ソフトウェア資産管理システム開発の完全ガイド

ソフトウェア資産管理システムは、ソフトウェアの権利・利用・契約を一体で管理する仕組みです。

運用まで整えておけば、ライセンス違反や無駄な購入を防ぎやすくなります。発注する側は、目的や対象範囲を決めてから、開発会社と条件をすり合わせることになります。

▼関連記事一覧
・ソフトウェア資産管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・ソフトウェア資産管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・ソフトウェア資産管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・ソフトウェア資産管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ソフトウェア資産管理システムの全体像

ソフトウェア資産管理(SAM)を中心に、購入数、契約条件、インストール数、利用者数、利用量を結んだ図解。
権利側と利用実態側の情報が、中央のSAMに集まる構成です。

ソフトウェア資産管理(SAM)は、インストール済みアプリの一覧づくりにとどまりません。購入数や契約条件などの利用権と、実際のインストール数・利用者数・利用量を照合します。この照合を続けて、適正利用とコスト最適化を図る管理方法です。

法務、情報システム、購買、財務、各部門の利用者が同じ情報を参照できると、判断が食い違いにくくなります。

ソフトウェア資産管理の定義

ソフトウェア資産管理は、取得、契約、配布、利用の履歴を記録する活動です。更新、回収、廃棄の履歴も、同じように残します。ライセンスの権利と実利用を、継続して照合します。

経済産業省のガイドラインは、責任者の任命、管理規則、利用状況の監査、台帳整備、利用者教育を基本事項に挙げています(出典:経済産業省「ソフトウェア管理ガイドライン」、2026年確認)。

ただし、特定の製品やシステムの導入が一律に義務付けられているわけではありません。そのため、組織の規模と契約条件に合う方法を選んで管理します。

IT資産管理・MDM・EDR・ITSMとの違い

IT資産管理(ITAM)は、端末、サーバー、ネットワーク機器、契約などのIT資産全体を扱います。SAMは、そのなかでソフトウェアの権利、契約、利用を深く管理する役割です。

  • MDM:スマートフォンやタブレットの設定、紛失対策
  • EDR:端末上の脅威検知
  • ITSM:問い合わせ、変更、障害対応の業務管理

役割を混同すると、必要なデータや責任範囲があいまいになります。そのため、各システムで連携する部分と分担する部分を先に決めておきます。

たとえば、端末管理ツールからインストール情報を収集し、SAMで契約証書や購入数と照合できます。未承認ソフトやサポート切れの版は、ITSMの申請・変更フローで是正します。

EDRや脆弱性管理の情報は、対応の優先順位を決める際に使えます。

会計・購買とも、契約金額、費用負担部門、更新日、発注番号を連携させます。これにより、予算とライセンスの不一致を減らせます。

主要機能と管理できる情報

必要な機能は、データを集める部分と、判定や申請、レポートを回す部分に分けて考えます。前者には収集と名寄せ、後者には契約管理と判定、申請、棚卸し、レポートがあり、外部連携も加えて整理します。機能の数より、データを誰がいつ更新し、どの判断に使うのかを先に確かめることが大切です。

インベントリ収集と名寄せ

収集対象と名寄せでは、次の情報を押さえておきます。

  • 対象:端末、サーバー、仮想デスクトップ、クラウド、スマートフォン、SaaS
  • 収集項目:製品名、版数、エディション、識別子、インストール先、利用者、部門、最終利用日、OS、管理状態
  • 名寄せ:メーカー、製品、エディション、バージョン、課金単位の表記をそろえる

エージェントを配布できない端末や社外の端末もあります。そのため、自動収集だけで100%を目指さず、CSV取込、利用者申告、契約台帳との照合を組み合わせます。

名寄せは、実務で品質の差が出やすい機能です。特に、インストール名と製品名が異なる場合や、同じ製品に複数の版や言語がある場合は、単純な検索では正しいライセンス数を計算できません。

