不動産業界のシステムのパッケージ/クラウド製品一覧

不動産業界のシステムは、自社サーバーに導入するパッケージ型と、ネット経由で使うクラウド型に分かれます。さらに、仲介と管理を横断する製品、業者間流通の基盤、特定業務に特化した製品に分けて比べると、自社の課題に合う候補を選びやすくなります。

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パッケージ型とクラウド型 不動産業界のシステムの違い

パッケージ型は自社で担う範囲が広く、クラウド型はベンダーに任せられる範囲があることを左右で比べた図。
運用を担う主体が形態選びの分かれ目になります。

パッケージ型は、ベンダーの製品を自社サーバーに導入して使う形です。一方で、クラウド型は、ベンダーが運用するサービスをネット経由で使う形で、近年の主流になっています。

一部の製品は、パッケージ型とクラウド型の両方を提供しているため、どちらの形態で使うかを製品ごとに確認する必要があります。

パッケージ型の論点:自社運用と独自要件への対応

パッケージ型は、自社固有のセキュリティ基準や既存の基幹システムとの深い連携に対応しやすい場合があります。ただし、サーバー、監視、バックアップ、更新を自社で担う範囲が広くなるため、宅建業法の改正やポータル仕様の変更にも、自社で追随する体制が必要です。

長年の導入実績がある製品では、近い規模や業態の事例が豊富な場合があります。その場合、カスタマイズを相談しやすいという利点もあります。

クラウド型の強み:短期導入と法改正への追随

クラウド型は、導入の手軽さと法制度への対応をベンダーに任せられる点が特徴です。一方で、自社で担う運用の範囲は残るため、クラウド型を選ぶ際は、導入のしやすさ、法制度への対応、自社運用の範囲を分けて確認します。

  • 導入:サーバーを調達せずに利用を始めやすく、ベンダーによる機能更新も受けられます。
  • 法改正への対応:2022年の宅建業法改正で書面電子化が解禁された際のように、制度変更へのベンダー対応がクラウド型を選ぶ大きな理由です。
  • 自社運用:導入だけで法令遵守は保証されないため、自社の契約フローや承認ルールも整備します。

近年の主要製品は、クラウド型を中心に機能を拡充しています。そのため、本記事で紹介する5製品はいずれもクラウド版を提供しています。

ポイント

自社でサーバーや更新を担えるかが、形態を絞る目安になります。運用の負担を抑えたい会社はクラウド型、独自要件への対応を優先する会社はパッケージ型から見ていくと、比較の範囲を広げすぎずに済みます。

製品を比較するときの共通の観点

製品を同じ条件で比べるための事業範囲、外部連携、法対応、料金を4枚の確認カードに示した図。
同じ観点を並べると候補ごとの差を追いやすくなります。

自社の事業モデルに合うかは、機能一覧の項目数よりも、対応範囲の中身で判断します。そのため、候補を同じ条件で比べられるよう、事業範囲と連携、法対応、料金を共通の質問にそろえます。

対応する事業モデルの範囲のそろえ方

同じ対応範囲の表示でも、製品によって中身に差があります。そこで、候補ごとに事業範囲の広さと実際の使い勝手をそろえて確かめます。

  • 標準機能の範囲:仲介(売買・賃貸)、管理受託、業者間流通のうち、どこまでを標準で扱えるかが判断材料です。
  • 機能の実態:「仲介も管理もできる」とされても、片方が主軸で、もう一方は簡易機能にとどまる場合があります。
  • 実案件での操作:自社の主軸業務に近い案件を、物件データや契約パターンを使って試すと、運用時の使い勝手を判断しやすくなります。

外部連携と料金体系の確認

連携範囲と費用条件は製品ごとに異なるため、接続先と課金単位を同じ基準でそろえて比べます。

  • 外部サービス:レインズや外部ポータルとの連携方式
  • 業務連携:電子契約・IT重説との連携有無
  • 会計連携:APIまたはCSVでの接続
  • 課金単位:物件数・戸数、店舗数、案件数など

連携先の仕様が変わったときに、改修をベンダーと自社のどちらが担うかも、契約前に確認します。

詳しい評価方法は、不動産業界のシステムの選び方と選定ポイントで整理しています。

ポイント

機能数より、自社の主軸業務を実案件で動かせるかを第一の判断材料にします。連携と課金単位は後から費用が膨らみやすいため、同じ条件で早めに並べておくと、比べやすくなります。

不動産業界のシステムの主要クラウド製品5選

2026年7月時点で現行の公式ページと対象業務を確認できた5製品を紹介します。掲載順はランキングではなく、製品ごとに得意な事業モデルや提供形態が異なるため、自社の課題と利用条件をそろえて比べてください。

