日夜間までの延長は1.5倍から2倍です。完全な24時間365日体制は、2倍から3倍が目安です。たとえば、二次対応までの月額が30万円なら、24時間365日では60万円から90万円程度になります。
差額の正体は、夜間・休日にエンジニアを常時確保するための人件費です。有人の24時間体制では、シフト勤務を回すために複数名の交代要員が必要になります。さらに、深夜手当や休日割増も発生します。
夜間をオンコール(呼び出し待機)にすれば、常駐より安価に抑えられます。待機料は発生しますが、常時の人員配置は要りません。そのうえで、過去ログからアラートが集中する時間帯を確認し、必要な時間だけ手厚くする考え方もあります。
自動化投資による対応コストの削減効果
24時間体制の費用を抑える鍵は、対応の自動化にあります。
- 削減効果:夜間に人間が張り付く時間を最小化できます。
- 判断材料:削減できる人件費から、ROIを算出します。
- 注意点:自動化率だけでなく、検知の精度も確認します。
PagerDutyなどを使えば、検知から一次切り分け、チケット起票、エスカレーションまで自動化できます。こうした自動化により、MTTR(平均修復時間)も短縮されます。
中小企業では、異常検知と原因切り分けの自動化で対応工数を最大約8割削減した実績があります。たとえば、夜間オンコールが月20万円で、自動化ツールが月額数万円程度なら、差額を算出できます。対応工数を8割削減できれば、差し引きで月十数万円の削減が見込めます。
ただし、AIOpsや生成AIによる異常検知には、ハルシネーション(誤検知・過剰検知)のリスクがあります。加えて、AIに運用ルールを学ばせるためのデータ整備には、地道な手間がかかります。
導入後も、人手による再チェックが残ることがあります。自動化の効果と限界の両方を踏まえて、投資額を見積もることが大切です。
内製した場合との隠れコスト比較
外注費を避けて自社で行うのは自然な考え方ですが、給与以外の費用も発生します。そのため、委託費と自社運用は、人件費以外も含めた総額で比べる必要があります。
ここでは、稟議で経営層を説得する際に使える比較の考え方を見ていきます。
自社運用の人件費以外に潜む費用
内製の総額を見るときは、給与に加えて、隠れコストも合わせて見ておく必要があります。
- シフト要員:24時間365日体制では複数名が必要になります。
- ツール費:監視ツールのライセンス費がかかります。
- 人材リスク:採用・教育のほか、退職時の再構築も必要になります。
エンジニア1人の年収を600万円とし、法定福利費は給与の約15パーセントとします。法定福利費を加えると、1人あたりの企業負担は年間700万円近くになります。
交代要員を含めて3〜4名が必要なら、人件費だけで年間2,000万円以上になります。これを月額に換算すると、170万円以上に達します。
特に、属人化した「ひとり情シス」が退職すると、監視のノウハウごと失われます。
夜間・休日のオンコールによる疲弊は離職を招き、再採用と教育に数百万円かかることもあります。隠れコストまで積み上げると、月額数十万円の委託費が割安になるケースもあります。
24時間体制が必要な場合は、外注の経済合理性が高まります。
委託と内製を切り分ける損益分岐の考え方
外注と内製は、範囲ごとに組み合わせて考えられます。
- 外部委託:定型化や自動化ができるL1を任せます。
- 社内対応:ビジネス理解が必要なL3の判断を残します。
- 数値で把握:障害の発生頻度、夜間アラートの実数、稼働率を押さえます。
最も効率が良いのは、L1を外部委託し、L3の判断を社内に残す方法です。80/20ルールに従えば、件数の多いL1の委託で対応負荷の大半を減らせます。
損益分岐の判断は、実際の数字を当てはめると進めやすいです。たとえば、夜間アラートが月に数件なら、夜間はオンコール委託、昼間は内製にすると安価です。
障害が頻発して社内が疲弊しているなら、二次対応までを委託することで、長期的な総コストを下げられます。
委託範囲ごとの進め方は、ITシステム監視対応の進め方を解説した記事もご覧ください。
見積もりで確認すべきSLA・契約のポイント

同じ月額30万円でも、料金に含まれる範囲は会社によって異なります。そのため、見積もりは金額だけでなく、SLA(サービス品質保証)と対応範囲を精査する必要があります。
曖昧なまま発注すると、障害時に契約外の追加料金を請求されることがあります。費用が妥当かどうかは、SLA条件と合わせて評価する必要があります。
応答時間・稼働率などSLA条件と料金の関係
SLAでは、インシデント時の応答時間やシステム稼働率などのKPIを定めます。
- 応答時間:検知から30分以内に対応を開始する、といった条件です。
- 稼働率:99.9パーセント以上などの水準です。
- 改善運用:定期レポートやレビュー会の有無。
保証水準が高いほど、提供側は手厚い体制を組むため料金も上がります。たとえば、応答15分以内と1時間以内では、待機させるエンジニアの数が変わります。
停止が売上損失に直結する基幹システムなら、高いSLAに投資する価値があります。一方で、社内向けの補助的なシステムに最高水準のSLAを求めると、過剰なコストになります。
良質なMSPは、月次レポートで対応実績を示し、改善提案を続けます。PDCAを回すことで、アラート件数そのものを減らし、長期的な費用対効果を高めます。
追加費用が発生しやすいグレーゾーン
見積書では、基本料金に含まれない作業と、課金の条件を確かめます。
- 従量課金:一定件数を超えたインシデントに発生します。
- スポット費用:環境変更やツールの追加設定にかかります。
- 時間外割増:緊急対応の料金です。
要件定義が曖昧なまま発注すると、追加費用が積み上がります。当初見積もりの数倍に膨らむ失敗も起こるため、条件は文章にして残しておきます。
マルチベンダー環境では、障害時に誰がどこまで対応するかを契約前に決めておく必要があります。クラウド基盤、SaaS、監視ツール、MSPが絡むと、責任の押し付け合いが起きがちです。そのうえ、障害の原因が基盤か、設定ミスか、アプリの不具合かを切り分ける作業も必要になります。
RACI(実行責任・説明責任・相談先・報告先)を契約段階で明文化します。さらに、どこまでを誰が受け持つかと、SLAのグレーゾーンを決めておくと、障害時の調停コストを抑えられます。
発注プロセスや契約形態はITシステム監視対応の発注方法を解説した記事をご覧ください。
パートナーの選び方はおすすめの開発会社・ベンダーを比較した記事を参考にしてください。
運用全体の知識はITシステム監視対応の完全ガイドで体系的に把握できます。
まとめ
費用は、対応レベル、対応時間帯、監視対象の規模で決まります。一次対応のみなら月額3万円から30万円が目安です。
二次対応まで含めると20万円から100万円超になります。三次対応・復旧完了までのフルマネージドは60万円から200万円以上です。
24時間365日体制は営業時間内対応の2〜3倍になるため、まずアラートが集中する時間帯を確認します。必要な範囲だけ手厚くする設計が、費用を抑える鍵になります。
内製と委託は、給与だけでなくライセンス費や採用・教育コストも含めて比べます。退職リスクを含めた総額で判断することが重要です。
定型化できるL1を委託し、ビジネス判断が必要なL3を社内に残す方法が効率的です。
見積もりでは、金額に加えてSLA条件と追加費用のグレーゾーンを精査します。RACIで、どこまでを誰が受け持つかも契約段階で明文化すると、想定外の出費を防げます。
本記事の相場を参考に、自社に過不足のない委託範囲を見極めてください。
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