辞書は、誰が更新し、どの手順で承認するかを決めておきます。

ライセンス・契約とコンプライアンス判定

契約台帳では、権利の登録、利用との照合、担当者による確認を一つの流れにつなげます。

  • 権利を記録:購入数、契約番号・期間、購入日、証書、更新日、保管場所、更新・ダウングレード権
  • 条件を照合:権利と実利用を同じ条件で比べ、不足・余剰・未使用・契約外利用を候補表示する
  • 人が確認:自動判定だけで違反と断定せず、契約書と実態を確かめて是正し、余剰は再割り当てする

課金単位は、ユーザー、デバイス、コアなど製品ごとに異なります。そのため、仮想化や共有端末、在宅勤務などの使い方まで扱うには、「10本保有」という記録より細かい条件の登録が必要です。

余剰ライセンスを購入前に再割り当てできれば、企業は毎年の買い増しを抑えられます。

ライフサイクル・棚卸し・レポート

ライフサイクル管理とレポートは、次のように日々の業務へ組み込みます。

  • 履歴管理:申請・承認・配布から、異動・退職、削除、返却、廃棄、契約更新まで記録する
  • タスク連携:人事異動や購買発注をきっかけに自動タスクを起こす
  • レポート:製品別の保有・利用数、更新予定、未使用率、部門費用、未承認、サポート切れ、是正期限、監査証跡を扱う

財務には契約金額と費用負担部門、情シスには端末や版数、脆弱性を見せ、監査担当には購入証憑と判定履歴を示します。表示を利用者ごとに分けると、定着しやすくなります。

たとえば、退職日にアカウントを止めても、SaaSライセンスの返却や共有端末の利用者変更が別管理だと、不要な契約が残ります。

ソフトウェア資産管理システムの種類と選び方

方式は、SaaS、パッケージ・オンプレミス、既存製品への個別連携、独自開発に分けられます。また、全機能を一度に作らず、収集は既製品を使い、契約・承認・会計連携といった固有部分を段階的に広げる方法もあります。

SaaS型が向いている企業

SaaS型は、短期間で始めたい企業や、複数拠点・テレワーク端末をまとめて管理したい企業に向いています。サーバー運用の人員を増やせない場合も候補になります。

  • 運用負担:更新やバックアップをサービス側に任せやすい
  • 予算:月額費用で計画を立てやすい
  • 契約条件:保管場所、返却形式、API上限、ログ期間、個別ライセンス計算、海外利用の扱い

たとえば、公開料金のあるクラウド型IT資産管理サービスには、1台あたり月額300円からの例があります(出典:公式料金ページ、2026年8月確認)。

この単価で計算すると、100台で月3万円、500台で月15万円、1,000台で月30万円になります。ただし、これは端末管理の比較の起点であり、SAMのデータ整備、契約判定、連携開発、導入支援は含まれません。

パッケージ・オンプレミス型が向いている企業

閉域環境が求められる企業、データの保管場所に厳しい要件がある企業、既存の認証基盤や運用ルールを変えにくい企業では、候補になります。権限や監査ログを細かく設計できるため、社内ネットワークに合わせやすい方式です。

一方で、サーバーの運用、バックアップ、冗長化、OS・パッチ対応を、自社で続ける負担があります。初期構築費に加えて、保守、辞書更新、更改の費用と担当者も見込みます。さらに、障害対応、脆弱性診断、復旧テストについても、費用と担当者を明確にしておきます。

クラウドと混在する環境では、管理対象をオンプレミスの資産だけに限りません。SaaSや仮想環境の契約情報も別の方法で取り込み、台帳を一つに保ちます。

スクラッチ開発・連携拡張が向いている企業

既存製品で表しにくい業務がある場合は、連携拡張やスクラッチ開発を検討することになります。

  • 独自業務:購買承認、部門配賦、会計、複数法人、特殊なライセンス計算
  • 保守負担:独自の画面やフローは、OS、SaaS、契約、脆弱性情報の変化に合わせた保守が必要
  • 再実装範囲:全OS検知やソフトウェア辞書を一から作る必要があるかどうか
  • 初期MVP:台帳、名寄せ、契約・ライセンス、棚卸し、申請、基本レポート、API連携に絞る
  • 段階拡張:利用率や監査対応を見て、SaaS管理、脆弱性、SBOM、予算配賦などを加える