地域特化型や特定業務向けの小規模サービスもあります。ただし、ここでは、同じ時点で公式サイトから対象業務と料金の考え方を確認できた製品を掲載しています。

いえらぶCLOUD

公式サイトでは、顧客・物件情報管理、業者間流通、不動産コンバーター、電子契約の機能を確認できます。そのため、候補を絞る際は、対応業務と事業間連携、見積条件を重点的に確かめます。

  • 対応業務:賃貸仲介、売買仲介、賃貸管理を一つのシステムで扱いたい会社の候補です。
  • 事業間連携:複数事業で同じデータを参照する場合は、連携範囲を具体的に確かめます。
  • 取得方法:個別見積もりが中心で、対象店舗数と利用機能を提示して取得します。

いい生活 クラウドSaaS

自社の管理・仲介業務と料金条件に合うかは、対応業務や提供元、料金から判断します。

賃貸管理では、契約・家賃・案件管理や滞納督促を扱います。また、電子契約やIT重説(Web会議)の機能も備えています。

  • 対応業務:賃貸管理、賃貸仲介、売買仲介を横断して扱う候補です。
  • 提供元:上場企業が提供しています。事業継続性や機能更新の計画を確認したい会社にも参考になります。
  • 料金:月額制ですが、具体額は個別確認が必要です。

ITANDI BB

ITANDI BBは、賃貸・売買の取引業務を効率化するDXサービス群です。自社に合うかは、サービスの役割や加盟ネットワーク、連携先、費用で判断します。

  • サービスの役割:他候補と異なり、業界全体のインフラに近い性格があります。
  • 業者間流通:物件確認と入居申込、内見予約、電子契約をオンライン化する基盤として広く使われています。
  • 接続範囲:加盟ネットワークや、顧客管理・会計システムとの連携範囲が判断材料になります。
  • 料金:基本機能は無料です。電子契約などのオプションは利用件数に応じた従量課金です。

スマサテ

スマサテは、AIによる賃料査定に特化した候補です。類似物件の自動抽出や査定報告書の自動生成により、査定業務の工数削減を目指せます。

査定は仲介と管理のどちらでも必要な業務のため、既存の顧客管理・物件管理システムと組み合わせて使う形が中心になります。

利用は月5回までが無料で、それを超える分は回数に応じた月額課金になります。

賃貸革命/賃貸革命クラウド版

賃貸革命は、物件・契約・家賃・問合せや修繕の管理と、仲介業務をまとめて扱います。

オンプレミス型の「賃貸革命」とクラウド型の「賃貸革命クラウド版」があります。そのため、クラウド移行が難しい会社や、段階的に移行したい会社にも候補になります。

料金は個別見積もりが中心です。

自社の課題別に候補を絞る方法

5製品すべてを細部まで比べるより、最大の課題を決め、必須要件で候補を減らす方が効率的です。たとえば、事業横断や業界インフラとの連携、査定業務、オンプレミス要件では、適した製品タイプが異なります。

複数の事業モデルを横断した一元管理

賃貸仲介、売買仲介、賃貸管理を手がけ、顧客・物件データを事業間で連携したい会社は、オールインワン型を検討します。

候補はいえらぶCLOUDといい生活のクラウドSaaSです。デモでは、実案件に近い条件を使って、データがどこまで自動連携するかを確かめます。

一方、異なるツールを使ってきた会社は、移行時のデータ統合が必要になります。あわせて、画面操作に現場が慣れるまでの期間も見込んでおきます。

業者間流通の効率化と査定業務の強化

業者間流通や査定に加え、オンプレミス要件も課題ごとに適した候補が異なるため、影響の大きい課題から順に着手します。

  • 物件確認や入居申込:ITANDI BBを検討
  • 賃料査定:スマサテを既存システムと併用
  • オンプレミス運用:賃貸革命などを候補に追加

複数の課題があっても、まずは影響範囲が最大の課題で効果を確かめます。そのうえで別の課題へ広げると、投資判断がしやすくなります。

ポイント

最大の課題が一つに定まらないときは、影響範囲の広い課題から順に候補を絞ります。業者間流通と査定は適した製品タイプが異なるため、一度にすべてを満たそうとすると、比べる基準が定まりません。

料金と契約前の確認事項

公開価格だけで選ぶと、店舗数の増加や連携、サポートで想定外の費用が生じる場合があります。

判断は月額費用だけでなく、導入準備や移行、教育などを含めた総保有コストで行います。また、日常運用や解約時のデータ移行まで含めて見ておきます。

課金対象の確認

見積もりを比べる前に、課金の仕組みと比較条件をそろえておきます。

  • 課金単位:店舗数、物件数・戸数、案件数、利用機能など、製品ごとに違う単位です。
  • 価格の提示:紹介製品の多くは公式サイトに一律価格がなく、個別見積もりが中心です。
  • 想定規模:現在と1年後・3年後の規模を伝え、初期費用と最低利用期間を同条件で見積もります。
  • 従量費用:従量課金の境界と連携改修費も、同じ条件で比べる対象です。
  • 繁忙期の利用:月ごとの利用回数で課金されるスマサテは、繁忙期の回数を基準にします。平常時だけで試算すると、想定より高くなる場合があります。