まず初期のMVP(Minimum Viable Product)で利用率や監査対応の効果を確かめます。そのうえで、拡張範囲を判断します。

ポイント

SaaS型、パッケージ・オンプレミス型、スクラッチ開発型は、短期間で始めたいか、閉域環境が要るか、既製品で表せない業務があるかで比べると判断しやすくなります。

ソフトウェア資産管理システムの進め方

企画・現状棚卸し・KPI設定から要件定義とPoCを経て、データ移行・展開・運用設計へ進む3段階の図解。
小規模なPoCで確かめてから、段階展開と定期運用につなげます。

導入は、目的とKPIの決定と現状棚卸しから始め、要件分解とPoCを経て、段階展開へ進みます。たとえば、ツールを先に契約すると、未整理の台帳をそのまま移行し、使いにくくなるおそれがあります。そのため、現状のデータの欠損と責任者を把握してから、採用する方式を決めます。

▶ 詳細はこちら:ソフトウェア資産管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

企画・現状棚卸し・KPI設定

最初に改善目的を一文で定義し、現状データを整えたうえで、測定できるKPIを決めます。

  • 目的:未管理ソフト削減、棚卸し工数半減、更新漏れゼロ、余剰ライセンス再利用
  • 追加目的:監査資料作成の短縮、サポート切れ版の是正
  • KPI:現状値、目標値、測定頻度、責任者を決め、導入後に測定する
  • データ棚卸し:複数の台帳・システムから資産情報を集め、欠損や重複を整理する

資産の情報は、Excelや契約書、端末管理ツール、SaaS台帳などから集めます。中心になるのは、資産ID、製品名、版数、利用者です。契約や費用、更新日、責任者も、同じ台帳に集めます。

欠損や重複、表記ゆれ、古い契約、所有者不明のアカウントは、あらかじめ洗い出しておきます。そのうえで、正しいデータと確認が必要なデータを、移行前に分けます。

要件定義とPoC

要件定義とPoCでは、要件の分類、対象条件、試験環境、合否基準をそろえておきます。

  • 要件分解:収集、名寄せ、エンタイトルメント、契約・更新、申請・承認、監査、脆弱性・SBOM、権限・ログ、API・非機能に分ける
  • 条件設定:必須度、対象、更新頻度、入力・承認者、保存期間、成功条件を決める
  • PoC環境:100〜300台程度で複数OS、社外端末、低帯域拠点、仮想デスクトップを試す
  • 合否判定:登録率、名寄せ精度、契約判定、検知から是正までの時間、連携安定性を測り、画面の印象だけに頼らない

端末面では、Windows・macOSやスマートフォンを試します。運用面では、異動・退職、アンインストール、更新、未承認ソフト検知も確かめます。

データ移行・展開・運用設計

データ移行から運用まで、小規模な検証から始めて定期確認へとつなげていきます。

  • 移行準備:台帳項目、辞書、契約書の紐付け、証憑保管先、重複処理、移行後の照合を決める
  • 段階展開:管理部門と一事業部で試し、品質と手順を直してから拠点を広げる
  • 配布計画:負荷、再起動、告知、アンインストール手順を含める
  • 定期運用:月次で台帳・未承認、四半期で利用率・余剰を確認し、更新60〜90日前に購買と利用部門で判断する
  • 責任分担:異動・退職・端末廃棄を連携し、回収・停止・再割り当ての担当を決める

台帳の責任者と是正期限が決まっていないと、古いExcelが別に残るおそれがあります。

ポイント

ツールを先に選ぶと未整理の台帳を移行しかねないため、目的、現状のデータ、責任者を先に固めてから方式を決めるのが安全です。

ソフトウェア資産管理システムの費用相場

SaaS標準導入、連携を含むパッケージ導入、閉域・オンプレミス、専用スクラッチMVPの初期費用と導入期間を4枚のカードで示す図解。
導入方式が広がるにつれて、費用と期間の目安も上がります。

費用は、端末やユーザーの数、SaaSの数、契約判定の複雑さで変わります。さらに、既存連携、オンプレミス要件、移行の難しさ、運用支援も費用を左右します。

ここで示す金額は、SAM単体の公的な市場統計ではありません。公開料金や会計・業務システム、IT資産管理の類似案件からまとめた概算です。

見積では、ライセンス費と導入・開発・運用費を分けて見ることが基本です。

▶ 詳細はこちら:ソフトウェア資産管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

方式別の初期費用と期間の目安

方式ごとの初期費用と導入期間は、次の幅を目安に比べます。

  • SaaS標準導入:50万〜300万円、1〜3か月
  • 連携を含むパッケージ導入:300万〜1,000万円、3〜6か月
  • 閉域・オンプレミス:800万〜2,000万円、4〜9か月
  • 専用スクラッチMVP:1,000万〜2,000万円、6〜12か月
  • 大規模統合:2,000万〜5,000万円超、12〜18か月以上

SaaS標準導入の費用には、初期設定、台帳のCSV移行、エージェント配布が含まれます。権限設定と教育も含まれます。連携型では、これに既存ツールや認証基盤、購買・会計との接続が加わります。

閉域・オンプレミスでは、サーバー、冗長化、バックアップ、監査ログまで整える想定です。大規模統合では、複数法人や海外拠点、会計、購買、認証基盤との連携を含みます。CMDB、脆弱性、SBOMも対象に入ります。

金額は、対象範囲とデータ品質を仮定した推定で、確定した価格ではありません。特に名寄せと契約条件の整理は、画面開発より工数が膨らみやすい項目です。

500台・1,000台で考える3年間のTCO

公開料金の月額300円・1台を基準に、3年間の費用とTCOを比べます。

  • 500台:月15万円、年180万円、3年間で540万円
  • 1,000台:月30万円、年360万円、3年間で1,080万円
  • 費用:初期費、月額・年額ライセンス、保守・サポート、運用工数、追加開発、監査、返却・解約
  • 効果:余剰再利用、棚卸し時間、更新見直し、監査資料作成の工数削減

上記はいずれも税抜きの単純計算です。初期設定や移行、契約判定は含まれていません。連携やサポート、辞書更新、追加オプションも含まれないため、実際のTCOは上回ります。

月額の安さだけで方式を選ばず、削減効果と運用負担を同じ表で比べます。

見落としやすい追加費用

追加費用と継続費用は、分けて洗い出しておきます。

  • データ整備:旧台帳・契約書の整理、名寄せ、分散書類の登録
  • 導入拡張:配布、特殊判定、複数法人・海外対応、長期ログ保存
  • 追加機能:SSO、脆弱性診断、監視、マニュアル、教育
  • 継続費:利用料、保守、辞書・ルール更新、OS対応、監査、追加連携

契約書がメールや紙に分散している場合は、登録前の整理に工数がかかります。また、請負と準委任・アジャイルの範囲を分けておくと、変更による予算超過を管理しやすくなります。

ポイント

費用は方式と対象範囲で変わるため、初期費用だけでなく、月額、保守、運用工数を含む3年間のTCOで見ると判断を誤りにくくなります。

ソフトウェア資産管理システムの開発会社/ベンダーの選び方

知名度や機能の数だけでなく、契約・ライセンス管理、端末インベントリ、既存システム連携、導入後の支援範囲で選びます。

製品会社と、既存製品を組み合わせるSI・開発会社では得意分野が異なります。そのため、RFPには自社の課題と責任分界を具体的に書きます。

比較の観点による候補の絞り込み

下の観点ごとに、各社の対応を標準機能、追加開発、外部サービス、対応不可に分けて確かめます。対応範囲をそろえて比べると、提案資料だけでは見えない差がわかります。

  • SAM機能:契約・ライセンス管理の対応範囲
  • インベントリ:Windows、macOS、スマートフォン、仮想環境への対応
  • クラウド:SaaS利用を把握できるか
  • 連携:会計・購買・認証基盤・CMDBとのAPI
  • 環境・運用:閉域対応、大規模導入、継続支援