データ保持・法令対応・解約条件の契約書確認

クラウドでは、物件情報や顧客の個人情報、契約書を扱います。そのため、権限管理や操作ログ、通信・保存時の保護を確かめ、障害時の復旧やデータ保管場所も契約書で押さえます。

解約時にどの形式でデータを受け取れるかも、あわせて確かめておきます。宅建業法や電子帳簿保存法への対応は、製品で自動化される範囲と、自社運用に委ねる範囲を分けて整理します。

元付・客付の立場に応じて閲覧項目を分けるマスキング機能も、不動産業界ならではの確認事項です。

ポイント

見積もりは、同じ店舗数や物件数、連携条件を各社に示したうえで取るのが前提です。月額の安さだけで比べず、移行や運用の費用まで含めた総額で判断してください。

デモとPoCによる製品一覧の最終候補への絞り込み

実案件の確認を、物件登録とポータル配信から契約、請求または入金消込へ進める流れ図。
一連の業務を通すと、機能間のつながりも確認できます。

資料比較で2〜3製品に絞ったら、実際の業務シナリオでデモまたはPoCを行います。そのうえで、担当者だけでなく法務、経理、現場の視点も加えると、導入後の行き違いを減らせます。

1案件を最初から最後まで通す確認

実在に近い一つの案件を使い、物件登録から請求または入金消込まで通して確かめます。

  1. 物件登録とポータルへの配信
  2. 反響への対応と契約
  3. 請求または入金消込

業者間流通基盤では、提携先業者の操作感も確かめておくと、実運用時の負荷が見えてきます。

また、デモで動いた連携も、本番の物件数やアクセス集中時には挙動が変わる場合があります。そのため、可能であれば一定期間並行運用し、性能を確かめます。

導入効果の実測と稟議での活用

稟議に使う効果は、PoCの前後で業務時間を比べて測ります。

  • 掲載・対応:ポータル掲載までの時間、反響への返信時間
  • 査定・入金:査定と入金消込にかかる時間

削減見込みは、自社の件数と人件費をもとに算出します。公開事例の効果は参考にとどめ、そのまま当てはめないようにします。

クラウド製品でも、アカウント管理や問い合わせ対応の社内工数は残るため、その分を差し引いて投資対効果を判断します。

不動産業界のシステムの製品比較で押さえておきたいポイント

知名度やおすすめ順位よりも、自社の事業モデルと利用規模を同じ条件で比べる方が、選定時に判断が分かれる点を整理しやすくなります。

オンプレミスが必須な場合のパッケージ対応製品の優先

セキュリティ基準や既存基幹システムの都合でオンプレミスが必須なら、パッケージ型とクラウド型の両方を提供する賃貸革命などを優先します。一方、クラウド専業の製品では、要望に応えきれない場合があります。

最優先課題で変わるおすすめ製品

全社共通で1位になる製品はありません。事業横断、業者間流通、査定業務などのうち、最優先課題に合う製品が候補になります。

必須要件で2〜3製品に絞ったうえで、同じシナリオのデモまたはPoCで比べます。他社の評判や事例も参考にしつつ、最終的には自社業務での検証結果で決めます。

複数年の総保有コストでの料金比較

店舗数や物件数、案件数、連携条件を各社に同じ条件で提示し、数年程度の総保有コストを比べます。

初期費用と月額費用に加え、データ移行やAPI連携の費用も含めます。さらに、サポートや社内運用の費用も考慮に入れます。

まとめ

不動産業界には、仲介・管理を横断する製品、業者間流通の基盤、特定業務の製品があり、パッケージ型とクラウド型の両方を提供する製品もあります。

紹介した5製品にもそれぞれ異なる得意領域があるため、機能数や知名度だけで比べると、自社に合う候補を見誤るおそれがあります。

課題診断から2〜3製品への絞り込み

複数事業の横断や業者間流通、査定業務、オンプレミス要件のうち、どれが最優先かを決めます。事業範囲や外部連携、法対応、料金を同じ質問で比べると、知名度に左右されず候補を絞れます。

必須要件を満たさない候補は早めに除外し、残った製品の検討に時間を使うと、選定期間を短縮できます。

実案件のPoCでの最終確認

実案件のPoCで確かめた内容を、自社に合う製品構成の判断に使います。

  • 業務の通し確認:資料上の機能数より、自社業務を一気通貫で処理できるかどうか。
  • 例外処理:関係部門を交えた、想定外のケースの確認。
  • 効果測定:削減時間と、導入後に残る運用工数。

既製クラウド製品で独自の事業横断連携や業界特有の権限設計を吸収できない場合、個別開発やハイブリッド構成も候補です。

riplaはフルスクラッチ開発の立場から、比較で見えた不足機能の整理や、自社業務に合わせたシステム構築を支援しています。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。