契約条件を、どこまで表せるかも確かめます。対象は、ユーザー・デバイス・コア単位での計算や同時利用、仮想化です。更新権や海外・子会社の利用なども対象になります。

条件を登録できないと、判定を別の表計算で補うことになりかねません。そこで、辞書の更新頻度と修正方法、新しいSaaSの申請方法もPoCで確かめます。

RFPと見積で確認する項目

RFPと見積では、対象範囲、費用内訳、責任分担、契約後の条件を確かめます。

  • 対象条件:端末数、OS、拠点、SaaS、契約、台帳、連携、権限、ログ、監査、時期、体制
  • 見積内訳:設定、移行、辞書、配布、連携、教育、保守、追加開発と除外作業
  • 責任・契約:台帳整備、判定、返却形式、更新SLA、定期運用の支援者
  • 提案条件:前提、除外範囲、追加費用、障害時の連絡体制

また、見積に含まれない作業も明示してもらいます。更新のSLAは、辞書、OS、脆弱性情報のそれぞれについて確かめます。

導入後の責任分界とリスク

導入後の運用、責任者、情報保護は、契約の時点で決めておきます。

  • 運用リスク:更新停止、辞書修正の属人化、退職者ライセンス、二重契約、証憑不足
  • 責任分担:更新者、承認者、監査担当、窓口、復旧目標、バックアップ、終了時の削除・返却
  • 情報保護:収集目的、閲覧権限、保存期間、アクセス記録、暗号化、委託先、海外保管
  • 利用者対応:説明・教育と、未承認ソフトの申請、削除、例外承認の手順

個人情報や操作ログを過剰に集めると、プライバシーや労務上の問題につながります。そのため、収集は必要最小限にとどめ、資産と契約を適正に管理します。

▶ 詳細はこちら:ソフトウェア資産管理システム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:ソフトウェア資産管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

製品会社とSI・開発会社では得意分野が違うため、自社の課題と責任分界をRFPに具体的に書き、同じ条件で対応範囲を比べることが大切です。

2026年のSAMは、端末台帳に加えて、SaaSスプロールやクラウド、AI分析まで対象が広がっています。さらに、OSSライセンス、SBOM、脆弱性対応も含まれるようになっています。

新機能は、すべてを一度に入れる必要はありません。自社のリスクとKPIに関係するものから、段階的に取り入れます。

SaaSスプロールとAI活用

SaaS利用を把握するには、契約と実態を照合し、AIが示した候補を人が確認する流れを整えておきます。

  • 利用状況:SSO・ID基盤、購買データ、利用ログで未利用・重複・解約候補・未承認を把握
  • 管理情報:契約者、利用者、管理者、支払部門と実利用を結び付ける
  • AIの用途・確認:低利用抽出、更新要約、異常検知、申請分類に使い、根拠・承認者・履歴を残す

SaaS利用は、端末インベントリの情報に加えて、SSO・ID基盤や購買データを見て把握します。ただし、契約条件をAIの推測だけで判定したり、自動削除したりするのは危険です。人が確認してから、再割り当てや停止を実行します。

SBOM・OSS・脆弱性管理との連携

SBOMやOSSの情報は、ガイダンスの位置付けを踏まえて、資産台帳や脆弱性対応へつなげます。

  • OSS管理:部品名、版、ライセンス、脆弱性情報を台帳や開発管理と連携
  • 台帳連携:SAM、脆弱性、パッチ管理を資産IDと責任者で結び付ける

SBOMは、構成部品とサプライチェーンを記録するものです。経済産業省など15か国の関係機関が2025年に署名したガイダンスは、脆弱性、サプライチェーンリスク、ソフトウェアライセンスへの活用を示しています(出典:経済産業省「SBOMの共有ビジョンに関する国際ガイダンス」、2025年)。

IPAの2026年3月公開ガイドは、未管理ソフト、ライセンス、SaaSが脆弱性対応漏れにつながるとし、IT資産を把握して管理する方向性を示しています(出典:IPA「製品利用者向けガイド」、2026年)。

全企業に同じSAM導入を義務付けるわけではありません。ただし、構成部品と利用箇所を把握して、対応を早める方向性は示されています。

ライセンス監査と情報セキュリティの両立

監査証跡、役割分担、個人情報の扱いは、一体で設計します。

  • 監査証跡:購入証憑、契約、利用、判定、是正履歴を説明できるようにする
  • 役割分担:責任者、部門責任者、利用者を分け、例外利用を申請・承認する
  • 情報保護:収集目的・項目、閲覧権限、保存期間、削除ルールを決める
  • クラウド確認:暗号化、認証、多要素認証、バックアップ、委託先、復旧、返却・削除証明

サポート切れや未承認ソフトを早く見つけておくと、脆弱性対応の優先順位を付けやすくなります。一方で、操作ログや利用者情報を集めすぎると、プライバシーや労務上の問題につながります。

ソフトウェア資産管理システムのよくある質問

費用、台帳、既存ツール、運用に関する疑問をまとめました。判断材料には、端末や契約の数に加えて、担当人員、監査頻度、会計・購買との連携も含まれます。

Excel台帳だけでは不十分ですか?

端末・ソフトが少なく、担当者が利用状況と契約を正確に更新できるなら、Excelから始められます。

複数拠点やテレワーク、SaaS、仮想環境が増えると、更新漏れや表記ゆれが起きやすくなります。異動・退職や契約条件が増えた場合も、証跡不足が起きやすくなります。

最初は全機能を入れずに、台帳項目と更新ルールを整えます。その後、必要な範囲で自動収集と照合に移ります。

中小企業でもソフトウェア資産管理システムは必要ですか?

判断の材料は、企業規模に加えて、契約数やSaaS、拠点数です。監査リスクやセキュリティ要件も判断に入ります。

少人数の会社でも、退職者アカウントの残存や未承認アプリ、更新日の見落としが課題なら、台帳と申請・回収から始める価値があります。

数十台であれば、高額な仕組みを入れず、既存の端末管理や認証基盤と連携する小規模な方式を選びます。

スクラッチ開発と既製システムはどちらが良いですか?

インベントリやOS対応、基本台帳、辞書、レポートは既製品を使います。購買・会計・承認・部門配賦は、連携や拡張で加える方法が始めやすいです。

独自の契約条件や複数法人のルールを標準機能では扱えず、業務の変更も少ない場合は、スクラッチ開発が候補になります。

初期費用に加えて、OS・SaaS・契約条件の変化に対応する保守費と人員も比べる必要があります。

導入すればライセンス監査に必ず対応できますか?

契約条件に沿った利用は、導入しただけでは保証されません。そのためには、証憑や契約書、利用実態、辞書、判定ルールを正しく保つ必要があります。

さらに、責任者が定期的に確認し、違反候補を是正する運用が必要です。月次の棚卸しや四半期の利用最適化、更新前の確認を、通常業務に組み込みます。

まとめ

ソフトウェア資産管理システムは、保有ライセンスや契約、利用者、端末・SaaSを、更新・回収や監査証跡まで含めて一つの流れで管理します。インストール状況を一覧にすることは、その一部にすぎません。

ITAMの一部としてSAMの役割を定め、必要な範囲でMDMやEDR、ITSMと連携します。さらに、会計・購買・認証基盤ともつなぎます。これにより、違反、無駄な購入、脆弱性対応漏れを減らしやすくなります。

方式を選ぶときは、端末の台数やWindows・macOS・スマートフォンの混在、SaaSの数を確かめます。加えて、監査や既存システムとの連携、情シスの運用人数も見ておきます。

目安は、SaaS標準導入で50万〜300万円、連携導入で300万〜1,000万円です。オンプレミスや大規模統合では、さらに増える可能性があります。

金額は推定として扱い、3年間のTCOで比べます。TCOには、初期費用や月額、移行、連携を含めます。保守や辞書更新、運用工数も含めます。

まず、守る対象、削減したいもの、更新担当者を決めます。収集には既製品を使い、契約・承認・会計連携は必要に応じて拡張します。

100〜300台程度のPoCで、データ品質と運用負担を確かめてから全社に広げます。2026年は対象がSaaS、AI、SBOM、脆弱性情報まで広がっているため、将来の連携とデータの返却方法も選定に含めます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。